特許第5894556号(P5894556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000004
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000005
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000006
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000007
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000008
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000009
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000010
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000011
  • 特許5894556-空気入りタイヤ 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894556
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20160317BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20160317BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   B60C11/03 B
   B60C11/03 100B
   B60C11/13 D
   B60C11/13 C
   B60C5/00 H
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-87706(P2013-87706)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-210499(P2014-210499A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】山岡 宏
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−149124(JP,A)
【文献】 特開2003−011618(JP,A)
【文献】 特開2011−183993(JP,A)
【文献】 特開2000−158916(JP,A)
【文献】 特開2009−262647(JP,A)
【文献】 特開2003−054221(JP,A)
【文献】 特開平07−232512(JP,A)
【文献】 特開平10−100615(JP,A)
【文献】 特開2007−008342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
B60C 5/00
B60C 11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部に、タイヤ赤道の両側かつ最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、前記一対のショルダー主溝間をタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、タイヤ赤道の両側に、前記ショルダー主溝と前記センター主溝との間のミドル陸部と、前記ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側のショルダー陸部とが区分され、かつ、車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤであって、
前記ミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に配される外側ミドル陸部を含み、
前記外側ミドル陸部は、前記センター主溝と前記ショルダー主溝との間を連通しかつ溝幅が0.5〜1.5mmの外側ミドル横溝が設けられ、かつ、溝幅が1.5mmより大きい溝が設けられておらず、
前記外側ミドル横溝は、タイヤ軸方向に対して傾斜した第1傾斜部と、前記第1傾斜部と逆向きに傾斜する第2傾斜部とを含み、
前記ショルダー陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に配される外側ショルダー陸部を含み、
前記外側ショルダー陸部は、前記ショルダー主溝よりも溝幅が小さくかつタイヤ周方向に連続してのびるショルダー細溝により、タイヤ軸方向外側の外側部と、タイヤ軸方向内側の内側部とに区分され、
前記外側部には、前記トレッド接地端の外側から前記ショルダー細溝までのびる第1ラグ溝と、前記トレッド接地端の外側からのび、前記外側部内で終端する第2ラグ溝とが設けられており、
