【文献】
KHORANA,N. et al,Bioorg.Med.Chem.,2003年,Vol.11,pp.717-722
【文献】
BRYAN-LLUKA,L.J. et al,Naunyn-Shemiedeberg's Arch Pharmacol,1999年,Vol.360,pp.109-115
【文献】
HARBERT,C.A. et al,J.Med.Chem.,1980年,Vol.23,pp.635-643
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【0004】
置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンおよびその使用は公知であるが、本願発明者らは、意外にも、置換された特定のヘテロ環縮合ガンマ−カルボリン(以下、「式Iの化合物」と記載される)が、エクスビボアッセイにて第一医薬(以下、「式Qの化合物」と記載される)よりも活性は低いが、血漿および脳の中で該第一医薬におよび該医薬から相互変換されることを見出した。これらの式Iの化合物は、インビボにて、式Qの化合物に、および該化合物から変換されるため、それらは式Qの化合物についてのプロドラッグと、ならびに式Qの化合物の代謝物と考えることができ、式Qの化合物が作用する持続時間を延ばす、そのためのリザバーとして供しうる。これら式Iの化合物の作用時間および代謝作用は、生理学的に加水分解でき、許容される部分の結合および/または長期放出製剤の使用を介して、さらに修飾され得る。かくして、本願発明者らは、薬物動態プロファイルを改変、例えば作用機構および/または吸収および分散速度を改変し、したがって製剤の改善に、および/または該薬物の体内での作用の持続時間の制御(例えば、持続放出または制御放出)に有用である、置換されている特定のヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンのプロドラッグをさらには提供する。本願発明はさらには、上記した使用のための化合物およびそのプロドラッグ、その医薬組成物を提供する。
【0005】
その上さらに、式Iの化合物は、式Qの化合物とは異なり、神経伝達物質受容体との興味深い結合活性を有することが見出された。特に、以下に記載されるような、Yが−CH(OH)−である式Iの化合物は、式Qの化合物と比べて、セロトニン輸送体(SERT)に対して高い選択性を有し、かくして式Qの化合物のSERTに対する効果を強化しうることが分かる。この独特な特性は、鬱病、不安および鬱病または不安を伴う精神病などのSERT介在疾患の治療にて特定の有用性を提示する。
【0006】
理論に拘束されるものではないが、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物は、インビボにて、式Qの化合物に変わるが、式Iの化合物の投与は、式Qの化合物を直接投与するのに比べて、式Iの化合物の代謝安定性および式Qの化合物への連続的変換のために、該化合物がより長い作用期間を提供する点で、さらにはSERT受容体とのその相対的に高い活性のために、他の受容体との活性と比べてSERT阻害活性を強化する点で、ある利点を有しうると考えられる。
【0007】
本願発明は、遊離または塩の形態の、式I:
【化1】
[式中:
Xは−N(H)−または−N(CH
3)であり、Yは−C(H)(OH)−であるか;
Yが−O−である場合、Xは−N(H)であるか;または
Yが−C(H)(OH)−である場合、Xは−O−を意味する]
で示される化合物に関する。
【0008】
第一の態様にて、本願発明は、以下の処方にて記載されるような、遊離または塩の形態の、式Iの化合物を提供する:
1.1 式Q:
【化2】
[式中:
Xは−N(H)−または−N(CH
3)−であって、および/またはYは−C(=O)であり;
Xは−N(CH
3)−であり、Yは−O−であるか;または
Xは−O−であり、Yは−C(=O)−である]
で示される化合物の代謝作用により、哺乳動物にて、産生されないことを条件とする、式Iの化合物;
1.2 固体形態である、式Iまたは1.1の化合物;
1.3 塩の形態である、式I、1.1または1.2の化合物;
1.4 医薬上許容される塩の形態である、式Iの化合物または処方1.1−1.3;
1.5 医薬上許容される塩が塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パーモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等からなる群より選択される、処方1.4;
1.6 塩がフマル酸付加塩である、処方1.5;
1.7 塩がリン酸付加塩である、処方1.5;
1.8 塩がトルエンスルホン酸付加塩である、処方1.5;
1.9 化合物が:
【化3】
である、式Iの化合物または処方1.1−1.8:
1.10 化合物が
【化4】
である、式Iの化合物または処方1.1−1.9:
1.11 化合物が
【化5】
である、式Iの化合物または1.1−1.9:
1.12 Xが−N(CH
3)である、式Iの化合物または1.1−1.11:
1.13 Xが−N(H)−である、式Iの化合物または1.1−1.11:
1.14
【化6】
である、式Iの化合物または1.1−1.12:
1.15 Xが−O−である、式Iの化合物または1.1−1.11:
1.16 実質的に純粋なジアステレオマーの形態(すなわち、他のジアステレオマーを実質的に含まない)である、式Iの化合物または1.9−1.15の化合物:
1.17 70%より大きな、好ましくは80より大きな、より好ましくは90%より大きな、最も好ましくは95%より大きなジアステレオマー過剰率を有する、式Iの化合物または1.9−1.16:
1.18
【化7】
である、式Iの化合物または1.9−1.16:
1.19 上記した式Qの化合物を実質的に含まない、式Iの化合物または1.1−1.18:
1.20 式Iの化合物が:
【化8】
であり、Yが−C(=O)であり、および/またはXが−N(CH
3)−である、式Qの化合物を実質的に含まない、処方1.19;
1.21 式Iの化合物が:
【化9】
であり、Yが−C(=O)であり、および/またはXが−N(CH
3)−または−N(H)−である、式Qの化合物を実質的に含まない、処方1.19;
1.22 処方1.1−1.21のいずれかに記載されるように、式Iの化合物
の、
式Qの化合物の不含率が、70%
を超え、好ましくは80%
を超え、より好ましくは90%
を超え、さらにより好ましくは95%
を超え、さらにより好ましくは98%
を超え、さらにより好ましくは99%
を超える、処方1.19−1.21。
【0009】
第二の態様において、本願発明は、式II−A:
【化10】
[式中、Xは−N(CH
3)−、−N(H)−または−O−を意味する]
で示される、遊離または塩の形態の化合物を提供する。第二の態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、Xが−N(CH
3)−である、式II−Aの化合物を提供する。第二の態様のさらにもう一つ別の実施態様にて、本願発明は、Xが−N(H)−である、式II−Aの化合物を提供する。
【0010】
第三の態様にて、本願発明は、式II−B:
【化11】
[式中、Xは−N(CH
3)−、−N(H)−または−O−を意味する]
で示される、遊離または塩の形態の化合物を提供する。第三の態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、Xが−N(CH
3)−である、式II−Bの化合物を提供する。第三の態様のさらにもう一つ別の実施態様にて、本願発明は、Xが−N(H)−である、式II−Bの化合物を提供する。
【0011】
第四の態様にて、本願発明は、式III:
【化12】
[式中:
Xは−N(CH
3)−、−N(H)−または−O−であり;
R
1は−C(O)−C
1−21アルキル(例、−C(O)−C
1−5アルキル、−C(O)−C
6−15アルキルまたは−C(O)−C
16−21アルキル)であり、好ましくは該アルキルは直鎖であり、所望により飽和であっても不飽和であってもよく、所望により1または複数のヒドロキシまたはC
1−22アルコキシ(例、エトキシ)基で置換されていてもよく、例えばR
1は−C(O)−C
6アルキル、−C(O)−C
7アルキル、−C(O)−C
9アルキル、−C(O)−C
11アルキル、−C(O)−C
13アルキルまたは−C(O)−C
15アルキルであり、かかる化合物は加水分解して天然または非天然の、飽和または不飽和の脂肪酸の残基を形成し、例えば該化合物は加水分解して一方でヒドロキシ基を形成し、他方でオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸を形成する]
で示される、遊離または塩の形態の化合物を提供する。
【0012】
第四の態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、以下の処方に記載されるような、遊離または塩の形態の、式IIIの化合物を提供する:
4.1 塩が塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パーモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等からなる群より選択される、式IIIの化合物;
4.2 塩がフマル酸付加塩である、式IIIの化合物または処方4.1;
4.3 塩がリン酸酸付加塩である、式IIIの化合物または処方4.1;
4.4 塩がトルエンスルホン酸付加塩である、式IIIの化合物または処方4.1;
4.5
【化13】
である、式IIIの化合物または処方4.1−4.4;
4.6 化合物が
【化14】
である、式IIIの化合物または処方4.1−4.4;
4.7 実質的に純粋なジアステレオマーの形態(すなわち、他のジアステレオマーを実質的に含まない)である、式IIIの化合物または処方4.1−4.6:
4.8 70%より多くの、好ましくは80%より大きな、より好ましくは90%より大きな、最も好ましくは95%より大きなジアステレオマー過剰率を有する、式IIIの化合物または処方4.1−4.7;
4.9 Xが−N(CH
3)である、式IIIの化合物または処方4.1−4.8;
4.10 Xが−N(H)−である、式IIIの化合物または処方4.1−4.8;
4.11 R
1が−C(O)−C
1−21アルキル(例、−C(O)−C
1−5アルキル、−C(O)−C
6−15アルキルまたは−C(O)−C
16−21アルキル)であり、好ましくは該アルキルは直鎖であり、所望により飽和であっても不飽和であってもよく、所望により1または複数のヒドロキシまたはC
1−22アルコキシ(例、エトキシ)基で置換されていてもよく、例えばR
1は−C(O)−C
6アルキル、−C(O)−C
7アルキル、−C(O)−C
9アルキル、−C(O)−C
11アルキル、−C(O)−C
13アルキルまたは−C(O)−C
15アルキルであり、かかる化合物は加水分解して天然または非天然の、飽和または不飽和の脂肪酸の残基を形成し、例えば該化合物は加水分解して一方でヒドロキシ基を形成し、他方でオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸を形成する、式IIIの化合物または処方4.1−4.10;
4.12 R
1が−C(O)−C
1−21アルキル(例、−C(O)−C
1−5アルキル、−C(O)−C
6−15アルキルまたは−C(O)−C
16−21アルキル)であり、好ましくは該アルキルが直鎖であり、所望により飽和であっても不飽和であってもよい、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.13 R
1が−C(O)−C
1−21アルキル(例、−C(O)−C
1−5アルキル、−C(O)−C
6−15アルキルまたは−C(O)−C
16−21アルキル)である、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.14 R
1が−C(O)−C
6アルキル、−C(O)−C
7アルキル、−C(O)−C
9アルキル、−C(O)−C
11アルキル、−C(O)−C
13アルキルおよび−C(O)−C
15アルキルから選択される、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.15 R
1が−C(O)−C
6アルキルである、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.16 R
1が−C(O)−C
7アルキルである、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.17 R
1が−C(O)−C
9アルキルである、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.18 R
1が−C(O)−C
11アルキルである、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.19 R
1が−C(O)−C
13アルキルである、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.20 R
1が−C(O)−C
15アルキルである、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.21 R
1が−C(O)−C
