特許第5893998号(P5893998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893998
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】セパレータ
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/02 20060101AFI20160310BHJP
   B01J 8/02 20060101ALI20160310BHJP
   B65G 65/36 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   B01D45/02
   B01J8/02 B
   B65G65/36
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-101429(P2012-101429)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-226521(P2013-226521A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】391019359
【氏名又は名称】ソフタード工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】城所 雅之
(72)【発明者】
【氏名】内田 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】矢野口 智一
(72)【発明者】
【氏名】山口 慶一
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−195878(JP,A)
【文献】 特開平11−262651(JP,A)
【文献】 特表平10−508819(JP,A)
【文献】 特開昭48−70958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00
B01J 8/00
B65G 65/00
B65G 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一連通部材により触媒が充填された反応塔に連通されるとともに、第二連通部材により吸引装置に連通され、前記吸引装置により内部が減圧され前記反応塔から抜き出された前記触媒を空気と分離するセパレータであって、
前記第一連通部材と接続されたガイド管と、
前記ガイド管が内部に配置され前記第二連通部材と連通する連通口が上部に形成されかつ前記触媒を内部空間に保持するセパレータ本体と、
前記セパレータ本体内に設けられ前記第一連通部材から流れ込む前記触媒の流込方向と反対方向より前記触媒に気体を噴出する噴出管と、
前記セパレータ本体の内部空間を前記ガイド管、前記連通口及び前記噴出管が配置される第一空間とこの第一空間の下方に位置する第二空間との仕切る仕切部材と、
前記仕切部材を前記第一空間と前記第二空間とが仕切られる位置と前記第一空間と前記第二空間とが連通する位置とに駆動する仕切部材駆動機構と、
前記第二空間を開閉自在にする蓋部材と、
前記第二空間を大気に開放する大気開放機構と、
を備えたことを特徴とするセパレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のセパレータにおいて、
前記仕切部材は、前記第一空間と前記第二空間とを区画する際に、前記第一空間に露出する第一板面部と前記第二空間に露出する第二板面部とを有する板状部材を備え、
前記第一板面部と前記第二板面部との間には気体が流通する気体流通部が設けられ、この気体流通部に連通し前記第一空間に気体を供給する気体供給孔が前記第一板面部に形成されていることを特徴とするセパレータ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたセパレータにおいて、
前記セパレータ本体は前記第一空間と前記第二空間とが内部に設けられる1つのタンクであり、前記板状部材の側面の中央部分が前記セパレータ本体に回動自在に設けられ、
前記仕切部材駆動機構は、前記板状部材を回動する回動機構を備えていることを特徴とするセパレータ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載されたセパレータにおいて、
前記セパレータ本体は、内部が前記第一空間を構成し前記仕切部材が開口端に回動自在に設けられたる第一タンクと、内部が前記第二空間を構成しかつ一端側が前記仕切部材を収納し他端側に前記蓋部材が設けられた第二タンクとを備え、
前記板状部材は、その側面に設けられるブラケットと、このブラケットに固定され前記第二タンクに回動自在に設けられる回動軸とを有し、
前記仕切部材駆動機構は、前記回動軸を回動する回動機構を備えることを特徴とするセパレータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたセパレータにおいて、
前記ガイド管は、前記噴出管に向けて前記触媒を案内する円弧状の第一ガイド片と、この第一ガイド片に設けられ前記噴出管から噴出される気体を受ける板状の第二ガイド片とを有することを特徴とするセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油精製プラントや化学プラント等の反応塔内で使用された触媒を空気と分離するセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石油精製プラントや化学プラント等の反応塔内で使用する触媒は、化学反応で使用した後、反応塔内から回収する必要がある。使用後の触媒を回収するための装置として吸引装置が知られている。
