特許第5894580号(P5894580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5894580苦い異味が低減された甘味料組成物および調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894580
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】苦い異味が低減された甘味料組成物および調製方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20160317BHJP
【FI】
   A23L1/22 E
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-510306(P2013-510306)
(86)(22)【出願日】2011年5月12日
(65)【公表番号】特表2013-526281(P2013-526281A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】US2011036307
(87)【国際公開番号】WO2011143465
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年3月31日
(31)【優先権主張番号】61/395,408
(32)【優先日】2010年5月12日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500159680
【氏名又は名称】カーギル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・コルネリス・アドリアヌス・ペトルス・シップス
(72)【発明者】
【氏名】ロニー・レオンティナ・マルセル・フェルカウテレン
【審査官】 高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−304829(JP,A)
【文献】 特表2000−514305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00−27/40
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバウジオシドAおよびエリトリトールの5ミクロン〜100ミクロンの粒子サイズの粉砕混合物を含む甘味料組成物であって、
レバウジオシドAは、粉砕混合物の0.10重量%〜50.0重量%の量で存在することを特徴とする該甘味料組成物。
【請求項2】
少なくとも60%の100ミクロン未満の粒子サイズを有する、レバウジオシドAおよびエリトリトールの粉砕混合物を含む甘味料組成物であって、
レバウジオシドAは、粉砕混合物の0.10重量%〜50.0重量%の量で存在することを特徴とする該甘味料組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の甘味料組成物を含む食品生成物であって、
食品生成物は、チューインガム、ロゼンジ、錠剤、口腔分散粉末およびカプセル、医薬、菓子用充填剤、チョコレートおよびチョコレート含有食品生成物、脂肪ベースのクリームおよび充填剤、硬および軟キャンディー、ガムおよび咳止めドロップ、アイスクリーム、冷凍デザート、シリアル、焼き物、調味料、ヨーグルト、乳製品、ジャム、ゼリーおよび保存食品、チョコレート、ミート、調製済みミックス、アイシングおよびグレーズを含めた菓子、食事代替バー、フルーツフィリング、ドレッシング、スープ、ソース、ベビーフードおよびプディングよりなる群から選択される該食品生成物。
【請求項4】
甘味料組成物の調製方法であって、
a.レバウジオシドAおよびエリトリトールを混合して、混合物を生成し、
ここに、レバウジオシドAは、混合物の0.10重量%〜50.0重量%の量で存在し;
b.工程a.の混合物を15秒〜120秒間粉砕して、5ミクロン〜100ミクロンの粒子サイズを有する粉砕混合物を得ること
を特徴とする該調製方法。
【請求項5】
甘味料組成物の調製方法であって、
a.レバウジオシドAおよびエリトリトールを混合して、混合物を生成し、
ここに、レバウジオシドAは、混合物の0.10重量%〜50.0重量%の量で存在し;次いで
b.工程a.の混合物を15秒〜120秒間粉砕して、少なくとも60%の100ミクロン未満の粒子サイズを有する粉砕混合物を得ること
を特徴とする該調製方法。
【請求項6】
レバウジオシドAが、粉砕混合物の0.25重量%〜25.0重量%の量で存在することを特徴とする請求項1または2記載の甘味料組成物。
【請求項7】
レバウジオシドAが、粉砕混合物の0.25重量%〜25.0重量%の量で存在することを特徴とする請求項4または5記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、苦い異味(bitter off taste)が低減された、炭水化物および高強度甘味料の粉砕混合物を含む甘味料組成物、ならびにかかる甘味料組成物の調製方法に指向される。
【背景技術】
【0002】
スクロース、フルクトースおよびグルコースのごとき自然なカロリーの糖は、かかる糖の心地よい味により飲料、食品、医薬、口腔衛生用品および化粧品産業において極度に利用されている。特に、スクロースは消費者に対して望ましい味を与える。スクロースは優れた甘味特性を提供するが、それはカロリーがある。カロリーの意識があるか、または健康なライフスタイルを実践することを望む、定着したライフスタイルの消費者に対する砂糖様の味を持つ代替的なノンカロリーまたは低カロリー甘味料(すなわち、高強度甘味料)を提供することの市場における必要性が存在する。しかしながら、一般的に、高強度甘味料は、遅延した甘味の始まり、長く続く甘味の後味、苦い異味、金属的な異味、渋い異味、冷たい異味、甘草様の異味等のごとき消費者に関連した望ましくない味を有する。
【0003】
