特許第5894211号(P5894211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894211
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】太陽光発電パネルの設置構造
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/22 20140101AFI20160310BHJP
【FI】
   H02S40/22
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-80701(P2014-80701)
(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公開番号】特開2015-202007(P2015-202007A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2015年4月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502145988
【氏名又は名称】日中東北物産有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】近藤 賢市
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−026151(JP,A)
【文献】 特開2013−033855(JP,A)
【文献】 特開2011−080289(JP,A)
【文献】 特開2011−222841(JP,A)
【文献】 特開2004−288677(JP,A)
【文献】 特開2001−298209(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/037721(WO,A1)
【文献】 実開昭59−33608(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−99/00
E04D 1/00−3/40、13/00−15/07、
E06B 5/00−5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直に起立して設置された太陽光発電パネル(1)と、前記太陽光発電パネル(1)の下方に設けられ太陽光(L)を上方に向けて反射する反射面が凸面状の第一ミラー(2)と、前記第一ミラー(2)によって反射された太陽光(L)を前記太陽光発電パネル(1)に向けて反射する反射面が凹面状の第二ミラー(3)と、を有し、
前記太陽光発電パネル(1)の下端部領域(A)に屋根(R)によって遮られなかった太陽光(L)を直接入射し、前記太陽光発電パネル(1)の全領域(A)に前記第一ミラー(2)で反射された太陽光(L)を入射し、前記太陽光発電パネル(1)の上端部領域(A)にさらに第二ミラー(3)で反射された太陽光(L)を入射し、前記太陽光発電パネル(1)上に直接入射光及び複数の反射光が重ね合わさるように入射する太陽光発電パネルの設置構造。
【請求項2】
前記第一ミラー(2)又は前記第二ミラー(3)の少なくとも一方が、複数の平面ミラー(2a)を隣り合わせて連結したものである請求項1に記載の太陽光発電パネルの設置構造。
【請求項3】
前記太陽光発電パネル(1)を2枚のガラス板(4a、4a)を対向して設けた2重ガラス(4)の内部に進退自在とし、発電時には前記太陽光発電パネル(1)を前記2重ガラス(4)内に位置させる一方で、非発電時には前記太陽光発電パネル(1)を前記2重ガラス(4)外に退去させる請求項1又は2に記載の太陽光発電パネルの設置構造。
【請求項4】
前記2枚のガラス板(4a、4a)のうち屋外側のガラス板(4a)の表面に、両面を鏡面とした第三ミラー(5)を設ける請求項3に記載の太陽光発電パネルの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に一般家屋の窓等に太陽光発電パネルを設置する際の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーの一つとして、太陽光発電の利用が近年拡大しつつある。この太陽光発電の一形態として、広大な敷地に多数の太陽光発電パネルを設けたメガソーラの開発が進められている。このメガソーラに用いる太陽光発電パネル10は、図5に示すように、直列に接続した複数の太陽電池のセル11を枠体12内に並べて配置し、このセル11全体を覆うように保護用のガラス板13を設置することによって構成されている。この枠体12は所定角度に傾斜した状態で、支持台14によって支持される。
【0003】
冬季に降雪が見られる地域においては、積雪によってガラス板13に数百キログラムから数トンの荷重が加わることがある。この際にガラス板13や支持台14が破損するのを防止するために、ガラス板13の板厚を厚くしたり、支持台14を非常に頑丈に設計したりして強度向上を図る必要があり、設置コストが高額になる問題がある。また、融雪剤を用いてガラス板13に積もった雪を融かすことも考えられるが、融雪剤は一般的に腐食性を有することから、一般的に金属からなる枠体12が腐食し、太陽光発電パネル10の寿命が短くなる問題もある。
