特許第5894497号(P5894497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894497
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】ハイドロゲルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/075 20060101AFI20160317BHJP
   B01J 13/00 20060101ALI20160317BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20160317BHJP
   B01F 15/04 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   C08J3/075CEY
   B01J13/00 E
   B01F3/08 Z
   B01F15/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-108350(P2012-108350)
(22)【出願日】2012年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-234280(P2013-234280A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100115613
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寧司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴彦
【審査官】 久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04209605(US,A)
【文献】 特開2007−119552(JP,A)
【文献】 特表2008−508382(JP,A)
【文献】 特開2007−038443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28、99/00
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
B01F 3/08
B01F 15/04
B01J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原料液を混合して得られるハイドロゲルの製造方法において、 複数の原料液が所定の重量比になるように原料液ごとにモーノポンプまたはギアポンプを通じて計量して、この複数の原料液をその原料液ごとに加圧せずにロータリースタティックミキサーに注入し、このロータリースタテックミキサー中に内蔵する10〜20個の羽根を100〜5000回転/分で回転させて原料液を混合し、ロータリースタティックミキサーに設けた直径が10mm以下の吐出口より粘度が5000〜50000cpsの混合液を吐出してゲル化させることを特徴とするハイドロゲルの製造方法。
【請求項2】
前記ロータリースタティックミキサーに、複数の原料液を4〜20℃の低温で外気に触れずに注入し、このロータリースタティックミキサーから吐出した後、25〜60℃に加温してゲル化を促進する請求項1記載のハイドロゲルの製造方法。
【請求項3】
前記混合液を所定の形状にゲル化する成形型であるとともに、ゲル化して得られたハイドロゲルの収容容器であるトレーに、前記ロータリースタティックミキサーから吐出する請求項1または請求項2記載のハイドロゲルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パック用化粧品等の外用剤や導電部材、蓄冷剤、冷却材、固定材、衝撃吸収材等として用いることができるハイドロゲルの製造方法に関し、特に2液混合型のハイドロゲルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2液混合型のハイドロゲルは、ゲル化した後の状態で所望のトレーに充填したり、所望の形状に成形したりすることは困難なためゲル化前に充填や成形が行われる。しかしながら、2液混合型のハイドロゲルは2液の混合開始から直ぐにゲル化が始まり、時間の経過とともに混合液の粘度が上昇する。そのため、取扱い性の観点から原料液を混合後、直ぐに充填、成形することが求められている。ハイドロゲルの製造方法としては例えば特開2001−213725号公報(特許文献1)に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−213725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
即ち、ハイドロゲルとなる原料液を混合すればアプリケーターなどで塗工するまでにもゲル化は進行するため、大量の原料液を一度に混合しておき少しずつ成形することが困難である。また、少量の原料液を混合する場合は頻繁に混合槽を洗浄し原料液を交換する必要がありその手間がかかっていた。さらに、バッチ毎に混合の程度や粘度にバラツキが生じ易く、均一に安定したハイドロゲルを得ることが困難であった。さらに、トレー内で混合すると均一性に欠けるため好ましいものではなかった。
