(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項7記載の動きセンサにおいて、前記振動プロセッサが、複数の振動検出プロセッサを備えており、前記複数の振動検出プロセッサの内、1つよりも多い振動検出プロセッサが前記複数の異なる振動信号に寄与する、動きセンサ。
請求項7記載の動きセンサにおいて、前記複数のPOSCOMPプロセッサが、対応する複数の状態プロセッサを備えており、各状態プロセッサが、前記複数の磁場信号のそれぞれの1つを表す信号を受け取るように結合されており、前記複数の状態プロセッサの内第1状態プロセッサが、前記複数の磁場信号の内第1磁場信号と関連のある第1複数の状態を示すR_STATE_SM信号を生成するように構成されており、前記複数の状態プロセッサの内第2状態プロセッサが、前記複数の磁場信号の内第2磁場信号と関連のある第2複数の状態を示すL_STATE_SM信号を生成するように構成されており、前記第1複数の状態および前記第2複数の状態が、信号値の範囲を示し、前記複数の状態プロセッサの内前記第1状態プロセッサが、前記R_POSCOMP信号を生成するように構成されており、前記複数の状態プロセッサの内前記第2状態プロセッサが、前記L_POSCOMP信号を生成するように構成されており、前記R_POSCOMP信号が、前記R_STATE_SM信号の所定の状態遷移の時点において状態遷移を有し、前記L_POSCOMP信号が、前記L_STATE_SM信号の所定の状態遷移の時点において状態遷移を有する、動きセンサ。
請求項19記載の方法において、前記振動プロセッサが、複数の振動検出プロセッサを備えており、前記複数の振動検出プロセッサの内、1つよりも多い振動検出プロセッサが前記複数の異なる振動信号に寄与する、方法。
請求項25記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体において、前記有効時点の前において、前記物体移動出力信号が、前記物体の移動速度を示し、前記物体の移動方向を示さない、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
請求項25記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体において、前記有効時点の前において、前記物体移動出力信号がインアクティブである、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明について述べる前に、いくつかの導入概念および用語について説明する。本明細書において用いる場合、「磁場検知エレメント」という用語は、磁場を検知することができる様々な種類の電子エレメントを記述するために用いられる。磁場検知エレメントは、ホール効果エレメント、磁気抵抗エレメント、または磁気トランジスタ(magnetotransistor)とすることができるが、これらに限定されるのではない。周知のように、ホール効果エレメントには異なる種類、例えば、平面ホール・エレメント、垂直ホール・エレメント、円形ホール・エレメントがある。また、周知のように、磁気抵抗エレメントには異なる種類、例えば、異方性磁気抵抗(AMR)エレメント、巨大磁気抵抗(GMR)エレメント、トンネリング磁気抵抗(TMR)エレメント、アンチモン化インジウム(InSb)エレメント、および磁気トンネル接合(MTJ)エレメントがある。
【0028】
周知のように、前述の磁場検知エレメントの一部は、磁場検知エレメントを支持する基板に対して平行に、最大感度の軸を有することが多く、前述の磁場検知エレメントの他のものは、磁場検知エレメントを支持する基板に対して垂直に最大感度の軸を有することが多い。具体的には、全部ではないが、多くの種類の磁気抵抗エレメントは基板に対して平行に最大感度の軸を有することが多く、全部ではないが、多くの種類のホール・エレメントは、基板に対して垂直に感度の軸を有することが多い。
【0029】
本明細書において用いる場合、「磁場センサ」という用語は、磁場検知エレメントを含む回路を記述するために用いられる。磁場センサは、種々の用途において用いられ、電流搬送導体によって搬送される電流によって発生する磁場を検知する電流センサ、強磁性体または磁性体の物体の近接を検知する磁気スイッチまたは近接検出器、通過する強磁性体の物品、例えば、強磁性体のギアのリング・マグネットまたは歯の磁気ドメインを検知する回転検出器(回転センサまたは動きセンサ)、ならびに磁場の磁場密度を検知する磁場センサが含まれるが、これらに限定されるのではない。しかしながら、本明細書において記載する回路および技法は、物体の動きを検出することができるあらゆる磁場センサ、即ち、あらゆる動きセンサにも適用される。
【0030】
本明細書において用いる場合、「回転振動」という用語は、回転軸を中心とする物体の前後の回転を意味する。この物体は、通常動作において回転軸を中心に単一方向に回転するように構成されている。本明細書において用いる場合、「並進振動」という用語は、物体の並進、および/または概略的に回転軸に対して垂直な方向にこの物体によって生成された磁場を検出するために用いられる磁場センサの並進を意味する。尚、回転振動および並進振動は双方共、磁場センサに信号を生成させることができることは、認められてしかるべきである。
【0031】