また、このような吸引装置と反応塔との間に配置されて、吸引装置により吸引された触媒と空気とを分離可能な触媒抜き出し用セパレータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、触媒抜き出し用セパレータは、反応塔から吸引された触媒を貯留するタンク本体と、タンク本体に開閉自在に設けられた蓋部材とを有する構成であるが、セパレータに触媒が高速で噴出するため、触媒が壁面に衝突して破損するおそれがある。
そこで、損傷を抑えながら触媒を空気と分離可能とするために、ホースにより触媒が充填された反応塔に連通されるとともに、ホースにより吸引装置に連通され、この吸引装置により反応塔から抜き出された触媒を空気と分離するセパレータであって、反応塔と連通するホースが上部に連通され触媒を保持するセパレータ本体と、セパレータ本体内に設けられホースから流れ込む触媒の流込方向と反対方向より触媒に気体を噴出する噴出手段と、セパレータ本体の下部の形成された触媒通過口を開閉する蓋部材とを備えたセパレータがある(特許文献2)。
【0004】
特許文献2の従来例では、セパレータ本体の内部が吸引装置で減圧されており、セパレータ本体の内部に流れ込む触媒は噴出手段で噴出される空気によって移動速度が弱められてセパレータ本体の下部空間に集積される。集積される触媒の量が多くなると、蓋部材が操作されてセパレータ本体の触媒通過口が開放され、触媒が自重落下してフレコンバッグに収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−262651号公報
【特許文献2】特開2009−195878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の従来例では、セパレータ本体の内部は連続した1つの空間とされているので、触媒を排出するために触媒通過口の下部を閉じている蓋部材が開放操作されると、セパレータ本体の内部全体が外部空間に連通することになる。
すると、吸引装置を作動してもセパレータ本体の内部が大気圧となるので、反応塔から触媒がセパレータに送り込まれなくなり、セパレータの触媒と空気との分離作業が中止されることになる。
【0007】
本発明の目的は、触媒排出のために蓋部材が開放操作されても、連続運転が可能なセパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のセパレータは、第一連通部材により触媒が充填された反応塔に連通されるとともに、第二連通部材により吸引装置に連通され、前記吸引装置により内部が減圧され前記反応塔から抜き出された前記触媒を空気と分離するセパレータであって、前記第一連通部材と接続されたガイド管と、前記ガイド管が内部に配置され前記第二連通部材と連通する連通口が上部に形成されかつ前記触媒を内部空間に保持するセパレータ本体と、前記セパレータ本体内に設けられ前記第一連通部材から流れ込む前記触媒の流込方向と反対方向より前記触媒に気体を噴出する噴出管と、前記セパレータ本体の内部空間を前記ガイド管、前記連通口及び前記噴出管が配置される第一空間とこの第一空間の下方に位置する第二空間との仕切る仕切部材と、前記仕切部材を前記第一空間と前記第二空間とが仕切られる位置と前記第一空間と前記第二空間とが連通する位置とに駆動する仕切部材駆動機構と、前記第二空間を開閉自在にする蓋部材と、前記第二空間を大気に開放する大気開放機構と、を備えたことを特徴とするセパレータ。
【0009】
この構成の本発明では、吸引装置によって第一空間と第二空間とが減圧されるため、反応塔から抜き出された触媒は第一連通部材及びガイド管を通ってセパレータ本体の内部に流れ込む。流れ込んだ触媒に対して、この触媒の流込方向と反対方向から気体を噴出管から噴出するので、触媒が流れ込む際の流込速度が低減されることになり、セパレータ本体の内壁面に触媒が衝突する際の衝撃が緩和される。流込速度が低減した触媒は自重により落下し、第二空間の底部に集積されることになる。なお、第二連通部材と連通する連通口がセパレータ本体の上部に形成されているので、第二連通部材によって触媒が誤って吸引されることが防止される。
第二空間に集積される触媒の量が多くなると、これを外部に排出する。そのため、仕切部材駆動機構を操作して仕切部材を第一空間と第二空間とが仕切られる位置に移動させ、さらに、大気開放機構を作動する。すると、第二空間は大気と同じ圧力下となるので、蓋部材を開放操作することで、第二空間に集積された触媒は外部に排出される。
一方、仕切部材で仕切られた第一空間は減圧下のままであるため、引き続き、反応塔から抜き出された触媒は第一連通部材を通ってセパレータ本体に流れ込む。流れ込んだ触媒は、流込方向と反対方向から噴出管で噴出される気体によって流込速度が低減され、仕切部材の第一空間側の面に集積される。従って、触媒排出のために蓋部材が開放操作されても、セパレータの連続運転が可能となる。
触媒の排出操作が終了したら、仕切部材駆動機構を操作して仕切部材を第一空間と第二空間とが連通する位置まで戻す。すると、仕切部材の第一空間側の面に集積されていた触媒は第二空間に落下し、さらに、その後に流れ込まれた触媒も第二空間に集積される。
【0010】
ここで、本発明では、前記仕切部材は、前記第一空間と前記第二空間とを区画する際に、前記第一空間に露出する第一板面部と前記第二空間に露出する第二板面部とを有する板状部材を備え、前記第一板面部と前記第二板面部との間には気体が流通する気体流通部が設けられ、この気体流通部に連通し前記第一空間に気体を供給する気体供給孔が前記第一板面部に形成されている構成が好ましい。
この構成の本発明では、仕切部材の第一板面部に触媒が保持されても、気体流通部を通って気体供給孔から気体が供給されるので、第一板面部に触媒が付着することを防止できる。そのため、触媒が付着することによって仕切部材の操作が重くなることを防止できる。