前記外側ミドル横溝は、タイヤ周方向に複数設けられ、
前記外側ミドル横溝のタイヤ周方向のピッチは、前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝との間のタイヤ周方向のピッチよりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記ミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両内側に配される内側ミドル陸部を含み、
前記内側ミドル陸部は、前記センター主溝と前記ショルダー主溝との間を連通する複数本の内側ミドル横溝が設けられ、
前記内側ミドル横溝は、溝幅が0.5〜1.5mmの細幅部と、溝幅が1.5mmより大きくかつ4.0mm以下である太幅部とを含む請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記細幅部は、前記ショルダー主溝に連通し、
前記太幅部は、前記センター主溝に連通する請求項2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ショルダー主溝は、車両装着時にタイヤ軸方向外側に配される外側ショルダー主溝を含み、
タイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、
前記外側ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側の溝壁面は、前記外側ショルダー主溝の溝底部からタイヤ半径方向外側に向かってのびる急斜面部と、該急斜面部よりも緩やかに傾斜する緩斜面部とを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記緩斜面部は、中心をタイヤ外方に有する円弧状に凹む曲面である請求項4記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記内側部は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
タイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、
前記ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側の溝壁面は、前記ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側の溝縁を通りかつ前記トレッド部の踏面に立てた法線に対して、16〜20°の角度で傾斜する請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記外側ミドル横溝は、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間の接続部を含み、
前記接続部は、前記外側ミドル陸部のタイヤ軸方向の中心位置よりもタイヤ軸方向内側に設けられている請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ軸方向外側に向かって溝幅が漸減している請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回時の安定性を維持しつつ、ウェット性能及び乗り心地性能を向上させた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤのトレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる主溝が設けられる。このような主溝は、タイヤのウェット性能を向上させる。
【0003】
しかしながら、主溝は、トレッド部の剛性を低下させ、旋回時の安定性(以下、「旋回安定性能」ということがある。)を低下させるおそれがあった。
【0004】
例えば、下記特許文献1では、車両装着時、タイヤ赤道より車両外側に位置する陸部を、タイヤ周方向に連続するリブとした空気入りタイヤが提案されている。このような空気入りタイヤは、車両外側の陸部の剛性を大きくし、旋回安定性能を向上させる。
【0005】
しかしながら、このような空気入りタイヤは、ウェット性能や乗り心地性能が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−149124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ミドル陸部の形状を改善することを基本として、旋回安定性能を維持しつつウェット性能及び乗り心地性能を向上させた空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち、請求項1記載の発明は、トレッド部に、タイヤ赤道の両側かつ最もトレッド接地端側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、前記一対のショルダー主溝間をタイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝とが設けられることにより、タイヤ赤道の両側に、前記ショルダー主溝と前記センター主溝との間のミドル陸部と、前記ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側のショルダー陸部とが区分され、かつ、車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤであって、前記ミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に配される外側ミドル陸部を含み、前記外側ミドル陸部は、前記センター主溝と前記ショルダー主溝との間を連通しかつ溝幅が0.5〜1.5mmの外側ミドル横溝が設けられ、かつ、溝幅が1.5mmより大きい溝が設けられておらず、前記外側ミドル横溝は、タイヤ軸方向に対して傾斜した第1傾斜部と、前記第1傾斜部と逆向きに傾斜する第2傾斜部とを含み、前記ショルダー陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に配される外側ショルダー陸部を含み、前記外側ショルダー陸部は、前記ショルダー主溝よりも溝幅が小さくかつタイヤ周方向に連続してのびるショルダー細溝により、タイヤ軸方向外側の外側部と、タイヤ軸方向内側の内側部とに区分され、前記外側部には、前記トレッド接地端の外側から前記ショルダー細溝までのびる第1ラグ溝と、前記トレッド接地端の外側からのび、前記外側部内で終端する第2ラグ溝とが設けられており、前記外側ミドル横溝は、タイヤ周方向に複数設けられ、前記外側ミドル横溝のタイヤ周方向のピッチは、前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝との間のタイヤ周方向のピッチよりも大きいことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記ミドル陸部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両内側に配される内側ミドル陸部を含み、前記内側ミドル陸部は、前記センター主溝と前記ショルダー主溝との間を連通する複数本の内側ミドル横溝が設けられ、前記内側ミドル横溝は、溝幅が0.5〜1.5mmの細幅部と、溝幅が1.5mmより大きくかつ4.0mm以下である太幅部とを含む請求項1記載の空気入りタイヤである。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記細幅部は、前記ショルダー主溝に連通し、前記太幅部は、前記センター主溝に連通する請求項2記載の空気入りタイヤである。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、前記ショルダー主溝は、車両装着時にタイヤ軸方向外側に配される外側ショルダー主溝を含み、タイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、前記外側ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側の溝壁面は、前記外側ショルダー主溝の溝底部からタイヤ半径方向外側に向かってのびる急斜面部と、該急斜面部よりも緩やかに傾斜する緩斜面部とを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記緩斜面部は、中心をタイヤ外方に有する円弧状に凹む曲面である請求項4記載の空気入りタイヤである。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、前記トレッド部は、前記ショルダー主溝よりもタイヤ軸方向外側にショルダー陸部を有し、前記ショルダー陸部は、車両装着時に車両外側に配される外側ショルダー陸部を含み、前記外側ショルダー陸部は、前記ショルダー主溝よりも溝幅が小さくかつタイヤ周方向に連続してのびるショルダー細溝により、タイヤ軸方向外側の外側部と、タイヤ軸方向内側の内側部とに区分され、前記内側部は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、タイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、前記ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側の溝壁面は、前記ショルダー主溝のタイヤ軸方向外側の溝縁を通りかつ前記トレッド部の踏面に立てた法線に対して、16〜20°の角度で傾斜する請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、前記外側ミドル横溝は、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間の接続部を含み、前記接続部は、前記外側ミドル陸部のタイヤ軸方向の中心位置よりもタイヤ軸方向内側に設けられている請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤである。また、請求項9記載の発明は、前記外側ミドル横溝は、タイヤ周方向に複数設けられ、前記外側ミドル横溝のタイヤ周方向のピッチは、前記第1ラグ溝と前記第2ラグ溝との間のタイヤ周方向のピッチよりも大きい請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤである。また、請求項10記載の発明は、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ軸方向外側に向かって溝幅が漸減している請求項1乃至9のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空気入りタイヤは、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に配される外側ミドル陸部を有する。外側ミドル陸部は、センター主溝とショルダー主溝との間を連通しかつ溝幅が0.5〜1.5mmの外側ミドル横溝が設けられている。このような外側ミドル横溝は、ウェット性能を向上させ、かつ、外側ミドル陸部の剛性を適度に緩和して乗り心地性能を向上させる。
【0017】
また、外側ミドル陸部は、溝幅が1.5mmより大きい溝が設けられていない。これにより、外側ミドル陸部の剛性の大幅な低下が抑制される。このため、旋回安定性能が維持される。
【0018】
さらに、外側ミドル横溝は、タイヤ軸方向に対して傾斜した第1傾斜部と、第1傾斜部と逆向きに傾斜する第2傾斜部とを含む。外側ミドル横溝は、上述のように溝幅が特定されているため、接地荷重負荷時、外側ミドル横溝の溝壁面が互いに密着して一体となる。このとき、外側ミドル横溝が互いに逆向きに傾斜した第1傾斜部及び第2傾斜部を含むため、外側ミドル陸部は、タイヤ軸方向のせん断変形が効果的に抑制される。従って、旋回安定性能がより効果的に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図1の外側ミドル陸部の拡大図である。
図4】(a)無負荷時の外側ミドル陸部の斜視図であり、(b)は外側ミドル横溝の溝壁面が密着した外側ミドル陸部の斜視図である。
図5図1の内側ミドル陸部の拡大図である。
図6図1の外側ショルダー陸部の拡大図である。
図7図1の内側ショルダー陸部の拡大図である。
図8図1のセンター陸部の拡大図である。
図9】(a)は内側ショルダー主溝の拡大断面図、(b)は外側ショルダー主溝の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1は、車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤである。図1のタイヤ1の左側が、車両装着時に車両外側となる。本実施形態のタイヤは、タイヤ赤道Cで左右非対称である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車用のラジアルタイヤとして好適に使用される。
【0021】
タイヤ1のトレッド部2には、一対のショルダー主溝3、3と、一対のセンター主溝4、4とが設けられる。
【0022】
ショルダー主溝3は、タイヤ赤道Cの両側かつ最もトレッド接地端Te側でタイヤ周方向に連続してのびる。本実施形態のショルダー主溝3は、略一定の溝幅を有し、直線状である。ショルダー主溝3は、車両装着時、車両外側に配される外側ショルダー主溝3A、及び、車両内側に配される内側ショルダー主溝3Bを含む。
【0023】
「トレッド接地端Te」は、正規リム(図示せず)にリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも無負荷である正規状態のタイヤ1が、正規荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。
【0024】
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0025】
前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0026】
前記「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
【0027】
センター主溝4は、ショルダー主溝3、3間かつタイヤ赤道Cの両側をタイヤ周方向に連続してのびる。本実施形態のセンター主溝4は、略一定の溝幅を有し、直線状である。センター主溝4は、車両装着時、車両外側に配される外側センター主溝4A、及び、車両内側に配される内側センター主溝4Bを含む。
【0028】
ショルダー主溝3の溝幅W1及びセンター主溝4の溝幅W2は、例えば、トレッド接地幅TWの6〜8%である。このようなショルダー主溝3及びセンター主溝4は、ウェット走行時、路面とトレッド部2との間の水膜を効果的に排出し、ウェット性能を向上させる。
【0029】