図1を参照すると、動きセンサの一例102は、3つの磁場センサ104a〜104cを含み、各々、回転するギア100の通過する歯、具体的には、回転ギア100の歯に応答して、それぞれの磁場検知エレメント信号を生成するように構成されている。回転ギア100の歯100aは、一例に過ぎない。また、動きセンサ102は、右チャネル増幅器106および左チャネル増幅器122も含む。「右」および「左」という用語は、任意の識別子であり、右チャネルおよび左チャネルに寄与する磁場検知エレメントの異なる物理的位置を示す。
【0032】
動きセンサ102は、オフセットおよび利得調節回路108、124を含むことができる。オフセットおよび利得調節回路108、124は、望ましくないDCオフセットを除去し、増幅器106、122によってそれぞれ供給される信号106a、122aに対して調節可能な利得を与える。オフセットおよび利得調節回路108、124は、それぞれ、R_DIFF信号108aおよびL_DIFF信号124aを生成する。代替実施形態の中には、動きセンサ102がオフセット回路のみまたは利得調節回路のみを含む場合もある。
【0033】
オフセットおよび利得調節回路108、124について、ここでは詳しく説明しない。しかしながら、オフセットおよび利得調節回路108、124は、2006年11月21日に発行された米国特許第7,138,793号に記載されている形式とすることができる。この特許は、本発明の譲受人に譲渡されている。
【0034】
R_DIFF信号108aおよびL_DIFF信号124aを、ここでは、磁場信号と呼び、磁場検知エレメント104a〜104cによって検知される磁場に応答する。R_DIFF信号108aは、磁場検知エレメント104a、104bが受ける磁場を表し、L_DIFF信号124aは、磁場検知エレメント104b、104cが受ける磁場を表す。
【0035】
動きセンサ102は、アナログ/ディジタル変換器(ADC)110を含むことができる。 アナログ/ディジタル変換器110は、R_DIFF信号108aを受け取るように結合され、右チャネル・ディジタルDIFF信号R_DDIFF110aを生成するように構成されている。他のアナログ/ディジタル変換器(ADC)126が、L_DIFF信号124aを受け取るように結合され、左チャネル・ディジタルDIFF信号L_DDIFF126aを生成するように構成されている。R_DDIFF信号110aおよびL_DDIFF信号126aも、ここでは、磁場信号と呼ぶ。
【0036】
動きセンサ102は、第1状態プロセッサ112を含むことができる。第1状態プロセッサ112は、R_DDIFF信号110aを受け取るように結合され、R_DDIFF信号110aと関連のある複数の状態を示す右チャネル状態信号R_STATE_SMを含む、複数の信号を生成するように構成されている。ここで、各状態は、R_DDIFF信号110aがそれぞれの時間期間中に収まる信号値の範囲を示す。
【0037】
また、第1状態プロセッサ112は、R_POSCOMP信号112aも生成するように構成されている。R_POSCOMP信号112aは、以下の論述から、R_STATE_SM信号の所定の状態に従う状態遷移を有する2状態信号であることが理解されよう。
【0038】
同様に、動きセンサ102は、第2状態プロセッサ128を含むことができる。第2状態プロセッサ128は、L_DDIFF信号126aを受け取るように結合され、L_DDIFF信号126aと関連のある複数の状態を示す左チャネル状態信号L_STATE_SMを含む複数の信号を生成するように構成されている。ここで、各状態は、それぞれの時間期間中にL_DDIFF信号126aが収まる信号値の範囲を示す。
【0039】
また、第2状態プロセッサ128は、L_POSCOMP信号128aも生成するように構成されている。L_POSCOMP信号128aは、以下の論述から、L_STATE_SM信号の所定の状態に従う状態遷移を有する2状態信号であることが理解されよう。
【0040】
信号状態については、以下で
図2、
図3、
図7、および
図8と関連付けて更に詳しく説明する。
【0041】
また、状態プロセッサ112、128は、それぞれ、R_STATE_PEAK信号およびL_STATE_PEAK信号を生成するように構成されている。これらについては、以下で
図17と関連付けて更に説明するが、R_STATE_SMおよびL_STATE_SM信号に類似するが、状態間における望ましくない低減されたチャター(chatter)の量を有する。
【0042】
また、状態プロセッサ112、128は、それぞれ、R_PPEAK信号およびL_PPEAK信号を生成するように構成されている。これらについては、
図2と関連付けて以下で更に説明するが、それぞれ、R_DDIFF信号およびL_DDIFF信号の正のピークの大きさを示す信号である。
【0043】
また、状態プロセッサ112、128は、それぞれ、R_NPEAK信号およびL_NPEAK信号を生成するように構成されている。これらについては、
図2と関連付けて以下で更に説明するが、それぞれ、R_DDIFF信号およびL_DDIFF信号の負のピークの大きさを示す信号である。
【0044】
また、状態プロセッサ112、128は、それぞれ、R_POSCOMP_PK信号およびL_POSCOMP_PK信号を生成するように構成されている。これらについては、
図7A、
図9A、および
図10と関連付けて更に説明するが、R_POSCOMP信号およびL_POSCOMP112a、128aに類似するが、異なるタイミングを有する信号である。
【0045】
動きセンサ102は、振動プロセッサ116を含むことができる。振動プロセッサ116は、R_POSCOMP信号112a、L_POSCOMP信号128a、R_STATE_SM信号、L_STATE_SM信号、R_STATE_PEAK信号、L_STATE_PEAK信号、R_PPEAK信号、L_PPEAK信号、R_NPEAK信号、L_NPEAK信号、R_POSCOMP_PK信号、およびL_POSCOMP_PK信号を受け取るように結合されている。
【0046】
また、振動プロセッサ116は、右および左チャネル自動利得制御信号114d、114fの値をそれぞれ表す、R_AGC信号114aおよびL_AGC信号114bを受け取るように結合されている。振動プロセッサ116は、1つ以上のFLAG信号(二進インディケータ)116a、および振幅差フラグ信号(AMP_DIFF_FLAG信号)116bを生成するように構成されており、これらの各々は、物体100の振動を示すこと、または物体100に振動がないことを示すことができる。
【0047】
実施形態の中には、振動プロセッサ116が2つ以上の振動サブプロセッサを含むことができる場合もある。振動サブプロセッサについては、
図3と関連付けて以下で説明するが、その各々は、振動を検出することができ、FLAG信号116a、116bに寄与することができる。例えば、各FLAG信号は、1つ以上の振動ビットに寄与することができ、各振動ビットは振動を示す。振動プロセッサ116については、
図3、
図5〜
図5B、および
図9〜
図16Aと関連付けて以下で更に詳しく説明する。
【0048】
また、動きセンサ102は、自動オフセット調節(AOA)プロセッサ114を自動利得制御(AGC)プロセッサ114と共に含むことができる。ここでは、これらを纏めて、AOA/AGCプロセッサ114と呼ぶ。AOA/AGCプロセッサ114は、R_DDIFF信号110a、L_DDIFF信号126a、および振幅差フラグ信号AMP_DIFF_FLAG116bを受け取るように結合されている。AOA/AGCプロセッサ114は、オフセットおよび利得調節モジュール108、124の利得およびオフセットを制御するために、それぞれ、右および左チャネル利得制御信号114d、114f、ならびに、それぞれ、右および左チャネル・オフセット制御信号114c、114eを生成するように構成されている。また、AOA/AGCプロセッサ114は、それぞれ、信号R_AGCおよびL_AGC114a、114bを生成するように構成されている。これらは、それぞれ、利得制御信号114d、114fを表す信号である。代替実施形態の中には、AOA/AGCプロセッサ114が、代わりに、AOAプロセッサまたはAGCプロセッサのみである場合もある。
【0049】
動きセンサ102は、出力プロトコル・プロセッサ118を含むことができる。出力プロトコル・プロセッサ118は、R_POSCOMP信号112a、L_POSCOMP信号128a、およびFLAG信号116aを受け取るように構成されている。出力プロトコル・プロセッサ118は、ギア100の動き(回転)を示し、更に磁場検知エレメント104a〜104cおよび/またはギア102の1つ以上の振動を示す動き信号118aを生成するように構成されている。
【0050】
出力プロトコル・プロセッサ118は、R_POSCOMP信号112a、L_POSCOMP信号128a、およびFLAG信号116aを処理して動き信号118aを生成するように構成されている方向検証プロセッサ(direction validation processor)120を含むことができる。
【0051】
実施形態の中には、動き信号118aが、ギア100の回転速度に関する周波数と、ギア100の回転方向を示す2つのパルス幅から選択した1つとを有する1ビット・ディジタル信号である場合もある。実施形態の中には、FLAG信号116aが振動を示すときに動き信号118aが無効にされる(blanked)(即ち、インアクティブになる)場合もある。実施形態の中には、動きセンサ102に最初に電力を投入したときに、有効時間まで動き信号118aが無効にされ(またそうでなければ回転方向を示さない)、その後アクティブになる場合もある。有効時間の識別については、
図18、
図18A、および
図19〜
図19Bと関連付けて以下で説明する。しかしながら、他の実施形態では、動き信号118aはギア100の回転の態様(aspect)を他の方法で示すことができ、前述した振動を他の方法で表すこともできる。
【0052】
プロトコルが異なる出力信号の例が、2008年7月31日に出願された米国特許出願第12,183,367号、2004年11月9日に発行された米国特許第6,815,944号、および2006年4月11日に発行された米国特許第7,026,808号に記載されている。
【0053】
実施形態の中には、動きセンサ102が、先に説明した種々のプロセッサおよびモジュール、ならびに以下で説明する種々のプロセスを実現するように構成されている、電子素子、例えば、ゲートを有するカスタム電子デバイスで構成される場合もある。他の実施形態の中には、動きセンサ102が、中央演算装置132およびメモリ130(コンピュータ読み取り可能記憶媒体)、例えば、プログラム・メモリで構成された構造を有し、先に説明した種々のプロセッサおよびモジュール、ならびに以下で説明する種々のプロセスを実現するように構成されている場合もある。
