特許第5893945号(P5893945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893945
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】回転体保護枠
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/14 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   F24F3/14
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-27321(P2012-27321)
(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公開番号】特開2013-164210(P2013-164210A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100161285
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】安部 純治
(72)【発明者】
【氏名】中本 啓之
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−506697(JP,A)
【文献】 特開2004−160444(JP,A)
【文献】 特開2000−157831(JP,A)
【文献】 実開昭62−006562(JP,U)
【文献】 特開2005−098435(JP,A)
【文献】 特開2008−275026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻掛け駆動の伝動ベルトに接触する外周面と回転体を内包する内周面とを有した略円筒形で、前記略円筒形が前記略円筒形の中心軸と直角方向に2分割された右枠と左枠で構成されており、前記右枠と前記左枠が接合されることで前記外周面と前記内周面にできる接合線が前記伝動ベルトの接触する直線状の部分を食み出して、凹凸、ジグザグまたは波状あるいはこれらの組み合わせの形状で嵌合する回転体保護枠。
【請求項2】
前記右枠と前記左枠が同一形状である請求項1記載の回転体保護枠。
【請求項3】
前記回転体が、デシカントローターおよび/または顕熱ローターである請求項1記載または請求項2の回転体保護枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デシカント式換気扇の吸着素子や顕熱交換器のように中空の材質のものを、その除湿機能・加湿機能や調温機能を発揮させるために巻掛け駆動で回転させる回転体の回転体保護枠に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体が利用される例として、デシカント式換気扇がある。デシカント式換気扇は屋内の空気を入れ換える所謂換気の際に、デシカントを利用して屋内の湿度調整を行い、同時に換気の際の屋内の温度変化を少なくするために、顕熱交換器で屋内の温度を調整する装置である。デシカント式換気扇では、屋外から屋内へ屋外空気が通過する給気通路と、屋内から屋外へ屋内空気が通過する排気通路を有しており、この給気通路と排気通路の間で水分の移動をデシカントで行うことで、屋内の湿度調整が行われており、同時に顕熱交換器で給気通路と排気通路の間で熱の移動が行われることで、屋内の温度調整が行われている。
【0003】
デシカントで給気通路と排気通路の間で水分を移動させるために、デシカント材を紙等の繊維質の材料に含浸または混抄させ、その繊維質の材料を薄い板状としたものを、空気が通過できるように多数の三角柱(コルゲート状)、四角柱、六角柱を隙間なく並べた構造の孔の集合体、所謂ハニカム構造体となるように成型していた。このハニカム構造体を給気通路と排気通路の両方に跨るように回転させることで水分を移動させている。このため、ハニカム構造体は回転するのに適する様に円盤状に加工されていた。なお、このデシカント材が含浸等された円盤状のハニカム構造体は、吸着素子と呼ばれている。
