(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、熱源装置と、熱源装置からの熱を得て作動する暖房用端末とを備えた熱供給システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1記載の熱供給システムは、暖房バーナと、暖房端末と、熱媒循環路と、膨張タンクとを備えている。熱媒循環路は、暖房バーナと暖房端末とを接続する。これにより暖房端末は、暖房バーナからの熱を得て作動する。膨張タンクは、熱媒循環路の途中に接続されている。
【0004】
また、この熱供給システムは、ふろ熱交換器を備えている。このふろ熱交換器は、暖房端末とは並列になるよう熱媒循環路に接続されている。また、ふろ熱交換器は、ふろ循環路に接続されている。ふろ循環路は、浴槽に接続されている。ふろ循環路には、浴槽内に貯留された浴湯が循環する。浴湯は、ふろ熱交換器で熱媒と熱交換し、これにより追い焚きされるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような熱供給システムにおいては、暖房端末内や、暖房端末に繋がる熱媒循環路には、エアが残留していることがある。この残留エアは、熱媒が膨張タンクに流入する際に脱気されるようになっている。
【0007】
一方、追い焚き運転を行なう場合、熱媒は、熱媒循環路とふろ熱交換器とを流通するだけであるため、残留エアが少ないことが多い。このため、追い焚き運転を行なう場合には、熱媒を、わざわざ膨張タンクに流通させる必要がないと考えられる。
【0008】
しかしながら特許文献1の熱供給システムにおいて、浴湯の追い焚き運転を行なうと、熱媒は、暖房端末の作動時と同じように、熱媒循環路と膨張タンクとを通って循環する。すなわち、この熱供給システムでは、追い焚き運転時においても、暖房バーナが、熱媒循環路内の熱媒と、膨張タンク内に溜められた熱媒との両方を加熱しなければならなかった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浴湯の追い焚き運転を行なうに当たり、熱源装置に流通する熱媒の量を抑制し、熱効率を向上できる熱供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱供給システムは、熱源装置と、この熱源装置から熱を得て作動する暖房用端末と、前記熱源装置及び前記暖房用端末を接続する熱媒循環路と、この熱媒循環路の途中に接続されて前記熱媒が貯留される暖房タンクと、前記暖房用端末と並列になるよう前記熱媒循環路に設けられて浴湯の追い焚きを行なうための追焚き用回路とを備えた熱供給システムであって、前記暖房タンクの前後を繋ぐバイパス路と、前記熱媒を前記バイパス路を介して流通させる第1の流路か又は前記熱媒を前記暖房タンクに向かって流通させる第2の流路かに切り替える切替手段と、
前記切替手段の動作を制御する制御部とを備え
、前記制御部は、前記暖房用端末が作動状態かつ浴湯の追い焚き運転が停止状態の場合、および、前記暖房用端末が作動状態かつ浴湯の追い焚き運転が作動状態の場合、前記切替手段を前記第2の流路にし、前記暖房用端末が停止状態かつ浴湯の追い焚き運転が作動状態の場合、前記切替手段を前記第1の流路にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱供給システムによれば、浴湯の追い焚き運転を行なうに当たり、熱源装置に流通する熱媒の量を抑制することができ、これにより熱効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態の熱供給システムは、
図1に示されるように、熱源装置1と、暖房用端末2と、熱媒循環路3と、暖房タンク4と、追焚き用熱交換器51と、追焚き循環路6と、制御部とを備えている。また熱供給システムは、給湯用流路8を備えている。また、熱供給システムは、熱源装置1として、暖房回路用の熱源部11と、給湯用流路8の熱源部15とを備えている。つまり、本実施形態の熱供給システムは、いわゆる、2缶3水路方式の熱供給システムである。
【0015】
