特許第5893809号(P5893809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893809
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】倉庫システム及び出庫作業案内方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   B65G1/137 F
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-538821(P2015-538821)
(86)(22)【出願日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2013076623
(87)【国際公開番号】WO2015045182
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2015年8月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディアコヌ エイドリアン アンジェル
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/005445(WO,A1)
【文献】 特開2002−347910(JP,A)
【文献】 特開平03−128820(JP,A)
【文献】 特開2013−028422(JP,A)
【文献】 特開平07−044108(JP,A)
【文献】 特開平01−220610(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0182543(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02554496(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ識別コード部を備える複数の物品を保管する保管ユニットにおける、作業対象である前記物品の識別コードに係る前記識別コード部の位置を探索し、該位置の情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段により取得される情報に基づいて、作業対象である前記物品の位置を作業者に案内する位置案内手段と、を含み、
前記位置情報取得手段は、前記保管ユニットの画像を撮影する撮像手段を含み、前記撮像手段により撮影される前記保管ユニットの画像に基づいて、前記保管ユニットの画像における、作業対象である前記物品の位置の情報を取得し、
前記保管ユニットは搬送手段により搬送経路上を一方向に搬送され、
前記撮像手段は前記搬送経路の撮像位置に設けられ、
前記位置案内手段は前記搬送経路の前記撮像位置よりも下流の出荷位置に設けられる、倉庫システム。
【請求項2】
請求項に記載の倉庫システムにおいて、
前記保管ユニットは、上方が開口した箱状であり、
前記各物品は、該物品の前記識別コード部である識別コード画像を上側にして前記保管ユニットに収容され、
前記撮像手段は、前記保管ユニットの上方から前記保管ユニットの内部を撮影する、倉庫システム。
【請求項3】
それぞれ識別コード部を備える複数の物品を保管する保管ユニットにおける、作業対象である前記物品の識別コードに係る前記識別コード部の位置を探索し、該位置の情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップにより取得される情報に基づいて、作業対象である前記物品の位置を作業者に案内する位置案内ステップと、を含み、
前記保管ユニットを搬送手段により搬送経路上を一方向に搬送し、
前記位置情報取得ステップは、前記搬送経路の撮像位置において撮像手段により前記保管ユニットの画像を撮影するとともに、撮影される前記保管ユニットの画像に基づいて、前記保管ユニットの画像における、作業対象である前記物品の位置の情報を取得し、
