(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記把持部材は、前記端部が前記嵌合孔から抜けた状態であって、前記バネ部材の付勢力に反して前記頂面の外側に向けて移動した際に、前記頂面の外側近傍に露出する解除ロック孔と、前記端部が前記嵌合孔に嵌合した状態であって、前記バネ部材の付勢力によって前記頂面の内側に向けて移動した際に、前記頂面の外側近傍に露出する装着ロック孔と、を有し、前記解除ロック孔及び前記装着ロック孔のいずれかにピン部材を挿入して前記把持部材を固定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の畦塗り機。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る整畦体の好ましい実施の形態について、説明する。
ここにおいて、先ず、
図1(部分平面図)及び
図2(側面図)を参照しながら、走行機体に牽引される畦塗り機の全体的な概要を説明し、説明の参考として、畦塗り機の斜視図(
図3)も参照する。
【0022】
畦塗り機1は、
図1及び
図2に示すように、走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構91に連結されて、走行機体90の前進及び後進に応じて畦塗り作業を行うものである。この畦塗り機1は、走行機体90に装着されて走行機体90からの動力が入力される入力軸8aを備えた装着部5と、装着部5に設けられ進行方向に対して左右方向に回動可能に支持されたオフセット機構部10と、オフセット機構部10の先端側に旋回自在に配設されて入力軸8aから伝達される動力によって作業を行なう作業部60を有して構成される。
【0023】
装着部5は、機体幅方向に延びるヒッチフレーム6と、ヒッチフレーム6の前方に設けられて走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構91に連結される連結フレーム7を有して構成される。ヒッチフレーム6の幅方向の中央下部にはギアボックス8が設けられ、このギアボックス8には前述した入力軸8aが設けられている。
【0024】
オフセット機構部10は、その基端側をヒッチフレーム6に回動自在に連結されて後方側へ延びるオフセットフレーム11と、オフセットフレーム11の幅方向一方側に沿って並設されて基端側がヒッチフレーム6の一方側端に回動自在に連結されたリンク部材13と、オフセットフレーム11の先端側とリンク部材13の先端側との間に回動自在に連結された回動支持アーム15とを有して構成される。
【0025】
オフセットフレーム11は、内部が中空状に形成された箱状部材であり、オフセットフレーム11の先端側とヒッチフレーム6の一方側端部との間に接続された揺動シリンダ17の伸縮により、オフセットフレーム11は進行方向に対して左右方向に揺動可能である。また、オフセットフレーム11の上部には動力伝達機構(図示省略)が設けられ、この動力伝達機構によって、走行機体90から入力軸8aに伝達された動力がオフセットフレーム11の先端側に回転自在に配設された従動軸12に伝達可能に構成されている。
【0026】
リンク部材13の先端部は、オフセットフレーム11の先端部に回動自在に設けられた回動支持アーム15の一方側端に回動自在に取り付けられている。
ここで、
図3(a)を参照しながら詳細に説明すると、回動支持アーム15は、進行方向に対して左右方向に延びる平行リンクフレーム部15aと、平行リンクフレーム部15aの基端側端部分から装着部5側へ延びるリンクアーム部15bとを有してなり、リンクアーム部15bの基端側がオフセットフレーム11の先端側下部に回動自在に取り付けられている。
このように構成されたオフセット機構部10は、
図1に示す通り、オフセットフレーム11、リンク部材13、ヒッチフレーム6及び回動支持アーム15によって平行リンク機構を形成している。
【0027】
なお、揺動シリンダ17は、電動式油圧シリンダであり、図示しない制御装置からの制御信号に応じて伸縮するようになっている。
【0028】
また、
図4(部分拡大模式側面図)に示すように、オフセットフレーム11の先端部に設けられた従動軸12の下部には、動力伝達軸14が従動軸12と同軸上に配置されて下方へ連結されて、動力伝達軸14は従動軸12の回転に伴って回転する。またオフセットフレーム11の先端下部には、動力伝達軸14と同軸上に配置された円筒状の連結部18がオフセットフレーム11に対して回動自在に取り付けられている。この連結部18は動力伝達軸14と非結合状態にあり、動力伝達軸14を回動中心として回動自在である。この連結部18の下部に作業部60の一部である伝動支持ケース61の基端部が接続され、連結部18の上部に作業部60の一部である伝動支持フレーム65が接続されている。このため、作業部60はオフセット機構部10に設けられた動力伝達軸14の中心軸線を回動支点Oとして回動可能である。
