特許第5894507号(P5894507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894507
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/40 20060101AFI20160317BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   B29C45/40
   B29C33/38
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-134144(P2012-134144)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-256078(P2013-256078A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】大久保 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】米澤 慶多朗
【審査官】 井上 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−023188(JP,A)
【文献】 特開平08−033932(JP,A)
【文献】 特開2012−096417(JP,A)
【文献】 特開2011−078990(JP,A)
【文献】 特開平10−235675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
F16B 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接当面(F)を有するプラグ側の第1ロッド(1)と、その第1接当面(F)に接当可能な第2接当面(S)を有するソケット側の第2ロッド(2)とを連結する装置であって、
上記第1ロッド(1)は、上記第1接当面(F)から先端方向へ突出されたプラグ部(8)と、そのプラグ部(8)の先端面から基端方向へ形成された挿入孔(9)と、その挿入孔(9)に軸心方向へ移動可能かつ軸心回りに回転可能に挿入された操作シャフト(10)と、その操作シャフト(10)を先端方向へ付勢する弾性部材(12)と、上記挿入孔(9)の環状壁に半径方向へ貫通された収容孔(15)と、その収容孔(15)に挿入されたロック用のボール(16)と、を備え、上記操作シャフト(10)は、その操作シャフト(10)の基端寄り部の外周面に形成されると共に上記ボール(16)が嵌合されるカム溝(17)と、当該操作シャフト(10)の先端寄り部に設けられた第1嵌合部(18)と、を備え、
上記第2ロッド(2)は、上記第2接当面(S)から基端方向へ形成されたソケット穴(24)と、そのソケット穴(24)の周壁の先端寄り部の内周面から半径方向の内方へ突出させた環状突出部(25)と、その環状突出部(25)の基端側の環状端部に形成された係合部(28)であって上記ボール(16)が上記ソケット穴(24)の基端側から係合可能な係合部(28)と、上記ソケット穴(24)と上記プラグ部(8)との挿抜時に上記ボール(16)が上記の環状突出部(25)を軸心方向へ通過するように当該環状突出部(25)に形成されたガイド溝(30)と、上記ソケット穴(24)の基端寄り部に設けられた第2嵌合部(34)であって上記第1嵌合部(18)に対して軸心回りの相対回転を阻止すると共に軸心方向へ相対移動可能に嵌合される第2嵌合部(34)と、を備え、
上記操作シャフト(10)の上記外周面に形成された上記カム溝(17)を、先端方向へ突出するアーチ状または山形状もしくは台形状に形成する、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項2】
第1接当面(F)を有するプラグ側の第1ロッド(1)と、その第1接当面(F)に接当可能な第2接当面(S)を有するソケット側の第2ロッド(2)とを連結する装置であって、
上記第1ロッド(1)は、上記第1接当面(F)から先端方向へ突出されたプラグ部(8)と、そのプラグ部(8)の先端面から基端方向へ形成された挿入孔(9)と、その挿入孔(9)に軸心方向へ移動可能かつ軸心回りに回転可能に挿入された操作シャフト(10)と、その操作シャフト(10)を先端方向へ付勢する弾性部材(12)と、上記挿入孔(9)の環状壁に半径方向へ貫通された収容孔(15)と、その収容孔(15)に挿入されたロック用のボール(16)と、を備え、上記操作シャフト(10)は、その操作シャフト(10)の基端寄り部の外周面に形成されると共に上記ボール(16)が嵌合されるカム溝(17)と、当該操作シャフト(10)の先端寄り部に設けられた第1嵌合部(18)と、を備え、
上記第2ロッド(2)は、上記第2接当面(S)から基端方向へ形成されたソケット穴(24)と、そのソケット穴(24)の周壁の先端寄り部の内周面から半径方向の内方へ突出させた環状突出部(25)と、その環状突出部(25)の基端側の環状端部に形成された係合部(28)であって上記ボール(16)が上記ソケット穴(24)の基端側から係合可能な係合部(28)と、上記ソケット穴(24)と上記プラグ部(8)との挿抜時に上記ボール(16)が上記の環状突出部(25)を軸心方向へ通過するように当該環状突出部(25)に形成されたガイド溝(30)と、上記ソケット穴(24)の基端寄り部に設けられた第2嵌合部(34)であって上記第1嵌合部(18)に対して軸心回りの相対回転を阻止すると共に軸心方向へ相対移動可能に嵌合される第2嵌合部(34)と、を備え、
記カム溝(17)は、記操作シャフト(10)と記プラグ部(8)とを軸心回りに相対的にロック回転させたときに、そのロック回転の終点部へ向かうにつれて当該操作シャフト(10)の基端部に近づくように形成されたロック溝(41)と、そのロック溝(41)とは周方向の反対側に形成されたリリース溝(42)であって記操作シャフト(10)が記ロック回転とは反対方向ヘリリース回転されたときに記ボール(16)を所定のリリース位置に保持可能なリリース溝(42)と、を有する、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項3】