前記位置案内ステップは、前記搬送経路の前記撮像位置よりも下流の出荷位置において作業対象である前記物品の位置を案内する、出庫作業案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は倉庫システム及び出庫作業案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ピッキングゾーン(出庫作業位置)に表示器を配置し、パレットと呼ばれる保管ユニットがコンベアによりピッキングゾーンに搬送されると、該保管ユニットからピックアップされるべき物品の個数が当該表示器に表示されるシステムが開示されている。このシステムによれば、表示器を見ることにより、作業者は保管ユニットから正しい個数の物品をピックアップすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−196818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記背景技術では、1つの保管ユニットに一種類の物品が複数保管されていることを前提としている。このため、1つの保管ユニットに複数種類の物品が保管されている場合、表示器を見ても作業者はどの物品をピックアップしてよいか分からない。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、保管ユニットからどの物品をピックアップすればよいかを作業者に案内できる倉庫システム及び出庫作業案内方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る倉庫システムは、それぞれ識別コード部を備える複数の物品を保管する保管ユニットにおける、作業対象である前記物品の識別コードに係る前記識別コード部の位置を探索し、該位置の情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段により取得される情報に基づいて、作業対象である前記物品の位置を作業者に案内する位置案内手段と、を含む。
【0007】
また、本発明に係る出庫作業案内方法は、それぞれ識別コード部を備える複数の物品を保管する保管ユニットにおける、作業対象である前記物品の識別コードに係る前記識別コード部の位置を探索し、該位置の情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップにより取得される情報に基づいて、作業対象である前記物品の位置を作業者に案内する位置案内ステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る倉庫システムの平面的構成を模式的に示す図である。
図2】作業スペースの拡大斜視図である。
図3】作業スペースの正面図である。
図4】カメラ位置の側面図である。
図5】出庫作業位置の側面図である。
図6】光線ユニットの内部構成を示す図である。
図7】入庫作業位置の側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る倉庫システムの制御構成を示すブロック図である。
図9】保管ユニットデータベースの内容を模式的に示す図である。
図10】入出庫制御システムの処理を示すフロー図である。
図11】カメラにより撮影される画像の一例を示す図である。
図12】光線が当てられた保管ユニットを示す図である。
図13】本発明の実施形態に係る倉庫システムの変形例を示す図である。
図14】本発明の実施形態に係る倉庫システムの他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る倉庫システムの全体構成を模式的に示す図である。また、図2は、倉庫システム10に備えられる作業スペース10aの拡大斜視図である。倉庫システム10は、自動倉庫12を含んでおり、在庫商品が収容された箱状の保管ユニットが該自動倉庫12に多数収納されている。保管ユニットは箱状に限らず、トレイ状など他の形状であってよい。自動倉庫12には出庫コンベア(出庫搬送手段)18、作業スペースコンベア(作業ステージ)19及び入庫コンベア(入庫搬送手段)20から構成される保管ユニット搬送手段が連結されている。これらはローラコンベアやベルトコンベアである。また、倉庫システム10には、それぞれ作業者が入出庫作業を行う複数の作業スペース10aが設けられている。さらに、倉庫システム10は入荷スペース14から入荷商品40を各作業スペース10aに搬送する入荷コンベア(入荷商品搬送手段)22、及び各作業スペース10aから出荷商品42を出荷スペース16に搬送する出荷コンベア(出荷商品搬送手段)24を含んでいる。これらもローラコンベアやベルトコンベアである。入荷スペース14は入荷商品40が外部から届く場所であり、出荷スペース16は梱包等の出荷準備が行われる場所である。
【0011】
