(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した釘抜き具の第1実施形態を、
図1〜
図15に従って説明する。
【0017】
図1〜
図3に示すように、この実施形態の釘抜き具41は、炭素工具鋼(SK材)や合金工具鋼(SKS材、SKD材、SKT材)等の所定の強度を有する金属材料により一体に形成されている。釘抜き具41の基端側には把持用軸部42が設けられ、その基端(後端)には広幅状の殴打部43が形成されている。釘抜き具41の先端には、後述する瓦58を固定した釘59の頭部59aに係合可能な割刃状の釘係合部44が形成されている。すなわち、釘係合部44には、平面V字状または平面U字状の係合溝44aが形成されるとともに、その係合溝44aの内周縁には必要に応じて窪み状の斜面部44b(
図10参照)が形成されている。把持用軸部42と釘係合部44の間の軸部には、後述するラチェットレンチ49を装着するための取付部としてのラチェットレンチ係合部45が設けられている。
【0018】
このように、ラチェットレンチ係合部45が把持用軸部42と釘係合部44の間の軸部に設けられていることから、従来とは異なり、ラチェットレンチ係合部45と釘係合部44との間のスパンが短くなっている。このため、ラチェットレンチ係合部45に装着されるラチェットレンチ49を回動操作するとき、ラチェットレンチ49の回動軸線にぶれが生じ難く、ラチェットレンチ49の回動操作を安定した状態で、迅速に行うことができる。
【0019】
図1〜
図3及び
図5に示すように、前記把持用軸部42、殴打部43及びラチェットレンチ係合部45は、断面長四角形状をなすように形成されている。そして、それらの幅が殴打部43を最大として、把持用軸部42からラチェットレンチ係合部45に移行するに従って、次第に狭くなるように構成されている。前記釘係合部44は、ラチェットレンチ係合部45の最小幅側の端部にさらに幅狭の断面小径円形状のくびれた首部46を介して延出形成されている。殴打部43には、脱落防止具としての環状の脱落防止紐48を取り付けるための取付孔47が形成されている。
【0020】
図2に示すように、前記釘係合部44は、薄刃状をなすように形成されている。すなわち、
図2(a)に示すように、釘係合部44の下面には、直下の瓦58に当たるのを抑えつつ、釘59の頭部59aに対する係合を容易にするために、首部46の下面に対して所定の傾斜角R1(1〜3度程度)が設けられている。また、
図2(b)に示すように、首部46の上面に対する釘係合部44の上面の反り角R2(1〜3度程度)は一般の釘抜きより小さくなるように設定されている。但し、反り角R2は0度、すなわち反りのない平坦な状態に設定することもできる。これにより、ラチェットレンチ係合部45に装着したラチェットレンチ49の回動操作時に、ラチェットレンチ49の回動軸線にぶれが生じ難くなっており、ラチェットレンチ49の回動操作を安定して行うことができる。
【0021】
図3〜
図5に示すように、前記釘抜き具41のラチェットレンチ係合部45には、釘係合部44側からラチェットレンチ49が着脱可能に装着される。このラチェットレンチ49は、周知構造のラチェットレンチであって、断面長四角形状のラチェットレンチ係合部45に係合可能なソケット50aを有する円環状のラチェット機構部50と、そのラチェット機構部50の外周から一方向に突設され、ソケット50aに対して相対回動可能なハンドル51とを備えている。
【0022】
図3(b)に示すように、ラチェット機構部50は、前記ソケット50aと、ラチェット歯50cに両端のうちの一方において噛合するようにハンドル51の基端部に支持されたラチェット50dと、そのラチェット50dを噛合方向に付勢する図示しないスプリングとを備えている。ソケット50aは、ラチェットレンチ係合部45に係合可能な凹凸部50bを有するとともに、外周にラチェット歯50cを有している。
【0023】
そして、釘抜き具41のラチェットレンチ係合部45にラチェット機構部50を係合させた状態で、ハンドル51を一方向に回動させた場合には、ラチェット機構部50のラチェット歯50cとラチェット50dとの噛合を介して釘抜き具41が同方向に一体回動される。これに対して、ハンドル51を他方向に回動させた場合には、ラチェット50dの退避が許容されてラチェット機構部50が空回りし、釘抜き具41が回転されないようになっている。この場合、ラチェット機構部50の空回りの方向、つまり釘抜き具41の回動方向は、ハンドル51の基部に設けられた切替摘み52により、ラチェット歯50cに対するラチェット50dの係合端部を切り替えることによって任意に切り替えることができる。なお、前記スプリングはラチェット50dをその両端部がそれぞれラチェット歯50cに噛合する2位置に付勢する。