【0011】
前記セパレータ本体は前記第一空間と前記第二空間とが内部に設けられる1つのタンクであり、前記板状部材の側面の中央部分が前記セパレータ本体に回動自在に設けられ、前記仕切部材駆動機構は、前記板状部材を回動する回動機構を備えている構成が好ましい。
この構成の本発明では、仕切部材を、所謂、バタフライ弁から構成したので、仕切部材を回動操作しても、場所をとることがない。そのため、セパレータの省スペース化を図ることができる。
【0012】
前記セパレータ本体は、内部が前記第一空間を構成し前記仕切部材が開口端に回動自在に設けられたる第一タンクと、内部が前記第二空間を構成しかつ一端側が前記仕切部材を収納し他端側に前記蓋部材が設けられた第二タンクとを備え、前記板状部材は、その側面に設けられるブラケットと、このブラケットに固定され前記第二タンクに回動自在に設けられる回動軸とを有し、前記仕切部材駆動機構は、前記回動軸を回動する回動機構を備える構成が好ましい。
この構成の本発明では、セパレータ本体を第一タンクと第二タンクとに分けて構成し、第二タンクの内部で、板状部材の一つの側面側が回動軸を介して回動自在とされたから、バタフライ弁タイプの仕切部材に比べて第一空間の触媒排出口を大きくすることができる。そのため、仕切部材を開閉操作した際に、第一空間から第二空間への触媒の落下がスムースとなる。
【0013】
前記ガイド管は、前記噴出管に向けて前記触媒を案内する円弧状の第一ガイド片と、この第一ガイド片に設けられ前記噴出管から噴出される気体を受ける板状の第二ガイド片とを有する構成が好ましい。
この構成の本発明では、第一連通部材から流れ込む触媒は第一ガイド片に沿って噴出管に向かうことになるため、流込方向と反対方向から噴出管で噴出される気体によって確実に流込速度が低減される。そして、第一ガイド片は断面円弧状とされるから、その下方に開放された部分から触媒が落下することになる。また、第一ガイド片には第二ガイド片が設けられていることにより、噴出管から噴出される気体が第一ガイド片だけでなく第二ガイド片に向けて噴出されるので、噴出管から噴出される気体が連通口を通じて第二連通部材に直接送り込まれることを防止できる。そのため、触媒の分離を効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る触媒の回収装置を示す全体配置図。
図2】第1実施形態の反応塔の触媒回収作業に使用するセパレータを示す断面図。
図3】ガイド管を示す斜視図。
図4】セパレータの仕切部材を示す平面図。
図5】本発明の第2実施形態にかかるセパレータを示す断面図。
図6】セパレータの仕切部材を示す平面図。
図7】セパレータ本体の内部圧力と仕切部材を開放操作する際の時間との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態のセパレータ10は、反応塔2から抜き出された触媒の損傷を抑え、分離するためのものであり、図1は、本実施形態のセパレータ10を用いて構成される回収装置1の全体配置図を示している。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の回収装置1は、反応塔2の上方のリアクターマンホール1A近傍に設置されたセパレータ10と、地上に配設され、セパレータ10から取り出された触媒を収納する収納容器としてのフレコンバッグ30と、セパレータ10とフレコンバッグ30との間に設けられた移送ホース40とを備える。なお、収納容器は、フレコンのほか、ドラム、フロービン、テツコンなどでもよい。
セパレータ10は、真空吸引装置であるバキュームカー5に接続されており、反応塔2内の触媒を、マンホール1Aから一端を差し込んだバキューム吸引ホース5Aにより吸引できるようになっている。
バキューム吸引ホース5Aは、反応塔2の内部からセパレータ10までの第一連通部材としての第1の吸引ホース5A1と、セパレータ10からバキュームカー5までの第二連通部材としての第2の吸引ホース5A2とで構成されている。
【0017】
反応塔2は、その下部に触媒抜き出し口1Bが設けられている。反応塔2の近傍には、反応塔2の側部に沿うように地上に設置された手すりとしてのハンドレール6Aと、ハンドレール6Aにガードされ作業者が反応塔2やセパレータ10の作業を行うことができるステージ6Bとが設けられている。
ステージ6Bには、後述するように、移送ホース40の一端に接続されたホッパ41が取り付けられている。
【0018】
本実施形態のセパレータ10は、バキュームカー5により吸引ホース5A1を通過した触媒の破損を最小にとどめ、良好に触媒を空気と分離し、ホッパ41に排出する処理を行うものである。
セパレータ10は、ステージ6B上に設けられた、例えば、図示しない櫓状の架台に取り付けられている。このセパレータ10の下方は、ホッパ41が配設されている。ホッパ41の下端には、移送ホース40の一端が接続され、移送ホース40の他端は、フレコンバッグ30の内部に差し込まれている。このホッパ41の開口は、セパレータ10に向かうにしたがって幅広となるように形成されている。移送ホース40におけるフレコンバッグ30側の端部は、軸方向が略鉛直方向であるダウンフローパイプ42により構成されている。このダウンフローパイプ42の下端部にはストッパ43が設けられている。このストッパ43の開閉により、ダウンフローパイプ42の内部に触媒が一時的に貯留可能になる。なお、移送ホース40の形態および形状は、触媒が移送できる大きさであれば、なんら限定されない。
【0019】
セパレータ10の詳細な構成が図2に示されている。
