特許第5894503号(P5894503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894503
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20160317BHJP
   H01R 13/42 20060101ALN20160317BHJP
【FI】
   H01R13/52 A
   !H01R13/42 G
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-128141(P2012-128141)
(22)【出願日】2012年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-254594(P2013-254594A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】永山 雅隆
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−195456(JP,A)
【文献】 実公昭49−45268(JP,Y1)
【文献】 特開2006−164843(JP,A)
【文献】 特開2001−143818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の端子金具が挿入装着される複数の端子収容孔が形成されたハウジング本体を有する第1のコネクタハウジングと、前記ハウジング本体が挿入されるハウジング収容部を備えると共に、前記第1の端子金具に接続する複数の第2の端子金具が前記ハウジング本体の先端面と対向する前記ハウジング収容部の基端壁に配置されて、前記第1のコネクタハウジングに嵌合接続される第2のコネクタハウジングと、前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとの嵌合が正規の嵌合状態に達したときにこれらのコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック機構と、を備え、
前記第1のコネクタハウジングは、前記ハウジング本体の先端面に開口部を有すると共に前記開口部からコネクタハウジング相互の嵌合方向に凹んだ形状に形成されて前記ロック機構を構成するロック片嵌合部と、該ロック片嵌合部の両側を区画する一対の隔壁に沿って前記ロック片嵌合部の両側に配置される前記端子収容孔と、前記一対の隔壁の途中に形成されて前記ロック片嵌合部の後方側の内寸を拡幅すると共に前記端子収容孔の後方側の内寸を縮幅するクランク形状の屈曲部と、を備え、
前記第2のコネクタハウジングは、前記ロック機構として前記基端壁に突設されて前記ハウジング収容部に挿入された前記ハウジング本体のロック片嵌合部に進入するロック片、を備え、
前記屈曲部によって前記ロック片嵌合部内に形成される第1の段差部が、前記ロック片と係合してコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック係止部として機能し、
前記屈曲部によって前記端子収容孔内に形成される第2の段差部が、前記端子収容孔に挿入される第1の端子金具と係合して当該第1の端子金具の抜けを防止する端子係止手段として機能する
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ロック片は、前記一対の隔壁のそれぞれに沿って延出した一対の弾性片と、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときに前記第1の段差部と係合するように前記弾性片の先端に突設された係止突起と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の第1の端子金具が挿入装着される複数の端子収容孔を有した第1のコネクタハウジングと、前記第1の端子金具に接続する複数の第2の端子金具を収容して前記第1のコネクタハウジングに嵌合接続される第2のコネクタハウジングと、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときにコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック機構と、を備えるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、下記特許文献1に開示されたコネクタ100を示している。
このコネクタ100は、第1のコネクタハウジング110と、不図示の第2のコネクタハウジングと、ロック機構130と、を備える。
【0003】
第1のコネクタハウジング110は、複数の端子収容孔111を有して前記第2のコネクタハウジング内に挿入されるハウジング本体112と、ハウジング本体112の一方の外側面に突設されたロック片131と、ハウジング本体112の一外側面に開口するスペーサ挿入孔114に嵌合装着されるスペーサ115と、を備えている。
【0004】
端子収容孔111は、複数の第1の端子金具140が、図6の矢印F1方向に、挿入装着される孔である。
【0005】
ロック片131は、前記ロック機構130を構成する部位で、第1のコネクタハウジング110と前記第2のコネクタハウジングとの嵌合が正規の嵌合状態に達したときに、前記第2のコネクタハウジングに装備されているロック部に係合して、コネクタハウジング相互の嵌合状態をロックする。
