特許第5894477号(P5894477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894477
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20160317BHJP
   G01G 23/01 20060101ALI20160317BHJP
   G01G 9/00 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   G01G19/387 Z
   G01G23/01 A
   G01G9/00
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-61901(P2012-61901)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-195199(P2013-195199A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮民
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠
(72)【発明者】
【氏名】小西 聡
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0166696(US,A1)
【文献】 特開平1−260324(JP,A)
【文献】 特開平9−267078(JP,A)
【文献】 特開2008−292194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387
G01G 23/01
G01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の質量を測定し、測定済みの前記物品から、合計質量が所定許容範囲内に収まる組合せを決定し、組合された物品を排出する組合せ計量装置であって、
前記物品が供給される物品供給部と、
前記物品を一時的に収容する複数の物品収容部と、
前記物品供給部の前記物品を保持して移動し、前記物品収容部に前記物品を投入する保持機構と、
前記保持機構を移動させる移動機構と、
前記保持機構と前記移動機構との間に設けられ、移動時の前記物品に作用する力を測定する力測定部と、
移動時の前記物品に作用する加速度を測定する加速度測定部と、
少なくとも前記保持機構および前記移動機構の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記物品供給部からの前記物品の移動中に前記物品に作用する力および加速度に基づいて前記物品の質量を算出するとともに、質量算出後の前記物品が投入される前記物品収容部を決定し、
さらに、前記制御部は、前記物品収容部の位置とそこに投入された前記物品の質量とを記憶しておき、合計質量が前記所定許容範囲内に収まる前記物品の組合せを決定する、
組合せ計量装置。
【請求項2】
複数の前記物品収容部は複数のグループに分けられており、
前記制御部は、前記グループ毎に前記物品の組合せを行う、
請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項3】
前記物品収容部に排出機構が設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の組合せ計量装置。
【請求項4】
前記保持機構と前記移動機構とにより、組合された前記物品を排出する、
請求項1又は請求項2に記載の組合せ計量装置。
【請求項5】
前記物品収容部から前記物品を取り出す第2保持機構と、
前記第2保持機構を移動させる第2移動機構と、
をさらに備える、
請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項6】
前記第2保持機構と前記第2移動機構との間に設けられ、移動時の前記物品に作用する力を測定する第2力測定部と、
移動時の前記物品に作用する加速度を測定する第2加速度測定部と、
をさらに備える、
請求項5に記載の組合せ計量装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記物品をその質量に応じてランク付けし、前記ランク毎に前記物品の組合せを行う、
