(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車両用灯具の概略構造を示す正面図である。
図2は、実施形態1に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。
図2は、
図1における基準鉛直線V1に沿った概略断面図に相当する。なお、
図1では、エクステンション12、ブラケット102の走査部保持部102c及び蛍光部材搭載部102dの図示を省略している。また、
図1の基準鉛直線V1及び基準水平線H1は、
図3の鉛直ラインV及び水平ラインHにそれぞれ対応する。
【0013】
本実施形態に係る車両用灯具1は、例えば車両用前照灯装置であり、この車両用前照灯装置は、左右対称に形成された一対の前照灯ユニットを有する。一対の前照灯ユニットは、一方が車両の左前方部分に設けられ他方が車両の右前方部分に設けられる。
図1は、左右いずれかの前照灯ユニットの構成を示す。他方の前照灯ユニットは、左右対称の構造を有する点以外は
図1に示す前照灯ユニットと実質的に同一であるため、説明を省略する。
【0014】
車両用灯具1は、車両前方側に開口部を有するランプボディ2と、ランプボディ2の開口部を覆うように取り付けられた透光カバー4とを備える。透光カバー4は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成される。ランプボディ2と透光カバー4とにより形成される灯室3内には、灯具ユニット100、制御ユニット400(制御部)等が収容される。灯具ユニット100は、エイミングスクリュー8によってランプボディ2に接続されて、灯室3内の所定位置に支持される。制御ユニット400は、灯具ユニット100の下方でランプボディ2に固定される。なお、制御ユニット400を設ける位置は、特にこれに限定されない。
【0015】
車両用灯具1は、エイミングスクリュー8を回転させて灯具ユニット100の姿勢を調節することで、灯具ユニット100の光軸を水平方向及び鉛直方向に調整可能である。灯室3内における灯具ユニット100の灯具前方側には、灯具ユニット100から照射される光の灯具前方への進行を許容する開口部を有するエクステンション12が設けられる。
【0016】
続いて、灯具ユニット100及び制御ユニット400の構成について詳細に説明する。
【0017】
(灯具ユニット)
灯具ユニット100は、ブラケット102、レーザ光源104、走査部106、第1蛍光部材108、第2蛍光部材110、第3蛍光部材112、第1リフレクタ114、第2リフレクタ116、投影レンズ118等を有する。
【0018】
ブラケット102は、平板部102a、光源搭載部102b、走査部保持部102c及び蛍光部材搭載部102dを有する。平板部102aは、両主表面が灯具前後方向を向くように配置され、コーナー部がエイミングスクリュー8によってランプボディ2に接続される。光源搭載部102bは、平板部102aの灯具前方側の主表面に、灯具前方に突出するように設けられる。走査部保持部102cは、平板部102aの灯具前方側の主表面に、光源搭載部102bよりも上方で灯具前方に突出するように設けられる。蛍光部材搭載部102dは、平板部102aの灯具前方側の主表面に、光源搭載部102bよりも下方で灯具前方に突出するように設けられる。蛍光部材搭載部102dは、平板部102aと接する略矩形状の厚肉部102daと、厚肉部102daの灯具前方側端面から灯具前方側に突出する薄肉部102dbとを有する。ブラケット102は、レーザ光源104が発する熱を効率よく回収できるよう、アルミニウムなど熱伝導率が高い材料で形成される。
【0019】
レーザ光源104は、紫外レーザ光UVを出射する光源であり、レーザ光の出射方向が灯具前方側を向くように配置されて光源搭載部102bに搭載される。レーザ光源104は、紫外レーザダイオード(図示せず)、レンズ104a等を有する。レンズ104aは、例えばコリメートレンズで構成される。紫外レーザダイオードから出射された紫外レーザ光UVは、レンズ104aを経由して灯具前方に出射される。レーザ光源104の紫外レーザダイオードは、光源搭載部102b及び平板部102aを介して放熱され、温度の上昇が抑制される。なお、レーザ光源104は、レーザダイオード以外の他のレーザ装置を有してもよい。
【0020】
走査部106は、例えば、いわゆるガルバノミラーで構成され、レーザ光源104から出射された紫外レーザ光UVを各蛍光部材に向けて反射可能な位置に配置され、走査部保持部102cにより固定される。走査部106は、ベース106a、第1回動体106b、第2回動体106c、第1トーションバー106d、第2トーションバー106e、端子部106f等を有する。
【0021】
ベース106aは、中央に開口部を有する枠体であり、灯具前方下側から灯具後方上側に向けて傾斜した状態で、走査部保持部102cにより固定される。ベース106aには、所定位置に端子部106fが設けられる。ベース106aの開口部には、第1回動体106bが配置される。第1回動体106bは、中央に開口部を有する枠体であり、灯具前方下側から灯具後方上側に延在する第1トーションバー106dにより、ベース106aに対し左右(車幅方向)に回動可能に支持される。
【0022】