【0006】
スペーサ挿入孔114は、第1の端子金具140の挿入方向と直交する方向から端子収容孔111と連通するように形成されている。
【0007】
スペーサ115は、図6に矢印F2で示すように、スペーサ挿入孔114に挿入されて、端子収容孔111内に装着されている第1の端子金具140の抜け止めを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−115614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に開示のコネクタ100は、端子収容孔111に連通するスペーサ挿入孔114が、ハウジング本体112の外側面に開口しているため、スペーサ115の着脱時に端子収容孔111の密閉性が低下し、スペーサ挿入孔114から異物が端子収容孔111に侵入し、例えば第1の端子金具140相互間の短絡等の不都合を招くおそれがあった。
【0010】
また、特許文献1に開示のコネクタ100は、ロック機構130のロック片131がコネクタハウジング外面の突出構造となって、コネクタの大型化を招く原因となったり、コネクタハウジング構造の複雑化による生産性の低下を招くおそれがあった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、端子金具相互間の短絡等の不都合を招く外部から端子収容孔への異物の侵入を抑止することができ、また、コネクタハウジング外面の突出構造の削減によるコネクタのコンパクト化(低背化)や、コネクタハウジングの構造の単純化による生産性の向上を図ることのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 複数の第1の端子金具が挿入装着される複数の端子収容孔が形成されたハウジング本体を有する第1のコネクタハウジングと、前記ハウジング本体が挿入されるハウジング収容部を備えると共に、前記第1の端子金具に接続する複数の第2の端子金具が前記ハウジング本体の先端面と対向する前記ハウジング収容部の基端壁に配置されて、前記第1のコネクタハウジングに嵌合接続される第2のコネクタハウジングと、前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとの嵌合が正規の嵌合状態に達したときにこれらのコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック機構と、を備え、
前記第1のコネクタハウジングは、前記ハウジング本体の先端面に開口部を有すると共に前記開口部からコネクタハウジング相互の嵌合方向に凹んだ形状に形成されて前記ロック機構を構成するロック片嵌合部と、該ロック片嵌合部の両側を区画する一対の隔壁に沿って前記ロック片嵌合部の両側に配置される前記端子収容孔と、前記一対の隔壁の途中に形成されて前記ロック片嵌合部の後方側の内寸を拡幅すると共に前記端子収容孔の後方側の内寸を縮幅するクランク形状の屈曲部と、を備え、
前記第2のコネクタハウジングは、前記ロック機構として前記基端壁に突設されて前記ハウジング収容部に挿入された前記ハウジング本体のロック片嵌合部に進入するロック片、を備え、
前記屈曲部によって前記ロック片嵌合部内に形成される第1の段差部が、前記ロック片と係合してコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック係止部として機能し、
前記屈曲部によって前記端子収容孔内に形成される第2の段差部が、前記端子収容孔に挿入される第1の端子金具と係合して当該第1の端子金具の抜けを防止する端子係止手段として機能する
ことを特徴とするコネクタ。
【0013】
(2) 前記ロック片は、前記一対の隔壁のそれぞれに沿って延出した一対の弾性片と、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときに前記第1の段差部と係合するように前記弾性片の先端に突設された係止突起と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【0014】
上記(1)の構成によれば、第1のコネクタハウジングにおけるハウジング本体の端子収容孔に挿入装着された第1の端子金具は、端子収容孔とロック片嵌合部との間を区画する隔壁に形成された屈曲部の第2の段差部と係合して、抜けが防止される。そのため、第1の端子金具の抜け防止のための別部材をハウジング本体に装着する必要が無い。即ち、第1の端子金具の抜け防止のための別部材を装着するための挿入孔等をハウジング本体の外面に開口させる必要がない。従って、前記挿入孔によって端子収容孔の密閉性が低下することによる、外部から端子収容孔への異物の侵入を抑止することができる。
【0015】
また、上記(1)の構成によれば、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときにこれらのコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック機構は、第1のコネクタハウジングに装備されるロック片嵌合部と、第2のコネクタハウジングに装備されるロック片とで構成されるが、これらのロック片嵌合部やロック片は、いずれもそれぞれのコネクタハウジングの内部に装備されるため、コネクタハウジング外面の突出構造を削減することができ、コネクタハウジング外面の突出構造の削減によるコネクタのコンパクト化を図ることができる。