図2に示すように、セパレータ10は、下端に触媒を排出する排出口11Aと上部に第2の吸引ホース5A2と連通する連通口11Bとが形成されたセパレータ本体11と、このセパレータ本体11の内部にそれぞれ配置されたガイド管12及び噴出管13と、セパレータ本体11の内部空間をガイド管12、連通口11B及び噴出管13が配置される第一空間111と第一空間111の下方に位置する第二空間112とに仕切る仕切部材14と、仕切部材14を駆動する仕切部材駆動機構15と、セパレータ本体11の第二空間112を開閉自在にする蓋部材16と、第二空間112を大気に開放する大気開放機構17とを備えて構成されている。
【0020】
セパレータ本体11は、1つのタンクから構成されており、その上部に配置される上部筒状部113と、下部に配置され上部筒状部113より直径寸法が小さい下部筒状部114と、下部筒状部114と上部筒状部113とを連結するテーパ状部115とを有し、これらの連続した内部空間がバキュームカー5による吸引に伴って減圧状態とされる。
上部筒状部113は、連通口11Bが中心部に形成された天板部1131と、この天板部1131の外周に一体形成された円筒部1132とを備え、円筒部1132は、その上部に噴出管13が取り付けられ、その下部に点検用の覗窓1133が設けられている。連通口11Bには第2の吸引ホース5A2の先端部が連結されている。
下部筒状部114は、その下端面が排出口11Aとされた円筒部であり、この円筒部のやや上部が仕切部材14の取付位置とされている。そのため、第一空間111は下部筒状部114の仕切部材14より上方の空間、テーパ状部115の内部空間及び上部筒状部113の内部空間から構成されており、第二空間112は下部筒状部114の仕切部材14と蓋部材16との間の空間から構成されている。
【0021】
ガイド管12は触媒を第一空間111に流入させるものであり、第1の吸引ホース5A1と接続される円筒状の基部120と、この基部120に一体形成され噴出管13に向けて触媒を案内する円弧状の第一ガイド片121と、この第一ガイド片121に設けられ噴出管13から噴出される気体を受ける第二ガイド片122とを有する構造である。
基部120は、テーパ状部115に貫通され、その基端側が第1の吸引ホース5A1と接続され、その先端側が第一空間111に位置する。
ガイド管12の第一ガイド片121は円筒部材のうち下側半分を切り欠いて形成したものであり、斜め上方に延びるように配置されている。そのため、触媒は第一ガイド片121に沿って移動する。
【0022】
図3には、ガイド管12の要部の形状が示されている。
図3において、第二ガイド片122は長尺の板状に形成されており、その中央部分が長手方向に沿って第一ガイド片121に溶接等で接合される。第二ガイド片122は、その短辺寸法が第一ガイド片121の直径寸法より大きく設定され、その長辺寸法が第一ガイド片121の軸方向寸法の約半分に設定される。
図2及び図3に示される通り、第一ガイド片121及び第二ガイド片122の先端は天板部1131に当接あるいは近接される。この近接位置は天板部1131に形成された連通口11Bより噴出管13に近い。これにより、噴出管13から噴出される気体は第一ガイド片121と第二ガイド片122の正面で受け止められ、直接、連通口11Bに送られないようになっている。
噴出管13は、触媒の流込方向と反対方向より触媒に気体を噴出するものであり、水平方向に延びたパイプ130を有する。
【0023】
パイプ130は、その基端側がセパレータ本体11の外部に露出され、その先端側がセパレータ本体11の第一空間111に露出される。パイプ130の途中にはセパレータ本体11へ固定する固定部131が取り付けられている。
パイプ130の基端には気体供給管132が接続されている。この気体供給管132は、一端がパイプ130に接続される管本体1320と、この管本体1320の他端に設けられるサイレンサー1321と、この管本体1320のサイレンサー1321に近接して設けられた開閉弁1322と、管本体1320の途中に設けられる分岐管1323と、この分岐管1323の途中に設けられる圧力ゲージ1324及び開閉弁1325と、分岐管1323の他端に連結される気体供給源(図示せず)とを有し、図示しない制御部からの信号を開閉弁1325が受けて第一空間111に気体を供給する構造である。
気体供給源は、気体、例えば、空気や窒素、好ましくは空気を貯蔵したタンクである。
管本体1320は固定片1326でセパレータ本体11の外周部に固定されている。
【0024】
仕切部材14及び仕切部材駆動機構15の構造が図4に示されている。
図2及び図4において、仕切部材14は、側面の中央部分が下部筒状部114に回動自在に設けられている板状部材141を備えている。
板状部材141は、第一空間111と第二空間112とを区画する際に、第一空間111に露出する円板状の第一板面部1411と、第二空間112に露出する第二板面部1412と、これらの第一板面部1411と第二板面部1412との外周縁を連結する側面部1413と、この側面部1413に設けられ下部筒状部114に回動自在とされた一対の回動軸部1414と、第一板面部1411と第二板面部1412との間に設けられた気体流通部1415とを有する。
【0025】
第一板面部1411には、回動軸部1414の軸方向に沿って複数の気体供給孔1410が円中心から周縁まで形成されており、これらの気体供給孔1410が並んだ方向と直交する方向に沿って複数の気体供給孔1410が円中心から周縁までの中間位置まで並んで形成されている。
第二板面部1412は第一板面部1411と平行に配置されている。側面部1413は仕切部材14が第一空間111と第二空間112とを区画する際に下部筒状部114の内周面と密着される。
気体流通部1415は、複数の気体供給孔1410とそれぞれ連通する連通部(図示せず)が周面の形成されたノズルであり、このノズルは平面視で十字状とされる。この気体流通部1415のうち一方のノズルは一対の回動軸部1414のうち一方から突出し、かつ、開閉弁1416及び図示しない気体供給源に接続されている。気体供給源は気体、例えば、空気や窒素、好ましくは空気を貯蔵したタンクである。