なお、トレッド接地幅TWは、正規状態のタイヤ1のトレッド接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離である。
【0030】
図2には、図1のA−A断面図が示される。図2に示されるように、ショルダー主溝3及びセンター主溝4の溝深さd1及びd2は、例えば、5〜10mmであるのが望ましい。
【0031】
図1に示されるように、トレッド部2には、一対のセンター主溝4、4の間のセンター陸部5、タイヤ赤道Cの各側においてショルダー主溝3とセンター主溝4との間のミドル陸部6、及び、ショルダー主溝3、3よりもタイヤ軸方向外側の一対のショルダー陸部7、7に区分される。
【0032】
ミドル陸部6は、車両装着時にタイヤ赤道Cよりも車両外側に配される外側ミドル陸部6Aと、車両装着時にタイヤ赤道Cよりも車両内側に配される内側ミドル陸部6Bとを含む。
【0033】
図3には、外側ミドル陸部6Aの拡大図が示される。図3に示されるように、外側ミドル陸部6Aは、略一定の幅を有している。外側ミドル陸部6Aのタイヤ軸方向の幅W3は、好ましくはトレッド接地幅TW(図1及び図2に示され、以下、同様である)の0.09〜0.13倍である。このような外側ミドル陸部6Aは、ウェット性能を維持しつつ、優れた操縦安定性を発揮する。
【0034】
外側ミドル陸部6Aには、外側ミドル横溝20が設けられている。外側ミドル横溝20は、センター主溝4とショルダー主溝3との間を連通している。外側ミドル横溝20は、溝幅W4が0.5〜1.5mmである。このような外側ミドル横溝20は、ウェット性能を向上させ、かつ、外側ミドル陸部6Aの剛性を適度に緩和して乗り心地性能を向上させる。
【0035】
外側ミドル陸部6Aには、溝幅が1.5mmより大きい溝が設けられていない。これにより、外側ミドル陸部6Aの剛性の大幅な低下が抑制される。このため、高い旋回安定性能が維持される。
【0036】
外側ミドル陸部6Aに溝幅が1.5mmより大きい溝が設けられた場合、外側ミドル陸部6Aの剛性が低下し、旋回安定性能が低下する。また、外側ミドル横溝20の溝幅W4が0.5mmより小さい場合、ウェット性能の向上が期待できない。
【0037】
外側ミドル横溝20は、タイヤ軸方向に対して傾斜した第1傾斜部21と、第1傾斜部21と逆向きに傾斜する第2傾斜部22と、これらの間の接続部23とを含む。
【0038】
図4(a)及び(b)には、外側ミドル陸部6Aの斜視図が示される。図4に示されるように、外側ミドル陸部6Aが無負荷時、外側ミドル横溝20は開口している。は、上述のように外側ミドル横溝20の溝幅が0.5〜1.5mmとされているため、図4(b)に示されるように、接地荷重負荷時、タイヤ周方向の力F1及びF2がミドル陸部6Aに作用して、外側ミドル横溝20の溝壁面は互いに密着して一体となる。このとき、外側ミドル横溝20が互いに逆向きに傾斜した第1傾斜部21及び第2傾斜部22を含むため、外側ミドル陸部6Aは、タイヤ軸方向の力F3及びF4が作用しても、容易に変形しない。即ち、外側ミドル陸部6Aは、タイヤ軸方向のせん断変形が効果的に抑制される。従って、旋回安定性能がより効果的に維持される。
【0039】
図3に示されるように、接続部23は、例えば、外側ミドル陸部6Aのタイヤ軸方向の中心位置6cよりもタイヤ軸方向内側に設けられているのが望ましい。これにより、接続部23付近には、より大きな接地荷重が負荷するため、上述の効果がより一層発揮される。
【0040】
本実施形態の接続部23は、外側ミドル横溝20の鋭い折れ曲がりで形成されている。このような接続部23は、溝壁面が接触したとき、外側ミドル陸部6Aのせん断変形をより効果的に抑制する。接続部23は、円弧状でも良い。
【0041】
接続部23と外側ミドル陸部6Aの前記中心位置6cとのタイヤ軸方向の距離L1は、好ましくは外側ミドル陸部6Aのタイヤ軸方向の幅W3の0.28倍以上、より好ましくは0.30倍以上であり、好ましくは0.36倍以下、より好ましくは0.34倍以下である。接続部23と外側ミドル陸部6Aの前記中心位置6cとの前記距離L1が外側ミドル陸部6Aの前記幅W3の0.28倍より小さい場合、摩耗し易い接続部23がタイヤ軸方向外側に位置するため、偏摩耗が発生するおそれがある。逆に、前記距離L1が外側ミドル陸部6Aの前記幅W3の0.36倍より大きい場合、第1傾斜部21が大きくなり、上述した効果が発揮されないおそれがある。
【0042】
第1傾斜部21のタイヤ軸方向に対する角度θ2は、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上であり、好ましくは60°以下、より好ましくは55°以下である。第1傾斜部21の前記角度θ2が40°より小さい場合、荷重負荷時に外側ミドル横溝20の溝壁面が接触しても、タイヤ軸方向の変形を抑制する効果が得られないおそれがある。逆に、第1傾斜部21の前記角度θ2が60°より大きい場合、接続部23付近で偏摩耗が生じるおそれがある。
【0043】