【0054】
これより
図2を参照すると、状態プロセッサ150は、
図1の状態プロセッサ112、128のそれぞれと同一または同様とすることができるが、ここでは、
図1の左または右チャネルの一方のみについて示されている。状態プロセッサ150は、DDIFF信号152を受け取るように結合されている。DDIFF信号152は、
図1のR_DDIFF信号110aまたはL_DDIFF信号126aと同一または同様とすることができる。
図2では、状態プロセッサ150は右および左チャネルで同一とすることができるので、右および左チャネルの指示(RおよびL)は省略されている。
【0055】
実施形態の中には、状態プロセッサ150が内挿補間およびフィルタリング・モジュール154を含むことができる場合もある。このモジュール154は、DDIFF信号152を受け取るように結合され、内挿補間ディジタルDIFF信号(IDDIFF)154aを生成するように構成されている。この内挿補間およびフィルタリングは、種々の方法で実行し、DDIFF信号152よりも分解能およびサンプリング・レートが高いIDDIFF信号154aを得ることができる。実施形態の中には、DDIFF信号152が、毎秒300,000サンプルのサンプル・レートを有し、各サンプルが9ビット・ワードである場合もある。実施形態の中には、IDDIFF信号154aが、毎秒約270万サンプル(DDIFFのレートの9倍)のサンプル・レートを有し、各サンプルが9ビット・ワードである場合もある。
【0056】
実施形態の中には、補間およびフィルタ・モジュール154が、
【0057】
【数1】
という伝達関数について、段1−z
−9、1−z
−9、×9、1/(1−z
−1)、1/(1−z
−1)、および1/81を有する、6段縦続積分櫛形(CIC:cascaded integrator comb)(二次CIC)内挿補間フィルタを実行する場合もある。
【0058】
また、他の種類の内挿補間およびフィルタ・モジュール、例えば、線形内挿補間フィルタ、二次内挿補間フィルタ、または指数内挿補間フィルタも用いることができる。
【0059】
状態プロセッサ150は、PPEAKレジスタ158(実施形態の中には、カウンタとすることができる場合もある)を含む。PPEAKレジスタ158は、第1論理回路156の制御の下で、カウントを保持すること、あるいはカウントを増やすまたは減らすことができる。第1論理回路156は、POSCOMP信号182a(
図1のR_POSCOMP信号112aまたはL_POSCOMP信号128aと同一または同様とすることができる)、および比較器164が生成する比較器出力信号164aに応答する。PPEAKレジスタ158は、IDDIFF信号154aの正のピークを追跡するPPEAK信号158aに寄与する値を保持する。
【0060】
同様に、状態プロセッサ150は、NPEAKレジスタ160(実施形態の中には、カウンタとすることができる場合もある)も含む。NPEAKレジスタ160は、第2論理回路162の制御の下で、カウントを保持すること、あるいはカウントを増やすまたは減らすことができる。第2論理回路162は、POSCOMP信号182aに、および比較器166が生成する比較器出力信号166aに応答する。NPEAKレジスタ160は、IDDIFF信号154aの負のピークを追跡するNPEAK信号160aに寄与する値を保持する。比較器164、166は、ディジタル信号を受け取るように結合され、ディジタル出力信号を生成するように構成されているディジタル比較器である。
【0061】
PPEAK信号158aおよびNPEAK信号160aの生成については、
図7と関連付けて以下で更に説明する。しかしながら、ここでは、PPEAK信号158aおよびNPEAK信号160aは通常はDCディジタル信号であり、PPEAK信号158aとNPEAK信号160aとの間の差が、IDDIFF信号154aのピーク−ピーク振幅を表すことを言えば十分である。
【0062】
また、状態プロセッサ150は、PPEAK信号158aおよびNPEAK信号160aを受け取るように結合されているディジタル閾値生成器168も含むことができる。STATE FLAG信号180aの制御の下で、ディジタル閾値生成器168は、IDDIFF信号154aのピーク−ピーク振幅から決定された割合とした、選択閾値信号168a、168bを生成するように構成されている。例えば、1つの時間期間では、閾値信号168a、168bは、それぞれ、IDDIFF信号154aのピーク−ピーク振幅のほぼ31.25%および37.50%とすることができる。
【0063】
2つの閾値信号168a、168b(THRESH_AおよびTHRESH_Bとも呼ぶ)は、それぞれ、ディジタル比較器である比較器172、170によって受け取られる。また、比較器170、172はIDDIFF信号154aを受け取るようにも結合されている。比較器170は、COMP_B比較信号170aを生成するように構成されており、比較器172は、COMP_A比較信号172aを生成するように構成されている。尚、比較器170、172は枠比較器(frame comparator)として動作し、信号170a、172aから、IDDIFF信号154aが閾値THRESH_A168aとTHRESH_B168bとの間にあるか否か推論することができることは認められよう。