【0026】
仕切部材駆動機構15は、仕切部材14を第一空間111と第二空間112とが仕切られる水平位置と第一空間111と第二空間112とが連通する鉛直位置とに駆動するものであり、一対の回動軸部1414のうちの他方に一端が連結されたアーム151と、このアーム151の他端に一端部が回動自在に連結されたシリンダ152とを有する回動機構であり、図示しない制御部からの信号を受けてアーム151を進退操作する。
アーム151は板状部材141の平面と直交する方向に延びて配置されている。
シリンダ152は、その他端部がセパレータ本体11に回動自在に取り付けられており、進退駆動することでアーム151を介して仕切部材14を水平位置と鉛直位置とに切り換える。
【0027】
図2において、蓋部材16は、下部筒状部114の下端面に形成された排出口11Aを閉塞する蓋本体160と、この蓋本体160の周縁部に一端部が接続されるアーム部161と、このアーム部161の他端部に設けられるバランスウェイト162と、アーム部161の途中において回動自在に支持し下部筒状部114の外周部に連結されたヒンジ部163とを有する。蓋本体160は、第二空間112が減圧下にある場合には、その上面に触媒が堆積してもバランスウェイト162の重さによって排出口11Aを閉じることになり、第二空間112が大気に開放された状態では、それ自体の重さと積載された触媒の重さとによって自動的に開放操作される。
大気開放機構17は、下部筒状部114の周面に連結されたパイプ171と、このパイプ171の途中に設けられたブレーカー172とを有し、図示しない制御部からの信号を受けて第二空間112を大気に開放操作する。
【0028】
次に、第1実施形態において、回収装置1を使用して行う反応塔2内の触媒の回収動作を説明する。
まず、触媒回収作業に先だって、作業者は、反応塔2の運転停止後、完全に冷却した反応塔2から重油等の滞留液を抜き取る。触媒抜き取りに際して、石油に界面活性剤及びリモネンを含む化学剤を混合した第一次洗浄液により100℃を超える状態で触媒を洗浄し、90℃以下に降温させた後、反応塔2に第一次洗浄液に水を添加した第二次洗浄液でさらに洗浄を行う。ここで、水は第一次洗浄液全体に対して、0.5質量%以上2.0質量%以下である。触媒抜出中では、窒素ガスで反応塔2の内部をシールする等、酸化防止策を採用する。
【0029】
セパレータ10では、仕切部材駆動機構15のシリンダ152を駆動して仕切部材14を、その平面が鉛直となる位置、つまり、セパレータ本体11の第一空間111と第二空間112とを連通する位置にする。セパレータ本体11の気体は連通口11Bから吸引ホース5A2を通ってバキュームカー5側に吸引され、これにより、セパレータ本体11の第一空間111及び第二空間112は減圧下となる。さらに、大気開放機構17のブレーカー172を閉塞操作することによって第二空間112の大気開放を阻止する。これにより、蓋部材16はバランスウェイト162によって第二空間112と連通する排出口11Aが閉じられたままとなる。
【0030】
そして、反応塔2内の触媒は吸引ホース5A1からガイド管12を経てセパレータ本体11の第一空間111に送られる。触媒はガイド管12の基部120を通って第一ガイド片121に案内されながら噴出管13に向かって移動するが、噴出管13から気体が噴出されるので、粉砕されて第二空間112を通って蓋部材16の上面に落下する。気体は吸引ホース5A2を通ってバキュームカー5側に吸引される。
噴出管13から気体が放射状に噴出されるが、第一ガイド片121にそれより幅広の第二ガイド片122に気体が当たるので、直接に連通口11Bからセパレータ10の外部に排出されることがない。
【0031】
蓋部材16の上に触媒が所定量蓄積されると、触媒を外部に排出する。
そのため、仕切部材駆動機構15のシリンダ152を駆動して仕切部材14を、その平面が水平となる位置に切り換える。すると、セパレータ本体11の第一空間111と第二空間112とが仕切され、触媒は仕切部材14の上面に位置する第一空間111に保持されることになり、第二空間112は減圧下のままとなる。ここで、気体供給源から気体流通部1415に気体を供給すると、この気体は仕切部材14の複数の気体供給孔1410から第一空間111に噴出されることになる。これにより、仕切部材14の上面に触媒が固着しにくくなる。
【0032】
そして、大気開放機構17のブレーカー172を開放操作することによって、減圧下にあった第二空間112が大気に開放される。すると、蓋部材16はその上面で保持される触媒の重さによって、バランスウェイト162の重さに抗して開放操作される。蓋部材16の上面に保持された触媒は自由落下して、ホッパ41に一時的に保持される。開放操作された蓋部材16はその上面に保持された触媒が落下することで軽量となり、バランスウェイト162の重さによって再度、排出口11Aを閉塞する。これにより、密閉された第二空間112が形成される。
【0033】
ホッパ41に保持された触媒は、下端の開口部分から自由落下し、移送ホース40を介してダウンフローパイプ42内に移送される。この際、ダウンフローパイプ42の下端部は、開閉可能なストッパ43によって閉塞されている。そして、ダウンフローパイプ42に所定量の触媒が蓄積した後、ストッパ43を開口することにより、触媒が自由落下してフレコンバッグ30に収納される。
この一連の作業は、シリンダ駆動制御部の設定による触媒の自動排出に伴い、連続的に行われる。
【0034】