請求項2の連結装置において、
前記の環状突出部(25)に前記ガイド溝(30)を形成することに代えて、
前記リリース溝(42)の前記リリース回転の終点部またはその近傍に、前記ソケット穴(24)と前記プラグ部(8)との挿抜時に前記収容孔(15)内の前記ボール(16)が半径方向の内方へ後退するのを許容する凹部(51)を設けた、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの連結装置において、
前記プラグ部(8)に設けた前記挿入孔(9)の前記環状壁に複数の前記収容孔(15)を周方向へ所定の間隔をあけて設けると共に、前記操作シャフト(10)に複数の前記カム溝(17)を周方向へ所定の間隔をあけて設けた、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項5】
請求項2又は3の連結装置において、
前記カム溝(17)は、前記ロック溝(41)と、前記操作シャフト(10)がリリース回転されたときに当該リリース回転の終点部へ向かうにつれて前記操作シャフト(10)の基端部に近づくように形成された前記リリース溝(42)と、前記ロック溝(41)と前記リリース溝(42)との間に形成された切換溝(43)であって前記ロック溝(41)及び前記リリース溝(42)よりも先端側に配置された切換溝(43)と、を備える、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項6】
請求項2又は3の連結装置において、
前記ロック溝(41)の底壁の深さを、前記ロック回転の始点部から前記終点部へ向かうにつれて浅くなるように形成した、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項7】
請求項5の連結装置において、
前記リリース溝(42)及び前記切換溝(43)の底壁の深さをほぼ一定に形成した、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項8】
請求項2又は3の連結装置において、
前記ボール(16)を前記カム溝(17)に装着するための組込溝(45)を、前記ロック溝(41)の基端部と前記操作シャフト(10)の基端部との間に形成した、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項9】
請求項2又は3の連結装置において、
前記ボール(16)を前記カム溝(17)に装着するための組込溝(45)を、前記リリース溝(42)の先端部と前記操作シャフト(10)の先端寄り部との間に形成した、
ことを特徴とする連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のロッドを軸心方向に着脱可能に連結する装置に関し、例えば、射出成形機のエジェクター装置に使用されるエジェクターロッドのように、分割された2つのロッド同士を着脱するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロッドの連結装置では、一般的に、2つのロッドのうちのいずれか一方のロッドの先端部に設けた雄ネジと他方のロッドの先端部に設けた雌ネジとを螺合させることにより、2つのロッドが着脱される。
しかしながら、上記の着脱時には、一方のロッドに対して他方のロッドを軸心回りに少なくとも数回も回転させる必要があるので、その着脱に手間がかかる。この問題は、ロッドの直径が大きくて当該ロッドの重量が大きいほど、著しい弊害となって現れる。
【0003】
上記問題を解決するため、従来では、特許文献1(日本国・特開2010−76278号公報)に記載されたように、次のように構成されたものがある。
一方のロッドと他方のロッドの各先端部に、磁極が反対の第1磁石と第2磁石とを周方向へ交互に配置する。一方のロッドと他方のロッドとを連結するときには、一方のロッドの第1磁石の周方向位置と、他方のロッドの第2磁石の周方向位置とを一致させる。これにより、ロッドの先端部同士が磁力によって吸着され、2つのロッドが連結される。その連結状態を解除するときには、一方のロッドに対して他方のロッドを軸心回りに回転させて、一方のロッドの第1磁石(及び第2磁石)の周方向位置と、他方のロッドの第1磁石(及び第2磁石)の周方向位置とを一致させる。これにより、ロッドの先端部同士が磁力によって反発し、2つのロッドの上記連結が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−76278(図4図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術の2つのロッドは、磁力を利用して着脱できるので、その着脱に手間がかからない。しかしながら、上記2つのロッドは、その連結状態において、上記磁力による吸着力を超えた引っ張り力が作用したときに、分離されるおそれがあった。
本発明の目的は、着脱が容易で引っ張り力にも耐え得る連結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、例えば、図1Aから図4D、又は図5Aから図5Dに示すように、第1接当面Fを有するプラグ側の第1ロッド1と、その第1接当面Fに接当可能な第2接当面Sを有するソケット側の第2ロッド2とを連結する装置を、次のように構成した。
上記第1ロッド1の上記第1接当面Fからプラグ部8を先端方向へ突出させる。そのプラグ部8の先端面から挿入孔9を基端方向へ形成する。その挿入孔9に操作シャフト10を軸心方向へ移動可能かつ軸心回りに回転可能に挿入する。その操作シャフト10を先端方向へ付勢する弾性部材12を設ける。上記挿入孔9の環状壁に収容孔15を半径方向へ貫通させ、その収容孔15にロック用のボール16を挿入する。上記操作シャフト10は、その操作シャフト10の基端寄り部の外周面に形成されると共に上記ボール16が嵌合されるカム溝17と、当該操作シャフト10の先端寄り部に設けられた第1嵌合部18と、を備える。