【0004】
また、顕熱交換器では、給気通路と排気通路の間で熱を移動させるために、銅合金やアルミニウムなどの薄い金属製の板で前述のハニカム構造体を形成して、給気通路と排気通路の両方に跨るように回転させることで熱を移動させている。
【0005】
前記吸着素子および前記顕熱交換器は前述のように柔らかな材質や中空の構造であるため、そのままの状態で巻掛け駆動により回転させることは、変形を増長させるおそれがあった。また、デシカント式換気扇に組み込まれた場合、前記デシカント式換気扇が要求される使用期間中に変形するおそれがあった。そこで、前記吸着素子および顕熱交換器の外周に回転体保護枠を設け、回転体保護枠に外部からの巻掛け駆動の回動力を加えられる構造にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−19788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の図3および図4には、回転体保護枠の外周に伝動ベルトを掛けることによる巻掛け駆動が示されている。そして、回転体保護枠の外周に伝動ベルトを掛ける場合には、伝動ベルトが外れないようにするために回転体保護枠の中央部に伝動ベルトが掛けられている。
【0008】
また、吸着素子や顕熱交換器の外周に回転体保護枠を被せようとする場合には、円盤状の一体形状である吸着素子または顕熱交換器の外周面を覆い、回転中に回転体保護枠から吸着素子または顕熱交換器が脱落しないようにする必要があるので、回転体保護枠を分割して、吸着素子または顕熱交換器を挟み込むようにし、回転体保護枠に装着する必要があった。その場合に、回転する回転体保護枠を半円や扇型に分割して接合すると、円の形状が変形しやすくなるため、2つの環状に2分割し、2分割された二つの環の中に吸着素子または顕熱交換器を挟み込み、その後2分割された環を再び接合する方法があった。
【0009】
しかしながら、前述のように、回転体保護枠の外周に伝動ベルトを掛けて巻掛け駆動を行おうとすると、回転体保護枠の外周の接合部分が伝動ベルトに接触する箇所となり、回転体保護枠は伝動ベルトによる力で、接合されている箇所において分離しようとする方向に力が働くという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
第1発明の回転体保護枠は、巻掛け駆動の伝動ベルトに接触する外周面と回転体を内包する内周面とを有した略円筒形で、前記略円筒形が前記略円筒形の中心軸と直角方向に2分割された右枠と左枠で構成されており、前記右枠と前記左枠が接合されることで前記外周面と前記内周面にできる接合線が前記伝動ベルトの接触する直線状の部分を食み出して、凹凸、ジグザグまたは波状あるいはこれらの組み合わせの形状で嵌合している。
【0012】
第2発明の回転体保護枠は、第1発明において、前記右枠と前記左枠が同一形状である。
【0013】
第3発明の回転体保護枠は、第1発明または第2発明において、前記回転体が、デシカントローターおよび/または顕熱ローターである。
【発明の効果】
【0014】
以上のような、技術的手段を有することにより、以下の効果を有する。
【0015】
第1発明によれば、回転体保護枠は、巻掛け駆動の伝動ベルトに接触する外周面と回転体を内包する内周面とを有した略円筒形で、前記略円筒形が前記略円筒形の中心軸と直角方向に2分割された右枠と左枠で構成されており、前記右枠と前記左枠が接合されることで前記外周面と前記内周面にできる接合線が前記伝動ベルトの接触する直線状の部分(以下、「伝動ベルトの接触線」と略す)を互いに逆側に跨ぐように、凹凸、ジグザグまたは波状あるいはこれらの組み合わせの形状で嵌合しているので、回転体の外周面に伝動ベルトから一定の力が加わりながら回転させられたとしても、伝動ベルトの接触線を越えて右枠であれば左枠側に、左枠であれば右枠側に、右枠および左枠の夫々が食み出し、さらに内周面側と外周面側との食み出す長さが、内周面側が長い場合は、外周面側が短くなり、逆に内周面側が短い場合は外周面側が長くなるようになっている。これにより、伝動ベルトで接触線に力が加えられても、右枠の内周面と左枠の外周面、または右枠の外周面と左枠の内周面とが密接するように働き合うことで、回転体保護枠が右枠と左枠に分離し難くなる。