同様の観点から、第2傾斜部22のタイヤ軸方向に対する角度θ3は、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上であり、好ましくは60°以下、より好ましくは55°以下である。
【0044】
図5には、内側ミドル陸部6Bの拡大図が示される。図5に示されるように、内側ミドル陸部6Bは、略一定の幅W5を有している。
【0045】
内側ミドル陸部6Bのタイヤ軸方向の幅W5は、トレッド部の剛性を維持しつつ、ウェット性能の低下を抑えるために、好ましくはトレッド接地幅TWの0.11倍以上、より好ましくは0.13倍以上であり、好ましくは0.17倍以下、より好ましくは0.15倍以下とされる。
【0046】
内側ミドル陸部6Bには、内側ミドル横溝30と内側ミドルラグ溝31とがタイヤ周方向に交互に隔設される。
【0047】
内側ミドル横溝30は、細幅部32と、太幅部33とを含む。細幅部32の溝幅W6は0.5〜1.5mmである。細幅部32は、ショルダー主溝3に連通する。細幅部32は、タイヤ軸方向に対して傾斜してのびる。細幅部32は直線状である。このような細幅部32は、ショルダー主溝3の排水性能を補い、ウェット性能を向上させる。
【0048】
細幅部32の溝幅W6が0.5mmより小さい場合、ウェット性能が向上しないおそれがある。逆に、細幅部32の溝幅W6が1.5mmより大きい場合、内側ミドル陸部6Bの剛性が低下して旋回安定性能が低下するおそれがある。
【0049】
太幅部33は、細幅部32よりも太い溝幅を有する。太幅部33の溝幅W7は、1.2mmより大きくかつ4.0mm以下である。太幅部33は、細幅部32及びセンター主溝4に連通する。太幅部33は、タイヤ軸方向に対して傾斜してのびる。太幅部33は直線状である。このような太幅部33は、内側ミドル陸部6Bの剛性を適正にし、旋回安定性能を維持する。
【0050】
太幅部33の溝幅W7は、より好ましくは1.7mm以上、さらに好ましくは2.3mm以上であり、より好ましくは3.5mm以下、さらに好ましくは3.0mm以下である。太幅部33の溝幅W7が1.7mmより小さい場合、ウェット性能が向上しないおそれがある。逆に、太幅部33の溝幅W7が3.5mmより大きい場合、内側ミドル陸部6Bの剛性が小さくなり、旋回安定性能が低下するおそれがある。
【0051】
内側ミドルラグ溝31は、ショルダー主溝3に連通し、かつ、内側ミドル陸部6B内で終端する。内側ミドルラグ溝31は直線状にのびる。内側ミドルラグ溝31は、ショルダー主溝3に連通する外側溝部34と、外側溝部34のタイヤ軸方向内側に連通する中央溝部35とを含む。外側溝部34は、中央溝部35より大きい溝幅を有している。内側ミドルラグ溝31は、内側ミドル横溝30と協働して内側ミドル陸部6Bの剛性を緩和し、旋回安定性能を維持しつつ、ウェット性能及び乗り心地性能を向上させる。
【0052】
図1に示されるように、ショルダー陸部7は、車両装着時に車両外側に配される外側ショルダー陸部7Aと、車両装着時に車両内側に配される内側ショルダー陸部7Bとを含む。
【0053】
図6には、外側ショルダー陸部7Aの拡大図が示される。図6に示されるように、外側ショルダー陸部7Aは、略一定の幅W8を有している。外側ショルダー陸部7Aのタイヤ軸方向の幅W8は、旋回安定性能及び乗り心地性能を両立させるために、好ましくはトレッド接地幅TWの0.18倍以上、より好ましくは0.20倍以上であり、好ましくは0.24倍以下、より好ましくは0.22倍以下とされる。
【0054】
外側ショルダー陸部7Aには、ショルダー細溝40Aが設けられる。ショルダー細溝40Aは、タイヤ周方向に連続してのびる。これにより、外側ショルダー陸部7Aは、タイヤ軸方向外側の外側部41と、タイヤ軸方向内側の内側部42とに区分される。
【0055】
ショルダー細溝40Aは、ショルダー主溝3よりも小さい溝幅を有する。ショルダー細溝40Aの溝幅W9は、好ましくは0.5mm以上、好ましくは0.8mm以上であり、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下である。このようなショルダー細溝40Aは、外側ショルダー陸部7Aの剛性を大きく低下させない。このため、旋回安定性能及びウェット性能が両立する。
【0056】
同様の観点からショルダー細溝40Aの溝深さd3(図2に示す)は、好ましくは3.0mm以上、より好ましくは3.5mm以上であり、好ましくは4.5mm以下、より好ましくは4.0mm以下である。
【0057】
外側ショルダー陸部7Aの外側部41は、略一定の幅を有している。外側ショルダー陸部7Aの外側部41には、第1ラグ溝43及び第2ラグ溝44がタイヤ周方向に交互に設けられる。第1ラグ溝43は、トレッド接地端Teの外側からショルダー細溝40Aまでのびる。第2ラグ溝44は、トレッド接地端Teの外側からのび、前記外側部41内で終端する。これにより、ウェット性能及びワンダリング性能が向上する。
【0058】