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ計量装置は、複数の物品収容部それぞれに被計量物を投入し、物品収容部毎に計量し、組合せることによって目標の組合せ質量となる物品収容部を選択してその組合せに参加させる構成であるものが多い。例えば、特許文献1(特開昭63−30725号公報)に開示されている組合せ計量装置では、被計量物は、分散フィーダを介して、各駆動フィーダに供給され、各駆動フィーダ からそれぞれ対応する計量ホッパ に供給される。組合せ制御手段は、n個の計量ホッパ で得られた各計量値(被計量物の重量)を組合せることで、最適な計量ホッパ(被計量物)の組合せを選択する。つまり、計量ホッパ の計量値に基づいて、目標重量に最も近いか或いは等しい組合せが選定される。この選定された被計量物は、集合排出シュートを介して集合排出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような組合せ計量装置は、計量ホッパ毎に計量器を有している必要があり、コスト増、重量増の要因であった。
【0004】
また、特許文献2(特開2008−292194号公報)に開示されている、ランク選別を行う組合せ計量装置では、物品の質量を1つの計量装置で計量し、計量済み物品を循環コンベアに備えられた複数のバケットに順次投入し、その複数のバケットに投入された物品の中から合計重量が所定許容範囲内となる物品の組合せを選択し、選択された物品を収納したバケットが当該組合せの排出先を通過する際に物品を排出する組合せ計量装置が採用されている。しかし、これも循環コンベアが必要となるため、非常に巨大な装置となり、大きなスペースを必要とする。加えて、このような組み合わせ計量装置では、排出した空のバケットに新たに物品を投入する際には、空のバケットを排出口から投入口まで搬送する必要があり、その搬送している間、当該バケットは組み合わせに参加できないため、無駄な時間が発生する。
【0005】
さらに、一旦ホッパまたはバケットに入れた物品は組み合わせに参加するまで、排出できないため、例えば、組み合わせに参加できない不利な重量の物品をホッパまたはバケットに投入してしまうと、そのホッパまたはバケットは組み合わせに参加できないので組み合わせ母数が減少し、組み合わせ重量の精度が悪化する。
【0006】
本発明の課題は、物品の質量をホッパ又はバケットに投入される前に測定することによって、計量器が撤去された複数のホッパ又はバケットから成る組合せ計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る組合せ計量装置は、物品の質量を測定し、測定済みの物品から、合計質量が所定許容範囲内に収まる組合せを決定し、組合された物品を排出する組合せ計量装置であって、物品が供給される物品供給部と、物品を一時的に収容する複数の物品収容部と、保持機構と、移動機構と、力測定部と、加速度測定部と、制御部とを備えている。保持機構は、物品供給部の物品を保持して移動し、物品収容部に物品を投入する。移動機構は、保持機構を移動させる。力測定部は、保持機構と移動機構との間に設けられ、移動時の物品に作用する力を測定する。加速度測定部は、移動時の物品に作用する加速度を測定する。制御部は、少なくとも保持機構および移動機構の動作を制御する。また、制御部は、物品供給部からの物品の移動中に物品に作用する力および加速度に基づいて物品の質量を算出するとともに、質量算出後の物品が投入される物品収容部を決定する。さらに、制御部は、物品収容部の位置とそこに投入された物品の質量とを記憶しておき、合計質量が所定許容範囲内に収まる物品の組合せを決定する。
【0008】
この組合せ計量装置では、物品収容部に質量測定機能を持たせる必要がないので、物品収容部毎に計量器を備えた従来品に比べて低コストである。また、循環コンベアを使った組合せ計量装置では、物品を排出した空の物品収容部に新たに物品を投入する際には、空の物品収容部を排出口から投入口まで搬送する必要があるが、この組合せ計量装置では物品を移動させながら物品の質量を計測して、空になった物品収容部に物品を直接投入できるため、時間的なロスが少ない。
【0009】
さらに、質量測定の結果から物品収容部への投入可否を判定することができるので、組合せに不利な質量の物品が入った物品収容部を作らない。
【0010】
本発明の第2観点に係る組合せ計量装置は、第1観点に係る組合せ計量装置であって、複数の物品収容部が複数のグループに分けられている。制御部は、グループ毎に物品の組合せを行う。
【0011】
この組合せ計量装置では、物品収容部に物品を投入する前に質量測定が完了するため、投入前に複数のグループ毎に組合せ計算を行うことによって、制御部は、最も精度の高い組合せ質量を達成したグループに物品を投入することができる。
【0012】
また、サイズの小さいもの(軽いもの)だけで所定許容範囲内の組合せ質量を実現するグループと、サイズの大きいもの(重いもの)だけで所定許容範囲内の組合せ質量を実現するグループとに仕分けることができる。
【0013】
本発明の第3観点に係る組合せ計量装置は、第1観点または第2観点に係る組合せ計量装置であって、物品収容部に排出機構が設けられている。