【0029】
なお、本実施形態においては、畦塗り機の構成のうち、回動支点Oを回動の中心軸として回動することが可能な部位であって、伝動支持ケース61及び伝動支持フレーム65を含み、その先端部側に配設される天場処理部62、前処理部64、整畦体66の構成を、作業部60として定義し、説明する。
【0030】
伝動支持ケース61には、
図1、
図3(a)、
図3(b)に示すように、その先端側には、圃場の周辺に沿って形成された旧畦の上部を切り崩す天場処理部62と、切り崩した土の土盛りを行なう前処理部64が配設され、伝動支持ケース61の基端側には盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦体66が配設されている。伝動支持ケース61内には不図示の動力伝達機構が内蔵され、この動力伝達機構は、従動軸12からの動力を受けて天場処理部62、前処理部64、整畦体66に動力伝達可能に構成されている。
【0031】
天場処理部62は、回転自在な天場処理ロータ62a(
図3(b)参照)を備える。天場処理ロータ62aは天場動力伝達ケース63を介して上下方向に回動可能に伝動支持ケース61に連結された前処理部64の先端部に連結されるとともに、伝動支持フレーム65を介して支持されている。天場動力伝達ケース63内には図示しない動力伝達機構が内蔵され、この動力伝達機構を介して伝動支持ケース61の動力伝達機構に伝達された動力が天場処理ロータ62aに伝達されるようになっている。
【0032】
前処理部64は、回転自在な耕耘爪64a(
図2参照)を備える。耕耘爪64aは伝動支持ケース61内の動力伝達機構を介して動力が伝達され、前処理部64は伝動支持ケース61に連結され伝動支持フレーム65を介して支持されている。
【0033】
整畦体66は、伝動支持ケース61に回転自在に支持された略円錐形状の法面整畦部20と、法面整畦部20の頂部に取り付けられて畦方向に延びる上面整畦部40とを有してなる。整畦体66は伝動支持ケース61内の動力伝達機構を介して回転動力が伝達されるように構成され、伝動支持ケース61に支持されている。このため、作業部60は連結部18を介してオフセット機構部10の先端側に設けられた動力伝達軸14(
図4参照)の中心軸線を回動支点Oとして旋回可能である。
【0034】
次に、法面整畦部20及び法面整畦部20を構成する法面羽根板21について、
図5を参照しながら説明する。
法面整畦部20は、
図5に示す通り、扇形をした複数枚の法面羽根板21を半径方向の直線部分で互いに連結することにより全体として略円錐形状に形成されており、中心位置である頂部には、複数枚の法面羽根板21を連結する際の位置決めの基準となる固定部24が配置されている。
【0035】
また、各々の法面羽根板21は、法面整畦部20の回転方向(図中矢印V)の下流側に向けて張り出す張出部22と、回転方向の上流側に向けて延びる重なり部23とを有している。
そして、周方向に隣接する複数枚の法面羽根板は、互いの境界部分において上下間隔を置き、法面整畦部20における回転方向の下流側に位置する下流側法面羽根板21bの重なり部23を、上流側に位置する上流側法面羽根板21aの張出部22の背面側に連結されている。
【0036】
具体的に説明すると、互いに隣接する上流側法面羽根板21a及び下流側法面羽根板21bは、上流側法面羽根板21aと下流側法面羽根板21bとの間に固定部24の保持部24aを挟み込むことで支持され、この上流側法面羽根板21a及び下流側法面羽根板21bの間に上下間隔が形成された状態で、互いに溶接等により接合されている。
【0037】
このように、上下間隔を設けておくことで、法面整畦部20が図中矢印Vに向けて回転して、整畦が行われる際には、各法面羽根板21の表面と畦の法面との間の距離は、この回転方向の上流側から下流側へかけて次第に小さくなるため、各法面羽根板21による畦の法面を押圧する力が上流側から下流側へかけて次第に大きくなり、効果的に土表面を締め固めることが可能となっている。
【0038】
なお、固定部24には、後述するドラムスペーサ26等を固定するため、ボルト等を貫通可能とする孔24cが設けられている。
【0039】
次に、取付基板30及び上面整畦部40の詳細な構成について、