第1ラグ溝43及び第2ラグ溝44は、タイヤ軸方向外側に向かって溝幅が漸減しているのが好ましい。このような第1ラグ溝43及び第2ラグ溝44は、外側ショルダー陸部7Aの剛性を、タイヤ軸方向外側に向かって漸増させる。このため、旋回時、外側ショルダー陸部7Aに大きな負荷が作用したとき、外側ショルダー陸部7Aの接地面積の増加が緩やかになる。従って、とりわけ急旋回時の旋回安定性が向上する。
【0059】
外側ショルダー陸部7Aの内側部42は、タイヤ周方向に連続してのびるリブである。本実施形態の前記内側部42には、溝が全く設けられていない。このような内側部42は、外側ショルダー陸部7Aのタイヤ周方向の剛性を高め、旋回安定性能を向上させる。
【0060】
前記内側部42のタイヤ軸方向の幅W10は、好ましくは外側ショルダー陸部7Aのタイヤ軸方向の幅W8の0.25倍以上、より好ましくは0.28倍以上であり、好ましくは0.35倍以下、より好ましくは0.32倍以下である。このような前記内側部42は、外側ショルダー陸部7Aの剛性を大きくする。このため、旋回安定性能及び乗り心地性能が向上する。
【0061】
図7には、内側ショルダー陸部7Bの拡大図が示される。図7に示されるように、内側ショルダー陸部7Bは、略一定の幅W11を有している。内側ショルダー陸部7Bのタイヤ軸方向の幅W11は、旋回安定性能及び乗り心地性能を両立させるために、好ましくはトレッド接地幅TWの好ましくは0.16倍以上、より好ましくは0.18倍以上であり、好ましくは0.24倍以下、より好ましくは0.22倍以下とされる。
【0062】
内側ショルダー陸部7Bには、ショルダー細溝40Bが設けられる。ショルダー細溝40Bは、タイヤ周方向に連続してのびる。これにより、内側ショルダー陸部7Bは、タイヤ軸方向外側で略一定の幅を有する外側部51と、タイヤ軸方向内側の内側部52とに区分される。
【0063】
内側ショルダー陸部7Bに設けられたショルダー細溝40Bは、外側ショルダー陸部7Aに設けられたショルダー細溝40A(図1及び図6に示す)と同様の溝幅及び溝深さが採用される。
【0064】
内側ショルダー陸部7Bの内側部52は、略一定の幅W12を有している。内側部52は、内側ショルダー横溝53により、縦長ブロック56がタイヤ周方向に並ぶブロック列として形成される。
【0065】
内側ショルダー陸部7Bの内側部52のタイヤ軸方向の幅W12は、好ましくは内側ショルダー陸部7Bのタイヤ軸方向の幅W11の0.20倍以上、より好ましくは0.22倍以上であり、好ましくは0.26倍以下、より好ましくは0.24倍以下である。これにより、このような前記内側部52は、内側ショルダー陸部7Bの剛性を高め、旋回安定性能を向上させる。
【0066】
縦長ブロック56は、タイヤ周方向の長さL2が、前記内側部52のタイヤ軸方向の幅W12の好ましく6.0倍以上、より好ましくは6.5倍以上であり、好ましくは8.0倍以下、より好ましくは7.5倍以下である。このような縦長ブロック56は、タイヤ周方向の剛性が高くかつタイヤ軸方向に適度に変形しうる。このため、旋回安定性能が維持されつつ、乗り心地性能が向上する。
【0067】
内側ショルダー陸部7Bには、トレッド接地端Teの外側からタイヤ軸方向にのびる内側ショルダー横溝53がタイヤ周方向に隔設される。
【0068】
内側ショルダー横溝53は、内端がショルダー主溝3に連通する第1内側ショルダー横溝53Aと、内端が内側部52内で終端する第2内側ショルダー横溝53Bとを含む。第1内側ショルダー横溝53A及び第2内側ショルダー横溝53Bは、タイヤ周方向に交互に設けられる。これにより、ウェット性能及びワンダリング性能が向上する。
【0069】
内側ショルダー横溝53は、タイヤ軸方向にのびる第1溝部54と、第1溝部54のタイヤ軸方向内側で連なり、タイヤ軸方向に対して第1溝部54よりも大きい角度で傾斜する第2溝部55とを含む。
【0070】
内側ショルダー横溝53の第1溝部54は、タイヤ軸方向と略平行である。前記第1溝部54は、直線状である。本実施形態の前記第1溝部54は、タイヤ軸方向外側に向かって溝幅が漸減する。これにより、急旋回時の旋回安定性が向上する。
【0071】
内側ショルダー横溝53の第2溝部55は、一定の溝幅で直線状にのびる。第2溝部55は、ショルダー細溝40Bに連通する。第2溝部55は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。このような第2溝部55は、タイヤ軸方向に平行にのびる溝と比較して、陸部のタイヤ周方向の剛性を向上させる。このため、第2溝部55は、内側ショルダー陸部7Bのタイヤ軸方向内側の剛性を相対的に大きくし、旋回安定性能を向上させる。
【0072】
第2溝部55のタイヤ軸方向に対する角度θ4は、第1溝部54のタイヤ軸方向に対する角度よりも大きいのが望ましい。第2溝部55の前記角度θ4は、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上であり、好ましくは60°以下、より好ましくは55°以下である。このような内側ショルダー横溝53の第2溝部55は、内側ショルダー陸部7Bのタイヤ周方向の剛性を適正にし、旋回安定性及び乗り心地性能を両立させる。
【0073】