また曳糸性の高いものは吐出後に液だれや糸曳が発生すると定量性が失われるおそれがあり、吐出口周辺が汚れ清掃が必要になったり、外観上も悪くなったりすることがあった。
そこで本発明は、より効率的に安定してハイドロゲルを得るための製造方法を得ることを目的として検討されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、複数の原料液を混合して得られるハイドロゲルの製造方法について、複数の原料液が所定の重量比になるように原料液ごとにモーノポンプまたはギアポンプを通じて計量してロータリースタティックミキサーに注入し、このロータリースタティックミキサー中に内蔵する羽根を回転させて原料液を混合し、この混合液をロータリースタティックミキサーから吐出してゲル化させることを特徴とするハイドロゲルの製造方法を提供する。
【0006】
モーノポンプまたはギアポンプを通じて原料液を計量するため、高い精度で原料液を計量し混合することができる。また、内蔵した羽根が回転するロータリースタティックミキサーを用いるため、原料液の混合を確実に速く行うことができる。こうしたロータリースタティックミキサーはディスポーザブルであり、使用後やトラブル時に取替えが容易に行えるのでメンテナンスが簡単で生産性を高めることができる。また、羽根が回転しないスタティックミキサーに比べて容積を小さくできるため設備全体が小さくなるだけでなく原材料の殺菌を行い易い。そのため、特に菌混入を嫌う化粧品用のハイドロゲルの製造に好適に用いることができる。そしてまた、羽根の回転によって短時間で、かつ非連続的にハイドロゲルを製造することができる。これに対して羽根が回転しない従来のスタティックミキサーでは、十分に混合しようとすると羽根数が多いものを使用せざるを得なかった。そして、羽根数が多くなれば混合時間も長くなり混合中にゲル化してしまい実質的に非連続的な使用が困難であった。しかしながら、羽根が回転するロータリースタティックミキサーを用いたため、安定して均一なハイドロゲルを製造することができる。
【0007】
羽根数が10〜20であり、回転数が100〜5000回転/分であるロータリースタティックミキサーを用いることができる。ロータリースタティックミキサーの羽根数が10〜20であり、回転数が100〜5000であるものとしたため、ハイドロゲル製造用の原料液を十分に攪拌、混合し、混合むらを生じさせないことが可能である。
また、複数の原料液をモーノポンプまたはギアポンプを通じて4〜20℃の低温で外気に触れずに注入し、このロータリースタティックミキサーから吐出した後、25〜60℃に加温してゲル化を促進することができる。
外気に触れずに原料液を混合するため、エアの混入を防止することができ、見栄えの良いハイドロゲルを製造することができる。
原料液は4〜20℃の低温でロータリースタティックミキサーに注入するため、原料液の混合後のゲル化の進行を抑えることができる。そのため、比較的低粘度で原材料を取り扱うことができる。また、混合時の発熱を抑制するため反応速度を安定させることができる。そして、混合後に25〜60℃に加温するため、混合後のゲル化を促進させることができる。
【0008】
前記複数の原料液をその原料液ごとに加圧せずにロータリースタティックミキサーに注入し、ロータリースタティックミキサーに設けた直径が10mm以下の吐出口より粘度が5000〜50000cpsの前記混合液を吐出することができる。
前記複数の原料液をその原料液ごとに加圧せずにロータリースタティックミキサーに注入するため、計量を正確に行うことができる。また、ロータリースタティックミキサーに注入されてから原料液が混合されるため、混合条件を常に一定にすることができる。そして、ロータリースタティックミキサーに設けた直径が10mm以下の吐出口より粘度が5000〜50000cpsの混合液を吐出するため、液だれを防止して、作業効率を高めることができる。
【0009】
前記混合液を所定の形状にゲル化する成形型であるとともにゲル化して得られたハイドロゲルの収容容器であるトレーに、前記ロータリースタティックミキサーから吐出することができる。
ロータリースタティックミキサーから混合液を吐出するトレーが前記混合液を所定の形状にゲル化する成形型であるとともにゲル化して得られたハイドロゲルの収容容器を兼ねるため、ハイドロゲル成形用のみに用いる成形型の準備が不用であり、製造工程を容易化して製造コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハイドロゲルの製造方法によれば、ハイドロゲル製造用の原料液の混合効率を飛躍的に高めることができ、短時間で非連続的にハイドロゲルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ハイドロゲル製造用装置の模式図である。
図2】分図2(A)はトレーの平面図、分図2(B)は分図2(A)のSA−SA線断面図である。
図3】ロータリースタティックミキサーに内蔵される羽根の模式図である。