【0014】
本発明の第4観点に係る組合せ計量装置は、第1観点または第2観点に係る組合せ計装置であって、保持機構と移動機構とにより、組合された物品を排出する。
【0015】
本発明の第5観点に係る組合せ計量装置は、第1観点に係る組合せ計量装置であって、物品収容部から物品を取り出す第2保持機構と、第2保持機構を移動させる第2移動機構とをさらに備えている。
【0016】
複数の物品収容部それぞれに排出機構を設けた場合、物品収容部が大型化し、物品収容部数の増大に伴って占有空間が大型化する。しかし、この組合せ計量装置では、第2保持機構及び第2移動機構が物品収容部から物品を取り出してくれるので、物品収容部は単純な形状(例えば、枡形)で十分機能する。
【0017】
さらに、保持機構が届く範囲に多数の物品収容部を配置することができるので、物品収容部の配置の自由度が広がり、スペース効率が高まる。
【0018】
本発明の第6観点に係る組合せ計量装置は、第5観点に係る組合せ計量装置であって、第2保持機構と第2移動機構との間に設けられ、移動時の物品に作用する力を測定する第2力測定部と、移動時の物品に作用する加速度を測定する第2加速度測定部とをさらに備えている。
【0019】
この組合せ計量装置では、排出側の第2保持機構および第2移動機構によって質量測定ができるので、排出直前の質量チェックと排出後の質量チェックを行うことにより、排出が確実に行われたことを確認することができる。
【0020】
本発明の第7観点に係る組合せ計量装置は、第4観点から第6観点のいずれか1つに係る組合せ計量装置であって、制御部が、物品をその質量に応じてランク付けし、ランク毎に物品の組合せを行う。
【0021】
この組合せ計量装置では、例えば、サイズの小さい(軽い)ランクだけで所定許容範囲内の組合せ質量を実現した組合せと、サイズの大きい(重い)ランクだけで所定許容範囲内の組合せ質量を実現した組合せとを、別の場所に振り分けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る組合せ計量装置では、物品収容部に質量測定機能を持たせる必要がないので、物品収容部毎に計量器を備えた従来品に比べて低コストである。また、この組合せ計量装置は、物品を移動させながら物品の質量を計測して、空になった物品収容部に物品を直接投入できるため、時間的なロスが少ない。
【0023】
さらに、質量測定の結果から物品収容部への投入可否を判定することができるので、組合せに不利な質量の物品が入った物品収容部を作らない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係る組合せ計量装置の本体の概略平面図。
図2図1の組合せ計量装置の本体をばね−質量系で表わしたときの当該本体の2自由度モデル。
図3】零点調整のために、ロボットハンドに何も保持させない状態で力センサおよび加速度センサから得られた検出信号を示すグラフ。
図4】スパン調整用の既知の分銅をロボットハンドに保持させた状態で力センサおよび加速度センサから得られた検出信号を示すグラフ。
図5】質量mの被測定物をロボットハンドに保持させた状態で力センサおよび加速度センサから得られた検出信号を示すグラフ。
図6】組合せ計量装置の本体の制御系のブロック図。
図7】組合せ計量装置の本体の力センサおよび加速度センサによって検出された信号を処理する信号処理回路図。
図8】第1実施形態に係る組合せ計量装置が配置された工程の平面図。
図9】第2実施形態に係る組合せ計量装置が配置された工程の平面図。
図10】第2実施形態の変形例に係る組合せ計量装置が配置された工程の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0026】
<第1実施形態>
(1)組合せ計量装置の本体100の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る組合せ計量装置の本体100の概略平面図である。図1において、組合せ計量装置の本体100は、力測定部としての力センサ1と、保持機構としてのロボットハンド2と、移動機構としてのロボットアーム3と、加速度測定部としての加速度センサ4とを備えている。
【0027】
力センサ1は、移動中の物品Qに作用する力を検出する。力センサ1には、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。歪みゲージ式ロードセルは、移動によって自由端側が固定端側に対して相対的に変位し、それによって自由端側に作用する力を検出することができる。
【0028】