第二空間112に蓄積された触媒が排出されたら、再度、大気開放機構17のブレーカー172を閉塞操作し、さらに、仕切部材駆動機構15を操作して仕切部材14を第一空間111と第二空間112とを連通する位置(平面が鉛直となる位置)となるまで回動操作する。この際、減圧下にある第一空間111が大気圧にある第二空間112と連通することで、第一空間111及び第二空間112の連続した空間は、その圧力が一時的に上がるものの、大気より低い圧力である。つまり、セパレータ本体11の第一空間111と第二空間112との容積、これらの空間の減圧状態、仕切部材14の開放操作時間等によりセパレータ本体11の内部の圧力変動は相違するが、最大20%以下であり、通常運転に支障がない。
【0035】
仕切部材14の回動に伴って、第一板面部1411の上に保持された触媒が蓋部材16の上面に落下することになる。ここで、第一板面部1411に形成された複数の気体供給孔1410から気体が噴出しているので、触媒は第一板面部1411に固着することなく、滑らかに蓋部材16の上面に落下する。
密閉空間である第一空間111及び第二空間112では、吸引ホース5A2を通ってバキュームカー5側に気体が吸引されるので、より減圧下となり、反応塔2内の触媒は吸引ホース5A1からガイド管12を経てセパレータ本体11の第一空間111に円滑に送られることになる。そして、流入された触媒は噴出管13から気体が噴出されるので、投入速度が緩和されて蓋部材16の上面に蓄積される。
【0036】
第1実施形態では次の作用効果を奏することができる。
(1)第1の吸引ホース5A1と接続されたガイド管12と、ガイド管12が内部に配置されバキュームカー5及び第2の吸引ホース5A2と連通する連通口11Bが上部に形成されかつ触媒を内部空間に保持するセパレータ本体11と、セパレータ本体11に設けられ第1の吸引ホース5A1から流れ込む触媒の流込方向と反対方向より触媒に気体を噴出する噴出管13とを備えてセパレータ10を構成した。バキュームカー5によって第一空間111と第二空間112とが減圧下にあるため、反応塔2から抜き出された触媒が第1の吸引ホース5A1及びガイド管12を通ってセパレータ本体11に流れ込む際に、触媒の流込方向と反対方向より噴出管13から気体が噴出されることで、触媒の流込速度が低減されることになり、セパレータ本体11の内壁面に触媒が衝突する際の衝撃が緩和される。そして、第2の吸引ホース5A2と連通する連通口11Bがセパレータ本体11の上部に形成されているので、触媒がバキュームカー5で直接吸引されることを防止できる。
【0037】
(2)セパレータ本体11の内部空間をガイド管12、連通口11B及び噴出管13が配置される第一空間111とこの第一空間111の下方に位置する第二空間112との仕切る仕切部材14と、仕切部材14を第一空間111と第二空間112とが仕切られる位置と連通する位置とに駆動する仕切部材駆動機構15と、第二空間112を開閉自在にする蓋部材16と、第二空間112を大気に開放する大気開放機構17と、を備えてセパレータ10を構成したから、触媒を外部に排出するために、仕切部材駆動機構15を操作して仕切部材14を第一空間111と第二空間112とが仕切られる位置に移動させ、さらに、大気開放機構で第二空間112を大気に開放操作することで、蓋部材16が開放されることになり、第二空間112に集積された触媒は外部に自動的に排出される。一方、仕切部材14で仕切られた第一空間111は減圧下のままであるため、引き続き、反応塔2から抜き出された触媒が第1の吸引ホース5A1及びガイド管12を通ってセパレータ本体11に流れ込むから、セパレータ10の連続運転が可能となる。
【0038】
(3)仕切部材14は、第一空間111と第二空間112とを区画する際に、第一空間111に露出する円板状の第一板面部1411と、第二空間112に露出する円板状の第二板面部1412と、これらの第一板面部1411及び第二板面部1412の周面に設けられる側面部1413とを有する板状部材141を備えており、第一板面部1411と第二板面部1412との間に気体が流通する気体流通部1415が設けられ、この気体流通部1415に連通し第一空間111に気体を供給する気体供給孔1410が第一板面部1411に形成されているため、仕切部材14の第一板面部1411に触媒が保持されても、気体流通部1415を通って気体供給孔1410から気体が供給されるので、第一板面部1411に触媒が付着することを防止できる。従って、触媒が固着することに伴う仕切部材14の開閉操作が重くなることがなく、触媒の分離作業を効率的に実施することができる。
【0039】
(4)複数の気体供給孔1410は、第一板面部1411の回動軸部1414の軸方向に沿って円中心から周縁まで形成された直線上の配列領域を有し、この配列領域に沿ってノズルからなる気体流通部1415を設けたから、気体流通部1415を回動軸部1414から突出させることで、外部に配置される開閉弁1416及び気体供給源と容易に接続させることができる。
【0040】
(5)気体供給孔1410が配列されている領域は、回動軸部1414の軸方向に沿って並んだ直線上の領域と、これらの気体供給孔1410が並んだ方向と直交する方向に沿って並んだ直線上の領域とから十字状とされているので、気体供給孔1410の配列箇所が所定箇所に偏ることがないため、触媒の第一板面部1411への固着を効果的に防止することができる。
【0041】
(6)ガイド管12は、噴出管13に向けて触媒を案内する第一ガイド片121と、この第一ガイド片121に設けられ噴出管13から噴出される気体を受ける板状の第二ガイド片122とを有するから、触媒が第一ガイド片121に沿って噴出管13に向かうことになるため、流込方向と噴出管13からの気体の噴出方向とが相対して、触媒の流込速度が確実に低減される。そして、第一ガイド片121が断面円弧状とされるから、その下方に開放された部分から触媒が落下することになる。第一ガイド片121に平板状の第二ガイド片122が設けられていることにより、噴出管13から噴出される気体が連通口11Bを通じて第2の吸引ホース5A2に直接送り込まれることを防止できるから、触媒の分離を効率的に実施することができる。
