特許第5893992号(P5893992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893992
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】熱供給システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/00 20060101AFI20160310BHJP
   F24D 3/10 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   F24D3/00 W
   F24D3/10 D
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-82290(P2012-82290)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210174(P2013-210174A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】小松原 晃
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 裕一
(72)【発明者】
【氏名】元池 益男
(72)【発明者】
【氏名】山本 一人
(72)【発明者】
【氏名】井川 一久
(72)【発明者】
【氏名】奥備 景介
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−061812(JP,U)
【文献】 特開2002−286285(JP,A)
【文献】 特開2007−085671(JP,A)
【文献】 特開2002−295851(JP,A)
【文献】 実開平02−000552(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/00− 3/18
F24D17/00
F24H 1/00
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房用端末に熱を供給するための熱源装置と、
前記熱源装置及び前記暖房用端末を接続する熱媒循環路と、
前記熱媒循環路の途中に接続されると共にオーバーフロー用の排水口を有する暖房タンクと、
前記暖房タンクに接続されて当該暖房タンクへ水を補給するための補水路と、
上流側の端部が給水源に接続されると共に前記熱源装置が途中に接続された給湯用流路と
を備えた熱供給システムであって、
前記補水路の上流側の端部は、前記給湯用流路に接続されており、
前記給湯用流路は前記熱源装置の下流側に設けられた水量調整弁を有しており、
前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分は、前記水量調整弁よりも下流側に設けられている
ことを特徴とする熱供給システム。
【請求項2】
前記熱源装置、前記熱媒循環路、前記暖房タンク、前記補水路、前記給湯用流路、前記水量調整弁を内部に収容した筐体を備えており、
前記給湯用流路の下流側の端部には、前記筐体の外部の二次側配管に接続される出口部が設けられており、
前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分は、前記出口部のすぐ上流側に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の熱供給システム。
【請求項3】
暖房用端末に熱を供給するための熱源装置と、
前記熱源装置及び前記暖房用端末を接続する熱媒循環路と、
前記熱媒循環路の途中に接続されると共にオーバーフロー用の排水口を有する暖房タンクと、
前記暖房タンクに接続されて当該暖房タンクへ水を補給するための補水路と、
上流側の端部が給水源に接続されると共に前記熱源装置が途中に接続された給湯用流路と
を備えた熱供給システムであって、
前記補水路の上流側の端部は、前記給湯用流路に接続されており、
前記補水路に設けられて前記暖房タンクへの水の補給又は停止を行なう補水弁と、
外気又は前記給湯用流路の水又は前記補水路の水の温度を検知する温度検知部と、
前記温度検知部により検知された温度値が所定の値以下になると前記補水弁を開放させて凍結予防運転を行なわせる制御装置と
を備え、
前記暖房タンクは、前記オーバーフロー用の排水口よりも下方に設定されて当該暖房タンク内の液面が上限位置にまで上昇したことを検知する上限位置検知部を備えており、
前記制御装置は、
前記温度検知部により検知された温度値が所定の値よりも大きい場合、前記上限位置検知部が上限位置にある液面を検知すると前記補水弁を閉塞させ、
前記温度検知部により検知された温度値が所定の値以下の場合、前記上限位置検知部が上限位置にある液面を検知しても、前記補水弁を開放させたまま保持させる
ことを特徴とする熱供給システム。
【請求項4】
暖房用端末に熱を供給するための熱源装置と、
前記熱源装置及び前記暖房用端末を接続する熱媒循環路と、
前記熱媒循環路の途中に接続されると共にオーバーフロー用の排水口を有する暖房タンクと、
前記暖房タンクに接続されて当該暖房タンクへ水を補給するための補水路と、
上流側の端部が給水源に接続されると共に前記熱源装置が途中に接続された給湯用流路と
を備えた熱供給システムであって、
前記補水路の上流側の端部は、前記給湯用流路に接続されており、
前記補水路に設けられて前記暖房タンクへの水の補給又は停止を行なう補水弁と、
外気又は前記給湯用流路の水又は前記補水路の水の温度を検知する温度検知部と、
前記温度検知部により検知された温度値が所定の値以下になると前記補水弁を開放させて凍結予防運転を行なわせる制御装置と
を備え、
前記熱源装置は、
前記熱媒循環路の熱媒を加熱する第1の熱源部と、
前記給湯用流路の水を加熱する第2の熱源部と
を備え、
前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分が前記第2の熱源部の下流側に設けられ、