ロボットハンド2は、物品Qを保持する。ロボットハンド2には、エアー駆動またはモータ駆動によるフィンガータイプのチャック機構が採用される。なお、ロボットハンド2は、チャック機構に限定されるものではなく、エアー吸着機構であってもよい。
【0029】
ロボットアーム3は、ロボットハンド2を3次元的に移動させる。なお、ロボットアーム3としては、例えば、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボット、あるいは、パラレルリンクロボット等が適切である。
【0030】
加速度センサ4は、物品Qに作用する加速度を検出する。加速度センサ4としては、例えば、歪みゲージ式ロードセル、MEMS型の小型加速度センサ、及び一般的な市販の加速度センサのいずれかが適宜採用される。
【0031】
なお、力センサ1はロボットハンド2とロボットアーム3との間に設けられ、加速度センサ4はロボットハンド2に隣接するように設けられる。以下で説明する実施形態では、力センサ1及び加速度センサ4ともに歪みゲージ式ロードセルが採用され、力センサ1及び加速度センサ4は水平方向に移動する物品Qに作用する力と加速度を検出する。
【0032】
(2)組合せ計量装置による質量測定の原理
図2は、図1の組合せ計量装置の本体100をばね−質量系で表わしたときの当該本体100の2自由度モデルである。
【0033】
図2において、mは物品Qの質量、M1は力センサ1の自由端側の質量とロボットハンド2の質量および加速度センサ4の固定端側の質量の和、M2は加速度センサ4の自由端側の質量である。また、k1は力センサ1のばね定数、k2は加速度センサ4のばね定数である。x1は力センサ1の変位量、x2は加速度センサ4の変位量とする。
【0034】
物品Qに加速度が作用したときの運動方程式は、
(m+M1)d21/dt2=−k1(x1−y)+k2(x1−x2) (1)
222/dt2=−k2(x2−x1) (2)
として表される。また(1)式を変形すると、
m=[−k1(x1−y)+k2(x1−x2)]/(d21/dt2)−M1 (3)
となる。さらに、加速度センサ4の剛性が大きいことを考慮すると、
21/dt2≒d22/dt2 (4)
として近似できる。それゆえ、(3)及び(4)式より、
m=[−k1(x1−y)+k2(x1−x2)]/(d22/dt2)−M1 (5)
が導き出される。また、(2)式を変形すると、
22/dt2=−k2(x2−x1)/M2 (6)
となるので、(5)、(6)式より、
m=[−k1(x1−y)/−k2(x2−x1)]M2+M2−M1 (7)
が導き出される。
【0035】
ここで、−k1(x1−y)は力センサ1の出力、−k2(x2−x1)は加速度センサ4の出力である。
【0036】
図3は、零点調整のために、ロボットハンド2に何も保持させない状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。図3において、力センサ1の出力のピーク値をFmz、加速度センサ4の出力のピーク値をFazとしたとき、(7)式より、
0=M2・C・(Fmz/Faz)+M2−M1 (8)
となる。但し、加速度は0でない場合を想定している。なお、Cは換算係数である。
【0037】
図4は、スパン調整用の既知の分銅をロボットハンド2に保持させた状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。図4において、スパン質量をms、力センサ1の出力のピーク値をFms、加速度センサ4の出力のピーク値をFasとしたとき、(7)式より、
ms=M2・C・(Fms/Fas)+M2−M1 (9)
となる。そして、(8)−(9)式より、
C=ms/M2{(Fms/Fas)−(Fmz/Faz)} (10)
が導き出される。(10)式より、M2は固定係数として、スパン係数をSとすると、
S=C・M2=ms/{(Fms/Fas)−(Fmz/Faz)} (11)
である。
【0038】
図5は、質量mの被測定物をロボットハンド2に保持させた状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。図5において、力センサ1の出力のピーク値をFm、加速度センサ4の出力のピーク値をFaとしたとき、(11)式より、
m=S{(Fm/Fa)−(Fmz/Faz)} (12)
となる。
【0039】
上記のように、組合せ計量装置の本体100の質量測定方式は、物品Qを移動させ、移動時の物品Qに作用する力を移動時の物品に作用する加速度で除算して物品Qの質量を算出する方式である。
【0040】
(3)制御系
図6は、組合せ計量装置の本体100の制御系のブロック図である。図6において、制御部としてのコントローラ40及び記憶部49を含む制御回路50には、力センサ1、ロボットハンド2、ロボットアーム3、加速度センサ4、入力部7及びディスプレイ8が電気的に接続されている。なお、力センサ1、ロボットハンド2、ロボットアーム3、及び加速度センサ4については、既に説明しているので、ここでは言及しない。
