特許第5894164号(P5894164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894164
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】クロメン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/58 20060101AFI20160310BHJP
   C07D 405/06 20060101ALI20160310BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 31/453 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20160310BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20160310BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   C07D311/58CSP
   C07D405/06
   C07D413/14
   A61K31/453
   A61K31/5377
   A61K31/4025
   A61K31/496
   A61P37/06
   A61P37/02
   A61P29/00
   A61P25/28
   A61P35/00
   A61P29/00 101
   A61P19/02
   A61P17/06
   A61P3/10
   A61P25/00
   A61P37/08
   A61P17/00
   A61P35/02
   A61P7/02
【請求項の数】17
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2013-529685(P2013-529685)
(86)(22)【出願日】2011年7月8日
(65)【公表番号】特表2013-537899(P2013-537899A)
(43)【公表日】2013年10月7日
(86)【国際出願番号】ES2011070506
(87)【国際公開番号】WO2012042078
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年5月27日
(31)【優先権主張番号】P201031437
(32)【優先日】2010年9月28日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】504339734
【氏名又は名称】コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アラルコン サンチェス,バルビノ ホセ
(72)【発明者】
【氏名】メッセグア ペイポチ,アンヘル
(72)【発明者】
【氏名】モレアレ デ レオン,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ボロト レブエルタ,アルド ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】アレラノ ロホ,イレーネ アサーラ
(72)【発明者】
【氏名】ペローナ レケナ,アルムデナ
(72)【発明者】
【氏名】カラスコ ロメロ,エスター
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/000900(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/064707(WO,A1)
【文献】 特表2007−516258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、またはその塩:
【化1】
式中、各RおよびRは、独立に、水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、ハロゲン、−CN、−NOまたはCyを表しており;
は、水素、C1−4アルキルまたはCyを表しており、C1−4アルキルは必要に応じてCyで置換されており;
Cyは、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、飽和もしくは部分的不飽和の、3〜7員の単環式複素環または6〜11員の二環式複素環を表しており、Cyは、飽和、部分的不飽和もしくは芳香族の、炭素環式もしくは複素環式の5員環または6員環と必要に応じて融合することができ、Cyは、N、OおよびSから選択される1〜4のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyは独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる5〜7員の芳香族環を表しており、Cyは、飽和、部分的不飽和もしくは芳香族の、炭素環式もしくは複素環式の5員環または6員環と必要に応じて融合することができ、Cyは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を合計で1〜4含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rは、独立に、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、ハロゲン、−CNまたは−NOを表しており;
nは、0〜4を表しており;
mは、0〜5を表している。
【請求項2】
各RおよびRは、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表している、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各Rは、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表している、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
各Rは、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表している、請求項1〜3の何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
は、水素を表している、請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Cyは、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでいてもよく、該環の1以上のCまたはS原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、請求項1〜5の何れか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Cyは、下記基を表しており、
【化2】
Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Cyは、下記基を表している、請求項6または7に記載の化合物。
【化3】
【請求項9】
各Cyは独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、請求項1〜8の何れか一項に記載の化合物。
【請求項10】
各Rは、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表している、請求項1〜9の何れか一項に記載の化合物。
【請求項11】
nは、0または1を表している、請求項1〜10の何れか一項に記載の化合物。
【請求項12】
mは、1を表している、請求項1〜11の何れか一項に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、1以上の薬学的に許容される賦形剤とを含んでいる、薬学的組成物。
【請求項14】
Tリンパ球におけるTCR−Nkc相互作用によって媒介される疾患の処置のための医薬を製造するための、請求項1〜1の何れか一項に記載の式Iの化合物もしくはその薬学的に許容される塩または請求項13に記載の薬学的組成物の、使用。
【請求項15】
移植片拒絶反応;免疫疾患、自己免疫疾患および炎症性疾患;神経変性疾患;ならびに増殖性疾患から選択される少なくとも一つの疾患の処置のための医薬を製造するための、請求項1〜1の何れか一項に記載の式Iの化合物もしくはその薬学的に許容される塩または請求項13に記載の薬学的組成物の、使用。
【請求項16】
上記疾患は、移植片拒絶反応、関節リウマチ、乾癬性関節炎、乾癬、I型糖尿病、糖尿病の合併症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、肥満細胞媒介性アレルギー反応、白血病、リンパ腫、ならびに、白血病およびリンパ腫と関連している血栓塞栓性およびアレルギー性合併症から選択される、請求項15に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項17】
請求項1に記載の式Iの化合物の、調製方法であって、
(a)式IIの化合物を、式IIIの化合物と反応させること;
【化4】
(R、R、R、Cy、nおよびmは、請求項1に記載の意味である)
および/または
(b)1またはいくつかの段階において、式Iのある化合物を、式Iの別の化合物に変換すること、
を含む、調製方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新しい一連のクロメン誘導体、およびそれらの生成方法、これら化合物を含む薬学的組成物、および治療におけるそれらの使用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
自己免疫疾患の発生において、多かれ少なかれ直接的な方法で、Tリンパ球は、移植による拒絶反応への中心的役割を果たす。そのために、現状の免疫阻害剤のメカニズムの作用は、Tリンパ球の活性化の阻害に基づいている。これら免疫阻害剤は、リンパ球の活性化に対する特有の経路を阻害しないため、それらは非常に有毒な側面を有している。Tリンパ球は、移植器官の主要組織適合性複合体(MHC)を異質と認識する抗原受容体(TCR)を介して活性化される。TCRは、6つのサブユニットによって形成されており、そのうちの2つ(TCRαおよびTCRβ)は、抗原ペプチドに結合されるMHCの認識に関与し、一方、他の4つ(CD3γ、CD3δ、CD3ε、およびCD3ζ)は、リンパ球の細胞質へのシグナル変換に関与する(Alarcon, B., Gil, D., Delgado, P. and Schamel, W.W. (2003) Immunol Rev, 191, 38-46に概説されている)。MHCによるTCRの結合の後に発生する初期の工程のひとつは、srcファミリー(LckおよびFyn)のチロシン・キナーゼの活性化である。srcファミリーはCD3サブユニットのITAMモチーフのチロシンをリン酸化し、そしてそこが、順にSykファミリー(ZAP70およびSyk)のチロシン・キナーゼの係留位置になる。最近まで、これはシグナル変換のための直線的なスキームであり、そして、(Sykファミリー(主にZAP70)のキナーゼから)分岐する活性化カスケードが発生し、免疫阻害剤であるサイクロスポリンAおよびFK506の標的であるNFATを含む、種々の転写因子の活性化をもたらすと考えられていた(Lin, J. and Weiss, A. (2001) J Cell Sci, 114, 243-244)。数年前、本願の発明者らは、TCRは、活性化されるために、構造変化を受け、これにより、Nckアダプターが、CD3εのサブユニットのプロリン−リッチ配列(PRS)へ直接動員されることを発見した(Gil, D., Schamel, W.W., Montoya, M., Sanchez-Madrid, F. and Alarcon, B. (2002) Cell, 109, 901-912)。Nck(CD3εに結合する)のアミノ末端のSH3.1領域の過剰発現を伴う実験、および、PRSに結合しそれをブロックするTリンパ球における抗体APA1/1の導入によって、このTCR−Nck相互作用は、TCRの活性化にとって必須であるとみられていた。一方、Nckは、TCRの刺激に応えてのTリンパ球の活性化にとって必要であると、近年述べられている(Roy, E., Togbe, D., Holdorf, A.D., Trubetskoy, D., Nabti, D., Kublbeck, G., Klevenz, A., Kopp-Schneider, A.D., Leithauser, F., Moller, P., Bladt, F., Hammerling, G., Arnold, B., Pawson, T., and Tarufi, A. (2010) Proc Natl Acad Sci USA, 107, 15529-15534)。