17アルキルである、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.22 R
1が−C(O)−C
21−アルキルである、式IIIの化合物または処方4.1−4.11;
4.23 Xが−O−である、式IIIの化合物あるいは処方4.1−4.8または4.11−1.14;
4.24 処方1.1−1.21のいずれかのように、式Qの化合物を実質的に含まない、式IIIの化合物または処方4.1−4.23;
4.25 式IIIの化合物が:
【化15】
であり、Yが−C(=O)および/またはXが−N(CH
3)−である、式Qの化合物を実質的に含まない、処方4.24;
4.26 式IIIの化合物が:
【化16】
であり、Yが−C(=O)および/またはXが−N(CH
3)−または−N(H)−である、式Qの化合物を実質的に含まない、処方4.24;
4.27 処方1.1−1.21のいずれかに記載されるように、式IIIの化合物
の、
式Qの化合物の不含率が、70%
を超え、好ましくは80%
を超え、より好ましくは90%
を超え、その上さらに好ましくは95%
を超え、その上より好ましくは98%
を超え、その上より好ましくは99%
を超える、遊離または塩の形態の、処方4.24−4.26
【0013】
第四の態様のもう一つ別のさらなる実施態様において、本願発明は、以下の処方のいずれか一つに記載されるような、遊離または塩の形態の、式IIIの化合物を提供する:
4.28 R
1が−C(O)−C
3アルキルである、式IIIの化合物あるいは処方4.1−4.13または4.23−4.27;
4.29 R
1が−C(O)−C
9アルキルである、式IIIの化合物あるいは処方4.1−4.13または4.23−4.27;
4.30 遊離または塩の形態の、次の
【化17】
のいずれか一つより選択される、式IIIの化合物。
【0014】
第五の態様において、本願発明は、以下の処方に記載されるような医薬組成物を提供する:
5.1 遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式Iの化合物または処方1.1−1.22を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む、医薬組成物(医薬組成物5.1);
5.2 遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式II−Aの化合物を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む、医薬組成物(医薬組成物5.2);
5.3 遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式II−Bの化合物を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む、医薬組成物(医薬組成物5.3);または
5.4 遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式IIIの化合物または処方4.1−4.27を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む、医薬組成物(医薬組成物5.4);
5.4P 遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式IIIの化合物または処方4.28−4.30を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む、医薬組成物(医薬組成物5.4P)。
好ましい実施態様にて、本願発明の医薬組成物は、遊離または医薬上許容される塩の形態の、Xが−N(CH
3)−であり、Yが−C(H)(OH)−である、式Iの化合物を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む。もう一つ別の実施態様にて、本願発明の医薬組成物は、遊離または医薬上許容される塩の形態の、式1.14の化合物を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む。さらにもう一つ別の実施態様にて、発明の医薬組成物は、遊離または医薬上許容される塩の形態の、式4.26の化合物を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む。さらにもう一つ別の実施態様において、発明の医薬組成物は、遊離または医薬上許容される塩の形態の、式4.20の化合物を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む。
【0015】
第五の態様のさらなる実施態様にて、本願発明の医薬組成物は、持続または遅延放出用であり、例えばデポ製剤である。一の実施態様にて、デポ製剤は医薬組成物5.4(デポ組成物5.5)である。さらなる実施態様にて、デポ組成物5.5は、R
1が−C(O)−C
6−15アルキルである式IIIの化合物を、遊離または医薬上許容される塩の形態にて含む(デポ製剤5.6)。例えば、デポ製剤は、遊離または医薬上許容される塩の形態の、
5.7 1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−エナントレート(すなわち、Xが−N(CH
3)−であり、R
1が−C(O)−C
6アルキルである、式IIIの化合物);(デポ組成物5.7);
5.8 1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR、10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−デカノエート(すなわち、Xが−N(CH
3)−であり、R
1が−C(O)−C
10アルキルである、式IIIの化合物)(デポ組成物5.8);または
5.9 1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR、10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−パルミテート(すなわち、Xが−N(CH
3)−であり、R
1が−C(O)−C
15アルキルである、式IIIの化合物);(デポ組成物5.9)を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む医薬組成物である。
【0016】
第五の態様のもう一つ別の実施態様にて、デポ組成物は医薬組成物5.4P(デポ組成物5.10)である。例えば、デポ組成物は、遊離または医薬上許容される塩の形態の、
5.11 1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR、10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−ブタノエート(すなわち、Xが−N(CH
3)−であり、R
1が−C(O)−C
3アルキルである、式IIIの化合物);(デポ組成物5.11)を、医薬上許容される希釈体または担体と混合して含む医薬組成物である。
【0017】
第六の態様において、本願発明は、ポリマーマトリックス中に、以下の処方にて記載されるような、発明の化合物を含む組成物を提供する:
6.1 遊離または(医薬上許容される)塩の形態の、式Iの化合物の組成物または処方1.1−1.22(組成物6.1);
6.2 遊離または(医薬上許容される)塩の形態の、式II−Aの化合物の組成物(組成物6.2);
6.3 遊離または(医薬上許容される)塩の形態の、式II−Bの化合物の組成物(組成物6.3);または
6.4 遊離または(医薬上許容される)塩の形態の、上記されるような、式IIIの化合物の組成物または処方4.1−4.27(組成物6.4);
6.5 遊離または(医薬上許容される)塩の形態の、上記されるような、式IIIの化合物の組成物または処方4.28−4.30(組成物6.5)。一の実施態様にて、発明の化合物はポリマーマトリックスに分散または溶解される。さらなる実施態様にて、ポリマーマトリックスは、ヒドロキシ脂肪酸ポリエステルおよびその誘導体、またはアルキルアルファシアノアクリレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリアミノ酸、ヒアルロン酸エステルおよびその混合物より選択されるポリマーなどのデポ製剤に使用される標準的ポリマーを含む。さらなる実施態様にて、該ポリマーは、ポリラクチド、ポリd,l−ラクチド、ポリグリコリド、PLGA50:50、PLGA85:15およびPLGA90:10ポリマーからなる群より選択される。もう一つ別の実施態様にて、該ポリマーは、ポリ(グリコール酸)、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−乳酸、上記ポリマーのコポリマー、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキソノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸−カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸−カプロラクトン)、ポリ無水物、およびアルブミン、カゼインおよびワックス、例えばグリセロールモノ−およびジステアレート等を包含する天然ポリマーより選択される。好ましい実施態様において、該ポリマーマトリックスはポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)を含む。例えば、いずれかの処方6.1−6.4の組成物は、発明の化合物が、Xが−N(CH
3)−であり、Yが−C(H)(OH)−である、遊離または塩の形態の式Iの化合物の、組成物である。もう一つ別の例において、処方6.5の組成物は、発明の化合物が、Xが−N(CH
3)−であり、R
1が−C(O)−C
3アルキルまたは−C(O)−C
9アルキルである、遊離または塩の形態の式IIIの化合物の、組成物である。もう一つ別の実施態様にて、発明の化合物は、遊離または塩の形態の、処方1.14、4.26または4.20の化合物であり、ポリマーマトリックスはポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)を含む。上記されるような、処方6.1−6.4の組成物はいずれも、医薬上許容される希釈体または担体との混合物である、医薬組成物であってもよい(医薬組成物6.1−6.4)。同様に、上記されるような、処方6.5の組成物はいずれも、医薬上許容される希釈体または担体との混合物である、医薬組成物であってもよい(医薬組成物6.5)。
【0018】
処方6.1−6.4の(医薬)組成物も、発明の化合物がポリマーマトリックスの崩壊で放出される、持続または遅延放出の組成物に特に有用である。これらの組成物は、180日間まで、例えば約14日ないしは約30日間から約180日までの期間にわたって、発明の化合物を制御放出および/または持続放出するために(例えば、デポ組成物として)処方されてもよい。例えば、ポリマーマトリックスが崩壊し、発明の化合物を約30日、約60日または約90日の期間にわたって放出してもよい。もう一つ別の例において、該ポリマーマトリックスが崩壊し、発明の化合物を約120日、または約180日の期間にわたって放出してもよい。
【0019】
さらにもう一つ別の実施態様において、本願発明の医薬組成物、特に本願発明のデポ組成物(例、処方5.5−5.9のいずれかのデポ組成物あるいは処方6.1−6.4または6.5の(医薬)組成物)が注射投与用に処方される。
【0020】
第七の態様において、本願発明は、上記されるような発明の化合物;
遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式Iの化合物または処方1.1−1.22;
遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式II−Aの化合物;
遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式II−Bの化合物;または
遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式IIIの化合物または処方4.1−4.30
を、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする、WO2000/35419およびEP1539115(米国公開番号2009/0202631)に記載の、浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム(OROS)にて提供する。したがって、第七の態様の一の実施態様にて、本願発明は、(a)上記されるような、発明の化合物を遊離または医薬上許容される塩の形態にて、または本願発明の医薬組成物を含有するゼラチンカプセル;(b)ゼラチンカプセル上に重ねられた、カプセルから外方向に、順次、(i)バリア層、(ii)膨潤性層、および(iii)半透性の層を含む多層壁;および(c)該壁を介して形成されるまたは形成可能な開口部からなる医薬組成物または装置(組成物P.1)を提供する。
【0021】