図4】パック化粧料の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のハイドロゲルの製造方法について図面を参照しつつ説明する。なお、変更例を示す場合には変更箇所を説明するものとし、共通する構成、材質、製造方法、作用効果等については重複説明を省略する。
【0013】
ロータリースタティックミキサーを用いてハイドロゲルを製造するための製造設備の一例を図1の模式図で示す。11はロータリースタティックミキサー、12(12aおよび12b)は原料液貯蔵槽、13(13aおよび13b)はモーノポンプ、14はロータリースタティックミキサー11内部の羽根16を回転させるモータ、17は電磁弁、18は吐出口、15はトレーである。
【0014】
2液混合型ハイドロゲルの原料液は、A液を貯蔵槽12aへ、B液を貯蔵槽12bへとそれぞれ別の貯蔵槽に入れておく。A液とB液の詳細は後述する。貯蔵槽12a,12bの温度は4℃〜40℃とすることが好ましく、特に4℃〜20℃とすることがより好ましい。また、B型粘度計による原料液粘度は5000〜50000cpsとすることが好ましい。この程度の粘度とすればモーノポンプ13による送り出しが可能で、ロータリースタティックミキサー11で好適に分散混合を行うことができるからである。そして原料液の性状も安定しているからである。一方、液粘度が50000cpsを超えると混合に時間がかかり、そしてまた混合の際の摩擦が大きくなることから発熱してゲル化速度が制御し難くなる。また、5000cpsより低いと液だれし易くなる。
【0015】
この原料液の計量および送り出しはモーノポンプ13a,13bで行う。モーノポンプによれば、原料液の脈動が少なく、±2%以内の精度で計量を行うことができるからである。またトレー15に吐出後も拡散しやすく気泡を混入し難い。モーノポンプ以外の送出手段としてはギアポンプを用いることもできる。電磁弁17は、モーノポンプからの圧力を縁切りすることにより送り量を精密に制御し、またロータリースタティックミキサー11に原料液を投入する際に圧力がかからないようにしている。
【0016】
ロータリースタティックミキサー11は、その長手方向が上下方向に向くように設置し、電磁弁17を通った後の原料液は混合することなく、かつ特に加圧することなくロータリースタティックミキサー11内に滴下することが好ましい。ロータリースタティックミキサー11内で羽根16が回転するときのみ混合、吐出されるため、回転の停止時に残圧による液だれが発生し難く、さらにφ10以下の吐出口18から吐出させることで液だれを抑制することができる。
【0017】
モーノポンプ13a,13bから電磁弁17を通りロータリースタティックミキサー11に送り出した原料液は、ロータリースタティックミキサー11を通過する過程で、その内部に設けられた羽根16で効果的に攪拌混合される。
図3で示すように、羽根16の形状はスパイラル状である。即ち、平板の一方端を右側に180°回転させた形状で1個の羽根16aを形成し、また平板の一方端を左側に180°回転させた形状で別の1個の羽根16bを形成する。そして、先の羽根16aに対して90°回転させた位置で後の羽根16bを結合したものを複数個連ねて1つの羽根16を構成している。この1つの羽根16の長さは、羽根16aと羽根16bの合計数で10〜20とすることが好ましい。この羽根の数が10未満であると混合不良が起こりやすく、20を超えると大型化してしまいメンテナンスも煩雑になる。また、羽根16aと羽根16bは同数とし、全体として偶数個の羽根16a,16bを有することが好ましい。羽根16の回転が吐出量に影響を与えずにモーノポンプ13で制御した一定の吐出量でロータリースタティックミキサー11内を原料液が通過する必要があるからである。なお、図3は羽根16a,16bを10個設けた例を示す。
羽根16の回転数はモータ14によって制御し、100〜5000回転/分の回転数とすることができる。回転数が100回転/分未満であると、混合不良が起こりやすくなり、羽根16を回転させるメリットが得られなくなる。また、5000回転/分を超えると原料高分子の分子鎖が剪断されて物性が変化するおそれがある。
【0018】
ゲル化の反応速度は、原料液の液温を変化させることで調整を行うことができる。低温ではゲル化が遅くなり、流動性を喪失するまでの時間(ポットライフ)を伸ばすことができる。また高温ではゲル化が速くなり、硬化を速めることができる。このため、4℃〜20℃の低温で原料液の混合を行えば、流動性が比較的高い状態で原料混合液をトレー15に注入することができ、原料混合液をトレー15内に容易に拡散させることができる。また曳糸性を抑制できる。この後、赤外線ヒータなどを用いて液温25℃〜60℃まで上昇させるとゲル化が速やかに進行する。
【0019】
ハイドロゲルは、架橋前の親水性高分子と架橋性物質から形成された網目構造に水を含んで構成される。そのため、ロータリースタティックミキサー11に注入する前の原料液としては、架橋前の親水性高分子や架橋性物質を含むが、好ましくは、pH調整剤や、湿潤剤、薬効成分等をさらに含ませても良い。
