特許第5893905号(P5893905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5893905床下蓄熱空調システム及びそれを備えた省エネ住宅
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893905
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】床下蓄熱空調システム及びそれを備えた省エネ住宅
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   F24F5/00 102C
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-265357(P2011-265357)
(22)【出願日】2011年12月4日
(65)【公開番号】特開2013-117353(P2013-117353A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】511295276
【氏名又は名称】株式会社岡建
(74)【代理人】
【識別番号】100122552
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 浩二郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和彦
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−197974(JP,A)
【文献】 特開2007−298252(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/050795(WO,A1)
【文献】 実開平02−140239(JP,U)
【文献】 特開平07−310389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下に配置した蓄熱手段と、ヒートポンプ式給湯装置と、該ヒートポンプ式給湯装置から冷気を床下空間まで導入する冷気導入通路と、外気を前記床下空間まで導入する外気導入通路と、前記床下空間の冷気を各部屋に送って冷房に使用するための冷房用空気通路と、前記各部屋の空気を排出するための排気通路とを備え、夜間に前記ヒートポンプ式給湯装置の運転で生じた冷気を前記床下空間に導入して前記蓄熱手段を冷却しておき、日中に前記外気導入通路を介し前記床下空間まで導入した外気を前記蓄熱手段で冷却して前記各部屋の冷房に使用する床下蓄熱空調システムにおいて、
前記床下空間は、少なくとも下半分が総ての側面及び底面をコンクリートで囲まれたベタ式の基礎コンクリートの内側空間で構成されて前記蓄熱手段の大部分が前記基礎コンクリートによるものであり、前記外気導入通路と前記排気通路が並列する部分に熱交換型換気装置を有して日中に導入する外気を排気との間で熱交換を行ってから前記床下空間に送るものとされ、且つ、前記冷気導入通路が前記外気導入通路を兼ねているとともに、前記熱交換型換気装置が内部の外気用通路を排気と熱交換を行わないバイパスルートに切換える機能を有しており、夜間に前記外気導入通路を前記冷気導入通路として使用する際に、所定の操作または事前の設定により前記バイパスルートに切換えることで、冷気と排気との間で熱交換を行わない状態の運転が可能とされている、ことを特徴とする床下蓄熱空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下蓄熱空調システム及びそれを備えた省エネ住宅に関し、殊に、夜間にヒートポンプ式給湯装置で生じた冷気を床下空間に導入して基礎コンクリートに蓄熱し、日中に床下空間に導入した外気を基礎コンクリートで冷却して冷房に使用する床下蓄熱空調システム、及びそれを備えて冷房用のエネルギー消費量を低減可能とした省エネ住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エコ意識の高まりや地球温暖化対策の要請等から省エネ実現のための技術開発が活発化しており、例えば断熱性能に優れて空調のためのエネルギー消費量を抑えた省エネ住宅が多数開発されている。また、熱交換手段により大気の熱を利用してエネルギー投入量の大幅な削減を実現するヒートポンプ式給湯装置も広く普及している。
【0003】