第七の態様のもう一つ別の実施態様にて、本願発明は、液体、発明の化合物を遊離または医薬上許容される塩の形態あるいは本願発明の医薬組成物、例えば、いずれかの医薬組成物6.1−6.5を含有するゼラチンカプセルからなる組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外面と接触するバリア層、バリア層と接触する膨潤性層、該膨潤性層を覆う半透性の層からなり、その壁に形成されるか、形成可能な開口部を含む複合壁により包囲されている、組成物(組成物P.2)を提供する。
【0022】
第七の態様のさらにもう一つ別の実施態様にて、本願発明は、液体、発明の化合物を遊離または医薬上許容される塩の形態あるいは本願発明の医薬組成物、例えば、いずれかの医薬組成物6.1−6.5を含有するゼラチンカプセルからなる組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外面と接触するバリア層、バリア層と接触する膨潤性層、該膨潤性層を覆う半透性の層からなり、その壁に形成されるか、形成可能な出口開口部を含む複合壁により包囲されており、該バリア層が膨潤性層と環境との間の出口開口部にてシールを形成する、組成物(組成物P.3)を提供する。
【0023】
第七の態様のさらにもう一つ別の実施態様にて、本願発明は、液体、発明の化合物を遊離または医薬上許容される塩の形態あるいは本願発明の医薬組成物、例えば、いずれかの医薬組成物6.1−6.5を含有するゼラチンカプセルからなる組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外面と接触するバリア層、バリア層の一部と接触する膨潤性層、少なくとも該膨潤性層を覆う半透性の層により包囲されており、ゼラチンカプセルの外面から使用環境に伸びる剤形にて出口開口部が形成されるか、形成可能である、組成物(組成物P.4)を提供する。該膨潤性層は、例えば、2つの断面がゼラチンカプセルの対抗面または末端に位置するような、一または複数の別個の断面にて形成されてもよい。
【0024】
第七の態様の特定の実施態様にて、浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム(すなわち、組成物P.1−P.4)における発明の化合物は液体処方にて存在し、その処方は液体活性剤がニートにて、液体活性剤が溶液、懸濁液または自己乳化組成物等にて存在してもよい。
【0025】
ゼラチンカプセル、バリア層、膨潤性層、半透性の層;開口部の特徴を含む、浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム組成物に対するさらなる情報は、WO2000/35419に記載されており、その内容はすべて出典明示により本願明細書の一部とされる。
【0026】
発明の化合物および医薬組成物についての他の浸透圧制御性放出経口デリバリーシステムは、EP1 539 115(米国特許出願公開第2009/0202631号)に記載されており、その内容はすべて出典明示により本願明細書の一部とされる。したがって、第七の態様におけるもう一つ別の実施態様にて、本願発明は、(a)2層またはそれ以上の層、ここで該2層またはそれ以上の層は第一層および第二層を含み、該第一層は発明の化合物を遊離または医薬上許容される塩の形態にて、または上記されるような医薬組成物を含み、第二層はポリマーを含み;(b)該2層またはそれ以上の層を囲う外壁;および(c)該外壁における開口部、を含む組成物または装置を提供する(組成物P.5)。
【0027】
組成物P.5は、好ましくは、3層コアを取り囲む半透性の膜を利用し:これらの実施態様にて、第一層は第一薬物層と称され、低含有量の薬物(例、発明の化合物)および塩などの浸透圧性剤を含有し、第二薬物層と称される中間層は高含有量の薬物、賦形剤を含有し、塩は含まず;およびプッシュ層と称される第三層は浸透圧性剤を含有し、薬物を含有しない。少なくとも一つの開口部が、カプセル形の錠剤の第一の薬物層の末端にある膜を介してドリルで設けられている(組成物P.6)。
【0028】
組成物P.5またはP.6は、コンパートメントを規定する膜であって、該膜は内部保護サブコートを囲み、そこに形成されるまたは形成され得る少なくとも一つの流出開口部を含み、該膜の少なくとも一部は半透性のである膜と;流出開口部から遠く離れたコンパートメント内に配置され、該膜の半透過性部分と流体連絡する膨潤可能な層と;流出開口物と隣接して配置される第一の薬物層と;第一の薬物層と膨潤可能な層との間のコンパートメント内に配置される第二の薬物層とを含んでもよく、該薬物層は発明の化合物をその遊離または医薬上許容される塩の形態にて含む。第一の薬物層と第二の薬物層の相対粘度に応じて、異なる放出特性が得られる。各層の最適粘度を同定することが不可欠である。本願発明において、塩、塩化ナトリウムを添加することで粘度は調節される。コアからの放出特性は、その重量、処方および薬物層の各厚みに依存する(組成物P.7)。
【0029】
特定の実施態様にて、本願発明は組成物P.7を提供し、それは第一の薬物層は塩を含み、第二の薬物層は塩を含有しない。組成物P.5−P.7は、膜と薬物層の間に流れ促進層を含んでもよい。
【0030】
組成物P.1−P.7は、一般に、浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム組成物と称されるであろう。
【0031】
第八の態様において、本願発明は、中枢神経系障害を治療または予防するための方法であって、その必要とする患者に:
7.1 遊離または医薬上許容される塩の形態の、式Iの化合物、または処方1.1−1.22;
7.2 遊離または医薬上許容される塩の形態の、式II−Aの化合物;
7.3 遊離または医薬上許容される塩の形態の、式II−Bの化合物;
7.4 遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式IIIの化合物、または処方4.1−4.27;
7.5 処方5.1に記載されるような医薬組成物;
7.6 処方5.2に記載されるような医薬組成物;
7.7 処方5.3に記載されるような医薬組成物;
7.8 処方5.4に記載されるような医薬組成物;
7.9 処方5.5−5.9のデポ組成物;または
7.10 上記されるような、処方6.1−6.4の(医薬)組成物;
を投与することを含む方法(方法I)を提供する。
【0032】
第八の態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、さらに以下の処方にて記載される、方法Iまたは処方法7.1−7.10を提供する:
7.11 中枢神経系障害が、肥満、不安、鬱病(例えば、難治性鬱病およびMDD)、精神病、統合失調症、睡眠障害(特に、統合失調症に付随する睡眠障害および他の精神医学および神経学疾患)、性的障害、片頭痛、頭部痛に付随する病態、社会恐怖症、認知症における動揺(例、アルツハイマー病における動揺)、自閉症および関連する自閉性障害における動揺および消化管運動の機能不全などの胃腸障害からなる群より選択される障害である、方法Iまたは処方法7.1−7.10;
7.12 中枢神経系障害が、その内容が出典明示により本願明細書の一部とされる、WO/2009/145900に同様に記載されるセロトニン5−HT
2A、ドパミンD2受容体系および/またはセロトニン再摂取輸送体(SERT)経路と関連する障害である、方法Iまたは処方法7.1−7.10;
7.13 中枢神経系障害が、次の:(1)鬱病を患っている患者における精神病、例、統合失調症;(2)精神病、例、統合失調症を患っている患者における鬱病;(3)精神病、例、統合失調症またはパーキンソン病に付随する気分障害;および(4)精神病、例、統合失調症またはパーキンソン病に付随する睡眠障害より選択される障害である、方法Iまたは処方法7.1−7.12;
7.14 中枢神経系障害が精神病、例、統合失調症であり、該患者が鬱病を患っている患者である、方法Iまたは処方法7.1−7.13;
7.15 該患者が、通常の抗精神病薬、例、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルオフェナジン、ロキサピン、メソリダジン・モリドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン・プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン、クロザピン、アリピパラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンの副作用に対する耐用性を有する、方法Iまたは処方法7.1−7.14;
7.16 該患者が通常の抗精神病薬、例、ハロペリドール、アリピペラゾール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジパシドンの副作用に対する耐用性を有する、方法Iまたは処方法7.1−7.15;
7.17 該障害が鬱病であり、該患者が精神病、例、統合失調症またはパーキンソン病を患っている患者である、方法Iまたは処方法7.1−7.16;
7.18 該障害が睡眠障害であり、該患者が鬱病を患っている、方法Iまたは処方法7.1−7.13;
7.19 1または複数の障害が睡眠障害であり、該患者が精神病、例、統合失調症を患っている、方法Iまたは7.1−7.13;
7.20 1または複数の障害が睡眠障害であり、該患者がパーキンソン病を患っている、方法Iまたは7.1−7.13;
7.21 1または複数の障害が睡眠障害であり、該患者が鬱病および精神病、例、統合失調症またはパーキンソン病を患っている、方法Iまたは7.1−7.13;
7.22 有効量が1mg−1000mg、好ましくは2.5mg−50mgである、上記したいずれかの方法;
7.23 有効量が1mg−100mg/日、好ましくは2.5mg−50mg/日である、上記したいずれかの方法;
7.24 治療されるべき病状が、例えば、ドパミン作動性薬物、例、レボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドパミン作動剤および抗コリン作動剤、例、レボドパを受動する患者における運動障害である、上記したいずれかの方法;
7.25 患者がパーキンソン病を患っている、上記したいずれかの方法。
【0033】
第八の態様の特定の実施態様にて、本願発明は、中枢神経系障害の治療または予防のための方法(方法I
P)であって、その必要とする患者に:
7.4P 上記されるような、遊離または(医薬上許容される)塩の形態の、式IIIの化合物または処方4.28−4.30;
7.8P 5.4Pに記載されるような医薬組成物;
7.9P 処方5.10−5.11のデポ組成物;
7.10P 上記されるような処方6.5の(医薬)組成物;
7.11P 上記されるような浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム組成物
【0034】
第八の態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、さらには、処方7.11−7.25のいずれか一に記載される方法I
Pを提供する。
【0035】
第八の態様の好ましい実施態様において、本願発明は、化合物が式Iの化合物であって、ここでXが−N(CH
3)−およびYが−C(H)(OH)−であり、遊離または医薬上許容される塩の形態である、方法Iまたは7.1−7.25を提供する。もう一つ別の好ましい実施態様にて、本願発明は、化合物が、遊離または医薬上許容される塩の形態である、処方1.14、4.26または4.20の化合物である、方法Iまたは7.1−7.25を提供する。さらにもう一つ別の好ましい実施態様にて、本願発明は、障害が統合失調症または睡眠障害である、上記されるような方法を提供する。
【0036】
第八の態様のさらにもう一つ別の好ましい実施態様にて、本願発明は、本願発明のデポ組成物(いずれかの処方5.5−5.9のデポ組成物;またはいずれかの処方6.1−6.4の(医薬)組成物)を、約14日からの期間、約30ないし約180日、好ましくは約30日、約60日または約90日の期間にわたって発明の化合物を制御的および/または持続的に放出する、方法Iまたはいずれかの7.1−7.25を提供する。制御的および/または持続的放出が、療法、特に投薬計画に対するコンプライアンス違反または規則不遵守が通常生じる、抗精神病薬療法の早期中断を回避するのに、特に有用である。
【0037】
第八の態様のさらにもう一つ別の好ましい実施態様にて、本願発明は、上記されるような方法I
Pであって、ここで本願発明のデポ組成物が発明の化合物を一定期間にわたって制御的および/または持続的に放出するために投与される。
【0038】
第九の態様にて、本願発明は、一または複数の睡眠障害を予防または治療するための方法(方法II)であって、その必要とする患者に、次の処方にて記載されるような、化合物を投与することを含む、方法が提供される:
8.1 遊離または医薬上許容される塩の形態の式Iの化合物または処方1.1−1.22;
8.2 遊離または医薬上許容される塩の形態の式II−Aの化合物;
8.3 遊離または医薬上許容される塩の形態の式II−Bの化合物;
8.4 遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されている式IIIまたは処方4.1−4.27;
8.5 処方5.1に記載されるような医薬組成物;
8.6 処方5.2に記載されるような医薬組成物;
8.7 処方5.3に記載されるような医薬組成物;
8.8 処方5.4に記載されるような医薬組成物;
8.9 処方5.5−5.9のデポ組成物;または