【0024】
次に、前記のように構成された釘抜き具41を用いて、瓦に打ち付けられた釘を抜き取る場合の釘抜き方法について説明する。
さて、一般の建築における瓦屋根では、
図7に示すように、屋根の野地板55上にルーフィング56を施した野地面上に、木製の角材よりなる複数の瓦桟57が間隔をおいて配置されている。そして、この瓦桟57間に複数の瓦58がその一部を重ね合わせた状態で敷設されている。
図7及び8に示すように、各瓦58の上側端縁部には係止凸部58aが形成されるとともに、左右一対の釘挿通孔58bが形成されている。そして、瓦58の敷設状態で、係止凸部58aが瓦桟57に係止されるとともに、瓦58の上面から釘挿通孔58bを通して瓦桟57及び野地板55の野地面に釘59が打ち込まれることにより、各瓦58が敷設状態に固定されている。なお、本発明における釘59にはねじ釘すなわちスクリュー釘、ビス釘等の軸にねじが形成されているものも含まれ、そのようなねじ釘の場合には軸にねじが形成されていない釘に比べて抜き取りに大きな力を要する。
【0025】
このように、瓦58に打ち込まれた釘59を抜き取る場合には、
図3〜
図5に示すように、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50を釘抜き具41の釘係合部44側からラチェットレンチ係合部45に挿入して、ラチェット機構部50のソケット50aをラチェットレンチ係合部45に係合させる。その後、
図6及び
図9〜
図11に示すように、釘抜き具41の把持用軸部42を把持した状態で、釘係合部44を重なり合った瓦58の隙間に挿入して、下側の瓦58上の釘59の頭部59aに係合させる。この場合、釘係合部44が薄刃状に形成されているため、金梃子等の別の工具を用いることなく、釘係合部44を重なり合った瓦58の狭い隙間に簡単に挿入して釘59の頭部59aに係合させることができる。
【0026】
また、釘係合部44を釘59の頭部59aに係合させる際には、
図10に示すように、釘係合部44の係合溝44a内の底部まで釘59が食い込むように、把持用軸部42を把持した状態で、図示しないハンマにより殴打部43を殴打するとよい。このとき、ラチェットレンチ49が把持用軸部42と釘係合部44との間のラチェットレンチ係合部45に装着されているため、端部の把持用軸部42を把持した状態で、ラチェットレンチ49が邪魔になることなく、殴打部43の殴打作業を行うことができる。
【0027】
続いて、この釘59の頭部59aに対する釘係合部44の係合状態で、
図12及び
図13に示すように、ラチェットレンチ49のハンドル51を回動操作して、釘59の巻き抜きを行う。すなわち、ラチェットレンチ49のハンドル51を把持した状態で、そのハンドル51を位置P1と位置P2との間の所定角度R3の範囲内で往復回動させる。それにより、ラチェットレンチ49の上の切替摘み52の切り替え位置に応じて、釘抜き具41が反時計方向または時計方向に回動される。そして、このハンドル51の往復回動を5〜6回程度行うことにより、
図14に示すように、釘59が釘係合部44に巻き付けられて抜き取られる。
【0028】
すなわち、
図11に示すように、釘59の頭部59aに対する釘係合部44の係合状態で、ラチェットレンチ49のハンドル51が1回往復回動されると、
図15(a)に示すように、釘59が野地板55、瓦桟57及び瓦58から抜け始める。さらに、ハンドル51の2回目以降の往復回動により、
図15(b)〜(f)に示すように、釘59が釘係合部44に巻き付けられながら、野地板55、瓦桟57及び瓦58から順に抜き取られる。そして、
図15(f)に示すように、釘59の先端部が瓦桟57から抜け出して瓦58の釘挿通孔58b内に位置すれば、その釘59を瓦58から容易に抜き取ることができる。
【0029】
従って、この第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この釘抜き具41においては、把持用軸部42と、その把持用軸部42の一端から延出する釘係合部44とが設けられている。そして、釘係合部44が薄刃状に形成されるとともに、把持用軸部42と釘係合部44の間の軸部に、ラチェットレンチ49を装着するためのラチェットレンチ係合部45が設けられている。
【0030】
よって、この釘抜き具41を使用して、瓦58を固定する釘59を巻き抜く場合、釘係合部44が薄刃状に形成されているため、釘係合部44を重なり合った瓦58の狭い隙間に簡単に挿入して釘59の頭部59aに係合させることができる。しかも、釘59を巻き抜く際にラチェットレンチ49を用いて連続的に回動操作できることから、従来とは異なりスパナやドライバを途中で一旦抜いて元に戻して再度付け替える動作が不要であり、多数枚の瓦58の釘を抜き取る場合でも極めて容易である上に、作業時間を短縮することができる。