【0016】
第2発明によれば、第1発明を利用し、前記右枠と前記左枠が同一形状であるので、製作時の費用や、組立が容易となる。
【0017】
第3発明によれば、第1発明または第2発明を利用し、前記回転体が、デシカントローターおよび/または顕熱ローターであるので、前記デシカントローターおよび/または前記顕熱ローターの様な中空の柔らかな材質の回転体に装着して回転させる場合でも前記回転体を保護し、回転体保護枠の変形を防止して長期の使用に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る回転体保護枠が設けられているデシカン換気扇の概要図である。
図2】本発明の実施例1に係る回転体保護枠が設けられているローター枠の構成図である。
図3】本発明の実施例1に係る回転体保護枠に吸着素子に取り付ける場合の説明図である。
図4】本発明の実施例1に係る回転体保護枠に顕熱交換器に取り付ける場合の説明図である。
図5】本発明の実施例1に係る回転体保護枠の斜視図である。
図6】本発明の実施例1に係る回転体保護枠の分割された斜視図である。
図7図5におけるA−A断面図である。
図8】本発明の実施例2に係る回転体保護枠の側面図である。
図9】本発明の実施例3に係る回転体保護枠の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明を実施する形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の回転体保護枠10が取り付けられる例として、デシカント式換気扇を例にして説明する。デシカント式換気扇70およびデシカント式換気扇70に吸着素子30および顕熱交換器40が内部に組み込まれた概略的な構成について、図1を用いて説明する。
【0021】
デシカント式換気扇70は、第一の送風機71によって屋外から屋内に向かって屋外空気が流される第一の風路72と、第二の送風機76によって屋内から屋外に向かって屋内空気が流される第二の風路77よりなる。第一の風路72および第二の風路77はその途中において屋外空気と屋内空気とが混ざらないように気密性を保つ構造となっている。第一の風路72および第二の風路77のそれぞれに直交して、回転体保護枠10が取り付けられた回転体の吸着素子30と顕熱交換器40が設けられている。回転体保護枠10は後述する伝動ベルト52が巻掛けされて、電動機50で回転させられている。
【0022】
第一の風路72を通過する屋外空気が乾燥しており、第二の風路77を通過する屋内空気が屋外空気に比較して湿り気を含んでいる場合には、吸着素子30が第二の風路77を通過する屋内空気の水分を吸着し、吸着した部分が回転させられることにより第一の風路72に移動し、第一の風路72を通過する屋外空気に放出することで、デシカント換気扇70の換気運転に伴う屋内空気からの水分が失われることを防ぎ、結果保湿機能として働く。逆に第一の風路72を通過する屋外空気が湿り気を含んでおり、第二の風路77を通過する屋内空気が屋外空気に比較して乾燥している場合には、吸着素子30が第一の風路72を通過する屋外空気の水分を吸着し、吸着した部分が回転させられることにより第二の風路77に移動し、第二の風路77を通過する屋内空気に放出することで、デシカント換気扇70の換気運転に伴う屋内空気の湿度を上昇させることを防ぎ、結果除湿機能として働く。
【0023】
なお、吸着素子30の水分を放出させる際には、通過する空気の温度を上げる必要があるため。吸着素子30の空気の流れの上流側に電熱ヒーターや温水ヒーター等の加温手段(図示せず)を設けることが一般的である。
【0024】
また、第一の風路72を通過する屋外空気が冷たく、第二の風路77を通過する屋内空気が屋外空気に比較して暖かい場合には、顕熱交換器40が第二の風路77を通過する屋内空気の熱を吸熱し、吸熱した部分が回転させられることにより第一の風路72に移動し、第一の風路72を通過する屋外空気に放熱することで、デシカント換気扇70の換気運転に伴う屋内空気の温度低下を防ぐ。逆に第一の風路72を通過する屋外空気が暖かく、第二の風路77を通過する屋内空気が屋外空気に比較して冷たい場合には、顕熱交換器40が第一の風路72を通過する屋外空気の熱を吸熱し、吸熱した部分が回転させられることにより第二の風路77に移動し、第二の風路77を通過する屋内空気に放熱することで、デシカント換気扇70の換気運転に伴う屋内空気の温度上昇を防ぐ。