上記第2ロッド2の上記第2接当面Sからソケット穴24を基端方向へ形成する。そのソケット穴24の周壁の先端寄り部の内周面から環状突出部25を半径方向の内方へ突出させる。その環状突出部25の基端側の環状端部に係合部28を形成する。その係合部28は、上記ボール16が上記ソケット穴24の基端側から係合可能に構成される。上記ソケット穴24と上記プラグ部8との挿抜時に上記ボール16が上記の環状突出部25を軸心方向へ通過するように、当該環状突出部25にガイド溝30を形成する。上記ソケット穴24の基端寄り部に第2嵌合部34を設ける。その第2嵌合部34は、上記第1嵌合部18に対して、軸心回りの相対回転を阻止すると共に軸心方向へ相対移動可能に、嵌合される。
上記操作シャフト10の上記外周面に形成された上記カム溝17を、先端方向へ突出するアーチ状または山形状もしくは台形状に形成する。
【0007】
上記の第1の発明は、例えば次のように作用する。
プラグ側の第1ロッドとソケット側の第2ロッドとが分離された状態では、その第1ロッドのプラグ部に設けたボールが、アーチ状等に形成されたカム溝の周方向の両側の溝のうちの一方側の溝の所定のリリース位置(ホームポジション)に位置されると共に、弾性部材が操作シャフトを先端方向へ進出させている。
上記第1ロッドと第2ロッドとを連結するときには、第2ロッドのソケット穴に上記プラグ部を挿入していく。すると、まず、プラグ部がソケット穴の環状突出部の内周面に挿入されると共に、上記ボールがガイド溝内を通過していく。引き続いて、第1嵌合部が第2嵌合部に嵌合し、第2接当面に第1接当面が接当する。
次いで、第1ロッドと第2ロッドとを相対的にロック回転させる。すると、上記第2ロッド及び当該第2ロッドに回転不能に連結された操作シャフトに対して第1ロッドのプラグ部およびボールが相対的にロック方向へ回転する(換言すれば、上記プラグ部およびボールに対して第2ロッド及び操作シャフトが相対的にロック方向へ回転する)。これにより、上記ボールが、前記カム溝の周方向の両側の溝のうちの一方側の溝から他方側の溝へ相対的に移動することが可能となり、当該ボールが前記の係合部に基端側から対面する。これにより、上記第1ロッドと第2ロッドとの2つのロッドがロック状態に切換えられる。
【0008】
第1の発明は、次の効果を奏する。
上記ロック状態において、ソケット側の第2ロッドに対してプラグ側の第1ロッドを分離させる方向へ引っ張り力が作用した場合でも、その引っ張り力は上記ボールと係合部とを介して第2ロッドに受け止められる。また、当該ロック状態において、上記第1ロッドに対して第2ロッドを分離させる方向へ引っ張り力が作用した場合でも、その引っ張り力は上記係合部とボールとを介して第1ロッドのプラグ部に受け止められる。従って、上記の引っ張り力が上記2つのロッドの連結状態を解除させることは確実に防止される。
また、上記ロック状態では、上記弾性部材の付勢力が操作シャフトを先端方向へ押しているため、その操作シャフトのカム溝のうちの前記の他方側の溝が上記ボールをロック回転の終点方向へ相対的に押している。このため、連結装置に振動や衝撃などが作用した場合であっても、その振動や衝撃などが上記ボールをリリース方向へ相対移動させることは防止され、上記2つのロッドの連結状態を保持できる。
【0009】
また、前記目的を達成するため、第2の発明は、例えば、前記の図1Aから図4D、又は前記の図5Aから図5Dに示すように、第1接当面Fを有するプラグ側の第1ロッド1と、その第1接当面Fに接当可能な第2接当面Sを有するソケット側の第2ロッド2とを連結する装置を、次のように構成した。
即ち、上記第1ロッド1の上記第1接当面Fからプラグ部8を先端方向へ突出させる。そのプラグ部8の先端面から挿入孔9を基端方向へ形成する。その挿入孔9に操作シャフト10を軸心方向へ移動可能かつ軸心回りに回転可能に挿入する。その操作シャフト10を先端方向へ付勢する弾性部材12を設ける。上記挿入孔9の環状壁に収容孔15を半径方向へ貫通させ、その収容孔15にロック用のボール16を挿入する。上記操作シャフト10は、その操作シャフト10の基端寄り部の外周面に形成されると共に上記ボール16が嵌合されるカム溝17と、当該操作シャフト10の先端寄り部に設けられた第1嵌合部18と、を備える。
上記第2ロッド2の上記第2接当面Sからソケット穴24を基端方向へ形成する。そのソケット穴24の周壁の先端寄り部の内周面から環状突出部25を半径方向の内方へ突出させる。その環状突出部25の基端側の環状端部に係合部28を形成する。その係合部28は、上記ボール16が上記ソケット穴24の基端側から係合可能に構成される。上記ソケット穴24と上記プラグ部8との挿抜時に上記ボール16が上記の環状突出部25を軸心方向へ通過するように、当該環状突出部25にガイド溝30を形成する。上記ソケット穴24の基端寄り部に第2嵌合部34を設ける。その第2嵌合部34は、上記第1嵌合部18に対して、軸心回りの相対回転を阻止すると共に軸心方向へ相対移動可能に、嵌合される。
記カム溝17は、記操作シャフト10と記プラグ部8とを軸心回りに相対的にロック回転させたときに、そのロック回転の終点部41bへ向かうにつれて当該操作シャフト10の基端部に近づくように形成されたロック溝41と、そのロック溝41とは周方向の反対側に形成されたリリース溝42であって記操作シャフト10が記ロック回転とは反対方向ヘリリース回転されたときに記ボール16を所定のリリース位置に保持可能なリリース溝42と、を有するように構成した。
なお、上記の第2発明においては、上記リリース溝42を下記(a)又は(b)のように構成することが考えられる。
