特許第5894148号(P5894148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894148
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】有機化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20160310BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 15/08 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 5/24 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 5/32 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 31/565 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 31/57 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 31/5575 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   C07D487/04 140
   C07D487/04CSP
   A61K31/519
   A61P25/16
   A61P25/14
   A61P25/28
   A61P25/24
   A61P25/18
   A61P25/22
   A61P25/36
   A61P9/00
   A61P9/10
   A61P9/12
   A61P11/06
   A61P11/02
   A61P15/08
   A61P15/00
   A61P5/24
   A61P5/32
   A61P5/14
   A61P37/06
   A61P29/00
   A61P25/00
   A61P19/10
   A61P13/08
   A61P35/00
   A61P43/00 107
   A61P27/06
   A61K45/00
   A61K31/19
   A61K31/565
   A61K31/57
   A61K31/5575
   A61P17/14
   A61P43/00 111
【請求項の数】17
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2013-513268(P2013-513268)
(86)(22)【出願日】2011年5月31日
(65)【公表番号】特表2013-527234(P2013-527234A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011038541
(87)【国際公開番号】WO2011153135
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年5月27日
(31)【優先権主張番号】61/349,957
(32)【優先日】2010年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ−セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA−CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リ・ポン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・ハイリン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・ピー・ウェノグル
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−511709(JP,A)
【文献】 特表2010−509399(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/075784(WO,A1)
【文献】 特表2012−510991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D487/00−491/22
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の遊離形態または塩形態の式II−A’またはII−B’の化合物:
【化1】
〔式中、
(i)Qは−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキルであり;
(iii)Rは:
H、
1−6アルキル(ここで、該アルキル基は場合によりハロまたはヒドロキシで置換されていてよい)、
N(R14)(R15)−C1−6アルキル、
アリールC0−6アルキル、
ヘテロアリールC0−6アルキル、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキルであるか;
−G−Jであり、ここで:
Gは単結合またはアルキレンであり;
Jは場合により1個以上のC1−6アルキル、アミノで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであり、
ここで、該シクロアルキルは場合によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよく;
(iv)Rは:
4)−D−E−FF−であり、ここで:
Dは単結合、C1−6アルキレンまたはアリールアルキレンであり;
Eは
単結合、
1−4アルキレン、
2−6アルキニレン、
−C0−4アルキルアリーレン(ここで、該アリーレン基は場合によりハロで置換されていてよい)、
ヘテロアリーレン、
アミノC1−6アルキレン、
アミノ;
場合によりNまたはOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよいC3−8シクロアルキレンであり、
FFは
H、
ハロ、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ、
ハロC1−6アルキル、
アリール、
場合によりNまたはOからなる群から選択される1個以上の原子を含んでよいC3−8シクロアルキル(該シクロアルキルは場合によりC1−6アルキルで置換されていてよい)、
ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロまたはハロC1−6アルキルで置換されていてよい);
アミノ、
1−6アルコキシ、
−O−ハロC1−6アルキル、
1−6アルキルスルホニル、
−C(O)−R13
−N(R14)(R15);または
5)置換されている、ヘテロアリールアルキル;または
6)式II−AまたはII−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化2】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲンであり;そしてR10
ハロゲン、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル、
ハロC1−6アルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
1−6アルキルスルホニル、
アリールカルボニル、
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル、
アミノカルボニルであり;
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリールで置換されていてよく;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)Rは:
1−4アルキル、
3−7シクロアルキル、
アリール、
3−7シクロアルキル、
ヘテロアリールまたは
アリールC1−4アルキルであり、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、
(vi)RはH、C1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アリールオキシ、−N(R16)(R17)、オキソまたはC3−8シクロアルキルであり;
(vii)RはH、C1−6アルキルまたはC3−8シクロアルキルであり、ここで、該シクロアルキルは場合により1個以上のオキソで置換されていてよく;
(viii)R13は−N(R14)(R15)、C1−6アルキル、−OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル(トリフルオロメチル)、アリールまたはヘテロアリールであり;
(ix)R14およびR15は独立してHまたはC1−6アルキルであり;
(x)R16およびR17は独立してH、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、C1−6アルコキシで置換されていてよい。〕。
【請求項2】
次のものから選択される化合物である、請求項1に記載の化合物:
A)遊離形態または塩形態の式II−AまたはII−B:
【化3】
〔式中、
(i)Qは−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキルであり;
(iii)Rは:
H、
1−6アルキル(ここで、該アルキル基は場合によりハロまたはヒドロキシで置換されていてよい)、
N(R14)(R15)−C1−6アルキル、
アリールC0−6アルキル、
ヘテロアリールC0−6アルキル、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキルであるか;
−G−Jであり、ここで:
Gは単結合またはアルキレンであり;
Jは場合により1個以上のC1−6アルキル、アミノで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであり、
ここで、該シクロアルキルは場合によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよく;
(iv)Rは:
1)−D−E−FF−であり、ここで:
Dは単結合、C1−6アルキレンまたはアリールアルキレンであり;
Eは
単結合、
1−4アルキレン、
2−6アルキニレン、
−C0−4アルキルアリーレン(ここで、該アリーレン基は場合によりハロで置換されていてよい)、
ヘテロアリーレン、
アミノC1−6アルキレン、
アミノ;
場合によりNまたはOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよいC3−8シクロアルキレンであり、
FFは
H、
ハロ、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ、
ハロC1−6アルキル、
アリールであり、
場合によりNまたはOからなる群から選択される1個以上の原子を含んでよいC3−8シクロアルキル(該シクロアルキルは場合によりC1−6アルキルで置換されていてよい)、
ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロまたはハロC1−6アルキルで置換されていてよい);
アミノ、
1−6アルコキシ、
−O−ハロC1−6アルキル、
1−6アルキルスルホニル、
−C(O)−R13
−N(R14)(R15);または
2)置換されている、ヘテロアリールアルキル;または
3)式II−AまたはII−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化4】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲンであり;そしてR10
ハロゲン、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル、
ハロC1−6アルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
1−6アルキルスルホニル、
アリールカルボニル、
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル、
アミノカルボニルであり;
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリールで置換されていてよく;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)Rは:
1−4アルキル、
3−7シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリールまたは
アリールC1−4アルキル、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、
(vi)RはH、C1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アリールオキシ、−N(R16)(R17)、オキソまたはC3−8シクロアルキルであり;
(vii)RはH、C1−6アルキルまたはC3−8シクロアルキルであり、ここで、該シクロアルキルは場合により1個以上のオキソで置換されていてよく;
(viii)R13は−N(R14)(R15)、C1−6アルキル、−OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル(トリフルオロメチル)、アリールまたはヘテロアリールであり;
(ix)R14およびR15は独立してHまたはC1−6アルキルであり;
(x)R16およびR17は独立してH、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、C1−6アルコキシで置換されていてよい。〕
の化合物;
B)遊離形態または塩形態の式III−AまたはIII−B:
【化5】
〔式中、
(i)Qは−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−であり;
はHまたはC1−6アルキルであり;
(iii)Rは:
H、
1−6アルキル(ここで、該アルキル基は場合によりハロまたはヒドロキシで置換されていてよい)、
N(R14)(R15)−C1−6アルキル、
アリールC0−6アルキル、
ヘテロアリールC0−6アルキル、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキルであるか;
−G−Jであり、ここで:
Gは単結合またはアルキレンであり;
Jが場合により1個以上のC1−6アルキル、アミノで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであり;
(iv)Rは:
(a)−D−E−FFであり、ここで:
DはC1−6アルキレンであり;
Eは−Cアルキルアリーレン、
FFは
ハロ、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ、
ハロC1−6アルキル、
アリール、
場合によりNまたはOからなる群から選択される1個以上の原子を含んでよいC3−8シクロアルキル(該シクロアルキルは場合によりC1−6アルキルで置換されていてよい)、
ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロまたはハロC1−6アルキルで置換されていてよい);
アミノ、
1−6アルコキシ、
−O−ハロC1−6アルキル、
1−6アルキルスルホニル、
−C(O)−R13
−N(R14)(R15);または
(b)置換されている、ヘテロアリールアルキル;または
(c)式III−AまたはIII−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化6】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲンであり;そしてR10
ハロゲン、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル、
ハロC1−6アルキル、
アリール、
ヘテロアリール、
1−6アルキルスルホニル、
アリールカルボニル、
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル、
アミノカルボニルであり;
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリールで置換されていてよく;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)R
1−4アルキル、
3−7シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリールまたは
アリールC1−4アルキルであり、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、
(vi)RはH、C1−6アルキルまたはC3−8シクロアルキルであり;
(vii)R13は−N(R14)(R15)、C1−6アルキル、−OC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル(トリフルオロメチル)、アリールまたはヘテロアリールであり;
(viii)R14およびR15は独立してHまたはC1−6アルキルである。〕
の化合物;
C)遊離形態または塩形態の式IV−AまたはIV−B:
【化7】
〔式中、
(i)Qは−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキルであり;
(iii)Rは:
1−6アルキルであり(ここで、該アルキル基は場合によりハロまたはヒドロキシで置換されていてよい)、
(iv)Rは:
(a)−D−E−FFであり、ここで:
DはC1−6アルキレンであり;
Eは−Cアルキルアリーレンであり、
FFは
1−6アルコキシ、
アリール、
場合によりNまたはOからなる群から選択される1個以上の原子を含んでよいC3−8シクロアルキル(該シクロアルキルは、場合によりC1−6アルキルで置換されていてよい)、
ヘテロアリール(ここで、該ヘテロアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロまたはハロC1−6アルキルで置換されていてよい);または
(b)Rは式IV−AまたはIV−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化8】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲンであり;そしてR10