8.10 上記されるような処方6.1−6.4の(医薬)組成物。
【0039】
第九の態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、睡眠障害が睡眠持続障害不眠症、頻回の覚醒およびリフレッシュ感のない起床を包含する、方法II、8.1−8.10を提供する;
8.11 睡眠障害が睡眠持続障害不眠症である、上記したいずれかの方法;
8.12 有効量が1mg−5mg/日、好ましくは2.5−5mg/日である上記したいずれかの方法;
8.13 有効量が2.5mgまたは5mg/日である上記したいずれかの方法;
8.14 睡眠障害が運動障害を患っている、またはその危険のある患者にて、例、レボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドパミン作動剤および抗コリン作動剤から選択されるドパミン作動性医薬を受領している患者、例えば、レボドパを受領している患者にて生じる、上記したいずれかの方法;
8.15 患者がパーキンソン病を患っている、上記したいずれかの方法。
【0040】
第九の態様のもう一つ別の実施態様にて、本願発明は、1または複数の睡眠障害を予防または治療するための方法(方法II
P)であって、その必要とする患者に、以下の処方にて記載の化合物を投与することを含む、方法を提供する:
8.4P 遊離または(医薬上許容される)塩の形態の、上記されるような、式IIIまたは処方4.28−4.30;
8.8P 5.4Pに記載されるような医薬組成物;
8.9P いずれかの処方5.10−5.11のデポ組成物;
8.10P 上記されるような処方6.5の(医薬)組成物;
8.11P 上記されるような浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム組成物。
【0041】
第九の態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、睡眠障害が睡眠持続障害不眠症、頻回の覚醒およびリフレッシュ感のない起床を包含する、方法II
Pまたは8.4P、8.8P−8.11Pを提供する。第九の態様のさらにもう一つ別の実施態様にて、方法II
Pはいずれかの処方8.11−8.15に記載されているとおりである。
【0042】
発明の化合物は、上記されるような式Qの化合物に変換されると、その内容がすべて出典明示により本願明細書の一部とされる、WO2009/145900にて同様に開示または特許請求されるような、錐体外路系副作用を最小とした、またはしない5−HT2A、SERTおよび/またはD
2受容体関連の障害の効果的な治療を提供する。したがって、発明の化合物、本願発明の医薬組成物または本願発明のデポ組成物は、特に個々の薬剤が単剤療法にて使用される場合よりも少ない投与量で、第二治療薬と組み合わせて使用されてもよく、通常の単剤療法にて一般的に生じる望ましくない副作用を惹起することなく、併用剤の治療活性を強化する。したがって、発明の化合物は、他の抗うつ剤、抗精神病剤、他の催眠剤および/またはパーキンソン病または気分障害を治療するのに使用される薬剤と同時にまたは連続的に投与されてもよい。もう一つ別の例にて、副作用は、発明の化合物を、遊離または塩の形態の一または複数の第二治療薬と組み合わせて投与することにより、ここで(i)第二治療剤または(ii)発明の化合物と第二治療剤の両方の投与量が、該薬剤/化合物を単剤療法にて投与される場合よりも少なく、軽減または最小限とされてもよい。特定の実施態様にて、発明の化合物は、レボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドパミン作動薬および、例えばパーキンソン病の治療に用いられるような抗コリン作用薬より選択されるドパミン作用性の医薬を受領している患者にて運動障害を治療するのに有用である。
【0043】
かくして、第十の態様にて、本願発明は、方法Iまたはいずれかの処方7.1−7.25、あるいは方法IIまたはいずれかの8.1−8.15を提供し、さらには、GABA活性を調節する(例、その活性を強化し、GABA透過を促進する)化合物、GABA−Bアゴニスト、5−HTモジュレータ(例、5−HTIaアゴニスト、5−HT
2Aアンタゴニスト、5−HT2a逆作動薬など)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレータ(例、ブロッカー)、セロトニン−2アンタゴニスト/再吸収阻害剤(SARI)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニストまたはアンタゴニスト、ノルアドレナリン作動性アゴニストまたはアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン−1薬、抗うつ剤および抗精神病剤、例、非定型抗精神病剤より選択される一または複数の治療薬を、遊離または医薬上許容される塩の形態(各々、方法I−AおよびII−A)にて含む。
【0044】
第十の態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、遊離または医薬上許容される塩の形態の、以下のような、一または複数の治療薬をさらに含む、方法I−AまたはII−Aを提供する。
9.1 治療剤(複数でも可)が、GABA活性を調整する(例、該活性を強化、GABA透過を促進する)化合物である、方法I−AまたはII−A;
9.2 GABA化合物が、一または複数のドクセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フィウラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インジプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガバキサゾール、ビガバトリン、チアガビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)およびエスタゾラムからなる群より選択される、方法I−AまたはII−Aまたは9.1;
9.3 治療剤が付加的な5HT2aアンタゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.4 該付加的な5HT2aアンタゴニストが、一または複数のケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis、France)、プルバンセリン、MDL100907(Sanofi-Aventis、France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125 (Arena Pharmaceuticals、San Diego、CA)およびAVE8488(Sanofi-Aventis、France)より選択される、方法I−AまたはII−Aまたは9.3;
9.5 治療剤がメラトニンアゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.6 メラトニンアゴニストが、一または複数のメラトニン、ラメルテオン(ROZEREM(登録商標)、武田薬品、日本)、VEC−162(Vanda Pharmaceuticals、Rockville、MD)、PD−6735(Phase II Discovery)およびアゴメラチンからなる群より選択される、方法I−AまたはII−Aまたは9.5;
9.7 治療剤がイオンチャネル遮断薬である、方法I−AまたはII−A;
9.8 該イオンチャネル遮断薬が一または複数のラモトリジン、ガバペンチンおよびプレガバリンである、方法I−AまたはII−Aまたは9.7;
9.9 治療剤がオレキシン受容体アンタゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.10 オレキシン受容体アンタゴニストが、オレキシン、1,3−ビアリールウレア、SB−334867−a(GlaxoSmithKline、UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)およびベンズアミド誘導体からなる群より選択される、方法I−AまたはII−Aまたは9.9;
9.11 治療剤がセロトニン−2アンタゴニスト/再吸収阻害剤(SARI)である、方法I−AまたはII−A;
9.12 セロトニン−2アンタゴニスト/再吸収阻害剤(SARI)が一または複数のOrg50081(Organon-Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーンおよびトラゾドンからなる群より選択される、方法I−AまたはII−Aまたは9.11;
9.13 治療剤が5HTIaアゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.14 5HTIaアゴニストが一または複数のレピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロンおよびMN−305(MediciNova、San Diego、CA)からなる群より選択される、方法I−AまたはII−Aまたは9.13;
9.15 治療剤がニューロキニン−1薬である、方法I−AまたはII−A;
9.16 ニューロキニン−1薬がカソピタン(GlaxoSmithKline)である、方法I−AまたはII−Aまたは9.15;
9.17 治療剤が抗精神病剤である、方法I−AまたはII−A;
9.18 抗精神病剤がクロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン モリドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン、クロザピン、アリピペラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群より選択される、方法I−AまたはII−Aまたは9.17;
9.19 治療剤が抗うつ剤である、方法I−AまたはII−A;
9.20 抗うつ剤が、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドクセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロチプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラファキシンから選択される、方法I−AまたはII−Aまたは9.19;
9.21 抗精神病剤が非定型抗精神病剤である、方法I−AまたはII−A、9.17または9.18;
9.22 非定型抗精神病剤がクロザピン、アリピペラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群より選択される、方法I−AまたはII−Aまたはいずれかの9.17−9.21;
9.23 治療剤がモダフィニル、アルモダフィニル、ドクセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インジプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガバキサゾール、ビガバトリン、チアガビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)、エスタゾラム、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis、France)、プルバンセリン、MDL100907(Sanofi-Aventis、France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125(Arena Pharmaceuticals、San Diego、CA)、AVE8488(Sanofi-Aventis、France)、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロン、MN−305(MediciNova、San Diego、CA)、メラトニン、ラメルテオン(ROZEREM(登録商標)、武田薬品、日本)、VEC−162(Vanda Pharmaceuticals、Rockville、MD)、PD−6735(Phase II Discovery)、アゴメラチン、ラモトリジン、ガバペンチン、プレガバリン、オレキシン、1,3−ビアリールウレア、SB−334867−a(GlaxoSmithKline、UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)、ベンズアミド誘導体、Org50081(Organon-Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーン、トラゾドン、カソピタン(GlaxoSmithKline)、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドクセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロチプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン モリドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン、クロザピン、アリピペラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群より選択される、方法I−AまたはII−Aあるいは方法9.1−9.22;