【0041】
入力部7は、本体100の始動前に、オペレータが力センサ1の定格や、被測定物の測定範囲などを入力するための機器であり、具体的には、キーボード、或いは、タッチパネルである。
【0042】
ディスプレイ8は、本体100の動作状況を逐次表示するための機器であり、力センサ1及び加速度センサ4の異常や、ロボットハンド2及びロボットアーム3の動作異常が発生したときには、エラー表示を行う。
【0043】
記憶部49は、本体100に搭載可能な力センサ1の定格、及び被測定物の質量範囲ごとに設定された被測定物に作用させるべき適用加速度を予め記憶している。
【0044】
例えば、本体100が、物品Qが搬送される工程で、「ロボットハンド2によって物品Qを保持し、ロボットアーム3によって物品Qをホッパ位置まで移動させ、その間に質量を測定し、物品Qをホッパに入れる」という動作を行う場合、オペレータは本体100の始動前に、物品Qの質量測定範囲を入力する。
【0045】
記憶部49は、質量測定範囲内の物品Qを測定するときに物品Qに作用させるべき最適加速度を予め記憶している。コントローラ40は、入力された質量測定範囲に対応する適用加速度を記憶部49から読み取り、ロボットアーム3を介して物品Qにその適用加速度を作用させ、そのときの力センサ1の出力を読み取る。なお、コントローラ40としては、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)やマイコン等が採用される。
【0046】
図7は、力センサ1及び加速度センサ4によって検出された信号を処理する信号処理回路図である。図7において、力センサ1と加速度センサ4には、それぞれ増幅器31a、31bが接続されており、これらの増幅器31a、31bは、力センサ1及び加速度センサ4から入力された検出信号を増幅する。また、増幅器31a、31bには、それぞれA/D変換器33a、33bが接続されている。そのA/D変換器33a、33bは、入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0047】
A/D変換器33a、33bには、それぞれローパスフィルタ37a、37bが接続されている。このローパスフィルタ37a、37bは、入力された検出信号から一定周波数以上のノイズ成分を除去する。また、ローパスフィルタ37a、37bは、コントローラ40に接続されている。
【0048】
コントローラ40は、入力された検出信号に基づいて各種の処理を実行する。先ず、コントローラ40は、力センサ1及び加速度センサ4の検出信号に含まれるノイズ周波数成分をローパスフィルタ37a、37bにより除去する処理を行う。そして、そのノイズ周波数成分が除去された力センサ1の検出信号を除算器41により加速度センサ4の検出信号で除算する処理を行い、その後、コントローラ40は、減算器43として機能することで、その除算結果を用いて式(12)の演算を行い、質量mを算出する処理を行う。即ち、コントローラ40は、力センサ1及び加速度センサ4の検出信号に基づいて、物品Qの質量mを算出する。
【0049】
(4)組合せ計量装置の動作
図8は、第1実施形態に係る組合せ計量装置が配置された工程の平面図である。図8において、工程FAL1には、パレット211、第1ホッパ群221、第2ホッパ群222、及び組合せ計量装置の本体100が据え付けられている。
【0050】
パレット211は、質量が未だ測定されていない多量の物品Qが置かれた物品供給部である。第1ホッパ群221は、物品Qを収容するための物品収容部である10個のホッパA1〜A10から成る。第2ホッパ群222は、物品Qを収容するための物品収容部である10個のホッパB1〜B10から成る。第1ホッパ群221及び第2ホッパ群222の各ホッパには、排出機構が設けられている。
【0051】
第1ホッパ群221と第2ホッパ群222とは、パレット211を挟むようにパレット211の両側に配置されている。また、組合せ計量装置の本体100は、第1ホッパ群221と第2ホッパ群222との間で、パレット211と対面するように配置されている。
【0052】
コントローラ40は、パレット211に積載された物品Qをロボットハンド2に保持させて持ち上げさせる。さらに、コントローラ40は、ロボットアーム3の動作を制御して、物品Qに所定の適用加速度が作用するように移動させ、第1ホッパ群221又は第2ホッパ群222のいずれか一方に物品Qを運ばせる。説明の便宜上、第1ホッパ群221に運んでいる状態を想定する。
【0053】