1−6アルコキシ、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリールであり、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリールで置換されていてよく;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)R
1−4アルキル、
3−7シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリールまたは
アリールC1−4アルキルであり、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、
(vi)RはH、C1−6アルキルまたはC3−8シクロアルキルであり;
(vii)R14およびR15は独立してHまたはC1−6アルキルである。〕
の化合物;
D)遊離形態または塩形態の式V−AまたはV−B:
【化9】
〔式中、
(i)Qは−C(=O)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキルであり;
(iii)RはC1−6アルキルであり;
(iv)Rは:
(a)−D−E−FFであり、ここで:
DはC1−6アルキレンであり;
Eは−Cアルキルアリーレンであり、
FFはメトキシ、ピリジル、チアジアゾリル、ジアゾリルまたはイミダゾリル、トリアゾリル、6−フルオロピリド−2−イル、1−メチルピロリジン−2−イルから選択されるか;または
(b)Rは式V−AまたはV−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化10】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲンであり;R10はメトキシ、ピリジル、6−フルオロピリド−2−イル、ジアゾリル、トリアゾリル、1−メチルピロリジン−2−イルから選択され;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)R
1−4アルキル、
3−7シクロアルキル、
アリール、
ヘテロアリールまたは
アリールC1−4アルキルであり、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、
(vi)RはH、C1−6アルキルまたはC3−8シクロアルキルである。〕
の化合物;
E)遊離形態または塩形態の式VI−AまたはVI−B:
【化11】
〔式中、
(i)Qは−C(=O)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキルであり;
(iii)RはC1−6アルキルであり;
(iv)Rは:
(a)−D−E−FFであり、ここで:
DはC1−6アルキレンであり;
Eは−Cアルキルアリーレンであり、
FFはメトキシ、ピリジル、チアジアゾリル、ジアゾリルまたはイミダゾリル、トリアゾリル、6−フルオロピリド−2−イル、1−メチルピロリジン−2−イルから選択されるか;または
(b)Rは式VI−AまたはVI−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化12】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲンであり;R10はメトキシ、ピリジル、6−フルオロピリド−2−イル、ジアゾリル、トリアゾリル、1−メチルピロリジン−2−イルから選択され;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)Rは場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよいアリールであり、
(vi)RはHである。〕
の化合物;
F)遊離形態または塩形態の式VII−AまたはVII−B:
【化13】
〔式中、
Qは−C(=O)−であり;
はC1−6アルキルであり;
は:
−D−E−FFであり、ここで、Dはメチルであり、Eはアリールであり、FFはC1−6アルコキシまたはヘテロアリールまたはトリアゾリルであるか;または
式II−AまたはII−BないしVI−AまたはIV−Bのいずれかのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化14】
の基であり、
ここで、X、YおよびZはCであり;R、R、R11およびR12はHであり;R10はC1−6アルコキシまたはヘテロアリールであり;
は:
3−7シクロアルキル、
場合によりハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから成る群から選択される1個以上の基で置換されていてよいアリールであり、
はHまたはC1−6アルキルである。〕
の化合物;
G)式VIII−AまたはVIII−B:
【化15】
〔式中、
Qは−C(=O)−であり;
はC1−6アルキルであり;
は:
−D−E−FFであり、ここで、Dはメチルであり、Eはアリールであり、FFはC1−6アルコキシまたはヘテロアリールまたはトリアゾリルであるか;または
式II−AまたはII−BないしVI−AまたはIV−Bのいずれかのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化16】
の基であり、
ここで、X、YおよびZはCであり;R、R、R11およびR12はHであり;R10はC1−6アルコキシまたはヘテロアリールであり;
は場合により1個以上のハロで置換されていてよいアリールであり;
はHまたはC1−6アルキルである。〕
の化合物。
【請求項3】
FFまたはR10が5−フルオロピリド−2−イル、4−フルオロピリド−2−イル、3−フルオロピリド−2−イル、1−メチルピロリジン−3−イル、1−メチルピロリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−1−イルまたは1−メチルピペリジン−2−イルから選択される、遊離形態または塩形態の請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
遊離形態または塩形態の次のものから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物:
【化17】
【請求項5】
遊離形態または塩形態の、次の化合物
【化18】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項7】
以下の状態:パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、薬剤誘発性運動障害、鬱病、注意欠損障害、注意欠損多動障害、双極性障害、不安、睡眠障害、ナルコレプシー、認知機能障害、認知症、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、覚醒剤退薬、薬物依存、脳血管疾患、卒中、鬱血性心臓疾患、高血圧または肺高血圧および/または性機能障害、喘息、慢性閉塞性肺疾患および/またはアレルギー性鼻炎、ならびに自己免疫性および炎症性疾患;および/または女性性機能障害、運動性無月経、無排卵、閉経、閉経期症状、甲状腺機能低下症、月経前緊張症、早産、不妊症、月経周期異常、異常子宮出血、骨粗鬆症、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌、甲状腺機能低下症、エストロゲン誘発子宮内膜過形成または癌腫の処置のための、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
状態がパーキンソン病である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
状態が認知機能障害である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
状態がナルコレプシーである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
中枢神経系刺激剤、モダフィニル、抗鬱剤およびガンマヒドロキシブチレートから選択される1種または複数種の化合物を併用投与することを特徴とする、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
状態が女性性機能障害である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項13】
エストラジオール、エストリオール、エストラジオールエステル類、プロゲステロンおよびプロゲスチン類からなる群から選択される1種または複数種の化合物を併用投与することを特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
緑内障または高眼内圧の処置のための、眼部に適合性の担体中の治療有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を含む、患者の目への局所投与用の医薬組成物。
【請求項15】
精神病、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、精神病性障害、妄想障害および躁病の処置のための、治療有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項16】
外傷性脳傷害を処置するための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項17】
睫毛を長くするまたは成長を促進するための、有効量のプロスタグランジンアナログと同時に、一緒にまたは逐次的に眼に投与することを特徴とする、有効量の遊離形態または塩形態の請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号61/349,957(2010年5月31日出願)の優先権の利益を主張し、その内容を、その全体を引用することにより本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は、場合により置換されていてよい(5−または7−オキシ)−3,4−ジヒドロ−(場合により4−オキソ、4−チオキソまたは4−イミノ)−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2(3H,6H)−オン類、好ましくは下記式II−AまたはII−Bの化合物、それらの製造方法、医薬としてのそれらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。特に興味深いのは、例えば、パーキンソン病、鬱病、ナルコレプシー、例えば、統合失調症における認知機能損傷のようなドーパミンD1受容体細胞内経路の障害が関与する疾患またはプロゲステロンシグナル伝達経路の増強を介して改善し得る障害、例えば、女性性機能障害の処置おいて、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤として有用な新規化合物である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ホスホジエステラーゼ類(PDE)で11種のファミリーが同定されているが、ファミリーIのPDEで、Ca2+−カルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼ類(CaM−PDE)のみが、カルシウムおよび環状ヌクレオチド(例えばcAMPおよびcGMP)シグナル伝達経路の両方に介在することが示されている。3種の既知CaM−PDE遺伝子、PDE1A、PDE1BおよびPDE1Cは、全て中枢神経系組織で発現される。PDE1Aは脳全体にわたり発現され、海馬のCA1〜CA3層および小脳において高レベルで発現され、線条体で低レベルである。PDE1Aはまた肺および心臓でも発現される。PDE1Bは線条体、歯状回、嗅索および小脳で優勢に発現され、その発現はドーパミン系神経支配が高レベルである脳領域と相関する。PDE1Bは主に中枢神経系で発現されるが、心臓でも検出され得る。PDE1Cは主に嗅上皮、小脳顆粒細胞および線条体で発現される。PDE1Cはまた心臓および血管平滑筋でも発現される。
【0004】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ類は、細胞内cAMPおよびcGMPシグナル伝達を、これらの環状ヌクレオチド類をその不活性5’−モノホスフェート(5’AMPおよび5’GMP)に加水分解することにより低下させる。CaM−PDEは、特に基底核または線条体として知られる脳領域内の、脳細胞のシグナル伝達の介在に必須の役割を有する。例えば、NMDA型グルタミン酸受容体活性化および/またはドーパミンD2受容体活性化は細胞内カルシウム濃度の上昇をもたらし、カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)およびカルシニューリンのようなエフェクターの活性化およびCaM−PDEの活性化を生じ、cAMPおよびcGMPを低下させる。ドーパミンD1受容体活性化は、他方で、ヌクレオチドシクラーゼ類の活性化を生じ、cAMPおよびcGMPを上昇させる。これらの環状ヌクレオチド類は、続いてタンパク質キナーゼA(PKA;cAMP依存性タンパク質キナーゼ)および/またはタンパク質キナーゼG(PKG;cGMP依存性タンパク質キナーゼ)を活性化させ、これらは、DARPP−32(ドーパミンおよびcAMP調節性リンタンパク質)およびcAMP応答配列結合タンパク質(CREB)のような下流シグナル伝達経路要素をリン酸化する。リン酸化DARPP−32が、続いてプロテインホスファターゼ−1(PP−1)活性を阻害し、それによりプロゲステロン受容体(PR)のような基質タンパク質のリン酸化状態を高め、生理的応答の誘発に至る。齧歯類での研究は、ドーパミンD1またはプロゲステロン受容体の活性化を介するcAMPおよびcGMP合成誘発は、ある齧歯類においては交尾の受容性と関連するロードシス応答を含む、種々の生理的応答と関連するプロゲステロンシグナル伝達を増強することを示唆する。Mani, et al., Science (2000) 287: 1053参照、この内容を引用により本明細書に包含させる。
【0005】
CaM−PDEは、それ故に、一酸化窒素、ノルアドレナリン、ニューロテンシン、CCK、VIP、セロトニン、グルタメート(例えば、NMDA受容体、AMPA受容体)、GABA、アセチルコリン、アデノシン(例えば、A2A受容体)、カンナビノイド受容体、ナトリウム利尿ペプチド(例えば、ANP、BNP、CNP)、DARPP−32およびエンドルフィン細胞内シグナル伝達経路を含むが、これらに限定されない、基底核(線条体)のドーパミン調節性および他の細胞内シグナル伝達経路に影響し得る。
【0006】
ホスホジエステラーゼ(PDE)活性、特に、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)活性は、脳組織で自発運動活性および学習および記憶のレギュレーターとして機能する。PDE1は、ドーパミンD1受容体、ドーパミンD2受容体、一酸化窒素、ノルアドレナリン、ニューロテンシン、CCK、VIP、セロトニン、グルタメート(例えば、NMDA受容体、AMPA受容体)、GABA、アセチルコリン、アデノシン(例えば、A2A受容体)、カンナビノイド受容体、ナトリウム利尿ペプチド(例えば、ANP、BNP、CNP)、エンドルフィン細胞内シグナル伝達経路およびプロゲステロンシグナル伝達経路を含むが、これらに限定されない、好ましくは神経系の、細胞内シグナル伝達経路の制御の治療標的である。例えば、PDE1B阻害はcGMPおよびcAMPを分解から保護することによりドーパミンD1アゴニストの作用を増強するように働くはずであり、同様に、PDE1活性阻害によりドーパミンD2受容体シグナル伝達経路を阻害するはずである。細胞内カルシウムレベルの慢性的上昇は多様な障害、特にアルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病のような神経変性疾患および卒中および心筋梗塞に至る循環器系の障害で細胞死に結びつく。PDE1阻害剤は、それ故に、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、鬱病、ナルコレプシーおよび認知機能障害のようなドーパミンD1受容体シグナル伝達活性低下により特徴付けられる疾患に有用である可能性がある。PDE1阻害剤はまた女性性機能障害のようなプロゲステロンシグナル伝達の増強により軽減され得る疾患にも有用である。
【0007】
それ故に、PDE1活性、特にPDE1AまたはPDE1B活性を選択的に阻害する化合物に対する要求がある。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明は、場合により置換されていてよい(5−または7−オキシ)−3,4−ジヒドロ−(場合により4−オキソ、4−チオキソまたは4−イミノ)−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2(3H,6H)−オン類、好ましくは遊離形態または塩形態の式II、例えば、II−A'およびII−B'の化合物:
【化1】
〔式中、
(i)Qは−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii)R
H、
1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)(ここで、該アルキル基は場合によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシ(例えば、1−ヒドロキシプロパン−2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)で置換されていてよく、例えば、Rはトリフルオロメチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルであってよい)、
N(R14)(R15)−C1−6アルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチルまたは2−アミノプロピル)、
アリールC0−6アルキル(例えば、フェニルまたはベンジル)、
ヘテロアリールC0−6アルキル(例えば、ピリジニルメチル)、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキル(例えば、4−メトキシベンジル)であるか;
−G−Jであり、ここで:
Gは単結合またはアルキレン(例えば、メチレン)であり;
Jは場合により1個以上のC1−6アルキル(例えば、(1−メチルピロリジン−2−イル))、アミノ(例えば、−NH)で置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリン−3−イル、ピロリン−2−イル)であり、