前記制御装置は、
前記第1の熱源部による加熱が行われた状態では、前記第2の熱源部による加熱を行った状態で凍結予防運転を実行させ、
前記第1の熱源部による加熱が行われていない状態では、前記第2の熱源部による加熱を停止した状態で凍結予防運転を実行させるものである
ことを特徴とする熱供給システム。
【請求項5】
前記給湯用流路は前記熱源装置の下流側に設けられた水量調整弁を有しており、
前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分は、前記水量調整弁よりも下流側に設けられている
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の熱供給システム。
【請求項6】
前記熱源装置、前記熱媒循環路、前記暖房タンク、前記補水路、前記給湯用流路、前記水量調整弁を内部に収容した筐体を備えており、
前記給湯用流路の下流側の端部には、前記筐体の外部の二次側配管に接続される出口部が設けられており、
前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分は、前記出口部のすぐ上流側に設けられている
ことを特徴とする請求項記載の熱供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、暖房用端末に熱を供給するための熱源装置と、熱源装置と暖房用端末とを接続する熱媒循環路と、給水源に接続されてその途中に熱源装置が接続される給湯用流路とを備えた熱供給システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の熱供給システムは、暖房バーナと、給湯バーナと、暖房端末と、熱媒循環路と、膨張タンクとを備えている。熱媒循環路は、暖房バーナと暖房端末とを接続する。これにより暖房端末は、暖房バーナからの熱を得て作動する。膨張タンクは、熱媒循環路の途中に接続されている。
【0004】
膨張タンクには、補水路が接続されている。補水路は、膨張タンク内へ水を補給するために設けられている。補水路の上流側の端部は、給水源に接続されている。
【0005】
給湯バーナには、給水源に上流側端部が接続された給水路と、給湯栓が下流側端部に設けられた給湯路とが接続されている。給湯路には、給水路から給湯バーナを経て加熱された水が流通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−223490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような熱供給システムにおいて、給湯路、給水路、及び補水路の水は、冬期に流通せずに管内に留まったままだと、凍結してしまう場合がある。そこで、この従来の熱供給システムでは、外気温等が低くなると、凍結予防運転が実行されるようになっている。
【0008】
従来の熱供給システムにおいて、給湯路、給水路及び補水路には、管路に沿って凍結予防用のヒーターが配置されている。すなわち従来の熱供給システムでは、凍結予防運転として、給湯路、給水路及び補水路の凍結を防ぐために、凍結予防用のヒーターを作動させる。しかしながら、凍結予防運転中にヒーターを作動させるのは、省エネルギー化の観点から好ましくない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、凍結予防運転において、省エネルギー化を図ることができる熱供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱供給システムは、暖房用端末に熱を供給するための熱源装置と、前記熱源装置及び前記暖房用端末を接続する熱媒循環路と、前記熱媒循環路の途中に接続されると共にオーバーフロー用の排水口を有する暖房タンクと、前記暖房タンクに接続されて当該暖房タンクへ水を補給するための補水路と、上流側の端部が給水源に接続されると共に前記熱源装置が途中に接続された給湯用流路とを備えた熱供給システムであって、前記補水路の上流側の端部は、前記給湯用流路に接続されており、前記給湯用流路は前記熱源装置の下流側に設けられた水量調整弁を有しており、前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分は、前記水量調整弁よりも下流側に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また本発明の熱供給システムにおいて、前記熱源装置、前記熱媒循環路、前記暖房タンク、前記補水路、前記給湯用流路、前記水量調整弁を内部に収容した筐体を備えており、前記給湯用流路の下流側の端部には、前記筐体の外部の二次側配管に接続される出口部が設けられており、前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分は、前記出口部のすぐ上流側に設けられていることが好ましい。
【0012】
また本発明の熱供給システムは、暖房用端末に熱を供給するための熱源装置と、前記熱源装置及び前記暖房用端末を接続する熱媒循環路と、前記熱媒循環路の途中に接続されると共にオーバーフロー用の排水口を有する暖房タンクと、前記暖房タンクに接続されて当該暖房タンクへ水を補給するための補水路と、上流側の端部が給水源に接続されると共に前記熱源装置が途中に接続された給湯用流路とを備えた熱供給システムであって、前記補水路の上流側の端部は、前記給湯用流路に接続されており、前記補水路に設けられて前記暖房タンクへの水の補給又は停止を行なう補水弁と、外気又は前記給湯用流路の水又は前記補水路の水の温度を検知する温度検知部と、前記温度検知部により検知された温度値が所定の値以下になると前記補水弁を開放させて凍結予防運転を行なわせる制御装置とを備え、前記暖房タンクは、前記オーバーフロー用の排水口よりも下方に設定されて当該暖房タンク内の液面が上限位置にまで上昇したことを検知する上限位置検知部を備えており、前記制御装置は、前記温度検知部により検知された温度値が所定の値よりも大きい場合、前記上限位置検知部が上限位置にある液面を検知すると前記補水弁を閉塞させ、前記温度検知部により検知された温度値が所定の値以下の場合、前記上限位置検知部が上限位置にある液面を検知しても、前記補水弁を開放させたまま保持させることを特徴とする。