自動倉庫12は、例えば多段の収納ラックを複数有し、それら収納ラックが並べて配置されている。自動倉庫12は、モータその他の駆動源を有する搬送手段を備えており、自動倉庫12内で保管ユニットを搬送することができる。水平方向の搬送手段は、例えばベルト又はローラコンベアであってもよいし、保管ユニットを運ぶ自走式ロボットであってもよい。鉛直方向の搬送手段は、例えば電動リフトである。保管ユニットは、これら搬送手段により、後述する入出庫制御システム62により指定された位置に搬送され、そこで保管される。また、入出庫制御システム62で選択された保管ユニットは、搬送手段により保管位置から自動倉庫12外に搬出され、そこからいずれかの作業スペース10aまで出庫コンベア18で搬送される。
【0012】
出庫コンベア18の上流端は自動倉庫12に接続されている。下流端は櫛状に複数に分岐しており、各分岐である作業スペース枝部18aの下流端は作業スペースコンベア19の上流端にそれぞれ接続されている。
【0013】
作業スペース10aには作業者がその上に立つ作業台28が設けられており、作業スペースコンベア19は、各作業スペース10の作業台28の前方に設けられる比較的短い直線状の搬送手段である。作業スペースコンベア19は、作業者の左右一方側(ここでは右)から他方側(ここでは左)に保管ユニット26を搬送する。また、作業スペースコンベア19は、作業台28に立つ作業者がその上を搬送される保管ユニット26から出庫商品42を取ったり、同保管ユニット26に入庫商品40を追加したりする、作業ステージである。作業者の作業のために、作業スペースコンベア19の中央の出庫作業位置、及び下流端(ここでは左端)の入庫作業位置で、保管ユニット26が一旦停止するよう作業スペースコンベア19は制御されている。なお、ここでは作業ステージを、動力源を備えたコンベアにより構成するようにしたが、例えば単なるテーブル状とし、動力源を備えずに人手で保管ユニット26を上流端から下流端まで移動させるように構成してもよい。
【0014】
作業者は作業台28の上に立ち、作業スペースコンベア19の中央(出庫作業位置)で保管ユニット26から出庫商品42を取り出し、出荷コンベア24の作業スペース枝部24aに載せる。また、作業スペースコンベア19の下流端(入庫作業位置)で、入荷コンベア22の作業スペース枝部22aの先端(下流端)から入荷商品40を取り、それを保管ユニット26に入れる。タッチパネル付き表示装置からなる操作部30を操作することにより、保管ユニット26は入庫コンベア20により搬送され、再び自動倉庫12に戻る。
【0015】
入庫コンベア20の上流端は櫛状に複数に分岐しており、各分岐である作業スペース枝部20aは途中で合流する。各作業スペース枝部20aの上流端は作業スペースコンベア19の下流端に接続されている。また、入庫コンベア20の下流端は自動倉庫12に接続されている。
【0016】
上述した出荷コンベア24の上流端も櫛状に複数に分岐しており、各分岐である作業スペース枝部24aは作業スペースコンベア19に向かって延伸している。さらに、入荷コンベア22の下流端も櫛状に複数に分岐しており、各分岐である作業スペース枝部22aは作業スペースコンベア19に向かって延伸している。
【0017】
すなわち、作業スペースコンベア19の片側に、出庫コンベア18の作業スペース枝部18a、出荷コンベア24の作業スペース枝部24a、入荷コンベア22の作業スペース枝部22a、入庫コンベア20の作業スペース枝部20aが配置されており、それらは作業スペースコンベア19に向かって直線的に延伸している。作業スペース枝部22aは作業スペース枝部20aの上方に配置されており、両者は平面視で重複するように設けられている。作業スペース枝部22aの下流端は作業スペースコンベア19の側方に位置している。
【0018】
作業スペース枝部18aの下流端は作業スペースコンベア19の上流端に接続され、作業スペース枝部22aの上流端は作業スペースコンベア19の下流端に接続されている。また、作業スペース枝部24aは、作業スペース枝部18aと作業スペース枝部20aとの間を延伸し、その上流端は作業スペースコンベア19の側方に位置している。
【0019】
ここで各作業スペース10においては、平面視で、作業スペースコンベア19の搬送方向に対して、作業スペース枝部18a,20a,22a,24aの搬送方向は、いずれも垂直である。そして、作業スペース枝部18a、20a,22a,24aの搬送方向は、平面視で互いに平行である。このため、作業スペース枝部18a、作業スペースコンベア19、作業スペース枝部20aからなる搬送経路は、途中に2つの方向転換箇所を有する。そして、各方向転換箇所において、保管ユニット26は90度だけ同一方向(平面視で時計回り)に搬送方向を変える。また、各作業スペース10aの作業スペースコンベア19は互いに平行であり、ここでは特に同一直線上に配置されている。