コントローラ40は、物品Qを移動させている間に、物品Qに作用する力と加速度を検出し、その力を除算器41により加速度で除算する処理を行い、その除算結果を用いて質量を算出する。
【0054】
さらに、コントローラ40は、質量算出済みの物品Qを第1ホッパ群221のホッパA1〜A10のうちの空のホッパにその物品Qを投入する。その際、記憶部49は、投入された物品Qの質量と投入先のホッパ位置を記憶する。
【0055】
物品Qを第1ホッパ群221及び第2ホッパ群222のいずれに運ぶかは、第1ホッパ群221及び第2ホッパ群222の各ホッパの空き状態に応じてコントローラ40が判断する。
【0056】
上記のような動作によって、第1ホッパ群221および第2ホッパ群222の各ホッパに物品Qを投入していく。また、コントローラ40は、オーバースケール、オーバーウエイトと判断したときは、ロボットハンド2が物品Qを掴み替えるように制御する。
【0057】
また、コントローラ40は、第1ホッパ群221(又は第2ホッパ群222)で得られるn個の測定値(物品Qの質量)を組み合わせて、合計質量が許容範囲内に収まる組合せを選択する。つまり、ホッパに投入された物品Qの質量に基づいて、合計質量が目標値に最も近いか或いは等しい組合せが選択される。コントローラ40は、組合せに参加したホッパの排出機構を介してホッパ内の物品Qを排出する。各ホッパの鉛直下方には集合排出シュート(図示せず)が設けられているので、その集合排出シュートを介して集合排出される。
【0058】
なお、多くの場合、組合せに参加して物品Qが排出されて空になるホッパ数は、第1ホッパ群221及び第2ホッパ群222のそれぞれで、3個又は4個になる。コントローラ40は、第1ホッパ群221及び第2ホッパ群222のそれぞれで、空のホッパが残り1個又は2個になるまで、物品Qを空のホッパに投入する。コントローラ40は、空のホッパに物品Qを投入する前に、ロボットハンド2で掴んでいる物品Qも含めて、第1ホッパ群221及び第2ホッパ群222のそれぞれで組合せの計算を行う。その後、コントローラ40は、組合せ結果が有利になるように、第1ホッパ群221及び第2ホッパ群222のいずれかを選択し、物品Qを投入するホッパを決定する。組合せ結果が第1ホッパ群221及び第2ホッパ群222のいずれを選択しても許容範囲内に入らない場合は、ロボットハンド2が物品Qを掴み替えるように制御する。
【0059】
上記の通り、この組合せ計量装置では、ホッパに秤を設ける必要がないので低コストである。また、ホッパに物品Qを投入する前に質量測定が完了するため、組合せ結果がより有利になるように、第1ホッパ群221および第2ホッパ群222のいずれか1グループを選択することができるので、精度が高くなるグループを選択することで精度向上が図られる。なお、ホッパ群は2グループに限定されるものではなく、3グループ以上であってもよい。
【0060】
さらに、この組合せ計量装置では、ホッパへの投入を止めることができるので、組合せに不利な質量の物品が入ったホッパが作られることが回避される。
【0061】
(5)特徴
(5−1)
組合せ計量装置では、物品Qが供給されるパレット211と、物品Qを一時的に収容する複数のホッパと、力センサ1と、ロボットハンド2と、ロボットアーム3と、加速度センサ4と、コントローラ40とを備えている。各ホッパには、排出機構が設けられている。ロボットハンド2は、パレット211の物品Qを保持して移動し、ホッパに物品Qを投入する。ロボットアーム3は、ロボットハンド2を移動させる。力センサ1は、ロボットハンド2とロボットアーム3との間に設けられ、移動時の物品Qに作用する力を測定する。加速度センサ4は、移動時の物品Qに作用する加速度を測定する。コントローラ40は、パレット211からの物品Qの移動中に物品Qに作用する力および加速度に基づいて物品Qの質量を算出するとともに、質量算出後の物品Qが投入されるホッパを決定する。さらに、コントローラ40は、ホッパの位置とそこに投入された物品Qの質量とを記憶しておき、合計質量が所定許容範囲内に収まる物品Qの組合せを決定する。この組合せ計量装置では、ホッパに質量測定機能を持たせる必要がないので、低コストである。また、この組合せ計量装置では物品Qを移動させながら物品Qの質量を計測して、空になったホッパに物品Qを直接投入できるため、時間的なロスが少ない。さらに、質量測定の結果からホッパへの投入可否を判定することができるので、組合せに不利な質量の物品が入ったホッパを作らない。
【0062】
(5−2)
複数のホッパが第1ホッパ群221と第2ホッパ群222とに分けられているので、コントローラ40は、ホッパ群毎に物品Qの組合せを行うことができる。ホッパに物品Qを投入する前に質量測定が完了するため、投入前にホッパ群毎に組合せ計算を行うことによって、コントローラ40は、最も精度の高い組合せ質量を達成したホッパ群に物品Qを投入することができる。