図8には、センター陸部5の拡大図が示される。図8に示されるように、センター陸部5は、センター横溝60で区分されたセンターブロック61がタイヤ周方向に並ぶブロック列である。
【0074】
センター陸部5は、略一定の幅を有する。センター陸部5のタイヤ軸方向の幅W13は、好ましくはトレッド接地幅TWの0.08倍以上、より好ましくは0.10倍以上であり、好ましくは0.16倍以下、より好ましくは0.14倍以下である。これにより、センター陸部5の剛性が適正となり、乗り心地性能が向上する。
【0075】
センター陸部5には、センター横溝60及びセンターラグ溝62がタイヤ周方向に交互に隔設される。
【0076】
センター横溝60は、外側センター主溝4A及び内側センター主溝4Bに連通する。センター横溝60は、略一定の溝幅でのびる。センター横溝60は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。このようなセンター横溝60は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向にエッジ効果を発揮し、ウェット性能を向上させる。
【0077】
センターラグ溝62は、内側センター主溝4Bに連通する。センターラグ溝62は、センター陸部5内で終端するセンターラグ溝62が設けられるのが望ましい。このようなセンターラグ溝62は、センター陸部5のタイヤ軸方向の内側の剛性を緩和し、ウェット性能を向上させ、かつ、乗り心地性能を向上させる。
【0078】
図9(a)には内側ショルダー主溝3Bの拡大断面図が示され、図(b)には外側ショルダー主溝3Aの拡大断面図が示される。図(a)及び(b)に示されるように、外側ショルダー主溝3A及び内側ショルダー主溝3Bのタイヤ軸方向外側の溝壁面10A、10Bは、ショルダー主溝3のタイヤ軸方向外側の溝縁11を通りかつトレッド部2の踏面2sに立てた法線12に対して、16〜20°の角度θ1で傾斜するのが望ましい。このような外側ショルダー主溝3A及び内側ショルダー主溝3Bは、溝内を通る水膜を効果的にタイヤ軸方向外側に排水し、ウェット性能を向上させる。
【0079】
図9(b)に示されるように、外側ショルダー主溝3Aのタイヤ軸方向内側の溝壁面13は、外側ショルダー主溝3Aの溝底部14からタイヤ半径方向外側に向かって直線状にのびる急斜面部15と、該急斜面部15よりも緩やかに傾斜する緩斜面部16とを含む。このような外側ショルダー主溝3Aは、溝容積を増加させ、ウェット性能を向上させる。
【0080】
緩斜面部16は、中心をタイヤ外方に有する円弧状に凹む曲面であるのが望ましい。このような緩斜面部16は、ウェット性能を向上させ、かつ、外側ショルダー主溝3Aの石噛み性能を向上させる。
【0081】
図1に示されるように、センター横溝60、内側ミドル横溝30、及び、外側ミドル横溝20の第2傾斜部22は、同一線上に設けられるのが望ましい。これにより、ウェット走行時、トレッド部と路面との間の水膜が、より効果的にタイヤ軸方向外側に排出される。従って、ウェット性能が向上する。
【0082】
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施される。
【実施例】
【0083】
図1の基本パターンを有するサイズ215/60R17の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、ウェット性能、旋回安定性能及び乗り心地性能がテストされた。各タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:17×6.5J
タイヤ内圧:240kPa
テスト車両:4輪駆動車、排気量2400cc
タイヤ装着位置:全輪
【0084】
<ウェット性能>
下記テストコースに速度を段階的に増加させながら上記テスト車両を進入させ、該テスト車両の前輪の横加速度(横G)が計測され、55〜80Km/hの速度における前輪の平均横Gが算出された。結果は、実施例1を100とする指数で表示されている。数値が大きい程、ウェット性能に優れていることを示す。
テストコース:半径100mの周回コース
路面:アスファルト路面上に水深6mm、長さ6mの水溜まりを設置
【0085】
<旋回安定性能、乗り心地性能>
上記テスト車両でアスファルトのテストコースを周回したときの旋回安定性能及び乗り心地性能が、ドライバーの官能評価により評価された。結果は、実施例1を100とする評点であり、数値が大きい程、旋回安定性能又は乗り心地性能に優れていることを示す。
テストの結果が表1に示される。
【0086】
【表1】
【0087】
テストの結果、実施例の空気入りタイヤは、旋回安定性能を維持しつつウェット性能及び乗り心地性能を向上させているのが確認できた。
【符号の説明】
【0088】
2 トレッド部
3 ショルダー主溝
4 センター主溝
6A 外側ミドル陸部
6 ミドル陸部
20 外側ミドル横溝
21 第1傾斜部
22 第2傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9