【0003】
従って、Tリンパ球におけるTCR−Nck相互作用を阻害することができ、薬剤への優れた候補になる、新規化合物の提供が望ましい。化合物は、経口投与されたときに優れた経口吸収を示すべきであるのみならず、代謝的に安定であり、良好な薬物動態学的な側面を有しているべきである。さらに、化合物は、有毒でなく、副作用は限定されているべきである。
【0004】
〔発明の概要〕
本発明の一態様は、式Iの化合物に関する:
【0005】
【化1】
【0006】
式中、各RおよびRは、独立に、水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、ハロゲン、−CN、−NOまたはCyを表しており;
は、水素、C1−4アルキルまたはCyを表しており、C1−4アルキルは必要に応じてCyで置換されており;
Cyは、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、飽和もしくは部分的不飽和の、3〜7員の単環式複素環または6〜11員の二環式複素環を表しており、Cyは、飽和、部分的不飽和もしくは芳香族の、炭素環式もしくは複素環式の5員環または6員環と必要に応じて融合することができ、Cyは、N、OおよびSから選択される1〜4のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyは独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる5〜7員の芳香族環を表しており、Cyは、飽和、部分的不飽和もしくは芳香族の、炭素環式もしくは複素環式の5員環または6員環と必要に応じて融合することができ、Cyは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を合計で1〜4含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rは、独立に、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、ハロゲン、−CNまたは−NOを表しており;
nは、0〜4を表しており;
mは、0〜5を表している。
【0007】
本発明はさらに、式Iの化合物の塩および溶媒和物に関する。
【0008】
式Iのいくつかの化合物は、キラル中心を有しており、これにより、種々の立体異性体を生じさせ得る。本発明は、個々の立体異性体およびそれらの混合物のそれぞれに関する。
【0009】
式Iの化合物は、Tリンパ球におけるTCR−Nck相互作用の阻害剤であり、Tリンパ球においてこのTCR−Nck相互作用によって媒介される疾患の処置に用いることができる。
【0010】
それゆえ、本発明の別の態様は、治療に用いられる、式Iの化合物に関係する:
【0011】
【化2】
【0012】
式中、各RおよびRは、独立に、水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、ハロゲン、−CN、−NOまたはCyを表しており;
は、水素、C1−4アルキルまたはCyを表しており、C1−4アルキルは必要に応じてCyで置換されており;
Cyは、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、飽和もしくは部分的不飽和の、3〜7員の単環式複素環または6〜11員の二環式複素環を表しており、Cyは、飽和、部分的不飽和もしくは芳香族の、炭素環式もしくは複素環式の5員環または6員環と必要に応じて融合することができ、Cyは、N、OおよびSから選択される1〜4のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyは独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる5〜7員の芳香族環を表しており、Cyは、飽和、部分的不飽和もしくは芳香族の、炭素環式もしくは複素環式の5員環または6員環と必要に応じて融合することができ、Cyは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を合計で1〜4含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rは、独立に、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、ハロゲン、−CNまたは−NOを表しており;
nは、0〜4を表しており;
mは、0〜5を表している。
【0013】
本発明の別の態様は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩と、1以上の薬学的に許容される賦形剤とを含んでいる、薬学的組成物に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、Tリンパ球におけるTCR−Nkc相互作用によって媒介される疾患の処置のための医薬を製造するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、移植片拒絶反応;免疫疾患、自己免疫疾患または炎症性疾患;神経変性疾患;、および増殖性疾患の中から選択される疾患の処置のための医薬を製造するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。好ましくは、疾患は、移植片拒絶反応、および免疫疾患、自己免疫疾患または炎症性疾患から選択される。
【0016】
本発明の別の態様は、移植片拒絶反応、関節リウマチ、乾癬性関節炎、乾癬、I型糖尿病、糖尿病の合併症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、肥満細胞媒介性アレルギー反応、白血病、リンパ腫、ならびに、白血病およびリンパ腫と関連している血栓塞栓性およびアレルギー性合併症から選択される疾患の処置のための医薬を製造するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0017】
本発明の別の態様は、上記で規定した式Iの化合物の、調製方法であって、
(a)式IIの化合物を、式IIIの化合物と反応させること;
【0018】
【化3】
【0019】
(R、R、R、Cy、nおよびmは、上述の意味である)
および/または
(b)1以上の段階において、式Iのある化合物を、式Iの別の化合物に変換すること、
を含む、調製方法に関する。
【0020】
上記の定義において、ある基またはある基の一部としての、用語C1−4アルキルは、1〜4の炭素原子を含む、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味しており、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基を含んでいる。
【0021】
2−4アルケニル基は、2〜4の炭素原子を含み、かつ1または2の二重結合を含む、直鎖状または分枝鎖状のアルキリック(alquilica)鎖を意味している。例としては、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、および1,3−ブタジエニル基を含んでいる。
【0022】
2−4アルキニル基は、2〜4の炭素原子を含み、かつ1または2の三重結合を含む、直鎖状または分枝鎖状のアルキリック鎖を意味している。例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、および1,3−ブタジニル基を含んでいる。
【0023】
ある基またはある基の一部としての、C1−4アルコキシル基またはC1−4アルコキシ基は、−OC1−4アルキル基を意味しており、ここで、C1−4アルキル部分は、上記したものと同じ意味である。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシを含んでいる。
【0024】
ハロゲンラジカルまたはその略記であるハロは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味している。
【0025】
1−4アルコキシC1−4アルキル基は、C1−4アルキル基の1以上の水素原子が、1以上の上述したC1−4アルコキシ基(同じであっても、異なっていてもよい)に置き換わることにより生じる基を意味している。例としては、とりわけ、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、ジメトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、1,2−ジエトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−ブトキシプロピル基、1−メトキシ−2−エトキシプロピル基、2−sec−ブトキシエチル基、3−tert−ブトキシプロピル基、および4−メトキシブチル基を含んでいる。
【0026】
ハロC1−4アルキル基は、C1−4アルキル基の1以上の水素原子が、1以上のハロゲン原子(すなわち、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素。同じであっても、異なっていてもよい)に置き換わることにより生じる基を意味している。例としては、とりわけ、トリフルオロメチル基、フルオロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヨードエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、4−フルオロブチル基およびノナフルオロブチル基を含んでいる。
【0027】
ヒドロキシC1−4アルキル基は、C1−4アルキル基の1以上の水素原子が、1以上のヒドロキシ基に置き換わることにより生じる基を意味している。例としては、とりわけ、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチルおよび1−ヒドロキシブチルを含んでいる。
【0028】
シアノC1−4アルキル基は、C1−4アルキル基の1以上の水素原子が、1以上のシアノ基に置き換わることにより生じる基を意味している。例としては、とりわけ、シアノメチル基、ジシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2,3−ジシアノプロピル基および4−シアノブチル基を含んでいる。