熱源装置1は、第1の熱源部11と第2の熱源部15とを備えている。第1の熱源部11は、暖房回路内を流通する熱媒を加熱する。第2の熱源部15は、給湯用流路8を流通する水を加熱する。第1の熱源部11及び第2の熱源部15は、ガスバーナ12,16と、顕熱熱交換器13,17と、潜熱熱交換器14,18とをそれぞれ備えている。
【0016】
ガスバーナ12,16には、ガス供給路121が接続されている。ガス供給路121は、ガスバーナ12,16に燃料ガスを供給する。燃料ガスは、例えば、都市ガスやプロパンガス等が挙げられる。
【0017】
顕熱熱交換器13,17は、ガスバーナ12,16の排ガスの顕熱を回収する。潜熱熱交換器14,18は、ガスバーナの排ガスの潜熱を回収する。潜熱熱交換器14,18は、顕熱熱交換器13,17で熱交換した後の排ガスと熱交換するようになっている。なお、潜熱熱交換器14,18を経た排ガスは、凝縮して液体に変化し、ドレンを介して排出される。
【0018】
第1の熱源部11において、顕熱熱交換器13と潜熱熱交換器14とは、第1の熱交中間流路31を介して接続されている。第1の熱交中間流路31は、熱媒循環路3の一部である。第1の熱交中間流路31は、潜熱熱交換器14の熱媒出口142と顕熱熱交換器13の熱媒入口131との間に接続される。第1の熱交中間流路31は、タンク復路32と、タンク往路33とを備えている。タンク復路32は、潜熱熱交換器14の熱媒出口142と暖房タンク4の流入口41とを接続する。タンク往路33は、暖房タンク4の流出口42と顕熱熱交換器13の熱媒入口131とを接続する。
【0019】
第2の熱源部15において、顕熱熱交換器17と潜熱熱交換器18とは、第2の熱交中間流路81を介して接続されている。
【0020】
なお熱源装置1は、ガスバーナ12,16に限らず、排熱を利用して熱媒又は湯水を加熱するものであってもよい。熱源装置1は、例えば、原動機駆動式の発電装置であってもよい。原動機駆動式の発電装置は、電気及び排熱を発生させる。熱源装置1として原動機駆動式の発電装置を用いることで、いわゆる、コージェネレーションシステムを構成することができる。
【0021】
暖房用端末2は、熱源装置1から熱を得て作動する。具体的に暖房用端末2は、熱媒を介して熱源装置1から熱を得る。暖房用端末2は、単数又は複数設けられている。なお、暖房用端末2の熱媒の流入口21には、弁(例えば、熱動弁)が設けられている。
【0022】
熱媒循環路3は、熱源装置1と暖房用端末2とを接続する。熱媒循環路3内には、熱媒が流通する。熱媒循環路3は、循環往路34と、循環復路35と、上述の第1の熱交中間流路31とを備えている。循環往路34は、顕熱熱交換器13の熱媒出口132と、暖房用端末2における熱媒の入口21とを接続する。循環復路35は、暖房用端末2における熱媒の出口22と、潜熱熱交換器14の熱媒入口141とを接続する。熱媒循環路3の途中には、ポンプ36が接続されている。これにより熱媒は、熱媒循環路3内を流通し、熱源装置1と暖房用端末2との間で循環する。
【0023】
暖房タンク4は、加熱に伴う熱媒の膨張・収縮による体積変化を吸収するために用いられる。暖房タンク4は、流入口41と、流出口42とを備えている。暖房タンク4の内部には熱媒が貯留される。流入口41は、暖房タンク4内へ熱媒を流入させる。流出口42は、暖房タンク4内から熱媒を流出させる。流入口41は、潜熱熱交換器14の熱媒出口142に、タンク復路32を介して接続されている。流出口42は、顕熱熱交換器13の熱媒入口131に、タンク往路33を介して接続されている。言い換えると暖房タンク4は、熱媒循環路3の途中に接続されている。なお、暖房タンク4としては、密閉型の暖房タンクでもよいし、開放型の暖房タンクでもよい。
【0024】
暖房タンク4の上流側及び下流側には、バイパス路70が接続されている。バイパス路70は、タンク復路32とタンク往路33とを接続する。言い換えるとバイパス路70は、暖房タンク4の前後を繋いでいる。
【0025】