(a) ロック溝41の始点部41aからリリース溝42を操作シャフト10の軸心と直交する外周線に沿って周方向へ延設する(換言すれば、操作シャフト10の端面と平行状にリリース溝42を形成する。)。この場合、そのリリース溝42の周方向の一部が所定のリリース位置(ホームポジション)を構成することになる。
(b)ロック溝41の始点部41aからリリース溝42を当該ロック溝41とほぼ同じ方向へ延設し、そのリリース溝42の底壁に凹所を設け、その凹所によって所定のリース溝(ホームポジション)を構成する。
【0010】
上記の第2の発明は、前記の第1の発明と同様に、例えば次のように作用する。
プラグ側の第1ロッドとソケット側の第2ロッドとが分離された状態では、第1ロッドのプラグ部に設けたボールが、操作シャフトのリリース溝の所定のリリース位置(ホームポジション)に位置されると共に、弾性部材が操作シャフトを先端方向へ進出させている。
上記第1ロッドと第2ロッドとを連結するときには、第2ロッドのソケット穴に上記プラグ部を挿入していく。すると、まず、プラグ部がソケット穴の環状突出部の内周面に挿入されると共に、上記ボールがガイド溝内を通過していく。引き続いて、第1嵌合部が第2嵌合部に嵌合し、第2接当面に第1接当面が接当する。
次いで、第1ロッドと第2ロッドとを相対的にロック回転させる。すると、上記第2ロッド及び当該第2ロッドに回転不能に連結された操作シャフトに対して第1ロッドのプラグ部およびボールが相対的にロック方向へ回転する(換言すれば、上記プラグ部およびボールに対して第2ロッド及び操作シャフトが相対的にロック方向へ回転する)。これにより、上記ボールが前記リリース溝から前記ロック溝へ相対的に移動することが可能となり、当該ボールが前記の係合部に基端側から対面する。これにより、上記第1ロッドと第2ロッドとの2つのロッドがロック状態に切換えられる。
【0011】
第2の発明は、前記の第1の発明と同様に、次の効果を奏する。
上記ロック状態において、ソケット側の第2ロッドに対してプラグ側の第1ロッドを分離させる方向へ引っ張り力が作用した場合でも、その引っ張り力は上記ボールと係合部とを介して第2ロッドに受け止められる。また、当該ロック状態において、上記第1ロッドに対して第2ロッドを分離させる方向へ引っ張り力が作用した場合でも、その引っ張り力は上記係合部とボールとを介して第1ロッドのプラグ部に受け止められる。従って、上記の引っ張り力が上記2つのロッドの連結状態を解除させることは確実に防止される。
また、上記ロック状態では、上記弾性部材の付勢力が操作シャフトを先端方向へ押しているため、その操作シャフトの前記ロック溝が上記ボールをロック回転の終点方向へ相対的に押している。このため、連結装置に振動や衝撃などが作用した場合であっても、その振動や衝撃などが上記ボールをリリース方向へ相対移動させることは防止され、上記2つのロッドの連結状態を保持できる。
【0012】
また、前記目的を達成するため、第3の発明は、例えば図8に示すように、連結装置を次のように構成した。
即ち、前記の第2の発明の連結装置において、前記の環状突出部25に前記ガイド溝30を形成することに代えて、前記リリース溝42の前記リリース回転の終点部42bまたはその近傍に凹部51が設けられる。その凹部51は、前記ソケット穴24と前記プラグ部8との挿抜時に、前記収容孔15内の前記ボール16が半径方向の内方へ後退するのを許容するように構成される。換言すれば、凹部51の深さは、上記の挿抜時に、ボール16が収容孔15内に殆んど収容されてしまうような深さに設定される。
【0013】
上記の第3の発明は、次の作用効果を奏する。
プラグ側の第1ロッドとソケット側の第2ロッドとが分離された状態では、第1ロッドのプラグ部に設けたボールが、操作シャフトのリリース溝の前記凹部(ホームポジション)に位置されるので、当該ボールが収容孔内で半径方向の内方へ後退可能とされ、また、弾性部材が操作シャフトを先端方向へ進出させている。
上記第1ロッドと第2ロッドとを連結するときには、第2ロッドのソケット穴に上記プラグ部を挿入していく。すると、まず、プラグ部および上記ボールがソケット穴の環状突出部の内周面に挿入され、その挿入抵抗により、上記ボールが、半径方向の内方へ後退して環状突出部の内周面の内側を通過していく。引き続いて、第1嵌合部が第2嵌合部に嵌合し、第2接当面に第1接当面が接当する。
上記の第3の発明におけるその他の作用効果は、上記の第1の発明または第2の発明と実質的に同じである。
【0014】
上記の第1発明から第3発明のいずれかの発明(以下、単に「本発明」という)においては、前記プラグ部8に設けた前記挿入孔9の前記環状壁に複数の前記収容孔15を周方向へ所定の間隔をあけて設けると共に、前記操作シャフト10に複数の前記カム溝17を周方向へ所定の間隔をあけて設けることが好ましい。
この場合、上記第1ロッドと第2ロッドとを周方向にほぼ均等に連結できる。
【0015】
本発明には、下記の構成を加えることが好ましい。
即ち、前記カム溝17は、前記ロック溝41と、前記操作シャフト10がリリース回転されたときに当該リリース回転の終点部42bへ向かうにつれて前記操作シャフト10の基端部に近づくように形成された前記リリース溝42と、前記ロック溝41と前記リリース溝42との間に形成された切換溝43であって前記ロック溝41及び前記リリース溝42よりも先端側に配置された切換溝43と、を備えるように構成する。
この場合、前記リリース状態において、前記の弾性体の付勢力により、前記ボールをリリース溝内に確実に保持することが可能になり、振動や衝撃等を受けた場合であっても当該リリース状態を維持できる。
【0016】
また、本発明では、前記ロック溝41の底壁の深さを、前記ロック回転の始点部41aから前記終点部41bへ向かうにつれて浅くなるように形成することが好ましい。