【0031】
また、ラチェットレンチ49を装着するためのラチェットレンチ係合部45が把持用軸部42と釘係合部44の間の軸部に設けられて、把持用軸部42が釘係合部44と反対側に位置している。そのため、把持用軸部42を把持した状態で、釘係合部44を瓦58間に挿入して釘59の頭部59aに係合させる際に、ラチェットレンチ係合部45に装着したラチェットレンチ49が邪魔になるおそれはなく、しかも殴打部43をハンマ等で殴打する際にラチェットレンチ49が邪魔になることはない。そして、釘59の頭部59aに対する釘係合部44の係合状態で、ラチェットレンチ49を回転させることにより、その釘係合部44に釘59を巻きつけながら容易に抜き取ることができる。
【0032】
しかも、この釘抜き具41においては、ラチェットレンチ49がラチェットレンチ係合部45に対して着脱可能に構成されているため、市販のラチェットレンチを用いて釘抜き作業を行うことができる。また、殴打部43に対する殴打によって殴打部43が変形しても、ラチェットレンチ49の着脱に何らの悪影響はない。
【0033】
従って、本実施形態の釘抜き具41を使用して瓦58を固定する釘59を巻き抜いた後、瓦58を順に数十枚剥がすことができて、例えば太陽電池パネル(太陽電池モジュール)を建物の屋根に容易かつ速やかに設置することができる。このような瓦58を剥がすために釘59を巻き抜く作業は高所作業で、傾斜屋根上での滑りやすい作業である上に、しゃがんだ体勢で瓦58間の隙間を覗き込んで不安定な状態で行わなければならないが、本実施形態の釘抜き具41を用いることにより、作業効率を格段に向上させることができる。
【0034】
(2) この釘抜き具41においては、前記把持用軸部42の先端の殴打部43に環状の脱落防止紐48が設けられている。このため、釘抜き具41を使用して釘59の抜き取り作業を行う際に、この脱落防止紐48を手首に掛けて作業することにより、作業中に釘抜き具41が不用意に作業者の体から脱落するおそれを防止することができる。
【0035】
次に、この発明を具体化した釘抜き具41の各種の別の実施形態及び変更例を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(第2実施形態)
この第2実施形態においては、
図16に示すように、殴打部43、把持用軸部42及びラチェットレンチ係合部45の断面形状及び幅がほぼ同一となるように形成されている。そして、ラチェットレンチ係合部45から首部46に向かって次第に細くなるとともに、その首部46の先端側に釘係合部44が形成されている。
【0036】
従って、この第2実施形態においては、前記第1実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(3) この実施形態では、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50をラチェットレンチ係合部45に対して、釘係合部44側と把持用軸部42側とのいずれの方向からも装着することができる。そして、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50を把持用軸部42側からラチェットレンチ係合部45に装着する場合には、釘係合部44を重なり合った瓦58の隙間に挿入して釘59の頭部59aに係合させた後に、ラチェットレンチ49をラチェットレンチ係合部45に装着することができる。よって、釘59の頭部59aに対する釘係合部44の係合作業を、ラチェットレンチ49に邪魔されることなく容易に行うことができる。
【0037】
(第3実施形態)
この第3実施形態においては、
図17に示すように、把持用軸部42が長さ方向の全長にわたって同一の断面形状及び太さとなるように形成されるとともに、ラチェットレンチ係合部45が把持用軸部42よりも細く、かつ全長にわたって同一の断面形状及び太さとなるように形成されている。そして、把持用軸部42とラチェットレンチ係合部45との間に段差部61が形成されている。加えて、ラチェットレンチ係合部45には、ラチェット機構部50の動きを規制してラチェットレンチ49が小さな力では外れないようにする球状の突起96が設けられている。この突起96は、ラチェットレンチ係合部45に螺設した図示しない雌ねじ穴に螺合したねじの頭部で構成したり、ラチェットレンチ係合部45に穿設した図示しない孔内に収容されたばねにより出没可能に構成したりすることができる。なお、突起96をねじの頭部で構成する場合には、ラチェットレンチ係合部45にラチェット機構部50を嵌挿してその一端を段差部61に当接させた状態で、ねじが雌ねじ穴に螺合される。突起96を出没可能に構成する場合には、ラチェットレンチ49の着脱の際にラチェットレンチ49は突起96を乗り越える。