ほとんどの高強度甘味料は甘味に加えて他の味質を示す。例えば、合成甘味料であるサッカリンは、苦くかつ金属的な双方の異味を示すことが判明している。もう一つの合成甘味料のシクラメートは、苦くかつ塩っぱい異味を呈する。また、双方ともに天然の高強度甘味料であるステビオシドおよびヘルナンズルシンは、苦い異味を有する。高強度甘味料の味プロフィールを改変して、苦い異味を低減できたならば、その甘味料で調製し得る組成物のタイプおよび種類をかなり広げるであろう。結果的に、多数の高強度甘味料に特有の苦い異味を低減することは望ましであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、苦い異味が低減された、炭水化物および高強度甘味料の粉砕混合物を含む甘味料組成物、ならびにかかる甘味料組成物の調製方法に指向される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの具体例において、本開示は、炭水化物および高強度甘味料の約5ミクロン〜約100ミクロンの粒子サイズの粉砕された混合物を含む甘味料組成物に関し、ここに、高強度甘味料は、粉砕混合物の約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在し、粉砕混合物の苦い異味は、炭水化物および高強度甘味料の約190.0ミクロンを超える粒子サイズを有する非粉砕混合物に比較して低減され、高強度甘味料は、非粉砕混合物の約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在する。もう一つの態様において、甘味料組成物の粉砕混合物は、約20ミクロン〜約100ミクロンの粒子サイズを有する。さらにもう一つの態様において、甘味料組成物の粉砕混合物は、約20ミクロン〜約50ミクロンの粒子サイズを有する。もう一つの具体例における高強度甘味料は、粉砕混合物および非粉砕混合物の約0.25重量%〜約25.0重量%の量で存在する。
【0006】
もう一つの具体例において、本開示は、少なくとも60%の100ミクロン未満の粒子サイズを有する、炭水化物および高強度甘味料の粉砕混合物を有する甘味料組成物に関し、高強度甘味料は、約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在し、粉砕混合物の苦い異味は、少なくとも60%の500ミクロンを超える粒子サイズを有する、炭水化物および高強度甘味料の非粉砕混合物に比較して低減され、高強度甘味料は約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在する。もう一つの具体例において、甘味料組成物の粉砕混合物は、50%を超えて、40ミクロン未満の粒子サイズを有する。1つの態様において、高強度甘味料は、粉砕混合物および非粉砕混合物の約0.25%重量%〜約25.0重量%の量で存在する。
【0007】
食品生成物は、本開示の甘味料組成物を用いて調製できる。かかる食品生成物はチューインガム、ロゼンジ、錠剤、口腔分散粉末およびカプセル、医薬、ビタミン、菓子用充填剤、チョコレートおよびチョコレート含有食品生成物、脂肪ベースのクリームおよび充填剤、硬および軟キャンディー、ミント、ガムおよび咳止めドロップ、アイスクリーム、冷凍デザート、乾燥ミックス、テーブルトップ(tabletop)、シリアル、焼き物、調味料、ヨーグルト、乳製品、ジャム、ゼリーおよび保存食品、チョコレート、ミート、調製済みミックス、アイシングおよびグレーズを含む菓子、食事代替バー、セイバリー(savory)バー、スプレッド、フルーツフィリング、ドレッシング、スープ、ソース、ベビーフードおよびプディングを含む。
【0008】
もう一つの具体例において、本開示の甘味料組成物の調製方法は、炭水化物および高強度甘味料を混合して、混合物を生成することを含み、ここに、高強度甘味料は約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在する。かかる混合物は、約15秒〜約120秒間粉砕して、約5ミクロン〜約100ミクロンの粒子サイズを有する粉砕混合物を得、ここに、粉砕混合物の苦い異味が、約500ミクロンを超える粒子サイズを有し、高強度甘味料は粉砕混合物においてと同じ量で存在する炭水化物および高強度甘味料の非粉砕混合物に比較して低減される。1つの態様において、高強度甘味料は、粉砕混合物および非粉砕混合物の約0.25重量%〜約25.0重量%の量で存在する。もう一つの具体例において、粉砕混合物は約20ミクロン〜約100ミクロンの粒子サイズを有する。さらにもう一つの具体例において、粉砕混合物は約20ミクロン〜約50ミクロンの粒子サイズを有する。
【0009】
もう一つの具体例において、本開示の甘味料組成物の調製方法は、炭水化物および高強度甘味料を混合して、混合物を生成することを含み、ここに、高強度甘味料は、混合物の約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在する。かかる混合物を約15秒〜約120秒間粉砕して、少なくとも60%の100ミクロン未満の粒子サイズを有する粉砕混合物を得、ここに、粉砕混合物の苦い異味は、少なくとも60%の500ミクロンを超える粒子サイズを有し、高強度甘味料は粉砕混合物においてと同じ量で存在する炭水化物および高強度甘味料の非粉砕混合物に比較して低減される。1つの態様において、高強度甘味料は、粉砕混合物および非粉砕混合物の約0.25重量%〜約25.0重量%の量で存在する。もう一つの具体例において、粉砕混合物は、50%を超えて40ミクロン未満の粒子サイズを有する。
【0010】
本発明に有用な炭水化物は、多価アルコール、エリトリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトールならびにマルチトール、デキストロースおよびスクロースを含む。本発明に有用な高強度甘味料は、スクラロース、アセスルファムK、ネオテームおよびレバウジオシドAを含む。本開示のレバウジオシドA濃度は、すべてのステビオール配糖体に対し、約40%〜約99.5%、好ましくは約60%〜約99%、より好ましくは80%〜約99%、最も好ましくは95%〜約99%である。
【0011】
本開示は、後記の詳細な説明および添付図面からより完全に理解されるであろう。これらの図面は例示だけに与えられ、かくして、本開示を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、エリトリトール単独、ならびにエリトリトールおよびレバウジオシドAの非粉砕混合物の粒子サイズと比較した、エリトリトールおよびレバウジオシドAの粉砕混合物の粒子サイズの密度分布を示すグラフである。
図2図2は、エリトリトール単独、ならびにエリトリトールおよびレバウジオシドAの非粉砕混合物の粒子サイズと比較した、エリトリトールおよびレバウジオシドAの粉砕混合物の粒子サイズの累積分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義の選択
特記しない限りは、本明細書に用いた技術および科学用語のすべては、本開示が属する当該技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。化学における共通用語の定義は、Richard J. Lewis, Sr.編, Hawley’s Condensed Chemical Dictionary, published by John Wiley & Sons, Inc., 第14版, 2002 (ISBN 0-471-29205-2)に見出すことができる。