この場合、前記ロック状態では、ロック回転の終点方向へ浅くなるように形成された上記ロック溝の楔作用により、当該ロック溝が前記ボールを前記の係合部へ向けて押すことが可能になった。このため、前記第1ロッドのプラグ部と前記第2ロッドのソケット穴との両者の間には、これら両者を挿入するときに要求される半径方向の嵌合隙間が存在するにもかかわらず、上記ロック溝の楔作用により、第1ロッドと第2ロッドとの2つのロッドが半径方向にガタ付くことを防止できる。そのうえ、上記ボールが係合部を介して上記2つのロッドを引き寄せることができるので、第1当接面と第2当接面とが強力に接当される。その結果、上記2つのロッドが軸心方向にガタ付くことも防止できる。
【0017】
なお、本発明では、前記リリース溝42及び前記切換溝43の底壁の深さをほぼ一定に形成することが好ましい。
この場合、前記ボールがリリース溝及び切換溝内を円滑に相対移動できるので、リリース領域内と切換領域内では第1ロッドと第2ロッドとの2つのロッドを軽い力で操作できる。
【0018】
また、本発明では、例えば、図2Dに示すように、前記ボール16を前記カム溝17に装着するための組込溝45を、前記ロック溝41の基端部と前記操作シャフト10の基端部との間に形成することが好ましい。
なお、本発明では、例えば、図5Dに示すように、前記ボール16を前記カム溝17に装着するための組込溝45を、前記リリース溝42の先端部と前記操作シャフト10の先端寄り部との間に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1Aは、本発明の第1実施形態の連結装置を示し、その連結装置の分離状態の部分断面図である。図1Bは、図1Aの1B−1B矢視図である。図1Cは、図1Aの1C−1C切断端面を示す図である。図1Dは、上記の連結装置の操作シャフトに設けたカム溝の拡大断面図である。
図2図2Aは、上記連結装置の挿入状態を示し、上記図1Aに類似する図である。図2Bは、図2Aの2B−2B拡大断面図である。図2Cは、図2A中の矢印2C部分の拡大図である。図2Dは、前記カム溝にロック用のボールを嵌合させた状態の拡大展開図を示している。
図3図3Aは、上記連結装置の切換え途中の状態を示し、上記図2Aに類似する図である。図3Bは、図3Aの3B−3B拡大断面図である。図3Cは、図3A中の矢印3C部分の拡大図である。図3Dは、前記図2Dに類似する拡大展開図である。
図4図4Aは、上記連結装置のロック状態を示し、上記図3Aに類似する図である。図4Bは、図4Aの4B−4B拡大断面図である。図4Cは、図4A中の矢印4C部分の拡大図である。図4Dは、前記図3Dに類似する拡大展開図である。図4Eは、前記カム溝と前記ボールとの相対的な位置関係の変化を示し、前記図2Bに相当する図である。
図5図5Aは、本発明の第2実施形態の連結装置を示し、前記図2Aに類似する図である。図5Bは、図5Aの5B−5B断面の部分図である。図5Cは、前記図2Dに類似する図である。図5Dは、前記図4Dに類似する図である。
図6図6は、前記カム溝の第1変形例を示し、前記図5C又は図5Dに類似する図である。
図7図7は、前記カム溝の第2変形例を示し、前記図4Cに類似する図である。
図8図8は、本発明の連結装置の第3実施形態を示し、前記図2Aに類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1Aから図4Eは、本発明の第1実施形態を示している。
まず、主として図1Aから図2Dに基づいて、連結装置の全体構成を説明する。
その連結装置Dは、プラグ側の第1ロッド1(図1A中の右側のロッド)とソケット側の第2ロッド2(図1A中の左側のロッド)とを着脱可能に連結するように使用される。
【0021】
以下、上記プラグ側の第1ロッド1について説明する。なお、その第1ロッド1において、図1A中の左方が先端方向を示すと共に右方が基端方向を示している。
上記第1ロッド1は、円柱状の挿入ロッド1a及び延長ロッド1bを備える。その挿入ロッド1aに設けた雄ネジ5が延長ロッド1bの雌ネジ6にネジ止め固定される。
上記挿入ロッド1aのフランジ7に形成した第1接当面Fからプラグ部8が左方へ一体的に突出される。そのプラグ部8の左端面(先端面)から挿入孔9が右方へ凹入形成される。その挿入孔9に操作シャフト10が軸心方向(ここでは左右方向)へ移動可能かつ軸心回りに回転可能に挿入される。その操作シャフト10を左方へ付勢するように、圧縮コイルバネからなる弾性部材12が挿入孔9内に装着される。その弾性部材12の右端が挿入孔9の底壁に受け止められると共に、左端がバネ受け13に受け止められる。そのバネ受け13は、上記操作シャフト10の右端部に、軸心回りに相対回転可能に接当される。
【0022】
上記挿入孔9の環状壁には、半径方向へ貫通する2つの収容孔15が周方向へ所定の間隔をあけて設けられる。各収容孔15にロック用のボール16が半径方向へ移動自在に挿入される。
上記操作シャフト10の右端寄り部(基端寄り部)の外周面には、2つのカム溝17が、上記ボール16に対応するように周方向へ180度の間隔をあけて形成される。各カム溝17に上記ボール16が嵌合される。また、操作シャフト10の左端部(先端部)には、六角ボルト状の第1嵌合部18が設けられる。
なお、収容孔15の半径方向の外方端には縮径部15aが設けられ(図2Cを参照)、その縮径部15aによって、ボール16が半径方向の外方へ脱落するのを防止している。上記縮径部15aの形成方法としては、収容孔15を形成する工程で縮径部15aも同時に形成する場合と、ストレートに形成した収容孔15にボールを挿入した後で当該収容孔15の外側の開口端部をカシメ等で縮径させる場合とが考えられる。
【0023】
次に、前記第2ロッド2(図1A中の左側のロッド)について説明する。なお、その第2ロッド2において、図1A中の右方が先端方向を示すと共に左方が基端方向を示している。
上記第2ロッド2は、円筒状の受入ロッド2aと円柱状の延長ロッド2bとからなる。その受入ロッド2aの雌ネジ22に延長ロッド2bの雄ネジ23がネジ止め固定される。