【0016】
また、上記(1)の構成によれば、ロック片嵌合部の両側を区画する一対の隔壁の途中に形成された屈曲部自体が、ロック片と係合するロック係止部、及び、第1の端子金具の抜けを防止する端子係止手段として多機能に機能し、ロック係止部及び端子係止手段をそれぞれ個別に異なる位置に装備することによる構造の複雑化を回避することができる。更に、ロック係止部や端子係止手段として機能する部位は、屈曲部が提供する段差部であり、形状も単純である。従って、コネクタハウジングの構造が単純化し、成形性が向上するため、生産性の向上を図ることができる。
【0017】
上記(2)の構成によれば、第2のコネクタハウジングに装備されるロック片は、一対の弾性片に突設した係止突起が、一対の隔壁のそれぞれの第1の段差部に係合する構造である。従って、コネクタハウジング相互の嵌合操作時に、一対の弾性片又は係止突起が、一対の隔壁の内面に弾性接触するように、一対の弾性片の配置等を設定しておくことで、コネクタハウジング相互の嵌合操作時におけるコネクタハウジング相互のガタつきを防止して、拗りの発生を防止することができる。即ち、コネクタハウジング相互の嵌合操作を円滑化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるコネクタによれば、第1の端子金具の抜け防止のための別部材をハウジング本体に装着する必要が無い。即ち、第1の端子金具の抜け防止のための別部材を装着するための挿入孔等をハウジング本体の外面に開口させる必要がない。従って、前記挿入孔によって端子収容孔の密閉性が低下して外部から端子収容孔への異物の侵入を抑止することができる。
【0019】
また、本発明によるコネクタによれば、コネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック機構としてのロック片嵌合部やロック片は、いずれもそれぞれのコネクタハウジングの内部に装備されるため、コネクタハウジング外面の突出構造を削減することができ、コネクタハウジング外面の突出構造の削減によるコネクタのコンパクト化を図ることができる。
【0020】
また、本発明によるコネクタによれば、ロック片嵌合部の両側を区画する一対の隔壁の途中に形成された屈曲部自体が、ロック片と係合するロック係止部、及び、第1の端子金具の抜けを防止する端子係止手段として多機能に機能し、ロック係止部及び端子係止手段をそれぞれ個別に異なる位置に装備することによる構造の複雑化を防止することができる。更に、ロック係止部や端子係止手段として機能する部位は、屈曲部が提供する段差部であり、形状も単純である。従って、コネクタハウジングの構造が単純化し、成形性が向上するため、生産性の向上を図ることができる。
【0021】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るコネクタの一実施形態の分解斜視図である。
図2図1に示した第1のコネクタハウジング及び第2のコネクタハウジングの内部構造を示す水平断面図である。
図3図2のA矢視図である。
図4図2のB矢視図である。
図5図1に示した第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとがロック機構によりロックされた状態の説明図である。
図6】従来のコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るコネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1図5は本発明に係るコネクタの一実施形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態のコネクタの分解斜視図、図2図1に示した第1のコネクタハウジング及び第2のコネクタハウジングの内部構造を示す水平断面図、図3図2のA矢視図、図4図2のB矢視図、図5図1に示した第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとがロック機構によりロックされた状態の説明図である。
【0025】
この一実施形態のコネクタ1は、第1のコネクタハウジング10と、第2のコネクタハウジング20と、第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20との嵌合が正規の嵌合状態に達したときにこれらのコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック機構30と、を備える。
【0026】
第1のコネクタハウジング10は、2つの第1の端子金具40が挿入装着される2つの端子収容孔11が形成されたハウジング本体12を有する。ハウジング本体12の外形は、略直方体状である。
【0027】
本実施形態における第1のコネクタハウジング10は、ハウジング本体12に、ロック片嵌合部31と、前述の2つの端子収容孔11と、屈曲部14と、を備える。
【0028】
ロック片嵌合部31は、ロック機構30を構成する部位であり、ハウジング本体12の先端面12aに開口部31aを有すると共に、開口部31aからコネクタハウジング相互の嵌合方向に凹んだ空所である。本実施形態の場合、ロック片嵌合部31は、ハウジング本体12の幅方向(図1の矢印X方向)の中央部に形成されている。また、本実施形態の場合、ロック片嵌合部31は、図2図4に示すように、ハウジング本体12の長手方向(図1の矢印Y方向)に貫通した孔に形成されている。