【0020】
各作業スペース10aは以上のレイアウトを採用しているので、1人の作業者が保管ユニット26から出荷商品を取り出す出庫作業、及び保管ユニット26に入荷商品を入れる入庫作業の両方を容易に行うことができる。このとき、出庫作業位置と入庫作業位置とは隣り合っており、きわめて両位置間の移動が容易である。また、出庫作業位置において自分が保管ユニットから出荷商品を取り出すので、その保管ユニットにおける空きスペースを作業者はよく把握している。このため、作業者は入庫作業位置において、同保管ユニットに対して速やかに入荷商品を入れることができる。また、作業スペース10aの幅は非常にコンパクトであり、狭いスペースに複数の作業スペース10aを隣接して配置できる。なお、各作業スペース10aに2人の作業者を配置し、1人を出庫作業位置の前、もう一人を入庫作業位置の前に配置し、出庫作業と入庫作業を分担してもよい。
【0021】
ここで作業スペース10aについて、さらに詳細に説明する。図3は、作業台28側から作業スペース10aを見た図、すなわち作業スペース10aの正面図である。図4は、作業スペースコンベア19の上流端のレイアウトを示す側面図である。図5は、作業スペースコンベア19の出庫作業位置のレイアウトを示す側面図である。図6は、図5に示される光線ユニット38の内部構成を示す図である。図7は、作業スペースコンベア19の入庫作業位置のレイアウトを示す側面図である。
【0022】
図3及び図4に示すように、出庫コンベア18の作業スペース枝部18aにより作業スペース10aに搬送されてきた保管ユニット26は、一旦、作業スペース枝部18aの下流端に設けられたカメラ位置で停止する。保管ユニット26には該保管ユニット26を一意に識別する識別情報を示すバーコードが貼付されている。カメラ位置の側には保管ユニットバーコードリーダ50が設けられており、保管ユニット26に貼付されたバーコードが読み取られる。なお、保管ユニット26の識別方法は上記の方法に限定されず、例えば記号や数字を記載してそれを認識してもよい。また、RFIDタグを保管ユニット26に取り付けてもよい。或いは、磁気や色で識別情報を媒体に記録し、この媒体を保管ユニット26に取り付けてもよい。
【0023】
また、カメラ位置の上方に配置されているカメラ32により保管ユニット26の内部の画像が撮影される(図11参照)。保管ユニット26は上面が開口した箱状であり、カメラ32は撮影方向が鉛直下向きとなるよう配置されている。このため、カメラ32により保管ユニット26の内部画像が取得でき、この画像には保管ユニット26に何が収容されているかが表れる。なお、保管ユニット26には、1以上の在庫商品の箱が、上下に積み重ならないようにして収容されている。また、いずれかの側面に張り付け、又は印刷されたバーコード(識別コード画像)が上から見えるようにして、各在庫商品の箱が保管ユニット26に収容されている(図11参照)。すなわち、バーコードが付加された面が上になるようにして在庫商品の箱が保管ユニット26に収容されている。このため、カメラ32により取得される画像には、保管ユニット26に収容されたすべての在庫商品の箱が写り、且つ各箱のバーコードも写る。バーコードから該バーコードが付加された商品の種類を一意に識別する識別情報を取得できる。識別情報により商品のサイズ、色、製造時期等の情報まで識別されてもよいし、そうでなくてもよい。作業(ここでは出荷作業)の対象を識別するのに十分な情報がバーコードから取得できる。ここでバーコードは1次元バーコードであってもよいし、2次元バーコードであってもよい。また、各箱に識別情報を付加する方法はバーコードに限定されず、撮影画像から識別情報を認識可能であれば、どのような方法で識別情報が箱に付加されてもよい。例えば識別情報を示す記号、文字、数字を特定態様により箱に記載して、それを撮影画像から認識してもよい。
【0024】
撮影後、作業スペースコンベア19の上流端に他の保管ユニット26が無ければ、カメラ位置の保管ユニット26は作業スペースコンベア19の上流端に搬送される。また、作業スペースコンベア19の出庫作業位置に他の保管ユニット26が無ければ、作業スペースコンベア19の上流端にある保管ユニット26は出庫作業位置に搬送される。
