(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894218
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】磁石サイドロック
(51)【国際特許分類】
E05B 65/52 20060101AFI20160310BHJP
E05C 19/16 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
E05B65/52 T
E05C19/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-95655(P2014-95655)
(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-169070(P2015-169070A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2014年5月8日
(31)【優先権主張番号】201420101642.6
(32)【優先日】2014年3月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513273672
【氏名又は名称】中山可鎖五金塑料製品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100167988
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】馬聖爵
【審査官】
佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3079049(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間が配設される下カバーと、
一端が前記下カバーの一端とヒンジで連結され、下記シリンダー蓋と対応する箇所に第一スルーホールが配設される上カバーと、
摺動自在に前記上カバーの他端に取付けられ、下部には前記下カバーの他端に配設された係合穴と係合するための第一係合部が配設される押しボタンと、
前記上カバーの下部と固定連結されるシリンダー台と、
回動自在に前記シリンダー台の中に取付けられ、上部には少なくとも一つの第一ガイドホールが配設されるシリンダーと、
回動自在に前記シリンダー台の上に取付けられ、係合溝と、前記第一ガイドホールと対応する少なくとも一つの第二ガイドホールとが配設されるシリンダー蓋と、
前記第一ガイドホールに挿入することができる磁石ピンと、
前記磁石ピンと連続して前記第二ガイドホールに配設される第一バネと、
回動自在に前記シリンダー台の上に取付けられ、前記係合溝と噛み合うことができる第二係合部と、前記押しボタンと組み合わせるための位置止め部とが配設される位置止めリングと、
前記上カバーと下カバーに取付けられ、前記上カバーと下カバーの開閉によりロック或いはアンロックを制御するロック機構と、を含むことを特徴とする磁石サイドロック。
【請求項2】
前記シリンダーがTSA(アメリカ運輸保安庁)ロックシリンダーである請求項1に記載の磁石サイドロック。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記上カバーに固設されたロックレバーと前記下カバーに配設された位置止めホールとを含み、前記下カバーの側壁に前記ロックレバーと対応する箇所に第二スルーホールが配設されることを特徴とする請求項1または2に記載の磁石サイドロック。
【請求項4】
一端が前記押しボタンに当接し、他端が前記上カバーに当接する復帰バネを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁石サイドロック。
【請求項5】
一端が前記下カバーに当接し、他端が前記上カバーに当接する第二バネを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁石サイドロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロック技術に係わり、特に空間の占用率が低く、解錠が便利になり、サイドロックの体積増加を抑えることができる磁石サイドロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケース用サイドロックは一般的に専用シリンダーまたは普通シリンダーが搭載され、特定の使用者と普通の使用者にそれぞれ解錠されるものである。従来製品としてパスワードシリンダー、普通の機械シリンダー、カードシリンダー或いは磁石シリンダーが専用シリンダーと組み合わされて使用されるケース用サイドロックが幅広く応用されてきたが、従来の磁石シリンダーと専用シリンダーとが組み合わされて使用されるケース用サイドロックは、磁石シリンダーと専用シリンダーがそれぞれ独立配設されるため、空間の占用率が高かったり作動が安定しなかったりする問題点があり、構造上の改良が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の課題を解決するため、本発明は空間の占用率が低く、解錠が便利になり、サイドロックの体積増加を抑えることができる磁石サイドロックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は前記技術的な問題を解決するため下記の技術方案を採用する。
【0005】
収容空間が配設される下カバーと、
一端が前記下カバーの一端とヒンジで連結され、下記シリンダー蓋と対応する箇所に第一スルーホールが配設される上カバーと、
摺動自在に前記上カバーの他端に取付けられ、下部には前記下カバーの他端に配設された係合穴と係合するための第一係合部が配設される押しボタンと、
前記上カバーの下部と固定連結されるシリンダー台と、
回動自在に前記シリンダー台の中に取付けられ、上部には少なくとも一つの第一ガイドホールが配設されるシリンダーと、
回動自在に前記シリンダー台の上に取付けられ、係合溝と、前記第一ガイドホールと対応する少なくとも一つの第二ガイドホールとが配設されるシリンダー蓋と、
前記第一ガイドホールに挿入することができる磁石ピンと、
前記磁石ピンと連続して前記第二ガイドホールに配設される第一バネと、