図6(a)、(b)及び
図7(a)、(b)を参照しながら説明する。
ここにおいて、
図6(a)及び
図7(a)は、それぞれ取付基板30及び上面整畦部40の構成について、説明の便宜上、主要な構成を理解し易く示した断面構成を示すものである。
【0040】
そして、
図6(b)及び
図7(b)は、
図6(a)及び
図7(a)に示す各々の構成について、取付基板30の頂壁面31(上面整畦部40の頂面41)から法面整畦部20の方向を見た実際の外観を示している。
なお、
図6(a)は
図6(b)におけるA−A断面を示し、
図7(a)は
図7(b)におけるB−B断面を示すものである。
【0041】
図6(a)及び(b)に示す通り、本実施形態において、取付基板30は、法面整畦部20を回転させる回転シャフト25の周囲に施されているスプラインに嵌合して固定されている。
そして、取付基板30の頂壁面31には、本発明の特徴事項である切り欠部32及び嵌合孔35が施されており、更に切り欠部32の縁部には、係合縁部38が設けられている。
【0042】
また、法面整畦部20の固定部24は、ドラムスペーサ26及び整畦体66の回転軸を包囲するドラムボス71に挟持されており、複数本のボルト7をドラムスペーサ26の孔24d及び固定部24の孔24cを貫通させるとともに、そのボルト7の先端をドラムボス71のねじ孔24bに螺入することによって、互いに固定されている。
【0043】
ここで、ドラムスペーサ26の外周囲には、周方向に亘って、段付き外周面27が施されており、後述する上面整畦部40の緩衝部材48における端の位置を固定することができる。
【0044】
次に、取付基板30に装着される上面整畦部40について、上面整畦部40の断面構成図等を示す
図7(a)及び(b)を参照しながら説明する。
図7(a)に示す通り、上面整畦部40の側面43の内側面には、取付基板30が上面整畦部40の内側に内挿した際に、取付基板30の側壁面34との間隔を周方向及び軸方向に向けて一定に保つことができる、軸方向に延びるガイド部材45が設けられている。
【0045】
より詳細には、軸方向に延びるガイド部材45を周方向に亘って4カ所配置し、各々のガイド部材45の幅(図中D)を略同一の長さとして構成しており、取付基板30を内挿した際には、取付基板30の側壁面34との距離を周方向及び軸方向に向けて一定に保つことができ、かつ、ガイド部材45の内側に取付基板30をスムーズに内挿させることができる。
【0046】
なお、図示は省略するものの、ユーザが容易に、上面整畦部40を取付基板30に被せることができるように、ガイド部材45における法面整畦部20側の端に、図面向かって左側に向かうに従い開口径が大きくなるように、台形の内挿ガイド片を設けることも、適宜可能である。
【0047】
また、その内挿ガイド片を設けなくとも、ガイド部材45における法面整畦部20側の端について、図面向かって左側に向かうに従い開口径が大きくなるように、テーパ形状の切り込みを施すこととしてもよく、その場合においても、ユーザが容易に、上面整畦部40を取付基板30に被せることができるようになる。
【0048】
さらに、本発明の特徴事項であるコ字状の把持部材44が二カ所の端部44aを法面整畦部20に向けた状態で、頂面41から底面84にかけて貫通させて保持されており、底面84においては、端部44a(二カ所)にバネ部材44bを備え、把持部材44の端部44aは、常に法面整畦部20に向けた方向に向けて付勢されて保持されている。
【0049】
ここで、
図8(a)及び(b)を用いて、把持部材44の端部44a及びバネ部材44bの構成等について、説明する。
詳細な構成として、
図8(a)に示す通り、把持部材44における二カ所の端部44aとともに、バネ部材44bが上面整畦部40の底面84を貫通させて保持されており、バネ部材44bの一端は、底面84の内側において底面84に固定されている内部バネ係止部46aに係止され、他端は、底面84の外側において端部44aに固定されている外部バネ係止部46bに係止されており、両端を保持されている。
【0050】
そして、ユーザが、把持部材44の操作部44c(
図7(a)参照)を頂面41の外側に引き出した際には、端部44aが底面84に近づくように摺動する(
図8(b)参照)とともに、バネ部材44bは、内部バネ係止部46aに係止されている端部は動くことなく、外部バネ係止部46bに係止されている端部は端部44aの動きとともに、底面84に向けて縮むこととなる。
【0051】
