特許第5893862号(P5893862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893862
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/64 20060101AFI20160310BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20160310BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   F04D29/64 D
   F04D25/08 303
   H02K5/22
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-163963(P2011-163963)
(22)【出願日】2011年7月27日
(65)【公開番号】特開2013-29032(P2013-29032A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】砂田 貴志
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−162675(JP,U)
【文献】 米国特許第04636669(US,A)
【文献】 特開2003−204176(JP,A)
【文献】 特開平10−233254(JP,A)
【文献】 特開2011−134571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/64
F04D 25/08
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転軸と共に回転する羽根車をケーシング内の通風路中に配設してなる送風機において、
前記ケーシングの外周側面に形成した端子ブロック収納用凹部と、
前記モータに通じるリード線の先端に接続した端子と、
前記端子を収容して前記端子ブロック収納用凹部内に配設した端子ブロックと、
前記リード線と前記端子を外側から覆って前記端子ブロックと共に前記ケーシングに固定した端子カバーと、
を備え、
前記端子カバーと前記端子ブロックは、該端子カバーと該端子ブロックを貫通した状態で前記ケーシングに取り付けられる取付ねじで固定されていることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記端子は抜け止め用突起を有し、前記端子ブロックは該端子が前記リード線側へ引かれたときに該端子の抜け止め用突出部が突き当たって引き抜きを阻止する規制壁を設けてなる請求項1記載の送風機。
【請求項3】
前記端子の前記リード線との接続部は前記端子ブロックの外側に設けられているとともに、該端子ブロックに前記接続部の一面に添接して該接続部の移動を規制する支持部を設けてなる請求項1又は2に記載の送風機。
【請求項4】
前記リード線と前記端子の接続部は前記端子ブロックの外側に設けられているとともに、該端子ブロックに前記接続部の三面に添接して該外接続部の移動を三方向から規制する断面コ字状をした支持部を設けてなる請求項1又は2に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送風機に関するものであり、特に、電子機器等の空冷用に使用される軸流型の送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の送風機は、ケーシング内の通風路中にモータの駆動により回転する羽根車を設けており、例えば特許文献1、特許文献2等で知られている。
【0003】
特許文献1に記載の送風機は、駆動モータと外部電源を接続する手段として、ケーシングの一面に形成されたリード溝内にリード線を配置するとともに、該リード線の一端側をケーシング内で駆動モータに接続するとともに、他端側をケーシングの外側に導出させ、その導出されたリード線の先端部に外部電源と接続されるコネクタを取り付けている。この構造では、ケーシングの外側にリード線及びコネクタが露出されており、しかもリード線及びコネクタが自由に動き得る状態となっている。
【0004】
一方、特許文献2に記載の送風機は、駆動モータと外部電源を接続する手段として、同じくケーシングの一面に形成されたリード溝内にリード線を配置するとともに、該リード線の一端側をケーシング内で駆動モータに接続するとともに、他端側を接続させた端子ブロックをケーシングの外部に臨む凹所内に取り付け、その端子ブロックを介して駆動モータが外部電源と接続される構造になっている。この構造でも、ケーシングの外側にリード線とコネクタが露出し、また該リード線は外部から触れて自由に動かすことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−61495号公報。
【特許文献2】特許第2751714号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1及び特許文献2に記載の送風機は、駆動モータ部から引き出されたリード線がケーシングの外部に露出し、外側から自由に触れることができる。このため、リード線が誤って引っ張られると断線する虞があるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、リード線が外力により誤って引っ張られて断線するのを防ぐことができる送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、モータの回転軸と共に回転する羽根車をケーシング内の通風路中に配設してなる送風機において、前記ケーシングの外周側面に形成した端子ブロック収納用凹部と、前記モータに通じるリード線の先端に接続した端子と、前記端子を収容して前記端子ブロック収納用凹部内に配設した端子ブロックと、前記リード線と前記端子を外側から覆って前記端子ブロックと共に前記ケーシングに固定した端子カバーと、を備え、前記端子カバーと前記端子ブロックは、該端子カバーと該端子ブロックを貫通して前記ケーシングに取り付けられる取付ねじで固定してなる構成とした