【0038】
従って、この第3実施形態においては、前記第1実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(4) この実施形態では、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50を釘係合部44側からラチェットレンチ係合部45に装着したとき、そのラチェット機構部50の一方が段差部61に当接するとともに、他方が突起96に係合する。よって、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50をラチェットレンチ係合部45上の所定位置に安定して位置決め配置することができる。
【0039】
(第4実施形態)
この第4実施形態においては、
図18、
図19(a)及び
図19(b)に示すように、把持用軸部42、ラチェットレンチ係合部45及び首部46が、断面三角形状または断面正六角形状をなすように形成されている。
【0040】
従って、この第4実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
この第5実施形態においては、
図20に示すように、ラチェットレンチ係合部45のみが
図19(a)に示す断面三角形状または
図19(b)に示す断面正六角形状をなすように形成され、把持用軸部42及び首部46が断面円形状をなすように形成されている。
【0041】
従って、この第5施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
(第6実施形態)
この第6実施形態においては、
図21に示すように、ラチェットレンチ係合部45及び首部46が
図19(a)に示す断面三角形状または
図19(b)に示す断面正六角形状をなすように形成され、把持用軸部42が断面円形状をなすように形成されている。
【0042】
従って、この第6実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
(第7実施形態)
この第7実施形態においては、
図22に示すように、前記第2実施形態の場合と同様で、殴打部43、把持用軸部42及びラチェットレンチ係合部45の断面形状及び太さがほぼ同一となるように形成されている。そして、殴打部43の先端には角きり部62が形成されている。
【0043】
従って、この第7実施形態においては、前記第1及び第2実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(5) この実施形態では、殴打部43の先端が角きり部62の形成により先細りになっているため、殴打部43の先端がハンマによる殴打に伴って潰れた場合でも、外周側に大きく膨出するおそれはない。このため、殴打部43の先端が潰れた場合でも、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50を殴打部43側からラチェットレンチ係合部45に対して容易に装着することができる。
【0044】
(第8実施形態)
この第8実施形態においては、
図23及び
図24に示すように、ラチェットレンチ係合部45と首部46との間の軸部の外周に取付溝63が形成され、その取付溝63にリング64aを有するバンド64が回転可能に嵌着されている。そして、このバンド64上のリング64aに環状の脱落防止紐48が取り付けられている。また、ラチェットレンチ係合部45には、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50を挟むように前述した突起96が一対設けられ、ラチェット機構部50の位置決めが図られている。この場合、一対の突起96に対して180度対向する位置に、さらに一対の突起96を設け、ラチェット機構部50を一層安定した状態で位置決めすることもできる。これらの突起96を出没可能に構成する場合には、ラチェットレンチ49の着脱の際にラチェットレンチ49は突起96を乗り越える。
【0045】
従って、この第8実施形態においても、前記各実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
(第9実施形態)
この第9実施形態においては、
図25に示すように、ラチェットレンチ係合部45の長手方向中間部の外周に取付溝63が形成され、その取付溝63にリング64aを有するバンド64が回転可能に嵌着されている。そして、このバンド64上のリング64aに環状の脱落防止紐48が取り付けられている。そして、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50をラチェットレンチ係合部45に対して、釘係合部44側及び殴打部43側のいずれの方向から装着する場合でも、バンド64や脱落防止紐48が邪魔になるおそれはない。