例えばA液を架橋前の親水性高分子と、これと架橋反応を引き起こす架橋性物質を含有する原料液とし、B液を有機酸や無機酸などの水溶液である酸触媒とすることができる。したがって、A液にポリアクリル酸Naとメタケイ酸アルミン酸Mgを含み、B液に酸触媒としての酒石酸を含ませることは好ましい態様の1つであるが、こうしたハイドロゲルを形成する原材料については以下に詳しく説明する。
【0020】
親水性高分子としては、網目構造を有し、少なくとも水を含んでハイドロゲルを形成することができさえすれば特に限定されないがアニオン性官能基を有する親水性高分子が好ましく用いられる。そのような親水性高分子の例としては、カルボキシル基を官能基として有するアクリル酸、メタクリル酸等の重合性不飽和単量体の重合物及び、それらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)、スルホン酸基を官能基として有するt−ブチルアクリルアミドスルホン酸等の重合性不飽和単量体の重合物及び、それらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。
【0021】
架橋性物質としては、例えば、水酸化アルミニウム、カリミョウバン、硫酸アルミニウム、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、塩化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
また、架橋性物質の作用に最適なpHに調整し、架橋をより確実にする目的で、酒石酸、乳酸、クエン酸、グリコール酸、塩酸等の各種有機酸や無機酸をpH調整剤として使用してもよい。具体的には、酒石酸、乳酸、グリコール酸等が特に好ましい。
なお、架橋前の親水性高分子は、ハイドロゲルの製造を妨げない限りは、部分的に架橋していてもよい。また、製造時の取扱い性を考慮すると、重量平均分子量が10万〜500万の範囲の架橋前の親水性高分子を使用することが好ましい。
【0022】
湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マルビトール、キシリトール、マンニトール、ヒアルロン酸及びその塩、トレハロースやラフィノース等の各種誘導体、トリメチルグリシン、サイクロデキストリン等のグリコール類、多価アルコール類及び多糖類等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
【0023】
ハイドロゲル中に混合することができる薬効成分としては、従来、医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等で使用されているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オオムギエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クマザサエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、スイカズラエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、ゼニアオイエキス、センブリエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユズエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0024】
また、デオキシリボ核酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子;アミノ酸、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシン等の保湿成分;スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質等の油性成分;ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤;ビタミンA,B2,B6,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド等のビタミン類;アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分;トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤;γ−オリザノール、ビタミンE誘導体等の血行促進剤;レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤;セファランチン、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ヒドロコルチゾン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、鎮痛剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗菌性物質等も挙げられる。
【0025】