【0029】
Cy基は、利用可能な任意のCまたはN原子を介して残りの分子に結合することができる、飽和もしくは部分的不飽和の、3〜7員の単環式複素環または6〜11員の二環式複素環を指す。Cyが二環式である場合、第2の環は、飽和、部分的不飽和または芳香族であり得る。Cyは、N、OおよびSから選択される合計で1〜4のヘテロ原子を含んでいる。Cyが二環式の環である場合、隣接する二つの原子(CまたはN)を介して二つの環が融合することによって形成されているものであり得、または、隣接しない二つの原子(CまたはN)を介して二つの環が融合することによって、ブリッジを有する環を形成したものであり得る。あるいは、単一のC原子を介して二つの環が結合することによって、スピロ型の環を形成したものであり得る。Cyにおいて、任意の飽和または部分的不飽和の環のCまたはSの1以上の原子は、必要に応じて、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよい。Cy基は、必要に応じて、式Iの定義中に示されるように置き換わっていてもよい。これらの置換は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、任意の環の任意の利用可能な位置に位置し得る。Cy基の例としては、とりわけ、アゼパニル、アジリジニル、アゼチジニル、1,4−ジアゼパニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イソキサゾリジニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イミダゾリニル、ピロリニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、1,1−ジオキソチオモルフォリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、2−オキソ−アゼパニル、2−オキソ−アゼチジニル、2−オキソ−1,4−ジアゼパニル、2−オキソ−ピロリジニル、2−オキソ−ピペラジニル、2−オキソ−ピペリジニル、3−オキソ−ピペリジニル、4−オキソ−ピペリジニル、2−オキソ−イミダゾリジニル、2−オキソ−オキサゾリジニル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピラジニル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジニル、3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、ペルヒドロイソキノリニル、1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリニル、4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリニル、5−アザ−ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル、2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタニル、オクタヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジニロ、2H−スピロ[ベンゾフラン−3,4’−ピペリジニル]、3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,4’−ピペリジニル]、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−1−オニル、2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−1−オニル、2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−オニルおよび6−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オニルが含まれる。
【0030】
Cy基は、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる5〜7員の芳香族環を指している。Cyは、必要に応じて5員環または6員環と融合することができ、融合された環は、炭素環式または複素環式の環であり得、また、飽和、部分的不飽和または芳香族の環であり得る。Cyは、N、OおよびSから選択される1〜4のヘテロ原子を含み得る。Cyが二環式の環である場合、隣接する二つの原子(CまたはN)を介して二つの環が融合することによって形成されているものであり得、または、隣接しない二つの原子(CまたはN)を介して二つの環が融合することによって、ブリッジを有する環を形成したものであり得る。あるいは、単一のC原子を介して二つの環が結合することによって、スピロ型の環を形成したものであり得る。Cyにおいて、任意の飽和または部分的不飽和の環のCまたはSの1以上の原子は、必要に応じて、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよい。Cy基は、必要に応じて、式Iの定義中に示されるように置き換わっていてもよい。これらの置換は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、任意の環の任意の利用可能な位置に位置し得る。Cy基の例としては、とりわけ、フェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、インダゾリル、イミダゾピリジニル、ピロロピリジニル、チエノピリジニル、イミダゾピリミジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリダジニル、ピラゾロピラジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、ベンゾ[1.3]ジオキソリル、フタリミジル、1−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリニルおよび4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリニルが含まれる。
【0031】
CyおよびCyの上述の定義において、特定の実施例が概括的な用語で二環式の環について言及している場合、原子の全ての可能な位置が包含される。
【0032】
本説明全般にわたって用いられている環基の定義において、特定の例が、概括的な言葉(例えば、ピリジル、チエニルまたはインドリル)を用いて環のラジカルについて言及している場合、この点に関する制限が対応する基の定義において示されていない限り、可能な結合部位の全てが包含される。そのため、例えば、結合部位に関する制限が全く示されていない、CyおよびCyの定義では、イミダゾリジニルという用語は、2−イミダゾリジニルおよび3−イミダゾリジニルを含んでいる。
【0033】
「必要に応じて1以上が置換されている」という表現は、1以上、好ましくは、1、2、3または4つの置換基、より好ましくは、1、2または3つの置換基、さらに好ましくは、1または2の置換基によって置換される、基の能力を意味しており、置換されそうな、利用可能な位置を十分に有している基がもたらされる。これらが存在する場合、これら置換基は、同じであってもよいし、異なっていてもよく、また、任意の位置に位置し得る。
【0034】
非芳香族の環が、非芳香族の環の置換基である場合、これは、水素原子を置換し得る。あるいは、同一のC原子上で2つの水素原子を置換し、これによりスピラン型の環が形成される。同様に、非芳香族の環が、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基の置換基である場合、水素原子を置換することができ、同一のC原子上で2つの水素原子を置換し得る。
【0035】
本説明全体を通して、疾患の「処置」、疾患を「処置する」、または文法的に関連する他の表現は、疾患に対する、治癒的な処置、緩和目的の処置または予防目的の処置を指している。
【0036】
それゆえ、本発明は、上記で規定した式Iの化合物を指している。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、全てのRおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、ハロゲン、−CNまたはCyを表している、式Iの化合物を指す。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、全てのRおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表している、式Iの化合物を指す。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表している、式Iの化合物を指す。
【0040】
別の実施形態において、本発明は、各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくはハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表している、式Iの化合物を指す。
【0041】
別の実施形態において、本発明は、Rが水素である式Iの化合物を指す。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各RおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表しており;
が、水素を表している、化合物を指す。
【0043】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表している、化合物を指す。
【0044】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表している、化合物を指す。
【0045】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表している、化合物を指す。
【0046】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって、Cyが、飽和もしくは部分的不飽和の、3〜7員の単環式複素環を表しており、利用可能な任意のCまたはN原子によってほかのhに結合することができ、Cyが、N、OおよびSから選択される1〜3のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していることができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって、Cyが、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1〜3のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0048】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって、Cyが、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1〜3のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0049】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって、Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0050】