【0013】
また本発明の熱供給システムは、暖房用端末に熱を供給するための熱源装置と、前記熱源装置及び前記暖房用端末を接続する熱媒循環路と、前記熱媒循環路の途中に接続されると共にオーバーフロー用の排水口を有する暖房タンクと、前記暖房タンクに接続されて当該暖房タンクへ水を補給するための補水路と、上流側の端部が給水源に接続されると共に前記熱源装置が途中に接続された給湯用流路とを備えた熱供給システムであって、前記補水路の上流側の端部は、前記給湯用流路に接続されており、前記補水路に設けられて前記暖房タンクへの水の補給又は停止を行なう補水弁と、外気又は前記給湯用流路の水又は前記補水路の水の温度を検知する温度検知部と、前記温度検知部により検知された温度値が所定の値以下になると前記補水弁を開放させて凍結予防運転を行なわせる制御装置とを備え、前記熱源装置は、前記熱媒循環路の熱媒を加熱する第1の熱源部と、前記給湯用流路の水を加熱する第2の熱源部とを備え、前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分が前記第2の熱源部の下流側に設けられ、前記制御装置は、前記第1の熱源部による加熱が行われた状態では、前記第2の熱源部による加熱を行った状態で凍結予防運転を実行させ、前記第1の熱源部による加熱が行われていない状態では、前記第2の熱源部による加熱を停止した状態で凍結予防運転を実行させるものであることを特徴とする。
【0014】
また本発明の熱供給システムにおいて、前記給湯用流路は前記熱源装置の下流側に設けられた水量調整弁を有しており、前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分は、前記水量調整弁よりも下流側に設けられていることが好ましい。
また本発明の熱供給システムにおいて、前記熱源装置、前記熱媒循環路、前記暖房タンク、前記補水路、前記給湯用流路、前記水量調整弁を内部に収容した筐体を備えており、前記給湯用流路の下流側の端部には、前記筐体の外部の二次側配管に接続される出口部が設けられており、前記補水路が前記給湯用流路から分岐した部分は、前記出口部のすぐ上流側に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱供給システムは、補水路の上流側の端部が給湯用流路に接続されているため、給湯用流路の出口部が開放していなくても、給湯用流路の水を流通させることができると共に、補水路の水を流通させることができる。給湯用流路と補水路とを経て暖房タンクに補給された水は、暖房タンクでオーバーフロー用の排水口を介して排水される。これにより、凍結防止用のヒーターが設けられていなくても、凍結予防を行なうことができる。
【0016】
この結果、本発明の熱供給システムによれば、凍結予防運転において、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の熱供給システムの全体構成図である。
図2】本実施形態の制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0019】
本実施形態の熱供給システムは、図1に示されるように、熱源装置1と、暖房用端末2と、熱媒循環路3と、暖房タンク4と、給湯用流路8と、制御装置9とを備えている。また熱供給システムは、浴湯の追い焚きを行なうための追焚き用回路5を備えている。また、熱供給システムは、熱源装置1として、暖房回路用の熱源部11と、給湯用流路8の熱源部15とを備えている。つまり、本実施形態の熱供給システムは、いわゆる、2缶3水路方式の熱供給システムである。なお、本実施形態の熱供給システムの熱媒には水が使用される。
【0020】
熱源装置1は、第1の熱源部11と、第2の熱源部15とを備えている。熱源装置1は、暖房用端末2に熱を供給するために設けられている。第1の熱源部11は、熱媒循環路3を流通する熱媒を加熱する。第2の熱源部15は、給湯用流路8を流通する水を加熱する。第1の熱源部11及び第2の熱源部15は、ガスバーナ12,16と、顕熱熱交換器13,17と、潜熱熱交換器14,18とをそれぞれ備えている。
【0021】
ガスバーナ12,16には、ガス供給路121が接続されている。ガス供給路121は、ガスバーナ12,16に燃料ガスを供給する。燃料ガスは、例えば、都市ガスやプロパンガス等が挙げられる。
【0022】
顕熱熱交換器13,17は、ガスバーナ12,16の排ガスの顕熱を回収する。潜熱熱交換器14,18は、ガスバーナ12の排ガスの潜熱を回収する。潜熱熱交換器14,18は、顕熱熱交換器13,17で熱交換した後の排ガスと熱交換するようになっている。なお、潜熱熱交換器14,18を経た排ガスは、凝縮して液体に変化し、ドレンを介して排出される。
【0023】
第1の熱源部11において、顕熱熱交換器13と潜熱熱交換器14とは、第1の熱交中間流路31を介して接続されている。第1の熱交中間流路31は、熱媒循環路3の一部である。第1の熱交中間流路31は、潜熱熱交換器14の熱媒出口142と顕熱熱交換器13の熱媒入口131との間に接続される。第1の熱交中間流路31は、タンク復路32と、タンク往路33とを備えている。タンク復路32は、潜熱熱交換器14の熱媒出口142と暖房タンク4の流入口41とを接続する。タンク往路33は、暖房タンク4の流出口42と顕熱熱交換器13の熱媒入口131とを接続する。
【0024】
第2の熱源部15において、顕熱熱交換器17と潜熱熱交換器18とは、第2の熱交中間流路81を介して接続されている。第2の熱交中間流路81は、第2の熱源部15の潜熱熱交換器18の出口182と顕熱熱交換器17の入口171とを連通接続する。