本実施形態の熱供給システムは切替手段71を備えている。切替手段71は、第1の流路と第2の流路との間で、熱媒の流路を切り替える。第1の流路は、熱媒が、タンク復路32・バイパス路70・タンク往路33の順に流通する流路である。言い換えると、第1の流路は、熱媒をバイパス路70を介して流通させる。第2の流路は、熱媒が、タンク復路32・暖房タンク4・タンク往路33の順に流通する流路である。言い換えると、第2の流路は、熱媒を前記暖房タンク4に向かって流通させる。
【0026】
切替手段71は、三方弁により構成される。なお、切替手段71としては、三方弁に限らず、例えば、暖房タンク4の流入口41に第1の電磁弁を取り付けると共に、バイパス路70に第2の電磁弁を取り付け、第1の電磁弁と第2の電磁弁とをそれぞれ制御するものであってもよい。
【0027】
熱媒循環路3には、追焚き用回路5が接続されている。追焚き用回路5は、浴湯の追い焚きを行なうために設けられている。追焚き用回路5の上流側の端部は、循環往路34の途中に接続される。追焚き用回路5の下流側の端部は、循環復路35の途中に接続される。追焚き用回路5は、追焚き用熱交換器51と、追焚き用熱媒路52と、追焚き循環路6とを備えている。
【0028】
追焚き用熱交換器51は、追焚き用熱媒路52の途中に設けられている。追焚き用熱交換器51は、暖房用端末2と並列になるように、熱媒循環路3に接続されている。言い換えると、追焚き用回路5は、暖房用端末2と並列になるよう熱媒循環路3に設けられている。追焚き用熱交換器51は、浴湯と熱媒とで熱交換を行なわせる。追焚き用熱媒路52の途中には、弁53(例えば、熱動弁)が設けられている。この弁53が開放すると、追焚き用熱媒路52に熱媒が流通する。またこの弁53が閉塞すると、追焚き用熱媒路52に熱媒が流通しない。
【0029】
追焚き循環路6は、浴槽9と追焚き用熱交換器51とを接続する。追焚き循環路6は、浴湯の追い焚きを行なうために設けられている。追焚き循環路6は、ふろ往路61と、ふろ復路62とを備えている。浴槽9は、吸入口91と吐出口92とを備えている。ふろ往路61は、浴槽9の吸入口91と追焚き用熱交換器51とを接続する。ふろ復路62は、追焚き用熱交換器51と浴槽9の吐出口92とを接続する。また追焚き循環路6には、ポンプ63が接続されている。これにより、浴湯は追焚き循環路6内を流通する。
【0030】
給湯用流路8は、給水路82と、給湯路83と、上述の第2の熱交中間流路81とを備えている。給水路82は、第2の熱源部15における潜熱熱交換器14の入口181に接続される。給湯路83は、第2の熱源部15における顕熱熱交換器13の出口172と給湯栓(図示せず)とを接続する。
【0031】
また給湯用流路8には、熱源装置1をバイパスするようにしてバイパス流路84が設けられている。バイパス流路84は、熱源装置1の前後において給水路82と給湯路83とを接続する。またバイパス流路84には、弁85(例えば、電磁弁)が接続されている。
【0032】
制御部は、切替手段71の動作を制御する。制御部は、浴湯の追い焚き運転が行われると、切替手段71を第1の流路に切り替えるよう制御する。浴湯の追い焚き運転は、ユーザーの操作により選択されてもよいし、浴湯の温度をセンサーにより検知して自動で行なわれるものであってもよい。
【0033】
また制御部は、熱源装置1を制御する。制御部は、熱源装置1の作動/停止や、発熱量の制御を行なう。また制御部は、熱媒循環路3のポンプ36の駆動を制御する。また制御部は、追焚き循環路6のポンプ63の駆動を制御する。制御部は、ポンプ36,63のモータの回転数を制御する。ポンプ36,63のモータの回転数制御は、例えば、インバーター制御により行なう。これにより熱媒循環路3における熱媒の循環流量や、追焚き循環路6の浴湯の循環流量を制御する。また制御部は、暖房用端末2の流入口21に設けられた弁や追焚き用回路5における弁53等の各種駆動弁の開閉動作を制御する。制御部は、マイクロプロセッサを主構成要素とするコンピュータにより構成されている。
【0034】
このような構成の熱供給システムは、次のようにして作動する。
【0035】
ユーザーが、暖房用端末2の停止中に、浴湯の追い焚き運転を選択すると、制御部は、切替手段71を第1の流路に切り替えるよう制御する。また、制御部は、熱源装置1の第1の熱源部11を作動させる。また制御部は、熱媒循環路3のポンプ36と、追焚き循環路6のポンプ63とを作動させる。また制御部は、追焚き用回路5の弁53を開放させ、暖房用端末2の入口21の弁を閉塞させる。