上記受入ロッド2aの右端面(先端面)が、前記の第1接当面Fに接当される第2接当面Sを構成している。その第2接当面Sから左方へソケット穴24が凹入形成される。そのソケット穴24の周壁の右端寄り部(先端寄り部)が半径方向の内方へ突出されて環状突出部25が形成される。
【0024】
環状突出部25の右端部には、前記プラグ部8を案内するためのテーパ面26が設けられる。また、その環状突出部25の左端部には、前記ボール16が左側から接当可能な係合部28が環状に形成される(図3A図3Cを参照)。その係合部28は、図3Cに示すように、断面視で円弧状に形成されている。
さらに、上記の環状突出部25の内周面には、2つのガイド溝30が軸心方向へ形成される。これら2つのガイド溝30は、前記ボール16に対応させて周方向へ180度の間隔をあけて形成される。各ガイド溝30は、右側面視で半円形状に形成され(図1B図1Cを参照)、上記ソケット穴24と上記プラグ部8との挿抜時には、上記ボール16がガイド溝30内を左右方向へ通過するようになっている(図1A図2Aを参照)。
【0025】
なお、この第1実施形態のソケット穴24では、図1Aに示すように、最小内径寸法W1よりも環状突出部25の内径寸法W2が大きい値に設定されると共に、その内径寸法W2よりも最大内径寸法W3が大きい値に設定されている。ここでは、上記の最大内径寸法W3は、前記係合部28の左側の大径孔とガイド溝30の底壁の内径部と環状突出部25の右側の入口穴32の各箇所に形成されている。
また、上記ソケット穴24の左端寄り部(基端寄り部)には、六角穴からなる第2嵌合部34が設けられる。その第2嵌合部34は、図2Aに示すように、前記の六角ボルト状の第1嵌合部18に対して、軸心回りに相対回転不能かつ軸心方向へ相対移動可能に嵌合される。
【0026】
前記操作シャフト10の外周面に形成された前記カム溝17は、より詳しく説明すると、下記のように構成されている。
図2D(及び後述する図3D図4D)の拡大展開図に示すように、カム溝17は、左方(先端方向)へ凸になるようにアーチ状に湾曲されており、ロック溝41と、リリース溝42と、上記ロック溝41とリリース溝42との間に形成された切換溝43とを備える。
【0027】
上記ロック溝41は、操作シャフト10とプラグ部8とを軸心回りに相対的にロック回転させたときに、そのロック回転の始点部41aから終点部41bへ向かうにつれて操作シャフト10の右端部(基端部)に近づくように形成されている。また、ロック溝41の底壁の深さは、ロック回転の始点部41aから終点部41bへ向かうにつれて浅くなるように形成されている(図1D図4D中のロック領域Aを参照)。
上記リリース溝42は、上記ロック回転の始点部41aを挟んでロック溝41とは周方向の反対側に形成されており、操作シャフト10が前記ロック回転とは反対方向ヘリリース回転されたときに当該リリース回転の始点部42aから終点部42bへ向かうにつれて操作シャフト10の右端部(基端部)に近づくように形成されている。
上記切換溝43は、上記ロック回転の始点部41aとリリース回転の始点部42aとを滑らかに連通させるように左方(先端方向)へ凸状に湾曲されており、上記ロック溝41及びリリース溝42よりも左側(先端側)に配置されている。
【0028】
図1D(操作シャフト10の拡大断面図)に示すように、上記ロック溝41がロック領域Aを構成し、上記切換溝43が切換領域Cを構成している。また、上記リリース溝42及び切換溝43は、底壁の深さがほぼ一定に形成されている(図1D中の深さ一定領域Bを参照)。なお、この第1実施形態では、リリース回転の終点部42bが、前記ボール16のホームポジションHとして構成されている。
また、前記ボール16をカム溝17に装着するための組込溝45が、前記ロック溝41の右端部と前記操作シャフト10の右端部との間に形成される。
【0029】
上記構成の連結装置Dは次のように作動する。
なお、上記の第1ロッド1(図1A中の右側のロッド)と第2ロッド2(図1A中の左側のロッド)とを連結および連結解除する際には、固定側とされた第2ロッド2に対して第1ロッド1を軸心回りに回転させる場合と、これとは逆に、固定側とされた第1ロッド1に対して第2ロッド2を軸心回りに回転させる場合とが考えられる。下記の作動説明においては、説明の便宜上、右側の第1ロッド1に対して左側の第2ロッド2を軸心回りに回転させる場合で説明する。
【0030】
図1Aに示すように、第1ロッド1と第2ロッド2とが分離された状態では、その第1ロッド1に設けたボール16がホームポジションH(図1D図2Dを参照)に位置されると共に、バネからなる弾性部材12が操作シャフト10を左方へ進出させている。
その図1Aの分離状態において、軸心回りの回転位相に関し、第1ロッド1のボール16の位相と第2ロッド2のガイド溝30の位相とを合致させると、第1嵌合部18の位相と第2嵌合部34の位相も合致するように構成されている。
【0031】
上記第1ロッド1と第2ロッド2とを連結するときには、第2ロッド2のソケット穴24に第1ロッド1のプラグ部8を挿入していく。すると、まず、プラグ部8が、ソケット穴24の環状突出部25の内周面(図1A中のW2を参照)に所定の隙間をあけた状態で円滑に挿入されると共に、上記ボール16がガイド溝30内を通過していく。引き続いて、図2Aに示すように、第1嵌合部18が第2嵌合部34に嵌合し、プラグ部8の大径の基部8aがソケット穴24の入口穴32に嵌合すると共に第2接当面Sに第1接当面Fが接当する。
その図2Aの挿入状態では、図2Cに示すように、カム溝17内のホームポジションH(図2B図2Dを参照)に位置するボール16がガイド溝30の左側開口端に対面している。
【0032】
次いで、上記図2Aの挿入状態において、第1ロッド1に対して第2ロッド2を左側面視で時計回りの方向へロック回転させる(図3A中の矢印Rを参照)。なお、図3Bの右側面視では、第2ロッド2が反時計回りの方向へ回転されることになる。
【0033】