【0025】
また、第一の送風機71、第二の送風機76、吸着素子30と顕熱交換器40の電動機50は電気が供給されることにより駆動し、この駆動の制御は制御基板79および操作装置(図示せず)によって行われる。
【0026】
回転体保護枠10が取り付けられた吸着素子30の巻掛け駆動について、図2を用いて説明する。破線で示す直方体のローター枠60の中に回転体保護枠10が取り付けられた吸着素子30、プーリー51の付いた電動機50、伝動ベルト52、テンションプーリー53、が納められている。直方体のローター枠60に回転体保護枠10が取り付けられた吸着素子30を納める理由は、メンテナンスを容易にするためである。テンションプーリー53は、バネ(図示せず)でテンションプーリー53に押す力を与えて伝動ベルト52を所定の力で押している。伝動ベルト52が回転体保護枠10の外周やプーリー51と滑らないようにするためである。なお、顕熱交換器40についても同一の回転体保護枠10が用いられるので、ローター枠60、プーリー51の付いた電動機50、伝動ベルト52、テンションプーリー53との関係は同一となっており説明を省略する。
【0027】
図3を用いて回転体保護枠10と吸着素子30との関係を説明する。吸着素子30は、高分子系吸着材やシリカゲル、ゼオライト等のデシカント材を紙等の繊維質の材料に含浸または混抄させ、その繊維質の材料を薄い板状としたものを空気が通過できるように多数の三角柱、四角柱、六角柱等を隙間なく並べたハニカム構造体を、所定の厚みで円盤状に成形したものである。吸着素子30は、外周31と、中心部に円形の孔32を有した円筒で、円形の空気通過面33を両面に有している。吸着素子30の孔32には中心部ホルダー34が取り付けられており、中心部ホルダー34の軸孔35が、ローター枠60に取り付けられた軸(図示せず)で軸支される。
【0028】
吸着素子30の外周31には回転体保護枠10がとり付けられる。回転体保護枠10は、吸着素子30の外径に等しい内径で吸着素子30の外周31の幅と等しい内周面11を有し、回転体保護枠10の外周に巻掛け駆動の伝動ベルト52が接触する外周面12を有し、空気通過面33の面と同一の面になる所定の厚みの肉厚面13を両面に有している。回転体保護枠10の形状は、環状であり、合成樹脂で成形されている。回転体保護枠10の肉厚面13の所定の幅の厚みは、伝動ベルト52の巻掛け駆動に耐えられる強度を有する厚みとなっている。吸着素子30は、中心部ホルダー34と回転体保護枠10とを連接する補強具36が複数設けられている。
【0029】
図4を用いて回転体保護枠10と顕熱交換器40との関係を説明する。顕熱交換器40は、銅合金やアルミニウムなどの薄い金属製の板で前述の吸着素子30と同様のハニカム構造体を形成しており、所定の厚みで円盤状に成形したものである。顕熱交換器40は、外周41と、中心部に軸孔45が開けられた円形の空気通過面43を両面に有している。この軸孔45で、ローター枠60に取り付けられた軸(図示せず)で軸支される。
【0030】
顕熱交換器40の外周41には回転体保護枠10がとり付けられる。回転体保護枠10は、顕熱交換器40の外径に等しい内径で顕熱交換器40の外周41の幅と等しい内周面11を有し、外周に巻掛け駆動の伝動ベルト52が接触する外周面12を有し、空気通過面43の面と同一の面になる所定の厚みの肉厚面13を両面に有している。回転体保護枠10の形状は、環状であり、合成樹脂で成形されている。回転体保護枠10の肉厚面13の所定の幅の厚みは、伝動ベルト52の巻掛け駆動に耐えられる強度を有する厚みとなっている。
【0031】