【0004】
太陽光発電パネルの設置構造の他例として、例えば、特許文献1、2等においては、ビルの側壁に太陽光発電パネルを垂直に設ける構成が示されている。このように垂直に設けることにより、太陽光発電パネル上への積雪問題は生じないため、ガラス板等の周辺設備の強度向上を図る必要がない。しかも、上記のメガソーラ用の太陽光発電パネル10と比較して、メンテナンス、ゴミ等による汚れの掃除の簡素化を図ることができ、太陽光発電パネルの設置コストを大幅に抑制して、その実用化を促進することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−339088号公報
【特許文献2】特開2002−21231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に係る太陽光発電パネルは、ビルの外壁に問題なく適用することができるが、一般家屋の窓等には適用できない場合がある。その理由として、ビルの外壁は、一般的に平坦であって、太陽光を遮る構造物がないのに対して、一般家屋においては、建物から張り出して設けられた屋根や庇によって、太陽光の一部が遮蔽されることがあるためである。太陽光発電パネルを構成する複数のセルは、上述したように直列に接続されており、複数のセルのうち一部のセルに太陽光が照射されない場合、その太陽光発電パネル全体としての発電効率が低下するのみならず、太陽光が照射されないセルが電流の抵抗として作用し、発熱による損傷等の問題が生じることがある。
【0007】
そこで、この発明は、一般家屋等の建物に設けた太陽光発電パネルの全体に太陽光を照射することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明は、垂直に起立して設置された太陽光発電パネルと、前記太陽光発電パネルの下方に設けられ太陽光を上方に向けて反射する反射面が凸面状の第一ミラーと、前記第一ミラーによって反射された太陽光を前記太陽光発電パネルに向けて反射する反射面が凹面状の第二ミラーと、を有し、前記太陽光発電パネルの下端部領域に屋根によって遮られなかった太陽光を直接入射し、前記太陽光発電パネルの全領域に前記第一ミラーで反射された太陽光を入射し、前記太陽光発電パネルの上端部領域にさらに第二ミラーで反射された太陽光を入射し、前記太陽光発電パネル上に直接入射光及び複数の反射光が重ね合わさるように入射する太陽光発電パネルの設置構造を構成した。
【0009】
このように、第一及び第二ミラーを設けることにより、例えば、建物の屋根によって太陽光が遮蔽され、太陽光発電パネルの上部側(屋根に近い側)に太陽光が直接照射されない場合においても、その上部側をミラーによって反射された反射光で間接的に照射して、太陽光発電パネルの全体で発電させることができる。しかも、2枚のミラーを組み合わせることで、第一ミラーで反射した太陽光を無駄にすることなく第二ミラーで反射して、太陽光発電パネルの全体を照射することができ、その発電効率を一段と高めることができる。太陽光をできるだけ無駄なく太陽光発電パネルに照射し得る限りにおいて、第一及び第二ミラーは凹面状又は凸面状のいずれの形状とすることもできる。
【0010】
前記構成においては、前記第一ミラー又は前記第二ミラーの少なくとも一方が、複数の平面ミラーを隣り合わせて連結したものである構成とすることができる。
【0011】
このように、第一ミラー又は第二ミラーを複数の平面ミラーで構成することにより、時間が経過して太陽光の入射角と太陽光発電パネルの向きの関係が変化したとしても、第一ミラー又は第二ミラーの全体としての曲率を自在に変えることができ、太陽光の入射角に関わらず高い発電効率を得ることができる。
【0012】
前記各構成においては、前記太陽光発電パネルを2枚のガラス板を対向して設けた2重ガラスの内部に進退自在とし、発電時には前記太陽光発電パネルを前記2重ガラス内に位置させる一方で、非発電時には前記太陽光発電パネルを前記2重ガラス外に退去させる構成とすることができる。
【0013】
このように、太陽光発電パネルを2重ガラスの内部に収納自在とすることにより、発電時には太陽光発電パネルを2重ガラスによって保護してその破損を防ぐ一方で、非発電時には太陽光発電パネルを2重ガラス外に退去することにより、2重ガラスのガラス板を通して、太陽光を室内に取り込むことができる。
【0014】
この2重ガラスを採用する構成においては、前記2枚のガラス板のうち屋外側のガラス板の表面に、両面を鏡面とした第三ミラーを設ける構成とすることができる。
【0015】