【0046】
従って、この第9実施形態においても、前記第8実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
(第10実施形態)
この第10実施形態においては、
図26〜
図29に示すように、把持用軸部42と釘係合部44との間の軸部65に、ラチェットレンチ49が固定状態で設けられている。また、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50とハンドル51とが分割して構成され、支軸66により回動可能に連結されている。そして、ラチェット機構部50が軸部65に固定された状態で、ハンドル51が軸部65から交差する方向に延びる使用位置P3と、軸部65に沿って延びる倒伏状態の不使用位置P4aまたはP4bとに回動配置されるようになっている。
【0047】
従って、この第10実施形態においては、前記各実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(6) この実施形態では、把持用軸部42と釘係合部44の間の軸部65に、ラチェットレンチ49が固定状態で設けられるとともに、ハンドル51倒伏可能である。このため、この釘抜き具を使用して、瓦58を固定する釘59を巻き抜く場合には、ラチェットレンチ49の着脱を行う必要がなく、ラチェットレンチ49が装着されたままでハンドル51が倒伏状態で、釘係合部44を重なり合った瓦58の隙間に簡単に挿入して釘59の頭部59aに係合させることができる。そして、ハンドル51が起立されたラチェットレンチ49の回転により、釘59を容易に巻き抜くことができる。
【0048】
(7) この実施形態では、ラチェットレンチ49が、軸部65に固定されたラチェット機構部50と、そのラチェット機構部50に対して軸部65から交差する方向に延びる使用位置P3と、軸部65に沿って延びる不使用位置P4a,P4bとの間で回動可能に取り付けられたハンドル51とより構成されている。
【0049】
このため、
図28に示すように、釘係合部44を重なり合った瓦58の隙間に挿入して釘59の頭部59aに係合させる際には、前記のようにラチェットレンチ49のハンドル51を不使用位置P4aまたはP4bに回動配置した状態で、釘係合部44の係合作業を容易に行うことができる。また、
図29に示すように、ハンドル51の回転操作により釘59を巻き抜く際には、ハンドル51を使用位置P3に回動配置した状態で、ラチェット機構部50を適切に回転させることができる。さらに、釘抜き具41の不使用時には、ラチェットレンチ49のハンドル51を不使用位置P4a,P4bに回動配置した状態で、釘抜き具41の格納や携行を嵩張ることなく容易に行うことができる。
【0050】
(第11実施形態)
この第11実施形態においては、
図30及び
図31に示すように、ラチェットレンチ49のハンドル51が、ラチェット機構部50に対して支軸66により回動可能に支持されたハンドル取付部67と、そのハンドル取付部67の嵌合凹部67aに着脱可能に取り付けられたハンドル部68とに分割して構成されている。そして、ハンドル部68の先端には、ハンマ部69が設けられている。
【0051】
従って、この第11実施形態においては、前記各実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(8) この実施形態では、ラチェットレンチ49のハンドル51が、ラチェット機構部50に回動可能に支持されたハンドル取付部67と、そのハンドル取付部67に着脱可能に取り付けられたハンドル部68と、そのハンドル部68の先端に設けられたハンマ部69とより構成されている。このため、
図31に示すように、釘係合部44を重なり合った瓦58の隙間に挿入して釘59の頭部59aに係合させる際には、ラチェットレンチ49のハンドル51のハンドル部68をハンドル取付部67から取り外し、そのハンドル部68上のハンマ部69を用いて殴打部43を殴打する。この殴打により、釘係合部44を釘59の頭部59aに対して簡単に係合させることができる。
【0052】
(第12実施形態)
この第12実施形態においては、
図32(a)及び(b)に示すように、釘抜き具41が、把持用軸部42及びラチェットレンチ係合部45を有する本体部70と、釘係合部44を有する釘抜きビット71とに分割して構成されている。本体部70のラチェットレンチ係合部45の端部には軸部72が突設され、その軸部72の先端にはビット装着部73が設けられている。釘抜きビット71の基端には、括れ部74aを有する被装着部74が設けられている。
【0053】