別の実施形態において、本発明は、Cyが下記基で表される式Iの化合物であって:
【0051】
【化4】
【0052】
Cyが必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0053】
別の実施形態において、本発明は、Cyが下記基で表される式Iの化合物を指す。
【0054】
【化5】
【0055】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各RおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0056】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0057】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0058】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0059】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各RおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0060】
【化6】
【0061】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0063】
【化7】
【0064】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0065】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0066】
【化8】
【0067】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0068】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0069】
【化9】
【0070】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0071】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって、各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0072】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各RおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0073】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0074】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0075】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0076】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでいてもよく、該環の1以上のCまたはS原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0077】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環の1以上のCまたはS原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0078】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環の1以上のCまたはS原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0079】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0080】
【化10】
【0081】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0082】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0083】
【化11】
【0084】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0085】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0086】
【化12】
【0087】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されている、化合物を指す。
【0088】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって、各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノC1−4アルキル、ハロゲン、または−CNで表される、化合物を指す。
【0089】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって、各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0090】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各RおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0091】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0092】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0093】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0094】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0095】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0096】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0097】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0098】
【化13】
【0099】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0100】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0101】
【化14】
【0102】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0103】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0104】
【化15】
【0105】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンで表される、化合物を指す。
【0106】
別の実施形態において、本発明は、nが0から2までを表している、式Iの化合物を指す。
【0107】
別の実施形態において、本発明は、nが0または1を表している、式Iの化合物を指す。
【0108】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各RおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0109】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0110】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0111】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0112】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環の1以上のCまたはS原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0113】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環の1以上のCまたはS原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0114】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環の1以上のCまたはS原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0115】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0116】
【化16】
【0117】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0118】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0119】
【化17】
【0120】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0121】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0122】
【化18】
【0123】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表している、化合物を指す。
【0124】
別の実施形態において、本発明は、mが、0から2まで、好ましくは0から1までを表している、式Iの化合物を指す。
【0125】
別の実施形態において、本発明は、mが1を表している、式Iの化合物を指す。
【0126】
別の実施形態において、本発明は、nが0または1を表している、式Iの化合物を指す。
【0127】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各RおよびRが、独立に、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシル、ハロゲンまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0128】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0129】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0130】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0131】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0132】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0133】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、利用可能な任意のN原子によって残りの分子に結合している、飽和もしくは部分的不飽和の、5員または6員の単環式複素環を表しており、Cyが、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含むことができ、該環のCまたはSの1以上の原子が、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0134】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0135】