【0064】
THRESH_AおよびTHRESH_B信号168a、168bは、16対の値180bの内1つとなるように選択された1対のディジタル値を表す。したがって、いずれの時点においても、比較器170、172は、16の値の範囲180bの内どれにIDDIFF信号154aが存在するか特定することができる。範囲180bは、ここでは、IDDIFF信号154aの状態(または、対応するDIFFまたはDDIFF信号の状態)とも言う。
【0065】
また、状態プロセッサ150は、COMP_AおよびCOMP_B信号172a、170aをそれぞれ受け取るように結合されている状態ロジック・モジュール174も含むことができる。状態ロジック・モジュール174については、
図7および
図8と関連付けて以下で更に詳しく説明する。しかしながら、ここでは、状態ロジック・モジュール174が、前述のCOMP_AおよびCOMP_B信号172a、170aと関連のある状態情報をデコードして、4ビットSTATE_SM信号174aを供給することを言えば十分であろう。STATE_SM信号174aは、IDDIFF信号154aが進む状態、即ち、範囲を示す。
【0066】
状態ロジック・モジュール174は、STATE_SMレジスタ188に結合されている状態ロジック・プロセッサ186を含むことができる。STATE_SMレジスタ188は、STATE_SM信号174aの値を保持する(例えば、一度に1つの値、累進的に)ように構成されている。
【0067】
また、状態プロセッサ150は、STATE_SM信号174aおよびPOSCOMP_PK信号178を受け取るように結合されている状態ピーク・ロジック・モジュール176も含むことができる。これについては、
図7、
図7A、
図9、
図9A、および
図10と関連付けて以下で更に詳しく説明する。状態ピーク・ロジック・モジュール176は、STATE_PEAK信号176aを生成するように構成されている。STATE_PEAK信号176aは、STATE_SM信号174aと同様であるが、遷移誤差(チャター)が少ない遷移を有する。遷移誤差については、
図7および
図7Aと関連付けて以下で更に詳しく説明する。
【0068】
状態ピーク・ロジック・モジュール176は、STATE_PEAK信号176aの値を保持するように構成されている、STATE_PEAKレジスタ192に結合されている状態ピーク・ロジック・プロセッサ190を含むことができる。
【0069】
また、状態プロセッサ150は、STATE_SM信号174aを受け取るように結合されている4:16デコーダ180も含むことができる。この4:16デコーダ180は、16個の制御信号、即ち、図示のようなSTATE FLAG180aの内1つを供給するように構成されている。これらのフラグのそれぞれは、複数の振幅範囲180bの中から特定の振幅範囲を示す。振幅範囲180bは、IDDIFF信号154a信号のピーク−ピーク範囲の割合として表される。
【0070】
特定の振幅範囲180bが示されているが、振幅範囲は、図示のもとのとは異なることもでき、線形に構成される必要はないことは言うまでもない。
【0071】
また、状態プロセッサ150はデコーダ182も含むことができる。デコーダ182は、STATE_SM信号174aを受け取るように結合され、STATE_SM信号174a内部における状態遷移の内特定の状態遷移の時点において遷移を有するPOSCOMP信号182aを生成するように構成されている。
【0072】
また、状態プロセッサ150は、クロック生成回路184も含むことができる。クロック生成回路184は、状態ロジック・モジュールおよび状態プロセッサ150の中にある他のプロセッサおよびモジュールをクロック駆動するために、クロック信号CLK184aを供給する。
【0073】
これより
図3を参照する。振動プロセッサ200は、
図1の振動プロセッサ116と同一または同様とすることができる。振動プロセッサ200は、
図1と関連付けて先に説明したように、
図1の動きセンサ102の右および左チャネルから多くの信号を受け取るように結合されている。振動プロセッサ200は、種々の入力信号を処理し、複数のフラグ信号を生成するように構成されている。これらのフラグ信号は1ビットの2状態信号とすることができる。
【0074】
具体的には、振動プロセッサ200は、チャネル振幅差プロセッサ202を含むことができる。チャネル振幅差プロセッサ202は、
図1の右および左利得制御信号114d、114fを表す信号R_AGCおよびL_AGCを受け取るように構成されており、更に、
図1のR_DDIFF信号110aおよびL_DDIFF信号126aを受け取るように結合されている。チャネル振幅差プロセッサ202は、右および左利得制御信号114d、114fが所定量を超えて異なることを表すAMP_DIFF_FLAG信号を生成するように構成されており、これらの信号は、
図1の物体100の振動を表すのに役立つ。チャネル振幅差プロセッサ202の動作については、
図5〜
図5Bと関連付けて以下で更に詳しく説明する。
【0075】
また、振動プロセッサ200は、右および左変曲プロセッサ204、206もそれぞれ含むことができる。右変曲プロセッサ204は、
図1のR_STATE_SM信号(