【0014】
本明細書に用いた「苦い異味」なる用語とは、舌におよび喉近辺の後部での不快で鋭いまたは不快であると知覚された苦味の強度をいう。
【0015】
本明細書に用いた「炭水化物」なる用語は、一般式C(HO)(式中、mおよびnは独立して3〜30である)の複数のヒドロキシル基で置換されたアルデヒドまたはケトン化合物、ならびにそれらのオリゴマーおよびポリマーをいう。加えて、本開示の炭水化物は炭水化物の還元形態であり得、ここに、カルボニル基(アルデヒドまたはケトン、還元糖)は、糖アルコール、多水酸基のアルコールまたは多価アルコールであり得る多価アルコールのごとき、第一または第2のヒドロキシル基に還元されている。加えて、本開示の炭水化物は、1以上の位置で置換または脱酸素化でき、それにより一般式C(HO)内にはなくてもよい(例えば、フコース)。本明細書に用いた炭水化物は、改変されていない炭水化物、炭水化物誘導体、置換された炭水化物および改変された炭水化物を包含する。改変された炭水化物は、少なくとも1つの原子が付加、除去、置換されるかまたはその組合せのいずれの炭水化物も意味する。かくして、炭水化物誘導体または置換された炭水化物は、置換されたかまたは置換されていない単糖、二糖類、オリゴ糖および多糖を含む。炭水化物誘導体または置換された炭水化物は、いずれかの対応するC位置にて脱酸素化でき、および/または水素、ハロゲン、ハロアルキル、カルボキシル、アシル、アクロキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルフォ、メルカプト、イミノ、スルホニル、スルフェニル、スルフィニルスルファモイル、カルボアルコキシ、カルボキサミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィノ、チオエステル、チオエーテル、オキシイミノ、ヒドラジン、カルバミル、発光物質、ホスホナト、または炭水化物誘導体または置換された炭水化物が高強度甘味料の味を改善するように機能することを提供するいずれかの他の実行可能な官能基のごとき1以上の基で置換できる。
【0016】
本開示の具体例における炭水化物の非限定の例は、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリン)、多価アルコール(例えば、エリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)、トレイトール、ガラクチトール、パラチノース、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元マルトースシロップ、還元グルコースシロップ、または高強度甘味料の味に悪影響しない還元できるいずれかの他の炭水化物、マルトデキストリン(Fibersol-2(商標)のごとき耐性マルトデキストリン類を含む)、デキストラン、ポリデキストロース、スクロース、デキストロース、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノースまたはイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、クルコノ−ラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、ビートオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース等)、キシロオリゴ糖(キシロトリオース 、キシロビオース等)、ゲンチオ−オリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース(gentriotriose)、ゲンチオテトラオース等)、ソルボース、ニゲロ−オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、フコース、フラクトオリゴ糖(ケストース、ニストース等)、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース等)、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノース、リボース、高フルクトースコーン/スターチシロップ(例えば、HFCS 55、HFCS 42またはHFCS 90)のごとき異性化液糖、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖およびグルコースシロップを含む。加えて、炭水化物はDまたはL配置のいずれでもあってもよい。
【0017】
本明細書に用いた「エリトリトール」なる用語は、代替糖としてよく知られ、世界中で甘味料として用途を承認された自然発生の糖アルコールをいう。エリトリトールは、構造式HOCH−CHOH−CHOH−CHOH(C10)を有する4水酸基をもつ多価アルコール(ブタン−1,2,3,4−テトラオール)である。また、それは2R,3S異性体であるメソエリトリトールとしても知られている。本明細書に用いた「ErOH」は、エリトリトールをいう。
【0018】
本明細書に用いた「食品生成物」なる用語は、消費に適合した食用生成物をいう。
【0019】
本明細書に用いた「高強度甘味料」(「HIS」)なる用語は、単独または組合せた生の、抽出された、精製でき、さらに比較的低カロリーを有するスクロース(一般的な砂糖)を超える甘味力を特徴的に有する自然または自然と同一のもので見出されるいずれかの甘味料をいう。高強度甘味料がスクロースと同じカロリー数を有したとしても、高強度甘味料の使用量は、スクロースよりも相当に少なく、それにより、総カロリー量を低下させる。例えば、高強度甘味料がスクロースの何倍もの甘味を有する化合物であるために、スクロースと同様の効果を得るためにもっと少ない高強度甘味料を必要とし、したがって、エネルギーの寄与は無視できる。本発明の実施例に適した高強度甘味料の非限定の例は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア、ステビオシド、モグロシドIVおよびモグロシドV、羅漢果(Luo Han Guo)甘味料、シアメノシド、モナチンおよびその塩(モナチン SS、RR、RS、SR)、クルクリン、グリチルリチン酸およびその塩、タウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルシン、フィロズルシン、グリシフィリン、フロリドジン、トリロバチン、バイユノシド、オスラジン、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシドAおよびシクロカリオシドI、ナトリウムサッカリン、シクラメート、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリターメ、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(NHDC)およびその組合せを含む。また、高強度甘味料は、改変した高強度甘味料を含む。改変した高強度甘味料は自然に改変された高強度甘味料を含む。例えば、改変した高強度甘味料は、限定されるものではないが、発酵させた、酵素と接触させた高強度甘味料、あるいは高強度甘味料について誘導または置換された高強度甘味料の異性体を含む。