【0025】
なお熱源装置1は、ガスバーナ12,16に限らず、排熱を利用して熱媒又は湯水を加熱するものであってもよい。熱源装置1は、例えば、原動機駆動式の発電装置であってもよい。原動機駆動式の発電装置は、電気及び排熱を発生させる。熱源装置1として原動機駆動式の発電装置を用いることで、いわゆる、コージェネレーションシステムを構成することができる。
【0026】
暖房用端末2は、熱源装置1から熱を得て作動する。具体的に暖房用端末2は、熱媒を介して熱源装置1から熱を得る。暖房用端末2は、単数又は複数設けられている。なお、暖房用端末2の熱媒の流入口21には、弁(例えば、熱動弁)(図示せず)が設けられている。
【0027】
熱媒循環路3は、熱源装置1と暖房用端末2とを接続する。熱媒循環路3内には、熱媒が流通する。熱媒循環路3は、循環往路34と、循環復路35と、上述の第1の熱交中間流路31とを備えている。循環往路34は、顕熱熱交換器13の熱媒出口132と、暖房用端末2における熱媒の入口21とを接続する。循環復路35は、暖房用端末2における熱媒の出口22と、潜熱熱交換器14の熱媒入口141とを接続する。熱媒循環路3の途中には、循環ポンプ36が接続されている。これにより熱媒は、熱媒循環路3内を流通し、熱源装置1と暖房用端末2との間で循環する。
【0028】
暖房タンク4は、加熱に伴う熱媒の膨張・収縮による体積変化を吸収するために用いられる。暖房タンク4は、流入口41と、流出口42とを備えている。暖房タンク4の内部には熱媒が貯留される。流入口41は、暖房タンク4内へ熱媒を流入させる。流出口42は、暖房タンク4内から熱媒を流出させる。流入口41は、潜熱熱交換器14の熱媒出口142に、タンク復路32を介して接続されている。流出口42は、顕熱熱交換器13の熱媒入口131に、タンク往路33を介して接続されている。言い換えると暖房タンク4は、熱媒循環路3の途中に接続されている。
【0029】
暖房タンク4には、補水路7が接続されている。補水路7は、暖房タンク4内の熱媒が不足した場合等に、熱媒を供給するために用いられる。言い換えると補水路7は、暖房タンク4へ水を補給するためのものである。補水路7は、分岐部72を有している。分岐部72は、補水路7の上流側の端部と給湯用流路8との接続部分である。言い換えると、補水路7の上流側の端部は、給湯用流路8に接続されている。
【0030】
補水路7には、補水弁71が設けられている。補水弁71は、暖房タンク4への水の補給又は停止を行なう。補水弁71は、例えば、電磁弁により構成されている。補水弁71は、制御装置9に接続されており、その開閉駆動が制御されている。
【0031】
暖房タンク4は、オーバーフロー用の排水口43を有している。オーバーフロー用の排水口43は、熱媒の膨張に伴って液面が上昇した際に、余剰分を排水するために設けられている。排水口43には、排水路47が連通接続されている。
【0032】
暖房タンク4は、液面検知装置44を備えている。液面検知装置44は、暖房タンク4内の熱媒の液面の高さを検知する。液面検知装置44は、制御装置9に接続されている。液面検知装置44は、下限位置検知部46と、上限位置検知部45とを有している。
【0033】
上限位置検知部45は、オーバーフロー用の排水口43よりも下方に設定されている。上限位置検知部45は、暖房タンク4の熱媒の液面が上限位置にまで上昇したことを検知する。上限位置検知部45は、暖房タンク4内の液面が上限位置にまで上昇したことを検知すると、その旨の信号を制御装置9に出力する。制御装置9は、上限位置検知部45から出力された信号が入力されると、その信号に基づいて補水弁71を制御する。具体的な制御は後に詳述する。
【0034】
下限位置検知部46は、上限位置検知部45の設定高さよりも下方に設定されている。下限位置検知部46は、暖房タンク4の熱媒の液面が下限位置にまで下降したことを検知する。下限位置検知部46は、暖房タンク4内の液面が下限位置にまで下降したことを検知すると、その旨の信号を制御装置9に出力する。制御装置9は、下限位置検知部46から出力された信号が入力されると、補水弁71を開放させるよう制御する。
【0035】
なお、暖房タンク4としては、密閉型の暖房タンク4でもよいし、開放型の暖房タンク4でもよい。
【0036】
給湯用流路8は、給水路82と、給湯路83と、上述の第2の熱交中間流路81とを備えている。給水路82の上流側の端部は、給水源に接続されている。給水源は、例えば、水道管である。給水路82の下流側の端部は、第2の熱源部15における潜熱熱交換器14の入口181に接続される。給湯路83の上流側の端部は、第2の熱源部15における顕熱熱交換器13の出口172に接続される。言い換えると給湯用流路8には、その途中に熱源装置1が接続されている。
【0037】
給湯路83の下流側の端部には、出口部87が設けられている。出口部87は、二次側配管872に接続するためのコネクタ871を有している。二次側配管872は、コネクタを介して接続される。二次側配管872の下流側の端部には、例えば、給湯栓(図示せず)が接続される。
【0038】
また給湯用流路8には、熱源装置1をバイパスするようにしてバイパス流路84が設けられている。バイパス流路84は、熱源装置1の前後において給水路82と給湯路83とを接続する。またバイパス流路84には、弁(例えば、ステッピングモータ、サーボモータ等の水量調整弁)85が接続されている。
【0039】
給湯路83には水量調整弁86が設けられている。言い換えると、給湯用流路8は水量調整弁86を有している。水量調整弁86は、第2の熱源部15の下流側に設けられている。水量調整弁86は、給湯用流路8内を流通する湯水の流量を調整するために設けられている。
【0040】
補水路7が給湯用流路8から分岐した部分(分岐部72)は、第2の熱源部15の下流側に設けられている。さらに詳しく説明すると、分岐部72は、水量調整弁86の下流側に設けられており、給湯用流路8の出口部87のすぐ上流側に設けられている。これにより、補水路7には、水量調整弁86により流量が調整された湯水が流通する。