第1回動体106bの開口部には、第2回動体106cが配置される。第2回動体106cは、矩形の平板状に形成され、左右(水平方向)に延在する第2トーションバー106eにより、第1回動体106bに対し上下(鉛直方向)に回動可能に支持される。第2回動体106cは、第1回動体106bが第1トーションバー106dを回動軸として左右に回動すると、第1回動体106bとともに左右に回動する。第2回動体106cの灯具後方下側を向く表面には、メッキ又は蒸着等の方法により反射鏡が設けられる。
【0023】
ベース106aには、第1トーションバー106dの延在方向と直交する位置に、一対の第1永久磁石(図示せず)が設けられる。第1永久磁石は、第1トーションバー106dと直交する磁界を形成する。第1回動体106bには第1コイル(図示せず)が配線され、第1コイルは、端子部106fを介して制御ユニット400に接続される。また、ベース106aには、第2トーションバー106eの延在方向と直交する位置に、一対の第2永久磁石(図示せず)が設けられる。第2永久磁石は、第2トーションバー106eと直交する磁界を形成する。第2回動体106cには第2コイル(図示せず)が配線され、第2コイルは、端子部106fを介して制御ユニット400に接続される。
【0024】
第1コイル及び第1永久磁石と、第2コイル及び第2永久磁石とにより走査用アクチュエータが構成される。走査用アクチュエータは、制御ユニット400により駆動が制御される。制御ユニット400は、第1コイル及び第2コイルに流れる駆動電流の大きさと向きを制御する。この駆動電流の大きさと向きの制御により、第1回動体106b及び第2回動体106cが左右に往復回動し、また第2回動体106cが単独で上下に往復回動する。これにより、第2回動体106cの反射鏡が上下左右に往復回動する。
【0025】
第1蛍光部材108は、光出射方向が灯具上方側を向くように配置されて、蛍光部材搭載部102dの厚肉部102daの灯具上方を向く搭載面に固定される。第1蛍光部材108は、光波長変換部材であり、蛍光体108aと、蛍光体108aが搭載される基板108bとを有する。蛍光体108aは、例えば、紫外レーザ光を青色光に波長変換する青色発光蛍光体と、紫外レーザ光を黄色光に波長変換する黄色発光蛍光体とを含むセラミック素地を焼結することにより得られる、いわゆる蛍光セラミックである。なお、蛍光体108aはセラミックに限られず、例えば蛍光材料を含むガラス、または蛍光材料を含み且つ透光性を有する樹脂によって形成されてもよい。
【0026】
第2蛍光部材110は、光出射方向が灯具前方側を向くように配置されて、蛍光部材搭載部102dの厚肉部102daの灯具前方側を向く搭載面に固定される。第2蛍光部材110は、光波長変換部材であり、上段蛍光体110aと、下段蛍光体110bと、これらの蛍光体が搭載される基板110cとを有する。上段蛍光体110a及び下段蛍光体110bは、蛍光体108aと同様の構成を有し、また灯具正面側から見て左右に長い長方形状を有する。上段蛍光体110aは、下段蛍光体110bよりも灯具上方側に配置される。上段蛍光体110a及び下段蛍光体110bはそれぞれ、左右方向に配列される複数の区画に分割される。本実施形態では、一枚の蛍光セラミックが遮光枠により2行に分割されて上段蛍光体110a及び下段蛍光体110bが形成され、さらに上段蛍光体110a及び下段蛍光体110bが遮光枠により複数列(本実施形態では9列)に分割されて左右に並ぶ複数の区画が形成される。
【0027】
第3蛍光部材112は、光出射方向が灯具下方側を向くように配置されて、蛍光部材搭載部102dの薄肉部102dbの灯具下方側を向く搭載面に搭載される。薄肉部102dbには、薄肉部102dbを上下方向に貫通する貫通孔102dcが設けられており、貫通孔102dcを覆うように第3蛍光部材112が設けられる。第3蛍光部材112は、光波長変換部材であり、蛍光体112aと、蛍光体112aが搭載される基板112bとを有する。蛍光体112aは、青色発光蛍光体及び黄色発光蛍光体に代えて、紫外レーザ光をアンバー色光に波長変換するアンバー色発光蛍光体を含む点を除いて蛍光体108aと同様の構成を有する。基板112bは、紫外光を透過するとともに可視光を反射するバンドパスフィルタとしての機能を有する。
【0028】
第1リフレクタ114は、略楕円面形状の反射面を有し、反射面の第1焦点が第1蛍光部材108と重なり、反射面の第2焦点が投影レンズ118の後方焦点の近傍に位置するように配置されて、ブラケット102に固定される。第2リフレクタ116は、略回転放物面状の反射面を有し、反射面が灯具前方側を向き、かつ反射面の焦点が第3蛍光部材112と重なるように配置されて、ブラケット102に固定される。
【0029】
投影レンズ118は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、投影レンズ118の後方焦点を含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。投影レンズ118は、後方焦点が第1リフレクタ114の第2焦点近傍に位置するように配置されて、薄肉部102dbの灯具前方側端面に固定される。また、第2蛍光部材110は、投影レンズ118の後方焦点の近傍に配置される。第2蛍光部材110の上段蛍光体110aは投影レンズ118の後方焦点と灯具上下方向の位置が略一致し、下段蛍光体110bは投影レンズ118の後方焦点よりもわずかに下方に位置する。
【0030】