9.24 治療剤がH3アゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.25 治療剤がH3アンタゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.26 治療剤がノルアドレナリン作動性アゴニストまたはアンタゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.27 治療剤がガラニンアゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.28 治療剤がCRHアンタゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.29 治療剤がヒト成長ホルモンである、方法I−AまたはII−A;
9.30 治療剤が成長ホルモンアゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.31 治療剤がエストロゲンである、方法I−AまたはII−A;
9.32 治療剤がエストロゲンアゴニストである、方法I−AまたはII−A;
9.33 治療剤がニューロキニン−1薬である、方法I−AまたはII−A;
9.34 治療剤が式(I)の化合物と併用され、該治療剤がL−ドパ、コ−カレルドパ、デュオドパ、スタロバ、シムメトレル、ベンゾトロピン、ビペリデン、ブロモクリイプチン、エンタカポン、ペルゴリド、プラミペキソール、プロシクリジン、ロピニロール、セレジリンおよびトルカポンなどの抗パーキンソン剤である、方法I−AまたはII−A;
9.35 式(I)の化合物が、睡眠障害、鬱病、精神病および/またはパーキンソン病に罹患している患者における、該疾患またはそのいずれかの組み合わせを治療するために使用されてもよい、方法I−AまたはII−A;
9.36 障害が少なくとも一または複数の精神病、例、統合失調症、鬱病、気分障害、睡眠障害(例、睡眠持続障害および/または入眠障害)またはその障害の組み合わせから選択される、方法I−AまたはII−A;
9.37 障害が睡眠障害である、上記したいずれかの方法;
9.38 障害が精神病、例、統合失調症またはパーキンソン病に付随する睡眠障害である、上記したいずれかの方法。
【0045】
第十の態様のもう一つ別の実施態様にて、本願発明は、上記されるような方法I
Pまたは方法II
Pを提供し、さらには遊離または医薬上許容される塩の形態(各々、方法I
P−AおよびII
P−A)の、GABA活性を調整する(例、その活性を強化し、GABA透過を容易にする)化合物、GABA−Bアゴニスト、5−HTモジュレータ(例、5−HTIaアゴニスト、5−HT
2A アンタゴニスト、5−HT2a逆作動薬等)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレータ(例、ブロッカー)、セロトニン−2アンタゴニスト/再吸収阻害剤(SARI)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニストまたはアンタゴニスト、ノルアドレナリン作動性アゴニストまたはアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン−1薬、抗うつ剤および抗精神病剤、例、非定型抗精神病剤から選択される一または複数の治療薬を含んでもよい。この態様のさらなる実施態様にて、本願発明は、処方9.1−9.38のいずれか一に同様に記載されるような方法I
P−AまたはII
P−Aを提供する。
【0046】
本願発明の第十一の態様にて、I−A、II−Aまたはいずれかの9.1−9.38に記載されるような、発明の化合物と、一または複数の第二治療剤との組み合わせは、上記されるような医薬組成物またはデポ組成物として投与されてもよい。同様に、方法I
p−A、II
p−Aまたはいずれかの9.1−9.38に記載されるような、発明の化合物と、一または複数の第二治療剤との組み合わせは、上記されるような医薬組成物またはデポ組成物として投与されてもよい。組み合わせ組成物は、組み合わされる薬物の混合物を含むことができ、ならびに2種またはそれ以上の別々の薬物の組成物であって、個々の組成物が例えば一緒に患者に共投与され得る、組成物とすることもできる。
【0047】
特定の実施態様にて、方法I−A、II−A、I
p−A、II
p−Aまたはいずれかの9.1−9.38は、その必要とする患者に、発明の化合物を、非定型抗精神病剤、例、クロザピン、アリピペラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン,またはパリペリドンより選択される化合物と、遊離または医薬上許容される塩の形態にて、組み合わせて投与することを含み、例えば、ここで非定型抗精神病剤の投与量は少なくされ、および/または副作用は軽減される。
【0048】
もう一つ別の実施態様、方法I−A、II−A、方法I
p−A、II
p−Aまたはいずれかの9.1−9.38は、その必要とする患者に、発明の化合物を、抗うつ剤、例、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドクセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロチプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンまたはベンラファキシンと、遊離または医薬上許容される塩の形態にて、組み合わせて投与することを含む。あるいはまた、抗うつ剤は、発明の化合物に加えて、補助薬として使用されてもよい。
【0049】
さらにもう一つ別の実施態様にて、方法I−A、II−A、I
p−A、II
p−Aまたはいずれかの9.1−9.38は、その必要とする患者に、発明の化合物を、GABA活性を調整する化合物、例、ドクセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インジプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガバキサゾール、ビガバトリン、チアガビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)、エスタゾラムまたはそのいずれかの組み合わせから選択される化合物と、遊離または医薬上許容される塩の形態にて、組み合わせて投与することを含む。
【0050】
もう一つ別の好ましい実施態様にて、方法I−A、II−A、I
p−A、II
p−Aまたはいずれかの9.1−9.38は、その必要とする患者に、発明の化合物を、ドクセピンと、遊離または医薬上許容される塩の形態にて、組み合わせて投与することを含む。ドクセピンの投与量は、当業者に公知の範囲で変化しうる。一例にて、10mgの用量のドクセピンがいずれかの用量の発明の化合物と併用されてもよい。
【0051】
もう一つ別の実施態様にて、方法I−A、II−A、I
p−A、II
p−Aまたはいずれかの9.1−9.38は、その必要とする患者に、発明の化合物を、非定型刺激剤、例、モダフィニル、アドラフィニルまたはアルモダフィニルと組み合わせて投与すること(一日の投与計画の一部として包含すること)を含む。発明の化合物をかかる薬物と組み合わせる投与計画は、より規則正しい睡眠を進展させ、例えば、双極性うつ病、統合失調症に付随する認知症、パーキンソン病および癌などの病状における過度の眠気および疲労の治療にて、かかる薬物を高レベルで服用することに関連する精神病または躁病などの副作用を回避する。
【0052】
第十二の態様にて、本願発明は、上記されるような一または複数の障害を治療または予防するための(医薬の製造における)、例えば、方法I、いずれかの7.1−7.25、方法II、いずれかの8.1−8.15、方法I−A、II−A、いずれかの9.1−9.38、方法I
P、方法II
P、方法I
P−A、II
P−Aまたは本願発明の第十一の態様に記載される方法における、以下の処方に記載されるような、化合物の使用を提供する:
11.1 遊離または医薬上許容される塩の形態の、式Iの化合物またはいずれかの処方1.1−1.22;
11.2 遊離または医薬上許容される塩の形態の、式II−Aの化合物;
11.3 遊離または医薬上許容される塩の形態の、式II−Bの化合物;
11.4 遊離または医薬上許容される塩の形態の、上記されるような、式IIIの化合物またはいずれかの処方4.1−4.27;
11.5 処方5.1に記載の医薬組成物;
11.6 処方5.2に記載の医薬組成物;
11.7 処方5.3に記載の医薬組成物;
11.8 処方5.4に記載の医薬組成物;
11.9 いずれかの処方5.5−5.9のデポ組成物;または
11.10 上記されるようないずれかの処方6.1−6.4の(医薬)組成物、
11.4P 遊離または(医薬上許容される)塩の形態の、上記されるような式IIIの化合物またはいずれかの処方4.28−4.30;
11.8P 5.4Pに記載の医薬組成物;
11.9P いずれかの処方5.10−5.11のデポ組成物;
11.10P 上記されるような処方6.5の(医薬)組成物;
8.11P 上記されるような浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム組成物。
【0053】
第十三の態様にて、本願発明は、上記されるような一または複数の障害を治療または予防するのに用いるための、例えば、方法I、いずれかの7.1−7.25、方法II、いずれかの8.1−8.15、方法I−A、II−A、いずれかの9.1−9.38、方法I
P、方法II
P、方法I
P−A、II
P−Aまたは本願発明の第十一または第十二の態様に記載される方法のための、例えば、以下の処方に記載されるような、上記した医薬組成物を提供する:
12.1 処方5.1に記載の医薬組成物;
12.2 処方5.2に記載の医薬組成物;
12.3 処方5.3に記載の医薬組成物;
12.4 処方5.4に記載の医薬組成物;
12.5 いずれかの処方5.5−5.9のデポ組成物;または
12.6 上記したいずれかの処方6.1−6.4の(医薬)組成物、
12.8P 5.4Pに記載の医薬組成物;
12.9P いずれかの処方5.10−5.11のデポ組成物;
12.10P 上記した処方6.5の(医薬)組成物;
12.11P 上記した浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0055】
特記されない限り、または文脈から明らかでないならば、本願明細書にて使用される以下の用語は次の意義を有する:
a.本願明細書で使用される「アルキル」は、飽和または不飽和の、例えば、炭素数が1ないし21の炭化水素基であり、特記されない限り、直鎖または分岐鎖の(例、n−ブチルまたはtert−ブチル)、好ましくは直鎖の炭化水素基である。例えば、「C
1−
21アルキル」は、1ないし21個の炭素原子を有するアルキルを意味する。一の実施態様にて、アルキルは、所望により1または複数のヒドロキシまたはC
1−22アルコキシ(例、エトキシ)基で置換されていてもよい。もう一つ別の実施態様にて、アルキルは1ないし21個の炭素原子を有し、好ましくは直鎖であって、所望により飽和されていても、不飽和であってもよく、例えばR
1は、それが結合する−C(O)−と一緒になって、例えば、式(III)の化合物より切断される際に、天然または非天然の、飽和または不飽和の脂肪酸の残基を形成するような、1ないし21個の炭素原子を、好ましくは6−15個の炭素原子を、16−21個の炭素原子を有するアルキル鎖である。
【0056】
特記されない限り、発明の化合物、例えば、式Iの化合物、1.1−1.22のいずれかの処方、式II−A、式II−Bまたは式IIIまたは4.1−4.27または4.28−4.30のいずれかの処方は、遊離または塩の形態、例えば酸付加塩の形態にて存在してもよい。十分に塩基性である発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、トルエンスルホン酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、パーモ酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等との、例えば酸付加塩である。加えて、十分に酸性である発明の化合物の塩はアルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩、アンモニウム塩または生理学的に許容されるカチオンを付与する有機塩基との塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)−アミンとの塩である。特定の実施態様にて、発明の化合物の塩はトルエンスルホン酸付加塩である。もう一つ別の特定の実施態様にて、発明の化合物の塩はフマル酸付加塩である。特定の実施態様にて、発明の化合物の塩はリン酸付加塩である。
【0057】
発明の化合物は医薬としての使用を意図するものであるから、医薬上許容される塩が好ましい。医薬としての使用に適しない塩は、例えば、本願発明の遊離化合物の単離または精製に有用であるため、それらもまた包含される。
【0058】