【0063】
(6)変形例
(6−1)第1変形例
第1実施形態では、複数のホッパが第1ホッパ群221と第2ホッパ群222とに分けられ、ホッパに物品Qを投入前にホッパ群毎に組合せ計算を行うことによって、コントローラ40は、最も精度の高い組合せ質量を達成したホッパ群に物品Qを投入するように制御しているが、これに限定されるものではない。
【0064】
例えば、サイズの小さいもの(軽いもの)だけで所定許容範囲内の組合せ質量を実現する第1ホッパ群221と、サイズの大きいもの(重いもの)だけで所定許容範囲内の組合せ質量を実現する第2ホッパ群222とに仕分けることもできる。具体的には、パレット211に大きいサイズの農産物と小さいサイズの農産物が混ざって供給される場合、第1ホッパ群221で大きいサイズの農産物の組合せを行い、第2ホッパ群222で小さいサイズの農産物の組合せを行うことができる。
【0065】
(6−2)第2変形例
第1実施形態ではホッパに排出機構が設けられているが、全ホッパの排出機構を廃止して、ロボットハンド2とロボットアーム3とにより、組合せに参加したホッパ内の物品Qを排出することも可能である。
【0066】
<第2実施形態>
(1)組合せ計量装置の構成と動作
図9は、第2実施形態に係る組合せ計量装置が配置された工程の平面図である。図9において、工程FAL2には、第1パレット311、第2パレット312、ホッパ群321、組合せ計量装置の第1本体110、及び第2本体120が据え付けられている。
【0067】
第1パレット311は、質量が未だ測定されていない多量の物品Qが置かれた物品供給部である。第2パレット312は、組合せ品が荷積みされるところである。ホッパ群321は、物品を収容する36個のホッパA1〜A6,B1〜B6,C1〜C6,D1〜D6,E1〜E6,F1〜F6から成る。ホッパ群321の各ホッパには、排出機構が設けられていない。
【0068】
第1パレット311と第2パレット312とは、ホッパ群321を挟むようにホッパ群321の両側に配置されている。また、組合せ計量装置の第1本体110が、第1パレット311とホッパ群321との間に配置されている。さらに、組合せ計量装置の第2本体120が、第2パレット312とホッパ群321との間に配置されている。
【0069】
なお、第1本体110及び第2本体120の構成は第1実施形態の本体100と同じであるが、ロボットハンドおよびロボットアームの符号のみ異ならせている。したがって、第1本体110は、第1ロボットハンド12および第1ロボットアーム13だけでなく、第1ロボットハンド12および第1ロボットアーム13の間に設けられ移動時の物品Qに作用する力を測定する力センサと、移動時の物品Qに作用する加速度を測定する加速度センサとを含んでいる。同様に、第2本体120は、第2保持機構としての第2ロボットハンド22および第2移動機構としての第2ロボットアーム23だけでなく、第2ロボットハンド22および第2ロボットアーム23の間に設けられ移動時の物品Qに作用する力を測定する力センサと、移動時の物品Qに作用する加速度を測定する加速度センサとを含んでいる。
【0070】
コントローラ40は、第1パレット311に積載された物品Qを第1ロボットハンド12に保持させて持ち上げさせる。さらに、コントローラ40は、第1ロボットアーム13の動作を制御して、物品Qに所定の適用加速度が作用するように移動させ、ホッパ群321に物品Qを運ばせる。
【0071】
コントローラ40は、物品Qを移動させている間に、物品Qに作用する力と加速度を検出し、その力を除算器41により加速度で除算する処理を行い、その除算結果を用いて質量を算出する。
【0072】
さらに、コントローラ40は、質量算出済みの物品Qをホッパ群321のホッパのうちの空のホッパにその物品Qを投入する。その際、記憶部49は、投入された物品Qの質量と投入先のホッパ位置を記憶する。
【0073】
上記のような動作によって、ホッパ群321の各ホッパに物品Qを投入していく。また、コントローラ40は、オーバースケール、オーバーウエイトと判断したときは、第1ロボットハンド12が物品Qを掴み替えるように制御する。
【0074】
また、コントローラ40は、ホッパ群321で得られるn個の測定値(物品Qの質量)を組み合わせて、合計質量が許容範囲内に収める組合せを選択する。つまり、ホッパに投入された物品Qの質量に基づいて、合計質量が目標値に最も近いか或いは等しい組合せが選択される。
【0075】
コントローラ40は、組合せに参加したホッパ内の物品Qを排出するため、第2本体120を制御し、組合せに参加したホッパ内の物品Qを第2ロボットハンド22に掴ませ、第2ロボットアーム23を駆動して第2パレット312へ運ぶ。なお、第2パレット312には多数の仕切られた区画があり、空いた区画に1つの組合せ分が運ばれる。
