【実施例】
【0049】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。以下、特にことわりのないかぎり、実施例に記載される部及び比率は質量を基準とする。
【0050】
<主体繊維A>
繊維径5.3μm、繊維長5mm、融点260℃の延伸ポリエステル系繊維を主体繊維Aとした。
【0051】
<主体繊維B>
繊維径7.9μm、繊維長5mm、融点260℃の延伸ポリエステル系繊維を主体繊維Bとした。
【0052】
<主体繊維C>
繊維径12.1μm、繊維長5mm、融点260℃の延伸ポリエステル系繊維を主体繊維Cとした。
【0053】
<主体繊維D>
繊維径17.5μm、繊維長5mm、融点260℃の延伸ポリエステル系繊維を主体繊維Dとした。
【0054】
<主体繊維E>
繊維径20.2μm、繊維長5mm、融点260℃の延伸ポリエステル系繊維を主体繊維Eとした。
【0055】
<バインダー繊維A>
繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維をバインダー繊維Aとした。
【0056】
<バインダー繊維B>
繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点240℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維をバインダー繊維Bとした。
【0057】
<バインダー繊維C>
繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点250℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維をバインダー繊維Cとした。
【0058】
<バインダー繊維D>
繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維をバインダー繊維Dとした。
【0059】
<バインダー繊維E>
繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点265℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維をバインダー繊維Eとした。
【0060】
(実施例1)
主体繊維Bを30質量%、主体繊維Cを30質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径10.0μmのシートを得た。
【0061】
得られたシートを、
図1(A)に示すように、2本の金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、両金属ロールの表面温度を210℃とし、ニップ圧力800N/cm、加工速度40m/minの条件で加工し、実施例1の半透膜支持体を得た。なお、下の金属ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0062】
(実施例2)
金属ロールの表面温度を230℃とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の半透膜支持体を得た。なお、下の金属ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0063】
(比較例1)
金属ロールの表面温度を205℃とした以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の半透膜支持体を得た。なお、下の金属ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0064】
(比較例2)
実施例1と同様の方法で得られたシートを、
図1(A)に示すように、2本の金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、両金属ロールの表面温度を235℃とし、ニップ圧力800N/cm、加工速度40m/minの条件で加工したところ、紙切れが頻発し、半透膜支持体を得ることができなかった。
【0065】
(実施例3)
主体繊維Bを40質量%、主体繊維Cを20質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径9.3μmのシートを得た。
【0066】
得られたシートを、
図1(B)に示すように、2本の金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、両金属ロールの表面温度を220℃とし、ニップ圧力800N/cm、加工速度40m/minの条件で加工し、実施例3の半透膜支持体を得た。なお、下の金属ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0067】
(実施例4)
バインダー繊維Bに変更した以外は実施例3と同様の方法で、実施例4の半透膜支持体を得た。なお、下の金属ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0068】
(実施例5)
バインダー繊維Cに変更した以外は実施例3と同様の方法で、実施例5の半透膜支持体を得た。なお、下の金属ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0069】
(比較例3)
バインダー繊維Dに変更した以外は実施例3と同様の方法でシートを得た。シートを、金属ロールの表面温度を210℃とした以外は実施例3と同様の条件で加工し、比較例3の半透膜支持体を得た。なお、下の金属ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0070】
(比較例4)
バインダー繊維Eに変更した以外は実施例3と同様の方法でシートを得た。シートを、金属ロールの表面温度を230℃とした以外は実施例3と同様の条件で加工し、比較例4の半透膜支持体を得た。なお、下の金属ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0071】
(実施例6)
主体繊維Cを40質量%、主体繊維Eを20質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径14.8μmのシートを得た。
【0072】
得られたシートを、
図2(G)に示すように、金属ロールと樹脂ロールからなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を220℃とし、ニップ圧力800N/cm、加工速度40m/minの条件で加工し、実施例6の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0073】