レーザ光源104から出射された紫外レーザ光UVは、走査部106により走査されて第1蛍光部材108、第2蛍光部材110及び第3蛍光部材112に分配される。第1蛍光部材108に分配された紫外レーザ光は、蛍光体108aにより青色光及び黄色光に波長変換される。蛍光体108aから発せられる青色光と黄色光とは、加法混色されて白色光となり、第1リフレクタ114の反射面で投影レンズ118に向けて反射され、投影レンズ118を介して灯具前方に照射される。同様に、第2蛍光部材110に分配された紫外レーザ光が上段蛍光体110a及び/又は下段蛍光体110bにより波長変換されて、白色光が生成される。この白色光は、投影レンズ118を介して灯具前方に照射される。
【0031】
走査部106により第3蛍光部材112に向けて反射された紫外レーザ光UVは、貫通孔102dcを通過し、基板112bを透過して蛍光体112aに到達する。紫外レーザ光UVは、蛍光体112aによりアンバー色光に波長変換される。蛍光体112aから発せられるアンバー色光は、第2リフレクタ116の反射面で灯具前方に向けて反射され、灯具前方に照射される。
【0032】
第1蛍光部材108、第1リフレクタ114及び投影レンズ118は、レーザ光源104から出射されたレーザ光を受けて、所定の配光パターンを形成する第1光学部材を構成する。また、第2蛍光部材110及び投影レンズ118は、第1光学部材が形成する配光パターンとは異なる所定の配光パターンを形成する第2光学部材を構成する。また、第3蛍光部材112及び第2リフレクタ116は、第1光学部材及び第2光学部材が形成する配光パターンとは異なる所定の配光パターンを形成する第3光学部材を構成する。このように、本実施形態に係る車両用灯具1は、互いに異なる配光パターンを形成する複数の光学部材を備え、走査部106により各光学部材にレーザ光を分配して多様な配光パターンを形成するコンビネーションヘッドランプである。なお、光学部材の数は特に限定されず、2つでもよいし4つ以上であってもよい。
【0033】
(制御ユニット)
制御ユニット400は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM等(全て図示せず)で構成される。制御ユニット400は、走査部106の走査用アクチュエータを制御して、紫外レーザ光UVを各蛍光部材に分配する。また、制御ユニット400は、レーザ光源104の照射強度を制御する。本実施形態において、制御ユニット400は、光学部材ごとに、入射される紫外レーザ光UVの照射強度を制御する。この照射制御には、紫外レーザ光UVの照射強度をゼロにすること、及びゼロから所定照射強度まで増大させること、すなわちレーザ光源104を点消灯することも含まれる。
【0034】
制御ユニット400は、走査部106による紫外レーザ光UVの走査に合わせて、レーザ光源104の点消灯を制御する。例えば、制御ユニット400は、走査部106の第2回動体106cの傾斜角度と、各蛍光部材の位置とを対応付けた情報とを予め有する。また、制御ユニット400は、走査アクチュエータの駆動量から第2回動体106cの現在の傾斜角度を算出する。これにより、制御ユニット400は、走査部106の走査位置が蛍光部材と重なる位置にあることを認識することができる。したがって、例えば、制御ユニット400は、走査部106の走査位置が第1蛍光部材108と重なるときのみにレーザ光源104を点灯することで、第1光学部材により形成される配光パターンのみを形成することができる。
【0035】
続いて、本実施形態に係る車両用灯具1により形成することができる配光パターンについて説明する。
図3は、実施形態1に係る車両用灯具により形成される配光パターンの一例を示す図である。なお、
図3では、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンを示している。
【0036】
第1蛍光部材108、第1リフレクタ114及び投影レンズ118で構成される第1光学部材は、ロービーム用配光パターンの一部である水平カットオフライン用配光パターンP1(対向車線側カットオフライン用配光パターン)を形成することができる。この水平カットオフライン用配光パターンP1は、水平ラインHよりも下方で車幅方向に拡がる略矩形状の配光パターンである。
【0037】
第2蛍光部材110及び投影レンズ118で構成される第2光学部材は、車幅方向に配列される略矩形状の複数の個別パターンP2と、複数の個別パターンP2よりも下方で車幅方向に配列される略矩形状の複数の個別パターンP3とを形成することができる。各個別パターンP2は下段蛍光体110bの各区画に対応し、各個別パターンP3は上段蛍光体110aの各区画に対応する。本実施形態では、個別パターンP2,P3が2行9列に配列され、個別パターンP2,P3の一部は、水平カットオフライン用配光パターンP1よりも車幅方向外側まで延在する。また、各個別パターンP2は、下辺が水平ラインHよりもわずかに下方に位置し、大部分が水平ラインHよりも上方に位置する。各個別パターンP3は、上辺が水平ラインHよりもわずかに上方に位置し、大部分が水平ラインHよりも下方に位置する。
【0038】
第3蛍光部材112及び第2リフレクタ116で構成される第3光学部材は、アンバー色のフロントターンシグナル用配光パターンTSを形成することができる。
【0039】