発明の化合物は1または複数のキラル炭素原子を含んでもよい。かくして、該化合物は個々の異性体、例、エナンチオマーまたはジアステレオマー形態にて、あるいは個々の形態の混合物として、例えばラセミ体/ジアステレオマー混合物として存在する。不斉中心が(R)−、(S)−または(R,S)−配置にある異性体が存在する。本願発明は個々の光学活性な異性体ならびにその混合物(例、ラセミ体/ジアステレオマー混合物)の両方を包含するものとして認識されるべきである。したがって、発明の化合物はラセミ混合物であってもよく、あるいは優勢的に、例えば純粋なまたは実質的に純粋な、異性体の形態、例、70%より大きなエナンチオマー/ジアステレオマー過剰率(「ee」)、好ましくは80%より大きなee、より好ましくは90%より大きなee、最も好ましくは95%より大きなeeにて存在してもよい。該異性体の精製および該異性体混合物の分離は当該分野にて公知の標準的技法(例、カラムクロマトグラフィー、分取性TLC、分取性HPLC、擬似移動床等)により達成されてもよい。
【0059】
二重結合および環の回りの置換基の特性により幾何異性体は、シス(Z)またはトランス(E)形態にて存在してもよく、両方の異性体の形態が本願発明の範囲内にある。
【0060】
発明の化合物は、ある場合には、プロドラッグ形態にて存在してもよい。「プロドラッグ」なる語は当該分野にて認識されている用語であり、投与前では薬物先駆体であるが、投与後に、化学的または生理学的工程を介して、インビボにて活性な代謝産物を生成または放出するものをいう。ある場合には、発明の化合物はプロドラッグならびに代謝産物であってもよい。本願発明者らは、意外にも、発明の化合物、特に、遊離ヒドロキシ基を担持する化合物、例、Xが−N(CH
3)およびYが−C(H)(OH)−である、式Iの化合物が、相対的に不活性な化合物であり、該化合物のヒドロキシ基がインビボにて酸化され、活性な1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR、10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(すなわち、Xが−N(CH
3)−およびYが−C(=O)−である、式Qの化合物)を形成することを見出した。この活性なケトン基を担持する親化合物はまた、相対的に不活性なヒドロキシ代謝産物/プロドラッグ(例、Xが−N(CH
3)−およびYが−C(H)(OH)である式Iの化合物)に代謝して戻りうる。特定の理論に拘束されるものではないが、Xが−N(CH
3)−およびYが−C(=O)である、式Qの活性な化合物は、Xが−N(CH
3)−およびYが−C(H)(OH)である発明の化合物より持続的に形成されると考えられる。発明の化合物を投与することで、活性な式Qの化合物が投与された場合に比べて、より優れた薬物動態プロファイル(例、活性な化合物の体内、特に脳でのより長期にわたる滞留時間)が得られる。
【0061】
Xが−N(CH
3)−である、発明の化合物はさらに、インビボにて代謝され、デス−メチル誘導体(すなわち、Xが−N(H)−である化合物)を形成してもよい。特に、Xが−N(CH
3)およびYが−C(H)(OH)−または−C(=O)である、式Iの化合物は代謝され、デス−メチル誘導体(例、Xが−N(H)−およびYが、各々、−C(H)(OH)または−C(=O)−である化合物)を形成してもよく、ここで該ヒドロキシ化合物は次にインビボにて酸化され、Xが−N(H)−およびYが−C(=O)である、個々に活性な式Qのデスメチル化合物を形成してもよい。
【0062】
発明の化合物の独特な特性化に加えて、Yが−C(H)(OH)−である、式Iの化合物はまた、エステル化されて生理学的に加水分解可能で、許容されるエステルプロドラッグを形成してもよい。本願明細書で用いられるように、「生理学的に加水分解可能で、許容されるエステル」は、生理学的条件下で加水分解可能であり、一方でヒドロキシを生成し、他方で、例えばカルボン酸を生成し、その化合物自体が投与される用量で生理学的に許容される、発明の化合物のエステルを意味する。例えば、Yが−C(H)(OH)である、式Iの化合物は、エステル化されてプロドラッグ、すなわち、式IIIの化合物またはいずれかの処方4.1−4.27または4.28−4.30を形成してもよい。例えば、Yが−C(H)(OH)−の化合物またはいずれかの1.1−1.17または1.19−1.22はエステル化されて、式IIIの化合物を形成し、その化合物がインビボにて加水分解されて、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を形成し、ついでインビボにて式Qの個々の活性な化合物に酸化されてもよい。特に、R
1が−C(O)−C
1−21アルキルである式IIIの化合物、例えばアシル酸エステル、例、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸エステルを体内で加水分解し、一方でYが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を、他方でHO−C(O)−C
1−21アルキルである化合物(例、各々、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸)を形成し、ついでそのヒドロキシ化合物は、Yが−C(=O)−である、式Qの活性な化合物に変換されるであろう。
【0063】
同様に、発明の化合物がアミン基を含有する場合、かかるアミンのプロドラッグ、例えば、投与後にインビボにて切断されてアミン代謝産物を放出する、メチルアミンのプロドラッグが存在してもよい。
【0064】
発明の化合物のプロドラッグ、すなわち、式IIIの化合物は、特にR
1が−C(O)−C
1−21アルキル、好ましくは−C
6−21アルキル、より好ましくはC
6−15アルキル、より好ましくは直鎖の、飽和または不飽和の、所望により1または複数のヒドロキシまたはアルコキシ基で置換されていてもよい場合に、持続および/または遅延放出され、長期作用性効果を達成するのに特に有用であり、例えば、ここで発明の化合物は、例えばいずれかの処方5.5−5.9または5.10−5.11のデポ組成物にて記載されるように、約14日ないし約30日ないし約180日の期間にわたって、好ましくは約30日ないし約60日または約90日の期間にわたって放出される。好ましくは、該持続および/または遅延放出処方は注射用処方である。
【0065】
別におよび/または付加的に、発明の化合物(例、式Iの化合物またはいずれかの1.1−1.22、式II−A、式II−Bまたは式IIIまたはいずれかの処方4.1−4.27または4.28−4.30)は、発明の化合物を、いずれかの処方6.1−6.4または6.5に記載されるように、ポリマーマトリックスに分散、溶解またはカプセル化させることで含ませてもよく、それで該ポリマーは経時的に分解するため、該化合物は持続して放出される。発明の化合物のポリマーマトリックスからの放出は、該化合物の、例えばデポ医薬組成物から、該デポ組成物が投与される対象、例えばヒトなどの温血動物への制御および/または遅延および/または持続放出を提供する。かくして、該デポ組成物は、発明の化合物を、長期にわたって、例えば14−180日、好ましくは約30日、約60日または約90日にわたって、特定の疾患または病状を治療するのに効果的な濃度で対象にデリバリーする。
【0066】
本願発明の組成物(例、本願発明のデポ組成物)におけるポリマーマトリックスとして有用なポリマーは、ヒドロキシ脂肪酸およびその誘導体またはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ−ベータ−ヒドロキシ酪酸などの他の試剤のポリマー、エプシロン−化プロラクトン開環ポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー、2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸コポリマー、ポリ乳酸−ポリエチレングリコールコポリマーまたはポリグリコール酸−ポリエチレングリコールコポリマー、アルキルアルファ−シアノアクリレート(例えば、ポリ(ブチル 2−シアノアクリレート))、ポリアルキレンオキサレート(例えば、ポリトリメチレンオキサレートまたはポリテトラメチレンオキサレート)、ポリオルトエステル、ポリカーボネート(例えば、ポリエチレンカーボネートまたはポリエチレンプロピレンカーボネート)、ポリオルト−カーボネート、ポリアミノ酸(例えば、ポリ−ガンマ−L−アラニン、ポリ−ガンマ−ベンジル−L−グルタミン酸またはポリ−y−メチル−L−グルタミン酸)、ヒアルロン酸エステル等を包含し、1または複数のこれらポリマーを用いることができる。
【0067】
該ポリマーがコポリマーである場合、それらはランダム、ブロックおよび/またはグラフトコポリマーのいずれであってもよい。上記したアルファ−ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸およびヒドロキシトリカルボン酸がその分子にて最適な活性を有する場合、D−異性体、L−異性体および/またはDL−異性体のいずれか一つを用いてもよい。とりわけ、アルファ−ヒドロキシカルボン酸ポリマー(好ましくは、乳酸−グリコール酸ポリマー)、そのエステル、ポリ−アルファ−シアノアクリル酸エステル等を用いてもよく、乳酸−グリコール酸コポリマー(ポリ(ラクチド−アルファ−グリコリド)またはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)とも称され、以下、PLGAと称される)が好ましい。かくして、一の態様にて、ポリマーマトリックスに有用なポリマーはPLGAである。本願明細書にて用いられるように、PLGAなる語は乳酸ポリマー(ポリラクチド、ポリ(乳酸)またはPLAとも称される)を包含する。最も好ましくは、該ポリマーは生分解性ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーである。
【0068】
好ましい実施態様において、本願発明のポリマーマトリックスは、生体適合性および生分解性ポリマー材料である。「生体適合性」なる語は、毒性がなく、発癌性でなく、体内組織にて炎症を顕著に誘発しない、ポリマー材料として定義される。該マトリックスは、該ポリマー材料が身体過程により体内で簡単に処分可能な生成物に分解され、体内で蓄積されないような生分解性とすべきである。生分解される生成物はまた、該ポリマーマトリックスが体内で生体適合性である点で体内にて生分解性であろう。ポリマーマトリックス材料の特に有用な例として、ポリ(グリコール酸)、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−乳酸、上記した酸のコポリマー、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキソノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸−カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸−カプロラクトン)、ポリ無水物およびアルブミン、カゼインおよびグリセロールモノ−およびジステアレートなどのワックスを含む天然ポリマー等が挙げられる。本願発明を実施するのに好ましい使用のためのポリマーはdl(ポリラクチド−コ−グリコリド)である。かかるコポリマー中のラクチドのグリコリドに対するモル比は約75:25から50:50の範囲にあることが好ましい。
【0069】
有用なPLGA ポリマーは約5,000〜500,000ダルトン、好ましくは約150,000ダルトンの重量平均分子量を有してもよい。達成される分解速度に応じて、異なる分子量のポリマーが使用されてもよい。薬物を放出する拡散機構では、ポリマーは薬物がすべてポリマーマトリックスから放出されるまで無傷のままで、それから崩壊すべきである。薬物はまた、ポリマー賦形剤の生体浸食体としてポリマーマトリックスより放出される得る。
【0070】
PLGAは一般的方法により調製されてもよく、あるいは市販されているものであってもよい。例えば、PLGAは、環状ラクチド、グリコリドなどからの適当な触媒で開環重合に付すことで製造され得る(EP−0058481B2;PLGA特性における変数:分子量、組成および鎖構造の重合化の効果を参照)。
【0071】
PLGAは、生物学的状態下(例えば、水およびヒトなどの温血動物の組織にて認められる生体酵素の存在下)で、加水分解および酵素切断可能なエステル結合が崩壊し、乳酸およびグリコール酸を形成することで固体ポリマーの組成物全体が分解することにより、生分解可能であると考えられる。乳酸およびグリコール酸は共に、正常な代謝作用の水可溶性および非毒性の生成物であり、さらに生物分解され、二酸化炭素および水を形成してもよい。言い換えれば、PLGAは、例えばヒトなどの温血動物の体内にある水の存在下でのそのエステル基の加水分解により分解され、乳酸およびグリコール酸を産生し、酸性微気候をクリエートすると考えられる。乳酸およびグリコール酸は、正常な生理学的条件下でヒトなどの温血動物の体内における種々の代謝経路の副生成物であり、したがって十分に許容され、全身的な中毒作用を最小限にて引き起こす。
【0072】
もう一つ別の実施態様にて、本願発明に有用なポリマーマトリックスは、ポリエステルの構造が星形である、星形ポリマーを含んでもよい。これらのポリエステルは中心部分が酸残基鎖により囲まれている単一のポリオール残基を有する。ポリオール部分は、例、グルコースまたは、例、マンニトールであってもよい。これらのエステルは公知であり、GB2,145,422および米国特許第5,538,739号に記載されており、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする。