【0025】
図3及び図5に示すように、出庫作業位置にも保管ユニットバーコードリーダ52が設けられており、保管ユニット26に貼付されたバーコードが読み取られる。また、出庫作業位置では、作業者が保管ユニット26から出荷商品を取り出す。この際、作業スペースコンベア19の上方には光線ユニット38が設けられており、該光線ユニット38から出射される光線Rが保管ユニット26内の出荷商品に当たる。すなわち、カメラ位置で撮影された画像に基づいて、倉庫システム10は出荷商品の位置を特定し、この特定された位置に向けて光線Rを出射する。光線ユニット38は、図6に示すようにレーザ光を出射するレーザ光源38aと、レーザ光源38aの正面に設けられ、該レーザ光源38から出射されるレーザ光を反射して光線ユニット38の外部に光線Rを誘導する可動ミラー38bと、該可動ミラー38bの向きを変更するアクチュエータ38cと、を備えている。レーザ光のオンオフ及び可動ミラー38bの向きは入出庫制御システム62により制御される。すなわち、光線ユニット38は、入出庫制御システム62の制御により、任意の方向に光線Rを出射できるように構成されている。この光線Rによる光スポット(図12参照)により、作業者は保管ユニット26から取り出すべき商品が直ちに分かる。なお、出荷商品を指し示す方法は上記の方法に限定されない。例えば、可動ミラー38bの代わりにXYステージを用い、直交する2軸に沿ってレーザ光源38を移動させ、任意の位置から同一方向にレーザ光を出射してもよい。また、レーザ光源38の代わりに、スポット光を出荷商品に当ててもよいし、指示棒を機械的に制御して出荷商品を指示してもよい。或いは、ロボットアームにより出荷商品を指示してもよい。さらに、カメラ32により取得される画像には、保管ユニット26に収容されたすべての在庫商品の箱が写っているが、このうち出荷すべき商品の箱にマーカを付加するなどして、該商品の箱を区別しうる画像を作成し、この画像を表示装置により表示してよい。こうしても、作業者はどの箱を取り出せばよいかを理解できる。
【0026】
作業者が保管ユニット26から出荷商品42を取り出し、その保管ユニット26の奥側上方に設けられた出荷商品バーコードリーダ34に出荷商品42のバーコードを近づけると、該バーコードが読み取られる。その後、作業者が、出荷商品バーコードリーダ34の下方に位置する出荷コンベア24の作業スペース枝部24aの上流端に出荷商品42を置くと、出荷商品42は出荷コンベア24により出荷スペース16に搬送される。出荷スペース16では、梱包などの出荷準備が機械的又は人手により行われる。出庫作業位置の保管ユニット26よりも若干高い位置に作業スペース枝部24aの上流端が位置しており、また出荷商品バーコードリーダ34は作業スペース枝部24aの上流端の上方に設けられている。このため、作業者は出庫作業を容易に行うことができる。
【0027】
正しい出荷商品42のバーコードが出荷商品バーコードリーダ34により読み取られると、作業スペースコンベア19の入庫作業位置に他の保管ユニット26が無ければ、出庫作業位置の保管ユニット26は入庫作業位置に搬送される。
【0028】
図3及び図7に示すように、入庫作業位置では、入荷コンベア22の作業スペース枝部22aの下流端に入荷商品40が搬送されてきている。作業者が、この入荷商品40を手に取り、その箱に貼付又は印刷されているバーコードを、作業スペース枝部22aの下流端の上方に設けられた入荷商品バーコードリーダ36に近づけると、該バーコードが読み取られる。その後、作業者は、入荷商品バーコードリーダ36の手前下方に位置する保管ユニット26の空きスペースに入荷商品40を収容する。なお、出庫作業位置で出荷商品42が取り出された保管ユニット26には空きスペースが存在する可能性が高い。入荷商品バーコードリーダ36は、作業スペース枝部22aの下流端上方に設けられており、入庫作業位置の保管ユニット26の高さよりも高い位置に作業スペース枝部22aの下流端が位置している。このため、作業者は入庫作業を容易に行うことができる。
【0029】
ここで図3に示すように、入庫作業位置の保管ユニット26と出庫作業位置の保管ユニット26との間隔Sは、保管ユニット26の幅W(搬送方向の長さ)未満である。このため、作業者は出庫作業位置の前方から入庫作業位置の前方まで速やかに移動できる。
【0030】