つまり、ユーザは、上面整畦部40の内側に沈む方向に向けて付勢しているバネ部材44bの付勢力に反して、把持部材44の操作部44cを外側に引き出すことで、端部44aが摺動することとなる。
【0052】
ここにおいて、
図7(a)及び(b)を参照すると、上面整畦部40の底面84には、取付基板30が上面整畦部40の内側に内挿している際に、その底面84の表面から取付基板30の頂壁面31に向けて延び、底面84と頂壁面31との軸方向の位置関係を固定するフック部材42が設けられている。
【0053】
本発明の特徴事項であるこのフック部材42の構成について、拡大して示した
図9を用いて説明すると、フック部材42は基端を底面84に固定され、図面(
図9)の左側を湾曲形状とする先端突出部42aと、凹部42bとを有している。
【0054】
ここで、
図7(a)を参照すると、本実施形態においては、取付基板30が上面整畦部40の内側に内挿している際に、法面整畦部20に最も近いガイド部材45には、ガイド部材45から法面整畦部20側に向けて順に、ガイド部材45、緩衝部材48及び肩部整畦部80が設けられている。
【0055】
ここで、肩部整畦部80は略円錐形状となっており、上面整畦部40を取付基板30に装着している場合に、上面整畦部40の側面43と、法面整畦部20(固定部24)との間を補完して、畦の肩部を整畦する。そして、肩部整畦部80には、その一部分としてリング部材49を設けており、そのリング部材49によって、緩衝部材48を介してガイド部材45に固定されている。
【0056】
図7(a)に示す通り、緩衝部材48は、リング部材49及びガイド部材45に比べて、上面整畦部40の中心方向に向けて、僅かに突出しており、上面整畦部40を取付基板30に被せた際には、先述したドラムスペーサ26の段付き外周面27に周方向に亘って当接して、互いの接触を緩和するとともに、上面整畦部40の位置を固定する。
【0057】
また、法面整畦部20の固定部24と肩部整畦部80との間に、略円環状の土侵入防止リング81を備えることで、肩部整畦部80の内側への土の侵入を抑制でき、更に本実施形態においては、土侵入防止リング81の法面整畦部20側に、土侵入防止リング81よりも面積の大きい土侵入防止ゴム82を付着させており、より効果的に、肩部整畦部80の内側への土の侵入を抑えることができる。
【0058】
なお、
図7(a)に示す通り、略円錐形状の肩部整畦部80の裾部近傍であって、法面整畦部20(固定部24)との間にリング状のシールゴム83を設けてもよい。
【0059】
ここで、
図6(a)及び(b)にて示した取付基板30に、
図7(a)及び(b)にて示した上面整畦部40を被せた状態について、説明の便宜上、主要な構成を理解し易く示した断面構成図である
図10を参照しながら説明する。
図10に示す通り、上面整畦部40を取付基板30に被せた場合には、上面整畦部40に対して取付基板30を内挿した状態となり、取付基板30が全体的に覆われる。
【0060】
この際に、本実施形態においては、上面整畦部40の側面43の内側面に、取付基板30の側壁面34との間隔を周方向に向けて一定に保つ、軸方向に延びるガイド部材45が設けられており、さらに、ドラムスペーサ26を固定部24に固定して備えることで、上面整畦部40の端(緩衝部材48)をドラムスペーサ26の段付き外周面27に接触させて位置固定させることができ、その結果、上面整畦部40の側面43の内側面と取付基板30の側壁面34との間隔を一定に保つ構成としている。
【0061】
つまり、上面整畦部40を取付基板30に被せた際には、取付基板30の側壁面34がガイド部材45の内側に内挿されるとともに当接し、ドラムスペーサ26の段付き外周面27の一部分が緩衝部材48の内側に内挿されるとともに当接するため、上面整畦部40と取付基板30との互いの中心軸(図中O)の軸合わせが既にでき、作業が容易となる。
【0062】
なお、本実施形態においては、上面整畦部40の軸方向において、ガイド部材45を軸方向に延びる構成として説明しているものの、軸方向に向けて上面整畦部40の側面43の内側面と取付基板30の側壁面34との間隔を一定に保つことができるかぎり、軸方向に一体として延びる円筒状の構成としてもよい。
【0063】
ここで、取付基板30への上面整畦部40の着脱に係る構成について、説明する。
上面整畦部40の底面84には、その底面84の表面から取付基板30の頂壁面31に向けて延び、底面84と頂壁面31との位置関係を固定するフック部材42が設けられている。
【0064】
そして、取付基板30の頂壁面31には、
図10に示す通り、上面整畦部40を取付基板30に被せた状態において、フック部材42が進入した状態となる切り欠部32が施されている。