上述した構成を備える車両用灯具1において、制御ユニット400は、第1光学部材の第1蛍光部材108と、第2光学部材の上段蛍光体110aのうち、灯具前方から見て基準鉛直線V1よりも左側に位置する区画に紫外レーザ光UVを照射し、第2蛍光部材110の他の蛍光体及び第3蛍光部材112への紫外レーザ光UVの照射を禁止する。これにより灯具前方に、水平カットオフライン用配光パターンP1と、鉛直ラインVよりも左側に位置する複数の個別パターンP2とが形成される。これらの配光パターンが合成されるとロービーム用配光パターン(
図3において実線で示すパターン)となる。
【0040】
また、制御ユニット400は、第1蛍光部材108及び第2蛍光部材110へ紫外レーザ光UVを照射し、第3蛍光部材112への紫外レーザ光UVの照射を禁止する。これにより灯具前方に、水平カットオフライン用配光パターンP1と、全ての個別パターンP2及び個別パターンP3が形成される。これらの配光パターンが合成されるとハイビーム用配光パターンとなる。
【0041】
また、制御ユニット400は、第3蛍光部材112に対して所定周期で紫外レーザ光UVを照射する。これにより灯具前方に、フロントターンシグナル用配光パターンTSが形成される。
【0042】
また、制御ユニット400は、第1蛍光部材108へ紫外レーザ光UVを照射するとともに、第2蛍光部材110の各区画への紫外レーザ光UVの照射を独立に制御することで、いわゆる片ハイ用配光パターン等の、車幅方向の一部のみにハイビーム領域を有する特殊な配光パターンを形成することができる。また、制御ユニット400は、車両に搭載された車載カメラ、ナビゲーションシステム、舵角センサ、車速センサ等からの信号を受信し、得られた情報に応じて、コーナリング用、モータウェイ用等の多様な配光パターンを形成することもできる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用灯具1は、レーザ光源104と、レーザ光を受けて、それぞれが所定の配光パターンを形成する第1〜第3光学部材と、レーザ光を走査して各光学部材にレーザ光を分配する走査部106とを備える。このように、本実施形態に係る車両用灯具1は、指向性の高いレーザ光を複数の光学部材に分配している。そのため、光源から出射された光を効率よく光学部材に入射させることができる。これにより、従来に比べて光源光の利用率を高めることができる。
【0044】
また、本実施形態の車両用灯具1において、制御ユニット400は、各光学部材に入射されるレーザ光の照射強度を制御することにより、各光学部材からの光照射と非照射とを切り替える。すなわち、制御ユニット400は、配光パターンを形成すべき光学部材のみに光源光を入射させる。そのため、従来に比べて光源光の利用率を高めることができ、また消費電力を低減させることもできる。
【0045】
(実施形態2)
実施形態2に係る車両用灯具1は、導光部材を備え、レーザ光源及び操作部が灯室外に配置される点が、実施形態1に係る車両用灯具1の構成との主な相違点である。実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
【0046】
図4は、実施形態2に係る車両用灯具の概略構造を示す正面図である。
図5は、実施形態2に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。
図5は、
図4におけるA−A線に沿った概略断面図に相当する。なお、
図4の基準鉛直線V1〜V5及び基準水平線H1〜H5は、
図6の鉛直ラインV及び水平ラインHにそれぞれ対応する。
【0047】
本実施形態に係る車両用灯具1において、灯具ユニット100は、光源収容部202、レーザ光源104、走査部206、複数の導光部材208、蛍光部材保持部210、第1蛍光部材212、第2蛍光部材214、第3蛍光部材216、第4蛍光部材218、第5蛍光部材220、第6蛍光部材222、第7蛍光部材224、第1投影レンズ226、第2投影レンズ228、第3投影レンズ230、第4投影レンズ232、第5投影レンズ234等を有する。
【0048】
光源収容部202は、略直方体状のケース体であり、内部にレーザ光源104、走査部206及び制御ユニット400を収容する。光源収容部202は、レーザ光源104が発する熱を効率よく回収できるよう、アルミニウムなど熱伝導率が高い材料で形成される。レーザ光源104は、紫外レーザ光UVが灯具下方に向けて出射されるように配置されて、光源収容部202の内壁に固定される。制御ユニット400は、光源収容部202の内壁に固定される。なお、制御ユニット400を設ける位置は特にこれに限定されず、光源収容部202の外に設けられてもよい。光源収容部202は、内部に走査部保持部202aを有し、走査部保持部202aにより走査部206がレーザ光源104よりも灯具下方側で固定される。
【0049】
光源収容部202は灯室3外に配置される。したがって、レーザ光源104及び走査部206は、灯室3外に配置される。レーザ光源104近傍の光源収容部202の外壁には放熱フィン236が接続される。この放熱フィン236は、熱容量の大きい車両ボディBDに熱的に接続される。なお、放熱フィン236は、エンジン冷却系等の車両に搭載された冷却系等の大熱容量体に熱的に接続されてもよい。もしくは、放熱フィン236自体が冷却系又は車両ボディBDの一部であってもよい。したがって、レーザ光源104は、車両に搭載された冷却系又は車両ボディBDに熱的に接続される。なお、レーザ光源104と、車両の冷却系又は車両ボディBDとの間にペルチェ素子を設け、ペルチェ素子の放熱側を温度変化の小さい車両冷却系又は車両ボディBDとして、レーザ光源104を冷却してもよい。