図2のSTATE_SM信号174aも参照のこと)、および
図1のR_STATE_PEAK信号(
図2のSTATE_PEAK信号176aも参照のこと)を受け取るように結合されている。右変曲プロセッサ204は、
図1の物体100の方向変化を示すR_INFLECTION_FLAG信号を生成するように構成されており、更に
図1のR_POSCOMP_PK信号も生成するように構成されている(
図2のPOSCOMP_PK信号も参照のこと)。
【0076】
左変曲プロセッサ206は、
図1のL_STATE_SM信号(
図2のSTATE_SM信号174aも参照のこと)、および
図1のL_STATE_PEAK信号(
図2のSTATE_PEAK信号176aも参照のこと)を受け取るように結合されている。左変曲プロセッサ206は、
図1の物体100の方向変化を示すL_INFLECTION_FLAG信号を生成するように構成されており、更に
図1のL_POSCOMP_PK信号も生成するように構成されている(
図2のPOSCOMP_PK信号178も参照のこと)。
【0077】
R_POSCOMP_PK信号およびL_POSCOMP_PK信号の生成については、
図7、
図7A、および
図10と関連付けて以下で更に詳しく説明する。変曲プロセッサ204、206の動作については、
図9、
図9A、および
図10と関連付けて以下で更に説明する。
【0078】
また、振動プロセッサ200は、方向変更プロセッサ208も含むことができる。方向変更プロセッサ208は、
図1のR_POSCOMP信号112aおよびL_POSCOMP信号128aを受け取るように結合されている(
図2のPOSCOMP信号182aも参照のこと)。方向変更プロセッサ208は、
図1の物体100の方向変化を示すDIR_CHANGE_FLAG信号を生成するように構成されている。方向変更プロセッサ208の動作については、
図11と関連付けて以下で更に説明する。
【0079】
また、振動プロセッサ200は、方向変化_PKプロセッサ210も含むことができる。方向変化_PKプロセッサ210は、
図1のR_POSCOMP_PK信号およびL_POSCOMP_PK信号を受け取るように結合されている(
図2のPOSCOMP_PK信号178および右変曲プロセッサ204によって生成されたR_POSCOMP_PK信号、ならびに
図3の左変曲プロセッサ206によって生成されたL_POSCOMP_PK信号も参照のこと)。方向変化_PKプロセッサ210は、
図1の物体100の方向変化を示すDIR_CHANGE_PK_FLAG信号を生成するように構成されている。方向変化_PKプロセッサ210の動作については、
図12と関連付けて以下で更に説明する。
【0080】
また、振動プロセッサ200は、方向変化_RM(継続モード)プロセッサ212も含むことができる。方向変化_RMプロセッサ212は、R_POSCOMP信号、L_POSCOMP信号、R_POSCOMP_PK信号、およびL_POSCOMP_PK信号を受け取るように結合されている。方向変化_RMプロセッサ212は、
図1の物体100の方向変化を示すDIR_CHANGE_RM_FLAG信号を生成するように構成されている。方向変化_RMプロセッサ212の動作については、
図13と関連付けて以下で更に説明する。
【0081】
また、振動プロセッサ200は、信号位相プロセッサ214も含むことができる。信号位相プロセッサ214は、
図1のR_POSCOMP_PK信号、L_POSCOMP_PK信号、R_STATE_PK信号、L_STATE_PK信号、R_STATE_SM信号、およびL_STATE_SM信号を受け取るように結合されている(
図2のSTATE_PEAK信号176aおよびSTATE_SM信号174aも参照のこと)。信号位相プロセッサ214は、右および左チャネルの信号の位相が近づき過ぎていることを示す、したがって
図1の物体の振動を示すTOO_CLOSE_FLAG信号を生成するように構成されている。信号位相プロセッサ214の動作については、
図14と関連付けて以下で更に説明する。
【0082】
また、振動プロセッサ200は、右および左ピーク更新ジャンプ・プロセッサ216、218もそれぞれ含むことができる。右ピーク更新ジャンプ・プロセッサ216は、
図1のR_PPEAK信号およびR_NPEAK信号を受け取るように結合されている(
図2のPPEAKおよびNPEAK信号158a、160aも参照のこと)。左ピーク更新ジャンプ・プロセッサ218は、
図1のL_PPEAK信号およびL_NPEAK信号を受け取るように結合されている(
図2のPPEAKおよびNPEAK信号158a、160aもそれぞれ参照のこと)。右ピーク更新ジャンプ・プロセッサ216は、右チャネル磁場信号の振幅が増大して大き過ぎることを示すR_PEAK_CLAMP_FLAG信号、および右チャネル磁場信号の振幅が小さすぎることを示すR_PEAK_IN_FLAG信号を生成するように構成されている。左ピーク更新ジャンプ・プロセッサ218は、左チャネル磁場信号の振幅が増大して大き過ぎることを示すL_PEAK_CLAMP_FLAG信号、および左チャネル磁場信号の振幅が小さすぎることを示すL_PEAK_IN_FLAG信号を生成するように構成されている。ピーク更新ジャンプ・プロセッサ216、218の動作については、
図15と関連付けて以下で更に説明する。
【0083】