【0073】
星形ポリマーは、開始剤として、ポリヒドロキシ化合物、例、ポリオール、例、グルコースまたはマンニトールを用いて調製されてもよい。ポリオールは、少なくとも3個のヒドロキシ基を含有し、分子量が約20000ダルトンまでで、ポリオールの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、例えば、平均で3個のヒドロキシ基がエステル基の形態であり、ポリラクチドまたはコポリラクチド鎖を有する。分岐ポリエステル、例、ポリ(d、l−ラクチド−コ−グリコリド)は、放射状の線状ポリラクチド鎖を有する中心となるグルコース部分を有する。
【0074】
上記されるような本願発明のデポ組成物(例、処方6.1−6.4または6.5のいずれかの組成物)は、ポリマーを、微粒子またはナノ粒子の形態にて、あるいは液体の形態にて、その中に発明の化合物が分散またはカプセル化されるように含んでもよい。「微粒子」は、発明の化合物を液体または固体形態のいずれかで含有する固体粒子であって、該粒子のマトリックスとして供するポリマー内にかかる化合物が分散または溶解されている粒子を意味する。ポリマー材料を適宜選択することで、微粒子製剤は、得られた微粒子が拡散放出と生分解放出の両方の特性を示すことが可能となる。
【0075】
ポリマーが微粒子の形態である場合、微粒子は、溶媒蒸発または溶媒抽出法によるなどの適当な方法を用いて調製されてもよい。例えば、溶媒蒸発法にて、発明の化合物およびポリマーを揮発性有機溶媒(例えば、アセトンなどのケトン、クロロホルムまたは塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族性炭化水素、ジオキサンなどの環状エーテル、酢酸エチルなどのエステル、アセトニトリルなどのニトリルあるいはエタノールなどのアルコール)に溶かし、適当な乳化安定化剤(例えば、ポリビニルアルコール、PVA)を含有する水相に分散させてもよい。次に、有機溶媒を蒸発させ、発明の化合物がその中にカプセル化されている微粒子を得る。溶媒抽出法では、発明の化合物およびポリマーが極性溶媒(アセトニトリル、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチルまたはギ酸メチルなど)に溶解され、次に水相(水/PVA溶液など)に分散されてもよい。エマルジョンを生成し、発明の化合物がその中にカプセル化されている微粒子を提供する。噴霧乾燥は微粒子を調製するための別の製造法である。
【0076】
本願発明の微粒子を調製するもう一つ別の方法もまた、米国特許第4,389,330号および米国特許第4,530,840号の両方に記載されている。
【0077】
本願発明の微粒子は、注射組成物における使用を許容する粒径の微粒子の製造能を有するいずれかの方法により調製され得る。一の好ましい製造法が、米国特許第4,389,330号に記載されている方法である。この方法では、活性薬剤を適当な溶媒に溶解または分散させる。該薬剤含有の媒体に、ポリマーマトリックス材料を、所望の負荷の活性薬剤を有する生成物を提供する量であって、活性成分に対して相対的な量にて添加する。所望により、微粒子生成物のすべての成分は、溶媒の媒体と一緒にブレンドされ得る。
【0078】
本願発明の粒子に利用することのできる、発明の化合物およびポリマーマトリックス材料に適する溶媒は、アセトンなどの有機溶媒;クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;芳香族性炭化水素化合物;ハロゲン化芳香族性炭化水素化合物;環状エーテル;ベンジルアルコールなどのアルコール;酢酸エチルなどを包含する。一の実施態様において、本願発明の粒子にて用いるための溶媒は、ベンジルアルコールと酢酸エチルの混合液であってもよい。本願発明に有用な微粒子の調製に関するさらなる情報は、米国特許出願公開番号2008/0069885に記載されており、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする。
【0079】
微粒子に配合される発明の化合物の量は、一般に、約1重量%ないし約90重量%、好ましくは30〜50重量%、より好ましくは35〜40重量%の範囲にある。重量%とは、微粒子の全重量に対する発明の化合物の部分を意味する。
【0080】
デポ組成物は、水混和性希釈体または担体などの、医薬上許容される希釈体または担体を含んでもよい。
【0081】
浸透圧制御性放出経口デリバリーシステム用組成物の詳細は、EP1 539 115(米国特許公開番号2009/0202631)およびWO2000/35419に記載されており、その各々の内容を出典明示により本願明細書の一部とする。
【0082】
「治療的に効果的な量」とは、疾患または障害を患っている対象に投与した場合に、治療を意図する期間にわたって疾患または障害の減少、鎮静または軽減を惹起するのに効果的な、発明の化合物の量(例えば、デポ組成物に含有されるような量)である。
【0083】
本願発明を実施するのに利用される投与量は、もちろん、例えば治療されるべき特定の疾患または病状、使用される本願発明の特定の化合物、投与方法および所望の療法に応じて変化するであろう。特記されない限り、(遊離塩基または塩の形態として投与される)発明の化合物の投与量は、発明の化合物が遊離塩基の形態である場合をいい、あるいは該化合物の量に基づく(すなわち、配合量の計算は遊離塩基の量に基づく)。
【0084】
発明の化合物は、経口、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)または経皮投与を含む満足の行く経路により投与されてもよいが、好ましくは経口投与である。ある実施態様にて、発明の化合物は、例えば、デポ組成物にて、非経口的に、例、注射により投与されることが好ましい。
【0085】
一般に、方法Iまたはいずれかの処方7.1−7.25について、あるいは上記されるような、少なくとも鬱病、精神病、例、上記されるような(1)鬱病を患っている患者における精神病、例、統合失調症;(2)精神病、例、統合失調症を患っている患者における鬱病;(3)精神病、例、統合失調症またはパーキンソン病に付随する気分障害;および(4)精神病、例、統合失調症またはパーキンソン病に付随する睡眠障害の組み合わせなどの疾患の組み合わせを治療するための、方法I
Pまたは発明の化合物の使用についての満足のいく結果が、約1mg〜100mgを一日に1回、好ましくは2.5mg−50mg、例、2.5mg、5mg、l0mg、20mg、30mg、40mgまたは50mgを一日に1回の投与量で経口投与して得られることが示唆される。
【0086】
上記されるような、例えば睡眠障害を単独で治療するための、方法IIまたはいずれかの処方8.1−8.15、方法II
Pまたは発明の化合物の使用についての満足のいく結果が、約2.5mg−5mgからの投与量で経口投与して、例、2.5mg、3mg、4mgまたは5mgの発明の化合物を遊離形態または医薬上許容される塩の形態にて、一日に1回、好ましくは経口投与を介して得られることが示唆される。
【0087】
方法I−Aまたはいずれかの処方9.1−9.38あるいは方法I
P−Aについての満足のいく結果が、100mgより少ない、好ましくは50mgより少ない、例、40mgより少ない、30mgより少ない、20mgより少ない、10mgより少ない、5mgより少ない、2.5mgより少ない量で、一日に1回投与することで得られることが示唆される。方法II−Aまたはいずれかの処方9.1−9.38の満足のいく結果が、5mgより少ない、好ましくは2.5mgより少ない量で得られることが示唆される。
【0088】
デポ組成物を用いて長期の作用持続時間が得られる本願明細書に開示の障害を治療するためには、該投与量は、短期作用の組成物と比べて高く、例、1−100mg、例、25mg、50mg、100mg、500mg、1,000mgより多く、1000mgよりも大きいであろう。発明の化合物の持続作用期間は、ポリマー組成物の操作、すなわちポリマー:薬物の割合および微粒子の直径を操作することにより調整されてもよい。本願発明の組成物がデポ組成物である場合、注射による投与が好ましい。
【0089】
発明の化合物の医薬上許容される塩は、通常の化学方法により、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。一般に、かかる塩は、遊離塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適当な酸と、水中、または有機溶媒中、あるいは2種の混合溶媒中、反応させることで調製され得る;一般に、エーテルなどの非水性媒体、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルが好ましい。非晶質または結晶形態のこれらの塩、例、トルエンスルホン酸塩の調製に対するさらなる詳細が、PCT/US08/03340および/または米国仮出願番号61/036,069に記載されている。
【0090】
発明の化合物を含む医薬組成物は、通常の希釈体または賦形剤(一例として、ゴマ油が挙げられるが、これに限定されない)および本草薬の分野にて公知の技法を用いて調製されてもよい。かくして、経口用剤形は、錠剤、カプセル、液剤、懸濁液などを包含する。
発明の化合物の製造法:
【0091】
Yが−C(H)(OH)−である発明の化合物は、還元剤を、本願明細書にて記載されるような、Yが−C(=O)である式Qの化合物と反応させることにより調製されてもよく、その式Qの出発化合物はWO PCT/US08/03340(WO2008/112280);米国特許出願番号10/786,935;米国特許第6,548,493号;第7,238,690号;第6,552,017号;第6,713,471号;第7,183,282号;U.S.RE39680およびU.S.RE39679にさらに詳細に記載されるように調製されてもよく、その内容はすべて出典明示により本願明細書の一部とされる。還元剤は金属水素化物、例、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムであってもよい。ケトンを還元するためのさらなる試薬は、Jerry March、Advanced Organic Chemistry、Reactions Mechanisms and Structures、910−911頁、(1992、John Wiley & Sons, Inc.)、第4版に記載されており、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする。
【0092】
Xが−N(H)−であり、Yが−C(H)(OH)である、発明の化合物(例、式I)は、別途、Xが−N(CH
3)−であり、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物を、式Qのケトン基の還元について上記されるような還元剤と反応させることにより、例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いることにより調製される。
【0093】
発明の化合物のジアステレオマーの単離または精製は、当該分野にて一般的な方法、例えばカラム精製、分取性薄層クロマトグラフィー、分取性HPLC、結晶化、トリチュレーション、擬似移動床等により達成されてもよい。
【0094】
式IIIの化合物またはいずれかの4.1−4.27または4.28−4.30の化合物は、アシルハライド、無水物または活性エステルのアルコール分解などの数種の一般的に使用されるエステル化法により調製されてもよい。例えば、R
1が−C(O)−アルキルである式IIIの化合物は:
(a)Lがハロ基(例えば、クロロまたはブロモ)、トリフルオロメチルスルホニルオキシ(−OSO
2CF
3)、トシルオキシ(−O−S(O)
2−C
6H
4−CH
3)、メチルスルホニルオキシ(−O−S(O)
2−CH
3)、1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イルオキシまたはスクシンイミジルオキシ基である、L−C(O)−C
1−21アルキルを、
(b)Yが−C(H)(OH)である式Iの化合物と、好ましくは、塩基(例、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミンまたはピリジン)の存在下で反応させることにより調製されてもよい。例えば、L−C(O)−C
1−21アルキルはアセチルハライド、デカノイルハライドまたはヘプタノイルハライドであり、HO−C(O)−C
1−21アルキルを、例えば塩化チオニル、P(X’)
3またはP(X’)
5、ここでX’はClまたはBrである、と反応させることにより調製されてもよい。Lがトシルオキシ−C(O)−C
1−21アルキルまたはメチルスルホニルオキシ−C(O)−C
1−21アルキルの場合、これらの化合物はHO−C(O)−C
1−21アルキルをトシルクロリドまたはメシルクロリドと反応させることにより、好ましくはピリジンなどの塩基の存在下で調製されてもよい。式IIの化合物の合成は、以下の反応スキームにて要約されていてもよい:
【化18】
【0095】
あるいはまた、式IIIの化合物の合成は、HO−C(O)−C
1−21アルキルを、(i)Yが−C(H)(OH)である化合物と、DIEPAおよびNEt
