(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2−オクチルドデカノール1質量部と水4質量部の混合液を常温で透明にする際に両親媒性溶媒としての所要量が25質量部以下であるという所定溶解性を有するグリコールエーテルを起泡性液剤中に1.0〜6.0質量%配合し、親油性の害虫防除用有効成分、界面活性剤、炭素数12〜14の直鎖構造の高級アルコールおよび水を必須成分とする起泡性液剤を調製し、この起泡性液剤を噴射バルブ付きのエアゾール容器に噴射剤と共に充填してなるエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤。
上記グリコールエーテルが、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる一種以上のグリコールエーテルである請求項1に記載のエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した特許文献1に記載されるようなエアゾール容器入り害虫防除剤は、防除剤そのものに捕捉性はなく、また所定空間に殺虫成分を長時間漂わせて殺虫効果を長時間持続させることは困難であった。
【0007】
また、上記した特許文献2に記載された虫類捕獲用エアゾールでは、発泡させて用いることが可能であるので、ある程度の害虫捕捉性や殺虫効果を長時間持続させることは可能であるが、起泡した泡は壁や床の広い面積に広げることは困難であり、また泡は長時間安定して存在せずに液状化するので、所期した程度に充分な駆除効果を奏することは容易でなかった。
【0008】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、エアゾール容器から発泡されることによる起泡性が優れていて広い面積に生息する害虫を効率よく捕捉でき、しかも徘徊する害虫を長時間捕捉できる泡の安定性すなわち防除作用が長時間持続する発泡性害虫防除剤とすることである。また、昆虫成長制御剤を配合した際には、成虫ばかりでなく幼虫や卵に対しても効率よく害虫防除作用を奏するエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明においては、2−オクチルドデカノール1質量部と水4質量部の混合液を常温で透明にする際に両親媒性溶媒としての所要量が25質量部以下であるという所定溶解性を有するグリコールエーテルを含んでいる水溶性グリコール系溶剤、親油性の害虫防除用有効成分、界面活性剤、炭素数12〜14の直鎖構造の高級アルコールおよび水を必須成分とする起泡性液剤を調製し、この起泡性液剤を噴射バルブ付きのエアゾール容器に噴射剤と共に充填してなるエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤としたのである。
【0010】
上記したように構成されるこの発明のエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤は、親油性の害虫防除用有効成分を両親媒性であって所定溶解性(2−オクチルドデカノール1質量部と水4質量部の混合液を常温で透明にする際に両親媒性溶媒としての所要量が25質量部以下であるという所定溶解性)を有する水溶性グリコール系溶剤に溶解し、さらに起泡性を備えるために界面活性剤を配合しておくことにより、親油性の害虫防除用有効成分が水溶性の溶剤に溶解し、さらに水に溶解または分散した状態での起泡性が充分に高まり、エアゾールから噴出されて発泡した状態で広い面積に泡が広がって害虫防除用有効成分の効率のよい施用状態が得られる。
【0011】
また、炭素数12〜14の直鎖構造の高級アルコールを含有させることにより、起泡された泡は常温で1時間以上も経時的に安定し、床面や壁面に対する泡の付着力も充分に得られる。
【0012】
このような作用を確実に奏するように、上記水溶性グリコール系溶剤中のグリコールエーテルの配合割合は、1.0〜11.0質量%であることが好ましい。水溶性グリコール系溶剤中のグリコールエーテルが1質量%未満の少量配合では、起泡性が充分でなく、11質量%を超える多量では、起泡後に短時間に泡が消えやすくなって好ましくないからである。このような傾向から、より好ましい配合割合は1.0〜8.0質量%である。
【0013】
また、上記した親油性の害虫防除用有効成分を溶解する性質のある水溶性グリコール系溶剤としては、アルキレングリコール系溶剤にグリコールエーテル系溶剤を混合した水溶性グリコール系溶剤であることが好ましいが、具体的なグリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる一種以上のグリコールエーテルを採用することが、所期する起泡性や泡の経時的安定性を得るために好ましい。
【0014】
また、泡の付着力と泡の安定性がバランスよく奏されるように、上記炭素数12〜14の直鎖構造の高級アルコールの配合割合は、1.0質量%以上であることが好ましい。
【0015】