【0020】
本明細書に用いた「成分」なる用語は、エリトリトールおよびステビオール配糖体を含めた甘味料組成物を構成するいずれかの化合物をいう。
【0021】
本明細書に用いた「融解している」または「融解した」なる用語は、エリトリトールまたはその混合物を固体から液体まで状態が変化するまで加熱するプロセスをいう。融解工程は、エクストルーダー、オーブン、ダブルジャケット容器またはパンのごとき装置において、熱、蒸気、マイクロ波または他の手段によってエリトリトールに熱を加える当該技術分野において知られたいずれの手段によっても試みることができる。
【0022】
本明細書に用いた「粉砕混合物」なる用語は、混合物の粒子サイズを低下させるために粉砕、挽いた、ふるいにかけた、破砕された、または処理された成分の混合物をいう。
【0023】
本明細書に用いた「粉砕している」または「粉砕された」なる用語は、成分の粒子サイズを低下させるために粉砕、挽くこと、ふるいにかけること、破砕すること、または処理することをいう。
【0024】
本明細書に用いた「混合している」または「混合された」なる用語は、容器中での成分の一緒の乾式混合、および均質混和が得られるまで約5秒〜約20分間、容器を手動および機械的に振盪するプロセスをいう。混合は、融解を含んでもよく、その結果、融解された混合物を生じ、次いで、固化させる。
【0025】
本明細書に用いた「非粉砕混合物」なる用語は、粉砕、挽く、ふるいにかけられ、破砕されていないまたは処理されていない成分の混合物をいう。
【0026】
本明細書に用いた「ステビオール配糖体」なる用語は、限定されるものではないが、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ズルコシド、ルブソシド(rebusoside)、ステビオールモノシド、ステビオールビオシドおよび19−O−βグルコピラノシル(glucopyranosol)−ステビオールを含めたアグリコンステビオール(エント−13−ヒドロキシカウア(hydroxykaur)−16−エン−19−オン酸)のいずれかの配糖体をいう。本明細書に用いた「Reb A」は、レバウジオシドAをいう。
【0027】
開示の以下の記載は、種々の具体例の開示を例示することを意図する。そのため、言及された特定の変形は、開示の範囲に対する制限として解釈されるべきではない。当業者には、種々の等価物、変更および変形が、開示の範囲から逸脱することなくなされてもよく、かかる等価な具体例が本明細書に含まれるべきであると理解されることは明らかであろう。
【0028】
よりよく本開示を理解するために、味および味改変に関連する、少なくともある種の概念および用語の一般知識を有することは有用である。第1には、味はしばしば、苦い、甘い、酸っぱい、塩っぱい、およびうまみから選択される味質という。同一項目における1またはそれを超えるこれらの味質を有することは可能である。第2には、味変更は、しばしば、特定の味質の増強もしくは相乗作用、または抑制もしくはマスキングのいずれかを含む。また、味改変は、味質の期間(または時間)および強度の変化を含み得る。かくして、視覚的な感覚において、味プロフィールの曲線は時間において前方または後方にシフトでき、(期間)延長または短縮でき、ある種のピークは、(強度)高さにおいて減少または増加できる。
【0029】
食品および口腔ケア製品の成分のごとき水溶性物質は、主として舌に位置する味蕾と反応する。一般的には、甘味がほとんど常に快く、強い酸っぱいおよび塩っぱい味が許容でき、苦い、渋い、金属的、刺激する味は不快であり、これは、かかる味プロフィールを持つ生成物が口に合わないことを意味する。本開示は、高強度甘味料、特に、ステビオール配糖体、より詳しくは、いずれかのレバウジオシド、より詳しくは、レバウジオシドAにおいて存在する苦い異味の低減に指向される。
【0030】
エリトリトールおよびシクロデキストリンのごとき炭水化物は、ある種の高強度甘味料からの苦いおよび金属的な異味をマスクすることが知られている。よく知られている例は、在来の南アメリカ植物Stevia rebaudianaの抽出物である。ステビオール配糖体として知られているその植物の水抽出物の成分は非常に甘い(スクロースより180〜300倍甘い)が、金属的および苦い異味を有する。当該技術分野において従前に開示された処方は、主要な甘味がステビオール配糖体からくる場合に、組成物における苦い異味をマスクするために少量のエリトリトールまたはシクロデキストリンを用いる。例えば、ステビオール配糖体の苦い異味は、その甘味料をシクロデキストリンと混合することにより低減できる。
【0031】
いくつかの等級のステビオール配糖体が利用可能である。高いレバウジオシドA濃度を有するよりよい等級は、より低い苦い異味に寄与する。本開示の甘味料組成物について、一の態様において、すべてのステビオール配糖体に対し、約40重量%〜99重量%のレバウジオシドA濃度を持つステビオール配糖体が好ましい。また、もう一つの態様において、すべてのステビオール配糖体に対し、約60重量%〜99重量%のレバウジオシドA濃度を持つステビオール配糖体が好ましい。もう一つの態様において、全ステビオール配糖体に対し、約80重量%〜99.5重量%のレバウジオシドA濃度を持つステビオール配糖体が好ましい。さらにもう一つの態様において、全ステビオール配糖体に対し、約95重量%〜99重量%のレバウジオシドA濃度を持ったステビオール配糖体が好ましい。
【0032】