【0050】
走査部206は、例えばMEMS(micro electro mechanical system)ミラーで構成され、レーザ光源104から出射された紫外レーザ光UVを各導光部材208の光入射部208aに向けて反射可能な位置に配置される。走査部206は、ベース206a、回動体206b、端子部206c等を有する。
【0051】
ベース206aは、中央に開口部を有する枠体であり、灯具前方上側から灯具後方下側に向けて傾斜した状態で、走査部保持部202aにより固定される。ベース206aには、所定位置に端子部206cが設けられる。ベース206aの開口部には、回動体206bが配置される。回動体206bは、矩形の平板状に形成され、車幅方向に延在するトーションバー(図示せず)により、ベース206aに対し上下に回動可能に支持される。回動体206bの灯具後方上側を向く表面には反射鏡が設けられる。走査部206は、制御ユニット400からの信号に応じて圧電素子により回動体206bを駆動させることで、レーザ光源104から出射された紫外レーザ光UVを走査する。
【0052】
複数の導光部材208は、例えば光ファイバー等の線状部材で構成され、一端側の光入射部208aがレーザ光源104側に配置され、他端側の光出射部208bが光学部材側に配置される。導光部材208は、光入射部208aから入射された光を光出射部208bから出射することができる。本実施形態では、導光部材208は、光出射部208bが灯室3内に配置され、ランプボディ2に設けられた挿通孔を介して灯室3内から灯室3外に延在し、光入射部208aが光源収容部202内に配置される。ランプボディ2の貫通孔には防水用のガスケットが嵌め込まれる。導光部材208は、第1蛍光部材212〜第7蛍光部材224のそれぞれに対して設けられる。走査部206は、各導光部材208の光入射部208aに紫外レーザ光UVを分配することで、各光学部材に紫外レーザ光UVを分配する。
【0053】
灯室3内には、第1蛍光部材212〜第7蛍光部材224、蛍光部材保持部210、第1投影レンズ226〜第5投影レンズ234が収容される。蛍光部材保持部210は、平板状に形成され、両主表面が灯具前後方向を向くように配置されてコーナー部がエイミングスクリュー8によってランプボディ2に接続される。第1蛍光部材212〜第5蛍光部材220に対応する導光部材208は、蛍光部材保持部210を灯具後方側から灯具前方側に貫通し、蛍光部材保持部210の灯具前方側の主表面に光出射部208bが固定される。第6蛍光部材222に対応する導光部材208は、蛍光部材保持部210の上側に光出射部208bが配置される。第7蛍光部材224に対応する導光部材208は、蛍光部材保持部210の下側に光出射部208bが配置される。
【0054】
各導光部材208における光出射部208bの光出射面には、第1蛍光部材212〜第7蛍光部材224が設けられる。各蛍光部材は、光出射方向が灯具前方を向くように配置される。第1蛍光部材212〜第5蛍光部材220は、蛍光部材保持部210により灯室3内に支持される。第6蛍光部材222及び第7蛍光部材224は、図示しない支持部材により灯室3内に支持される。
【0055】
第1蛍光部材212〜第6蛍光部材222は、実施形態1の第1蛍光部材108と同様に、紫外レーザ光UVを受けて白色光を発する蛍光体を有する。第1蛍光部材212〜第5蛍光部材220は、灯具前方側から見て、各蛍光部材で形成する配光パターンの形状に合わせた輪郭形状を有し、その周囲が遮光枠で囲まれる。具体的には、第1蛍光部材212は、左右方向に長い長方形状である。第2蛍光部材214、第4蛍光部材218及び第5蛍光部材220は、略正方形状である。第3蛍光部材216は、ロービーム用配光パターンの上下左右が反転した形状である。
【0056】
第6蛍光部材222は、灯具前方から見て左右方向に長い長方形状であり、灯室3の上端領域において灯室3のほぼ左右全域にわたって延在する。第7蛍光部材224は、実施形態1の第3蛍光部材112と同様に、紫外レーザ光UVを受けてアンバー色光を発する蛍光体を有する。第7蛍光部材224は、灯具前方から見て左右方向に長い長方形状であり、灯室3の下端領域において灯室3のほぼ左右全域にわたって延在する。
【0057】
第1投影レンズ226〜第5投影レンズ234は、実施形態1の投影レンズ118と同一の構成を有する。第1投影レンズ226は後方焦点の近傍に第1蛍光部材212が位置するように、第2投影レンズ228は後方焦点の近傍に第2蛍光部材214が位置するように、第3投影レンズ230は後方焦点の近傍に第3蛍光部材216が位置するように、第4投影レンズ232は後方焦点の近傍に第4蛍光部材218が位置するように、第5投影レンズ234は後方焦点の近傍に第5蛍光部材220が位置するように、それぞれ配置される。各投影レンズは、レンズホルダ(図示せず)により蛍光部材保持部210に固定される。
【0058】