ビット装着部73は軸部72に固定された内筒73aと、この内筒73aの外周に軸方向移動可能に嵌合された外筒73bとを有し、内筒73aには保持孔73cが形成されるとともに、外筒73bには許容孔73dが形成されている。保持孔73cにはボール73eが保持されている。そして、外筒73bは図示しないばねにより一方向に付勢されて、常には
図32(b)に示す位置に保持され、ばねの付勢力に抗して
図32(b)の位置から二点鎖線に示す左方へ移動可能である。外筒73bが左方へ移動したときには、ボール73eが許容孔73dに退避でき、ビット71をビット装着部73から取り外すことができる。
【0054】
そして、本体部70のラチェットレンチ係合部45に対してビット装着部73側からラチェットレンチ49が着脱可能に装着される。また、外筒73bが
図32(b)の位置にあるときにはボール73eが内筒73a内の突出位置に保持され、外筒73bが左方に移動されることにより、許容孔73dによってボール73eの後退が許容される。このため、外筒73bが
図32(b)の位置にあるときには、ボール73eが内筒73a内に挿入された釘抜きビット71の括れ部74aに係合して、釘抜きビット71が抜き出し不能にロックされ、許容孔73dが左側へ移動することにより、ボール73eが移動可能となって釘抜きビット71を内筒73aから抜き出すことができる。すなわち、ビット装着部73に対して釘抜きビット71の被装着部74が着脱可能に装着されるようになっている。
【0055】
また、
図33(a)〜(c)に示すように、前記釘抜きビット71のほかに、軸部の形状が異なった釘抜きビット71A、先端にプラスまたはマイナスのドライバ部75aを有するドライバ用ビット75、先端に六角ナット部76aを有するスパナ用ビット76が用意されている。そして、これらのビット71A,75,76の基端に設けられた括れ部74aを有する被装着部74をビット装着部73に装着することにより、釘抜き具41を釘抜き専用でなく、異なった用途にも使用できるようになっている。
【0056】
従って、この第12実施形態においては、前記各実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(9) この実施形態では、把持用軸部42及びラチェットレンチ係合部45を有する本体部70に対して、釘係合部44を有する釘抜きビット71が着脱可能に装着されるようになっている。このため、釘抜き具41の使用に伴って釘係合部44が損耗した場合、釘係合部44を有する釘抜きビット71を把持用軸部42及びラチェットレンチ係合部45からなる本体部70に対して、容易に脱着交換することができる。よって、釘抜きビット71のみを消耗品として取り扱うことができて、経済性を高めることができる。
【0057】
(10) この実施形態では、釘抜きビット71のほかに、ドライバ用ビット75やスパナ用ビット76等の異なった用途のビットが用意されている。このため、釘抜き具41を釘抜き専用でなく、機械の組み立てや整備等において他の機能の工具として使用することも可能である。
【0058】
(第13実施形態)
この第13実施形態においては、
図34及び
図35に示すように、釘抜き具41が、把持用軸部42及び軸部65を有する本体部70と、釘係合部44を有する釘抜きビット71とに分割して構成されている。本体部70の軸部65の端部には軸部72が突設され、その軸部72の先端にはビット装着部73が設けられている。釘抜きビット71はそのほぼ全長にわたって断面正六角形等の多角形状をなすように形成され、その基端にはビット装着部73に装着可能な括れ部74aを有する被装着部74が設けられている。
【0059】
そして、本体部70の軸部65上にラチェットレンチ49のラチェット機構部50が固定状態で配置されるとともに、ビット装着部73に対して釘抜きビット71の被装着部74が着脱可能に装着されるようになっている。なお、この第13実施形態では、ラチェットレンチ49に切替摘み52は設けられておらず、ラチェット機構部50の空回りの方向は一方向に設定されている。また、この実施形態においても、前記第12実施形態の場合と同様に、釘抜きビット71A、ドライバ用ビット75、スパナ用ビット76等の他のビットが用意され、これらのビットをビット装着部73に対して選択的に装着して、任意に使用できるようになっている。
【0060】
従って、この第13実施形態においては、前記各実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(11) この実施形態では、把持用軸部42及びラチェットレンチ49を設けた軸部65を有する本体部70に対して、釘係合部44を有する釘抜きビット71が着脱可能に装着されるようになっている。このため、本体部70にラチェットレンチ49を備えた釘抜き具41においても、釘抜き具41の使用に伴って釘係合部44が損耗した場合、釘係合部44を有する釘抜きビット71を把持用軸部42及び軸部65からなる本体部70に対して、容易に脱着交換することができる。