【化19】
【0136】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0137】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0138】
【化20】
【0139】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成していてもよく、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0140】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物であって:
各Rが、独立に、水素、C1−4アルコキシルまたはCyを表しており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキルまたはハロゲン、好ましくは、ハロC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
が、水素を表しており;
Cyが、下記基で表され、
【0141】
【化21】
【0142】
Cyが、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Cyが独立に、利用可能な任意のCまたはN原子によって残りの分子に結合することができる、フェニルまたは5員もしくは6員の芳香族環を表しており、Cyは、N、OおよびSから選択される1または2のヘテロ原子を含んでおり、該環のCまたはSの1以上の原子は、酸化されてCO基、SO基またはSO基を形成することができ、Cyは、必要に応じて1以上のRで置換されており;
各Rが、独立に、C1−4アルキル、ヒドロキシル、C1−4アルコキシル、ハロC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキルまたはハロゲンを表しており;
nが、0または1を表しており;
mが、1を表している、化合物を指す。
【0143】
本願発明は、上述した特定の好ましい実施形態の、全ての可能な組み合わせにも及ぶものである。
【0144】
他の実施形態において、本発明は、実施例1に記載されるように、インビトロにおけるTCR−Nck分析において、10μM、より好ましくは、1μM、さらに好ましくは0.1μMで、Tリンパ球におけるTCR−Nck相互作用の50%以上の阻害を実現する式Iの化合物に関する。
【0145】
他の実施形態において、本発明は、
【0146】
【化22】
【0147】
の中から選択される式Iの化合物を指す。
【0148】
本発明の化合物は、1つ以上の塩基性窒素を含んでおり、従って、有機および無機酸の両方と塩を形成することができる。数ある中でも、これらの塩の実例は:塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、過塩素酸、硫酸またはリン酸などの無機酸との塩、並びに、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、シュウ酸、酢酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、グリコール酸、コハク酸およびプロピオン酸などの有機酸との塩を含む。本発明のうちのいくつかの化合物は、酸性のプロトンを含んでおり、それによって、塩基との塩を形成することもできる。これらの塩の実例は:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、亜鉛などの無機陽イオンとの塩;および、アンモニア、アルキルアミン類、ヒドロキシアルキルアミン類、リジン、アルギニン、N−メチルグルカミン、プロカイン、および、類似の薬学的に許容されるアミンによって形成される塩を含む。
【0149】
薬学的に許容される治療の目的のための使用であれば、その条件のために使用できる塩の種類についての制限はない。過度の毒性、炎症またはアレルギー反応などを引き起こさなければ、薬学的に許容される塩は、医療の基準に従って、ヒト組織または他の哺乳動物に接触しての使用のために適しているそれら塩を意味している。薬学的に許容される塩は、当業者にとって周知である。
【0150】
式Iの化合物の塩は、本発明の化合物の最終的な単離または精製の間に得ることができるか、または従来の方法において、塩をもたらすために、十分な量の目的とする酸または塩基を用いた式Iの化合物の処理によって調製することができる。式Iの化合物の塩は、イオン交換樹脂を用いたイオン交換によって、順に、式Iの化合物の他の塩に変えることができる。
【0151】
式Iの化合物とそれらの塩とは、いくつかの物理的性質において異なるが、本発明の目的にとって同等のものである。式Iの化合物のすべての塩が、本発明の範疇に含まれる。
【0152】
本発明の化合物は溶媒との錯体を形成することができ、それらは反応するように作られるか、もしくは、沈澱または結晶化するように作られる。これらの錯体は、溶媒和物として知られている。ここに使用されているように、溶媒和物という用語は、溶質(式Iの化合物またはそれらの塩)および溶媒によって形成される、可変の化学量論の錯体を指す。溶媒の実例としては、水、およびエタノールなどの薬学的に許容される溶媒を含む。水との錯体は、水和物として知られている。本発明の化合物(またはそれらの塩)の溶媒和物(水和物を含む)は、本発明の範疇に含まれる。
【0153】
式Iの化合物は、異なった物理的形態、つまり非晶質および結晶の形態で存在し得る。同様に、本発明の化合物は、多形として知られている特性、つまり一形態より多くにおいて結晶化をすることができる。多形は、X線ディフラクトグラム、融点、または溶解性などの当業者にとって周知である種々の物理的性質によって識別することができる。種々の形を持つすべての形態(「多形」)を含む、式Iの化合物のすべての物理的形態は、本発明の範疇に含まれている。
【0154】
本発明のいくつかの化合物は、いくつかのジアステレオ異性体、および/または、いくつかの光学異性体として存在する。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーまたは分別晶出などの従来の技術によって分離される。光学的に純粋な異性体をもたらすために、光学的な分割という従来技術を用いて、光学異性体は光学分割することができる。光学的に混じりけのない異性体は、エナンチオ特有の合成を用いて、個々に得ることもできる。本発明は、合成によって得たか、または物理的に混合したかのいずれであれ、個々の異性体およびそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物またはジアステレオマーの混合物)の両方の範囲にわたる。
【0155】
式Iの化合物は、以下に記載されている手順に従って得ることができる。当業者にとって明らかなように、特定の化合物に使用される的確な方法は、その化学的構造に従って異なり得る。以下に記載されている手順のいつくかにおいては、従来の保護基によって、反応性の基または不安定な基を保護することが必要または望ましい。上記の保護基の種類と、その導入および除去の手順との両方は、周知であり、背景技術の一部である(例えば、T.W. Greene and WutsP.G.M, "Protective Groups in Organic Synthesis", John Wiley & Sons 3rd edition, 1999を参照のこと)。例えば、アミン機能の保護基としては、テトラヒドロピラニル基(THP)を使用できる。以上の参考に記載されているように、任意の保護基が存在するときはいつでも、有機合成における標準的な条件の下において行われるところの脱保護段階が必要である。
【0156】
他に指摘されているときを除いて、以下に記載されている方法において、様々な置換基の意味は、式Iの化合物に関して、上述されている意味である。
【0157】
一般に、式Iの化合物は、図式1において記載されている方法によって得ることができる。
【0158】
【化23】
【0159】
式中、R、R、R、Cy、n、およびmは式Iの化合物に関して上述されている意味を有する。
【0160】
段階aにおいて、テトラヒドロフランのような溶媒の存在下におけるマグネシウムのような金属の存在下(グリニャール条件)において、式IVの化合物と式Vの臭素化誘導体との間の反応は、式VIの化合物をもたらす。
【0161】
段階bのホルミル化は、式IIの化合物を得るために、塩化ホスホリルおよびジメチルホルムアミドと、式IVの化合物との相互間において達成される。
【0162】
段階cは、1以上の段階において式Iの化合物を得るために、式IIの化合物と、式IIIの化合物との間において行われる。
【0163】
式III、IVおよびVの化合物は、商業的に入手するか、または文献に幅広く記載された方法によって調製でき、適切に保護されていてもよい。
【0164】
また、本発明のいくつかの化合物は、通常の実験条件下において有機化学において周知の反応を用いて、1つ以上の段階において適切な官能基の変換反応を介して、式Iの他の化合物を得ることができる。
【0165】
そのような、変換には、例えば:
アミノ基へのニトロ基の還元、例えば、Pd/Cのような適切な触媒の存在下における、水素、ヒドラジンまたはギ酸を用いた処理;またはNiClもしくはSnClの存在下における、水素化ホウ素ナトリウムを用いた処理;
標準的な条件下における、アルキル化剤を用いた処理による第1級または第2級アミンの交換;または、還元的アミノ化による、すなわち、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤の存在下における、アルデヒドまたはケトンを用いた処理による第1級または第2級アミンの交換;
ジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、またはピリジンのような適切な溶媒において、状況に応じて4−ジメチルアミノピリジンのような塩基の触媒量での存在下において、状況に応じてトリエチルアミンまたはピリジンのような塩基の存在下においての、塩化スルホニルのようなハロゲン化スルホニルを用いた反応によるスルホンアミドにおけるアミンの変換;
標準的な条件下における、アミド、カルバメート、または尿素へのアミンの変換;
塩基的な条件下における、アルキル化剤を用いた処理によるアミドのアルキル化;
標準的な条件における、アルコールの、エーテル、エステル、またはカルバメートへの変換;
標準的な条件における、チオエーテルを得るためのチオールのアルキル化;
酸化の標準的な条件における、全体または一部のアルコールの、ケトン、アルデヒド、またはカルボン酸への酸化;
水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を用いた処理による、アルデヒドまたはケトンのアルコールへの還元;
水素化ジイソブチルアルミニウムまたはLiAlHのような還元剤を用いた処理による、カルボン酸またはカルボン酸誘導体のアルコールへの還元;
標準的な条件における、チオエーテルのスルホキシドまたはスルホンへの酸化;
またはPIの存在下における、SOCl、PBr、臭化テトラブチルアンモニウムを用いた処理によるアルコールのハロゲンへの変換;