これにより、図3Aの切換え途中状態に示すように、第2ロッド2の第2嵌合部34が第1嵌合部18を介して操作シャフト10を左側面視で時計回りの方向へ回転させる(図3Bの右側面視では、操作シャフト10が反時計回りの方向へ回転される)。すると、図3B図3Dに示すように、プラグ部8に保持されたボール16に対してカム溝17がリリース溝42の領域から切換溝43の領域(図1D中の切換領域C)へ相対的に移動し、これと同時に、上記ボール16がリリース溝42を図3A中の右方へ押し、その右方への押力が前記バネ12の付勢力に抗して操作シャフト10を右方へ後退させる。この状態では、図3Cに示すように、上記ボール16が前記の係合部28に対面する。
【0034】
上記図3Cの切換え途中状態から、引き続いて、第1ロッド1に対して第2ロッド2をロック回転させて、上記操作シャフト10を左側面視で時計回りの方向へ回転させていく。
これにより、上記操作シャフト10が左側面視で時計回りの方向へさらに回転され、図4B図4Dに示すように、プラグ部8に保持されたボール16に対してカム溝17が切換溝43の領域からロック溝41の領域(ロック領域A)へ移動し、これと同時に、上記ボール16がロック溝41を左方へ押し、その左方への押力が前記バネ12の付勢力と協働して操作シャフト10を左方へ進出させる。なお。図4D中の参照符号Lは、前記ボール16のロック位置をしている。
【0035】
上記ロック状態では、図4Cに示すように、ロック回転の終点部41bの方向へ浅くなるように形成された上記ロック溝41の楔作用により、当該ロック溝41が収容孔15内のボール16を半径方向の外方かつ左方へ押すので、上記ボール16が前記係合部28に係合する。これにより上記ボール16が、係合部28を介して第2ロッド2を右方へ押すと共に、収容孔15を介してプラグ部8を左方に押すので、第1接当面Fと第2接当面Sとが強力に接当される。なお、図4C中の参照符号P1は、ボール16と係合部28との接当部を示し、参照符号P2は、当該ボール16とロック溝41との接当部を示し、参照符号P3は、上記ボール16と収容孔15の周壁との接当部を示している。
【0036】
上記構造の連結装置Dは、下記の長所を奏する。
上記ロック状態において、第2ロッド2に対して第1ロッド1を右方へ引っ張る力が作用した場合でも、その引っ張り力が上記ボール16と係合部28とを介して第2ロッド2の環状突出部25に受け止められ、その第2ロッド2から第1ロッド1が引き抜かれるのを防止できる。
また、上記ロック状態では、図4A(及び図4D)に示すように、上記バネ12の付勢力が操作シャフト10を左方へ押しているため、その操作シャフト10のロック溝41が上記ボール16をロック回転の終点方向へ相対的に押している。このため、連結状態の第1ロッド1及び第2ロッド2に振動や衝撃などが作用した場合であっても、その振動や衝撃などによって上記ボール16がリリース方向へ相対移動することが防止される。
さらに、上記ロック状態では、ロック回転の終点方向へ浅くなるように形成された上記ロック溝41の楔作用により、当該ロック溝41が前記ボール16を前記の係合部28へ向けて押すことが可能になった。このため、前記第1ロッド1のプラグ部8と前記第2ロッド2のソケット穴24との両者の間には、これら両者を挿入するときに要求される半径方向の嵌合隙間が存在するにもかかわらず、上記ロック溝41の楔作用により、第1ロッド1と第2ロッド2との2つのロッドが半径方向にガタ付くことを防止できる。そのうえ、前述したように、第1接当面Fと第2接当面Sとが強力に接当されるので、上記2つのロッドが軸心方向にガタ付くことも防止できる。
【0037】
なお、上記の連結装置Dは、上記ロック状態(図4A図4Dを参照)から前記リリース状態(図2A図2Dを参照)へ切り換えるときには、第1ロッド1に対して第2ロッド2を左側面視で反時計回りの方向へリリース回転させればよい。これにより、連結装置Dは、前述したロック動作とはほぼ逆の手順でリリース状態へ切り換えられる。
【0038】
上述の作動説明では、連結装置Dの連結および連結解除時に、第1ロッド1に対して第2ロッド2を回転させるとしたが、既に説明したとおり、第2ロッド2に対して第1ロッド1を回転させるようにしてもよいことは勿論である。
より詳しくいえば、図4Eは、前記図2Bに相当する図であって、前述したロック回転とは逆に、第2ロッド2に対して第1ロッド1のプラグ部8(及びボール16)を右側面視で時計回りの方向へロック回転させた場合を例示している。この場合、第2ロッド2に連結された操作シャフト10が固定側となり、その操作シャフト10のカム溝17に沿って前記ボール16が実線図のリリース位置から破線図のロック位置へ移動する。その他の作動は、上述の作動説明と同様である。
【0039】
図5Aから図5Dと、図6と、図7と、図8は、それぞれ、本発明の別の実施形態や変形例を示している。これらの別の実施形態や変形例においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0040】
図5Aから図5Dの第2実施形態において、図5Aは、第1ロッド1を第2ロッド2に挿入した状態を示し、前記図2Aに類似する図である。図5Bは、図5Aの5B−5B断面の部分図である。図5Cは、前記図2Dに類似する図である。図5Dは、前記図4Dに類似する図である。
【0041】
その第2実施形態(図5Aから図5D)は、上記の第1実施形態とは次の点で異なる。
前記の第1ロッド1において、挿入ロッド1aにネジ止め固定された延長ロッド1bの左端面に前記の第1接当面Fが設けられる。
前記の第1嵌合部18は、操作シャフト10の左端部(先端部)に設けたU字状の溝によって構成される。また、前記の第2嵌合部34は、上記U字状の溝からなる第1嵌合部18に嵌合するピンによって構成される。そのピンからなる第2嵌合部34の両端部が第2プラグ2のソケット穴24の周壁に固定される。
【0042】
また、前記弾性部材(バネ)12の前記バネ受け13は球体によって構成される。その弾性部材12の右端部は、挿入ロッド1aの右端部に螺合させた別のバネ受け48によって受け止められる。