【0009】
この構成によれば、前記リード線と端子の接続部は、外側から端子カバーで覆われているので、外力により、リード線が誤って引っ張られて断線するのを防ぐことができる。また、端子カバーと端子ブロックは、取付ねじを使用して、ケーシングに同時に取り付けることができるので、組立作業の簡略化が図れる。
【0012】
また、前記端子は抜け止め用突起を有し、前記端子ブロックは該端子が前記リード線側へ引かれたときに該端子の抜け止め用突出部が突き当たって引き抜きを阻止する規制壁を設けてなる構成が好ましい。
【0013】
この構成によれば、リード線を介して端子が誤ってリード線側に引っ張られたとき、あるいは端子が外力によりリード線側に押されたとき、端子の抜け止め用突出部が規制壁に突き当たり、抜け止めされる。
【0014】
また、前記端子の前記リード線との接続部は前記端子ブロックの外側に設けられているとともに、該端子ブロックに前記接続部の一面に添接して該接続部の移動を規制する支持部を設けてなる構成が好ましい。
【0015】
この構成によれば、リード線に大きな外力が加わり、接続部が一面側に押されるとき、その移動を支持部が受け、該接続部とリード線の間で断線が起きるのを防止する。
【0016】
また、前記リード線と前記端子の接続部は前記端子ブロックの外側に設けられているとともに、該端子ブロックに前記接続部の三面に添接して該接続部の移動を三方向から規制する断面コ字状をした支持部を設けてなる構成が好ましい。
【0017】
上記構成において、リード線に大きな外力が加わり、接続部が三方向と対向する中の、何れかの方向から押されると、その接続部が移動する力を支持部が受けて、その移動力を阻止し、該接続部とリード線の間で断線が起きるのを防止する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リード線と端子の接続部を外側から端子カバーで覆い、リード線が誤って引っ張られて断線するのを防ぐことができるので、製品の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る送風機を吐き出し口側から見た平面図である。
図2】同上送風機の側面図である。
図3】同上送風機の端子接続部分における一実施例を説明する図。
図4】同上端子接続部分において端子と端子ブロックの構造とその組立作業手順を説明する平面図で、(a)は組立前の図、(b)は組立後の図である。
図5】同上端子接続部分において端子と端子ブロックの構造とその組立作業を説明する縦断面図で、(a)は組立前の図、(b)は組立後の図である。
図6】同上端子接続部分において端子カバーと端子ブロックの構造とその組立作業手順を説明する図で、(a)はその平面図、(b)は縦断面図である。
図7】同上送風機における端子接続部分の一変形例を示し、その同上接続部分での端子と端子ブロックの構造を説明する平面図で、(a)は組立前の図、(b)は組立後の図である。
図8】同上一変形例の端子接続部分において端子と端子ブロックの構造を説明する縦断面図で、(a)は組立前の図、(b)は組立後の図である。
図9】同上一変形例の端子接続部分において端子カバーと端子ブロックの構造を説明する縦断面図で、(a)は組立前の図、(b)は組立後の図である。
図10図9(b)のA−A拡大断面図である。
図11】同上一変形例の接続部分を更に変形した構造を説明する縦断面図である。
図12図11のB−B拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)について詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施例に係る送風機を吐き出し口側から見た平面図で、図2はその送風機の側面図である。
【0022】
図1及び図2において、送風機10は軸流型の送風機であり、概略扁平四角型の箱状体をしたケーシング11を備えている。ケーシング11の中央部分には、円筒状の通風路12が設けられており、また、そのケーシング11内の通風路12中にはモータ(図示せず)の駆動により回転される羽根車(プロペラファン)13が配設されている。
【0023】
図1に示す前記ケーシング11の4つの角部の中、1つの角部11aの外周側面には、図2に示すようにケーシング11の外部に臨む端子ブロック収納用凹部14が形成されている。その端子ブロック収納用凹部14内には、端子ブロック15と端子カバー16がケーシング11に一本の取付ねじ17で固定して取り付けられている。
【0024】
前記端子ブロック15は、一端を前記駆動モータに電気的に接続しているリード線18の引出他端に取り付けられた端子19を収容して保持し、該端子19の導出プラグ部19dを図示しない外部電源側コネクタの端子と電気接続させるものである。
【0025】
図3図6は、その角部11aにおける端子接続部の構造を詳細に示すものである。次に、その端子接続部の構造を図3図6を用いて説明する。
【0026】
まず、前記ケーシング11の前記端子ブロック収納用凹部14の底面(ケーシング11の側面)には、図3(a)に示すように取付孔20が形成されている。
【0027】
前記端子ブロック15は、樹脂成形品であり、端子ブロック収納用凹部14内に収容可能な大きさで形成されている。また、その端子ブロック15には、ケーシング11の取付孔20と対応して、上下に貫通してなる取付孔21が形成されている。さらに、端子ブロック15の上面には、図3図5に示すように1対の端子19を上方から落とし込むようにして差し込んで取り付ける溝状の位置決め凹所22が設けられているとともに、位置決め凹所22と隣接して平面視概略三角形をした係止凹部23を画成してなる規制壁24が形成されている。
【0028】