状況に応じて、適切な溶媒の存在下において、好ましくは加熱によって、アミンを用いた反応による、ハロゲン原子のアミンへの変換;
標準的な条件を介しての、第1級アミドの−CN基への変換、または逆もまた同様に、−CN基のアミドへの変換;
を包含する。
【0166】
また、本発明の化合物のいずれの芳香族環でも、文献に幅広く記載されている求電子芳香族置換または求核芳香族置換の反応を起こし得る。
【0167】
これらの変換反応のいくつかは、より詳細に実施例において説明する。
【0168】
当業者にとって明らかなように、これらの変換反応は、式Iの化合物とまたはいずれかの適切な合成中間体との両方において行なうことができる。
【0169】
前述のように、本発明の化合物は、Tリンパ球におけるTCR−Nck相互作用を阻害することによって役割を果たす。従って、ヒトを含む哺乳動物において重要であるTリンパ球におけるTCR−Nck相互作用の関与において、これらの化合物は、それらの疾患の処置にとって役立つ。そのような疾患には、制限はなく、移植片拒絶反応、免疫疾患、自己免疫疾患、または炎症性疾患;神経変性疾患;および増殖性疾患を含む(例えば、O'Shea J.J.らによるNat. Rev. Drug Discov. 2004, 3(7):555-64; Cetkovic-CvrljeM.らによるCurr. Pharm. Des. 2004, 10(15):1767-84; Cetkovic-CvrljeM.らによるArch. Immunol. Ther. Exp. (Warsz), 2004, 52(2):69-82を参照のこと)。
【0170】
例えば、本発明の化合物を用いた処置を採ることができる、急性および慢性の両方の移植片拒絶反応の中には、体宿主性移植片反応のみならず、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、子宮、関節、膵島、骨髄、身体各部、角膜、皮膚、肝細胞、膵臓ベータ細胞、幹細胞、神経細胞、および心筋細胞のような組織または臓器のいずれかの種類の異種移植、または細胞の同種移植を包含する(例えば、Rousvoal G.らによるTranspl Int2006, 19(12):1014-21; Borie DC.らによるTransplantation 2005, 79(7):791-801; PaniaguaR.らによるTransplantation 2005, 80(9):1283-92; Higuchi T.らによるJ Heart Lung Transplant. 2005, 24(10):1557-64; SaemannMD.らによるTranspl. Int. 2004, 17(9):481-89; Silva Jr HT.らによるDrugs 2006, 66(13):1665-1684を参照のこと)。
【0171】
本発明の化合物を用いて処置することができる免疫疾患、自己免疫疾患、または炎症性疾患の中には、リウマチ性疾患(例えば、関節リウマチおよび乾癬性関節炎)、自己免疫性血液疾患(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少症、および好中球減少症)、自己免疫性胃炎、並びに腸炎症性疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、およびクローン病)、強皮症、I型糖尿病、および糖尿病の合併症、B型肝炎、C型肝炎、原発性胆汁性肝硬変、重力筋無力症、多発性硬化症、紅斑性狼瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、皮膚の日光皮膚炎、HIV複製の抑制、自己免疫由来の不妊症、自己免疫由来の甲状腺疾患(グレーブス病)、間質性膀胱炎、肥満細胞によって媒介されるアレルギー反応として、ぜんそく、気管支炎、過敏症、血管性水腫、鼻炎、および副鼻腔炎を含む(例えば、Sorbera LA.らによるDrugs of the Future 2007, 32(8):674-680; O'Shea J.J.らによるNat. Rev. Drug. Discov. 2004, 3(7):555-64; Cetkovic-Cvrlje M.らによるCurr. Pharm. Des. 2004, 10(15):1767-84; Muller-Ladner U.らによるJ. Immunol. 2000, 164(7): 3894-3901; Walker JG.らによるAnn. Rheum. Dis. 2006, 65(2):149-56; Milici AJ.らによるArthritis Rheum. 2006, 54 (9, Suppl): abstr 789; Kremer JM.らによるArthritis Rheum. 2006, 54, 4116, presentation no. L40; Cetkovic-Cvrlje M.らによるArch. Immunol. Ther. Exp. (Warsz), 2004, 52(2):69-82; Malaviya R.らによるJ. Pharmacol. Exp. Ther. 2000, 295(3):912-26; Malaviya R.らによるJ. Biol. Chem. 1999, 274(38):27028-38; Wilkinson BらによるAnn. Rheum. Dis. 2007, 66(Suppl 2): Abst THU0099; Matsumoto M.らによるJ Immunol. 1999, 162(2):1056-63を参照のこと)。
【0172】
本発明の化合物を用いて処置できる神経変性疾患として、筋萎縮性側索硬化症およびアルツハイマー病を包含することができる(例えば、Trieu VN.らによるBiochem. Biophys. Res. Commun. 2000, 267(1):22-5を参照のこと)。
【0173】
本発明の化合物を用いて処置できる増殖性の疾患の実例として、リンパ腫、白血病、結腸癌、多形性膠芽腫、およびこれらの疾患と関連している血栓塞栓性およびアレルギー性合併症を包含することができる(例えば、Sudbeck EA.らによるClin. Cancer Res. 1999, 5(6):1569-82; Narla RK.らによるClin. Cancer Res. 1998, 4(10):2463-71; Lin Q.らによるAm J. Pathol. 2005, 167(4):969-80; Tibbles HE.らによるJ. Biol. Chem. 2001, 276(21):17815-22を参照のこと)。
【0174】
Tリンパ球におけるTCR−Nck相互作用を阻害するための化合物の能力を測定するために使用することができる動物実験は、周知である。例えば、実施例1において示しているようなTCR−Nck相互作用を阻害する化合物は、実施例2に示しているようなTCRの刺激の後のTリンパ球において引き起こされるアクチン細胞骨格の重合を阻害しなければならない。インビトロにおいて、Tリンパ球におけるTCR−Nckの相互作用の阻害活性を測定するために使用することができる、他の評価としては、例えば、TCRの刺激の後のTリンパ球の増殖の阻害(実施例3)およびTCRの刺激に起因するTリンパ球によるサイトカインの分泌の阻害(実施例4)のような細胞の評価を包含する。本発明の化合物の免疫抑制の活性は、免疫疾患および自己免疫疾患にとっての標準的なインビボにおける動物モデル用いて評価することができ、それらは周知であり、背景技術の一部である。例えば、以下の試験を使用することができる:遅延型過敏症(遅延型過敏症,DTH)(例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、Kudlacz e.らによるAm. J. Transplant. 2004, 4 (1): 51-7に記載された方法を参照のこと)、コラーゲン誘発関節炎のような関節リウマチのモデル(例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、Holmdahl RらによるAPMIS, 1989, 97 (7): 575-84に記載された方法を参照のこと)、実験的自己免疫性脳脊髄炎(実験的自己免疫性脳脊髄炎,EAE)のような多発性硬化症のモデル(例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、Gonzalez-rey et al, Am. J. Pathol. 2006, 168 (4): 1179-88に記載された方法を参照のこと)、および移植片拒絶反応のモデル(例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、移植片拒絶反応の処置に関する上述の参照に記載された種々の動物モデルを参照のこと)。
【0175】
活性のある化合物を選択するために、10μM試用では、実施例1に記載された試験において50%以上の阻害作用の活性をもたらすべきである。より好ましくは、1μMにおいて50%以上の阻害作用を示すべきであり、さらにより好ましくは、0.1μMにおいて50%以上の阻害作用を示すべきである。
【0176】
本発明は、本発明の化合物(もしくは塩またはそれらの薬学的に許容される溶媒和物)および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物についても言及する。賦形剤は、組成物の他の含有物との相性がよく、そのような組成物を摂取する人々にとって害がないという意味において許容されるべきである。
【0177】
本発明の化合物は、周知のような、有効成分の性質および投与の手段に依存する性質の薬学的製剤のいずれの形態においても投与することがでる。原則として、例えば、経口、非経口、経鼻、目、直腸、および局所といった、いかなる投与の手段においても使用できる。
【0178】
経口投与のための固形組成物には、顆粒、錠剤、およびカプセルを包含する。いずれの場合においても、製造方法は、賦形剤を用いた活性物質の簡単な混合、乾式または湿式造粒に基づく。これらの賦形剤は、例えば、乳糖、微結晶性セルロース、マンニトール、または、リン酸水素カルシウムのような希釈剤;澱粉、ゼラチン、またはポリビニルピロリドンのような結着剤;澱粉グリコール酸ナトリウム、またはクロスカルメロースのような錠剤分解物質;およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクのような潤滑剤であり得る。錠剤は、分解および消化管においての吸収を遅らせる物体を用いた既知の技術によって、適切な賦形剤を用いてコーティングすることができ、このようにして長期間に渡る持続的な活性を得、もしくは単に官能特性または安定性を改良することができる。活性成分は、天然または合成の被膜状のポリマーの使用を経た不活性のペレットにコーティングすることによって組み込むこともできる。活性成分を、水、または、例えば、ココナッツ油、流動パラフィン、またはオリーブ油の油性媒体と混合した、柔らかいゼラチンのカプセルの生成も可能である。
【0179】
水を加え、活性成分を分散および湿潤剤;懸濁化剤および保存料と混合することによって、経口懸濁液のための粉末状および粒状を得ることができる。それらは、甘味料、香料、および着色剤のような他の賦形剤を加えることもできる。
【0180】
経口投与のための液体の形態としては、蒸留水、エタノール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、およびプロピレングリコールのような一般的に使用される不活性な溶媒を含むエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤を包含することができる。これらの組成物は、湿潤剤、懸濁剤、甘味料、香料、保存料、およびpH調整剤のような補助剤を含むこともできる。