回動自在に前記シリンダー台の上に取付けられ、前記係合溝と噛み合うことができる第二係合部と、前記押しボタンと組み合わせるための位置止め部とが配設される位置止めリングと、
前記上カバーと下カバーに取付けられ、前記上カバーと下カバーの開閉によりロック或いはアンロックを制御するロック機構と、を含むことを特徴とする磁石サイドロック。
【0006】
また、本発明の一態様として、前記ロック機構は、前記上カバーに固設されたロックレバーと前記下カバーに配設された位置止めホールとを含み、前記下カバーの側壁に前記ロックレバーと対応する箇所に第二スルーホールが配設される。
【0007】
さらに、本発明の一態様として、一端が前記押しボタンに当接し、他端が前記上カバーに当接する復帰バネを含む。
【0008】
また、本発明の一態様として、一端が前記下カバーに当接し、他端が前記上カバーに当接する第二バネを含む。
【発明の効果】
【0009】
上記構造を採用する本発明の磁石サイドロックは、磁石シリンダーと普通のシリンダーが集積して配設されることにより、空間の占用率が低く、解錠が便利になり、サイドロックの体積増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下は図面と実施形態を参照して本発明について詳しく説明する。
【
図1】本発明の一実施形態に係る磁石サイドロックの見取り図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る磁石サイドロックの分解見取り図一である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る磁石サイドロックの分解見取り図二である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜
図3を参照し、本発明の磁石サイドロックは、
収容空間が配設される下カバー2と、
一端が前記下カバー2の一端とヒンジで連結され、下記シリンダー蓋8と対応する箇所に第一スルーホール83が配設される上カバー1と
一端が前記下カバー2に当接し、他端が前記上カバー1に当接する第二バネ3と、
摺動自在に前記上カバー1の他端に取付けられ、下部には前記下カバー2の他端に配設された係合穴21と係合するための第一係合部41が配設される押しボタン4と、
一端が前記押しボタン4に当接し、他端が前記上カバー1に当接する復帰バネ5と、
前記上カバー1の下部と固定連結されるシリンダー台6と、
回動自在に前記シリンダー台6の中に取付けられ、上部には八つの第一ガイドホール71が配設されるシリンダー7と(当該シリンダー7はTSA(アメリカ運輸保安庁)ロックシリンダーを採用することができるが、それは従来技術であるため説明を省略する)、
回動自在に前記シリンダー台6の上に取付けられ、係合溝82と、前記第一ガイドホール71と対応する八つの第二ガイドホールとが配設されるシリンダー蓋8と、
前記第一ガイドホール71に挿入することができる磁石ピン9と、
前記磁石ピン9と連続して前記第二ガイドホールに配設される第一バネ10と、
回動自在に前記シリンダー台6の上に取付けられ、前記係合溝82と噛み合うことができる第二係合部12と、前記押しボタン4と組み合わせるための位置止め部13とが配設される位置止めリング11と、
前記上カバー1と下カバー2に取付けられ、前記上カバー1と下カバー2の開閉によりロック或いはアンロックを制御するロック機構と、を含むことを特徴とする磁石サイドロックである。
【0012】
本明細書において「シリンダー」の語は、その形状にかかわらず、通常のシリンダー錠におけるシリンダーと同じ機能を有する部材を意味するために用いられる。図の符号7で示される円盤体は、第一ガイドホール71に磁石ピン9が挿入されることにより施錠が行われるので、本明細書中ではシリンダーと呼ばれる。
【0013】
上記構造を採用する本発明の磁石サイドロックの作動原理は、ロック状態において、位置止めリング11の位置止め部13が押しボタン4に当接することにより押しボタン4が
図3の左方向に押されても動けなくなるため、第一係合部41は係合穴21から係合を解除することができず、上カバー1と下カバー2は互いに回動して開くことができない状態になる。解錠時は下記二つの方式で作動する。磁石鍵で解錠する場合は、磁石ピン9とマッチングする磁石が内蔵された磁石鍵を介して磁石ピン9を吸着し第一バネ10を圧縮してそれを完全に第二ガイドホールに進入させると、磁石鍵を回しシリンダー蓋8を回動させるとともに位置止めリング11を従動して回動させ、位置止めリング11の位置止め部13が押しボタン4の移動を制限しない位置まで移動され、そして押しボタン4を押して第一係合部41を係合穴21から外して、解錠を実現する。TSAロックの鍵で解錠する場合は、鍵を挿入して回し、TSAロックシリンダー7とシリンダー蓋8とを回動させ、そして後続の原理は前記磁石鍵の解錠原理と同じになる。また施錠時の作動原理は解錠時と逆になるため説明を省略する。
【0014】
前記ロック機構は、前記上カバー1に固設されたロックレバー14と前記下カバー2に配設された位置止めホール15とを含み、前記下カバー2の側壁に前記ロックレバー14と対応する箇所に第二スルーホール16が配設され、ケースのエッジ部の突起が前記第二スルーホール16を介して前記ロックレバー14とロック状態を形成する。
【0015】
本発明は前記実施形態に限られるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。当業者であれば本発明の趣旨を逸脱しないことを前提として同等な修正または変更を実施することが可能であるが、それらの同等な修正または変更はいずれも本発明の請求の範囲が限定する範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0016】
1 上カバー
2 下カバー
3 第二バネ
4 押しボタン
5 復帰バネ
6 シリンダー台
7 シリンダー
8 シリンダー蓋
9 磁石ピン
10 第一バネ
11 位置止めリング
12 第二係合部
13 位置止め部
14 ロックレバー
15 位置止めホール
16 第二スルーホール
21 係合穴
41 第一係合部
71 第一ガイドホール
82 係合溝
83 第一スルーホール