第1蛍光部材212及び第1投影レンズ226は第1光学部材を構成し、第2蛍光部材214及び第2投影レンズ228は第2光学部材を構成し、第3蛍光部材216及び第3投影レンズ230は第3光学部材を構成し、第4蛍光部材218及び第4投影レンズ232は第4光学部材を構成し、第5蛍光部材220及び第5投影レンズ234は第5光学部材を構成する。また、第6蛍光部材222は第6光学部材を構成し、第7蛍光部材224は第7光学部材を構成する。したがって、各光学部材は、灯室3内に配置される。第1〜第5光学部材において、灯具前方側から見たときの各光学部材の基準水平線H1〜H5及び基準鉛直線V1〜V5に対する蛍光部材の位置は、各光学部材が形成する配光パターンの水平ラインH及び鉛直ラインVに対する位置に対して上下左右が反転した位置となる。
【0059】
制御ユニット400は、紫外レーザ光UVの照射強度と走査部206の駆動とを制御する。レーザ光源104から出射される紫外レーザ光UVは、走査部206により各導光部材208の光入射部208aに分配される。導光部材208に入射された紫外レーザ光UVは、導光部材208の内部を進行して光出射部208bから出射される。各蛍光部材は、光出射部208bから出射された紫外レーザ光UVを受けて非コヒーレントな白色光もしくはアンバー色光を発する。蛍光部材から発せられる光は、投影レンズを介してもしくは直接、灯具前方に照射される。
【0060】
制御ユニット400は、走査部206による紫外レーザ光UVの走査に合わせて、レーザ光源104の点消灯を制御する。これにより、各配光パターンの形成と非形成とを独立に切り換えることができる。
【0061】
続いて、本実施形態に係る車両用灯具1により形成することができる配光パターンについて説明する。
図6は、実施形態2に係る車両用灯具により形成される配光パターンの一例を示す図である。なお、
図6では、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンを示している。
【0062】
第1蛍光部材212及び第1投影レンズ226で構成される第1光学部材により、ハイビーム用配光パターンHiが形成される。第2蛍光部材214及び第2投影レンズ228で構成される第2光学部材により、右コーナリング用配光パターンTRが形成される。右コーナリング用配光パターンTRは、水平ラインHよりも下方でロービーム用配光パターンLoよりも右方向外側(右側拡散領域)を照射し、右カーブ路の出口方向に対する運転者の視認性を向上させるための付加配光パターンである。第3蛍光部材216及び第3投影レンズ230で構成される第3光学部材により、ロービーム用配光パターンLoが形成される。
【0063】
第4蛍光部材218及び第4投影レンズ232で構成される第4光学部材により、モータウェイ用配光パターンMWが形成される。モータウェイ用配光パターンMWは、水平ラインHと鉛直ラインVとの交点である消点の近傍(いわゆる、ホットゾーン)を照射して、車両が所定の高速走行状態にあるときの運転者の遠方視認性を向上させるための付加配光パターンである。第5蛍光部材220及び第5投影レンズ234で構成される第5光学部材により、左コーナリング用配光パターンTLが形成される。左コーナリング用配光パターンTLは、水平ラインHよりも下方でロービーム用配光パターンLoよりも左方向外側(左側拡散領域)を照射し、左カーブ路の出口方向に対する運転者の視認性を向上させるための付加配光パターンである。第6蛍光部材222で構成される第6光学部材は、デイタイムランニングランプ及び又はクリアランスランプ(車幅灯)として機能する。第7蛍光部材224で構成される第7光学部材は、ターンシグナルランプとして機能する。
【0064】
以上説明した実施形態2に係る車両用灯具1によっても、実施形態1と同様に光源光の利用率の向上を図ることができる。また、本実施形態の車両用灯具1では、導光部材208を介してレーザ光源104側から光学部材側へレーザ光が伝達される。そのため、レーザ光源104及び走査部206と、光学部材との位置関係の自由度を高めることができ、ひいては車両用灯具1の設計自由度を高めることができる。また、本実施形態の車両用灯具1では、複数の光学部材が灯室3内に配置され、レーザ光源104及び走査部206が灯室3外に配置される。そのため、レーザ光源104及び走査部206の設置スペースの省略と、加えてレーザ光源104を冷却するための放熱部材の設置スペースの省略とが可能である。これにより、車両用灯具1の小型化が可能である。特に、閉空間である灯室3内にレーザ光源104を配置すると放熱部材が大型化する傾向が強いため、レーザ光源104を灯室3外に設けることで車両用灯具1の大幅な小型化が可能である。
【0065】
さらに、本実施形態の車両用灯具1では、レーザ光源104が車両ボディBDもしくは車両に搭載された冷却系に熱的に接続される。これにより、レーザ光源104で発生する熱を熱容量の大きい部材(機構)に伝達させることができる。そのため、レーザ光源104の温度変化を抑制することでき、その結果、レーザ光源104によるレーザ光の出力を安定化させることができる。
【0066】
(実施形態3)
実施形態3に係る車両用灯具1は、リアコンビネーションランプである点が実施形態2に係る車両用灯具1の構成との主な相違点である。実施形態2と同一の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
【0067】
図7は、実施形態3に係る車両用灯具の概略構造を示す正面図である。
図8は、実施形態3に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。