また、振動プロセッサ200は、右および左POSCOMP検証プロセッサ220、222もそれぞれ含むことができる。右および左POSCOMP検証プロセッサ220、222は、種々の入力信号を受け取るように結合されている。これは、
図16と関連付けた以下の論述から明らかになろう。右POSCOMP検証プロセッサ220は、適正なR_POSCOMP信号を示すR_POSCOMP_OK_FLAG信号を生成するように構成されている。左POSCOMP検証プロセッサ222は、適正なL_POSCOMP信号を示すL_POSCOMP_OK_FLAG信号を生成するように構成されている。POSCOMP検証プロセッサ220、222の動作については、
図16と関連付けて以下で更に説明する。
【0084】
また、振動プロセッサ200は、右および左POSCOMP_PK検証プロセッサ224、226もそれぞれ含むことができる。右および左POSCOMP_PK検証プロセッサ224、226は、種々の入力信号を受け取るように結合されている。これは、
図16Aと関連付けた以下の論述から明らかになろう。右POSCOMP_PK検証プロセッサ224は、適正なR_POSCOMP_PK信号を示すR_POSCOMP_PK_OK_FLAG信号を生成するように構成されている。左POSCOMP_PK検証プロセッサ226は、適正なL_POSCOMP_PK信号を示すL_POSCOMP_PK_OK_FLAG信号を生成するように構成されている。POSCOMP_PK検証プロセッサ224、226の動作については、
図16Aと関連付けて以下で更に説明する。
【0085】
尚、
図4、
図5、
図6、
図10〜
図17、および
図19は、
図1の動きセンサ102において実現され、以下で検討する技法に対応するフローチャートを示すことは認められてしかるべきである。矩形のエレメント(
図4におけるエレメント256によって代表される)は、ここでは「処理ブロック」と呼ばれ、コンピュータ・ソフトウェア命令、または命令の集合体を表す。菱形のエレメント(
図4におけるエレメント260によって代表される)は、ここでは「判断ブロック」と呼ばれ、処理ブロックによって表されたコンピュータ・ソフトウェア命令の実行に影響を及ぼすコンピュータ・ソフトウェア命令、または命令の集合体を表す。
【0086】
あるいは、処理および判断ブロックは、ディジタル信号プロセッサ回路または特定用途集積回路(ASIC)のような、機能的に同等な回路によって実行されるステップを表す。流れ図は、いずれの特定のプログラミング言語の構成規則(syntax)を図示するのではない。むしろ、流れ図は、当業者が回路を製作するため、または特定の装置に必要とされる処理を実行するコンピュータ・ソフトウェアを生成するために必要な機能的情報を図示する。尚、ループおよび変数の初期化、一時変数の使用というような、多くの慣例的なプログラム・エレメントは示されていないことを注記しておく。本明細書において特に示されない限り、記述するブロックの特定のシーケンスは例示に過ぎず、本発明の主旨から逸脱することなく様々に変更可能であることは、当業者には認められよう。つまり、特段述べられていなければ、以下で説明するブロックは順序が決まっておらず、可能であれば、これらのステップは便利な順序または望ましい順序であればいずれでも実行できることを意味する。
【0087】
図4、
図5、および
図6は、
図1のAOA/AGCプロセッサ114、振動プロセッサ116、ならびにオフセットおよび利得調節モジュール108、124と関連のあるプロセスを示す。
【0088】
これより
図4を参照すると、プロセス250は、最初に電力を
図1の動きセンサ102に印加した後に開始することができ、ここでは、BURP動作モードと呼ぶ。プロセス250は、右または左チャネルの一方のみに注目する。プロセス250は、右および左チャネル双方に、直列または並列のいずれでも適用できることは言うまでもない。
【0089】
プロセス250は、ブロック252において開始し、ここで目標枠を確定する。特定的な一実施形態では、約50最下位ビット(LSB)の目標枠を選択し、この目標枠は、DDIFF信号が取ることができる値の動作範囲の中央付近に中心が置かれる(
図1のR_DDIFF信号110aおよび/またはL_DDIFF信号126a)。特定的な一実施形態では、DDIFF信号は9ビットを有し、つまりDDIFF信号の全範囲は511最下位ビットとなる。BURP動作モードの間、それぞれのDDIFF信号がAOA/AGCプロセッサ114(
図1)ならびにオフセットおよび利得調節モジュール108、124(
図1)の動作によって動かされ、目標枠内における動作範囲の中心付近に来るようにすることが望ましい。
【0090】
DDIFF信号が目標枠内にない場合、ブロック256において、
図1のAOAプロセッサ114の動作によってAOA(即ち、DIFF信号のオフセット)を調節する。実施形態の中には、ブロック256において、
図1のオフセット制御信号114c、114eの一方または双方を、DDIFF信号が目標枠からどれだけ離れているかに応じることができるカウント数だけ、例えば、1カウントだけ調節し、DDIFF信号を目標枠に向けて強制的に動かす。
【0091】
ブロック260は、約33ミリ秒の待機期間258の間に現れる。ブロック260において、DDIFF信号を検査して、待機期間におけるいずれかの時点でDDIFF信号が目標枠に入ったか否か確認する。DDIFF信号が、待機期間258におけるいずれかの時点で、目標枠に入った場合、プロセス250は終了する。