この発明の発泡性害虫防除剤は、泡の状態で湿潤な面として、例えば水の溜まった床面や濡れた壁面の隅々まで到達しやすく、そのような場所に生育しやすい昆虫の幼虫や卵に駆除効果を奏するものを採用することが好ましい。そのために、上記した親油性の害虫防除用有効成分が、親油性の昆虫成長制御剤もしくは親油性でありかつ常温揮散性の殺虫成分またはこれらの両方を含む害虫防除用有効成分であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、親油性の害虫防除用有効成分を水溶性の所定グリコール系溶剤に溶解させ、かつ所定の高級アルコールを含有させることにより、水に溶解または分散した状態での起泡性を充分に高め、エアゾール容器から発泡されることによる起泡性が優れていて広い面積に生息する害虫を効率よく捕捉でき、しかも徘徊する害虫を長時間捕捉できる泡の安定性すなわち防除作用が長時間持続する発泡性害虫防除剤となる利点がある。
【0017】
また、昆虫成長制御剤を配合したものでは、成虫ばかりでなく幼虫や卵に対しても効率よく害虫防除作用を奏するエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤となる利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施形態であるエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤は、2−オクチルドデカノール1質量部と水4質量部の混合液を常温で透明にする際に両親媒性溶媒としての所要量が25質量部以下であるという所定溶解性を有するグリコールエーテルを含む水溶性グリコール系溶剤、親油性の害虫防除用有効成分、界面活性剤、炭素数12〜14の高級アルコールおよび水を必須成分とする起泡性液剤を調製し、この起泡性液剤を
図1に示すような噴射バルブ1を有するエアゾール容器Xに、起泡性液剤を充填すると共に噴射用液化ガスおよび気相の噴射用圧縮ガスを充填し、噴射された際に充分に発泡するものである。
【0020】
図1に示す実施形態のエアゾール容器Xは、ステムハウジング2の下孔からステム孔3(ステムの周方向に2〜3開口している)およびオリフィス4経由で起泡性液剤を導いて噴射用圧縮ガスによって、噴口5から噴出させるものであり、さらに必要に応じて噴口5に接続されたフレキシブルチューブ6などによる延長された管路を経由して起泡された発泡性害虫防除剤を、施用箇所、例えば浴室や厨房などの床面、壁面、ボイラーなどの加熱・冷却機器その他の機器などで囲まれた狭小な空間にも注ぎ込めるように害虫防除剤を発泡させながら噴出させることができる。
【0021】
この発明に用いる親油性の害虫防除用有効成分は、駆除対象害虫に応じて薬剤成分を選択的に使用するので、特に限定されず、一種以上を併用することもできるが、例えば、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、ネオニコチノイド系化合物等を挙げることができ、これらにより少なくともハエ類(ショウジョウバエ、チョウバエ、ノミバエなどのコバエ類も含む。)、アリ類、ハチ類、クモ類またはカメムシ類などの駆除が可能である。
【0022】
ピレスロイド系殺虫剤としては、プロフルトリン、フラメトリン、シフェノトリン、フェノトリン、ペルメトリン、レスメトリン、アレスリン、フタルスリン、トラロメトリン、エムペントリン、テフルスリン、プラレトリン、イミプロトリン等が挙げられる。
【0023】
有機リン系殺虫剤としては、フェニトロチオン、クロルピリホス、マラソン、ジクロルボス、ピリダフェンチオン、トリクロルホン等が挙げられる。
カーバメイト系殺虫剤としては、カルバリル、プロポキスル等を挙げることができる。
【0024】
そして、上記ピレスロイド系化合物の殺虫効力を増強する化合物(共力剤)としては、例えばピペロニルブトキサイド、オクタクロロジプロピルエーテル、N−(2− エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2,2,2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、イソボルニルチオシアノアセテートおよびN−(2−エチニル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどが挙げられる。
【0025】
ネオニコチノイド系化合物としては、イミダクロプリド、アセタミプリド、チアメトキサム、クロチアニジンなどが挙げられる。
【0026】
この発明に用いる昆虫成長制御剤は、昆虫の変態を阻害することにより、害虫を防除する薬剤であり、幼若ホルモン様物質、ベンゾイルフェニルウレア系キチン合成阻害剤、その他のキチン合成阻害剤、皮膚硬化剤などが挙げられる。幼若ホルモン様物質としては、ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、フェノキシカルブなど、ベンゾイルフェニルウレア系キチン合成阻害剤としては、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ビストリフルロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、ノバルロン、クロルフルアズロンなど、その他のキチン合成阻害剤としてはエキサゾールなど、皮膚硬化剤としてはシロマジンなどをそれぞれ挙げることができる。幼虫に対する防除効果や極性溶媒に対する溶解度から、ベンゾイルフェニルウレア系キチン合成阻害剤が好ましく、ビストリフルロンが特に好ましい。
【0027】