【0061】
(第14実施形態)
この第14実施形態では、
図36に示すように、前記第13実施形態において、ラチェットレンチ49のラチェット機構部50の空回り方向を切り替える切替摘み52を含む周知の切替機構が本体部70の内部に設けられている。このラチェット機構部50は、第1実施形態のラチェット機構部50とほぼ同じ機構であって、切替摘み52の切り替えによりラチェット歯50cに対するラチェット50dの係合端部の位置が切り替えられる。
【0062】
従って、この第14実施形態においては、前記各実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(12) この実施形態では、本体部70の内部には、ラチェット機構部50の空回り方向を切り替える切替摘み52が設けられている。このため、切替摘み52を所望方向に切り替えることにより、ラチェット機構部50の空回り方向を切り替え、左右の必要とする方向に釘抜きビット71を回して釘抜き操作を円滑に進めることができる。すなわち、例えば把持用軸部42を左手で把持し、ラチェットレンチ49のハンドル51を右手で把持して釘抜き操作を行う場合、切替摘み52を左へ回してラチェットレンチ49を一方向へ回動させる。途中で一時的にラチェットレンチ49を逆方向へ回動させたいときには切替摘み52を右へ回してラチェットレンチ49を逆方向へ回動させ、その後切替摘み52を左へ回してラチェットレンチ49を一方向へ回動操作することにより、釘抜き操作を継続することができる。また、把持用軸部42を右手で把持し、ラチェットレンチ49のハンドル51を左手で把持して釘抜き操作を行う場合、切替摘み52を右へ回してラチェットレンチ49を逆方向へ回動させることにより、釘抜き操作を行うことができる。
【0063】
(第15実施形態)
この第15実施形態では、
図37及び
図38に示すように、釘抜きビット71とラチェットレンチ49とが把持用軸部42に対して着脱可能に構成されている。すなわち、把持用軸部42の端部には第1ジョイント軸穴81が凹設され、該第1ジョイント軸穴81に四角穴あき六角ナット82を介して四角柱状のジョイント軸83の一端部が嵌入されている。このジョイント軸83の両端部側の一側面には一対のねじ穴84が螺設されている。把持用軸部42の一側部には第1貫通孔85が第1ジョイント軸穴81に連通するように形成されている。前記ラチェットレンチ49のラチェット機構部50の中心には六角孔86が透設され、前記四角穴あき六角ナット82が嵌入されている。
【0064】
また、ビット71の基端部中心位置には第2ジョイント軸穴87が穿設され、前記ジョイント軸83の他端部が嵌入されている。ビット71の一側部には、第2貫通孔88が第2ジョイント軸穴87に連通するように形成されている。そして、ジョイント軸83に四角穴あき六角ナット82が外嵌され、その四角穴あき六角ナット82にラチェットレンチ49のラチェット機構部50が外嵌された状態で、ジョイント軸83の一端部が把持用軸部42の第1ジョイント軸穴81に挿着されている。さらに、ジョイント軸83の他端部がビット71の第2ジョイント軸穴87に嵌入されるようにしてビット71が把持用軸部42に組付けられる。その状態で、第1ビス89が六角レンチ90により第1貫通孔85を通ってジョイント軸83のねじ穴84に螺入されるとともに、第2ビス91が六角レンチ90により第2貫通孔88を通ってジョイント軸83のねじ穴84に螺入されることにより、ビット71及びラチェットレンチ49が把持用軸部42に一体化されている。このラチェットレンチ49のハンドル51は、支軸66により回動可能に支持されている。
【0065】
前記把持用軸部42には連結孔92を有する取付リング93が固定され、脱落防止具94のフック95が取付リング93の連結孔92に連結されている。
従って、この第15実施形態においては、前記各実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
(13) この実施形態では、把持用軸部42に対して釘抜きビット71及びラチェットレンチ49が簡易な構成で着脱可能になっている。そのため、ビット71を所要のものに簡単に交換できるとともに、ラチェットレンチ49も容易に着脱することができる。
【0067】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記第12及び第13実施形態において、釘抜きビット71の釘係合部44の平面形状を、
図39(a)〜(c)に示す両側円弧状、先端直線状、先端直線細幅状等の形状に変更すること。さらには、釘係合部44の平面形状をU字状等に変更すること。