例えば、−G−Jは場合により1個以上のC1−6アルキル、アミノ(例えば、−NH)で置換されていてよい−C0−4アルキル−C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロプロピルメチル)、例えば、2−アミノシクロペンチルまたは2−アミノシクロヘキシルであり、ここで、該シクロアルキルは場合によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよく(例えば、ピロリジニル、例えば、ピロリジン−3−イルまたはピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリンジン−2−イル、1−メチル−ピロリンジン−3−イル、1−メチル−ピロリンジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリンジン−3−イル−メチル)であり;
(iv)R
【0009】
1)−D−E−F−であり、ここで:
Dは単結合、C1−6アルキレン(例えば、メチレン)またはアリールアルキレン(例えば、p−ベンジレンまたは−CH−)であり;
Eは
単結合、
1−4アルキレン(例えば、メチレン)、
2−6アルキニレン(例えば、エチニレン、プロプ−2−イン−1−イレン)、エチニレン、プロプ−2−イン−1−イレン)、
−C0−4アルキルアリーレン(例えば、フェニレンまたは−C−、−ベンジレン−または−CH−)(ここで、該アリーレン基は場合によりハロ(例えば、ClまたはF)で置換されていてよい)、
ヘテロアリーレン(例えば、ピリジニレンまたはピリミジニレン)、
アミノC1−6アルキレン(例えば、−CHN(H)−)、
アミノ(例えば、−N(H)−);
場合によりNまたはOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよいC3−8シクロアルキレン(例えば、ピペリジニレン)であり、
Fは
H、
ハロ(例えば、F、Br、Cl)、
1−6アルキル(例えば、イソプロピルまたはイソブチル)、
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
場合によりNまたはOからなる群から選択される1個以上の原子を含んでよいC3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルまたはモルホリニル)(該シクロアルキルは場合によりC1−6アルキル(例えば、メチルまたはイソプロピル)で置換されていてよい、例えば、1−メチルピロリジン−2−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピペリジン−2−イル、1−メチルピペリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−2−イル)、
ヘテロアリール、例えばピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)(ここで、該ヘテロアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)またはハロC1−6アルキルで置換されていてよい、例えば、6−フルオロピリド−2−イル);
アミノ(例えば、−NH)、
1−6アルコキシ、
−O−ハロC1−6アルキル(例えば、−O−CF)、
1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニルまたは−S(O)CH)、
−C(O)−R13
−N(R14)(R15)であるか;または
【0010】
2)置換、例えばハロアルキルで置換されている、ヘテロアリールアルキルであるか;または
3)式II−AまたはII−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化2】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲン(例えばClまたはF)であり;そしてR10
ハロゲン、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニル)
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、イミダゾリルまたはピラゾリル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、
1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、
アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、
アミノカルボニルであり;
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてよく、
好ましくはR10は場合によりハロ(例えば、F)またはC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいフェニル、ピリジル、例えば、2−ピリジル、ピロリジニルであり;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
【0011】
(v)Rは:
1−4アルキル(例えば、イソプロピル)、
3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、
アリール(例えば、フェニル)、
3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリド−4−イル)または
アリールC1−4アルキル(例えば、ベンジル)、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、F、Cl)、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、例えば、Rは3−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルであり、
(vi)RはH、C1−6アルキル(例えば、メチル)、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アリールオキシ、−N(R16)(R17)、オキソ(例えば、=O)またはC3−8シクロアルキルであり;
(vii)RはH、C1−6アルキル(例えば、メチル)またはC3−8シクロアルキルであり、ここで、該シクロアルキルは場合により1個以上のオキソで置換されていてよく(例えば、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル);
(viii)R13は−N(R14)(R15)、C1−6アルキル(例えば、メチル)、−OC1−6アルキル(例えば、−OCH)、ハロC1−6アルキル(トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリールであり;
(ix)R14およびR15は独立してHまたはC1−6アルキルであり;
(x)R16およびR17は独立してH、C1−6アルキル、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、フルオロ)、C1−6アルコキシ(例えばメトキシ)で置換されていてよい。〕
の化合物を提供する。
【0012】
本発明は、さらに、式II−A’およびII−B’の化合物であり、ここで、該化合物が式II−AまたはII−B:
【化3】
〔式中、R以外の全ての置換基は式II−A’およびII−B’で定義したとおりであり、当該R
1−4アルキル(例えば、イソプロピル)、
3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリド−4−イル)または
アリールC1−4アルキル(例えば、ベンジル)であり、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、F、Cl)、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、例えば、Rは3−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルである。〕
の化合物であるものを提供する
【0013】
さらに別の態様において、本発明は次のとおりの遊離形態または塩形態の式II−AまたはII−Bの化合物を提供する:
2.1 Qが−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−である、式II−AまたはII−B;
2.2 Qが−C(=S)−である、式II−AまたはII−B;
2.3 Qが−C(=O)−である、式II−AまたはII−B;
2.4 Qが−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−である、式II−AまたはII−B;
2.5 RがHまたはC1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.4のいずれか;
2.6 Rがメチルまたはエチルである、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.4のいずれか;
2.7 R
H、
1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)(ここで、該アルキル基は場合によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシ(例えば、1−ヒドロキシプロパン−2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)で置換されていてよく、例えば、Rがトリフルオロメチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルであってよい)、
N(R14)(R15)−C1−6アルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチルまたは2−アミノプロピル)、
アリールC0−6アルキル(例えば、フェニルまたはベンジル)、
ヘテロアリールC0−6アルキル(例えば、ピリジニルメチル)、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキル(例えば、4−メトキシベンジル)であり;
−G−Jであり、ここで:
Gが単結合またはアルキレン(例えば、メチレン)であり;
Jは場合により1個以上のC1−6アルキル、アミノ(例えば、−NH)で置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリン−3−イル、ピロリン−2−イル)(例えば、(1−メチルピロリジン−2−イル))、
例えば、−G−Jは場合により1個以上のC1−6アルキル、アミノ(例えば、−NH)で置換されていてよい−C0−4アルキル−C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロプロピルメチル)、例えば、2−アミノシクロペンチルまたは2−アミノシクロヘキシルであり、ここで、該シクロアルキルは場合によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよい(例えば、ピロリジニル、例えば、ピロリジン−3−イルまたはピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリンジン−2−イル、1−メチル−ピロリンジン−3−イル、1−メチル−ピロリンジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリンジン−3−イル−メチル)、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.6のいずれか;
2.8 RがC1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)(ここで、該アルキル基は場合によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシ(例えば、1−ヒドロキシプロパン−2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)で置換されていてよく、例えば、Rがトリフルオロメチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルであってよい)である、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.7のいずれか;
2.9 RがC1−6アルキル(イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピルである、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.7のいずれか;
2.10 Rがイソブチルである、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.7のいずれか;
【0014】
2.11 Rが;
1)−D−E−F−であり、ここで:
Dが単結合、C1−6アルキレン(例えば、メチレン)またはアリールアルキレン(例えば、p−ベンジレンまたは−CH−)であり;
Eが
単結合、
1−4アルキレン(例えば、メチレン)、
2−6アルキニレン(例えば、エチニレン、プロプ−2−イン−1−イレン)、エチニレン、プロプ−2−イン−1−イレン)、
−C0−4アルキルアリーレン(例えば、フェニレンまたは−C−、−ベンジレン−または−CH−)(ここで、該アリーレン基は場合によりハロ(例えば、ClまたはF)で置換されていてよい)、
ヘテロアリーレン(例えば、ピリジニレンまたはピリミジニレン)、
アミノC1−6アルキレン(例えば、−CHN(H)−)、
アミノ(例えば、−N(H)−);
場合によりNまたはOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよいC3−8シクロアルキレン(例えば、ピペリジニレン)であり、
Fが
H、
ハロ(例えば、F、Br、Cl)、
1−6アルキル(例えば、イソプロピルまたはイソブチル)、
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
場合によりNまたはOからなる群から選択される1個以上の原子を含んでよいC3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルまたはモルホリニル)(該シクロアルキルは場合によりC1−6アルキル(例えば、メチルまたはイソプロピル)で置換されていてよく、例えば、1−メチルピロリジン−2−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピペリジン−2−イル、1−メチルピペリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−2−イル)、
ヘテロアリール、例えばピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)(ここで、該ヘテロアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)またはハロC1−6アルキル、例えば、6−フルオロピリド−2−イルで置換されていてよい);
アミノ(例えば、−NH)、
1−6アルコキシ、
−O−ハロC1−6アルキル(例えば、−O−CF)、
1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニルまたは−S(O)CH)、
−C(O)−R13
−N(R14)(R15)であるか;または
【0015】
2)置換、例えばハロアルキルで置換されている、ヘテロアリールアルキル;または
3)式II−AまたはII−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化4】
の基であり、
ここで、X、YおよびZが独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12が独立してHまたはハロゲン(例えばClまたはF)であり;そしてR10
ハロゲン、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニルまたはピペリジニル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、
1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、
アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、
アミノカルボニルであり;
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)置換されていてよく、
好ましくはR10は場合によりハロ(例えば、F)またはC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいフェニル、ピリジル、例えば、2−ピリジル、ピロリジニルである;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれが存在しない、
式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.10のいずれか;
【0016】
2.12 Rが式II−AまたはII−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化5】
の基であり、
ここで、X、YおよびZが独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12が独立してHまたはハロゲン(例えばClまたはF)であり;そしてR10
ハロゲン、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニルまたはピペリジニル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、
1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、
アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、
アミノカルボニルであり;
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてよく、