操作部30には、完了ボタンと未完了ボタンが表示されており、いずれかのボタンを作業者がタッチすると、保管ユニット26は入庫作業位置から入庫コンベア20に移り、該入庫コンベア20により自動倉庫12まで搬送される。具体的には、作業者が目視により保管ユニット26に1以上の入荷商品をさらに収容できる空きスペースがあると判断すれば、作業者は完了ボタンをタッチする。また、そのような空きスペースがないと判断すれば、作業者は未完了ボタンをタッチする。完了又は未完了(完了フラグ)、バーコードより得られる入荷商品40の識別情報は、保管ユニット26の識別情報に関連づけて、保管ユニットデータベース68に記憶される(図8参照)。
【0031】
図8は、本発明の実施形態に係る倉庫システムの制御構成を示す図である。倉庫システム10は在庫管理システム60、入出庫管理システム62、搬送制御システム64を中心に構成されている。いずれも1又は複数のコンピュータにより構築されている。
【0032】
在庫管理システム60には在庫管理データベース66が接続されており、どの商品がどれだけ在庫しているかを管理する。また、在庫管理システム60は入出庫制御システム62に商品の出荷を指示する。
【0033】
搬送制御システム64は出庫コンベア18、作業スペースコンベア19、入庫コンベア20、入荷コンベア22、出荷コンベア24といった搬送機械に接続されており、さらに自動倉庫12にも接続されている。入出庫制御システム62は、入庫作業を終えた保管ユニット26を自動倉庫12のどの位置に保管するかを搬送制御システム64に指示している。また、入出庫制御システム62は、どの保管ユニットを自動倉庫12からどの作業スペース10aに搬送させるかを搬送制御システム64に指示している。搬送制御システム64は、入出庫制御システム62のこれらの指示に従って、各保管ユニット26の搬送を制御する。
【0034】
入出庫管理システム62にはカメラ32、保管ユニットバーコードリーダ50,52、出荷商品バーコードリーダ34、入荷商品バーコードリーダ36、操作部30及び光線ユニット38が接続されている。また、在庫管理システム60、搬送制御システム64及び保管ユニットデータベース68が接続されている。入出庫管理システム62は、在庫管理システム60から商品の出荷指示を受けると、保管ユニットデータベース68を参照し、その商品がどの保管ユニット26に収容されているか、その保管ユニット26は自動倉庫12のどこに保管されているかを判断する。また、どの作業スペース10aで作業を行うかを決定する。例えば、各作業スペース10aでの作業量が均等となるように決定してよい。そして、搬送制御システム64に、どの位置に保管された保管ユニット26をどの作業スペース10aに搬送すべきかを指示する。上述したように、搬送制御システム64はこの指示に従って保管ユニット26を搬送する。
【0035】
また、入出庫制御システム62にはカメラ32が接続されており、カメラ32で取得される保管ユニット26の画像に基づき、保管ユニット26における出荷商品42の位置を特定し、その位置に光線Rを当てるよう光線ユニット38の出射方向を制御する。
【0036】
また、入荷商品バーコードリーダ36で読み取られるバーコードから入荷商品40の識別情報を取得し、これを在庫管理システム60に通知する。在庫管理システム60はこの通知を受けて在庫数を更新する。
【0037】
また、入庫作業位置にある保管ユニット26の移動先を決定する。すなわち、保管ユニット26を自動倉庫12のどの位置に保管しておくかを決定する。保管位置はランダムに決定してよいが、よりインテリジェントなアルゴリズムにより決定してもよい。例えば、近い将来に出荷されると予想される商品(例えば現在の季節に合致した商品など)を収容した保管ユニット26を自動倉庫12の手前側で保管し、そうでない保管ユニット26を奥側で保管するようにしてよい。こうすれば出庫頻度の高い保管ユニット26を直ちに取り出せる場所で保管できる。保管ユニット26の移動先は搬送制御システム64に指示され、搬送制御システム64は指示に従って保管ユニット26を搬送する。また、保管ユニットデータベース68は、図9に示すように、各保管ユニット26の識別情報に関連づけて、その保管ユニット26は自動倉庫12のどこに保管されているかの情報(保管位置)、その保管ユニット26に空きスペースがあるかの情報(完了フラグ)、その保管ユニット26に収容されている商品の識別情報を記憶している。入出庫制御システム62は、この保管ユニットデータベース68の内容を更新する。
【0038】
