(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893721
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】媒体を調量するための弁
(51)【国際特許分類】
F02M 61/16 20060101AFI20160310BHJP
F02M 51/06 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
F02M61/16 Y
F02M51/06 H
F02M51/06 S
F02M51/06 T
F02M51/06 U
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-503044(P2014-503044)
(86)(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公表番号】特表2014-510234(P2014-510234A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2012053433
(87)【国際公開番号】WO2012136415
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2013年10月2日
(31)【優先権主張番号】102011006824.4
(32)【優先日】2011年4月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー シェフ
【審査官】
津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−52559(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第1717436(EP,A1)
【文献】
特表2009−520149(JP,A)
【文献】
特表2006−526106(JP,A)
【文献】
特表2008−506058(JP,A)
【文献】
特開2004−293313(JP,A)
【文献】
特開2005−240731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 61/16
F02M 51/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を調量するための弁であって、弁ハウジング(11)と、弁インレットおよび弁アウトレット(12,13)と、前記弁ハウジング(11)に配置された、弁制御装置のための電気コネクタ(14)と、前記弁インレット(12)の近傍および前記弁アウトレット(13)の近傍にそれぞれ配置された、弁構造部のためのシールリング(15,16)を有している形式のものにおいて、
前記弁ハウジング(11)が、2つのシールリング(15,16)間に配置された補助質量体(30)を備え、
前記コネクタ(14)が、前記弁ハウジング(11)から側方に突き出しており、前記補助質量体(30)がC字形横断面を有する円筒形質量体(31)によって形成されていて、該円筒形質量体(31)は、軸方向で縦に貫通し、かつ前記コネクタ(14)に向かって開放する円筒形壁部開口(311)によって方向付けられ、
前記弁ハウジング(11)が前記コネクタ(14)と共にプラスチック周壁によって形成されており、該プラスチック周壁が少なくとも部分的に、少なくとも1つのスリーブによって形成され、かつ前記弁インレット(12)と前記弁アウトレット(13)との間に延在する、媒体のための流路(17)を包囲しており、前記円筒形質量体(31)が前記流路(17)の外側に固定されていて、前記流路(17)と共に前記プラスチック周壁によって包囲されていることを特徴とする、媒体を調量するための弁。
【請求項2】
前記円筒形質量体(31)が前記弁ハウジング(11)の外側に装着され、かつ前記弁ハウジング(11)に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記弁ハウジング(11)が少なくとも部分的にプラスチックより成っていて、前記円筒形質量体(31)がプラスチックに埋め込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
【請求項4】
前記補助質量体(30)が鋼より成っていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の弁。
【請求項5】
前記弁が、内燃機関において燃料を噴射するための噴射弁であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載された、媒体を調量するための弁、特に内燃機関において燃料を噴射するための噴射弁に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の燃料噴射弁または燃焼物噴射弁(特許文献1、