好ましくはR10は場合によりハロ(例えば、F)またはC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいフェニル、ピリジル、例えば、2−ピリジル、ピロリジニルである;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれが存在しない、
式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.10のいずれか;
【0017】
2.13 Rが式II−AまたはII−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化6】
の基であり、
ここで、X、YおよびZが独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12が独立してHまたはハロゲン(例えばClまたはF)であり;そしてR10
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニルまたはピペリジニル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)であり、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてよく、
好ましくはR10は場合によりハロ(例えば、F)またはC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいフェニル、ピリジル、例えば、2−ピリジル、ピロリジニルである;
ただし、X、YまたはZが窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれが存在しない、
式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.10のいずれか;
【0018】
2.14 Rが:
1−4アルキル(例えば、イソプロピル)、
3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリド−4−イル)または
アリールC1−4アルキル(例えば、ベンジル)であり、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、F、Cl)、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、例えば、Rが3−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルである、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.13のいずれか;
2.15 Rが場合によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、4−ヒドロキシフェニル)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは他のアリール基(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)で置換されていてよいアリール(例えば、フェニル)である、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.14のいずれか;
2.16 Rが場合によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)で置換されていてよいアリール(例えば、フェニル)である、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.14のいずれか;
2.17 RがH、C1−6アルキル(例えば、メチル)、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アリールオキシ、−N(R16)(R17)、オキソ(例えば、=O)またはC3−8シクロアルキルである、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.16のいずれか;
2.18 RがHである、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.16のいずれか;
2.19 RがH、C1−6アルキル(例えば、メチル)またはC3−8シクロアルキルであり、ここで、該シクロアルキルは場合により1個以上のオキソで置換されていてよい(例えば、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.18のいずれか;
2.20 RがHまたはC1−6アルキル(例えば、メチル)である、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.18のいずれか;
2.21 RがHである、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.18のいずれか;
2.22 R14およびR15が独立してHまたはC1−6アルキルである、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.21のいずれか;
2.23 R16およびR17が独立してH、C1−6アルキル、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、フルオロ)、C1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)置換されていてよい、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.22のいずれか;
2.24 R16がHであり、R17がアリール(フェニル)であり、ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、フルオロ)、C1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよい、式II−AまたはII−Bまたは2.1−2.22のいずれか;
【0019】
2.25 次のものから選択される、前記式のいずれか:
【化7】
2.26 さらに次のものから選択される、前記式のいずれか:
【化8】
2.27 例えば、実施例7に記載の固定化金属親和性粒子試薬PDEアッセイで、cGMPのホスホジエステラーゼ介在(例えば、PDE1介在、特にPDE1A介在またはPDE1B介在)加水分解を、例えば、10μM未満、好ましくは1μM未満、より好ましくは500nM未満、好ましくは100nM未満のIC50で阻害する、前記式のいずれか。
【0020】
特定の態様において、式II−AまたはII−Bの化合物は遊離形態または塩形態の式III−AまたはIII−Bの化合物であり、ここで、
(i)Qは−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキル(例えば、メチル)であり;
(iii)R
H、
1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)(ここで、該アルキル基は場合によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシ(例えば、1−ヒドロキシプロパン−2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)で置換されていてよく、例えば、Rはトリフルオロメチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルであってよい)、
N(R14)(R15)−C1−6アルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチルまたは2−アミノプロピル)、
アリールC0−6アルキル(例えば、フェニルまたはベンジル)、
ヘテロアリールC0−6アルキル(例えば、ピリジニルメチル)、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキル(例えば、4−メトキシベンジル)であり;
−G−Jであり、ここで:
Gは単結合またはアルキレン(例えば、メチレン)であり;
Jは場合により1個以上のC1−6アルキル、アミノ(例えば、−NH)で置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリン−3−イル、ピロリン−2−イル)(例えば、(1−メチルピロリジン−2−イル))であり、
例えば、−G−Jは場合により1個以上のC1−6アルキル、アミノ(例えば、−NH)で置換されていてよい−C0−4アルキル−C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロプロピルメチル)であってよく、例えば、2−アミノシクロペンチルまたは2−アミノシクロヘキシルであり、ここで、該シクロアルキルは場合によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよく(例えば、ピロリジニル、例えば、ピロリジン−3−イルまたはピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリンジン−2−イル、1−メチル−ピロリンジン−3−イル、1−メチル−ピロリンジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリンジン−3−イル−メチル);
(iv)Rは:
(a)−D−E−Fであり、ここで:
DはC1−6アルキレン(例えば、メチレン)であり;
Eは−Cアルキルアリーレン(例えば、フェニレン)、
Fは
ハロ(例えば、F、Br、Cl)、
1−6アルキル(例えば、イソプロピルまたはイソブチル)、
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
場合によりNまたはOからなる群から選択される1個以上の原子を含んでよいC3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルまたはモルホリニル)(該」シクロアルキルは場合によりC1−6アルキルで置換されていてよく(例えば、メチルまたはイソプロピル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピペリジン−2−イル、1−メチルピペリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−2−イル)、
ヘテロアリール、例えばピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)(ここで、該ヘテロアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)またはハロC1−6アルキルで置換されていてよく、例えば、6−フルオロピリド−2−イル);
アミノ(例えば、−NH)、
1−6アルコキシ、
−O−ハロC1−6アルキル(例えば、−O−CF)、
1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニルまたは−S(O)CH)、
−C(O)−R13
−N(R14)(R15)であるか;または
【0021】
(b)置換、例えばハロアルキルで置換されている、ヘテロアリールアルキル;または
(c)式III−AまたはIII−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化9】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲン(例えばClまたはF)であり;そしてR10
ハロゲン、
1−6アルキル、
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニル)
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、イミダゾリルまたはピラゾリル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、
1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、
アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、
アミノカルボニルであり;
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてよく、
好ましくはR10は場合によりハロ(例えば、F)またはC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいフェニル、ピリジル、例えば、2−ピリジル、ピロリジニルであり;
ただし、X、YまたはZは窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
【0022】
(v)R
1−4アルキル(例えば、イソプロピル)、
3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリド−4−イル)または
アリールC1−4アルキル(例えば、ベンジル)、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、F、Cl)、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、例えば、Rは3−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルであり、
(vi)RはH、C1−6アルキル(例えば、メチル)またはC3−8シクロアルキルであり;
(vii)R13は−N(R14)(R15)、C1−6アルキル(例えば、メチル)、−OC1−6アルキル(例えば、−OCH)、ハロC1−6アルキル(トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリールであり;
(iii)R14およびR15は独立してHまたはC1−6アルキルである。
【0023】
さらに別の態様において、式II−AまたはII−Bの化合物は遊離形態または塩形態の式IV−AまたはIV−Bの化合物であり、ここで:
(i)Qは−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=N(R))−または−C(R14)(R15)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキル(例えば、メチル)であり;
(iii)Rは:
1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)(ここで、該アルキル基は場合によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシ(例えば、1−ヒドロキシプロパン−2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)で置換されていてよく、例えば、Rはトリフルオロメチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルであってよい)であり、
(iv)Rは:
(a)−D−E−Fであり、ここで:
DはC1−6アルキレン(例えば、メチレン)であり;
Eは−Cアルキルアリーレン(例えば、フェニレン)であり、
Fは
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
アリール(例えば、フェニル)、
場合によりNまたはOからなる群から選択される1個以上の原子を含んでよいC3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルまたはモルホリニル)(該シクロアルキルは場合によりC1−6アルキル(例えば、メチルまたはイソプロピル)で置換されていてよく、例えば、1−メチルピロリジン−2−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピペリジン−2−イル、1−メチルピペリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−2−イル)、
ヘテロアリール、例えばピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)であり、ここで、該ヘテロアリールは場合によりC1−6アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)またはハロC1−6アルキルで置換されていてよく、例えば、6−フルオロピリド−2−イル);または

【0024】
(b)Rは式IV−AまたはIV−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化10】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲン(例えばClまたはF)であり;そしてR10
1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニル)
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、イミダゾリルまたはピラゾリル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)であり、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合により1個以上のC1−6アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、−SHまたはさらなるアリールまたはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてよく、
好ましくはR10は場合によりハロ(例えば、F)またはC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいフェニル、ピリジル、例えば、2−ピリジル、ピロリジニルであり;
ただし、X、YまたはZは窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)R
1−4アルキル(例えば、イソプロピル)、
3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリド−4−イル)または
アリールC1−4アルキル(例えば、ベンジル)であり、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、F、Cl)、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、例えば、Rは3−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルであり、