3などの塩基の存在下で、および(ii)2−フルオロ−1−エチルピリジニウムテトラフオロボレート(FEP)、テトラメチルフオロマミジウムヘキサフオロホスフェート(TFFH)または1,1,3,3−ビス(テトラメチレン)クロロウロニウムヘキサフルオロホスフェート(PyCIU)などの脱水剤またはカップリング剤と反応させることで達成されてもよい。
【0096】
発明の化合物の塩は、米国特許第6,548,493号;7,238,690;6,552,017;6,713,471;7,183,282;米国RE39680;米国RE39679;およびWO2009/114181にて同様に記載されるように調製されてもよく、その各々の内容は出典明示により本願明細書の一部とされる。
実施例1
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オールの合成
【化19】
【0097】
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン・トシル酸塩(8.58g、15.2ミリモル)を150mLのメタノールに溶かした。得られた褐色溶液を−10℃に冷却し、ついでNaBH
4(1.72g、45.5ミリモル)をゆっくりと添加する。添加終了後、該反応混合物を室温で1時間攪拌し、ついで20mLの水を添加することでクエンチさせる。溶媒をロータリーエバポレータで除去した後、残渣を50mLの1N NaOH水溶液で処理し、ついで塩化メチレンで4回抽出する。合した有機相を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ついで真空下で蒸発乾固させ、6gの白色泡沫状固体を97.8%純度および99%收率で得る。MS(ESI) m/z 396.1[M+H]
+
【0098】
この化合物のジアステレオマーをCHIRALPAK(登録商標)AY-H、5μ、30x250mmを用いるHPLCにより、室温で分離し、10%エタノール/90%ヘキサン/0.1%ジメチルエチルアミンで溶出する。230nmでピークを検出し、98−99.9%eeのジアステレオマーを生成する。
実施例2:
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オールの合成
【化20】
【0099】
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン・HCl塩(500mg、1.20ミリモル)を20mLのメタノールに懸濁させる。NaBH
4(136mg、3.60ミリモル)を該懸濁液に室温でゆっくりと添加する。NaBH
4の添加の間に、該懸濁液は透明な溶液に変化する。1時間後、付加的な90mgのNaBH
4を該混合液に加え、反応の終了を推し進める。反応混合物を10mLの水を添加することでクエンチする。溶媒がロータリーエバポレータで除去された後、残渣を10mLの1N NaOH水溶液で処理し、ついで塩化メチレンで3回抽出する。合わせた有機相を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ついで真空下で蒸発乾固させ、434mgの灰白色泡沫状固体を98%純度および95%收率で得る。MS(ESI) m/z 382.2[M+H]
+
実施例3:
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−デカノエート
【化21】
【0100】
172mgのデカン酸(1.0当量)を1.0mlのジクロロメタン(DCM)に室温で溶かし、塩化オキサリル(1.0当量)を、つづいて2滴のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を滴下する。透明な溶液を1.0時間攪拌し、デカン酸クロリドを調製し、それを次の工程に直接使用する。
【0101】
実施例1と同様に調製されるような、396mgの1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オール(1.0当量)および1.5当量のN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)を3.0mlのDCMに攪拌しながら溶かす。新たに調製したデカン酸クロリド溶液を室温でゆっくりと滴下し、薄層クロマトグラフィー(TLC)がすべての出発物質の消耗を示すまで、該混合物を付加的に2.0時間攪拌する。反応終了後、2mLの水を滴下して反応をクエンチさせ、pHを30%NaOHで>9に調整する。有機相を分離して濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=5:l)で精製し、160mgのデカン酸エステルの遊離塩基を褐色油として得る。R
t(UPLC−MS)=3.42分、C
34H
48FN
3O
2(M
++1)についてのHRMS 550.1024
実施例4:
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−ブタノエートの合成
【化22】
【0102】
この化合物を実施例3に記載されるのと同様の操作を用いて合成し、1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−ブタノエートを褐色油として得る。R
t(UPLC−MS)=2.54分、C
28H
36FN
3O
2(M
++1)についてのHRMS 466.0489
実施例5:スプレーグ・ドーリラットにおける単回投与経口生物学的利用能および薬理学的研究
研究に使用される動物:
系統/種: スプレーグ・ドーリ(Crl:CD(登録商標)(SD)BR)ラット
性別: 雄および雌
研究の際の年齢: 7−8週齢
体重の範囲: 225−300g
研究の際の動物の数: 雄3匹および雌3匹
投与製剤の調製
【0103】
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド−[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オール(すなわち、実施例1の化合物)の懸濁液を0.5%メチルセルロース含有の脱イオン水を用いて調製する。該懸濁液は、必要な量の脱イオン水中のメチルセルロースをガラス容器に入れることにより調製する。一日の投与を終えるまで、該懸濁液を磁気攪拌器での攪拌を維持する。投与用懸濁液は各試験項目群について投与するその日に調製する。
【0104】
合計3匹の雄と3匹の雌のラットに30mg/kgで投薬する。血液サンプルを投与した0.30分、1、4および8時間後に集める。血漿サンプルを分析して実施例1の化合物、式Qの化合物(X=−N(CH
3)−およびY=−C(=O))および式Qの化合物(X=−N(H)−およびY=−C(=O))の血漿中濃度を分析する。薬物動態プロファイルをWinNonlinを用いて測定する。
【0105】
動物をイソフルランで麻酔し、全血(約0.5mL/時点)を、最初の処置の日に、次の時点:投与した0.30分、1、4および8時間後にガラスキャピラリー管を用いて眼窩静脈叢より採取する。全血(約0.5mL)をメーカー供給のナトリウムヘパリン含有の冷却したプラスチック管に集める。採血管を手で反転させた数回混合するか、ゆっくりと攪拌し、遠心分離に付すまでウェットアイス上で貯蔵する。血液を遠心分離に付した(約2700g、約10分、約5℃)。血漿を使い捨てのピペットでプラスチックバイアルに移し、分析に供するまで約−70℃で貯蔵する。結果を表2にて要約する:
【表1】
【0106】
表2で観察されるように、血漿中の実施例1の化合物の濃度は、一般に、経時的に減少するのに対して、Xが−N(CH
3)−およびYが−C(=O)であるか、またはXが−N(H)−およびYが−C(=O)−である、式Qの化合物の濃度は8時間にわたって維持される。
実施例6:SERT活性
【0107】
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オールによるセロトニン再摂取輸送体(SERT)活性の阻害およびSERTとの結合は、標準体としてイミプラミンを用い、WO/2009/145900に記載の方法を用いて測定される。該化合物は式Qの対応するケト化合物と同様の、強力なSERT阻害活性を有することが分かる。
【0108】
セロトニン再摂取の阻害は、トリチウム化セロトニンを用いる、ヒト血小板アッセイにて測定される。血小板は0.5mM EDTA含有のCa不含KRH緩衝液(pH7.4)に希釈し、室温で15分間対照および試験サンプルに添加する。次に、基質を添加する前に37℃の水浴にて管を平衡状態にする。15分間インキュベートした後に急速な真空濾過で反応を停止させる。フィルターに捕獲された放射活性を測定し、試験化合物のセロトニン摂取との相互作用を確認するために、対照の値と比較する。このアッセイにおけるK
T(トリチウム化セロトニンの結合アフィニティ)は970nMである。V
max(輸送速度)は25ピコモル/分/mg蛋白である。試験化合物は1.5マイクロモルのK
iを有する。正対照のイミプラミンはこのアッセイにて0.1マイクロモルのK
iを有する。
【0109】
SERTへの結合の阻害は、トリチウム化シタロプラムを競合体として用いて測定される。このアッセイにおける受容体源はヒト血小板細胞膜である。放射性リガンドは[3H]シタロプラムN−メチル(70−87Ci/ミリモル)である。最終リガンド濃度は[0.7nM]である。クロミプラミン−[1.0μM]は非特異的決定因子であり、正対照がイミプラミンである。120mM NaClおよび5mM KClを含有する、50mM トリス塩酸(pH7.4)中、25℃で反応を60分間行う。ガラスファイバーフィルターでの迅速な真空濾過により反応を終える。フィルター上に捕獲される放射活性を液体シンチレーション分光分析を用いて測定し、試験化合物のセロトニン輸送体結合部位との相互作用を確認するために対照値と比較する。このアッセイにおけるKD(シタロプラムの結合アフィニティ)は2.5nMであり、Bmax(受容体数)は425fmol/mg蛋白である。試験化合物は、正対照であるイミプラミンでは、Kiが3nMであるのと比べて、71nMのKiを有する。
実施例7:ラットの全血中での実施例4の加水分解
【0110】
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−ブタノエート(または実施例4の化合物)の、EDTA含有のラット全血中における加水分解速度を、該サンプルをラットの全血と37℃で種々の時間インキュベートし、サンプルを5分間隔で採取し、出発する薬物の残りの濃度を、および加水分解されたエステルの濃度を、血液をアセトニトリルで抽出した後でHPLC−MSで測定することで決定する。結果を以下の表3に示す:
【表2】
表3から分かるように、実施例4の化合物は、90分間にわたって、血中の実施例1の化合物の濃度が上昇していることからも明らかなように、分解されて着実に実施例1の化合物に戻っている。
実施例8:マウスにおけるDOI(DOI (R(−)−2,5−ジメトキシ−4−ヨードアンフェタミン))誘発性頭部痙攣試験
【0111】
DOIはセロトニン5−HT2受容体ファミリーのアゴニストである。マウスに投与されると、それは頻発な頭部痙攣に伴う行動プロフィールを引き起こす。所定の期間の間の、これら頭部痙攣の頻度は、脳における5−HT2受容体作動性作用の判断要素として取り扱うことができる。逆に言えば、この行動アッセイは、DOIをアンタゴニストと一緒にまたは無しで投与し、該アンタゴニスト投与後の、DOI誘発性の頭部痙攣の減少を記録することで、脳中に生じている5−HT2受容体拮抗作用を測定しうる。
【0112】
Darmaniら、Pharmacol Biochem Behav.(1990)36:901-906(その内容はすべて出典明示により本願明細書の一部とされる)をいくらか修飾して用いる。(±)−DOI・HClを皮下注射し、該マウスを直ちに一般的なプラスチックケージに入れる。DOIの投与から1分後に開始して、6分間にわたる頭部痙攣の数を計数する。DOIを注射する0.5時間前に、実施例1の化合物を経口投与する。結果を
図1に示す。
【0113】
図1に示され得るように、DOIを注射する前の実施例1の化合物の経口投与は、顕著に、かつ用量に依存して、頭部痙攣を減少させ、そのことは5−HT2受容体アンタゴニストとしての活性を示すものである。このアッセイにて、実施例1の化合物の、DOI誘発性頭部痙攣を減少させるIC50は0.31mg/kgである。
実施例9:ステップダウンレテンシー試験
【0114】
脳にてドパミン受容体に拮抗作用を及ぼす薬物は運動行動を遅くし、強硬性状態を誘発しうる。この活動は単純なステップダウンレテンシー試験を用いてマウスにて評価され得る。この試験では、マウスは尾を掴まれ、その齧歯類の前足はロッド上に置かれ、その後足はベンチトップに置かれる。次に、前足をロッドからステップダウンする回数を測定する。最大2分間は、その間に該ラットがロッドを離れて、ホームゲージに戻ることを可能とする。実施例1の化合物またはハロペリドール(正対照として使用)が試験を行う120分前に経口投与される。各マウスをケージに戻してから、ステップダウンレテンシー試験を実施例1の化合物またはハロペリドール化合物を投与した120、180、240および360分後に行う。結果を
図2に示す。
【0115】
図2から分かるように、実施例1の化合物の経口投与は、顕著に、および用量依存的に、ステップダウンレテンシーを増加させ、このことはドパミン受容体アンタゴニストとしての活動を示す。