本開示において、約5ミクロン〜約100ミクロンの粒子サイズまでのレバウジオシドAのごとき高強度甘味料との、例えば、実施例2に記載したエリトリトールの粉砕(すなわち、粉砕混合物)は、驚くべきことに、エリトリトールおよびレバウジオシドAの非粉砕混合物に比較して、レバウジオシドAに関連した苦い異味を低減した。いずれの理論によっても拘束されることなく、エリトリトールは、味蕾とのその相互作用を妨げ、かくして、さらなる苦い異味を低減する高強度甘味料との複合体を形成し得る。粒子サイズ分布は、角度光散乱パターンの分析を介して測定される。粒子サイズ分布の測定に用いたレーザー光回折技術は、粒子が単色光のビームに曝露される場合に生成される回折像の分析に基づく。この技術は、本明細書に十分に記載されるごとく出典明示して本明細書の一部とみなすヨーロッパ薬局方5.6(01/2007:20931)に記載されている。
【0033】
1またはそれを超えるステビオール配糖体、例えば、レバウジオシドAを選択的に抽出する方法は、当該技術分野において従前に開示されている。例えば、日本国特許第63173531号は、Stevia rebaudiana植物から甘い配糖体の抽出方法を記載する。この手順は、甘い配糖体の混合物を単離する。他の技術は、本明細書に十分に記載されるごとく出典明示して本明細書の一部とみなす、味の素株式会社に与えられた日本公開第56121454、第52062300号および第56121453号、ならびにカーギル株式会社に与えられた米国公開第2010−0099857号に報告されたものを含む。
【0034】
甘味料組成物
1つの具体例において、本開示の甘味料組成物は、約5〜約100ミクロンの粒子サイズの炭水化物および高強度甘味料が、粉砕混合物の約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在する高強度甘味料を有する粉砕混合物である(例えば、49.625グラムの炭水化物および0.375グラムの高強度甘味料=0.75重量%のかかる高強度甘味料)。驚くべきことには、粉砕混合物の苦い異味は、高強度甘味料が、非粉砕混合物の約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在する、190ミクロンを超える粒子サイズの炭水化物および高強度甘味料を有する非粉砕混合物に比較して低減される。もう一つの態様において、粉砕混合物の粒子サイズは、約20〜約100ミクロン、さらにもう一つの態様において、約20〜50ミクロンである。もう一つの態様において、高強度甘味料は、粉砕混合物および非粉砕混合物において約0.25〜25重量%で存在する。例えば、49.625グラムのエリトリトールおよび0.375グラムのレバウジオシドA(0.75重量%のレバウジオシドA)の混合物は、33ミクロンの粒子サイズに粉砕された場合に、非粉砕混合物の粒子サイズが約190ミクロンを超える同じ重量%のレバウジオシドAの非粉砕混合物に比較して、低減された苦い異味を有する。
【0035】
もう一つの具体例において、本開示の甘味料組成物は、少なくとも60%の100ミクロン未満の粒子サイズを有する、炭水化物および高強度甘味料の粉砕混合物であり、高強度甘味料は、粉砕混合物の約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在する。驚くべきことには、粉砕混合物の苦い異味は、高強度甘味料が、非粉砕混合物の約0.10重量%〜約50.0重量%の量で存在する場合の少なくとも60%の500ミクロンを超える粒子サイズを有する、炭水化物および高強度甘味料の非粉砕混合物に比較して、低減される。もう一つの態様における粉砕混合物の粒子サイズは、50%を超えて40ミクロン未満の粒子サイズを有する。もう一つの態様において、高強度甘味料は、粉砕混合物および非粉砕混合物の約0.25〜25重量%である。
【0036】
本開示の甘味料組成物の粉砕混合物は、他の炭水化物、デキストロース、スクロース、ならびに他の多価アルコール(ソルビトール、マンニトール、キシリトールおよびマルチトール)、ならびに他の高強度甘味料、スクラロース、アセスルファムKおよびネオテームを含む。
【0037】
甘味料組成物の調製方法
さらに、本開示は、本明細書に記載された甘味料組成物の調製方法に指向される。1つの具体例において、本開示は炭水化物および高強度甘味料を混合し、ここに、高強度甘味料は混合物の約0.10〜50.0重量%で存在し、次いで、約15〜120秒間混合物を粉砕して、約5〜100ミクロンの粒子サイズを有する、粉砕混合物を得ることに関し、驚くべきことには、粉砕混合物の苦い異味は、高強度甘味料が、非粉砕混合物の約0.10〜50.0重量%の量で存在する、500ミクロンを超える粒子サイズの炭水化物および高強度甘味料を有する非粉砕混合物に比較して、低減される。もう一つの態様において、粉砕混合物の粒子サイズは、約20〜100ミクロンであり、さらにもう一つの態様において、約20〜50ミクロンである。もう一つの態様において、高強度甘味料は、粉砕混合物および非粉砕混合物の約0.25〜25重量%である。
【0038】
もう一つの具体例において、本開示は、高強度甘味料が混合物の約0.10〜50重量%の量で存在する、炭水化物および高強度甘味料を混合し、次いで、約15〜120秒間混合物を粉砕して、少なくとも60%の100ミクロン未満の粒子サイズを有する粉砕混合物を得ることに関し、驚くべきことには、粉砕混合物の苦い異味は、高強度甘味料が、非粉砕混合物の約0.10〜50.0重量%の量で存在する、500ミクロンを超える粒子サイズの炭水化物および高強度甘味料を有する非粉砕混合物に比較して、低減される。もう一つの態様において、粉砕混合物の粒子サイズは、約20〜100ミクロンであり、さらにもう一つの態様において、約20〜50ミクロンである。もう一つの態様において、高強度甘味料は、粉砕混合物および非粉砕混合物の約0.25〜25重量%である。
【0039】
さらにもう一つの具体例において、本開示の甘味料組成物は、約120〜200℃の温度にて約15〜30秒間炭水化物を融解し、炭水化物融解物に高強度甘味料を加えて、混合物を形成し、ここに、高強度甘味料は混合物の約0.10〜約50.0重量%の量で存在し、約1〜30分間室温にて混合物を結晶させて結晶化した融解物を形成し、次いで、約15〜120秒間結晶化した融解物を粉砕して、約5〜100ミクロンの粒子サイズを有する粉砕混合物を得ることにより調製される。驚くべきことには、粉砕混合物の苦い異味は、高強度甘味料が非粉砕混合物の約0.10〜50.0重量%の量で存在する、500ミクロンを超える粒子サイズの炭水化物および高強度甘味料を有する非粉砕混合物に比較して低減される。
【0040】