これらの薬効成分の配合量は、その素材により有効成分量が異なるため一概には規定できないが、一般にハイドロゲルの質量に対して0.001〜50質量%が好ましく、0.05〜30質量%がより好ましい。
【0026】
以上のように、混合によってゲル化を開始する原料液を予め分けて準備し、それらの原料液の混合割合に従ってモーノポンプ13やギアポンプの吐出量を定め電磁弁17を通し直接ロータリースタティックミキサー11に注入する。ロータリースタティックミキサー11で十分に攪拌された原料液はトレー15に吐出する。
【0027】
トレー15は、例えば図2で示すような原料混合液を貯留する凹部を15a有しており、非晶性PETなどの定形性のある樹脂からなる樹脂成形体である。
このトレー15は、ハイドロゲルを収容する収容容器であると同時に所定の形状にハイドロゲルを成形するための型の役割も有している。そのため、ロータリースタティックミキサーからトレーに吐出した原料混合液は、トレー15内でゲル化させてトレー15ごとさらに樹脂フィルム等で包装して化粧料パック等の製品とすることができる。
【0028】
以上説明した実施形態は本発明の一例であってその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば図1では、2つの貯蔵槽12a,12bを設け、2種類の原料液を混合させてハイドロゲルを得ているが、2種類に限らずに3種類以上の貯蔵槽を設けることができる。2種類の薬効成分を含ませるような場合には、A液とB液の組合せを2組準備しておいて、1組は1種類の薬効成分を含むゲル原料液、別の1組は別の1種類の薬効成分を含むゲル原料液とすれば4つの貯蔵槽を用いることもある。
別の変更例として、ロータリースタティックミキサー11の羽根16の形状も回転させることで吐出量に影響を及ぼさない別の形態とすることができる。
【0029】
さらにまた、図4で示すパック化粧料21のように、複数のロータリースタティックミキサーを用いて、それぞれのロータリースタティックミキサーから別の成分を含む原料混合液を吐出すれば、パックする部位ごとに適した成分を有するパック化粧料21を得ることができる。このパック化粧料21では、目尻に対応する部位22には薬効成分として保湿成分を含むゲル原料液を1つのロータリースタティックミキサーから吐出させ、頬に対応する部位23には薬効成分としてほてり対応成分を含むゲル原料液を別のロータリースタティックミキサーから吐出させ、それ以外の部位24にはこうした薬効成分を含まないゲル原料液をさらに別のロータリースタティックミキサーから吐出させることにより、これらのゲル原料液をゲル化したハイドロゲルからなるパック化粧料21を得ることができる。
【実施例】
【0030】
次に、実験例を用いて本発明をさらに説明する。
ハイドロゲルの原材料
ハイドロゲル製造に必要な以下に示す原料液、トレー、および生体用電極被覆パッドに用いる成形体を準備した。
【0031】
(ポリマー液A)
親水性高分子として分子量200万のポリアクリル酸ナトリウムを4重量部と、架橋剤としてメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを1重量部と、潤滑剤としてのジプロピレングリコールを10重量部と、濃グリセリンを5重量部と、ポリエチレングリコール1000を3重量部と、防腐剤としてのメチルパラベンを0.1重量部と、薬効成分としてのヒアルロン酸Naを0.01重量部と、水を61.89重量部とを混合攪拌した原料液を作製した。
【0032】
(ポリマー液B)
親水性高分子として分子量200万のポリアクリル酸ナトリウムを4重量部と、架橋剤としてメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを1重量部と、潤滑剤としてのジプロピレングリコールを10重量部と、濃グリセリンを5重量部と、ポリエチレングリコール1000を3重量部と、防腐剤としてのメチルパラベンを0.1重量部と、冷涼感成分としてL−メントールを0.1重量部と、水を61.8重量部とを混合攪拌した原料液を作製した。
【0033】
(ポリマー液C)
ポリマー液Aと比較して濃グリセリン5重量部を含まず、薬効成分としてヒアルロン酸Na0.01重量部に代えてローヤルゼリーエキス0.1重量部を加え、水を66.8重量部混合した以外はポリマー液Aと同様にしてポリマー液Cを作製した。
【0034】
(酸液)
酒石酸を2重量部と水を13重量部とを加え、酸液を作製した。
(トレー)
厚みが0.3mmの非晶性PETを真空成形し、内寸が短径25mm×長径56mmの楕円形の凹部が2箇所ある厚みが2mmのトレーを作製した。
【0035】
(生体用電極被覆パッドに用いる成形体)
内寸が34mm×38mm、厚みが2mmの蓋の無い直方体状容器をPETで成形した。また、幅34mm×長さ38mm(断面積12.92cm)、厚み0.7mmの板状体に、厚み方向に貫通した貫通孔の開口部の形状が1辺10mmの正三角形で、その貫通孔を3×4列(開口部面積0.43cm、合計開口部面積5.19 cm、開口率40%)設けた板状のパッド本体をポリプロピレン樹脂で成形した。