図5図6を用いて回転体保護枠10について説明する。図5の環状の回転体保護枠10は環状に2分割することができる。2分割された2つの環は同一の形状になるように分割されている。本来2分割されたものは同一の形状であり、区別をつける必要はないが説明の都合上、右側を右枠10aと呼び、左側を左枠10bと呼ぶ。右枠10aおよび左枠10bは、肉厚面13の反対側で互いが嵌合する面において、凹凸のある形状となっており、内周面11および外周面12に接合線が見えるだけであるので、2分割された一方の右枠10aについて図6で説明する。
【0032】
図6において、肉厚面13の反対側の凹凸がある面は、肉厚面13の厚みの半分で分割され、内周面11側と外周面12側の凹凸形状で、二重の環状に分割されている。そして、内周面11側の環状の部分には、内凸部14と内凹部15とが所定組(実施例では4組)設けられており、外周面12側の環状の部分には外凸部16と外凹部17が所定組(実施例では4組)設けられている。内凸部14は内凹部15に嵌合する形状であり、外凸部16は外凹部17に嵌合する形状となっている。また、内凸部14の内周面11側の中央には角孔18が設けられており、外凸部16の内面側で内凹部15を形成する部分には、角孔18に対応する爪19が設けられている。
【0033】
また、右枠10aの肉厚面13の近傍の内面には、等間隔の所定数(実施例では4箇所)の固定部21が設けられている。固定部21は、肉厚面13側では大きく角孔18の方向に向かって小さくなる三角錐の形状の突起であり、右枠10aと左枠10bで両側から、吸着素子30または顕熱交換器40を挟み込んだ場合に、それぞれの外周31、41を両側から押さえる楔として働き、回転体保護枠10に回転体である吸着素子30または顕熱交換器40を掛止させる。
【0034】
以上の右枠10aに、同一形状の左枠10bの内凸部14等の凹凸がある側を対向させ、そして、角度を所定角度(実施例では45度)ずらして嵌合させることで回転体保護枠10(図5参照)になる。この嵌合の状況を図7で説明する。図7は、図5の右枠10aと左枠10bが嵌合した回転体保護枠10のA―A断面図である。前述のように内凸部14と内凹部15が回転体保護枠10の内周面11側で嵌合し、外凸部16と外凹部17が回転体保護枠10の外周面12側で嵌合しており、角孔18と爪19が掛着している。
【0035】
破線で示している伝動ベルト52は回転体保護枠10に巻掛けされており、外周面12の中心の位置を下から上方向(回転体保護枠10の内側に向かう方向)の力で回転体保護枠10を押している。伝動ベルト52が回転体保護枠10を伝動ベルト52の幅の接触線で押すことにより、外凸部16と内凸部14が合わせあった部分22が互いに密接する様に押されることになる。回転体保護枠10の全体で見れば、回転体保護枠10の所定の箇所(実施例では4箇所)で外凸部16と内凸部14の方向が変わって(内周面11側と外周面12側との食み出す長さが、内周面11側が長い場合は、外周面12側が短くなり、逆に内周面11側が短い場合は外周面12側が長くなるようになって)密接することになる。この結果、回転体保護枠10の内周面11側の接合線と外周面12側の接合線は伝動ベルト52の接触線を跨ぐ様に互い違いに方向が変わることにより、右枠10aと左枠10bは互いに内周面11側の所定箇所の内凸部14と外周面12側の所定箇所の外凸部16で噛みあう方向に動き、右枠10aと左枠10bが分離し難くなる。なお、右枠10aと左枠10bが嵌合した回転体保護枠10の外周面は、伝動ベルト52が回転体保護枠10の外周面から外れ難くするために、中央部で低く、両端に向かうに従って盛り上がるように形成されている。
【実施例2】
【0036】
本発明の別の実施例を図8で説明する。なお、この実施例2についてのデシカント式換気扇70およびデシカント式換気扇70に取り付けられる吸着素子30および顕熱交換器40についての構成は、実施例1と同様であるので説明を省略し、実施内容の異なる回転体保護枠80の構造についてのみ説明する。
【0037】