(実施例7)
主体繊維Aを15質量%、主体繊維Bを45質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径7.3μmのシートを得た。
【0074】
得られたシートを、実施例6と同様の条件で加工し、実施例7の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0075】
(実施例8)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維Bを30質量%、主体繊維Cを30質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機で1系層の湿紙を形成した。主体繊維Cを25質量%、主体繊維Dを35質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で2系層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、1系層と2系層の坪量比が1:1で、総坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径12.6μmのシートを得た。なお、1系層の面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
【0076】
得られたシートを、実施例6と同様の条件で加工し、実施例8の半透膜支持体を得た。なお、2系層の面を第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面とし、半透膜溶液塗布面とした。
【0077】
(実施例9)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維Bを30質量%、主体繊維Cを30質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機で1系層の湿紙を形成した。主体繊維Aを40質量%、主体繊維Bを20質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で2系層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、1系層と2系層の坪量比が1:1で、総坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径8.1μmのシートを得た。なお、1系層の面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
【0078】
得られたシートを、実施例6と同様の条件で加工し、実施例9の半透膜支持体を得た。なお、2系層の面を第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面とし、半透膜溶液塗布面とした。
【0079】
(実施例10)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維Cを25質量%、主体繊維Dを35質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機で1系層の湿紙を形成した。主体繊維Aを40質量%、主体繊維Bを20質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で2系層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、1系層と2系層の坪量比が1:1で、総坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径10.7μmのシートを得た。なお、1系層の面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
【0080】
得られたシートを、実施例6と同様の条件で加工し、実施例10の半透膜支持体を得た。なお、2系層の面を第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面とし、半透膜溶液塗布面とした。
【0081】
(比較例5)
主体繊維Cを25質量%、主体繊維Dを35質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径15.3μmのシートを得た。
【0082】
得られたシートを、実施例6と同様の条件で加工し、比較例5の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面を半透膜塗布面とした。
【0083】
(比較例6)
主体繊維Aを40質量%、主体繊維Bを20質量%、バインダー繊維Aを40質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径6.2μmのシートを得た。
【0084】
得られたシートを、実施例6と同様の条件で加工し、比較例6の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0085】
(比較例7)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維Cを55質量%、バインダー繊維Aを45質量%、水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機で1系層の湿紙を形成した。主体繊維Eを55質量%、バインダー繊維Aを45質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で2系層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、1系層と2系層の坪量比が1:1で、総坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径16.2μmのシートを得た。なお、1系層の面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
【0086】
得られたシートを、実施例6と同様の条件で加工し、比較例7の半透膜支持体を得た。なお、2系層の面を第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面とし、半透膜溶液塗布面とした。
【0087】