図1)は、弁ハウジング、弁インレット、噴射口として構成された弁アウトレット、弁ハウジング内を通って延在し、弁インレットと弁アウトレットとを接続する、燃料または燃焼物のための流路、並びに、弁ハウジングから突き出す、弁を制御するための電気コネクタを有している。流路は、金属製で中空円筒形のインレット管と金属製でスリーブ状の弁座支持体とによって形成されていて、端部側が弁座体によって閉鎖されている。弁座体内に、噴射口と、この噴射口を包囲する弁座とが形成されている。弁座は、弁閉鎖ばねのばね力に抗して電磁石によって操作可能な中空円筒形の弁部材の閉鎖ヘッドと協働して噴射口を開閉するようになっている。電磁石は、インレット管の管壁の肉厚部によって形成されたマグネットコアと、インレット管の外側に装着された磁石コイルと、弁座支持体内にガイドされ、かつ弁部材と堅固に結合された磁石可動子とを有している。弁ハウジングは、コネクタのコネクタハウジングを含むプラスチック射出成形部として構成されており、該プラスチック射出成形部は、インレット管、電磁石および部分的に弁座支持体を包囲している。内燃機関の吸気系システム内または燃焼シリンダ内に構成された弁をシールするために、弁ハウジングからインレット側に突き出す、インレット管の管区分、および弁ハウジングからアウトレット側に突き出す、弁座支持体のスリーブ区分は、それぞれ1つのシールリングを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102005061424号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような噴射弁においては、噴射口の迅速な開閉によって、弁部材が閉鎖ヘッドおよび磁石可動子で以って高い動的な力で終端ストッパにぶつかると、一次的に、弁ハウジングに伝達される高い接触力が発生する。これによって振動が生じさせられ、この振動は弁から直接的に音響として放射されるか、または隣接する構成部分例えば吸気系システムおよび燃焼物供給部等に伝達され、これらの構成部分において音響放射が発生することによって、間接的に吸気騒音を生じさせる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の特徴部を有する、流体を調量するための本発明による弁は、流路の外側で弁に付与された補助質量体が、一方ではエネルギ散乱によって、また他方では対向相的な振動によって、弁ハウジング騒音の主な原因、つまり弁の軸方向振動および曲げ振動、並びにコネクタの振動を減少し、それによって弁の吸気騒音を減衰するという利点を有している。従って、減衰質量体とも称呼される補助質量体は、軸方向で弁の全質量を増大させ、ひいては弁の慣性を増大させる。これによって、シールリング内での弁の軸方向振動の振幅の減少、つまり弁の軸方向の上下運動の減少が得られる。しかも軸方向振動は、弁の増大された全質量によって、より低い周波数にずらされ、それによって騒音発生が減少される。何故ならば噴射弁の音響放射効果は、周波数が高くなるにつれて増大し、周波数が低くなるにつれて減少するからである。補助質量体または減衰質量体が、弁構造に従って固定されたシールリング間の中央に位置決めされることによって、弁の曲げ振動は、より低い周波数にずらされる。
【0006】
従属請求項に記載した手段によって、請求項1に記載された弁の好適な実施態様および改良が可能である。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、補助質量体または減衰質量体が、好適な形式で鋼より成る、C字形横断面を有する円筒形質量体によって形成されており、この円筒形質量体は、弁ハウジングから側方に突き出すコネクタに向かって開放する、軸方向で縦に貫通する円筒形壁部開口によって弁において方向付けされている。コネクタに対する補助質量体または減衰質量体の、このような位置決めにより、コネクタによって生じさせられる、弁の偏心的な質量分布の釣り合いが得られる。弁の重心は、補助質量体または減衰質量体によって、弁の軸線に向かって移動させられ、補助質量体または減衰質量体は、コネクタのための振動ダンパとして作用する。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、円筒形質量体は前記弁ハウジングの外側に装着され、弁ハウジングに、接着またはねじ固定または緊締またはクリップ係合によって固定されている。このような構造的な手段によって、弁を、構造的かつ製造技術的な変更なしに、騒音を減衰するように構成することができる。しかも、騒音減衰要求のために弁に後付けすることも問題なく可能である。
【0009】
本発明の選択的な実施形態によれば、円筒形質量体が、プラスチックより構成された弁ハウジングのプラスチック内に埋め込まれている。プラスチック弁ハウジングは一般的に、コネクタを含んで、弁の予め取り付けられた機能的な構成部材に、プラスチック周壁として射出成形されるので、減衰質量体を弁内に配置することは安価な費用で可能である。
【0010】
プラスチック周壁を射出成形する前に円筒形質量体を簡単な形式で、コネクタに対して確実に位置決めするために、本発明の好適な実施形態によれば、円筒形質量体は、弁インレットと弁アウトレットとの間に延在する、媒体のための流路の外側に固定されていて、プラスチック周壁を射出成形する際に流路と一緒にプラスチックによって包囲されるようになっている。
【0011】
本発明を図面に示した実施例を用いて、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1に示した弁の弁ハウジング上に装着される補助質量体の斜視図である。
【
図3】第2実施例に従って一部変更された弁の縦断面図である。
【
図4】