(vi)RはH、C1−6アルキル(例えば、メチル)またはC3−8シクロアルキルであり;
(vii)R14およびR15は独立してHまたはC1−6アルキルである。
【0025】
さらに別の態様において、式II−AまたはII−Bの化合物は遊離形態または塩形態の式V−AまたはV−Bの化合物であり、ここで:
(i)Qは−C(=O)−であり;
はHまたはC1−6アルキル(例えば、メチル)であり;
(iii)RはC1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)であり;
(iv)Rは:
(c)−D−E−Fであり、ここで:
DはC1−6アルキレン(例えば、メチレン)であり;
Eは−Cアルキルアリーレン(例えば、フェニレン)、
Fはメトキシ、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、6−フルオロピリド−2−イル、1−メチルピロリジン−2−イルから選択され;または
(d)Rは式V−AまたはV−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化11】
の基であり、ここでX、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲン(例えば、ClまたはF);およびR10はメトキシ、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、6−フルオロピリド−2−イル、ジアゾリル(例えば、イミダゾリルまたはピラゾリル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、1−メチルピロリジン−2−イルから選択され;
ただし、X、YまたはZは窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)R
1−4アルキル(例えば、イソプロピル)、
3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリド−4−イル)または
アリールC1−4アルキル(例えば、ベンジル)、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ(例えば、F、Cl)、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよく、例えば、Rは3−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルであり、
(vi)RはH、C1−6アルキル(例えば、メチル)またはC3−8シクロアルキルである。
【0026】
さらに別の態様において、式II−AまたはII−Bの化合物は遊離形態または塩形態の式VI−AまたはVI−Bの化合物であり、ここで:
(i)Qは−C(=O)−であり;
(ii)RはHまたはC1−6アルキル(例えば、メチル)であり;
(iii)RはC1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)であり;
(iv)Rは:
a)−D−E−Fであり、ここで:
DはC1−6アルキレン(例えば、メチレン)であり;
Eは−Cアルキルアリーレン(例えば、フェニレン)であり、
Fはメトキシ、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、6−フルオロピリド−2−イル、1−メチルピロリジン−2−イルから選択され;または
(b)Rは式VI−AまたはVI−Bのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化12】
の基であり、
ここで、X、YおよびZは独立してNまたはCであり、R、R、R11およびR12は独立してHまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり;R10はメトキシ、ピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、6−フルオロピリド−2−イル、ジアゾリル(例えば、イミダゾリルまたはピラゾリル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、1−メチルピロリジン−2−イルから選択され;
ただし、X、YまたはZは窒素であるならば、R、RまたはR10のそれぞれは存在せず;
(v)Rは場合によりハロ(例えば、F、Cl)、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびC3-8シクロアルキルで置換されていてよいアリール(例えば、フェニル)であり、例えば、R6は3−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルであり、
(vi)RはHである。
【0027】
さらに別の態様において、本発明の化合物、例えば、式II−A’またはII−B’、式II−AまたはII−BないしVI−AまたはVI−Bまたは式2.1−2.27のいずれかの化合物は遊離形態または塩形態の式VII−AまたはVII−Bの化合物であり、ここで、:
Qは−C(=O)−であり;
はC1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)、好ましくはイソブチルであり;
は:
−D−E−Fであり、ここで、Dはメチル、Eはアリール(例えば、フェニル)およびFはC1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)またはヘテロアリール(例えば、ヘテロアリール、例えばピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、ジアゾリル(例えば、イミダゾリル)またはトリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)であるか;または
式II−AまたはII−BないしVI−AまたはIV−Bのいずれかのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化13】
の基であり、
ここで、X、YおよびZはCであり;R、R、R11およびR12はHであり;R10はC1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)またはヘテロアリール、例えばピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、ジアゾリル(例えば、イミダゾリル)またはトリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)であり;
は:
3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、
場合によりハロ(例えば、F、Cl)、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびC3−8シクロアルキルから選択される1個以上の基で置換されていてよいアリール(例えば、フェニル)であり、例えば、Rは3−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルであり、
はHまたはC1−6アルキル(例えば、メチル)である。
【0028】
さらに別の態様において、本発明の化合物、例えば、上記の式II−A’またはII−B’、式II−AまたはII−BないしVI−AまたはVI−Bまたは式2.1−2.27のいずれかの化合物は、遊離形態または塩形態のVIII−AまたはVIII−Bの化合物であり、ここで、
Qは−C(=O)−であり;
はC1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)、好ましくはイソブチルであり;
は:
−D−E−Fであり、ここで、Dはメチル、Eはアリール(例えば、フェニル)およびFはC1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)またはヘテロアリール(例えば、ヘテロアリール、例えばピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、ジアゾリル(例えば、イミダゾリル)またはトリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)であるか;または
式II−AまたはII−BないしVI−AまたはIV−Bのいずれかのピロロ部分の窒素に結合し、式A
【化14】
の基であり、
ここで、X、YおよびZはCであり;R、R、R11およびR12はHであり;R10はC1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)またはヘテロアリール、例えばピリジル、(例えば、ピリド−2−イル)、ジアゾリル(例えば、イミダゾリル)またはトリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)であり;
は場合により1個以上のハロ(例えば、F)で置換されていてよいアリール(例えば、フェニル)であり、例えば、Rは4−フルオロフェニルであり;
はHまたはC1−6アルキル(例えば、メチル)である。
【0029】
さらに別の態様において、本発明の化合物、例えば、上記の式II−A’またはII−B’、式II−AまたはII−BないしVIII−AまたはVIII−Bまたは式2.1−2.27のいずれかの化合物は、遊離形態または塩形態の、FまたはR10が5−フルオロピリド−2−イル、4−フルオロピリド−2−イル、3−フルオロピリド−2−イル、1−メチルピロリジン−3−イル、1−メチルピロリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−1−イルまたは1−メチルピペリジン−2−イルから選択される化合物である。
【0030】
他に特定されない限りまたは文脈から明らかでない限り、次の用語は次の意味を有する:
(a)ここで使用する“アルキル”は、好ましくは飽和の、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の炭化水素基を意味し、それは直鎖でも分枝鎖でもよく、場合により例えば、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで一、二または三置換されていてよい。
【0031】
(b)ここで使用する“シクロアルキル”は、好ましくは飽和の、3〜8個の炭素原子を含み、少なくともその一部が非芳香族単または二環式または架橋環状構造を形成する、飽和または不飽和の非芳香族炭化水素基を意味し、それは、場合により、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで置換されていてよい。シクロアルキルが場合によりNおよびOおよび/またはSから選択される少なくとも1個の原子を含むとき、該シクロアルキルはヘテロシクロアルキルでもあり得る。
【0032】
(c)ここで使用する“ヘテロシクロアルキル”は、特記しない限り、少なくとも1個の炭素原子がN、OまたはSで置き換えられている、好ましくは飽和の、好ましくは3〜9個の炭素原子を含み、少なくともその一部が非芳香族単または二環式または架橋環状構造を形成する、飽和または不飽和の非芳香族炭化水素基を意味し、そのヘテロシクロアルキル場合により、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで置換されていてよい。
【0033】
(d)ここで使用する“アリール”は、単または二環式芳香族炭化水素、好ましくはフェニルであり、場合により、例えば、アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシまたはさらなるアリールまたはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてよい。
【0034】
(e)ここで使用する“ヘテロアリール”は、芳香環を形成する原子の1個以上が炭素ではなく硫黄または窒素である芳香族基、例えば、ピリジルまたはチアジアゾリルを意味し、それは、場合により、例えば、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシまたはカルボキシで置換されていてよい。
【0035】
(f)Eがフェニレンであるとき、番号付けは次のとおりである:
【化15】
【0036】
“エン(レン)”で終わるこれらの置換基、例えば、アルキレン、フェニレンまたはアリールアルキレンについて、該置換基は、2個の置換基を架橋しているまたは連結していることを意図する。それ故、メチレンは−CH−を意図し、エチレンは−CH−CH−を意図し、フェニレンは−C−を意図し、アリールアルキレンは−C6H4−CH−または−CH−C−を意図する。
【0037】
(h)参照を容易にするため、特記されない限り、本発明の化合物のピロロ−ピリミジン骨格上の原子は、下記の番号付けに従って番号を付ける。
【化16】
【0038】
本発明の化合物は遊離形態または塩形態、例えば、酸付加塩類として存在し得る。本明細書において特記しない限り、“本発明の化合物”のような用語は、あらゆる形態、例えば、遊離形態または酸付加塩形態または本化合物が酸性置換基を含むとき、塩基付加塩形態の化合物、例えば、あらゆる形態の式II、例えば、式II−A’またはII−B’、式II−AまたはII−B、例えば、2.1−2.27またはIII−A、III−B、IV−A、IV−B、V−A、V−B、VI−AまたはVI−B、VII−AまたはVII−BまたはVIII−AまたはVIII−Bのいずれかの化合物を包含すると解釈すべきである。本発明の化合物は医薬として使用することが意図され、それ故に薬学的に許容される塩類が好ましい。医薬使用に適さない塩類は、例えば、本発明の遊離化合物またはその薬学的に許容される塩類の単離または精製に使用してよく、それ故にまた包含される。特定の態様において、本発明の化合物の塩はギ酸付加塩である。
【0039】
本発明の化合物はある場合はまたプロドラッグ形態でも存在できる。プロドラッグ形態は、体内で本発明の化合物に変換する化合物である。例えば本発明の化合物がヒドロキシ置換基またはカルボキシ置換基を含むとき、これらの置換基は生理的に加水分解可能であり、かつ許容されるエステル類を形成し得る。ここで使用する“生理的に加水分解可能であり、かつ許容されるエステル”は、生理的条件下加水分解可能であり、投与する量で生理的に耐容性である酸類(ヒドロキシ置換基を有する本発明の化合物の場合)またはアルコール類(カルボキシ置換基を有する本発明の化合物の場合)を生じる本発明の化合物のエステル類を意味する。それ故、ヒドロキシ基、例えば、化合物−OHを含む本発明の化合物において、かかる化合物のアシルエステルプロドラッグ、例えば、化合物−O−C(O)−C1−4アルキルを体内で加水分解して、一方で生理的に加水分解可能アルコール(化合物−OH)および他方で酸(例えば、HOC(O)−C1−4アルキル)を形成できる。あるいは、カルボン酸を含む本発明の化合物、例えば、化合物−C(O)OHにおいて、かかる化合物の酸エステルプロドラッグ、例えば、化合物−C(O)O−C1−4アルキルを加水分解して、化合物−C(O)OHおよびHO−C1−4アルキルを形成できる。当然であるが、本用語はそれ故に慣用の医薬プロドラッグ形態を含む。
【0040】
本発明はまた本発明の化合物の製造方法および下に記載する疾患および障害の処置のための本発明の化合物の使用方法も提供する(特にパーキンソン病、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、ADHD、下肢静止不能症候群、鬱病、統合失調症の認知機能障害、ナルコレプシーのようなドーパミンD1受容体シグナル伝達活性低下により特徴付けられる疾患および女性性機能障害のようなプロゲステロンシグナル伝達の増強により軽減され得る疾患または精神病または緑内障のような疾患または障害)。この列記は網羅的であることを意図せず、下に示す他の疾患および障害を含み得る。
【0041】
他の態様において、本発明は、さらに、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物、例えば、式II−A’またはII−B’、式II−AまたはII−B、例えば、2.1−2.27またはIII−A、III−B、IV−A、IV−B、V−A、V−B、VI−A、VI−B、VII−A、VII−B、VIII−AまたはVIII−Bの化合物のいずれかを、薬学的に許容される担体と共に含む、医薬組成物を提供する。
【0042】
発明の詳細な記載
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩類は、ここに記載のおよび例示した方法によりおよびそれに類似した方法によりおよび化学分野で既知の方法により製造し得る。かかる方法は、下記のものを含むが、これらに限定されない。市販されていないならば、これらの方法のための出発物質は、既知化合物の合成に類似するまたは準ずる方法を使用する化学技術から選択される方法により製造し得る。特に、本発明の化合物のための中間体および出発物質は、PCT/US2009/06437に記載の方法により製造し得る。ここで引用する全ての文献は、その全体を引用により本明細書に包含させる。
【0043】
本発明の化合物は、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体、ならびにその多形、水和物、溶媒和物および複合体を含む。本発明の範囲内のいくつかの化合物は二重結合を含み得る。本明細書における二重結合の表現は、二重結合のEおよびZ異性体の両方を含むことを意図する。加えて、本発明の範囲内のいくつかの化合物は1個所以上の不斉中心を含み得る。本発明は、あらゆる光学的に純粋な異性体ならびにあらゆる立体異性体の組合せの使用を含む。
【0044】
当業者には当然であるが、本発明の化合物はケト−エノール互変異性を示し得る。それ故、本明細書で定義する本発明は、ここに示す構造およびその互変異性形態の両方を包含すると解釈すべきである。
【0045】