【0065】
さらに、切り欠部32には、上面整畦部40を取付基板30に被せた状態のまま、ユーザが取付基板30(法面整畦部20)に対して上面整畦部40を回動操作させた際に、上面整畦部40のフック部材42が係合する係合縁部38が備わっている。
【0066】
つまり、本実施形態においては、このフック部材42が係合縁部38へ係合することで、取付基板30及び上面整畦部40の軸方向への位置関係が固定されることとなる。
【0067】
そして、この取付基板30と上面整畦部40との軸方向における位置関係を固定する軸方向ロック機構を構成する、これらフック部材42、切り欠部32及び係合縁部38については、少なくとも軸方向における互いの位置関係が固定されるかぎり、大きさや、フック部材42と係合縁部38との係合する位置などを限定するものではない。
【0068】
なお、
図10に示す通り、本実施形態におけるフック部材42は、先端部である先端突出部42aが湾曲形状とされており、上面整畦部40を取付基板30に被せる際に、その湾曲形状とされている先端突出部42aが切り欠部32の縁部に接触した場合であっても、スムーズにフック部材42が切り欠部32に侵入するようにガイドされる。
【0069】
ここで、上面整畦部40には、コ字状の把持部材44(
図10においては部分表示)が保持されており、より詳細には、二カ所の端部44aを取付基板30の頂壁面31に向けた状態で、頂面41から底面84にかけて貫通させて保持されている。
【0070】
そして、
図10に示す通り、本実施形態においては、上面整畦部40の底面84から取付基板30の頂壁面31に向けて露出している把持部材44の端部44a(二カ所)にバネ部材44bを備えており、把持部材44の端部44aは、常に取付基板30の頂壁面31に向けた方向、言い換えると、上面整畦部40の頂面41における外観上、把持部材44が上面整畦部40の内側に沈む方向に向けて付勢されている。
【0071】
さらに、取付基板30の頂壁面31には、上面整畦部40を取付基板30に被せた状態のまま、ユーザが取付基板30に対して上面整畦部40を回動操作させた際に、把持部材44の端部44aが嵌合する嵌合孔35が施されている。
【0072】
つまり、本実施形態においては、バネ部材44bの付勢力によって端部44aが嵌合孔35へ嵌合することで、取付基板30及び上面整畦部40の回転方向への位置関係が固定されることとなる。
【0073】
そして、この取付基板30と上面整畦部40との回転方向における位置関係を固定する回動方向ロック機構を構成する、これらバネ部材44b、端部44a(把持部材44)及び嵌合孔35については、少なくとも回転方向における互いの位置関係が固定されるかぎり、大きさや、端部44aと嵌合孔35との嵌合する位置などを限定するものではない。
【0074】
次に、上面整畦部40を取付基板30に被せた状態を維持しつつ、上面整畦部40を回転操作して取付基板30に装着し、又は取り外す方法について、
図11〜
図15を参照しながら説明する。
【0075】
ここで、
図11(a)、
図12(a)、
図13(a)は、
図10に示す状態と同じく上面整畦部40を取付基板30に被せた状態について、説明の便宜上、主要な構成を理解し易く示した断面構成を示すものである。
【0076】
そして、
図11(b)、
図12(b)、
図13(b)は、
図11(a)、
図12(a)、
図13(a)に示す各々の状態において、上面整畦部40の頂面41から法面整畦部20の方向を見た実際の外観を示している。
【0077】
また、
図14(a)、
図15(a)についても、
図10に示す状態と同じく上面整畦部40を取付基板30に被せた状態について、説明の便宜上、主要な構成を理解し易く示した断面構成を示すものであり、
図14(b)及び
図15(b)は、
図14(a)及び
図15(a)に示す各々の状態において、上面整畦部40の頂面41から法面整畦部20の方向を見た実際の外観を示している。
【0078】
先ず、
図11(a)に示す通り、上面整畦部40を取付基板30に被せた状態においては、上面整畦部40のフック部材42が、取付基板30の切り欠部32に進入した状態となり、把持部材44の端部44aが取付基板30の頂壁面31に当接した状態となる。
【0079】
ここにおいて、フック部材42は、上面整畦部40の取付基板30への装着及びロックのため、
図11(a)に示す通り切り欠部32に進入した状態となった後、その後の上面整畦部40の回転操作により、切り欠部32の縁であって係合縁部38に係合する構成とされており、上面整畦部40を取付基板30に被せた段階で、切り欠部32に進入させておく必要がある。