さらに、前記ロック用のボール16を前記カム溝17に装着するための組込溝45は、前記リリース溝42の左端部(先端部)と前記操作シャフト10の左端寄り部(先端寄り部)との間に形成される。
上記の第2実施形態の連結装置Dは、上述した第1実施形態と同様に作動する。
【0043】
図6は、前記カム溝17の第1変形例を示し、前記図5C(又は図5D)に類似する図である。
この場合、カム溝17は、左方(先端方向)へ凸になるように台形状に形成される。また、図6中の一点鎖線は、前記ボール(図示せず)が相対移動するときの軌跡を示している。
なお、前記の組込溝45は、前記図5C(又は図5D)と同様に形成されている。
【0044】
図7は、前記カム溝17の第2変形例を示し、前記図4Cに類似する図である。
そのカム溝17の底壁は、当該カム溝17の長手方向のほぼ全長にわたって一定の深さに形成される。また、前記の係合部28は、断面視で、大きい半径寸法の円弧部分によって形成される。
【0045】
図8は、本発明の連結装置の第3実施形態を示し、前記図2Aの挿入状態に類似する図である。この図8の第3実施形態は、前記の第1実施形態とは次の点で異なる。
即ち、前記の環状突出部25に前記ガイド溝を形成することに代えて、前記リリース溝42の前記リリース回転の終点部またはその近傍の底壁に凹部51が設けられる。その凹部51は、前記ソケット穴24と前記プラグ部8との挿抜時に前記収容孔15内の前記ボール16が半径方向の内方へ後退するのを許容するように構成される。換言すれば、凹部51の深さは、上記の挿抜時に、ボール16が収容孔15内に殆んど収容されてしまうような深さに設定される。
【0046】
上記の図8の第3実施形態は、次のように作動する。
プラグ側の第1ロッド1とソケット側の第2ロッド2とが分離された状態では(図示せず)、第1ロッド1のプラグ部8に設けたボール16が、操作シャフト10のリリース溝42の前記凹部51(ホームポジション)に位置されるので、当該ボール16が収容孔15内で半径方向の内方へ後退可能とされる。また、弾性部材12が操作シャフト10を左方(先端方向)へ進出させている。
上記第1ロッド1と第2ロッド2とを連結するときには、第2ロッド2のソケット穴24に上記プラグ部8を挿入していく。すると、まず、プラグ部8および上記ボール16がソケット穴24の環状突出部25の内周面に挿入され、その挿入抵抗により、上記ボール16が、半径方向の内方へ後退して環状突出部25の内周面の内側を通過していく。引き続いて、第1嵌合部18が第2嵌合部34に嵌合し、第2接当面Sに第1接当面Fが接当する。
上記の第3実施形態におけるその他の作動は、上記の第1実施形態または第2実施形態と実質的に同じである。
【0047】
上記の各実施形態や変形例は次のように変更可能である。
第1ロッド1は、前記の挿入ロッド1aと延長ロッド1bとを別体に形成することに代えて一体に形成してもよい。また、第2ロッド2も、前記の受入ロッド2aと延長ロッド2bとを別体に形成することに代えて一体に形成してもよい。さらには、上記挿入ロッド1aだけで第1ロッド1を構成してもよく、上記受入ロッド2aだけで第2ロッド2を構成してもよい。
【0048】
前記挿入孔9の環状壁に形成した収容孔15とボール16の数量は、例示の2つに代えて、1つ又は3つ以上であってもよいが、2つから5つであることが好ましく、連結装置が小径の場合には2つ又は3つであることが好ましい。
前記操作シャフト10を先端方向へ付勢する弾性部材12は、例示した圧縮コイルバネに代えて他の種類のバネであってもよく、また、ゴム等の弾性体であってもよい。
【0049】
前記カム溝17は、例示したアーチ状や台形状に形成することに代えて、山形状などに形成してもよい。
また、上記カム溝17のリリース溝42と切換溝43は、前記のロック溝41の始点部41aから、前記操作シャフト10の右端面と平行状に周方向へ形成されたものであってもよい。
さらには、上記カム溝17は、上記切換溝43を省略して、ロック溝41及びリリース溝42だけで構成してもよい。この場合、上記ロック溝41の始点部41aから上記リリース溝42をロック溝41とほぼ同じ方向で先端方向へ延設すると共に当該リリース溝42の先端部の底壁に凹所を設け、その凹所が、前記ボール16をリリース位置(ホームポジション)に保持するように構成することが考えられる。
また、上記カム溝17の底壁の深さは、リリース溝42の終点部42bからロック溝41の終点部41bへ向かうにつれて(換言すれば、当該カム溝17の長手方向の全域にわたって)次第に浅くなるように形成してもよい。
【0050】
前記の第1実施形態(図1Aから図4E)において、第1嵌合部18を六角ボルト状に構成すると共に第2嵌合部34を六角穴で構成するとしたが、これに代えて、第1嵌合部18を六角穴で構成すると共に第2嵌合部34を六角ボルト状に構成することも可能である。また、第1嵌合部18と第2嵌合部34の両者の嵌合構造は、これら両者を軸心回りの相対回転が阻止されるように嵌合させればよく、側面視で六角形の嵌合に代えて、四角形や楕円形などの嵌合であってもよい。
本発明の連結装置の用途としては、射出成形機のエジェクターロッドの外に、例えば、プレス機械のクッションピンやダイカストマシンのノックアウトピン等のような種々のロッド部材が考えられる。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1:第1ロッド,2:第2ロッド,8:プラグ部,9:挿入孔,10:操作シャフト,12:弾性部材(バネ),15:収容孔,16:ボール,17:カム溝,18:第1嵌合部,24:ソケット穴,25:環状突出部,28:係合部,30:ガイド溝,34:第2嵌合部,41:ロック溝,42:リリース溝,43:切換溝,45:組込溝,51:凹部,F:第1接当面,S:第2接当面.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8