本発明の化合物はまたその安定なおよび不安定な同位体を含むことも意図する。安定な同位体は、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比較して、1個の余分な中性子を含む非放射性同位体である。かかる同位体を含む化合物の活性は保持され、かかる化合物はまた非同位体化合物の薬物動態学的の測定にも有用性を有することが予期される。例えば、本発明の化合物のある位置の水素原子を重水素(非放射性の安定な同位体に置き換え得る)。既知の安定な同位体の例は、重水素、13C、15N、18Oを含むが、これらに限定されない。あるいは、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比較して、余分な複数中性子を含む放射性同位体である不安定な同位体、例えば、123I、131I、125I、11C、18Fを、対応する豊富な種、例えば、I、CおよびFとそれぞれ置き換え得る。本発明の化合物の同位体の他の有用な例は11C同位体である。これらの放射性同位体は、放射線造影および/または本発明の化合物の薬物動態学的研究に有用である。引用によりその全体を本明細書に包含させるWO2011/043816に開示されたPDE1阻害剤の同位体の製造方法を、本発明の同位体の製造に使用してよい。
【0046】
融点は未補正であり、(dec)は分解を意味する。温度は摂氏度(℃)で示す;特記しない限り、操作は室温または環境温度、すなわち、18〜25℃の範囲の温度で行う。クロマトグラフィーは、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを意味する;薄層クロマトグラフィー(TLC)はシリカゲルプレート上で行う。NMRデータは、主構造決定的プロトンのデルタ値であり、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で示す。シグナル形状について慣用の略語を使用する。カップリング定数(J)はHzで示す。マススペクトル(MS)について、同位体分裂が複数マススペクトルピークをもたらすとき、最低質量カップリング定数主要イオンを記載する。溶媒混合物組成は体積パーセントまたは体積比で示す。NMRスペクトルが複雑であるとき、構造決定的シグナルのみを記載する。
【0047】
用語および略語:
BuLi=n−ブチルリチウム、
BuOH=tert−ブチルアルコール、
CAN=硝酸アンモニウムセリウム(IV)、
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン、
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、
DMSO=ジメチルスルホキシド、
EtO=ジエチルエーテル、
EtOAc=酢酸エチル、
equiv.=当量、
h=時間、
HPLC=高速液体クロマトグラフィー、
CO=炭酸カリウム
LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
MeOH=メタノール、
NBS=N−ブロモスクシンイミド、
NCS=N−クロロスクシンイミド、
NaHCO=重炭酸ナトリウム、
NHOH=水酸化アンモニウム、
Pd(dba)=トリス[ジベンジリデンアセトン]ジパラジウム(0)
PMB=p−メトキシベンジル、
POCl=オキシ塩化リン、
SOCl=塩化チオニル、
TFA=トリフルオロ酢酸、
TFMSA=トリフルオロメタンスルホン酸
THF=テトラヒドロフラン(tetrahedrofuran)。
【0048】
本発明の合成法を下に説明する。R基の定義は、特記しない限り、式II−A’またはII−B’、式II−AまたはII−Bの化合物のいずれかについて上記したとおりである。
【0049】
本発明の一面において、化合物II−AおよびII−Bを、1−Aおよび1−Bの化合物を、それぞれ、例えばR−Lと、溶媒、例えばDMFおよび塩基、例えばKCOまたは炭酸セシウム中、室温でまたは加熱しながら反応させることにより形成し得る:
【化17】
〔式中、全ての置換基は上で定義したとおりであり;Xは脱離基例えばハロゲン、メシレートまたはトシレートである。〕。
【0050】
あるいは、化合物II−AおよびII−Bを、1−Cおよび1−Dの化合物を、それぞれ例えばROHと、溶媒、例えばジオキサンおよび塩基、例えば炭酸セシウム中または非希釈(neat)条件で加熱しながら反応させることにより形成し得る。
【化18】
〔式中、全ての置換基は上で定義したとおりであり;Xは脱離基、例えばハロゲン基である。〕。
【0051】
化合物1−C、例えば、QがC(=O)であり、Xがクロロ基であるものを、例えば、化合物1−Gと塩素化剤、例えばヘキサクロロエタンを、強塩基またはリチウム試薬、例えばLiHMDSの存在下に反応させることにより製造し得る。化合物1−D、例えば、QがC(=O)であり、Xがクロロ基であるものは、例えば、化合物1−Hと塩素化剤、例えばNCSを溶媒、例えばCCl中で反応させることにより製造し得る。ある場合、Rは保護基、例えばパラ−メトキシベンジル(PMB)基であり得る。この状況下では、化合物1−Cまたは1−Dと、RとしてのPMB置換基をTFA/TFMSAのような反応材を使用して脱保護し、1−Cまたは1−Dアナログの急速合成のために異なるR−Lと塩基性条件反応させ得る。
【化19】
【0052】
化合物1−Gおよび1−Hは、1−Iおよび1−Jの化合物それぞれと、例えばR−Lを、溶媒、例えばDMFおよび塩基、例えばKCO中、室温でまたは加熱しながら反応させることにより形成し得る:
【化20】
〔式中、全ての置換基は上で定義したとおりであり;Lは脱離基、例えばハロゲン基である。〕。
【0053】
(1,3−場合により置換されていてよい)−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン骨格、例えば、QがC(=O)である中間体2は、(1,3−場合により置換されていてよい)−ピリミジン−2,4−ジオン、例えば、中間体1と、例えば、強塩基、例えば水素化ナトリウムおよびTsCHRNCのような試薬、例えば、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニドを、溶媒、例えばTHF中で反応させることにより形成し得る。あるいは、中間体1をパラ−トルエンスルホニルメチルイソシアニドと反応させてピロール環を構築し、置換基Rを後の工程で導入し得る。
【化21】
【0054】
中間体3−Aおよび3−Bを、化合物2−Aおよび2−Bと例えばR−Lを、溶媒、例えばDMFおよび塩基、例えばKCOまたは炭酸セシウム中、室温でまたは加熱しながら反応させることにより形成し得る。
【化22】
【0055】
Xがハロ、例えば、Cl、BrまたはIである化合物4−Aおよび4−Bを、化合物3−Aおよび3−Bのハロゲン化により製造し得る。例えば、化合物4−Aを、化合物3−Aと、例えば、N−クロロスクシンイミド(NCS)、ヘキサクロロエタン、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)またはIと、溶媒、例えばTHFおよび塩基、例えばLiHMDS、LDAまたはBuLi中、室温または低温で反応させることにより形成し得る。化合物4−Bを、例えば、化合物3−Bと塩素化剤、例えばNCSを、溶媒、例えばCCl中で反応させることにより製造し得る。
【化23】
【0056】
QがC(=O)である化合物II−AおよびII−B、ここでは、化合物5−Aまたは5−Bは、4−Aおよび4−Bの化合物とそれぞれ、例えばROHおよび塩基、例えば炭酸カリウム中、高温(例えば、還流)で反応させることにより製造し得る。
【化24】
【0057】
化合物5−Aまたは5−BはまたPが保護基、例えばパラ−メトキシベンジル(PMB)基である保護された中間体6−Aまたは6−Bからも合成できる。脱保護後、得られた中間体7−Aまたは7−Bを、R−Lと溶媒、例えばDMFおよび塩基、例えばKCO中、室温でまたは加熱しながら反応させて、化合物5−Aまたは5−Bを得る。
【化25】
〔式中、全ての置換基は上で定義したとおりであり;Lは脱離基、例えばハロゲン基であり;Pは保護基、例えばパラ−メトキシベンジル(PMB)基である。〕。
【0058】
本発明の4−チオキソ化合物、例えば、QがC(=S)である式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−Bの化合物を、続いて、化合物5−Aまたは5−BとP10を、マイクロ波バイアル中、塩基、例えば、ピリジンの存在下、混合物を高温で、例えば、マイクロ波中、例えば、約150℃で加熱することにより製造し得る。それ故に、本発明は、本発明の4−チオキソ化合物、例えば、上記したQがC(=S)式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−Bの化合物の製造方法であって、例えば、QがC(=O)である式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−Bの化合物と、それぞれ、P10を、塩基、例えば、ピリジンの存在下反応させ、反応混合物を高温、例えば、>50℃、例えば、>100℃、例えば、>150℃に、例えば、マイクロ波中、約150℃に加熱することを含む、方法も提供する。
【0059】
本発明の4−イミノ化合物、例えば、QがC(=N(R))である式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−Bの化合物を、続いて、4−チオキソ誘導体(すなわち、QがC(=S)である式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−Bの化合物)に、4−チオキソ誘導体とNH(R)を、HgCl存在下、例えば、溶媒、例えばTHF中反応させ、反応混合物を高温、例えば、マイクロ波中、例えば、約110℃に加熱することにより変換し得る。本発明はまた本発明の4−イミノ化合物、例えば、上記したQがC(=N(R))である式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−Bの化合物の製造方法であって、例えば、QがC(=S)である式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−Bの化合物と、それぞれ、NH(R)を、HgClの存在下に、例えば、溶媒、例えばTHF中、反応させ、反応混合物を、マイクロ波中、例えば、>50℃、例えば、>75℃、例えば、>100℃、例えば、マイクロ波中、約110℃に加熱することを含む、方法も提供する。
【0060】
本発明の化合物、例えば、QがCHである式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−Bの化合物も、化合物5−Aまたは5−Bと還元剤、例えば、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL−H)、リチウムアルミニウムハイドライド、ナトリウムボロハイドライド、好ましくは、DIBAL−Hを反応させることによりまた製造し得る。本発明は、それ故、本発明の化合物、例えば、QがCHである式Iの化合物の製造方法であって、化合物5−Aまたは5−Bと還元剤、例えば、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL−H)、リチウムアルミニウムハイドライド、ナトリウムボロハイドライド、好ましくは、DIBAL−Hを反応させることを含む、方法も提供する。
【0061】
本発明の化合物の使用方法
本発明の化合物は、例えば、環状ヌクレオチド合成のインデューサー、例えばドーパミンおよび一酸化窒素(NO)の阻害またはレベル低下によるPDE1発現増加またはcAMPおよびcGMP発現低下の結果として、cAMPおよびcGMP介在経路の混乱または損傷により特徴付けられる疾患の処置に有用である。PDE1BによるcAMPおよびcGMPの分解を阻止することにより、cAMPおよびcGMPの細胞内レベルを上昇させ、本発明の化合物は環状ヌクレオチド合成インデューサーの活性を増強する。
【0062】
本発明は次の状態:
(i)パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病および薬剤誘発性運動障害を含む神経変性疾患;
(ii)鬱病、注意欠損障害、注意欠損多動障害、双極性障害、不安、睡眠障害、例えば、ナルコレプシー、認知機能障害、認知症、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、覚醒剤退薬および薬物依存を含む精神障害;
(iii)脳血管疾患、卒中、鬱血性心臓疾患、高血圧、肺高血圧および性機能障害を含む循環器および心血管障害;
(vi)喘息、慢性閉塞性肺疾患およびアレルギー性鼻炎、ならびに自己免疫性および炎症性疾患を含む呼吸器および炎症性障害;
(v)PDE1発現細胞における低レベルのcAMPおよび/またはcGMP(またはcAMPおよび/またはcGMPシグナル伝達経路阻害)により特徴付けられるあらゆる疾患または状態;および/または
(vi)ドーパミンD1受容体シグナル伝達活性低下により特徴付けられるあらゆる疾患または状態
の1種以上の処置方法であって、有効量の本発明の化合物、例えば、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式II−A’またはII−B’、式II−AまたはII−B、例えば、2.1−2.27またはIII−A、III−B、IV−A、IV−B、V−A、V−B、VI−A、VI−B、VII−A、VII−B、VIII−AまたはVIII−Bの化合物のいずれかまたはそれを含む組成物を、それを必要とするヒトまたは動物患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0063】
特に好ましい態様において、本発明はナルコレプシーの処置または予防方法を提供する。この態様において、PDE1阻害剤を唯一の治療剤として使用してよいが、また他の活性剤と組合せまたは共投与してもよい。それ故、本発明はさらにナルコレプシーの処置方法であって、治療有効量の、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
(i)本発明のPDE1阻害剤、例えば、式II−A’またはII−B’、式II−AまたはII−B、例えば、2.1−2.27またはIII−A、III−B、IV−A、IV−B、V−A、V−B、VI−A、VI−B、VII−A、VII−B、VIII−AまたはVIII−Bの化合物のいずれか;および
(ii)例えば、(a)中枢神経系刺激剤−アンフェタミン類およびアンフェタミン様化合物、例えば、メチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メタンフェタミンおよびペモリン;(b)モダフィニル、(c)抗鬱剤、例えば、三環系抗鬱剤(イミプラミン、デシプラミン、クロミプラミンおよびプロトリプチリンを含む)および選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルオキセチンおよびセルトラリンを含む);および/または(d)ガンマヒドロキシブチレート(GHB)から選択される、覚醒を促進するまたは睡眠を制御する化合物
を、それを必要とするヒトまたは動物患者に同時に、逐次的にまたは一緒に投与することを含む、方法を提供する。他の態様において、本発明は、前記のとおりのナルコレプシーの処置または予防方法であって、該PDE1阻害剤が医薬組成物の形態であるものを提供する。
【0064】
他の態様において、本発明は、さらに、プロゲステロンシグナル伝達の増強により軽減し得る状態の処置または予防方法であって、有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物を、それを必要とするヒトまたは動物患者に投与することを含む、方法を提供する。プロゲステロンシグナル伝達の増強により軽減し得る疾患または状態は、女性性機能障害、二次的無月経(例えば、運動性無月経、無排卵、閉経、閉経期症状、甲状腺機能低下症)、月経前緊張症、早産、不妊症、例えば反復流産による不妊症、月経周期異常、異常子宮出血、骨粗鬆症、自己免疫疾患、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌および甲状腺機能低下症を含むが、これらに限定されない。例えば、プロゲステロンシグナル伝達の増強により、PDE1阻害剤を、子宮の裏層に対する効果を介して卵着床を亢進させ、妊娠に対する免疫応答または低プロゲステロン機能により流産し易い女性の妊娠の維持を助けるために使用できる。新規PDE1阻害剤、例えば、ここに記載のものはまた、例えば、エストロゲン/エストラジオール/エストリオールおよび/またはプロゲステロン/プロゲスチン類と組み合わせて投与して閉経後女性におけるホルモン補充療法の効果の亢進およびエストロゲン誘発子宮内膜過形成および癌腫に有用であり得る。本発明の方法はまた動物繁殖、例えば繁殖すべき非ヒト雌哺乳動物の雌の性受容性および/または発情の誘発にも有用である。
【0065】
この態様において、本発明のPDE1阻害剤は前記の処置または予防方法において唯一の治療剤として使用してよいが、また他の活性剤、例えばホルモン補充療法と組み合わせまたは共投与に使用してもよい。それ故、本発明は、さらに、プロゲステロンシグナル伝達の増強により軽減し得る障害の処置方法であって、治療有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
(i)本発明のPDE1阻害剤および
(ii)例えば、ストロゲンおよびエストロゲンアナログ(例えば、エストラジオール、エストリオール、エストラジオールエステル類)およびプロゲステロンおよびプロゲステロンアナログ(例えば、プロゲスチン類)から選択されるホルモン
を、それを必要とするヒトまたは動物患者に一緒に、逐次的にまたは同時に投与することを含む、方法を含む。
【0066】
本発明はまた細胞または組織におけるドーパミンD1細胞内シグナル伝達活性の増強または亢進の方法であって、該細胞または組織を、PDE1B活性の阻害に十分な量の本発明の化合物と接触させることを含む、方法を提供する。本発明は、さらに、細胞または組織におけるドーパミンD1細胞内シグナル伝達活性の増強または亢進の方法であって、該細胞または組織を、PDE1活性、例えば、PDE1AまたはPDE1B活性の阻害に十分な量の遊離形態または塩形態の前記した本発明の化合物と接触させることを含む、方法を提供する。
【0067】
本発明はまた細胞または組織におけるプロゲステロンシグナル伝達活性を亢進または増強する方法であって、該細胞または組織と、PDE1B活性、例えば、PDE1AまたはPDE1B活性の阻害に十分な量の本発明の化合物を接触させることを含む、方法も提供する。
【0068】
本発明はまた、処置を必要とする患者におけるPDE1関連、特にPDE1B関連障害、ドーパミンD1受容体細胞内シグナル伝達経路障害またはプロゲステロンシグナル伝達経路の増強により軽減し得る障害の処置方法であって、該患者にPDE1B(ここで、PDE1B活性はDARPP−32および/またはGluR1 AMPA受容体のリン酸化を調節する)を阻害する有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法も提供する。
【0069】