【0181】
本発明に従った非経口投与のための注射用製剤には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、または植物油のような、水性または水性でない溶媒における、溶液、懸濁液、または無菌のエマルジョンを含む。これらの組成物は、保湿剤、乳化剤、分散剤、および保存料のような共補助剤を含むこともできる。それらは、既知の方法のいずれかによって殺菌するか、または固形の無菌組成物として調整することができ、使用の直前において、水、または注射用の無菌媒体に溶解し得る。無菌の原料から開始し、製造工程を通してそれらをこれらの条件に維持することも可能である。
【0182】
活性物質は、直腸投与のために、好ましくは、植物油または半合成の固形のグリセリドのような油性基剤またはポリエチレングリコール(マクロゴール)のような親水性基剤における坐薬として調合することができる。
【0183】
本発明の化合物は、目、皮膚、および腸管のような経路を介して接触可能な領域または臓器における病変の処置のための局所適用のために調合することもできる。製剤では、適切な賦形剤に化合物を分散または溶解した、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、およびパッチを含む。
【0184】
経鼻投与または吸入のために、化合物は、適切な噴霧の利用によって便利に放出する、スプレーの形態において調合し得る。
【0185】
一回分の用量および頻度は、他の要因もあるが、処置する疾患の性質および重症度、年齢、一般的な条件、患者の体重のみならず、投与される特定の化合物、および投与の手段に依存して変化し得る。例えば、適切な容量の範囲は、一日当たり、およそ0.01mg/Kg〜およそ100mg/Kgの間において変化し、そしてそれは一回の服用または数回の摂取として投与される。
【0186】
つぎに、本発明を以下の実施例によって説明する。
【0187】
〔図面の簡単な説明〕
図1図1は、インビトロにおける「プルダウン」アッセイにおいて、CD3εを介したTCRと、NckのSH3.1領域との間の相互作用についての、化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1(参照することによって本明細書に組み込まれる国際公開第2010/000900号において記載されている)の阻害効果を示している。
【0188】
図2図2は、TCRの刺激の後にTリンパ球において引き起こされたアクチン細胞骨格の重合についての、化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1の効果を示している。NCKは、アクチン細胞骨格の重合において周知の役割を有している。
【0189】
図3:化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1は、TCRの刺激に応えてのTリンパ球の増殖を抑える。図3は、該記載された化合物が、Tリンパ球の活性化についての阻害効果を有していることを示している。
【0190】
図4:化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1は、TCRの刺激に起因するTリンパ球によってサイトカインの生成を阻害する。図4は、炎症性疾患および自己免疫疾患に関係性のあるサイトカインの生成についての該化合物の阻害効果を示している。
【0191】
〔実施例〕
無水の条件が必要であるときを除いて、記載された化合物の合成には、事前の精製なしの商業的に入手できる試薬、および従来の溶媒を使用して取り掛かり、ここで、アンヒドリゼーションシステム「Pure Solv(商標)Solvent Purification System」によってもたらされる溶媒が使用された。カラムクロマトグラフィーによる精製は、シリカ60A C.C.35〜70μmを用いて行われ、分取クロマトグラフィーにおいてシリカゲル60 F254 0.5nmのプレートを使用した。
【0192】
記載された化合物の純度および同一性は、核磁気共鳴分析法(NMR)および質量分析法によって測定した。NMR試験は、室温において、重水素化されたクロロホルムで、Varian Unity 400 device(400MHz)を用いて行った。正確な質量の測定は、検出のためにエレクトロスプレーイオン化技術、および溶離液としてアセトニトリル−水混合物を用いて実施した。
【0193】
(実施例ECRA24)
1−((4−(4−フルオロフェニル)−6−メトキシ−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピロリジン
a)4−(4−フルオロフェニル)−6−メトキシ−2H−クロメン
【0194】
【化24】
【0195】
無水THFにおける4−フルオロ−1−ブロモベンゼン(1.5eq)の溶解(8ml/nmolのブロモ誘導体)を、不活性雰囲気下において、マグネシウムの削りくず(10eq.)の上に、一滴ずつ添加した。該混合物を、1,2−ジブロモエタンの添加によって活性化し、加熱することで、3時間、還流した。一度、室温に冷却して、対応する6−メトキシクロマン−4−オナ(metoxicroman−4−ona)(1eq.)の溶液をTHFに液滴で添加し(12ml/mmolクロマノン)、該混合物を加熱することにより、3.5時間還流した(Glennon, R. A.; Liebowitz, S. J. Med. Chem. 1982, 24 (4), 393-397)。一度、室温に冷却して、NHClの飽和水溶液(12ml/mmolクロマノン)を15分の間添加した。t−ブチルメチルエーテル(3×5ml/mmolクロマノン)を用いて生成物を抽出し、集合させた有機相を中性になるまでNaHCOの飽和水溶液を用いて洗浄して、乾燥し(MgSO)、減圧下において溶媒を蒸発した。
【0196】
次いで、前段階からの未精製物をジオキサンに溶解して(2ml/mmolクロマノン)、20体積%のHSO水溶液(2ml/mmolクロマノン)を加え、3時間、加熱で還流した。該混合物を室温に冷ましておいて、中和した。ジオキサンの蒸発の後、該生成物をt−ブチルメチルエーテルを用いて抽出し(3×5ml/mmolクロマノン)、水を用いて洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下において溶媒蒸発して、相当の4−(4−フルオロフェニル)−6−メトキシ−2H−クロメンを白色固体として生じた。
必要であれば、該生成物は、カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル20:1)によって精製してもよい。
【0197】
b)4−(4−フルオロフェニル)−3−ホルミル−6−メトキシ−2H−クロメン
【0198】
【化25】
【0199】
無水DMF(2eq.)とPOCl(2eq.)とのCHClの溶液(3ml/mmol基質)に、前段階から、室温、不活性雰囲気の下において、基質を加え(1eq.)、該混合物を還流(18時間)によって加熱した。一度、反応を完了して、それを氷/水の上に注いだ。次いで、t−ブチルメチルエーテルを用いて抽出し、1N HCl、飽和NaHCO、および水を用いて、連続して洗浄し、MgSOを用いて乾燥した。減圧下における溶媒の蒸発により、4−(4−フルオロフェニル)−3−ホルミル−6−メトキシ−2H−クロメンを生じ、そしてそれを、さらなる精製をせずに、次の段階において使用した。
【0200】
c)1((4−(フルオロフェニル)−6−メトキシ−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピロリジン(ECRA24)
【0201】
【化26】
【0202】
上述の段階において得られた基質と、ピロリジン(1.1eq.)とのTHFの溶液(4ml/mmol基質)に、室温、不活性雰囲気の下において、NaBH(OAc)(1.5eq.)を加え、該混合物を一晩中撹拌した。一度、反応を完了させ、NaHCOを添加し、t−BuMeOを用いて抽出し、乾燥し(MgSO)、減圧下において濃縮した。分取クロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル4:1)による精製により、白色固体としての標記の生成物を生じた(60〜90%)。
【0203】
HRMN(CDCl,400MHz):7.13−7.10(m,4H),6.81(d,1H),6.66(dd,1H),6.14(d,1H),4.86(s,2H),3.62(s,3H),3.04(s,2H),2.38(m,4H),1.72−1.69(m,4H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2122FNO+1:340.1713;exp.:340.1699。
【0204】
ECRA24化合物を得るために、類似の手順に従って、以下の化合物を得た。
【0205】
(実施例ECRA4)
1−((4−(フルオロフェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピペリジン
HRMN(CDCl,400MHz):7.13−7.11(m,5H),6.87(d,1H),6.77(t,1H),6.55(d,1H),4.89(s,2H),2.94(s,2H),2.31−2.29(m,4H),1.55−1.53(m,4H),1.38−1.37(m,2H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2122FNO+H:324.1764;exp.:324.1762。
【0206】
(実施例ECRA5)
4−((4−(フルオロフェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチル)モルホリン
HRMN(CDCl,400MHz):7.14−7.11(m,5H),6.88(d,1H),6.81(t,1H),6.57(d,1H),4.90(s,2H),3.67(s,4H),2.94(s,2H),2.34(m,4H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2020FNO+H:326.1556;exp.:326.1562。
【0207】
(実施例ECRA12)
1−((4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピペリジン
HRMN(CDCl,400MHz):7.68(d,2H),7.29(d,2H),7.09(t,1H),6.87(d,1H),6.75(t,1H),6.49(d,1H),4.90(s,2H),2.86(s,2H),2.25(m,4H),1.52−1.50(m,4H),1.37−1.36(m,2H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2221NO+H:374.1732;exp.:374.1707。
【0208】
(実施例ECRA15)
1−((4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチルピペリジン−4−オール
HRMN(CDCl,400MHz):7.11−7.10(m,5H),6.86(d,1H),6.76(t,1H),6.55(dd,1H),4.88(s,2H),3.62(m,1H),2.94(s,2H),2.90(s,2H),2.65−2.64(m,2H),1.84−1.80(m,2H),1.56−1.47(m,2H),1.27−1.24(m,2H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2122FNO+H:340.1713;exp.:340.1699。