前記端子ブロック15に取り付けられる端子19は、導電性金属板材をプレス加工して形成されるものであり、基端側にリード線18の先端を加締め加工等により接続してなる接続部19aを有し、中間部にはその一部を外側に切り起こして形成された爪状の抜け止め用突起19bを有している。なお、抜け止め用突起19bの切り起こし先端は、図4に示すように接続部19a側に向かって突出している。また、端子19の基端側には、端子ブロック15の位置決め凹所22内に差し込んで、端子19を端子ブロック15に対して位置決めするための突起部19cが形成されている。
【0029】
このように構成された端子19は、1対用意される。そして、突起部19cを位置決め凹所22内に差し込んで位置決めするようにして、各端子19をそれぞれ端子ブロック15上に配置すると、抜け止め用突起19bも係止凹所23内に係合され、各端子19が端子ブロック15の所定の位置に各々配置される。
【0030】
そして、このようにして端子ブロック15に位置決め配置された各端子19は、図3図4及び図5に示すように、導出プラグ部19dが端子ブロック15の外側に突出された状態で配置される。なお、このようにして端子ブロック15に配置された各端子19は、例えリード線18に外力が加えられ、各端子19がリード線18側に引かれたとしても、あるいは端子先端部に外力が加えられて導出プラグ部19dが端子ブロック15側に押されたとしても、各端子19の抜け止め用突起19bが規制壁24の内面に突き当たって引き抜きを阻止できる状態にある。また、逆に各端子19が端子先端側に引かれたとしても、端子19の突起部19cが位置決め凹所22の側面に突き当たって引き抜きを阻止できる。
【0031】
前記端子カバー16は、樹脂成形品であり、端子ブロック収納用凹部14内に収容可能で、また図6に示すように、各端子19の導出プラグ部19dを除いた他の部分とリード線18の一部を覆って端子ブロック15上に密着配置可能な大きさ及び形状にして、断面略くの字状にして形成されている。また、端子カバー16には、ケーシング11の取付孔20と対応して、上下に貫通してなる取付孔25が形成されている。
【0032】
そして、このように構成された接続部分を組み立てる場合は、次の手順で行われる。まず、図3(a)に示すように、端子ブロック15を用意した後、図3(b)に示すように端子ブロック収納用凹部14内の所定の位置に端子ブロック15を配置する。次いで、図3(c)及び図4図5に示すようにリード線18の先端部に接続部19aを加締めて取り付けた端子19を、前述したようにして端子ブロック15の所定の位置に組み付ける。その後、図3(d)及び図6に示すように端子カバー16を端子ブロック15上に配置するとともに、取付ねじ17を、端子カバー16の上側から取付孔25、取付孔21を順に通って取付孔20に螺合して締め付ける。これにより、ケーシング11の端子ブロック収納用凹部14内に、取付ねじ一本だけで端子ブロック15と端子カバー16と端子19が同時に固定して取り付けられるので組立作業が容易に行える。
【0033】
この取付状態では、リード線18と端子19の接続部19aは、図6に示すように外側から端子カバー16で覆われて隠される。また、リード線18は端子ブロック収納用凹部14の内側へ導かれた状態で保持され、図2で示すように、ケーシングの側面に露出する部分がないので、外側からリード線18に障害物等が誤って触れて引っ張られるのを完全に防ぐことができる。さらに、端子カバー16は回転軸方向から見たケーシングの投影面積の外側に出ないように断面略くの字状に形成されているので、送風機のサイズが大きくなるのを防いでいる。
【0034】
図7図10は、送風機10の角部11aにおける接続部の一変形例を示すものである。この変形例は、図9のA−A拡大断面として示す図10からも明かのように、端子19における接続部19aの左右両側面に各々添接される支持壁部26を、端子ブロック15の底面15aから上方に向かって立壁状にして設けたものであり、他の構成は図3図6と同一であるから、同一の構成部分は同一を付して重複説明を省略する。
【0035】
この構造では、前記支持壁部26は、リード線18に接続された端子19を端子ブロック15上に配置する際における取り付けガイドの機能も有する。また、リード線18と端子19が配置された後は、リード線18が左右方向に振れたとき、そのリード線18と接続部19aがそれぞれ支持壁部26に支持されるようにしてその振れを抑え、断線等を防止するようにしたものである。
【0036】
図11及び図12は、送風機10の角部11aにおける接続部の構造を更に変形した一例を示すものである。この変形例は、端子19における接続部19aの左右両側面に各々添接される前記支持壁部26に加えて、接続部19aの底面に添接される突起部27を端子ブロック15の底面15aと一体に形成し、接続部19aを左右及び下面の三方向より支える断面コ字状をしてなる支持部28を設けたものであり、他の構成は図3図6及び図7図10と同一であるから、同一の構成部分は同一を付して重複説明を省略する。
【0037】
この変形例の構造では、リード線18が左右及び下方向(送風機内側方向)に振れて移動しようとしたとき、そのリード線18と接続部19aがそれぞれ支持壁部26及び突起部27とに支持されるのでその振れを抑え、断線等を防止することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0039】
10 送風機
11 ケーシング
13 羽根車
14 端子ブロック収納用凹部
15 端子ブロック
15a 底面
16 端子カバー
17 取付ねじ
18 リード線
19 端子
19a 接続部
19b 抜け止め用突起
19c 突起部
19d 導出プラグ部
20 取付孔
21 取付孔
22 位置決め凹所
23 係止凹所
24 規制壁
25 取付孔
26 支持壁部
27 突起部
28 支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12