【0036】
すると、熱源装置1により加熱された熱媒は、熱媒循環路3を循環する。潜熱熱交換器14を通過した熱媒は、タンク復路32を流通し、バイパス路70を介してタンク往路33に流入する。熱媒は、顕熱熱交換器13を通過し、循環往路34を経て、追焚き用回路5に流入する。熱媒は、追焚き用熱交換器51を通過して、循環復路35に流入する。この後、熱媒は、再び潜熱熱交換器14に流入する。
【0037】
このとき、浴槽9内の浴湯は、吸入口91を介してふろ往路61に取り込まれる。浴湯は、ふろ往路61を介して追焚き用熱交換器51に流入する。追焚き用熱交換器51に流入した浴湯は、熱媒との間で熱交換することで熱媒から熱を受け取り、これにより温度が上昇する。この後、浴湯は、ふろ復路62を経て、浴槽9内へ戻される。このようにして浴湯が循環されることで、浴槽9内の浴湯が温度上昇する。
【0038】
ユーザーが、浴湯の追い焚き運転を停止させ、暖房用端末2を作動させると、制御部は、切替手段71を第2の流路に切り替えるよう制御する。また、制御部は、熱源装置1の第1の熱源部11を作動させる。また、制御部は、熱媒循環路3のポンプ36を作動させる。また、制御部は、追焚き用回路5の弁53を閉塞させ、暖房用端末2の弁を開放する。
【0039】
すると、熱源装置1により加熱された熱媒は、熱媒循環路3を循環する。潜熱熱交換器14を通過した熱媒は、タンク復路32を流通し、暖房タンク4に流入する。暖房タンク4内の熱媒は、タンク往路33に流入する。熱媒は、タンク往路33・顕熱熱交換器13を経て、循環往路34に流入する。循環往路34内の熱媒は、暖房用端末2に流入する。暖房用端末2に流入した熱媒は、暖房用端末2にて熱交換を行なう。この後、熱媒は、循環復路35を介して、再び潜熱熱交換器14に流入する。
【0040】
なお、ユーザーが、暖房用端末2の作動中に浴湯の追い焚き運転を選択した場合には、制御部は、切替手段71を第2の流路に切り替えるよう制御する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の熱供給システムは、暖房タンク4の前後を繋ぐバイパス路70と、切替手段71と、制御部とを備えている。切替手段71は、第1の流路か又は第2の流路かのいずれかに切り替える。制御部は、浴湯の追い焚き運転が行われると切替手段71を第1の流路に切り替える。
【0042】
このように本実施形態の熱供給システムの熱媒は、浴湯の追い焚き運転の際、暖房タンク4を介さずに、熱媒循環路3を循環する。このため、熱源装置1は、暖房タンク4内に貯留された熱媒については加熱せず、熱媒循環路3内の熱媒を加熱するだけでよい。つまり本実施形態の熱供給システムによれば、浴湯の追い焚き運転に当たって、循環する熱媒の量を削減でき、熱源装置1による加熱量を低減させることができる。
【0043】
ところで従来の熱供給システムでは、熱源装置1により加熱された熱媒は、追い焚き運転の際にも、暖房タンク4に一旦溜められていた。つまり従来の構成では、熱媒は暖房タンク4内で少なくとも一定時間は留まるため、暖房タンク4内で放熱してしまうという問題もある。
【0044】
しかしながら、本実施形態の熱供給システムによれば、加熱された熱媒が暖房タンク4内で留まることがないため、循環する熱媒の量を減らすことができるだけでなく、放熱する熱量の削減をもすることができる。この結果、システム内の熱効率を大きく向上させることができる。
【0045】
また本実施形態の熱供給システムの制御部は、暖房用端末2の運転が停止状態であり且つ浴湯の追い焚き運転が行われた場合に、切替手段71を第1の流路に切り替えるものである。このため、熱媒の循環量が多い暖房用端末2の運転が、追い焚き運転と同時に行なわれる場合には、暖房タンク4を介して熱媒を循環させることができる。
【0046】
なお、本実施形態の熱供給システムの熱源装置1は、潜熱熱交換器14を有していたが、本発明の熱供給システムにおいて、熱源装置は、潜熱熱交換器を有していなくてもよい。また本発明の熱源装置は、本実施形態のものに限定されない。