図8は、回転体保護枠80の側面図(外周面側を直角に見た図)である。回転体保護枠80は同一の形状よりなる右枠80aと左枠80bが接合することで構成されており、回転体保護枠80の内周面側に表れる内側接合線81(破線で示す)と、外周面側に表れる外側接合線82とは夫々ジグザグ状となるように構成されている。そして内側接合線81と外側接合線82で表される右枠80aの内周面側頂点81aと、左枠80bの外周面側頂点82aは同一箇所で逆方向に、伝動ベルト52の接触線を跨ぐ様に構成されている。また、左枠80bの内周面側頂点81aと、右枠80aの外周面側頂点82aは同一箇所で逆方向に、伝動ベルト52の接触線を跨ぐ様に構成されている。
【0038】
これにより、実施例1と同様に、伝動ベルト52の内側に押す力により、右枠80aと左枠80bは互いに噛み合うように接合し、右枠80aと左枠80bの分離し難くなる。なお、右枠80aの内周面側頂点81aと、左枠80bの外周面側頂点82aの組み合わせと、左枠80bの内周面側頂点81aと、右枠80aの外周面側頂点82aの組み合わせは、均等な間隔で実施例では16箇所の位置で組み合う様構成されている。
【実施例3】
【0039】
本発明の別の実施例を図9で説明する。なお、この実施例3についてのデシカント式換気扇70およびデシカント式換気扇70に取り付けられる吸着素子30および顕熱交換器40についての構成は、実施例1と同様であるので説明を省略し、実施内容の異なる回転体保護枠90の構造についてのみ説明する。
【0040】
図9は、回転体保護枠90の側面図(外周面側を直角に見た図)である。回転体保護枠90は同一の形状よりなる右枠90aと左枠90bが接合することで構成されており、回転体保護枠90の内周面側に表れる内側接合線91(破線で示す)と、外周面側に表れる外側接合線92は夫々波状となるように構成されている。そして内側接合線91と外側接合線92で表される右枠90aの内周面側突出部91aと、左枠90bの外周面側突出部92aは同一箇所で逆方向に、伝動ベルト52の接触線を跨ぐ様に構成されている。また、左枠90bの内周面側突出部91aと、右枠90aの外周面側突出部92aは同一箇所で逆方向に、伝動ベルト52の接触線を跨ぐ様に構成されている。
【0041】
これにより、実施例1と同様に、伝動ベルト52の内側に押す力により、右枠90aと左枠90bは互いに噛み合うように接合し、右枠90aと左枠90bの分離し難くなる。なお、右枠90aの内周面側突出部91aと、左枠90bの外周面側突出部92aの組み合わせと、左枠90bの内周面側突出部91aと、右枠90aの外周面側突出部92aの組み合わせは、均等な間隔で実施例では16箇所の組み合う様構成されている。
【0042】
以上、本発明について、実施例に基づき説明してきたが、本発明は何らこれらの実施例の構成に限定するものではない。例えば、右枠10a、80a、90aと左枠10b、80b、90bの接合線を凹凸、ジグザグまたは波状の単一の形状として説明しているが、凹凸、ジグザグまたは波状を組み合わせた形状の接合線としても良い。さらには接合線の形状に依らず、回転体保護枠の内周面側と外周面側とに表れる接合線が、伝動ベルト52の接触線で互いに逆方向に跨ぐように形成されていれば、回転体保護枠の肉厚方向の内部においては、内周面側と外周面側が互いに噛みあう方向に働くことになり、右枠と左枠は分離し難くなる。また、回転体保護枠について、デシカント式換気扇を例に掲げて説明したが、巻掛け駆動により回転させられる回転体であれば実施できる。
【符号の説明】
【0043】
10、80、90:回転体保護枠
10a、80a、90a:右枠
10b、80b、90b:左枠
11:内周面
12:外周面
13:肉厚面
14:内凸部
15:内凹部
16:外凸部
17:外凹部
18:角孔
19:爪
21:固定部
22:合わせあった部分
30:吸着素子
31、41:外周
32:孔
33、43:空気通過面
34:中心部ホルダー
35、45:軸孔
36:補強具
40:顕熱交換器
50:電動機
51:プーリー
52:伝動ベルト
53:テンションプーリー
60:ローター枠
70:デシカント式換気扇
71:第一の送風機
72:第一の風路
76:第二の送風機
77:第二の風路
79:制御基板
81、91:内側接合線
81a:内周面側頂点
82、92:外側接合線
82a:外周面側頂点
91a:内周面側突出部
92a:外周面側突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9