他の面において、本発明はまた緑内障または高眼内圧の処置方法であって、眼部に適合性の担体中の、治療有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明のホスホジエステラーゼI型(PDE1)阻害剤を、それを必要とする患者の眼に投与することを含む、方法も提供する。しかしながら、本処置は全身治療を含んでもよい。全身治療は直接血流に到達できるまたは、例えば経口投与方法を含む。
【0070】
本発明は、さらに、PDE1阻害剤を含む局所眼使用用医薬組成物;例えば遊離形態または眼科的に許容される塩形態の本発明のPDE1阻害剤を眼科的に許容される希釈剤または担体と共に含む、眼用溶液剤、懸濁液剤、クリーム剤または軟膏を提供する。
【0071】
場合により、本発明のPDE1阻害剤を、緑内障または高眼内圧の処置に有用な第2剤と連続的にまたは同時に投与してよい。2種の活性剤を投与するとき、各薬剤の治療有効量は単剤としての活性に必要な量より少ないことがある。従って、閾値以下の量(すなわち、単剤としての効果に必要なレベルより低い量)を治療有効と見なすことができ、また有効量とも呼ぶことができる。実際、異なる作用機構および異なる副作用プロファイルを有する複数薬剤を投与する利点は、いずれかまたは両方の薬剤の投与量および副作用の減少、ならびに単剤療法としての活性の増強または亢進であり得る。
【0072】
本発明は、それ故に、緑内障および高眼内圧から選択される状態の処置方法であって、それを必要とする患者に、眼内圧を低下させることが既知の薬剤の有効量、例えば、閾値以下の量を、有効量の、例えば、閾値以下の量の、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明のPDE1阻害剤と同時に、一緒にまたは逐次的に投与し、その結果、組み合わさった眼内圧を低下させることが既知である薬剤の量および本発明のPDE1阻害剤の量が該状態の処置に有効である、方法を提供する。
【0073】
一つの態様において、一方または両方の薬剤を眼に局所的に投与する。それ故に、本発明は、低用量の眼内圧を低下させることが既知の薬剤を、有効量の本発明のPDE1阻害剤と同時に、一緒にまたは逐次的に投与することにより、緑内障または高眼内圧の処置の副作用を軽減する方法を提供する。しかしながら、局所投与以外の方法、例えば全身的処置投与も利用してよい。
【0074】
本発明のPDE1阻害剤と組み合わせて使用する場合により存在するさらなる1種または多種の薬剤は、例えば、典型的にプロスタグランジン、ピロカルピン、エピネフリン点眼または局所ベータ−ブロッカー処置、例えばチモロールの処置、ならびに全身投与される炭酸脱水酵素阻害剤、例えばアセタゾラミドを含む既存の薬剤から選択し得る。コリンエステラーゼ阻害剤、例えばフィゾスチグミンおよびエコチオパートもまた用いてよく、ピロカルピンと同等の効果を有する。故に、緑内障の処置に現在使用されている薬物は、例えば、
1. 眼房水のブドウ膜強膜流出を増加させるプロスタグランジンアナログ、例えばラタノプロスト(Xalatan)、ビマトプロスト(Lumigan)およびトラボプロスト(Travatan)。ビマトプロストはまた柵状織流出も増加させる。
2. 毛様体による眼房水生成を減少させる局所ベータ−アドレナリン受容体アンタゴニスト、例えばチモロール、レボブノロール(Betagan)およびベタキソロール。
3. 眼房水生成減少とブドウ膜強膜流出増加の二機構により作用するアルファ−アドレナリンアゴニスト、例えばブリモニジン(Alphagan)。
4. 線維柱帯および恐らくブドウ膜強膜流出経路を介して、恐らくベータ−アゴニスト作用により、眼房水流出を増加させる低選択性交感神経模倣剤様エピネフリンおよびジピベフリン(Propine)。
5. 毛様体筋肉収縮、線維柱帯締め付けにより作用し、眼房水流出を増加させる、縮瞳剤(副交感神経刺激剤)様ピロカルピン。
6. 毛様体の炭酸脱水酵素阻害により眼房水分泌を低下させる炭酸脱水酵素阻害剤様ドルゾラミド(Trusopt)、ブリンゾラミド(Azopt)、アセタゾラミド(Diamox)。
7. フィゾスチグミンもまた緑内障の処置および胃内容排出遅延に使用される。
【0075】
例えば、本発明は、本発明のPDE1阻害剤および(i)プロスタノイド類、ウノプロストン、ラタノプロスト、トラボプロストまたはビマトプロスト;(ii)アルファアドレナリンアゴニスト、例えばブリモニジン、アプラクロニジンまたはジピベフリンおよび(iii)ムスカリンアゴニスト、例えばピロカルピンから選択される薬剤を含む、医薬組成物を提供する。例えば、本発明は、本発明のPDE1阻害剤を遊離形態または眼科用に許容される塩形態のビマトプロスト、アブリモニジン(abrimonidine)、ブリモニジン、チモロールまたはそれらの組み合わせと共に、眼科的に許容される希釈剤または担体と混合してまたは一緒に含む眼用製を提供する。しかしながら、組合せの選択に加えて、当業者は適当な選択的受容体サブタイプアゴニストまたはアンタゴニストを選択できる。例えば、アルファアドレナリンアゴニストについて、例えば、アルファ1アドレナリン受容体に選択的なアゴニストまたはアルファアドレナリン受容体に選択的なアゴニスト、例えばブリモニジンを選択できる。ベータ−アドレナリン受容体アンタゴニストについて、適当な治療適用によって、βまたはβまたはβのいずれかに選択的なアンタゴニストを選択できる。また特定の受容体サブタイプ、例えばM−Mに選択的なムスカリンアゴニストも選択できる。
【0076】
本発明のPDE1阻害剤を、眼用溶液剤、クリーム剤または軟膏剤を含む眼用組成物の形で投与してよい。眼用組成物は、さらに、眼内圧低下剤を含み得る。
【0077】
さらに別の例において、開示したPDE1阻害剤を、ビマトプロスト眼用溶液、酒石酸ブリモニジン眼用溶液または酒石酸ブリモニジン/マレイン酸チモロール眼用溶液であり得る閾値以下の量の眼内圧低下剤と組合せ得る。
【0078】
上記方法に加えて、PDE1阻害剤が精神病、例えば、精神病性症状、例えば幻覚、偏執傾向または奇異妄想または支離滅裂な会話および思考、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、精神病性障害、妄想障害および例えば急性躁病エピソードおよび双極性障害における躁病の処置に有用であることも驚くべきことに判明した。いかなる理論にも縛られることを意図しないが、定型および非定型抗精神病剤、例えばクロザピンは、主としてドーパミンD2受容体でそのアンタゴニスト活性を有すると考えられる。しかしながら、PDE1阻害剤は、ドーパミンD1受容体でのシグナル伝達増強に主に作用する。D1受容体シグナル伝達増強により、PDE1阻害剤は種々の脳領域、例えば側坐核ニューロンおよび前頭前皮質でNMDA受容体機能を高めることができる。この機能の増強は、例えばNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体で見ることができ、例えば、キナーゼのSrcおよびタンパク質キナーゼAファミリーの活性化を介して起こり得る。
【0079】
それ故、本発明は、精神病、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、精神病性障害、妄想障害および例えば急性躁病エピソードおよび双極性障害における躁病の新規処置方法であって、治療有効量の本発明の、遊離形態または薬学的に許容される塩形態のホスホジエステラーゼ−1(PDE1)阻害剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0080】
PDE1阻害剤は、前記の処置または予防方法において唯一の治療剤として使用してよいが、また、他の活性剤と組み合わせてまたは共投与して使用してもよい。それ故、本発明は、さらに、精神病、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、精神病性障害、妄想障害または躁病の処置方法であって、治療有効量の:
(i)遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明のPDE1阻害剤;および
(ii)遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、抗精神病剤、例えば、
定型抗精神病剤、例えば、
ブチロフェノン類、例えばハロペリドール(Haldol, Serenace)、ドロペリドール(Droleptan);
フェノチアジン類、例えば、クロルプロマジン(Thorazine, Largactil)、フルフェナジン(Prolixin)、ペルフェナジン(Trilafon)、プロクロルペラジン(Compazine)、チオリダジン(Mellaril, Melleril)、トリフロペラジン(Stelazine)、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、トリフルプロマジン(Vesprin)、レボメプロマジン(Nozinan)、プロメタジン(Phenergan)、Pimozide(Orap);
チオキサンテン類、例えば、クロルプロチキセン、フルペンチキソール(Depixol, Fluanxol)、チオチキセン(Navane)、ズクロペンチキソール(Clopixol, Acuphase);
非定型抗精神病剤、例えば、
クロザピン(クロザリル)、オランザピン(Zyprexa)、リスペリドン(Risperdal)、クエチアピン(Seroquel)、ジプラシドン(Geodon)、アミスルプリド(Solian)、パリペリドン(Invega)、アリピプラゾール(Abilify)、ビフェプルノックス;ノルクロザピン、
をそれを必要とする患者に一緒に、逐次的にまたは同時に投与することを含む、方法を提供する。
【0081】
特定の態様において、本発明の化合物は、統合失調症の処置または予防に特に有用である。
【0082】
遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物は、パーキンソン病、統合失調症、ナルコレプシー、緑内障および女性性機能障害の処置に特に有用である。
【0083】
さらに別の面において、本発明は、睫毛を長くするまたは成長を促進する方法であって、有効量のプロスタグランジンアナログ、例えば、ビマトプロストを、有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明のPDE1阻害剤と同時に、一緒にまたは逐次的に、それを必要とする患者の眼に投与することを含む、方法を提供する。
【0084】
さらに別の面において、本発明は、外傷性脳障害の処置または予防方法であって、治療有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明のPDE1阻害剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。外傷性脳障害(TBI)は、限局性および散在性脳傷害の両方を含む、一次的傷害ならびに二次的傷害を包含する。二次性傷害は、最初の(一次的)傷害後の炎症性応答および過程が引き起こすまたは増悪させる別々の細胞内過程(例えば、活性酸素種による毒性、グルタメート受容体の過刺激、カルシウムの過剰流入および炎症性上方制御)に起因する生物学的応答の複数の、平衡した、相互作用的および相互依存的カスケードである。異常カルシウム恒常性は、灰白質および白質両方の二次的傷害の進行に必須の要素であると考えられる。TBIのレビューについては、その全体を引用により本明細書に包含させるPark et al., CMAJ (2008) 178(9):1163-1170参照。cAMP−PKAシグナル伝達カスケードがTBI後に下方制御され、PDE IV阻害剤、例えばロリプラムでの処置がcAMPレベルを上昇または回復させて、TBI後の組織病理学的結果を改善し、炎症を低下させることを示す研究がある。本発明の化合物はcAMPおよび/またはカルシウムレベルの調節に有用なPDE1阻害剤であるため、これらの化合物はまた、例えば、外傷性脳障害後のcAMPレベルおよび/またはカルシウム恒常性の回復により、TBIの処置に有用であると考えられる。
【0085】
本発明はまた
(i)例えば、前記のあらゆる方法でまたはあらゆる疾患または状態の処置に使用するための、本発明の化合物、
(ii)前記のあらゆる疾患または状態の処置のための本発明の化合物(医薬の製造における)の使用、
(iii)本発明の化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは混合して含む、医薬組成物および
(iv)前記のあらゆる疾患または状態の処置に使用するための、本発明の化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは混合して含む、医薬組成物
も提供する。
【0086】
それ故、本発明は、次の疾患の処置または予防のための本発明の化合物(医薬の製造のための)の使用を提供する:パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病および薬剤誘発性運動障害;鬱病、注意欠損障害、注意欠損多動障害、双極性障害、不安、睡眠障害、ナルコレプシー、認知機能障害、認知症、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、覚醒剤退薬および/または薬物依存;脳血管疾患、卒中、鬱血性心臓疾患、高血圧、肺高血圧および/または性機能障害;喘息、慢性閉塞性肺疾患および/またはアレルギー性鼻炎、ならびに自己免疫性および炎症性疾患;および/または女性性機能障害、運動性無月経、無排卵、閉経、閉経期症状、甲状腺機能低下症、月経前緊張症、早産、不妊症、月経周期異常、異常子宮出血、骨粗鬆症、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌、甲状腺機能低下症、エストロゲン誘発子宮内膜過形成または癌腫;および/またはPDE1発現細胞におけるcAMPおよび/またはcGMPの低レベル(またはcAMPおよび/またはcGMPシグナル伝達経路阻害)および/またはドーパミンD1受容体シグナル伝達活性低下により特徴付けられるあらゆる疾患または状態;および/またはプロゲステロンシグナル伝達の増強により改善し得るあらゆる疾患または状態。
【0087】
本発明はまた次のものの処置または予防のための遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物(医薬の製造のための)の使用も提供する:
a)緑内障または高眼内圧、
b)精神病、例えば、精神病性症状により特徴付けられるあらゆる状態、例えば幻覚、偏執傾向または奇異妄想または解体した会話および思考、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、精神病性障害、妄想障害および例えば急性躁病エピソードおよび双極性障害における躁病、
c)外傷性脳障害。
【0088】
句“本発明の化合物”または“本発明のPDE1阻害剤”または“本発明のホスホジエステラーゼ1阻害剤”は、遊離形態または(薬学的に許容される)塩形態の、ここに開示した全ての化合物、例えば、式II、例えば、式II−A’またはII−B’または式II−AまたはII−B、例えば、2.1−2.27またはIII−A、III−B、IV−A、IV−B、V−A、V−B、VI−A、VI−B、VII−A、VII−B、VIII−AまたはVIII−Bのいずれかの化合物を包含する。
【0089】
用語“処置”および“処置する”は、従って疾患症状の予防および処置または改善ならびに疾患原因の処置を包含すると解釈される。
【0090】
処置方法について、用語“有効量”は、特定の疾患または障害を処置するための治療有効量を包含することが意とされる。
【0091】
用語“肺高血圧”は、肺動脈高血圧を包含することを意とする。
【0092】
用語“患者”は、ヒトまたは非ヒト(すなわち、動物)患者を含む。特定の態様において、本発明はヒトおよび非ヒトの両方を包含する。他の態様において、本発明は非ヒトを包含する。他の態様において、本用語はヒトを包含する。
【0093】
本明細書で使用する用語“含む”は、開放末端を意図し、さらなる、記載されていない要素または方法工程を除外しない。
【0094】
本発明の化合物は、パーキンソン病、ナルコレプシーおよび女性性機能障害の処置に特に有用である。
【0095】
本発明の化合物は唯一の治療剤として使用してよいが、また他の活性剤と組み合わせてまたは共投与して使用してもよい。例えば、本発明の化合物はD1アゴニスト、例えばドーパミンの活性を亢進するため、例えば、パーキンソン病を有する患者の処置において、慣用のドーパミン作動剤、例えばレボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドーパミンアゴニストおよび抗コリン剤と同時に、逐次的にまたは一緒に投与してよい。加えて、本発明の新規PDE1阻害剤、例えば、ここに記載する本発明の化合物は、ホルモン補充療法またはエストロゲン誘発子宮内膜過形成または癌腫の処置の効果を促進するためにエストロゲン/エストラジオール/エストリオールおよび/またはプロゲステロン/プロゲスチン類と組み合わせて投与してもよい。
【0096】
本発明の実施において用いる投与量は、例えば処置する特定の疾患または状態、使用する特定の本発明の化合物、投与方式および所望の治療により当然変わる。本発明の化合物は、経口、非経腸、経皮または吸入を含む任意の適当な経路で投与してよいが、好ましくは経口投与する。一般に、例えば、前記疾患の処置についての満足な結果が、約0.01〜2.0mg/kgの程度の投与量の経口投与で得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおいて、経口投与で指示される1日投与量は、従って約0.75〜150mgの範囲であり、好都合には1日1回または2〜4回の分割量でまたは徐放性形態で投与する。経口投与のための単位投与量形態は、それ故に、例えば約0.2〜75または150mg、例えば約0.2または2.0〜50、75または100mgの本発明の化合物を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む。
【0097】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または添加物をおよびガレヌス分野で既知の技術を使用して製造し得る。それ故に、経口投与形態は錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁液剤などを含み得る。
【実施例】
【0098】
種々の本発明の化合物の合成方法を下に説明する。他の本発明の化合物およびその塩類は、下に記載のものに類似の方法を使用しておよび/または詳細な記載に一般的に記載したものに類似の方法および化学分野で既知の方法により製造し得る。本発明の化合物はまたその内容を全体を本明細書に引用して包含させるPCT/US2009/06437に開示された一般的または具体的合成法を使用しても製造できる。