なお、出荷商品42よりも入荷商品40が多い場合、入出庫制御システム62は保管ユニットデータベース68において、空きスペースがある(完了フラグ=0)とされている保管ユニット26を作業スペース10aに呼び出す。
【0039】
図10は、入出庫制御システム62の処理を示すフロー図である。同図に示す動作は、商品の出荷指示を在庫管理システム60から受ける度に実行されるものであり、商品の出荷指示が短時間に連続してなされる場合、同図に示される処理が複数並行して実行される。出荷指示には商品の識別情報が含まれる。商品の出荷指示を在庫管理システム60から受けると(S101)、出荷すべき商品の識別情報に関連づけられている保管ユニット26の識別情報及び保管位置を、保管ユニットデータベース68から読み出す(S102)。そして、搬送制御システム64に保管ユニット26の識別情報及び保管位置を通知し、保管ユニット26の出庫を指示する(S103)。その後、出庫を指示した保管ユニット26がカメラ位置に到着するのを待機する(S104)。すなわち、保管ユニットバーコードリーダ50でカメラ位置にある保管ユニット26のバーコードを読み取り、該バーコードから得られる識別情報がS102で取得された識別情報と一致するか否かを調べる。そして、識別情報が一致すれば、出庫を指示した保管ユニット26がカメラ位置に到着したと判断する。保管ユニット26がカメラ位置に到着すると、カメラ32に撮影を指示し、入出庫制御システム62は保管ユニット26の内部を写した画像を取得する(S105)。図11は、カメラ32により撮影される画像の一例を示している。同図に示すように、画像には保管ユニット26の開口周縁が写っており、その内側に保管商品41の箱が写っている。本倉庫システム10では、作業者は保管商品41の箱をバーコードが上になるようにして保管ユニット26に収容しているので、各箱のバーコード41aも画像に写っている。
【0040】
入出庫制御システム62はカメラ32により取得した画像における各バーコード41aの位置を特定し、該位置の情報を得るとともに、各バーコード41aから商品の識別情報をデコードする(S106)。例えば、カメラ32により取得した画像において白地に複数の平行な黒い帯が表れている位置を走査し、該位置をバーコード41aの位置として特定してよい。次に、S101で在庫管理システム60から受け取った商品の識別情報に対応するバーコード41aの位置を特定する(S107)。こうして、出荷すべき商品の識別情報に対応するバーコード41aの位置を探索し、その位置の情報を得ることができる。
【0041】
その後、S104の処理と同様にして、保管ユニット26が出庫作業位置に到着するのを待機する(S108)。保管ユニット26が出庫作業位置に到着すると、S107で特定された位置のバーコードに光線Rを出射するよう光線ユニット38に指示する(S109)。これにより、出荷商品42に光線Rが当たる。図12は、光線Rが当てられた保管ユニットを示す図であり、作業者が取り出すべき商品の箱のバーコード位置には光スポット70が映し出される。具体的には、S107で特定された位置に基づいて、前記可動ミラー38の位置を基準とした出荷商品42の相対位置を算出する。そして、この算出される位置に基づいて可動ミラー38の方向を算出する。なお、S101で在庫管理システム60から受け取った商品の識別情報に対応するバーコード41aが、S105で取得した画像に表れていないことが、S107で判明することがあり得る。例えば、何らかのトラブルにより保管ユニット26に該当商品が入っていない場合や、バーコードが上になるようにして箱が入れられていない場合である。こうした場合、S109では光線Rを出射しない。これにより、作業者は異常発生を知ることができる。
【0042】
その後、入出庫制御システム62は、出荷商品バーコードリーダ34により、S101で在庫管理システム60から受け取った商品の識別情報が読み取られるのを待機する(S110)。同識別情報が読み取られると、入出庫制御システム62は、搬送制御システム64に対し、保管ユニット26を出庫作業位置から入庫作業位置に搬送するよう指示する(S111)。搬送制御システム64は、入庫作業位置に他の保管ユニット26が無ければ、出庫作業位置から入庫作業位置に保管ユニット26を進める。
【0043】