【0076】
また、第2本体120の第2ロボットハンド22及び第2ロボットアーム23によって質量測定ができ、排出直前の質量チェックと排出後の質量チェックを行うことにより、排出が確実に行われたことを確認することができる。
【0077】
上記のように36個のデータから4個を選択する組合せは、コスト上昇はほとんどなく、組合せ数は、第1実施形態のような10個のデータから4個を選ぶものと比べて圧倒的に多く、その分、精度が向上する。
【0078】
また、ホッパは排出機構など必要とせず、単なる枡状容器で代用できるのでホッパの配置の自由度が広がり、スペース効率が向上する。
【0079】
さらに、第1ロボットハンド12及び第2ロボットハンド22が届く範囲でホッパ数量を増設することが可能である。
【0080】
(2)特徴
(2−1)
組合せ計量装置では、コントローラ40がパレット211からの物品Qの移動中に物品Qに作用する力および加速度に基づいて物品Qの質量を算出するとともに、質量算出後の物品Qが投入されるホッパを決定する。さらに、コントローラ40は、ホッパの位置とそこに投入された物品Qの質量とを記憶しておき、合計質量が所定許容範囲内に収まる物品Qの組合せを決定する。組合せに参加したホッパ内の物品Qは、第2ロボットハンド22と第2ロボットアーム23とによってホッパから排出される。この組合せ計量装置では、ホッパに質量測定機能を持たせる必要がないので、低コストである。また、この組合せ計量装置では物品Qを移動させながら物品Qの質量を計測して、空になったホッパに物品Qを直接投入できるため、時間的なロスが少ない。さらに、質量測定の結果からホッパへの投入可否を判定することができるので、組合せに不利な質量の物品が入ったホッパを作らない。
【0081】
(2−2)
この組合せ計量装置では、第2ロボットハンド22及び第2ロボットアーム23がホッパから物品Qを取り出してくれるので、ホッパは単純な形状(例えば、枡形)で十分機能する。さらに、第1ロボットハンド12及び第2ロボットハンド22が届く範囲に多数のホッパを配置することができるので、ホッパの配置の自由度が広がり、スペース効率が高まる。
【0082】
(2−3)
第2本体120は、第2ロボットハンド22と第2ロボットアーム23との間に設けられ、移動時の物品Qに作用する力を測定する第2力センサと、移動時の物品Qに作用する加速度を測定する第2加速度センサとを含んでいるので、第2ロボットハンド22及び第2ロボットアーム23によって質量測定ができ、排出直前の質量チェックと排出後の質量チェックを行うことにより、排出が確実に行われたことを確認することができる。
【0083】
(3)変形例
図10は、第2実施形態の変形例に係る組合せ計量装置が配置された工程の平面図である。図10において、第2実施形態(図9参照)と異なるのは、第2パレット312が質量ランク別に3つのパレット312a,312b,312cに分かれた点である。その他の構成は、第2実施形態と同様である。
【0084】
コントローラ40は、物品Qをその質量に応じてランク付けし、ランク毎に物品の組合せを行うことができる。例えば、サイズの小さい(軽い)ランクだけで所定許容範囲内の目標質量を実現した組合せを第1ランクとしてパレット312aに振り分け、普通サイズのランクだけで所定許容範囲内の目標質量を実現した組合せを第2ランクとしてパレット312bに振り分け、サイズの大きい(重い)ランクだけで所定許容範囲内の目標質量を実現した組合せを第3ランクとしてパレット312cに振り分けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、組合せ計量装置の本体が物品の質量測定、物品の投入および排出を行うことができるので、産業用ロボットにも有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 力センサ(力測定部)
2 ロボットハンド(保持機構)
3 ロボットアーム(移動機構)
4 加速度センサ(加速度測定部)
40 コントローラ(制御部)
100 組合せ計量装置の本体
Q 物品
211,311 パレット (物品供給部)
A1〜A10,B1〜B10 ホッパ (物品収容部)
C1〜C6,D1〜D6,E1〜E6,F1〜F6 ホッパ (物品収容部)
22 第2ロボットハンド (第2保持機構)
23 第2ロボットアーム (第2移動機構)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開昭63−30725号公報
【特許文献2】特開2008−292194号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10