さらに、前述のヒートポンプ式給湯装置では大気と熱交換を行うことで大量の冷気が発生することから、夜間のシステム駆動時に生成した冷気を床下空間に導入し、地盤や基礎コンクリート等の蓄熱手段に蓄熱(マイナス方向の蓄熱)しておき、昼間の気温上昇時に外気を床下空間に導入することでこれを冷却して屋内の冷房に使用する技術が特許第4180101号公報や特開2010−7991号公報に提案されている。
【0004】
しかし、これらの技術のように、夜間の給湯で生じた冷気を単に床下に導入するだけでは効率的な蓄熱は行われにくいことに加え、日中に多量の外気をそのまま床下空間に導入するだけでは、床下の蓄熱手段との熱交換が充分に行われないことから、効率的な冷房を実現できずにエアコンの運転を併用せざるを得ないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4180101号公報
【特許文献2】特開2010−7991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、ヒートポンプ式給湯装置で生じた冷気を利用する床下蓄熱空調システムについて、従来よりも高い冷房効率を実現して夏季のエアコン運転量を最小限に抑えられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、床下に配置した蓄熱手段と、ヒートポンプ式給湯装置と、ヒートポンプ式給湯装置から冷気を床下空間まで導入する冷気導入通路と、外気を床下空間まで導入する外気導入通路と、床下空間の冷気を各部屋に送って冷房に使用するための冷房用空気通路と、各部屋の空気を排出するための排気通路とを備え、夜間にヒートポンプ式給湯装置の運転で生じた冷気を床下空間に導入して蓄熱手段を冷却しておき、日中に外気導入通路を介し床下空間まで導入した外気を蓄熱手段で冷却して各部屋の冷房に使用する床下蓄熱空調システムにおいて、その床下空間は、少なくとも下半分が総ての側面及び底面をコンクリートで囲まれたベタ式の基礎コンクリートの内側空間で構成されて蓄熱手段の大部分が基礎コンクリートによるものであり、その外気導入通路と排気通路が並列する部分に熱交換型換気装置を有して日中に導入する外気を排気との間で熱交換を行ってから床下空間に送るものとされ、且つ、その冷気導入通路が外気導入通路を兼ねているとともに、その熱交換型換気装置が内部の外気用通路を排気と熱交換を行わないバイパスルートに切換える機能を有しており、夜間にその外気導入通路を冷気導入通路として使用する際に、所定の操作または事前の設定によりバイパスルートに切換えることで、冷気と排気との間で熱交換を行わない状態の運転が可能とされている、ことを特徴とするものとした。
【0008】
このように、床下空間の蓄熱手段に側面及び底面をコンクリートで囲んで器状にしたベタ式の基礎コンクリートを用いたことで、比重の大きな冷気をその内側空間に溜めながら熱伝導性に優れた素材であるコンクリートを短時間で冷却しながら効率的に蓄熱することができ、且つ、外気導入路の途中に排気と熱交換を行う熱交換型換気装置を配置したことで、外気の温度を下げて蓄熱手段との温度差を縮小してから床下空間に導入するものとなるため、冷房用空気を効率的に生成できるものとなり、これに加えて、夜間に外気導入通路を冷気導入通路として使用する際に熱交換型換気装置が内部の外気用通路を排気と熱交換を行わないバイパスルートに切換え可能なものとしたことで、ヒートポンプ式給湯装置から床下空間まで冷気を導入する際に、排気を冷却して冷気の温度上昇を招くことを回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
蓄熱手段にベタ式の基礎コンクリートを用いながら、外気を排気と熱交換を行って温度調整してから蓄熱手段で冷却するものとした本発明によると、従来よりも高い冷房効率を実現して夏季のエアコン運転量を最小限に抑えることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における第1の実施の形態による省エネ住宅の構成及びその夏季夜間の状態を示す縦断面図である。
図2図1の省エネ住宅の夏季日中の状態を示す縦断面図である。
図3】本発明における第2の実施の形態による省エネ住宅の構成及びその夏季夜間の状態を示す縦断面図である。
図4図3のX−X線に沿う断面図である。
図5図3の省エネ住宅の夏季日中の状態を示す縦断面図である。