さらにもう一つの具体例において、本開示の甘味料組成物は、約120〜約200℃の温度にて約15〜30秒間エリトリトールを融解して、エリトリトール融解物を得、エリトリトール融解物にステビオール配糖体を加えて混合物を形成し、ここに、ステビオール配糖体は、混合物の約0.10〜50.0重量%の量で存在し、約1〜30分間室温にて混合物を結晶化させて結晶化融解物を形成し、次いで、約15〜120秒間結晶化融解物を粉砕して、少なくとも60%の100ミクロン未満の粒子サイズを有する粉砕混合物を得ることにより調製される。驚くべきことには、粉砕混合物の苦い異味は、ステビオール配糖体が非粉砕混合物の約0.10〜50.0重量%の量で存在する、少なくとも60%の500ミクロンを超える粒子サイズを有する非粉砕混合物に比較して低減される。
【0041】
本開示の甘味料組成物の粉砕混合物は、他の炭水化物、デキストロース、スクロースならびに他の多価アルコール(ソルビトール、マンニトール、キシリトールおよびマルチトール)、ならびに他の高強度甘味料、スクラロース、アセスルファムKおよびネオテームで調製できる。
【0042】
実施例
以下の実施例を示して、本開示を例示し、その調製および使用において当業者を支援する。実施例は、本開示の範囲を制限するようには何ら意図されない。
【0043】
方法
本開示の甘味料組成物の粒子サイズをレーザー光回折(Sympatec、Model RODOS T4−1)により測定する。粒子サイズは体積平均直径(VMD)として表現する。
【0044】
以下の実施例に言及するごとく、エリトリトールおよびReb Aの混合物は、A10グラインダー(IKA(登録商標)、ドイツ)または0.5mmのふるいを持つSR300ロータービーターミル(Retsch、ドイツ)のいずれかを用いて粉砕した。
【0045】
実施例1:Reb Aを含む甘味料組成物
3つの甘味料組成物の0.5重量%Reb A(試料A)、0.75重量%Reb A(試料B)、1.0重量%Reb A(試料C)を調製した:
試料A 49.75グラムのエリトリトールおよび0.5グラムのReb A
試料B 49.625グラムのエリトリトールおよび0.375グラムのReb A
試料C 49.25グラムのエリトリトールおよび0.75グラムのReb A
【0046】
エリトリトールは、カーギル株式会社(ミネアポリス、ミネソタ)からのZerose(商標) 16954粉末である。Reb Aは、全ステビオール配糖体に対し98.8重量%の濃度のカーギル株式会社からのrebiana09201粉末である。
【0047】
試料A、BおよびCを混合し、次いで、0.75分間A10グラインダー中で粉砕した。試料D(49.625グラムのエリトリトールおよび0.375グラムのReb Aの混合物)は粉砕しなかった。4試料を6名の経験豊富なパネリストにより味見した。各パネリストは、約100ミリグラムの試料を舌の先端に置き、次いで、試料が苦い異味を有するか否かを評価することを依頼された。6名の全パネリストが、試料Dを苦い異味を有すると判断した。試料A、BおよびCは、苦い異味の低減を有し、それらの各々は試料Dに比較してよい味であった。試料Bは、最も好ましく、続いて試料C、次いで試料Aであった。
【0048】
実施例2:粒子サイズ
試料E、F、GおよびHは、49.625グラムのエリトリトールおよび0.375グラムのReb A(0.75重量%Reb A)の混合に続いて、テーブル1に示す粉砕せずまたは種々の時間にて粉砕して調製した。試料Kは、テーブル1に示した時間に49.625グラムのエリトリトールを単独で粉砕し、続いて0.375グラムのReb Aを加えることにより調製した。試料IおよびJは、4962.5グラムのエリトリトールおよび37.5グラムのReb A(0.75%の重量%Reb A)を混合し、続いてテーブル1に示す粉砕せずまたは種々の時間にて粉砕して調製した。
【0049】
試料E〜Kを5名の経験豊富なパネリストによって味見した。各パネリストは、約100ミリグラムの試料を舌の先端に置き、次いで、試料が苦い異味を有するか否かを評価することを依頼された。5名の全パネリストは、試料Eが苦い異味を有すると判断した。試料F〜Jは、苦い異味の低減を有し、それらのすべてが、試料Eに比較してよい味であった。最も好ましいのは、試料F、G、IおよびJであった。エリトリトール単独が粉砕された試料Kは、苦い異味の低減を有したが、試料F、G、IおよびJほど著しく顕著ではなかった。
【0050】
【表1】
【0051】
味に加えて、各試料の粒子サイズをレーザー光回折を用いて決定した。新しい甘味料組成物の驚くべき態様は、ステビオール配糖体、特に、レバウジオシドAのごとき高強度甘味料と関連した苦い異味が、エリトリトールが46ミクロンの粒子サイズまで0.5分間(試料F)および33ミクロンの粒子サイズまで1.0分間(試料G)粉砕された場合に低減された。3.0分間のエリトリトールおよびReb Aの粉砕は、おそらく粉砕から生成された熱のために粉砕混合物を凝集させ、これは218ミクロンのより大きな粒子サイズを説明した。X−50は、各試料中の50%の粒子がそのX−50値未満または等しいことを表す。例えば、試料Kの50%の粒子は35ミクロン以下であり;試料F、IおよびJの50%の粒子は、27ミクロン以下であり;試料Gの50%の粒子は19ミクロン以下であって;試料Hの50%の粒子は41ミクロン以下である。
【0052】
実施例2における試料の粒子サイズ分布を図1および2に示す。図1は、各試料の粒子サイズの密度分布が約5ミクロン〜約100ミクロンであることを示す。図2は、各試料の粒子サイズの少なくとも60%の100ミクロン未満であることを示す。
【0053】
実施例3:さらなる甘味料組成物
テーブル2において、5種の甘味料組成物は、各1.0重量%Reb Aと、多価アルコール、エリトリトール、マルチトール、ソルビトール、イソマルト、マンニトールおよびキシリトールで調製した。2種の味料組成物は、各1.0重量%Reb Aと、炭水化物、デキストロースおよびスクロースで調製した。加えて、エリトリトールおよび10重量%のReb Aの10重量%の粉砕混合物を90重量%ソルビトールで希釈して、1.0重量%Reb Aを含む90重量%/10重量%のソルビトール/エリトリトールを得た。
【0054】
エリトリトールは、カーギル株式会社(ミネアポリス、ミネソタ)からのZerose(商標) 16954粉末である。Reb Aは、全ステビオール配糖体に対し98.8重量%の濃度のカーギル株式会社からのrebiana09201粉末である。
【0055】
試料22〜28を混合し、次いで、0.75分間A10グラインダー中で粉砕した。9試料を4名の経験豊富なパネリストにより味見した。各パネリストは、約100ミリグラムの試料を舌の先端に置き、次いで、試料が苦い異味を有するか否かを評価することを依頼された。4名の全パネリストが、試料23、24、26、29および30を苦い異味の低減を有し、それらのすべてがよい味であると判断した。また、試料22、27および28は、苦い異味の低減を有したが、試料23、24、26、29および30に比較して著しくは低減しなかった。