図8は、
図7におけるB−B線に沿った概略断面図に相当する。
【0068】
本実施形態に係る車両用灯具1は、リアコンビネーションランプであり、このリアコンビネーションランプは、左右対称に形成された一対のランプユニットを有する。
図7及び
図8は、左右いずれかのランプユニットの構成を示す。他方のランプユニットは、左右対称の構造を有する点以外は
図7及び
図8に示すランプユニットと実質的に同一の構成であるため、説明を省略する。
【0069】
本実施形態に係る車両用灯具1において、灯具ユニット100は、光源収容部202、レーザ光源304、集光部305、走査部306、複数の導光部材208A〜208D、第1リフレクタ308、導光レンズ310、第2リフレクタ312等を有する。
【0070】
本実施形態に係る車両用灯具1では、灯室3外に配置された光源収容部202に、レーザ光源304、走査部306及び制御ユニット400が収容される。なお、制御ユニット400は光源収容部202の外に設けられてもよい。レーザ光源304は、発光素子304R、発光素子304G、発光素子304B、ヒートシンク304a、複数のレンズ304b等を有する。発光素子304Rは、赤色レーザダイオードで構成される。発光素子304Gは、緑色レーザダイオードで構成される。発光素子304Bは、青色レーザダイオードで構成される。なお、レーザ光源304は、レーザダイオード以外の他のレーザ装置を有してもよい。発光素子304R,304G,304Bは、それぞれのレーザ光出射面が灯具前方を向くように配置され、基板を介してヒートシンク304aの灯具前方側端面に取り付けられる。ヒートシンク304aは、灯具後方側端面が光源収容部202の内壁に固定される。発光素子304R,304G,304Bは、それぞれの基板、ヒートシンク304a及び光源収容部202を介して、車両冷却系又は車両ボディBD等の大熱容量体に放熱される。
【0071】
レンズ304bは、例えばコリメートレンズで構成される。レンズ304bは、発光素子304Rと集光部305との間の赤色レーザ光の光路上、発光素子304Gと集光部305との間の緑色レーザ光の光路上、発光素子304Bと集光部305との間の青色レーザ光の光路上にそれぞれ設けられる。
【0072】
集光部305は、赤色レーザ光、緑色レーザ光及び青色レーザ光を集合させて白色レーザ光を生成することができる。集光部305は、第1ダイクロイックミラー305R、第2ダイクロイックミラー305G及び第3ダイクロイックミラー305Bを有する。第1ダイクロイックミラー305Rは、少なくとも、赤色光を反射し青色光及び緑色光を透過させるミラーであり、発光素子304Rから出射された赤色レーザ光を走査部306に向けて反射するように配置される。第2ダイクロイックミラー305Gは、少なくとも、緑色光を反射し青色光を透過させるミラーであり、発光素子304Gから出射された緑色レーザ光を走査部306に向けて反射するように配置される。第3ダイクロイックミラー305Bは、少なくとも青色光を反射するミラーであり、発光素子304Bから出射された青色レーザ光を走査部306に向けて反射するように配置される。
【0073】
また、各ダイクロイックミラーは、それぞれが反射したレーザ光の光路が平行で、かつ各レーザ光が集合して走査部306に到達するように互いの位置関係が定められる。本実施形態では、第1ダイクロイックミラー305R〜第3ダイクロイックミラー305Bは、各ダイクロイックミラーにおいてレーザ光が当たる領域(レーザ光の反射点)が一直線上に並ぶように配置される。
【0074】
発光素子304Bから出射された青色レーザ光は、第3ダイクロイックミラー305Bで反射され、第2ダイクロイックミラー305G側に進行する。発光素子304Gから出射された緑色レーザ光は、第2ダイクロイックミラー305Gにより第1ダイクロイックミラー305R側に反射されるとともに、第2ダイクロイックミラー305Gを透過した青色レーザ光と重ね合わせられる。発光素子304Rから出射された赤色レーザ光は、第1ダイクロイックミラー305Rにより走査部306側に反射されるとともに、第1ダイクロイックミラー305Rを透過した青色レーザ光及び緑色レーザ光の集合光と重ね合わせられる。その結果、白色レーザ光が形成される。また、制御ユニット400により各発光素子からのレーザ光の照射強度が調整されて、赤色レーザ光やアンバー色レーザ光が形成される。集光部305から出射されたレーザ光は、走査部306に向けて進行する。
【0075】
走査部306は、例えば回転軸306bを軸として回転するポリゴンミラー306aで構成され、集光部305から出射されたレーザ光を各導光部材208の光入射部208aに向けて反射可能な位置に配置される。
【0076】
複数の導光部材208A〜208Dは、一端側の光入射部208aがレーザ光源304側に配置され、他端側の光出射部208bが光学部材側に配置される。本実施形態では、導光部材208A〜208Cは、光出射部208bが灯室3内に配置され、ランプボディ2に設けられた挿通孔を介して灯室3内から灯室3外に延在し、光入射部208aが光源収容部202内に配置される。導光部材208Aの光出射部208bは、光出射面が灯具上方を向くように配置される。導光部材208Bの光出射部208bは、導光部材208Aの光出射部208bの下方側で、光出射面が灯具前方を向くように配置される。導光部材208Cの光出射部208bは、導光部材208Bの光出射部208bの下方側で、光出射面が灯具下方を向くように配置される。ランプボディ2の貫通孔には防水用のガスケットが嵌め込まれる。また、導光部材208Dは、車両側に設けられたルームランプ500の灯室内に光出射部208bが配置され、光入射部208aが光源収容部202内に配置される。