【0042】
(7)セパレータ本体11は1つのタンクから構成されるので、セパレータ本体11の構造を簡易なものにできる。その上、板状部材141は、その側面にセパレータ本体11に回動自在とするための回動軸部1414を有し、仕切部材駆動機構15は、板状部材141を回動する回動機構である。つまり、仕切部材14を所謂バタフライ弁から構成したから、仕切部材14を回動させるための特別なスペースを必要としない。
【0043】
(8)仕切部材駆動機構15は、仕切部材14の回動軸部1414に一端が連結されたアーム151と、このアーム151の他端に一端部が連結されたシリンダ152とを有する回動機構としたから、シリンダ152の大きな力によって仕切部材14を確実に回動操作することができるだけでなく、構造自体を簡易なものにできる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。
第2実施形態は第1実施形態とは、セパレータ本体及び蓋部材の構造が相違するものであり、他の構造は同じである。
ここで、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一の構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
図5は第2実施形態のセパレータ20の全体構成を示す図であり、図6は仕切部材の平面を示す図である。
図5において、セパレータ20はセパレータ本体21を備え、このセパレータ本体21は、上部に連通口11Bが形成され内部空間が第一空間111とされた第一タンク211と、下端に触媒を排出する排出口11Aが形成され内部空間が第二空間112とされた第二タンク212とを有する。第一タンク211と第二タンク212とは分割可能である。
第一タンク211は、第1実施形態の上部筒状部113とテーパ状部115とを一体に形成した形状であり、その下端の開口端211Aが仕切部材24により閉塞可能とされている。
第一タンク211の内部にはたガイド管12と噴出管13とが配置されている。
【0046】
図5及び図6において、仕切部材24は、板状部材241と、この板状部材241の側面部1413に固定される一対のブラケット242と、これらのブラケット242に固定され第二タンク212に回動自在に設けられた回動軸243と、この回動軸243を回動自在に支持し第二タンク212に固定された一対のブラケット244とを有する。
板状部材241は、第一板面部1411、第二板面部1412及び側面部1413と、第一板面部1411と第二板面部1412との間に設けられた気体流通部1415とを有する。第一板面部1411には回動軸243の軸方向と平行に複数の気体供給孔1410が円中心から周縁まで形成されており、これらの気体供給孔1410が並んだ方向と直交する方向に沿って複数の気体供給孔1410が円中心から周縁までの中間位置まで並んで形成されている。
【0047】
気体流通部1415は、複数の気体供給孔1410とそれぞれ連通する連通部(図示せず)が周面の形成されたノズルであり、このノズルは平面視で十字状とされる。
この気体流通部1415のうち一方のノズルの一端は回動軸243に形成された中空部に連通されており、この回動軸243のうち一方の端部は開閉弁1416及び図示しない気体供給源に接続されている。気体供給源は気体、例えば、空気や窒素、好ましくは空気を貯蔵したタンクであり、この気体供給源から回動軸243の中空部及び気体流通部1415を通って気体が気体供給孔1410から噴出される。
回動軸243の他方の端部には仕切部材駆動機構15が連結されている。
【0048】
仕切部材駆動機構15は、板状部材241を回動する回動機構であり、この回動機構は、回動軸243の他方の端部において径方向に取り付けられたアーム151と、このアーム151の他端に一端部が回動自在に連結されたシリンダ152とを有する。シリンダ152の他端部は第二タンク212の外周面に固定されたブラケット2120に回動自在に支持されている。
【0049】
第二タンク212は、一端側が仕切部材24を収納し他端に触媒を排出する排出口11Aが形成されている。
第二タンク212は角筒状部の下端側にテーパ状部が一体に形成されており、このテーパ状部の下端が排出口11Aとされる。第二タンク212の上端には上端面部2121が形成され、この上端面部2121は第一タンク211の下部側に密閉状態で固定され、かつ、その一部にはガイド管12の基部120と干渉を避けるための凹部212Aが形成されている。
【0050】
第二タンク212の下端側には、排出口11Aを閉塞するための蓋部材16が回動自在に設けられている。
蓋部材16は、蓋本体160、アーム部161、バランスウェイト162及びヒンジ部163を有し、このヒンジ部163はアーム部161の途中において回動自在に蓋本体160を支持し第二タンク212の外周部に連結されている。
大気開放機構17は、第二タンク212の周面に連結されたパイプ171と、このパイプ171の途中に設けられたブレーカー172とを有する。
以上の構成の第2実施形態は第1実施形態と同じようにして触媒が回収される。
【0051】
従って、第2実施形態では第1実施形態の(1)から(6)までの作用効果と同様の作用効果を奏することができる他、次の作用効果を奏することができる。