このように、第三ミラーを設けることにより、第一及び第二ミラーとの間の反射をより効率的に行うとともに、太陽光発電パネルの表面で反射された太陽光を再度太陽光発電パネルに向けて反射させることができ、より高い発電効率を達成することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る構成においては、建物の窓等に垂直に起立して設置された太陽光発電パネルに、第一ミラーと第二ミラーで反射した太陽光を照射する構成を採用した。このように複数のミラーを用いることにより、この建物の屋根等によって太陽光発電パネルの一部に太陽光が直接照射されない状態においても、その直接照射されない箇所に、ミラーからの反射光を間接的に照射することにより、高い発電効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願発明に係る太陽光発電パネルの設置構造の実施形態を示す側面図
図2】第一ミラーの変形例を示す縦断面図であって、(a)は反射面を凸面状とした状態、(b)は反射面を凹面状とした状態
図3】太陽光発電パネルを2重ガラスの内部に収納した状態を示し、(a)は縦断面図、(b)は正面図
図4】2重ガラスの表面に第三ミラーを設けた状態を示す縦断面図
図5】メガソーラに用いられる一般的な太陽光発電パネルを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明に係る太陽光発電パネルの設置構造の実施形態を図1に示す。この設置構造は、一般家屋等の建物Hの窓に垂直に起立して設置された太陽光発電パネル1と、この太陽光発電パネル1の下方に設けられ、太陽光Lを上方に向けて反射する第一ミラー2と、第一ミラー2によって反射された太陽光Lを太陽光発電パネル1に向けて反射する第二ミラー3と、を備えている。第一ミラー2は反射面(上面)が凸面状に、第二ミラー3は反射面(下面)が凹面状となっている。
【0019】
太陽から照射される太陽光Lの一部は建物Hの屋根Rによって遮られ、屋根Rによって遮られなかった太陽光Lは、太陽光発電パネル1のAを付した領域に直接入射する。第一ミラー2のBを付した領域に入射した太陽光Lは、この第一ミラー2で反射されて、太陽光発電パネル1のAを付した領域に入射する。また、第一ミラーのBを付した領域に入射した太陽光Lは、上方に反射された後にさらに第二ミラー3で反射されて、太陽光発電パネル1のAを付した領域に入射する。このように、太陽光発電パネル1上に直接入射光及び複数の反射光が重ね合わさるように入射することにより、屋根Rによる太陽光Lの遮蔽の影響を極力小さくして(太陽光発電パネル1上に屋根Rの影が生じるのを防いで)、発電効率の向上を図ることができる。
【0020】
第一ミラー2又は第二ミラー3は、図2に示すように、複数の小型の平面ミラー2aを隣合せて連結した構成とすることができる。本図(a)は、第一ミラー2の反射面を凸面状とした状態、本図(b)は、第一ミラー2の反射面を凹面状とした状態を示す。このように複数の平面ミラー2aで第一ミラー2等を構成すれば、太陽光Lの入射角に対応して、第一ミラー2等全体としての曲率を自在に変えることができ、太陽光Lの集光効率を向上するとともに、太陽光発電パネル1に入射した太陽光Lの均一性を高めることができる。各平面ミラー2a同士の相対角度を調節するためのアクチュエータ(図示せず)を併設することにより、予め設定した太陽光Lの入射角データに基づいて、各平面ミラー2aの角度を自動調整することもできる。
【0021】
図3に示すように、太陽光発電パネル1を2枚のガラス板4a、4aを対向して設けた2重ガラス4の内部に進退自在に設けた構成とすることもできる。発電時には、太陽光発電パネル1を2重ガラス4内に位置させることにより、太陽光発電パネル1をガラス板4a、4aによって保護して、その破損を防ぐことができる。その一方で、非発電時には、太陽光発電パネル1を2重ガラス4外に退去させる(例えば、窓に併設された戸袋に収納する)ことにより、2重ガラス4のガラス板4aを通して、太陽光Lを室内に取り込むことができる。
【0022】
このように、2重ガラス4を採用する構成においては、図4に示すように、2枚のガラス板4a、4aのうち屋外側のガラス板4aの表面に、両面を鏡面とした第三ミラー5を設けることができる。第三ミラー5を設けることにより、第一及び第二ミラー2、3との間の反射をより効率的に行い、太陽光Lを無駄なく利用するともに、太陽光発電パネル1の表面で反射された太陽光Lを再度太陽光発電パネル1に向けて反射させることができ、さらなる発電効率の向上を図ることができる。
【0023】
第一ミラー2及び第二ミラー3は、非発電時に取り外しておくことができる。取り外し自在とすることにより、非発電時に両ミラー2、3に接触してこれらを破損させたり、室内に両ミラー2、3からの反射光が入り込んで、室内の人が眩惑したりするのを防止することができる。
【0024】
上記の実施形態はあくまでも一例であって、一般家屋等の建物Hに設けた太陽光発電パネル1の発電効率を向上する、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、各ミラー2、3の大きさや配置構成等を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 太陽光発電パネル
2 第一ミラー
2a 平面ミラー
3 第二ミラー
4 2重ガラス
4a ガラス板
5 第三ミラー
L 太陽光
図1
図2
図3
図4
図5