【0056】
試料29は、高濃度の高強度甘味料の粉砕が苦い異味が低減した甘味料組成物を生成することを示す。
【0057】
味に加えて、各試料の粒子サイズをレーザー光回折を用いて測定した。結果をテーブル2Aに示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
実施例4:さらなる甘味料組成物
エリトリトールおよび25重量%のReb Aの粉砕混合物をエリトリトールで希釈して、エリトリトールおよび1重量%のReb Aの混合物を得る試料33を調製した。エリトリトールおよび50重量%のReb Aの粉砕混合物をエリトリトールで希釈して、エリトリトールおよび1%のReb Aの混合物を得る試料34を調製した。この実施例は、エリトリトールでの粉砕され高濃縮されたReb Aの希釈を用いて、非粉砕のエリトリトールで希釈して、エリトリトール中の1%のReb Aの非粉砕混合物よりもよい味(苦い異味の低減)を持つエリトリトール中の1%のReb Aの最終濃度を得ることができることを示す。粉砕する成分およびその混合物の量は、低減できる。加えて、エリトリトールおよびReb Aのより高濃度の粉砕混合物の使用は、食品生成物に用いることができ、すなわち、食品生成物中のReb Aの同じ濃度を得るためにこれほど多くのエリトリトールを加える必要はない。さらに、高濃度のReb Aを含むエリトリトールおよびReb Aの少ない体積の混合物の粉砕は、粉砕するために大きな体積を必要としない点でコスト削減を可能にする。次いで、エリトリトールおよびReb Aの粉砕混合物は、例えば、エリトリトール、ソルビトール、マルトデキストリン等のごとき他の成分と混合することにより希釈できる。
【0061】
エリトリトールは、カーギル株式会社(ミネアポリス、ミネソタ)からのZerose(商標) 16954粉末である。Reb Aは、全ステビオール配糖体に対し98.8重量%の濃度のカーギル株式会社からのrebiana09201粉末である。
【0062】
25重量%Reb Aとエリトリトール(試料31)および50重量%Reb Aとエリトリトール(試料32)を混合し、次いで、0.75分間A10グラインダー中で粉砕し、エリトリトールでの希釈のための試料33および34として用いて、エリトリトールおよび1重量%Reb Aの混合物を得る。2試料を3名の経験豊富なパネリストにより味見した。各パネリストは、約100ミリグラムの試料を舌の先端に置き、次いで、試料が苦い異味を有するか否かを評価することを依頼された。3名の全パネリストは、試料33が苦い異味の低減を有し、よい味であると判断した。3名のパネリストのうち1名は、試料34が苦い異味の低減を有し、よい味であると判断した。
【0063】
【表4】
【0064】
実施例5:融解物
49.625グラムのエリトリトールをガラス瓶に入れ、140℃にて20分間油浴(IKA Model HBR4 Digital)にセットした。エリトリトールが融解した場合に0.375グラムのReb Aをその瓶に添加し、穏やかに混合した。瓶をさらに5分間油浴に入れた。融解した試料は、2つの7cmの円形アルミニウムパンに注ぎ、約5分間室温のままとして結晶化した。次いで、結晶化した融解試料をA10グラインダー中で約30ミクロン〜約50ミクロンの粒子サイズに1分間粉砕した。
【0065】
実施例1における、結晶化した融解試料および試料Dを2名の経験豊富なパネリストによって味見した。各パネリストは、約100ミリグラムの試料を舌の先端に置き、次いで、試料が苦い異味を有するか否かを評価することを依頼された。結晶化した融解試料は苦い異味の低減を有し、試料Dに比較してよい味であった。
【0066】
実施例6:チューインガム
チューインガム処方を商業ベース(%)でテーブル4に示されるように調製した。本明細書に用いた「商用ベース」なる用語は、「現状のまま」で(すなわち、例えば、水の添加なくして)用いる処方での化合物をいい、この化合物は、供給者から購入された場合にそれらが商業的に入手可能である状態で用いられる。
【0067】
エリトリトールは、カーギル株式会社(ミネアポリス、ミネソタ)からのZerose(商標) 16954粉末である。Reb Aは、全ステビオール配糖体に対し98.8重量%の濃度のカーギル株式会社からのrebiana09201粉末である。
【0068】
チューインガムは、50℃にZブレード装置(Winkworth Model MZ4/2)を予め加熱することにより調製した。ガムベース(Cafosa Gum、S.A.U.、バルセロナ、スペイン)を3〜5分間電子レンジ中で加熱し、次いで、Zブレードに入れ、5分間順方向にて4rpmの速度にて混合した。甘味料組成物(すなわち、エリトリトールおよびReb Aの粉砕混合物)の半分をZブレード中のガムベースに添加し、4rpmの速度にて5分間混合した。次いで、全シロップはブレンダーに加え、5分間混合した。次に、甘味料組成物および、用いた場合の粉末香料の他の半分を添加し、再び5分間混合した。次いで、グリセリンを添加し、5分間混合した。液体香料を最後に加え、ブレンダー中の全内容物を3〜5分間以下で混合した。
【0069】
【表5】
【0070】
4種のチューインガムは、6名の経験豊富なパネリストによって味見され、ErOHおよび0.75%Reb Aの非粉砕混合物を含有したガム生成物と比較した。香料F16を含む試料は最も好ましく、F17はより好ましく、F18および香料なしは、味において同等であった。香料F16を含むガム試料は、より少ない甘味の発生を与え、これは今度は口に多少長くとどまることができた。一般的には、さらなる香料の添加がないガム試料でさえ、甘く、苦い異味はなかった。
【0071】
実施例7:高強度甘味料
各高強度甘味料、アスパルテーム(DG6 4881)、スクラロース(Eurochem 800017)、ナトリウムサッカリン(ADG 11096A6)、ネオヘスペリジン(カーギル1111125)、モナチン(カーギル)およびグリチルリチン(カーギル1006576)をテーブル5によりZerose(商標)16954エリトリトール粉末(カーギル)と0.75分間混合させ、A10グラインダー中で粉砕するかまたは粉砕しなかった。各高強度甘味料の量を計算して1重量%の濃度を得た。
【0072】
非粉砕混合物および粉砕混合物生成物は、6名の経験豊富なパネリストにより味見した。各パネリストは、約100ミリグラムの試料を舌の先端に置き、次いで、試料が味の改善を有するかを評価することを依頼された(すなわち、高強度甘味料の粉砕混合物に対して非粉砕混合物の試料を相互に比較した)。味覚テストの結果をテーブル5の最終カラムに示す。
【0073】