【0041】
熱媒循環路3には、追焚き用回路5が接続されている。追焚き用回路5は、浴湯の追い焚きを行なうために設けられている。追焚き用回路5の上流側の端部は、循環往路34の途中に接続される。追焚き用回路5の下流側の端部は、循環復路35の途中に接続される。追焚き用回路5は、追焚き用熱交換器51と、追焚き用熱媒路52と、追焚き循環路6とを備えている。
【0042】
追焚き用熱交換器51は、追焚き用熱媒路52の途中に設けられている。追焚き用熱交換器51は、暖房用端末2と並列になるように、熱媒循環路3に接続されている。言い換えると、追焚き用回路5は、暖房用端末2と並列になるよう熱媒循環路3に設けられている。追焚き用熱交換器51は、浴湯と熱媒とで熱交換を行なわせる。追焚き用熱媒路52の途中には、弁(例えば、熱動弁)53が設けられている。この弁53が開放すると、追焚き用熱媒路52に熱媒が流通する。またこの弁53が閉塞すると、追焚き用熱媒路52に熱媒が流通しない。
【0043】
追焚き循環路6は、浴槽64と追焚き用熱交換器51とを接続する。追焚き循環路6は、浴湯の追い焚きを行なうために設けられている。追焚き循環路6は、ふろ往路61と、ふろ復路62とを備えている。浴槽64は、吸入口65と吐出口66とを備えている。ふろ往路61は、浴槽64の吸入口65と追焚き用熱交換器51とを接続する。ふろ復路62は、追焚き用熱交換器51と浴槽64の吐出口66とを接続する。また追焚き循環路6には、浴湯ポンプ63が接続されている。これにより、浴湯は追焚き循環路6内を流通する。
【0044】
本実施形態の熱供給システムは、温度検知部111を備えている(図2参照)。温度検知部111は、外気の温度を検知する。温度検知部111は、外気の温度を検知すると、その温度値を制御装置9に出力する。
【0045】
なお温度検知部111は、給湯用流路8の水温を検知するものであってもよい。また温度検知部111は、補水路7の水温を検知するものであってもよい。すなわち温度検知部111は、外気、給湯用流路8の水、補水路7の水のうちのいずれかの温度を検知するものであってもよいし、全部の温度を検知するものであってもよい。また温度検知部111は、上記のうちのいずれか2つの温度を検知するものであってもよい。言い換えると、温度検知部111は、外気又は給湯用流路8の水又は補水路7の水の温度を検知するものであればよい。
【0046】
制御装置9は、熱源装置1を制御する。また制御装置9は、補水弁71の駆動を制御する。制御装置9は、水量調整弁86や各種駆動弁の駆動を制御する。さらに制御装置9は、循環ポンプ36や浴湯ポンプ63の駆動を制御する。制御装置9は、マイクロプロセッサを主構成要素とするコンピュータにより構成されている。
【0047】
制御装置9は、図2に示されるように、運転制御部90と、弁制御部91と、ポンプ制御部92と、熱源装置制御部93と、水量制御部100とを備えている。また熱源装置制御部93は、第1の熱源制御部94と、第2の熱源制御部95とを備えている。
【0048】
運転制御部90には、リモコン112からの指令信号が入力される。リモコン112は、暖房用端末2の運転の指令を出力する暖房端末用リモコンや、浴湯の追い焚き運転の指令を出力する追い焚き用リモコンや、給湯の開始や給湯温度の指令を出力するリモコンを含む。また運転制御部90には、給湯用流路8の給湯栓が開栓した旨の信号も入力される。運転制御部90は、リモコン112等から入力された信号に基づいて、熱源装置制御部93・弁制御部91・ポンプ制御部92の各部に、各運転(暖房用端末2の運転・追い焚き運転・給湯運転)に基づいた情報を出力する。
【0049】
熱源装置制御部93は、熱源装置1の駆動を制御する。熱源装置制御部93は、各運転に応じた熱源装置1の挙動を決定する。つまり、熱源装置制御部93は、運転制御部90から入力された各運転の信号に基づいて、第1の熱源部11又は第2の熱源部15のいずれかを駆動させるのか、あるいはその両方を駆動させるのかを決定する。また熱源装置制御部93は、第1の熱源部11及び第2の熱源部15の加熱量の決定も行う。例えば、暖房用端末2だけの運転の場合、第1の熱源部11をONとし且つ第2の熱源部15をOFFとする決定を行い、第1の熱源部11の加熱量の決定も行なう。熱源装置制御部93は、運転制御部90からの前記信号が入力されると、第1の熱源制御部94にON/OFF信号及び加熱量の信号を出力する。また、熱源装置制御部93は、運転制御部90からの前記信号が入力されると、第2の熱源制御部95にON/OFF信号及び加熱量の信号を出力する。
【0050】
第1の熱源制御部94は、ON/OFF制御部941と、加熱量制御部942とを備えている。ON/OFF制御部941は、熱源装置制御部93からの信号が入力されると、第1の熱源部11の加熱のON/OFFを切り替える。具体的に、ON/OFF制御部941は、燃料ガスの供給路121の開閉を切り替えることで、バーナ12の燃焼の有無を切り替える。加熱量制御部942は、熱源装置制御部93からの信号が入力されると、第1の熱源部11の加熱量制御を行う。具体的に、加熱量制御部942は、燃料ガスの供給路121の開度を調整することで、バーナ12の加熱量を制御する。
【0051】
第2の熱源制御部95も、ON/OFF制御部951と、加熱量制御部952とを備えている。ON/OFF制御部951は、熱源装置制御部93からの信号が入力されると、第2の熱源部15の加熱のON/OFFを切り替える。具体的に、ON/OFF制御部951は、燃料ガスの供給路121の開閉を切り替えることで、バーナ16の燃焼の有無を切り替える。加熱量制御部952は、熱源装置制御部93からの信号が入力されると、第2の熱源部15の加熱量制御を行う。具体的に、加熱量制御部942は、燃料ガスの供給路121の開度を調整することで、バーナ16の加熱量を制御する。
【0052】
弁制御部91は、各部の駆動弁の開閉駆動を制御する。弁制御部91は、運転制御部90からの信号が入力されると、各運転に応じた弁の開閉を決定し、開閉制御を行う。