【0029】
本実施形態の場合、2つの端子収容孔11は、ロック片嵌合部31の両側を区画する一対の隔壁12bに沿って、ロック片嵌合部31の両側に配置されている。2つの端子収容孔11は、ハウジング本体12の後端側から第1の端子金具40が挿入装着される孔である。第1の端子金具40は、先端に相手端子が嵌合する筒状部を有した雌型端子金具である。端子収容孔11の先端側は、相手端子導入口11aとして、ハウジング本体12の先端面12aに開口している。
【0030】
ロック片嵌合部31と端子収容孔11は、隔壁12bによって、互いに独立した(連通していない)孔形状に区画されている。
【0031】
屈曲部14は、図2に示すように、一対の隔壁12bの途中に形成されている。また、屈曲部14は、ロック片嵌合部31の後方側の内寸を拡幅すると共に、端子収容孔11の後方側の内寸を縮幅するクランク形状に形成されている。
【0032】
クランク形状の屈曲部14は、図2に示すように、ロック片嵌合部31内に、ロック片嵌合部31の幅寸法を拡げる第1の段差部14aを形成している。更に、屈曲部14は、端子収容孔11内に、端子収容孔11の幅寸法を縮める第2の段差部14bを形成している。
【0033】
屈曲部14における第1の段差部14aは、図5に示すように、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときに、後述のロック片32と係合して、コネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック係止部として機能する。
【0034】
また、屈曲部14における第2の段差部14bは、図5に示すように、端子収容孔11に挿入される第1の端子金具40に突設された抜け止めランス部41と係合して、当該第1の端子金具40の抜けを防止する端子係止手段として機能する。
【0035】
第2のコネクタハウジング20は、第1のコネクタハウジング10に嵌合接続されるコネクタハウジングである。この第2のコネクタハウジング20は、図2に示すように、ハウジング本体12が挿入されるハウジング収容部21を備える。そして、図2に示すように、ハウジング本体12の先端面12aと対向するハウジング収容部21の基端壁21aには、2つの第2の端子金具50と、ロック片32と、が配置されている。
【0036】
第2の端子金具50は、第1の端子金具40に接続する舌状の雄型端子金具である。2つの第2の端子金具50は、第1のコネクタハウジング10における相手端子導入口11aの配置に対応して配置されている。
【0037】
ロック片32は、ロック機構30として、基端壁21aに突設されている。このロック片32は、ハウジング収容部21に挿入されたハウジング本体12のロック片嵌合部31に進入する。ロック片嵌合部31に進入したロック片32は、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときに、屈曲部14における第1の段差部14aに係合して、コネクタハウジング相互の嵌合状態をロックする。
【0038】
本実施形態の場合、ロック片32は、図2に示すように、一対の弾性片32aと、それぞれの弾性片32aの先端に突設された係止突起32bと、を備える。
一対の弾性片32aは、一対の隔壁12bのそれぞれに沿って延出している。
【0039】
係止突起32bは、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときに屈曲部14の第1の段差部14aと係合するように、弾性片32aの先端に突設されている。それぞれの弾性片32aの先端の係止突起32bは、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときに、図5に示すように、屈曲部14の第1の段差部14aに係合して、コネクタハウジング相互の嵌合状態をロックする。
【0040】
以上に説明した一実施形態のコネクタ1によれば、第1のコネクタハウジング10におけるハウジング本体12の端子収容孔11に挿入装着された第1の端子金具40は、端子収容孔11とロック片嵌合部31との間を区画する隔壁12bに形成された屈曲部14の第2の段差部14bと係合して、抜けが防止される。
【0041】
そのため、第1の端子金具40の抜け防止のための別部材をハウジング本体12に装着する必要が無い。即ち、第1の端子金具40の抜け防止のための別部材を装着するための挿入孔等をハウジング本体12の外面に開口させる必要がない。
【0042】
従って、前記挿入孔によって端子収容孔11の密閉性が低下して、外部から端子収容孔11への異物の侵入を抑止することができる。
【0043】
また、以上に説明した一実施形態のコネクタ1によれば、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときにこれらのコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック機構30は、第1のコネクタハウジング10に装備されるロック片嵌合部31と、第2のコネクタハウジング20に装備されるロック片32とで構成されるが、これらのロック片嵌合部31やロック片32は、いずれもそれぞれのコネクタハウジングの内部に装備されるため、コネクタハウジング外面の突出構造を削減することができ、コネクタハウジング外面の突出構造の削減によるコネクタのコンパクト化を図ることができる。