図6】本発明における第3の実施の形態による省エネ住宅の構成及びその夏季夜間の状態を示す縦断面図である。
図7図6の省エネ住宅の夏季日中の状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。尚、本発明において、蓄熱には加温することによるプラス方向の蓄熱と冷却することによるマイナス方向の蓄熱の両方が含まれるものとする。
【0019】
図1は、本発明における第1の実施の形態である床下蓄熱空調システムを備えた省エネ住宅1Aの構造を説明するための簡略的な縦断面図であり、夏季の夜間の状態(蓄熱時)を示している。この省エネ住宅1Aは、給湯タンク70及び熱交換機(室外機)71を備えて大気との間で熱交換を行って給湯用の湯を生成するヒートポンプ式給湯装置7を備えている。
【0020】
また、この省エネ住宅1Aでは、部屋2,3の周囲と天井裏に断熱材が配設されていることに加え、屋根8と外壁9の内側に各々空気通路80,90を有して外壁9下端内側から入って上昇した外気が棟に開口した通気口82から抜ける構造とされており、断熱性に優れて屋内の温度を一定に維持しやすくなっている。
【0021】
さらに、この省エネ住宅1Aは、前述のヒートポンプ式給湯装置7に加え、室外機71で生じた冷気を床下空間4Aまで導入する冷気導入通路51,55と、外気を床下空間4Aまで導入する外気導入通路(冷気導入通路と共通)と、床下空間4Aの冷気を各部屋2,3に送って冷房に使用するための冷房用空気通路20,30と、各部屋2,3の空気を外部に排出するための排気通路21,31,52とを備え、夜間にヒートポンプ式給湯装置7の運転で生じた冷気を床下空間4Aに導入して蓄熱手段を冷却し、日中に床下空間4Aに導入した外気を蓄熱手段で冷却して各部屋2,3の冷房に使用する床下蓄熱空調システムを備えている。尚、上述の構成は他の省エネ住宅にも見られる周知の技術である。
【0022】
そして、本発明による床下蓄熱空調システムを備えた省エネ住宅1Aは、その床下空間4Aが、少なくとも下半分を総ての側面及び上面をコンクリートで囲まれたベタ式の基礎コンクリート40の内側空間で構成され、その蓄熱手段の大部分(蓄熱量の80%以上が好ましい)が、その基礎コンクリート40によるものとされており、且つ、冷気導入通路51,55が外気導入通路を兼ねるとともに、屋根裏空間5で冷気導入通路51に排気通路52が並列している部分に熱交換型換気装置6が配置され、日中に導入した外気と排気との間で熱交換を行って両者の温度を平均化するようになっており、斯かる部分が本発明における特徴となっている。
【0023】
即ち、木材や土よりも熱伝導性に優れた素材であるコンクリートを床下蓄熱空調システムの蓄熱手段に使用するとともにこれを器状に形成したことで、蓄熱手段としての充分な体積量を確保しながら比重の大きな冷気を導入して内側空間に溜めることになるため、蓄熱手段を効率的に冷却することができる。
【0024】
また、その基礎コンクリート40は年間を通じて温度が安定している地盤100に底面を接していることで、夏季に外気よりも低い温度を維持しやすいと利点も有している。さらに、床下空間4A内で冷却する外気を予め排気との間で熱交換を行って当初温度よりも下げておくことにより、床下空間4Aにおける効率的な冷却を可能としている。
【0025】
本実施の形態では、前述のように室外機71の空気取込口から続く冷気導入通路51,55が外気導入通路を兼ねており、夜間のヒートポンプ式給湯装置7の運転時に冷気導入通路として使用し、日中の冷房時には外気導入通路として使用する方式としているが、冷気導入通路として使用する場合の送風駆動力のメインを室外機71のファンとし、外気導入通路として使用する場合における送風駆動力のメインを熱交換型換気装置6とすることにより、駆動エネルギーの節約と効率的な送風を両立しやすいものとなる。
【0026】
尚、熱交換型換気装置6としては、内部の外気用通路が排気との熱交換を行わない図中破線で示すようなバイパスルート62への切換え機能を備えた機種が好ましく、これにより夜間に外気導入通路を冷気導入通路として使用する際、バイパスルート62に切換えて冷気と排気との間で熱交換を行わない状態にすることができ、冷気が床下空間4Aに入る前に温度上昇してしまうのを回避可能となる。
【0027】