(9)セパレータ本体21を、内部が第一空間111を構成し仕切部材24が開口端に回動自在に設けられたる第一タンク211と、内部が第二空間112を構成しかつ一端側が仕切部材24を収納し他端側に蓋部材16が回動自在に設けられた第二タンク212とを備え、仕切部材24の板状部材241は、その側面に設けられる一対のブラケット242と、これらのブラケット242に固定され第二タンク212に回動自在に設けられた回動軸243とを有するから、バタフライ弁タイプの第1実施形態の仕切部材14に比べて第一空間111の触媒排出口を大きくすることができる。そのため、仕切部材24を開閉操作した際に、第一空間111から第二空間112への触媒の落下が円滑に行える。
【0052】
(10)第一タンク211と第二タンク212とを分割可能としたから、現場まで別々に搬送することができる。そのため、1つの大きなセパレータ本体11を搬送する場合に比べて、搬送作業が容易となる。
【0053】
次に、第1実施形態及び第2実施形態において、仕切部材14,24を開閉操作してもセパレータ本体11の第一空間111と第二空間112との内部圧力の変動が少ないことを図7に基づいて具体的に説明する。
図7はセパレータ本体11の内部圧力と仕切部材14,24を開放操作する際の時間との関係を示すグラフである。なお、条件として、第1実施形態のセパレータ本体11の第一空間111の容積が1.90mであり、第二空間112の容積が0.45mである。第2実施形態のセパレータ本体21の第一空間111の容積が1.84mであり、第二空間112の容積が3.29mである。
【0054】
図7において、第一空間111の内圧(吸引圧)を350mmhg(46.6627KPa)に維持した状態で測定を開始し、測定が開始して10秒経過した後に、第1実施形態の仕切部材14を回動操作して第一空間111と第二空間112とを10秒間連通させ、その圧力値P1を測定すると、370mmhgであり、20秒間連通させ、その圧力値P2を測定すると、400mmhgであり、40秒間連通させ、その圧力値P3を測定すると、450mmhgであった。同様に、測定が開始して10秒経過した後に、第2実施形態の仕切部材24を回動操作して第一空間111と第二空間112とを10秒間連通させ、その圧力値Q1を測定すると、420mmhgであり、20秒間連通させ、その圧力値Q2を測定すると、490mmhgであり、40秒間連通させ、その圧力値Q3を測定すると、640mmhgであった。
いずれの実施形態においても、仕切部材14,24を開放操作して第一空間111と第二空間112とを連通した際に、その圧力値が大気圧(1気圧)である760mmhgより低い値となっていることがわかる。さらに、第1実施形態が第2実施形態に比べて圧力変動が少ないことがわかる。これは、第1実施形態のセパレータ本体11の第一空間111に対する第二空間112の容積比(0.45m/1.90m)が約0.25であり、この値は、第2実施形態のセパレータ本体21の第一空間111に対する第二空間112の容積比(3.29m/1.84m)の約1.79より小さいことに起因する。つまり、第1実施形態では、仕切部材14は回動軸が円中心を通るバタフライ弁タイプであるため、第一空間111に対する第二空間112の容積比を小さくすることができる。そのため、第1実施形態では、仕切部材14が開放される時間が長くても圧力変動が小さい。これに対して、第2実施形態では、第一空間111と第二空間112とが別々のタンクから構成され、かつ、仕切部材24の回動軸が外周部から離れた部分にあるため、第二空間112の容積を大きくとらなければならない。そのため。第2実施形態では、仕切部材24が開放される時間が長いと、第1実施形態に比べて圧力変動が大きくなる。
【0055】
なお、本発明は、前述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含む。
例えば、前記各実施形態では、仕切部材14,24を回動自在にセパレータ本体11,21に設けたが、本発明では、セパレータ本体11,21の軸方向と直交する方向にスライド自在に設ける構成としてもよい。仮に、仕切部材14,24を回動させる機構を採用するとしても、前記各実施形態の仕切部材駆動機構15に限定されるものではなく、例えば、アーム151及びシリンダ152に代えて、モータ、ラック及びピニオンからなる駆動機構を採用してもよい。
【0056】
また、前記各実施形態では、第一板面部1411と第二板面部1412との間に気体が流通する気体流通部1415を設け、この気体流通部1415に連通し第一空間111に気体を供給する気体供給孔1410を第一板面部1411に形成したが、本発明では、気体流通部1415や気体供給孔1410を必ずしも設けることを要しない。仮に、設ける場合であっても、板状部材114の内部空間全体に気体を供給する構成とし、気体流通部1415を省略してもよい。
【0057】
さらに、本発明では、仕切部材14,24の第一板面部1411に触媒が固着することを防止するために、第一板面部1411にコーティング材を設けるものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、触媒を用いる化学プラント全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…回収装置、2…反応塔、10,20…セパレータ、30…フレコンバッグ(収納容器)、5…バキュームカー(吸引装置)、5A1…第1の吸引ホース(第一連通部材)、5A2…第2の吸引ホース(第二連通部材)、11A…排出口、11B…連通口、11,21…セパレータ本体、12…ガイド管、13…噴出管、14,24…仕切部材、15…仕切部材駆動機構、16…蓋部材、17…大気開放機構、111…第一空間、112…第二空間、121…第一ガイド片、122…第二ガイド片、141…板状部材、211…第一タンク、212…第二タンク、242…ブラケット、1410…気体供給孔、1411…第一板面部、1412…第二板面部、1414…回動軸部、1415…気体流通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7