【0209】
(実施例ECRA20)
1−((4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピロリジン
HRMN(CDCl,400MHz):7.14−7.12(m,5H),6.88(d,1H),6.78(t,1H),6.57(dd,1H),4.93(s,2H),3.05(s,2H),2.41(m,4H),1.73−1.71(m,4H)。HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2020FNO+H:310.1607;exp.:310.1628。
【0210】
(実施例ECRA21)
1−((4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチル)−4−メチルピペラジン
HRMN(CDCl,400MHz):7.11−7.09(m,5H),6.86(d,1H),6.77(t,1H),6.56(dd,1H),4.86(s,2H),2.92(s,2H),2.27(m,4H)。HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2123FNO+H:339.1873;exp.:339.1860。
【0211】
(実施例ECRB4)
1−((6−(5−ブトキシ−2−フルオロフェニル)−4−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピペリジン
HRMN(CDCl,400MHz):7.69(d,2H),7.34−7.29(m,3H),6.96−6.95(d,2H),6.74−6.72(m,3H),4.95(s,2H),3.89(t,2H),2.90(s,2H),2.26(m,4H),1.72(q,2H),1.54−1.51(m,4H),1.49−1.43(m,2H),1.37(ma,2H),0.96(t,3H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C3233NO+H:540.2526;exp.:540.2557。
【0212】
(実施例ECRB5)
1−((6−(5−ブトキシ−2−フルオロフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピペリジン−4−オール
HRMN(CDCl,400MHz):7.29−7.26(m,2H),7.13−7.10(m,4H),6.93(d,2H),6.73−6.72(m,2H),4.92(s,2H),3.89(t,2H),3.63(ma,1H),2.94(s,2H),2.67−2.65(m,4H),1.72(q,2H),1.70−1.42(m,6H),0.95(t,3H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C3133NO+H:506.2507;exp.:506.2458。
【0213】
(実施例ECRB6)
1−((6−(5−ブトキシ−2−フルオロフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピペリジン
HRMN(CDCl,400MHz):7.27(d,1H),7.17−7.08(m,4H),6.93(d,2H),6.74−6.72(m,3H),4.93(s,2H),3.89(t,2H),2.90(s,2H),2.26(m,4H),1.74(q,2H),1.53−1.51(m,4H)1.47−1.45(m,2H),1.36(ma,2H),0.96(t,3H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C3133NO+H:490.2558;exp.:490.2559。
【0214】
(実施例ECRB9)
1−((6−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(フルオロフェニル)−2−クロメン)−3−イル)メチル)ピペリジン
HRMN(CDCl,400MHz):7.24−7.11(m,6H),6.93(d,2H),6.83−6.77(m,2H),6.66(s,1H),4.94(s,2H),2.91(s,2H),2.27(ma,4H),1.53(ma,4H),1.36(sa,2H.HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2724NO+H:436.1888;exp.:436.1902。
【0215】
(実施例ECRB10)
1−((6−(3,5−ジメチルイソキサゾール−4−イル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−3−イル)メチル)ピペリジン−4−オール
HRMN(CDCl,400MHz):7.12−7.10(d,4H),6.99(dd,1H),6.92(d,1H),6.38(d,1H),4.95(s,2H),3.66(ma,1H),2.98(s,2H),2.68−2.67(m,2H),2.23(s,3H),2.09(s,3H),2.09(ma,2H),1.86−1.85(ma,2H),1.56−1.54(ma,2H).HRMS(エレクトロスプレー):teor.C2627FN+H:435.2084;exp.:435.2098。
【0216】
[実施例1:インビトロにおけるTCR−Nck相互作用の阻害]
インビトロにおける、TCR−Nck相互作用への化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1(参照することによって本明細書に組み込まれる国際公開第2010/000900号において記載されている)の効果(アガロースビーズに固定化された精製タンパク質GST−SH3.1(Nck)とTリンパ球の溶解物からのTCRとの間の相互作用における「プルダウン」試験において示されている)を、抗CD3抗体を用いたウエスタンブロットによって明らかにした。そうするために、1000万のヒトT細胞株Jurkatを、10μg/mlの抗CD3抗体を用いて、5分間、37℃において刺激した。該刺激のあと、細胞は、0.3%のBrij96洗浄剤を含んだ等張の緩衝液に溶解した。核および他の細胞残屑を遠心分離によって除去した後、グルタチオンに共有結合しているアガロースビーズ10μlを用いて、細胞溶解物の試料をインキュベートし、順に、細菌培養物由来の精製GST−SH3.1(Nck)タンパク質5μgに結合させた。GST−SH3.1(Nck)タンパク質は、グルタチオンS−転移酵素と、アミノ末端ヒトNck SH3.1領域との融合タンパク質に相当する。細胞溶解物の試料それぞれを、表示された濃度の阻害剤の存在下においてGST−SH3.1(Nck)を用いてインキュベートした。インキュベーションの後、アガロースビーズを遠心分離によって回収し、GST−SH3.1(Nck)に関連するTCRの量を、SDS−PAGEおよびTCR CD3ζサブユニットに対する抗体を用いたウエスタンブロットによって評価した。阻害剤なしで付着した量に対する、それぞれの濃度の阻害剤の存在下におけるGST−SH3.1(Nck)に結合したTCRの量との間の割合の定量化は、濃度測定によって値を求められ、パーセンテージとしてそれぞれのレールの下に表示している(図1)。
【0217】
[実施例2:TCRの刺激に起因するTリンパ球におけるアクチン細胞骨格の重合の阻害]
健康な人間のドナーから得られた一次Tリンパ球において、アクチン細胞骨格の重合を活性化するTCRの能力への、ECRA20、ECRA24、およびCBM−1化合物の効果を評価した。表示された濃度の化合物の存在下において抗CD3抗体10μg/mlを用いて、Tリンパ球を、5分間、37℃において刺激し、細胞が固定された後、洗浄剤を用いて透過処理し、ファロイジン−FITCを用いた染色によってアクチン細胞骨格の重合を測定し、フローサイトメトリーによって分析した。グラフの縦軸における0地点は、TCRの刺激の後に生成されたアクチンの重合を示しており、一方、黒四角は、抗CD3を用いて刺激していない細胞におけるアクチンの重合のベースライン値を示している(対照−)。白四角は、抗CD3を用いて刺激したリンパ球に対して、既知のアクチン重合の阻害剤であるサイトカラシンDを10μg/ml使用した阻害についての対照である(図2)。
【0218】
[実施例3:TCRの刺激に起因するTリンパ球の増殖の阻害]
健康な人間のドナーから得られた一次Tリンパ球において、Tリンパ球の増殖を引き起こすTCRの能力への、化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1の効果を評価した。Tリンパ球には、蛍光化合物であるカルボキシフルオレセインサクシニミジルエエステル(CFSE)を用いて恒久的にマーキングし、表示された濃度の化合物の存在下において抗体抗CD3(10μg/ml)を用いてコーティングした96ウェルプレートにおいて、3日間、37℃においてインキュベートした。増殖指数は、フローサイトメトリーによって測定されたCFSEの蛍光の強度から算出した。細胞が分裂するにつれて、当初の蛍光は娘細胞に分割されるため、それら細胞はCFSE蛍光を失う。この方法では、細胞につき2倍の量のCFSEを希釈することによって、それぞれの分裂を追跡した。そのため、分裂の数を算出することができる。増殖指数は、分裂の数の合計を、いかなるときも分裂していない当初の親細胞の算出された数で割ることによって算出する。黒四角は、刺激され、化合物を用いて処理されていないリンパ球の増殖の比率を示しており、白四角は抗CD3を用いて刺激されていないリンパ球である(図3)。
【0219】
[実施例4:TCRの刺激に起因するTリンパ球によるサイトカインの生成の阻害]
健康な人間のドナーから得られた一次Tリンパ球において、Tリンパ球によるサイトカインの分泌を引き起こすTCRの能力への、化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1の効果を評価した。表示された量の化合物の存在下において10μg/mlの抗CD3に加えて1μg/mlの抗CD28を用いてリンパ球を刺激し、培地中に分泌されたサイトカインの濃度を測定するために、24時間において(IFNγ)および48時間において(TNFα、IL6、およびIL17a)細胞の上清を回収した(図4)。
【図面の簡単な説明】
【0220】
図1図1は、インビトロにおける「プルダウン」アッセイにおいて、CD3εを介したTCRと、NckのSH3.1領域との間の相互作用についての、化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1(参照することによって本明細書に組み込まれる国際公開第2010/000900号において記載されている)の阻害効果を示している。
図2図2は、TCRの刺激の後にTリンパ球において引き起こされたアクチン細胞骨格の重合についての、化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1の効果を示している。NCKは、アクチン細胞骨格の重合において周知の役割を有している。
図3】化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1は、TCRの刺激に応えてのTリンパ球の増殖を抑える。図3は、該記載された化合物が、Tリンパ球の活性化についての阻害効果を有していることを示している。
図4】化合物ECRA20、ECRA24、およびCBM−1は、TCRの刺激に起因するTリンパ球によってサイトカインの生成を阻害する。図4は、炎症性疾患および自己免疫疾患に関係性のあるサイトカインの生成についての該化合物の阻害効果を示している。
図1
図2
図3
図4