【0080】
また、本実施形態においては、
図11(b)に示す通り、フック部材42(実線表示)を二カ所設け、フック部材42が進入する取付基板30の切り欠部32(点線表示)についても二カ所設けている。
【0081】
そして、先述した通り、上面整畦部40の側面43の内側面には、取付基板30の側壁面34との間隔を周方向及び軸方向に向けて一定に保つガイド部材45が設けられているため、上面整畦部40と取付基板30との軸合わせを行う必要性がないことから、ユーザは、フック部材42と切り欠部32との位置合わせについて、径方向の位置調整を全く意識することなく、周方向の位置合わせのみを意識して、フック部材42を切り欠部32に進入させればよく、操作性に優れるものである。
【0082】
ここで
図12(a)は、
図11(a)に示す状態から、ユーザが更に上面整畦部40を法面整畦部20に向けて押し込んだ状態を示している。
図12(a)に示す通り、図中矢印Tの方向に向けてユーザが上面整畦部40の頂面41を押し込むことで、バネ部材44bが縮んだ状態となり、フック部材42の先端が取付基板30の切り欠部32の中を、更に進入することとなる。
【0083】
この場合、実際にユーザが図中矢印Tの方向に向けて頂面41を押し込むことで、緩衝部材48が縮み、上面整畦部40が法面整畦部20に向けて、僅かに移動することとなる。
【0084】
そして、フック部材42の先端突出部42aは、取付基板30の頂壁面31の裏側に延出することとなり、フック部材42の凹部42bは、取付基板30の軸方向において、頂壁面31の位置であって係合縁部38と同じ深さ位置に移動した状態となる。
【0085】
ここで、
図12(b)は、
図12(a)に示す状態において、ユーザによる図中矢印Tの方向への押し込んだ状態を示しており、この後ユーザは、
図12(a)に示す図中矢印Tの方向への押し込み状態を維持しつつ、
図12(b)に示す図中矢印Rの方向へ回転操作することで、上面整畦部40を取付基板30に装着及びロックすること(
図13(a)に示す状態)ができ、その詳細を次に説明する。
【0086】
先述した通り、
図12(a)に示す状態においては、フック部材42の凹部42bが、取付基板30の軸方向において、頂壁面31と同じ位置に移動した状態を維持されている。
【0087】
そして、その状態を維持しつつ、
図12(b)に示す図中矢印Rの方向に、上面整畦部40を回転操作することで、先ず、フック部材42の凹部42bの中に、取付基板30の頂壁面31であって係合縁部38が侵入することとなる。
【0088】
その後、更に上面整畦部40を回転操作し続けることで、
図13(a)に示す通り、凹部42bが係合縁部38に当接して、上面整畦部40の回転が止まり、この時点において、フック部材42が係合縁部38に係合したことになる。
【0089】
ここにおいて、上面整畦部40を、
図12(b)に示す図中矢印Rの方向に回転操作し続けることで、把持部材44の端部44aが取付基板30の嵌合孔35に近づき、さらに、嵌合孔35に近接した状態から、端部44aが徐々に嵌合孔35に滑り込み、最終的に、フック部材42の凹部42bが係合縁部38に当接した時点で、端部44a自身が嵌合孔35に落ちることで、嵌合孔35に嵌合したこととなる。
【0090】
つまり、フック部材42の係合縁部38への係合と略同時期に、把持部材44の端部44aが、バネ部材44bの付勢力によって、取付基板30の嵌合孔35に嵌合し、取付基板30に対する上面整畦部40の位置が固定され、上面整畦部40が取付基板30に装着及びロックされた状態となる。
【0091】
また、
図13(b)に示す通り、複数のフック部材42(実線表示)が、取付基板30の係合縁部38(点線表示)に係合した状態となり、かつ、把持部材44の端部44a(二カ所)が、取付基板30の嵌合孔35に嵌合した状態となり、上面整畦部40は、
図12(b)に示した図中矢印Rの方向にそれ以上動くことがなく、図中矢印Rとは反対の方向にも動くことができなくなる。
【0092】
次に、上面整畦部40を取付基板30から取り外す方法について、
図14及び
図15を参照しながら説明する。
ここにおいて、
図14(a)は、
図13(a)に示す状態から、ユーザの操作により把持部材44の端部44aが嵌合孔35から抜けた状態を示しており、
図14(b)は、
図14(a)に示す状態において、上面整畦部40の頂面41から法面整畦部20の方向を見た実際の外観を示している。
【0093】
また、