【0053】
ポンプ制御部92は、循環ポンプ36と浴湯ポンプ63の駆動を制御する。ポンプ制御部92は、運転制御部90からの信号が入力されると、各運転に応じて、循環ポンプ36や浴湯ポンプ63のON/OFF制御や、モータの回転数の制御を行う。モータの制御は、例えば、インバーター制御により行われる。これにより熱媒循環路3における熱媒の循環流量や、追焚き循環路6の浴湯の循環流量を制御する。
【0054】
水量制御部100は、給湯用流路8に設けられた水量調整弁86の開度を制御する。水量制御部100は、運転制御部90からの信号が入力されると、その信号に基づいて、給湯用流路8の流量を制御する。
【0055】
また制御装置9は、比較部96と、凍結予防運転制御部97と、補水弁制御部98と、液面制御部99とを備えている。また制御装置9は、温度閾値メモリ961を備えている。
【0056】
温度閾値メモリ961には、予め設定された凍結予防運転を作動させるための温度閾値が記憶されている。温度閾値は、工場出荷時に設定されていてもよいし、施工後に任意に温度設定が変更可能とされていてもよい。温度閾値メモリ961は、例えば、不揮発性メモリにより構成される。
【0057】
比較部96には、温度検知部111により検知した温度値が入力される。また、比較部96は、温度閾値メモリ961から温度閾値が入力される。比較部96は、温度閾値メモリ961から入力された温度閾値と、温度検知部111から入力された温度値とを比較する。比較部96は、温度値が温度閾値以下か、或いは、温度値が温度閾値よりも大きいかを判断する。比較部96は、その比較判断した結果を凍結予防運転制御部97に出力する。
【0058】
凍結予防運転制御部97は、比較部96からの信号が入力されると、凍結予防運転を実行するか否かを判断する。凍結予防運転制御部97は、温度検知部111の温度値が温度閾値以下である旨の信号が入力されると、水量制御部100・熱源装置制御部93・補水弁制御部98に、凍結予防運転を開始させる旨の信号を出力する。
【0059】
水量制御部100は、凍結予防運転制御部97から凍結予防運転を開始させる旨の信号が入力されると、水量調整弁86を絞らせ、給湯用流路8を流通する水の流量が小さくなるよう制御する。なお、水量制御部100は、給湯運転と凍結予防運転とが同時に行なわれる場合、水量調整弁86に対し流量を小さくする制御は行なわない。
【0060】
液面制御部99には、液面検知装置44の下限位置検知部46からの信号が入力される。また液面制御部99には、液面検知装置44の上限位置検知部45からの信号が入力される。液面制御部99は、下限位置検知部46からの信号が入力されると、暖房タンク4内の水が不足していると判断し、補水を開始すべきである旨の信号を補水弁制御部98に出力する。また液面制御部99は、上限位置検知部45からの信号が入力されると、暖房タンク4内の水が満水であると判断し、補水を停止すべきである旨の信号を補水弁制御部98に出力する。
【0061】
補水弁制御部98は、補水弁71の駆動を制御する。補水弁制御部98は、液面制御部99からの信号が入力されると、その信号に基づいて、補水弁71の開閉を切り替える。具体的に、補水弁制御部98は、補水を開始すべき旨の信号が液面制御部99から入力されると、補水弁71を開放させる。また、補水弁制御部98は、補水を停止すべき旨の信号が液面制御部99から入力されると、補水弁71を閉塞させる。
【0062】
また、補水弁制御部98は、凍結予防運転制御部97から凍結予防運転を開始させる旨の信号が入力されると、補水弁71を開放させる。これにより、暖房タンク4内に水が補給される。
【0063】
ところで凍結予防運転により、暖房タンク4への補水が継続すると、液面が上昇して、上限位置検知部45が液面の上限を検知する。しかしながら本実施形態の補水弁制御部98は、この場合、補水弁71を閉塞させないよう制御する。言い換えると、補水弁制御部98は、凍結予防運転制御部97から凍結予防運転を開始させる旨の信号が入力された場合に、液面制御部99から補水を停止すべき旨の信号が入力されたとしても、補水弁71を開放させたまま保持させるものである。
【0064】
熱源装置制御部93は、凍結予防運転制御部97から凍結予防運転を開始させる旨の信号が入力されると、熱源装置1を制御する。具体的に熱源装置制御部93は、第1の熱源部11が加熱を行っている場合に、凍結予防運転が実行されると、第2の熱源制御部95に、第2の熱源部15で加熱を行わせる旨の信号を出力する。また、熱源装置制御部93は、第1の熱源部11が加熱を行っていない場合に、凍結予防運転が実行されると、第2の熱源制御部95に、第2の熱源部15で加熱を行わない旨の信号を出力する。
【0065】
このような構成の熱供給システムは、次のようにして作動する。
【0066】
ユーザーが給湯運転を開始させると、制御装置9の運転制御部90には、給湯運転を行なう旨の信号が入力される。すると運転制御部90は、弁制御部91と熱源装置制御部93とに、給湯運転を行なう旨の信号を出力する。弁制御部91は、バイパス流路84の弁85の開度を制御し、これにより熱源装置1を出た湯水とバイパス流路84を流通した水とを混合させて湯温を調整する。熱源装置制御部93は、第2の熱源部15をONさせる。
【0067】
給水路82には、給水源からの水が流入する。この水は、潜熱熱交換器18に流入し、その後、顕熱熱交換器17に流入する。潜熱熱交換器18及び顕熱熱交換器17で熱交換した水は、給湯路83に流入し、出口部87を介して、二次側配管872に流通する。その後、水は、二次側配管872に接続された給湯栓を介して吐出される。
【0068】
このとき、暖房タンク4の液面が下限位置と上限位置との間に位置している場合には、補水弁71は閉塞されている。一方、暖房タンク4の液面が下限位置以下に下降した場合には、液面検知装置44の下限位置検知部46は、暖房タンク4内の液面が下限位置以下に下降した旨の信号を液面制御部99に出力する。液面制御部99は、液面検知装置44からの信号が入力されると、補水すべき旨の信号を補水弁制御部98に出力する。補水すべき旨の信号が入力された補水弁制御部98は、補水弁71を開放させる。