入出庫制御システム62は、S104やS108の処理と同様にして、保管ユニット26が入庫作業位置に到着するのを待機する(S112)。保管ユニット26が入庫作業位置に到着すると、作業員が入荷商品40を手にとり、入荷商品バーコードリーダ36に近づける。これにより、入出庫制御システム62は入荷商品の識別情報を取得する(S113)。その後、入出庫制御システム62は、操作部30の完了ボタン又は未完了ボタンのタッチ操作を受け付ける(S114)。完了ボタン又は未完了ボタンがタッチされると、入出庫制御システム62はS112で取得された保管ユニット26の識別情報に関連づけて、S113で取得された入荷商品40の識別情報、S114で受け付けたボタンの種別を示す完了フラグを保管ユニットデータベース68に格納する。さらに、入荷商品40の識別情報を在庫管理システム60に送信する(S116)。これにより、在庫管理システム60は同商品の在庫数を更新する。その後、入出庫制御システム62は、保管ユニット26の保管位置を決定し、該保管位置に保管ユニット26を搬送するよう搬送制御システム64に指示する(S117)。このとき、保管ユニット26の識別情報に関連づけて、その保管位置を保管ユニットデータベース68に格納する。
【0044】
以上説明した倉庫システム10によれば、保管ユニット26から出荷商品42を取り出してすぐ、入荷商品40を同保管ユニット26に入れるので、保管ユニット26の充填率を高めることができる。また、商品を効率的に入庫することができる。また、光線ユニット38により光線Rを出荷商品42に出射するので、作業者はどの箱を取り出せばよいのかを直ちに理解でき、作業性を向上できる。
【0045】
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限定されず、種々の変形を含むことは言うまでもない。例えば、図13に示すように出庫コンベア18の作業スペース枝部18aと入庫コンベア20の作業スペース枝部20aとが、作業スペースコンベア19に対して、互いに逆側から延伸するようにしてもよい。この場合、作業員は、作業スペース枝部18a又は作業スペース枝部20aの脇に立ち、出庫作業及び入庫作業を行う。同図では、作業スペース枝部18aの脇に立っており、作業スペースコンベア19の中央の位置61が出庫作業位置となり、下流端の位置62が入庫作業位置となる。
【0046】
また、図14に示すように、作業スペースコンベア19は、作業員の周囲を旋回するように湾曲した形状であってよい。作業スペースコンベア19は、作業員の周囲を旋回するように屈曲した形状であってもよい。作業スペースコンベア19の上流端には、出庫コンベア18の作業スペース枝部18aの下流端が接続され、作業スペースコンベア19の下流端には、入庫コンベア20の作業スペース枝部20aの上流端が接続される。同図では、作業スペース枝部18aと作業スペース枝部20aとは、作業スペース19に対し、互いに逆側から延伸しているが、同じ側から延伸してもよい。作業スペースコンベア19の上流端の位置63、下流端の位置65、その間の位置64のうち2つが選択され、そのうち上流側が出庫作業位置となる。また下流側が入庫作業位置となる。この態様によれば、作業員は体の向きを変えるだけで出庫作業から入庫作業に移ることができる。
【0047】
さらに、上記説明ではカメラ32で撮影された画像に表れる識別コード画像に基づき、保管ユニット26における出荷商品42の位置の情報を得るようにしたが、カメラ32を用いない方法で保管ユニット26における出荷商品42の位置の情報を得てよい。例えば、保管ユニット26内の各商品の箱に、RFIDタグや磁気テープ等の電気及び又は磁気により識別情報を読み取り可能な媒体(識別コード部)を取り付けて、その読み取り装置を各箱に近づけ、各箱の媒体から識別情報を読み取ってよい。すなわち、読み取り装置で各箱を走査してよい。この場合、出荷商品42の識別情報を読み取った際の読み取り装置の位置を出荷商品42の位置とすればよい。こうしても、保管ユニット26における出荷商品42の位置を探索し、該位置の情報を得ることができる。
【0048】
また以上では、商品を保管する倉庫システム10において光線ユニット38による案内を行う場合について説明したが、製造工場で用いられる部品など、商品以外の物品を保管する倉庫でも、光線ユニット38は利用できる。
【0049】
また以上では、商品を出荷するために該商品を保管ユニット26から取り出す場合に、光線ユニット38により作業者に案内する場合について説明したが、物品に防虫処理やサイズ直しなどの作業を行うために該物品を保管ユニット26から取り出す場合にも、光線ユニット38により作業者に案内してよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14