(比較例8)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維Aを55質量%、バインダー繊維Aを45質量%、水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機で1系層の湿紙を形成した。主体繊維Bを55質量%、バインダー繊維Aを45質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で2系層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、1系層と2系層の坪量比が1:1で、総坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径6.6μmのシートを得た。なお、1系層の面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
【0088】
得られたシートを、実施例6と同様の条件で加工し、比較例8の半透膜支持体を得た。なお、2系層の面を第一ロールニップで樹脂ロールに触れる面とし、半透膜溶液塗布面とした。
【0089】
(実施例11)
主体繊維Bを10質量%、主体繊維Cを30質量%、バインダー繊維Aを60質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径11.1μmのシートを得た。
【0090】
得られたシートを、
図4(M)に示すように、2本の金属ロールからなる第一ロールニップと、金属ロールと樹脂ロールからなる第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を220℃とし、ニップ圧力800N/cm、加工速度40m/minの条件で加工し、実施例11の半透膜支持体を得た。なお、第二ロールニップで樹脂ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0091】
(実施例12)
主体繊維Bを35質量%、主体繊維Dを30質量%、バインダー繊維Aを35質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径12.3μmのシートを得た。
【0092】
得られたシートを、実施例11と同様の条件で加工し、実施例12の半透膜支持体を得た。なお、第二ロールニップで樹脂ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0093】
(実施例13)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維Bを10質量%、主体繊維Cを10質量%、主体繊維Dを50質量%、バインダー繊維Aを30質量%、水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機で1系層の湿紙を形成した。主体繊維Bを40質量%、主体繊維Cを10質量%、バインダー繊維Aを50質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で2系層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、1系層と2系層の坪量比が1:1で、総坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径12.6μmのシートを得た。なお、1系層の面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
【0094】
得られたシートを、実施例11と同様の条件で加工し、実施例13の半透膜支持体を得た。なお、2系層の面を第二ニップロールで樹脂ロールに触れる面とし、半透膜溶液塗布面とした。
【0095】
(実施例14)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維Bを15質量%、主体繊維Cを10質量%、主体繊維Dを40質量%、バインダー繊維Aを35質量%、水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機で1系層の湿紙を形成した。主体繊維Bを25質量%、主体繊維Cを10質量%、バインダー繊維Aを65質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で2系層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、1系層と2系層の坪量比が1:1で、総坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径12.6μmのシートを得た。なお、1系層の面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
【0096】
得られたシートを、実施例11と同様の条件で加工し、実施例14の半透膜支持体を得た。なお、2系層の面を第二ニップロールで樹脂ロールに触れる面とし、半透膜溶液塗布面とした。
【0097】
(実施例15)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維Bを15質量%、主体繊維Cを10質量%、主体繊維Dを45質量%、バインダー繊維Aを30質量%、水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機で1系層の湿紙を形成した。主体繊維Bを25質量%、主体繊維Cを10質量%、主体繊維Dを10質量%、バインダー繊維Aを65質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で2系層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、1系層と2系層の坪量比が1:1で、総坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径12.8μmのシートを得た。なお、1系層の面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
【0098】
得られたシートを、実施例11と同様の条件で加工し、実施例15の半透膜支持体を得た。なお、2系層の面を第二ニップロールで樹脂ロールに触れる面とし、半透膜溶液塗布面とした。
【0099】
(比較例9)
主体繊維Bを5質量%、主体繊維Cを30質量%、バインダー繊維Aを65質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径11.5μmのシートを得た。
【0100】
得られたシートを、実施例11と同様の条件で加工し、比較例9の半透膜支持体を得た。なお、第二ロールニップで樹脂ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0101】
(比較例10)