【0044】
また、以上に説明した一実施形態のコネクタ1によれば、ロック片嵌合部31の両側を区画する一対の隔壁12bの途中に形成された屈曲部14自体が、ロック片32と係合するロック係止部、及び、第1の端子金具40の抜けを防止する端子係止手段として多機能に機能し、ロック係止部及び端子係止手段をそれぞれ個別に異なる位置に装備することによる構造の複雑化を回避することができる。更に、ロック係止部や端子係止手段として機能する部位は、屈曲部14が提供する段差部であり、形状も単純である。従って、コネクタハウジングの構造が単純化し、成形性が向上するため、生産性の向上を図ることができる。
【0045】
また、以上に説明した一実施形態のコネクタ1によれば、第2のコネクタハウジング20に装備されるロック片32は、一対の弾性片32aに突設した係止突起32bが、一対の隔壁12bのそれぞれの第1の段差部14aに係合する構造である。従って、コネクタハウジング相互の嵌合操作時に、一対の弾性片32a又は係止突起32bが、一対の隔壁12bの内面に弾性接触するように、一対の弾性片32aの配置等を設定しておくことで、コネクタハウジング相互の嵌合操作時におけるコネクタハウジング相互のガタつきを防止して、拗りの発生を防止することができる。即ち、コネクタハウジング相互の嵌合操作を円滑化することができる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
例えば、それぞれのコネクタハウジングに収容される端子金具の数量は、上記実施形態で示した2つに限らない。例えば、ロック片嵌合部の両側に、それぞれ上下2段に端子金具が配列される構成としても良い。
【0048】
また、ロック片嵌合部に嵌合するロック片32の具体的な構造も、上記の実施の形態の構造に限らない。
【0049】
ここで、上述した本発明に係るコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[2]に簡潔に纏めて列記する。
【0050】
[1] 複数の第1の端子金具(40)が挿入装着される複数の端子収容孔(11)が形成されたハウジング本体(12)を有する第1のコネクタハウジング(10)と、前記ハウジング本体(12)が挿入されるハウジング収容部(21)を備えると共に、前記第1の端子金具(40)に接続する複数の第2の端子金具(50)が前記ハウジング本体(12)の先端面(12a)と対向する前記ハウジング収容部(21)の基端壁(21a)に配置されて、前記第1のコネクタハウジング(10)に嵌合接続される第2のコネクタハウジング(20)と、前記第1のコネクタハウジング(10)と前記第2のコネクタハウジング(20)との嵌合が正規の嵌合状態に達したときにこれらのコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック機構(30)と、を備え、
前記第1のコネクタハウジング(10)は、前記ハウジング本体(12)の先端面(12a)に開口部(31a)を有すると共に前記開口部(31a)からコネクタハウジング相互の嵌合方向に凹んだ形状に形成されて前記ロック機構(30)を構成するロック片嵌合部(31)と、該ロック片嵌合部(31)の両側を区画する一対の隔壁(12b)に沿って前記ロック片嵌合部(31)の両側に配置される前記端子収容孔(11)と、前記一対の隔壁(12b)の途中に形成されて前記ロック片嵌合部(31)の後方側の内寸を拡幅すると共に前記端子収容孔(11)の後方側の内寸を縮幅するクランク形状の屈曲部(14)と、を備え、
前記第2のコネクタハウジング(20)は、前記ロック機構(30)として前記基端壁(21a)に突設されて前記ハウジング収容部(21)に挿入された前記ハウジング本体(12)のロック片嵌合部(31)に進入するロック片(32)、を備え、
前記屈曲部(14)によって前記ロック片嵌合部(31)内に形成される第1の段差部(14a)が、前記ロック片(32)と係合してコネクタハウジング相互の嵌合状態をロックするロック係止部として機能し、
前記屈曲部(14)によって前記端子収容孔(11)内に形成される第2の段差部(14b)が、前記端子収容孔(11)に挿入される第1の端子金具(40)と係合して当該第1の端子金具(40)の抜けを防止する端子係止手段として機能する
ことを特徴とするコネクタ(1)。
【0051】
[2] 前記ロック片(32)は、前記一対の隔壁(12b)のそれぞれに沿って延出した一対の弾性片(32a)と、コネクタハウジング相互の嵌合が正規の嵌合状態に達したときに前記第1の段差部(14a)と係合するように前記弾性片(32a)の先端に突設された係止突起(32b)と、
を備えることを特徴とする上記[1]に記載のコネクタ(1)。
【符号の説明】
【0052】
1 コネクタ
10 第1のコネクタハウジング
11 端子収容孔
12 ハウジング本体
12a 先端面
12b 隔壁
14 屈曲部
14a 第1の段差部
14b 第2の段差部
20 第2のコネクタハウジング
21 ハウジング収容部
21a 基端壁
30 ロック機構
31 ロック片嵌合部
31a 開口部
32 ロック片
32a 弾性片
32b 係止突起
40 第1の端子金具
50 第2の端子金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6