【0099】
実施例1
6−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−1−イソブチル−3−メチル−5−フェノキシ−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
【化26】
工程1:1−イソブチル−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン
3−メチルウラシル(3.0g、23.8mmol)、ヨウ化イソブチル(7mL、60mmol)および炭酸セシウム(11.6g、35.7mmol)のDMF(30mL)懸濁液を室温で週末の間撹拌する。溶媒真空下除去する。残渣を水で処理し、ジクロロメタンで4回抽出する。合わせた有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、短シリカゲルカラムを通して濾過する。濾液を濃縮乾固して、生成物を灰白色固体として得て、それをさらに精製せずに次工程に使用する。MS (ESI) m/z 183.1 [M+H]+
【0100】
工程2:1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
水素化ナトリウム(95%、1.74g、69mmol)を20mLの無水THFに懸濁し、1−イソブチル−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(約23mmol)およびp−トルエンスルホニルメチルイソシアニド(97%,7.0g、35mmol)の20mLの無水THF中の混合物を80分間かけて、0℃で滴下する。添加完了後混合物を室温で時間撹拌し、注意深く水で反応停止させる。混合物を50mLの飽和NaHCOで抽出し、CHClで5回抽出する。合わせた有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させる。濾過後、濾液を減圧下蒸発乾固して、生成物を明褐色固体として得て、それをさらに精製せずに次工程に使用する。MS (ESI) m/z 222.2 [M+H]+
【0101】
工程3:1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン(1.8g、8.3mmol)、1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼン(1.3mL、9.9mmol)および炭酸カリウム(1.7g、12mmol)の無水DMF懸濁液を、室温で一夜撹拌する。混合物を100mLの水で希釈し、CHClで3回抽出する。合わせた有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させる。濾過後、濾液を減圧下濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、生成物を薄黄色固体として得る。MS (ESI) m/z 342.2 [M+H]+
【0102】
工程4:5−クロロ−1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン(1.88g、5.5mmol)およびヘキサクロロエタン(6.5g、26.5mmol)を無水THF(3mL)に溶解し、THF中1.0M LiHMDS(11mL、11mmol)を2時間かけて滴下する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止させる。混合物を冷水(100mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。濾過後、濾液を蒸発乾固して、2.5gの粗製の生成物を明褐色固体として得て、それをさらに精製せずに次工程に使用する。MS (ESI) m/z 376.1 [M+H]+
【0103】
工程5:5−クロロ−1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
粗製の5−クロロ−1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン(2.5g)をTFA(2mL)およびTFMSA(1.6mL)を含む5mLの塩化メチレンに溶解する。反応混合物を室温で一夜撹拌する。慣用の後処理後、得られた粗製の生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、730mgの生成物を灰色固体として得る。MS (ESI) m/z 256.1 [M+H]+
【0104】
工程6:6−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−クロロ−1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
5−クロロ−1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン(103mg、0.4mmol)、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール(93mg、0.48mmol)および炭酸セシウム(195mg、0.6mmol)の無水DMF(3mL)懸濁液を、室温で3時間撹拌する。混合物を20mLの飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、CHClで3回抽出する。合わせた有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させる。セライトで濾過後、濾液を真空下濃縮乾固して、160mgの粗製の生成物を明褐色固体として得て、それをさらに精製せずに次工程に使用する。MS (ESI) m/z 413.2 [M+H]+
【0105】
工程7:6−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−1−イソブチル−3−メチル−5−フェノキシ−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
粗製の6−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−クロロ−1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン(12mg、0.029mmol)、フェノール(14mg、0.15mmol)およびCsCO(29mg、0.087mmol)をマイクロ波バイアルに仕込み、ジオキサン(0.25mL)を添加する。バイアルを密閉し、Biotageマイクロ波装置で150℃で3時間加熱する。反応混合物を半分取HPLCで精製して、8.0mgの生成物を灰白色固体として得る(純度:97%)。MS (ESI) m/z 471.2 [M+H]+
【0106】
実施例2
6−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−(4−フルオロフェノキシ)−1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
【化27】
この化合物の合成は実施例1に準じ、ここで、4−フルオロフェノールを工程7においてフェノールの代わりに使用する。MS (ESI) m/z 489.2 [M+H]+
【0107】
実施例3
6−(4−(1H−イミダゾール−1−イル)ベンジル)−5−(4−フルオロフェノキシ)−1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
【化28】
この化合物の合成は実施例1に準じ、ここで、1−(4−(クロロメチル)フェニル)−1H−イミダゾールを工程6において1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに添加し;そして4−フルオロフェノールを工程7においてフェノールの代わりに使用する。MS (ESI) m/z 488.2 [M+H]+
【0108】
実施例4
1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3,7−ジメチル−5−フェノキシ−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
【化29】
工程1:1−イソブチル−3,7−ジメチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
水素化ナトリウム(95%、116mg、4.6mmol)を10mLの無水THFに懸濁し、1−イソブチル−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(300mg、1.65mmol)および1−(p−トルエンスルホニル)−エチルイソシアニド(413mg、1.98mmol)の5mLの無水THF中の混合物を1時間かけて、0℃で滴下する。添加完了後、混合物を室温で3時間撹拌し、注意深く水で反応停止させる。混合物を飽和NaHCOで希釈し、CHClで5回抽出する。合わせた有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させる。濾過後、濾液を減圧下蒸発乾固し、残渣を塩基性アルミナカラムクロマトグラフィーで精製して、247mgの生成物を得る(収率:64%)。MS (ESI) m/z 236.1 [M+H]+
【0109】
工程2:1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3,7−ジメチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
1−イソブチル−3,7−ジメチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン(78mg、0.33mmol)、1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼン(88μL、0.63mmol)および炭酸セシウム(344mg、1.06mmol)の無水DMF懸濁液を室温で一夜撹拌する。混合物を30mLの水で希釈し、CHClで3回抽出する。合わせた有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させる。濾過後、濾液を減圧下濃縮する。残渣を塩基性アルミナカラムクロマトグラフィーで精製して、110mgの生成物を得る(収率:93%)。MS (ESI) m/z 356.2 [M+H]+
【0110】
工程3:5−クロロ−1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3,7−ジメチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3,7−ジメチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン(103mg、0.29mmol)およびヘキサクロロエタン(400mg、1.7mmol)を無水THFに溶解し、THF中1.0M LiHMDS(1.4mL、1.4mmol)を滴下する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止させる。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、純粋生成物を灰白色固体として得る(収率:64%)。MS (ESI) m/z 390.2 [M+H]+
【0111】
工程4:1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3,7−ジメチル−5−フェノキシ−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
5−クロロ−1−イソブチル−6−(4−メトキシベンジル)−3,7−ジメチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン(20mg、0.051mmol)をBiotageマイクロ波バイアルに仕込み、フェノール(24mg、0.25mmol)および炭酸セシウム(50mg、0.15mmol)を添加する。混合物を160℃でBiotageマイクロ波装置中2時間加熱し、半分取HPLCで精製して、17mgの純粋生成物を灰白色固体として得る。MS (ESI) m/z 448.2 [M+H]+
【0112】
実施例5
1−イソブチル−3−メチル−5−フェノキシ−6−(4−(ピリジン−2−イル)ベンジル)−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
【化30】
この化合物の合成は実施例1に準じ、ここで、2−(4−(クロロメチル)フェニル)ピリジンを工程6において1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに添加する。MS (ESI) m/z 481.2 [M+H]+
【0113】
実施例6
6−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−(シクロペンチルオキシ)−1−イソブチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,4(3H,6H)−ジオン
【化31】
この化合物の合成は実施例1に準じ、ここで、シクロペンタノールを工程7においてフェノールの代わりに使用する。MS (ESI) m/z 463.2 [M+H]+
【0114】
実施例7
IMAPホスホジエステラーゼアッセイキットを使用したインビトロPDE1B阻害の測定
ホスホジエステラーゼ1B(PDE1B)は環状グアノシン一リン酸(cGMP)を5’−グアノシン一リン酸(5’−GMP)に変換するカルシウム/カルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼ酵素である。PDE1Bはまた修飾cGMP基質、例えば蛍光分子cGMP−フルオレセインを対応するGMP−フルオレセインに変換もできる。cGMP−フルオレセインからのGMP−フルオレセインの産生は、例えば、IMAP(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)固定化金属親和性粒子試薬を使用して定量できる。
【0115】
簡単に言うと、IMAP試薬は、GMP−フルオレセインに見られ、cGMP−フルオレセインには見られない遊離5’−ホスフェートに高親和性で結合する。得られたGMP−フルオレセイン−IMAP複合体はcGMP−フルオレセインと比較して大きい。大きく、ゆっくり転がる複合体に結合した小フルオロフォアは、光子が、蛍光を励起させるのに使用した光子と同じ極性を保持して発光するために、未結合フルオロフォアと区別できる。
【0116】
ホスホジエステラーゼアッセイにおいて、IMAPに結合できず、それ故にほとんど蛍光極性を保持しないcGMP−フルオレセインはGMP−フルオレセインに変換させ、それは、IMAPに結合したとき、蛍光極性化の大きな増加を生じる(Δmp)。ホスホジエステラーゼ阻害は、それ故、Δmpの減少として検出される。
【0117】
酵素アッセイ
材料:Molecular Devices(Sunnyvale, CA)から入手可能であるIMAP試薬(反応緩衝液、結合緩衝液、FL−GMPおよびIMAPビーズ)以外、全ての化学物質はSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から入手可能である。
アッセイ:3’,5’−環状−ヌクレオチド−特異的ウシ脳ホスホジエステラーゼ(Sigma, St. Louis, MO)を50%グリセロールで2.5U/mlに再構成する。1単位の酵素は、pH7.5で30℃で1分間あたり1.0μmoleの3’,5’−cAMPを5’−AMPに加水分解する。1部の酵素を1999部の反応緩衝液(30μM CaCl、10U/mlのカルモジュリン(Sigma P2277)、10mM Tris−HCl pH7.2、10mM MgCl、0.1%BSA、0.05%NaN)に添加して、最終濃度1.25mU/mlとする。99μlの希釈酵素溶液を平底96ウェルポリスチレンプレートの各ウェルに添加し、そこに100%DMSOに溶解した1μlの試験化合物を添加する。選択した本発明の化合物を混合し、酵素と10分間室温でプレインキュベートする。
【0118】
FL−GMP変換反応を、4部の酵素と阻害剤混合物と、1部の基質溶液(0.225μM)を384ウェルマイクロタイタープレート中で合わせることにより開始させる。反応物を暗所で室温で15分間インキュベートする。60μlの結合試薬(1:1800希釈の消泡剤を添加した結合緩衝液中の1:400希釈のIMAPビーズ)を384ウェルプレートの各ウェルに添加することにより反応を停止させる。プレートを室温で1時間インキュベートして、IMAP結合を完了まで進行させ、Envisionマルチモードマイクロプレートリーダー(PerkinElmer, Shelton, CT)に入れて、蛍光極性化(Δmp)を測定する。
【0119】
Δmpの低下により測定したGMP濃度は、PDE活性阻害の指標である。IC50値を、0.0037nM〜80,000nM範囲の8〜16濃度化合物の存在下酵素活性を測定し、薬物濃度対ΔmPでプロットし、それにより、非線形回帰ソフトウェアを使用してIC50値を概算できる(XLFit; IDBS, Cambridge, MA)。
【0120】
本発明の化合物を選択し、このPDE1阻害活性を示すためにアッセイで試験して、例えば、実施例1〜7の化合物は、25μm未満、いくつかは1μm未満、いくつかは200nM未満、いくつかは50nM未満、いくつかは5nM未満のIC50を示す。
【0121】
実施例8
雌ラットにおける性的応答に対するPDE1阻害剤の効果
PDE1阻害剤の雌ラットにおけるロードシス応答に対する効果を、Mani, et al., Science (2000) 287:1053に記載のとおり測定し得る。卵巣摘出し、カニューレ処置した野生型ラットを、2μg エストロゲンで刺激し、24時間後、プロゲステロン(2μg)、本発明のPDE1阻害剤(0.1mg、1.0mgまたは2.5mg)またはゴマ油媒体(対照)を脳室内(icv)注射する。雄ラットの存在下、雌ラットのロードシス応答を試験し得る。ロードシス応答をロードシス指数(LQ=ロードシス数/10マウント×100)により定量する。0.1mgの本発明の化合物を投与されたエストロゲンでプライムした雌ラットのLQは、プロゲステロンを投与されたエストロゲンでプライムされたラットと同程度であり、媒体を投与されたエストロゲンでプライムされたラットより高い可能性がある。