【0068】
・ 前記第12及び第13実施形態において、釘抜きビット71の釘係合部44の側面形状の角度を、
図40(a)〜(e)に示すように変更すること。
・ 前記第12実施形態、第13実施形態及び第15実施形態において、ラチェットレンチ49に切替摘み52を設け、ラチェット機構部50の空回りの方向を切替え可能に構成すること。
【0069】
・ 前記各実施形態において、
図41に示すように、釘係合部44の係合溝44aに設けられた斜面部44bを省略すること。
・ 前記ラチェットレンチ係合部45の突起96を、第2実施形態、第7実施形態、第9実施形態、第12〜14実施形態の釘抜き具41に適用すること。その場合、突起96の形状を適宜変更することができる。
【0070】
・ 前記各実施形態において、
図42(a)及び(b)に示すように、釘係合部44の基端側外周にゴム等の弾性材よりなる環状のクッション材77を嵌着すること。
このように構成した場合には、
図42(b)に示すように、釘59を巻き抜く際に、クッション材77が瓦58の表面に接触して、釘係合部44の基端下部の支点部から瓦58に掛かる力を緩和することができる。よって、釘59の巻き抜き時に、釘係合部44の支点部から瓦58に強い力が掛かることを防止して、瓦58が損傷を受けるおそれを防止することができる。
【0071】
・ 前記各実施形態において、把持用軸部42、ラチェットレンチ係合部45、首部46を、断面正八角形等の他の断面形状となるように形成すること。
・ 前記第12〜15実施形態において、把持用軸部42を筒状に形成するとともに、その後端部にキャップを装着できるようにし、把持用軸部42の内部に前記釘抜きビット71を収納可能に構成すること。この場合、釘抜き操作時に把持用軸部42のキャップを外して釘抜きビット71を取り出し、それをビット装着部73に装着して簡単に使用することができる。
【0072】
・ 前記ラチェット機構部50の切替摘み52を押しボタン式等の他の構造に変更すること。
・ 前記把持用軸部42の外周面に、ゴム、エラストマー等により形成されるグリップを嵌め込む又は巻付けるように構成すること。この場合、把持用軸部42とグリップとの間に摩擦を生じながら相対回転できるようにグリップを構成すること。
【0073】
このように構成することにより、把持用軸部42を手で把持したときの把持力を高めることができるとともに、素手で把持したときに把持用軸部42の回動に対して把持力を加減しなければならないという欠点を解消することができる。また、釘抜き操作は通常手の平に滑り止めが形成された手袋をはめて行われるため、その手袋が把持用軸部42に巻き取られるおそれがあるが、そのような事態を回避することができる。
【0074】
・ 前記釘抜き操作において、重なり合った瓦58間に小さな隙間を形成するために、金梃子、楔等の工具を補助的に使用すること。
(別の技術的思想)
さらに、上記実施形態により把握される請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果とともに記載する。
【0075】
(イ) 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の釘抜き具において、前記ラチェットレンチの取付部又は把持用軸部に環状の脱落防止具を設けたことを特徴とする釘抜き具。
【0076】
この構成によれば、脱落防止具を手首に掛けて作業することにより、作業中に釘抜き具が不用意に脱落するおそれを防止することができる。
【0086】
(
ロ) 請求項
1に記載の釘抜き具を用いて瓦に打ち付けられた釘を抜き取る釘抜き方法であって、ラチェットレンチを釘係合部側からラチェットレンチ係合部に装着した後、釘係合部を重なり合った瓦の隙間に挿入して釘の頭部に係合させる工程と、ラチェットレンチを回動させて釘を巻き抜く工程とからなることを特徴とする釘抜き方法。
【0087】
この釘抜き方法によれば、ラチェットレンチをラチェットレンチ係合部に装着した状態で、釘の頭部に対する釘係合部の係合作業、及び釘の巻き抜き作業を順に能率良く行うことができる。
【0088】
(
ハ) 請求項
1に記載の釘抜き具を用いて瓦に打ち付けられた釘を抜き取る釘抜き方法であって、釘係合部を重なり合った瓦の隙間に挿入して釘の頭部に係合させる工程と、ラチェットレンチを把持用軸部側からラチェットレンチ係合部に装着した後、ラチェットレンチを回動させて釘を巻き抜く工程とからなることを特徴とする釘抜き方法。
【0089】
この釘抜き方法によれば、釘の頭部に対する釘係合部の係合作業時に、ラチェットレンチ係合部にラチェットレンチが装着されていないため、その釘係合部の係合作業をラチェットレンチに邪魔されることなく容易に行うことができる。