そして、夏季夜間のヒートポンプ式給湯装置7の運転時に、室外機71の空気取込口から取り込まれた外気は内部の熱交換手段で熱交換され、冷気(例えば15℃前後)となって、冷気導入通路51、熱交換型換気装置6(好ましくはバイパス通路62)、冷気導入通路55を通って床下空間4Aに導入される。
【0028】
この床下空間4Aは布基礎による壁で仕切られておらず、複数の支持用柱状コンクリート41,42,・・・が所定の間隔で配置された構成となっており(図4と同様)、導入した冷気が総ての部分までまんべんなく行き渡りやすくなっている。そして、床下空間4Aに導入された冷気は、基礎コンクリート40の冷却に使用されてやや温度が上昇した状態の上部オーバーフロー分(涼風)が、冷房用空気通路20,30を通って各部屋2,3に供給され、夜間の冷房に使用されてから排気通路21,31、熱交換型換気装置6、排気通路52を通って屋外に排出される。
【0029】
図2は、図1の省エネ住宅1Aの夏季日中の状態を示している。床下空間4Aの少なくとも下半分の内側面を構成する蓄熱手段としての基礎コンクリート40は、日中は導入した外気を冷却して冷房用の空気を生成するように機能するものであり、外気は室外機71の外気取込口、外気導入通路として使用される冷気導入通路51を経て、熱交換型換気装置6内で部屋2,3から来た排気との間で熱交換され、外気導入通路として使用される冷気導入通路55を経て床下空間4Aに導入される。この導入時点では当初よりも温度が低下した状態であるため、効率的な冷房機能を確保しやすいものとなっている。
【0030】
即ち、例えば外気が32℃で部屋の空気が27℃である場合、熱交換型換気装置6により両者は平均化されて、排気が29℃程度、外気(調整外気)が30℃程度に調整されることから、床下空間4A内に導入されると比較的短時間で冷房に適した温度(例えば26℃)まで下げることが可能となるため、高温(32℃)の外気をそのまま導入する場合と比べて蓄熱手段による冷却機能が長時間に亘って発揮されやすくなり、エアコン運転の追加が殆ど不要なものとなる。
【0031】
この場合、冷房開始時点からしばらくの間は、夜のうちに床下空間4A内に溜めておいた冷気に外気(調整外気)を混合しながら冷房用空気として冷房用空気通路20,30を介して各部屋2,3に供給するが、その後は導入した外気を基礎コンクリート40で冷却しながら順次冷房用空気にして供給し(涼風)、基礎コンクリート40の容量が大きいことと地盤100の温度が安定的であることも相俟って、長時間に亘る冷房機能を発揮しながら部屋2,3の温度を快適な状態に維持するものである。
【0032】
図3は、本発明における第2の実施の形態である床下蓄熱空調システムを備えた省エネ住宅1Bを示しており、図4図3のX−X線に沿う断面図を示している。この省エネ住宅1Bは、基本的な構成及び機能は前述の省エネ住宅1Aとほぼ共通しているが、その冷気導入通路56の末端側が床下空間4Bに配置した主配管57から複数分岐して、図4に示すように床下空間4Aの底面になる基礎コンクリート40の上面に密着するように横向きに延びながら配置密度を平均化して配置された複数の金属製の枝管57a,57b,・・・57k,57lで構成されており、各枝管57a,・・・の側面に所定間隔で設けた噴出孔571から基礎コンクリート40の上面に対し平行又は/及び斜めに向かう方向で冷気が噴出するようになっている点を特徴としている。
【0033】
即ち、図4に示すように、床下空間4Bは布基礎の壁で仕切られずに複数の支持用柱状コンクリート41,42,・・・が所定の間隔で配置されているが、主配管57から分岐した枝管57a,57b,・・・57k,57lでその底面を平均的にカバーして各噴出孔571,・・・から噴出した冷気が床下空間4B内にまんべんなく導入されるため、冷気が空間総てに亘って行き渡りやすくなっている。
【0034】
また、これに加え、冷気により冷却された状態の各枝管57a,・・・の底面が基礎コンクリート40に密着した状態であることから、基礎コンクリート40が直接的に冷却されるとともに、噴出孔571から噴出した冷気が直接当たることにより、基礎コンクリート40の冷却が極めて効率的に行われるものであ。
【0035】
尚、この枝管57a,・・・は、その末端側が閉鎖されていることが各噴出孔571の噴出圧力を平均的に確保する観点で好ましく、その底面に平坦部分を有する等して基礎コンクリート40上面との密着面積を大きくしたものが好適であり、その素材にアルミや銅などの熱伝導性に優れた金属を用いることが冷却効率の観点から好ましい。