味に加えて、各試料の粒子サイズをレーザー光回折を用いて測定した。結果をテーブル5Aに示す。
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
実施例8:Reb Aを含む甘味料組成物
全ステビオール配糖体に対し変化する濃度のReb Aを含む甘味料組成物を調製した:0.75重量%Reb A 40(カーギル、42%のReb A濃度、試料A)、0.75重量%Reb A 60(カーギル、64.2%のReb A濃度、試料B)および0.75重量%Reb A 80(カーギル、79.2%のReb A濃度、試料C)。試料A、B、Cは、49.625グラムのカーギルからのZerose(商標)エリトリトール粉末16954および、各々、0.375グラムのReb A 40、Reb A 60、Reb A 80を含有した。
【0077】
【表8】
【0078】
半分の重量の試料A、BおよびCを各々0.75分間A10グラインダー(IKA)中で粉砕して、試料A1(Reb A−40)、A2(Reb A−60)およびA3(Reb A−80)を得た。試料は4名の経験豊富なパネリストにより味見した。各パネリストは、約100ミリグラムの試料を舌の先端に置き、次いで、試料が苦い異味を有するか否かを評価することを依頼された。4名のパネリストのうち3名は、試料A1が試料Aに比較して少ない苦い異味を有すると判断した。4名のパネリストのうち3名は、試料A2が試料Bに比較して少ない苦い異味を有すると判断した。4名の全パネリストは、試料A3が試料Cに比較して少ない苦い異味を有すると判断した。Reb A 40およびReb A 60も改善された少ない苦い異味を有したが、Reb A 80およびエリトリトールの粉砕混合物試料を最も少ない苦い異味を有すると評価した。同様の結果を40、60および80の各々の1重量%Reb Aの粉砕混合物試料で得た。
【0079】
実施例9:ココナツ脂肪を含む甘味料組成物
テーブル7に示すごとく、7.0グラム(g)のココナツ脂肪(Cargill Refined Oils Europe、CN25)および21gのココアマス(Gerkens Cocoa、IVC01)(「チョコレートミミック」)をガラスビーカーに入れ、それを50℃の水浴に入れた。テーブル8に示されるごとく、21.9gのエリトリトールをA10グラインダー中で0.75分間粉砕し、次いで、0.1gのReb A 97(97.8%Reb A、1.9%の他の配糖体および1.1%の水)を粉砕されたエリトリトールと混和した(試料を「混和」とする);21.9gのエリトリトールおよび0.1 Reb A 97を混合し、次いで、A10グラインダー中で0.75分間粉砕し(試料を「共粉砕」とする);0.1グラムのReb A 97および0.05グラムのβ−シクロデキストリン(WackerからのCAVAMAX W7Food)を混合し、次いでA10グラインダー中で0.75分間粉砕し、次いで21.85グラムのエリトリトールを粉砕混合物に添加し、これを再びA10グラインダー中で0.75分間粉砕した(試料を「β−シクロ共粉砕」とする)。テーブル8に示されるこれらの各試料の量をチョコレートミミックを含有するガラスビーカーに添加し、均一混合物が得られるまで(約10分)混合した。
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
生成物は50℃のオーブン中で24時間の持続時間後に3名の経験豊富なパネリストにより判断した。3名の全パネリストは、「混和」生成物に比較して少ない苦味を有し、甘草効果を有しないと判断した。「β−シクロ共粉砕」は、苦味が知覚されなかったために、「共粉砕」および「混和」生成物に比較していっそう良好な味を有した。
【0083】
実施例10:ロゼンジ
99.25%(w/w)のZerose(商標)16954エリトリトール粉末をReb A 97(0.75%w/w)と共に、IKA MF−10ミル(Hammerミル、衝撃粉砕)を用いて0.75分間粉砕して、粉砕混合物を得た。この粉砕混合物は、Hobartミキサーを用いて、均質な質感が得られるまで(約10分)、比率88.7/11.3(w/w)で、10%のゼラチン150ブルームPS30(ルースロ)水溶液と混合した。次いで、得られたドー(dough)をさらに少し手動で折り曲げる。引き続いて、ドーを伸ばし、ロゼンジを打ち出した。ロゼンジを45℃のオーブン中でさらに3日間乾燥させて、試料Aを得た。
【0084】
99.25%(w/w)のZerose(商標)16954エリトリトール粉末をIKA MF−10を用いて粉砕し、引き続いて、0.75%(w/w)のReb A 97と混和した。この混合物は、Hobartミキサーを用いて、均質な質感が得られるまで(約10分)、比率89.3/10.7(w/w)で、10%のゼラチン150ブルームPS30(ルースロ)水溶液と混合した。次いで、得られたドーをさらに少し手動で折り曲げる。引き続いて、ドーを伸ばし、ロゼンジを打ち出した。ロゼンジを45℃のオーブン中でさらに3日間乾燥させて、試料Bを得た。
【0085】
99.25%(w/w)のZerose(商標)16954エリトリトール粉末を0.75%(w/w)のReb A 97と混和した。この混合物は、Hobartミキサーを用いて、均質な質感が得られるまで(約10分)、比率89.3/10.7(w/w)で、10%のゼラチン150ブルームPS30(ルースロ)水溶液と混合した。次いで、得られたドーをさらに少し手動で折り曲げる。引き続いて、ドーを伸ばし、ロゼンジを打ち出した。ロゼンジを45℃のオーブン中でさらに3日間乾燥させて、試料Cを得た。
【0086】
生成物は6名の経験豊富なパネリストにより判断した。6名の全パネリストは、試料Aを最良のもの(より少ない甘草、より少ない苦み)と判断した。次善のものは試料Bであった。最も悪いものは、試料Cであった。
【0087】
3つの試料の粒子サイズを測定した:
【0088】
【表11】
【0089】
新しい甘味料組成物の驚くべき態様は、ステビオール配糖体、特に、レバウジオシドAのごとき高強度甘味料に関連した苦い異味が、この実施例においてエリトリトールが0.75分間粉砕された場合に低減されたことである。
【0090】
前記に言及されるごとく、前記のものは本開示の種々の具体例を例示することを単に意図する。前記に言及された特定の変形は、開示の範囲に対する制限として解釈されるべきではない。開示の範囲から逸脱することなく、種々の同等物、変更および改良がなすことができ、かかる同等の具体例は本明細書に含まれることが理解されることが当業者には明らかであろう。本明細書に引用されたすべての参考文献は、本明細書に十分に記載されるごとく出典明示して本明細書の一部とみなす。
図1
図2