主体繊維Bを40質量%、主体繊維Dを30質量%、バインダー繊維Aを30質量%、水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m
2、主体繊維の質量平均繊維径12.0μmのシートを得た。
【0102】
得られたシートを、実施例11と同様の条件で加工し、比較例10の半透膜支持体を得た。なお、第二ロールニップで樹脂ロールに触れる面を半透膜溶液塗布面とした。
【0103】
<半透膜の作製>
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic FilmApplicator、安田精機社製)を用いて、実施例1〜15及び比較例1〜10の半透膜支持体の塗布面にポリスルホン(SIGMA−ALDRICH Corporation製、質量平均分子量M
w<35,000、数平均分子量M
n<16,000、商品番号428302)のDMF溶液(濃度:18質量%)を塗工し、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の塗布面に厚み50μmのポリスルホンからなる膜を形成させて半透膜を得た。
【0104】
ポリスルホン半透膜を作製した半透膜支持体を、メタフェニレンジアミン0.85%とトリアミノベンゼン1.15%を含有する水溶液に浸漬し、余分な水溶液を除去した後、トリメシン酸クロライド0.05%とテレフタル酸クロライド0.08%を混合した溶液に浸漬した。ついで、余分な水溶液を除去した後、温水で十分洗浄し、架橋芳香族ポリアミドからなる厚み約0.15μmのポリアミド半透膜をポリスルホン半透膜上に製膜した。
【0105】
<スパイラル型半透膜エレメントの作製>
半透膜を作製した半透膜支持体1を、
図6に示すように、塗布面が内側になるように二つ折りにし、供給側流路材2を間に挟み込むように配置し、ついで、半透膜支持体1面上に透過側流路材3を重ね、集水管4に巻き付け、スパイラル型半透膜エレメントを作製した。半透膜支持体1面上に透過側流路材3を重ねる際、供給側液体と透過側液体の混合を防ぐため、
図7に示すように、半透膜支持体1面に接着剤5を塗布し、封止部を設けた。なお、供給側流路材2としては厚み0.7mm、網目ピッチ4mm、網目角度70♯のメッシュスペーサを用い、透過側流路材3としては厚み0.25mmのポリエステル製ダブルトリコットを用いた。
【0106】
実施例及び比較例で得られた半透膜支持体、及びスパイラル型半透膜エレメントに対して、以下の評価を行い、結果を表1〜4に示した。
【0107】
試験1(坪量)
JIS P 8124に準拠して、坪量を測定した。
【0108】
試験2(厚さ)
JIS P 8118に準拠して、厚さを測定した。
【0109】
試験3(コブ吸水度)
JIS P 8140−1976に準拠して、コブ吸水度を測定した。なお、純水を試料とし、試料との接触時間は5secとした。
【0110】
試験4(引張強度)
25mm幅の短冊状に切り揃えた。試験片を卓上型材料試験機(商品名:STA−1150、(株)オリエンテック製)の試料ツカミで、試料の両端を100mm間隔あけて挟み、上端を20mm/minの一定速度で切断するまで引き上げて、このときの最大荷重(kg)を計測し、これを引張強度とした。
【0111】
試験5(通気度)
通気性試験機(カトーテック株式会社製、商品名:KES−F8−AP1)を使用して、JIS L1096に示す方法で測定を行った。
【0112】
試験6(ポア径)
PMI社製、商品名:パームポロメーターCFP−1500Aを用いて、JIS K 3832、ASTM F316−86、ASTM E1294−89に準拠して測定を行い、最大ポア径及び平均ポア径を測定した。
【0113】
試験7(半透膜接着性)
ポリスルホン半透膜と半透膜支持体間の接着度合いを、剥離するときの抵抗度合いで判断した。
【0114】
○:半透膜と半透膜支持体の接着性が非常に高く、剥離できない。非常に良好なレベル。
△:半透膜と半透膜支持体とが接着はしているが、全体的に剥離しやすい。実用上、下限レベル。
×:半透膜塗工後の水洗又は乾燥工程で剥離が発生する。使用不可レベル
【0115】
試験8(半透膜溶液裏抜け)
半透膜の断面SEM写真を撮影して、ポリスルホンの半透膜支持体への滲み込み度合いを評価した。
【0116】
○:ポリスルホンが半透膜支持体の中心付近までしか滲み込んでいない。非常に良好なレベル。
△:ポリスルホンが半透膜支持体の非塗布面に一部滲み出ている。実用上、使用可能レベル。
×:ポリスルホンが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ている。実用上、使用不可レベル。
【0117】
試験9(微小リーク)
スパイラル型半透膜エレメント40本を用いて、NaCl濃度が20,000ppmのNaCl水溶液に水溶性赤インクを1,000ppm添加した溶液を用いて、それぞれ分離操作を行った。運転条件として、運転圧力を4.0MPaとし、回収率を8%とした。スパイラル型半透膜エレメントを破壊し、リークに起因する赤色を目視で観察し、リークした本数を調べた。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】
実施例1〜15の半透膜支持体は、塗布面表面のコブ法吸水度が3.0g/m
2以上、11.0g/m
2未満であり、半透膜溶液裏抜け、半透膜接着性、微小リークの評価において、実用上使用可能なレベルを達成した。熱圧加工に用いるロール表面温度が、主体繊維の融点より−45℃を超えて低い実施例1、主体繊維の平均繊維径が9.0μm未満の実施例7及び9、バインダー繊維の含有率が35質量%以下である実施例12では、コブ吸水度が9.0g/m
2以上であり、微小リーク評価でやや劣る結果となった。また、熱圧加工に用いるロール表面温度が主体繊維の融点より−35℃を超えて高い実施例2、バインダーの融点が主体繊維の融点に対して−10℃超えて低い実施例4、主体繊維の平均繊維径が13.0μmを超えている実施例6、バインダー繊維の含有率が55質量%超の実施例11では、コブ吸水度が5.0g/m
2未満となり、半透膜溶液裏抜けがやや劣る結果となった。
【0123】
これに対して、塗布面表面のコブ法吸水度が3.0g/m
2未満又は11.0g/m
2以上である比較例1〜10の半透膜支持体は、半透膜溶液裏抜け、半透膜接着性、機械的強度、微小リーク評価を同時に満たすものではなかった。コブ吸水度が11.0g/m
2を超える比較例1、4、6、8及び10では、微小リークの発生が多く、実用に耐えられないものであった。コブ吸水度が3.0g/m
2未満の比較例3、5、7及び9では、半透膜溶液の裏抜けが著しく劣る結果となった。また、熱圧加工に用いるロールの表面温度を、主体繊維の融点より−30℃を超えて高くした比較例2では、熱圧加工の際に紙切れが頻発し、半透膜支持体を得ることができなかった。