図3に示した第2実施例による弁の、部分IVで示した個所の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に側面図で示した、媒体を調量するための弁は、好適には内燃機関の吸気系システム内または燃焼シリンダ内に燃料を噴射するための噴射弁として装着される。この弁は、弁ハウジング11と、弁インレット12と、弁アウトレット13と、弁制御のための電気コネクタ14、並びに弁インレット12の近傍に配置されたシールリング15と、弁アウトレット13の近傍に配置されたシールリング16とを有している。シールリング15,16は、燃焼シリンダのシリンダヘッド内または内燃機関の吸気管内に弁を組み込みかつシールするために用いられる。
【0014】
図3に示した弁の断面図で分かるように、弁は、弁インレット12から弁アウトレット13に通じる、媒体のための流路17を有しており、この流路17は、管状のインレットスリーブ18と、スリーブ状の弁座支持体19とによって形成されている。弁座支持体19は弁座体20によって閉鎖されており、この弁座体20内に、弁座21によって包囲された、少なくとも1つの噴射口として構成された弁アウトレット13が形成されている。弁制御、つまり弁アウトレット13の開放および閉鎖は電磁石22によって行われ、この電磁石22は、コネクタ14を介して給電されると弁部材23を操作する。中空円柱形の弁部材23は、弁アウトレット13を閉鎖するために、弁部材23に支えられた弁閉鎖ばね24によって一方の端部側の閉鎖ヘッド25が弁座21に押しつけられ、弁アウトレット13を開放するために、電磁石22によってその閉鎖ヘッド25が弁座21から持ち上げられる。弁部材23は、弁座支持体19内で軸方向に摺動案内され、それと同時に電磁石22の磁石可動子を形成しており、この可動子は、弁座支持体19に固定された、電磁石22のマグネットコア28によって環状の作業エアギャップを画定している。コネクタ14に電気的に接続された、電磁石22のマグネットコイル26は、弁座支持体19の外側に設置されていて、ポット形のマグネット収容部27内に収容されており、該マグネット収容部27は、直径の減径された収容部区分271で以って弁座支持体19に当接している。弁ハウジング11とコネクタ14のコネクタハウジングとは、プラスチックより一体的に製作されており、プラスチックは、弁座支持体19の一区分であるインレットスリーブ18に、また部分的には電磁石22のマグネット収容部27にプラスチック周壁の形状で射出成形されていて、コネクタ14から電磁石22のマグネットコイル26に通じる導体路を組み込んでいる。インレット側のシールリング15は、弁ハウジング11から突き出す、インレットスリーブ18のスリーブ区分に設置されており、また弁アウトレット側のシールリング16は、弁座支持体19に当接する、マグネット収容部27の、直径の減径された収容部区分271に設置されている。
【0015】
弁駆動装置内において弁によって生じさせられる騒音を低減させるために、弁ハウジング11は2つのシールリング15,16間に配置された補助質量体30を備えている。好適には、この補助質量体30は、
図2の斜視図に示されているように、C字形の横断面を有する円筒形質量体31によって形成されている。円筒形質量体31は、好適な形式で鋼より成っていて、そのC字形横断面に従って軸方向で縦に貫通する円筒形壁部開口311を有している。弁内でコネクタ14によって生じさせられる偏心的な質量分布を釣り合わせるために、円筒形質量体31は弁内の2つのシールリング15,16間に次のように位置決めされている、つまり、円筒形質量体31が弁内でコネクタ14とは反対側に、つまり弁ハウジング11の、コネクタ14とは反対側に位置し、円筒形質量体31の円筒形壁部開口311がコネクタ14に向くように、位置決めされている。
【0016】
図1の実施例では、円筒形質量体31が弁ハウジング11の外側に装着されていて、弁ハウジング11に固定されている。円筒形質量体31の固定は、接着またはねじ固定または緊締またはクリップ係合によって行われる。クリップ係合の場合には、弁ハウジング11に相応の係止突起が設けられている。
【0017】
図3による弁の実施例では、円筒形質量体31は弁ハウジング11内に同じ位置決めで組み込まれている、つまり、プラスチックより射出成形された弁ハウジング11のプラスチック内に埋め込まれている。このために、円筒形質量体31は、射出成形型内に、弁の予め取り付けられた機能的な構成部材、例えばインレットスリーブ18、弁座支持体19、弁座体20、マグネット収容部27を有する電磁石22に対して正しい位置に位置決めされ、弁ハウジング11の射出成形時にこれらの構成部材と一緒に射出成形で埋め込まれる。
【0018】
図4に示した変化実施例によれば、円筒形質量体31は、予め取り付けられた弁においてプラスチック射出成形の前に、流路17の外側、図示の実施例ではインレットスリーブ18の外側に正しい位置で固定される。固定は、好適には接着剤によって行われる。このようにして円筒形質量体31により補完された、予め取り付けられた弁は、射出成形型内に入れられ、弁ハウジング11を製造するためにプラスチックにより埋め込まれる。
【符号の説明】
【0019】
11 弁ハウジング
12 弁インレット
13 弁アウトレット
14 コネクタ
15,16 シールリング
17 流路
18 インレットスリーブ
19 弁座支持体
20 弁座体
21 弁座
22 電磁石
23 弁部材
24 弁閉鎖ばね
25 閉鎖ヘッド
26 マグネットコイル
27 マグネット収容部
28 マグネットコア
30 補助質量体
31 円筒形質量体
271 収容部区分
311 円筒形壁部開口