【0069】
すると、給湯路83を流通する湯水は、補水路7を介して暖房タンク4に流入する。暖房タンク4の液面が上限位置にまで上昇すると、液面検知装置44の上限位置検知部45は、液面が上限位置まで上昇した旨の信号を液面制御部99に出力する。これにより補水弁制御部98は、補水弁71を閉塞させる。
【0070】
次に、凍結予防運転が実行される場合につき説明する。
【0071】
温度検知部111が外気の温度を検知すると、この温度検知部111は検知した温度値を比較部96に出力する。比較部96は、温度閾値メモリ961から取得した温度閾値と温度値とを比較し、温度値が温度閾値以下である場合、温度値が温度閾値以下である旨の信号を凍結予防運転制御部97に出力する。凍結予防運転制御部97は、温度値が温度閾値以下である旨の信号が入力されると、凍結予防運転を実行すべきであると判断し、凍結予防運転を行なう旨の信号を、補水弁制御部98と、水量制御部100と、熱源装置制御部93に出力する。補水弁制御部98は、補水弁71を開放させる。水量制御部100は、給湯用流路8を流通する水の流量が小さくなるよう水量調整弁86を制御する。熱源装置制御部93は、第1の熱源部11が作動していない場合、第2の熱源部15を作動させない。
【0072】
すると、給水路82を流通した水は、加熱されていない潜熱熱交換器18と顕熱熱交換器17とを流通し、給湯路83に流通する。次いで、その水は、分岐部72を介して補水路7に流入し、補水弁71を介して暖房タンク4に流入する。暖房タンク4内の液面は上昇し、上限位置検知部45が液面を検知する。
【0073】
上限位置検知部45は、液面が上限位置にまで上昇すると、その旨の信号を液面制御部99に出力する。液面制御部99は、補水を停止すべきである旨の信号を補水弁制御部98に出力する。しかし、補水弁制御部98は、凍結予防運転制御部97から凍結予防運転を実行する旨の信号が入力されているため、補水弁71を開放したままの状態で保持する。暖房タンク4内の水は、液面の上昇に伴い、オーバーフロー用の排水口43を介して排水路47に流入し、排水される。
【0074】
これにより、外気が所定の温度以下となった場合でも、給湯用流路8・潜熱熱交換器18・顕熱熱交換器17・補水路7内の水を、一定の位置に留まらせず流通させることができるため、凍結を予防することができる。
【0075】
次に暖房用端末2の運転を行う場合につき説明する。
【0076】
ユーザーがリモコン112を操作して暖房用端末2を駆動させると、制御装置9の運転制御部90には、暖房用端末2の運転の指令信号が入力される。すると運転制御部90は、ポンプ制御部92と弁制御部91と熱源装置制御部93とに、暖房用端末2の運転を行う旨の信号を出力する。ポンプ制御部92は、循環ポンプ36を駆動させる。弁制御部91は、暖房用端末2の流入口21の弁を開放させる。また、弁制御部91は、追い焚き用回路5の弁53を閉塞させる。熱源装置制御部93は、第1の熱源部11をONさせる。
【0077】
すると、熱媒は熱媒循環路3を循環する。潜熱熱交換器14を出た熱媒は、タンク復路32を通って暖房タンク4に流入する。次いで熱媒は、暖房タンク4から流出し、顕熱熱交換器13を通過して熱媒往路34を流通する。熱媒は、暖房用端末2に流入して熱交換し、この後、熱媒復路35を介して再び潜熱熱交換器14に流入する。
【0078】
次に追い焚き運転を行う場合につき説明する。
【0079】
ユーザーがリモコン112を操作して追い焚き運転を実行すると、制御装置9の運転制御部90には、追い焚き運転の指令信号が入力される。すると運転制御部90は、ポンプ制御部92と弁制御部91と熱源装置制御部93とに、追い焚き運転を行う旨の信号を出力する。ポンプ制御部92は、循環ポンプ36及び浴湯ポンプ63を駆動させる。弁制御部91は、暖房用端末2の流入口21の弁を閉塞させ、追焚き用回路5の弁53を開放させる。熱源装置制御部93は、第1の熱源部11をONさせる。
【0080】
なお、追い焚き運転と暖房端末運転とが同時に実行される場合には、暖房用端末2の流入口21の弁は開放させる。
【0081】
すると、熱媒は熱媒循環路3を循環する。潜熱熱交換器を出た熱媒は、タンク復路32を通って暖房タンク4に流入する。次いで熱媒は、暖房タンク4から流出し、顕熱熱交換器13を通過して熱媒往路34を流通する。熱媒は、追焚き用熱交換器51を介して、熱媒復路35に流入し、再び潜熱熱交換器14に流入する。
【0082】
このとき、浴槽64内の浴湯は、吸入口65を介してふろ往路61に取り込まれる。浴湯は、ふろ往路61を介して追焚き用熱交換器51に流入する。追焚き用熱交換器51に流入した浴湯は、熱媒との間で熱交換することで熱媒から熱を受け取り、これにより温度が上昇する。この後、浴湯は、ふろ復路62を経て、浴槽64内へ戻される。このようにして浴湯が循環されることで、浴槽64内の浴湯が温度上昇する。
【0083】
ところで、暖房用端末2の運転や追い焚き運転を行なう場合、熱媒は暖房タンク4内に一旦貯留される。一方、暖房用端末2の運転や追い焚き運転が行われているときでも、温度検知部111が所定の温度以下を検知すると、凍結予防運転が実行される。このため、暖房用端末2の運転中や、追い焚き運転中に、凍結予防運転が実行されると、暖房タンク4に低温の水が補給され続けるため、熱媒循環路3を循環する熱媒の温度が低下してしまう。
【0084】
この点について、本実施形態の熱供給システムの熱源装置1は、凍結予防運転を実行させるに当たり、第1の熱源部11による加熱が行われた状態では、第2の熱源部15による加熱を行った状態で、凍結予防運転を実行させる。つまり、この場合、加熱された水が暖房タンク4に補給されることになるため、熱媒循環路3を循環する熱媒の温度が低下しにくい。
【0085】