【0036】
図5は、図3の省エネ住宅1Bの夏季日中の状態を示しているが、本実施の形態においても、前述のようにその冷気導入通路51,56は外気導入通路を兼ねているとともに、その末端側の主配管57及び各枝管57a,・・・も外気導入通路を兼ねている。そのため、導入された外気(調整外気)は各枝管57a,・・・を通って各噴出孔571から導入される方式であるが、冷却された状態の各枝管57a,・・・を通る外気は内部で直接的に冷却された後に床下空間4B内にまんべんなく行き渡り、且つ、基礎コンクリート40上面に直接当たることで効率的に冷却されて短時間で冷房用空気になり、涼風として各部屋2,3に供給される。
【0037】
図6は、本発明における第3実施の形態である床下蓄熱空調システムを備えた省エネ住宅1Cであり、その夏季夜間の状態を示している。この省エネ住宅1Cも、基本的な構成及び機能は前述の省エネ住宅1Bとほぼ共通しているが、その主たる冷房用空気通路59の基端側が枝管57a,・・・及び主配管57で構成されており、日中の冷房時に床下空間4Cの空気が枝管57a,・・・を通って部屋2,3に供給される点を特徴としている。
【0038】
即ち、夜間の冷気導入の際の機能は前述と同様であり、基礎コンクリート40の冷却に使用した冷気は従たる冷房用空気通路22,32を通って夜間の冷房に使用されるものであるが、日中においては、図7に示すよう床下空間4Cに導入した外気(調整外気)が、主たる冷房用空気通路59の基端側を構成し基礎コンクリート40で冷却されている各枝管57a,・・・内を通ることで直接的に冷却されるため、冷房用空気が一層効率的に生成されるものである。
【0039】
この場合、冷房用空気通路59は、図のように外気導入通路を兼ねた冷気導入通路58と並列した別体のものとして、別個に主配管57に接続させておくことが必要であり、その途中に冷房用空気を送るための熱交換型換気装置6とは別個のファン60を配置して、冷房用空気通路65,66を介して各部屋2,3まで送風させる方式とすることが、冷房用空気の送風力確保の観点で好ましい。
【0040】
一方、この冷房用空気通路59が外気導入通路として使用する冷気導入通路58と並列した状態で同じ主配管57に接続されている関係で、導入された外気がそのまま冷房用通路59に流入してしまう心配もある。そこで、図のように切換弁61を両者の並列部分に配置して、夜間の冷気導入時は冷房用空気通路59を閉鎖しておき(図6参照)日中の冷房時には切換弁61を切換えて、外気導入通路を床下空間4C内に開口した状態で冷房用空気通路59を開通させる(図7参照)構成とすることでこの問題を解決することができる。
【0041】
尚、上述したように、本発明の床下蓄熱空調システム及びそれを備えた省エネ住宅1A,1B,1Cは、夏季の冷房使用時における省エネ性能に優れたものであるが、その各構成をそのまま使用することにより、冬季暖房時にも優れた省エネ性能と快適な住環境を提供することも可能であり、また、屋内の隅々に空気が循環することで他の季節においても快適さを確保しやすい利点を有している。
【0042】
例えば、床下空間にエアコンを配置し深夜の安価な電力で基礎コンクリートに蓄熱しておくことで、他の時間帯に床下空間内に導入して暖めた暖房用空気を各部屋に供給する方式とすれば、地盤による安定的な温度が加わること及び床下を含む屋内の各あらゆる空間で空気が循環することも相俟って、優れた暖房効率を実現することができる。
【0043】
以上、述べたように、ヒートポンプ式給湯装置で生じた冷気を利用する床下蓄熱空調システムについて、本発明により、従来よりも高い冷房効率を実現して夏季のエアコン運転両を最小限に抑えられるようになった。
【符号の説明】
【0044】
1A,1B,1C 省エネ住宅、2,3 部屋、4A,4B,4C 床下空間、6 熱交換型換気装置、7 ヒートポンプ式給湯装置、20,22.30,32,59,65,66 冷房用空気通路、21,31,52 排気通路、40 基礎コンクリート、41,42,43,44,45,46,47,48 支持用柱状コンクリート、51,55,56,58 冷気導入通路、57 主配管、57a,57b,57c,57d,57e,57f,57g,57h,57h,57i,57j,57k,57l 枝管、61 切換弁、62 バイパスルート,100 地盤、571 噴出孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7