そして、パッド本体を直方体状容器の深さ中央付近まで押し込んで生体用電極被覆パッドに用いる成形体を作製した。
【0036】
ハイドロゲルの製造
次の例1〜例9で示す各ハイドロゲルを製造した。
<例1> 貯蔵槽(12a)にポリマー液Aを入れ、貯蔵槽(12b)に酸液を入れた。ポリマー液Aの85重量部に対し酸液の15重量部を混合するようにモーノポンプ(13a,13b)の吐出設定を行ってロータリースタティックミキサー(11)(内径10mm、長さ155mm、羽根数12;セレクトイクイップメントアンドエンジニアリングインク社製ディスポーザブルロータリースタティックミキサー)に注入した。
ロータリースタティックミキサー(11)の羽根(16)の回転速度を3000回転/分、15℃で攪拌、混合し、吐出量を1.0g/秒(吐出時間2秒)として前記トレー(15)の凹部(15a)に各2.0gの原料混合液を吐出した。15分後にはトレー(15)を傾けてもハイドロゲルが変形しなくなったため、アルミニウムラミ袋で密封して24時間の間30℃で放置した。出来上がったハイドロゲルは無色透明であり、その外観から混合状態は良好であった。
【0037】
<例2> ロータリースタティックミキサー(11)の吐出量を3.0g/秒(吐出時間0.67秒)に代えトレー(15)の凹部(15a)1か所に2.0gの原料混合液を吐出した以外は例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。出来上がったハイドロゲルは無色透明であり、その外観から混合状態は良好であった。
【0038】
<例3> ロータリースタティックミキサーの羽根を回転させずに、それ以外は例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。ロータリースタティックミキサーからは原料混合液が所望量吐出しトレー内を満たすことはできたが、2液が分離していることが外観的に観察され、混合が不十分であった。
【0039】
<例4> ロータリースタティックミキサーを、内径13mm、長さ197mm、羽根数12のロータリースタティックミキサーに変更し、羽根を回転させないこと以外は例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。ロータリースタティックミキサーからは混合液が所望量吐出しトレー内を満たすことはできたが、2液が分離していることが外観的に観察され、混合が不十分であった。
【0040】
<例5> 貯蔵槽(12a)にポリマー液Aに代えてポリマー液Bを入れた以外は例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。得られたハイドロゲルは無色透明であり、その外観から混合状態は良好であった。
【0041】
<例6> 貯蔵槽(12a)にポリマー液Aに代えてポリマー液Bを入れた以外は例2と同様にしてハイドロゲルを製造した。得られたハイドロゲルは無色透明であり、その外観から混合状態は良好であった。
【0042】
<例7> 貯蔵槽(12a)にポリマー液Aに代えてポリマー液Bを入れた以外は例3と同様にしてハイドロゲルを製造した。ロータリースタティックミキサーからは混合液が所望量吐出しトレー内を満たすことはできたが、2液が分離していることが外観的に観察され、混合が不十分であった。
【0043】
<例8> 貯蔵槽(12a)にポリマー液Aに代えてポリマー液Bを入れた以外は例4と同様にしてハイドロゲルを製造した。ロータリースタティックミキサーからは混合液が所望量吐出しトレー内を満たすことはできたが、2液が分離していることが外観的に観察され、混合が不十分であった。
【0044】
<例9> 貯蔵槽(12a)にポリマー液Aに代えてポリマー液Cを入れた以外は例1と同様にして原料液をロータリースタティックミキサーで混合して混合液を得た。その混合液は、生体用電極被覆パッドに用いる成形体に、その深さいっぱいまで吐出した。それからこの直方体状容器の開口にラップをかけ、そのまま24時間30℃で静置し混合液を固化した。得られたハイドロゲルは無色透明であり、その外観から混合状態は良好であった。また、ハイドロゲルがパッド本体に固着した生体用電極被覆パッドを得た。
【0045】
例1〜例8からロータリースタティックミキサー(11)の羽根(16)を回転させないときは、ロータリースタティックミキサー自体の長さを長くして羽根数を多くしても原料液を十分に混合することはできなかった。一方、ロータリースタティックミキサー(11)の羽根(16)を回転させた場合には、十分に混合することができた。
また、例9のように生体用電極被覆パッドなど、樹脂成形体と一体化したハイドロゲルの製造にロータリースタティックミキサーを好適に利用することができた。
【符号の説明】
【0046】
11 ロータリースタティックミキサー
12 貯蔵槽
12a,12b 貯蔵槽
13 ポンプ
13a,13b モーノポンプ
14 モータ
15 トレー
15a 凹部
16 羽根
16a,16b 羽根
17 電磁弁
17a,17b 電磁弁
18 吐出口
21 パック化粧料
22 目尻に対応する部位
23 頬に対応する部位
24 それ以外の部位
図1
図2
図3
図4