このような構成の熱供給システムは、筐体110に覆われている。筐体110は、熱源装置1、熱媒循環路3、暖房タンク4、補水路7、給湯用流路8、水量調整弁86、制御装置9を内部に収容する。筐体110からは、各種配管の接続部が接続可能な状態で設けられている。各種配管の接続部は、例えば、燃料ガスの供給路121のガス接続部19、オーバーフロー用の排水口43に接続された排水路47の接続部48、給水路82の入口部88、給湯路83の出口部87、暖房用端末2の接続部23、追焚き循環路6の接続部67等が挙げられる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の熱供給システムは、熱源装置1と、熱媒循環路3と、暖房タンク4と、補水路7と、給湯用流路8とを備えている。暖房タンク4はオーバーフロー用の排水口43を有している。給湯用流路8は、上流側の端部が給水源に接続されている。給湯用流路8は、熱源装置1が途中に接続されている。補水路7は暖房タンク4へ水を補給する。補水路7の上流側の端部は、給湯用流路8に接続されている。
【0087】
このため、本実施形態の熱供給システムは、給湯用流路8の下流側の吐出口が閉栓していた場合でも、給湯用流路8を流通した水は、補水路7を介して暖房タンク4に流入する。暖房タンク4に流入した水は、オーバーフローして排水口43を介して排水される。これにより、本実施形態の熱供給システムは、給湯用流路8の下流側の吐出口が閉栓していたとしても、給湯用流路8と補水路7との管内の水を流通させることができるため、凍結予防を行うことができる。しかも本実施形態の熱供給システムによれば、凍結予防用のヒーターを減らすことができるため、製造コストを削減できると共に、消費電力の低減も図ることができる。
【0088】
また本実施形態の熱供給システムは、補水弁71と、温度検知部111と、制御装置9とを備えている。補水弁71は、補水路7に設けられている。温度検知部111は、外気又は給湯用流路8の水又は補水路7の水の温度を検知する。制御装置9は、温度検知部111により検知された温度値が所定の値以下になると補水弁71を開放させる。
【0089】
このように本実施形態の熱供給システムは、温度検知部111により検知された温度値が所定の値以下になると、制御装置9が補水弁71を開放して暖房タンク4内に水を流入させる。これにより、本実施形態の熱供給システムは、給湯用流路8に凍結予防用のヒーターを設けなくても、給湯用流路8の凍結予防を自動で行うことができる。
【0090】
また本実施形態の熱供給システムの給湯用流路8は、水量調整弁86を有している。水量調整弁86は、熱源装置1の下流側に設けられている。補水路7が給湯用流路8から分岐した部分は、水量調整弁86よりも下流側に設けられている。
【0091】
このため本実施形態の熱供給システムは、水量調整弁86により流量を制限して、凍結予防運転を行うことができる。これにより、本実施形態の熱供給システムのように補水路7に水を流通させることで給湯用流路8の凍結予防を図るものであっても、排水量が大きくなり過ぎないようにできる。
【0092】
また本実施形態の熱供給システムは、筐体110を備えている。給湯用流路8の下流側の端部には出口部87が設けられている。出口部87は、筐体110の外部の二次側配管872に接続される。補水路7が前記給湯用流路8から分岐した部分は、出口部87のすぐ上流側に設けられている。
【0093】
このため、凍結予防運転において、内部を流通する水を、給湯用流路8において給水源から出口部87のすぐ上流側まで流通させることができる。これにより、給湯用流路8の略全長に亘って凍結予防を行なうことができる。
【0094】
また本実施形態の熱供給システムは、上限位置検知部45を備えている。制御装置9は、温度検知部111により検知された温度値が所定の値よりも大きい場合、上限位置検知部45が上限位置にある液面を検知すると、補水弁71を閉塞させる。また制御装置9は、温度検知部111により検知された温度値が所定の値以下の場合、上限位置検知部45が上限位置にある液面を検知しても、補水弁71を開放させたまま保持させる。
【0095】
これにより、本実施形態の熱供給システムは、通常時は暖房タンク4の液面の管理・制御を行いながら、それでいて、低温時には、凍結予防運転を実行させることができる。
【0096】
また本実施形態の熱供給システムにおいて、補水路7が前記給湯用流路8から分岐した部分は、第2の熱源部15の下流側に設けられている。制御装置9は、第1の熱源部11による加熱が行われた状態では、第2の熱源部15による加熱を行った状態で凍結予防運転を実行させる。また、制御装置9は、第1の熱源部11による加熱が行われていない状態では、第2の熱源部15による加熱を停止した状態で凍結予防運転を実行させる。
【0097】
これにより、暖房用端末2の運転や追い焚き運転が実行されているときに、給湯用流路8の凍結予防運転が実行されたとしても、暖房タンク4内に、低温の水が補給されるのを防ぐことができる。このため、暖房用端末2の運転時や、追い焚き運転時において、熱効率を低下させないようにできる。
【0098】
なお、本実施形態の熱供給システムの熱源装置1は、潜熱熱交換器14を有していたが、本発明の熱供給システムにおいて、熱源装置は、潜熱熱交換器を有していなくてもよい。また本発明の熱源装置は、本実施形態のものに限定されない。
【符号の説明】
【0099】
1 熱源装置
11 第1の熱源部
12 ガスバーナ
13 顕熱熱交換器
14 潜熱熱交換器
15 第2の熱源部
17 顕熱熱交換器
18 潜熱熱交換器
2 暖房用端末
3 熱媒循環路
36 循環ポンプ
4 暖房タンク
43 排水口
44 液面検知装置
45 上限位置検知部
46 下限位置検知部
47 排水路
5 追焚き用回路
6 追焚き循環路
63 浴湯ポンプ
64 浴槽
7 補水路
71 補水弁
72 分岐部
8 給湯用流路
82 給水路
83 給湯路
86 水量調整弁
87 出口部
872 二次側配管
9 制御装置
110 筐体
111 温度検知部
図1
図2