図15(a)は、把持部材44の端部44aが嵌合孔35から抜けた状態のまま、ユーザの操作により上面整畦部40を回転操作させた状態を示しており、
図15(b)は、
図15(a)に示す状態において、上面整畦部40の頂面41から法面整畦部20の方向を見た実際の外観を示している。
【0094】
ここで、上面整畦部40が取付基板30に装着及びロックされた状態(
図13(a)及び(b)に示す状態)から、上面整畦部40を取り外すには、
図14(a)に示すように、ユーザの操作により、先ず、把持部材44の操作部44cを、バネ部材44bの付勢力の働く方向とは反対の方向であって、図中矢印Uの方向に引き出し、把持部材44の端部44aを取付基板30の嵌合孔35から抜く操作を行う。
【0095】
そして、ユーザは、その引き出し状態を維持しつつ、把持部材44の操作部44cを
図14(b)に示す図中矢印Nの方向に回転操作することで、上面整畦部40を取付基板30に装着及びロックされていた状態を解除すること(
図15(a)に示す状態)ができ、その詳細を次に説明する。
【0096】
先述した通り、
図14(a)に示す状態においては、ユーザの操作により、バネ部材44bの付勢力に反して操作部44cを引き出すことで、把持部材44の端部44aが取付基板30の嵌合孔35から抜かれた状態とされており、その状態のまま、ユーザが更に
図14(b)に示す図中矢印Nの方向に回転操作させることで、
図15(a)に示すように、把持部材44の端部44aが取付基板30の頂壁面31の表面に移動することとなる。
【0097】
そして、
図15(a)に示す通り、その端部44aの頂壁面31の表面への移動と同時に、フック部材42の凹部42bと係合縁部38との係合状態が解除され、フック部材42は切り欠部32の中を移動することとなる。
【0098】
また、
図15(b)に示す通り、複数のフック部材42(実線表示)が、取付基板30の切り欠部32(点線表示)の縁部と離れた状態、つまり、係合が解除された状態となり、かつ、把持部材44の端部44a(二カ所)が、取付基板30の嵌合孔35から抜けた状態となっているため、ユーザは、取付基板30から上面整畦部40を取り外すことができる。
【0099】
次に、法面整畦部20に対して上面整畦部40を回転操作させる際、ユーザがどの程度、回転操作させるべきかを認識可能とする構成について、
図16(a)及び(b)を用いて説明する。
【0100】
ここにおいて、ユーザは、固定されている取付基板30に対して、上面整畦部40をどの程度回転操作させたのか認識できれば良いため、本実施形態においては、取付基板30が固定されている法面整畦部20と、上面整畦部40との間における回転操作の方向の位置関係を認識するための構成としている。
【0101】
具体的には、
図16(a)及び(b)に示す通り、法面整畦部20の外表面の特定位置に、取付基板30に上面整畦部40を被せたのみの段階を示す回動開始目印(図中S)を設け、更に、上面整畦部40を取付基板30に装着及びロックさせるために回動させて、回動終了位置としての位置を示す第一指標(図中T)を設けておく。
【0102】
先ず、上面整畦部40を取付基板30に被せる際には、上面整畦部40の肩部整畦部80に設けられた第二指標(図中U)が法面整畦部20における回動開始目印(図中S)に合うように、ユーザが上面整畦部40を取付基板30に被せればよい。
【0103】
そして、上面整畦部40を取付基板30に被せた後に、上面整畦部40の肩部整畦部80に設けられた第二指標(図中U)が、法面整畦部20における第一指標(図中T)に合うようにユーザが上面整畦部40を回転操作させることで、装着及びロックができることとなる。
【0104】
つまり、本実施形態においては、取付基板30に対して上面整畦部40を回動させる際の回動終了位置として、取付基板30の外表面に第一指標(図中T)を設け、さらに、上面整畦部40には、回動操作を行った際に、その第一指標(図中T)の近傍に移動することとなる第二指標(図中U)を設けた構成としている。
【0105】
次に、上面整畦部40の軸方向に向けて、把持部材44の操作部44cが移動する位置を固定するピン部材について、把持部材44の拡大図である
図17を参照しながら説明する。
【0106】
ここで、
図17(a)は、把持部材44の端部44aが嵌合孔35に係合した状態であって、把持部材44がバネ部材44bの付勢力によって法面整畦部20の方向に向けて移動している状態を示し、
図17(b)は、バネ部材44bの付勢力に反して、ユーザが把持部材44を法面整畦部20とは反対の方向へ移動させた状態であって、端部44aが嵌合孔35から抜けた状態を示している。