また、昆虫成長制御剤は、昆虫の変態を阻害するものであり、卵、幼虫または蛹には有効であるが、成虫に対しては効果がない。そのために、必要に応じて、成虫に有効な前述の殺虫剤を混合して用いることが好ましい。
【0028】
また、この発明に用いる「親油性でありかつ常温揮散性の殺虫成分」は、例えば飛翔性の成虫を空中または壁面などで駆除するなど、駆除対象の害虫を泡に触れない状態でも駆除できるようにするために配合されるものである。
【0029】
上記した常温揮散性があるということを正確に定義すれば、25℃における蒸気圧が1×10
−6mmHg以上である性質をいい、このような性質を有する殺虫成分として、前記したプロフルトリンの他、トランスフルトリン、エンペントリン、メトフルトリンなどが挙げられる。
【0030】
この発明に用いる水溶性グリコール、すなわち水溶性グリコール系溶剤は、2−オクチルドデカノール1質量部と水4質量部の混合液を常温で透明にする際に両親媒性溶媒としての所要量が25質量部以下であるという所定溶解性を有するグリコールエーテルを含有するものであり、アルキレングリコール系溶剤もしくはグリコールエーテル系溶剤またはこれらを混合したものであってもよい。
【0031】
このようなアルキレングリコール系溶剤としては、ポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
また、グリコールエーテルの両親媒性については、2−オクチルドデカノール1質量部と水4質量部の混合液を常温で水に溶解する際に両親媒性溶媒としての所要量が10質量部以下であるという所定溶解性を有するグリコールエーテルであることがより好ましい。
【0032】
また、前記した所定の溶解性を有する水溶性グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられ、これらから選ばれる一種以上を併用することもできる。
【0033】
この発明に用いる界面活性剤は、起泡剤として起泡を促進するものであれば、特にその種類を限定することなく、周知の陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤またはこれらの混合物を選択的に採用することができる。また、これらの一種または混合物に陽イオン界面活性剤を添加してもよい。
【0034】
上記の陰イオン界面活性剤は、例えばステアリン酸塩(ステアリン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウム等)、カルボン酸塩、硫酸エステル塩(高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩)、スルホン酸塩(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、リン酸エステル塩、ジチオリン酸エステル塩、パルミチン酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルスルフォネートなどが挙げられる。
【0035】
非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型と多価アルコール型に大別され、ポリエチレングリコール型としては、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられ、多価アルコール型としては、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
また、陽イオン界面活性剤としては、四級アンモニウム塩、アミン塩などを挙げることができる。
【0036】
両性界面活性剤としては、アミドベタイン系界面活性剤、アミドアミノ酸系界面活性剤、カルボベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤、アミドスルホベタイン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤、ホスホベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0037】
以上のような界面活性剤の好ましい配合割合(2種以上を併用する場合には総量)は、0.1〜10質量%、より好ましくは、0.4〜5質量%である。
【0038】
この発明に用いる炭素数12〜14の直鎖構造の高級アルコールとしては、ドデシルアルコール(炭素数12)やテトラデシルアルコール(炭素数14)などが挙げられる。
【0039】
また、この発明に必要に応じて泡の付着性を向上させるなどの必要がある場合には、分岐鎖構造を有する炭素数16〜24の高級アルコールを使用することもできるが、そのような分岐状の高級アルコールとして、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールおよび2−デシルテトラデカノールなどが挙げられ、これら1種以上の高級アルコールを混合して用いることもできる。
【0040】
前記した所定炭素数の直鎖構造の高級アルコールの配合は、気泡性を安定的に奏するように1.0質量%以上であることが好ましく、より好ましい配合量は、1.0〜3.0質量%の範囲内である。直鎖構造の高級アルコールが1.0質量%未満の少量では泡が経時的に安定させることが困難になり、例えば他の成分を適量に配合しても短時間で消泡する場合があって好ましくない。