【0077】
灯室3内には、第1リフレクタ308、導光レンズ310及び第2リフレクタ312が収容される。第1リフレクタ308は、略放物柱状の反射面を有し、灯具左右方向に延在する。第1リフレクタ308は、導光部材208Aの光出射部208bが反射面の焦点近傍に位置するように配置され、ランプボディ2に固定される。導光レンズ310は、灯具左右方向に長い略四角錐台状に形成され、導光部材208Bの光出射部208bの灯具前方側に配置されてランプボディ2に固定される。第2リフレクタ312は、略放物柱状の反射面を有し、灯具左右方向に延在する。第2リフレクタ312は、導光部材208Cの光出射部208bが反射面の焦点近傍に位置するように配置され、ランプボディ2に固定される。第1リフレクタ308は第1光学部材を構成し、導光レンズ310は第2光学部材を構成し、第2リフレクタ312は第3光学部材を構成し、ルームランプ500が有するリフレクタ(図示せず)は第4光学部材を構成する。
【0078】
制御ユニット400は、ポリゴンミラー306aの回転を制御する。また、制御ユニット400は、各発光素子304R,304G,304Bのレーザ光の照射強度を独立に制御する。レーザ光源304から出射され、集光部305で集合されたレーザ光は、走査部306により各導光部材208の光入射部208aに分配される。各導光部材208A〜208Dに入射されたレーザ光は、導光部材内を進行して光出射部208bから出射される。導光部材208Aの光出射部208bから出射されたレーザ光は、第1リフレクタ308で反射されて灯具前方に照射される。導光部材208Bの光出射部208bから出射されたレーザ光は、導光レンズ310を通過して灯具前方に照射される。導光部材208Cの光出射部208bから出射されたレーザ光は、第2リフレクタ312で反射されて灯具前方に照射される。導光部材208Dの光出射部208bから出射されたレーザ光は、ルームランプ500のリフレクタで反射されて車内に照射される。
【0079】
制御ユニット400は、走査部306の走査位置に応じて各発光素子の出力を調整することで、導光部材208A〜208Dに対して異なる色のレーザ光を入射させることができる。具体的には、制御ユニット400は、導光部材208Aに対して赤色レーザ光を入射させる。これにより、第1リフレクタ308を含む第1光学部材からテール/ストップランプ用の赤色光が照射される。また、制御ユニット400は、導光部材208Bに対してアンバー色レーザ光を入射させる。これにより、導光レンズ310を含む第2光学部材からターンシグナルランプ用のアンバー色光が照射される。また、制御ユニット400は、導光部材208Cに対して白色レーザ光を入射させる。これにより、第2リフレクタ312を含む第3光学部材からバックアップランプ用の白色光が照射される。また、制御ユニット400は、導光部材208Dに対して白色レーザ光を入射させる。これにより、ルームランプ500から室内照明用の白色光が照射される。
【0080】
また、制御ユニット400は、走査部306によるレーザ光の走査に合わせてレーザ光の照射強度(レーザ光源304の点消灯)を制御する。これにより、各配光パターンの形成と非形成とを独立に切り換えることができる。
【0081】
以上説明した実施形態3に係る車両用灯具1によっても、実施形態1と同様に光源光の利用率の向上を図ることができる。また、実施形態2と同様に車両用灯具1の設計自由度の向上、車両用灯具1の小型化、レーザ光の出力安定化を図ることができる。
【0082】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくは変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述の各実施形態同士、および上述の各実施形態と以下の変形例との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0083】
上述の実施形態1及び2において、灯具ユニット100は、実施形態3と同様にレーザ光を直接灯具前方に照射する構成であってもよい。また、実施形態3において、灯具ユニット100は、実施形態1及び2と同様にレーザ光の照射により蛍光体で発する非コヒーレント光を照射する構成であってもよい。実施形態1において、走査部106は、MEMSミラーもしくはポリゴンミラーであってもよい。実施形態2において、走査部206は、ガルバノミラーもしくはポリゴンミラーであってもよい。実施形態3において、走査部306は、ガルバノミラーもしくはMEMSミラーであってもよい。また、走査部106,206,306には、加えられる電界に応じて屈折率が変化する電気光学結晶を採用することもできる。実施形態3のレーザ光源304は、黄色レーザ光やオレンジ色レーザ光を出射する発光素子を含んでもよい。
【0084】
灯具ユニット100は、反射型もしくは透過型の蛍光体塗布板を紫外レーザ光UVで走査して、形成すべき配光パターンの形状に合わせて紫外レーザ光UVの点消灯を制御することで、配光パターンを形成してもよい。