【0107】
図17(a)に示す通り、把持部材44における装着ロック孔44dにピン部材50を挿入しておくことで、把持部材44の端部44aが嵌合孔35に係合している際に、端部44aの軸方向への移動量を所定の範囲に制限することができる。
【0108】
また、上面整畦部40を取付基板30から取り外す際には、ユーザ自身が、バネ部材44bの付勢力に反して、把持部材44の操作部44cを引き出すことになるため、ユーザが操作部44cを引き出した後、
図17(b)に示す通り、把持部材44における解除ロック孔eにピン部材50を挿入しておくことで、ユーザの手を保護することができる。
【0109】
具体的には、先ずユーザは、図中矢印Uの方向に把持部材44の操作部44cを引き出した後、解除ロック孔44eにピン部材50を挿入し、その後はバネ部材44bの付勢力の反発を気にすることなく、操作部44cを回転操作させるだけでよく、操作性に優れるとともに、安全性にも優れる。
【0110】
以上から、本発明に係る構成によれば、径の異なる上面整畦部が必要になった際に、既設の取付基板30に対して、簡易的かつ迅速に上面整畦部40を取り付けることができるため、畦高さに見合った調整作業を短時間で行うことができる。
【0111】
また、上面整畦部40の側面43の内側面に、取付基板30の側壁面34との間隔を周方向及び軸方向に向けて一定に保つガイド部材45を設けたことから、上面整畦部40を取り付ける際に、上面整畦部40と取付基板30との軸合わせを改めて行う必要がなく、作業が容易となる。
【0112】
なお、径が異なる複数の上面整畦部については、その上面整畦部ごとに、
図7(a)及び(b)に示した緩衝部材48及びガイド部材45の幅(図中D)の長さを設計変更しておくことで、取付基板30の側壁面34及びドラムスペーサ26の段付き外周面27との当接を維持することができる。
【0113】
さらに、軸方向ロック機構及び回動方向ロック機構を共に備えることで、上面整畦部40を法面整畦部20に向けて押し込んだ後に、上面整畦部40を一方の方向に回転させるだけで、取付基板30に対して上面整畦部40が装着及びロックされ、また、取り外す時には、上面整畦部40を他方の方向に回転させることで装着及びロックされていた状態が解除されることから、操作が容易であり、迅速に作業を行うことができる。
【0114】
さらに、上面整畦部40の変形例である羽根付上面整畦部85について、その断面構成図等を示す
図18(a)及び(b)を参照しながら説明する。
ここにおいて、
図18(a)は、羽根付上面整畦部85の断面構成を示し、
図18(b)は、
図18(a)に示す状態において、羽根付上面整畦部85の頂面41からの実際の外観を示している。
なお、
図18(a)及び(b)は、説明の便宜上、本来は周囲に装着される上面羽根板の図示を省略しており、上面整畦部30に装着される側面43の内側構成を示している。
【0115】
ここで、羽根付上面整畦部85は、
図7(a)及び(b)に示す被覆上面整畦部40とは、側面43の形状が異なっており、実際には、
図18(c)に示す通り、八角形の側面43の各々の辺部分には、それぞれ上面羽根板がそれぞれ取り付けられる。
【0116】
なお、
図18(c)に示す通り、羽根付上面整畦部85においては、上面羽根板が、八角形の側面43の各々の辺部分に取り付けられているため、羽根付上面整畦部85が取付基板30に装着された際には、全ての上面羽根板が法面整畦部20に向けて延在して、法面整畦部20の表面に向けて滑らかに湾曲した構成となり、その湾曲した部分により畦の肩部を整畦できるため、
図7(a)及び(b)に示す上面整畦部40とは異なり、肩部整畦部80を備える必要がなくなる。
【0117】
ここにおいて、ユーザは、上面整畦部40及び羽根付上面整畦部85を予め所有しておくことで、
図6(a)及び(b)に示す取付基板30に対し、ユーザは畦の土質等を考慮して、
図7(a)及び(b)に示す上面整畦部40を装着し、又は、
図18(a)及び(b)に示す複数枚の上面羽根板が取り付けられた羽根付上面整畦部85を装着することができ、適宜、選択することができる。
【0118】
言い換えると、本発明によれば、上面整畦部40の側面43の形状の相違を問わず、側面43の形状として様々なバリエーションの上面整畦部40を、取付基板30に簡易的に装着することができ、また、先述した上面羽根板を一例として、上面整畦部40の側面43に様々な羽根等の構成を取り付けた上面整畦部40を装着することもでき、
図18(a)及び(b)に示す羽根付上面整畦部85は、その一例として示したものである。