【0041】
必要に応じて用いられる分岐構造の高級アルコールの配合割合は、0.5〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0質量%の範囲内である。
【0042】
分岐構造の高級アルコールは、粘度を下げる作用があるが消泡作用もあるため、分岐構造の高級アルコールが上記所定範囲未満では、泡の付着性の改善や噴射時の飛距離の改善を図り難くて好ましくなく、また3.0質量%を超えて多量を配合すると、泡が経時的に安定せず、例えば常温常湿でも約1時間未満で消泡してしまい、斜面や垂直面に対する付着力も小さくて流下しやすいものになって好ましくないからである。
【0043】
また、上記直鎖構造の高級アルコールを1.0質量%以上配合し、かつ上記分岐鎖構造を有する高級アルコールを0.5〜3.0質量%配合することは、後述の実施例およびその評価結果からもこの発明の付着した泡の安定性、泡の付着力についても好ましいものであるといえる。
【0044】
上記したようなエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤には、上記材料以外にもエアゾール入り噴霧剤において周知な成分を添加してもよく、例えば増粘剤、糊剤、油剤、粉剤、pH調整剤、イオン封鎖剤、防腐剤、着色料(色素)、保存剤、香料、水などを添加することもできるのは勿論のことである。
【0045】
発泡性害虫防除剤は、前記の有効成分を溶剤に溶解又は分散させてエアゾール原液である起泡性液剤を調整して耐圧容器中に注入し、更に噴射剤を充填することにより、製造することができる。
【0046】
噴射用液化ガスとしては、例えば、液化石油ガス(LPG)、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ジメチルエーテル(DME)などが挙げられる。また、噴射用圧縮ガスとしては、炭酸ガス、窒素ガスなどが挙げられる。噴射用液化ガスは、0.1〜0.2MPa、
噴射用圧縮ガスは、0.2〜0.3MPa程度で充填されることが、噴射距離および発泡状態の点で好ましい。
【実施例1】
【0047】
[実施例1〜
21、参考例1、2、比較例1〜9]
表1、2に示す配合割合で原材料のうち、害虫防除用有効成分(プロフルトリン)を所定溶解性(2−オクチルドデカノール1質量部と水4質量部の混合液を常温で透明にする際に両親媒性溶媒としての所要量が25質量部以下)のグリコールエーテルを含有する水溶性グリコール系溶剤に溶解し、その他の界面活性剤、炭素数12〜14の直鎖構造の高級アルコールおよび水成分を一括混合して、起泡性液剤を調製し、この起泡性液剤を噴射バルブ付きのエアゾール容器に充填し、噴射用液化ガスおよび気相の噴射用圧縮ガスからなる噴射剤を充填してエアゾール容器入り発泡性害虫防除剤を製造した。
【0048】
上記のエアゾール用原液280重量部と噴射剤として液化プロパンガス10重量部、窒素ガス0.5重量部を混合して起泡性液剤を調製し、これをエアゾール容器に充填してバルブを取り付けて密封し、エアゾール容器入り発泡性害虫防除剤を得た。
また、発泡性害虫防除剤について、以下の評価試験を行ない、その結果を表1、2中に併記した。
【0049】
[起泡性の評価試験]
エアゾール容器入り発泡性害虫防除剤をこのエアゾール容器から噴射し、100mlカップ型容器に充填し、発泡性害虫防除剤の100mlの重量(表中に100mlカップ重量と記す)を計測した。起泡性としては、計量値が小さいほど良好と判断でき、30g以下の軽量値であれば良好と判断した。
【0050】
[泡の持続性]
エアゾール容器から噴霧して平滑な板ガラス面に付着した泡の室内(常温・常湿)での経時変化を観察し、泡の持続時間(h)を計測した。
【0051】
[所定溶解性を示す倍数(可溶化必要量)]
使用する水溶性グリコール系溶剤は、2−オクチルドデカノール1.0gと水道水4gの混合液に対し、所定のグリコールエーテルを加えて攪拌し、混合液が透明になるまで溶解する前記グリコールエーテルの質量(重量と略同じとみなす)を可溶化必要量(g)とし、その質量(重量)の2−オクチルドデカノール1.0gに対する倍数を「所定溶解性を示す倍数」としてそれぞれ表中に併記した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
表1、2の結果からも明らかなように、比較例1〜4では、グリコール系溶剤(グリコールエーテル系溶剤を含めていう)の所定溶解性を示す倍数(可溶化必要量)が25倍以上であったため、エアゾール容器から噴出しても起泡しなかった。
また、比較例5〜9の結果からグリコールエーテルの配合割合が0.1〜0.5質量%または12〜15質量%の比較例5〜7では、起泡性液剤をエアゾール容器から噴出しても起泡せず、比較例8、9では起泡したが、その後、短時間で泡が消失した。
【0055】
一方、実施例1〜
21の発泡性害虫防除剤は、グリコール系溶剤(グリコールエーテル系溶剤を含めていう)の所定溶解性を示す倍数(可溶化必要量)が25倍以下であり、かつその他の所要条件を備えているため、エアゾール容器から発泡される起泡状態が良好で、その経時的安定性もよく、また起泡率が高いので効率よく大きな体積または広い面積に広がって生息する害虫を効率よく捕捉できることが明らかであり、また徘徊する害虫によく接触してその有効成分を充分に発揮できる泡の安定性があった。