【0092】
ブロック260において、DDIFF信号が待機期間258の間に目標枠に入らなかった場合、プロセスはブロック262に進み、AOA(自動オフセット調節)が調節範囲の終端にあるか否か確認する。AOAがその調節範囲の終端にない場合、プロセスはブロック256に戻る。
【0093】
ブロック262において、AOAがその調節範囲の終端にある場合、プロセスは代わりにブロック264に進む。
【0094】
ブロック264において、目標枠を約320最下位ビットに広げる。この目標枠は、DDIFF信号の値の動作範囲の中央付近に中心が置かれる。
【0095】
ブロック266において、DDIFF信号が新たな目標枠内にあるか否か判断する。DDIFF信号が新たな目標枠内にある場合、本プロセスは終了する。DDIFF信号が新たな目標枠内にない場合、本プロセスはブロック268に進み、ここで、AOAの代わりにAGCを調節して、DDIFF信号を新たな目標枠に向けて動かす。実施形態の中には、ブロック268において、
図1の利得制御信号114d、114fの一方または双方を、DDIFF信号が目標枠からどれだけ離れているかに応じることができるカウント数だけ、例えば、1カウントだけ調節し、DDIFF信号を新たな目標枠に向かって強制的に動かす場合もある。
【0096】
ブロック272は、約33ミリ秒の待機期間270の間に現れる。ブロック272において、DDIFF信号を検査して、待機期間270におけるいずれかの時点で、DDIFF信号が目標枠に入ったか否か確認する。DDIFF信号が、待機期間270におけるいずれかの時点で、目標枠に入った場合、プロセス250は終了する。
【0097】
ブロック272において、DDIFF信号が待機期間270の間に目標枠に入らなかった場合、プロセスはブロック274に進む。ここで、AGCがその調節範囲の終端にあるか否か確認する。AGCがその調節範囲の終端にない場合、プロセス250はブロック268に戻る。ブロック274において、AGCがその調節範囲の終端にある場合、プロセス250は終了する。
【0098】
これより
図5を参照すると、
図4と関連付けて先に説明したBURP動作モードの後、AGCおよびAOAは、較正モードおよび対応するプロセス300に入る。プロセス300は、ブロック302において開始し、ここで、約320最下位ビットの学習枠を選択する。学習枠は、DDIFF信号の最大範囲の中心に置かれ、実施形態の中には、511最下位ビット範囲に対して9ビットを有する場合もある。
【0099】
プロセス300は、ブロック304に進み、ここでDDIFF信号が、
図4のBURPモードの後に第1信号ピークに既に達したか否か判定を行う。第1ピークは、種々の方法で確認することができる。特定的な一実施形態では、第1ピークは、DDIFF信号が学習枠の上限および学習枠の下限双方と交差した時点において確認される。
【0100】
本質的に、ブロック304において、DDIFF信号が正および負の限度双方を一旦交差しただけで、DDIFF信号は、学習枠を超えた正および負双方の偏位(excursion)を有したことになり、DDIFF信号を範囲内に持って行くために、学習枠は利得調節を必要とする。これらの規準(criteria)を用いて、利得調節が第1信号ピークに対して行われる。
【0101】
図4のBURPモードの後にDDIFF信号がなおも第1ピーク以内にある場合、プロセスはブロック324に進み、ここで
図1の右および左チャネルの利得制御信号114d、114fのAGCカウントが、3よりも大きく異なるか否か判定を行う。AGCカウントが3よりも大きく異なる場合、本プロセスはブロック326に進み、
図1および
図3のAMP_DIFF_FLAG信号をセットする。
【0102】
ブロック328において、利得が高い方のチャネルのAGCカウントを、利得が低い方のチャネルのAGCカウントに向けて減少させる。この調節の理由は、
図5Aおよび
図5Bと関連付けた以下の論述から一層明白となろう。実施形態の中には、ブロック328において、利得が高い方のチャネルのAGCカウントを、利得が低い方のチャネルのAGCカウントに等しくなるように減少させる場合もある。他の実施形態では、利得が高い方のチャネルのAGCカウントを、利得が低い方のチャネルの所定カウント、例えば、3以内になるように減少させる場合もある。
【0103】
ブロック330において、AMP_DIFF_FLAG信号をクリアする。
【0104】
ブロック324において、2つのチャネルのAGCカウントが3よりも大きく異ならない場合、本プロセスはブロック306に進む。ブロック304において、DDIFF信号がその第1ピークよりも後ろにある場合も、プロセス300はブロック306に進む。
【0105】
残りのブロックでは、右または左チャネルのみについて論ずるが、前述のように、本ロジックは並列または直列に双方のチャネルに適用することができる。
【0106】
ブロック306において、DDIFF信号が学習枠の上限よりも高い場合または学習枠の下限よりも低い場合、DDIFFは大きすぎる(利得が高すぎる)ので、本プロセスはブロック308に進み、ここでAGCカウント(例えば、
図1のそれぞれの利得制御信号114dまたは114fのAGCカウント)を減少させる。
【0107】
ブロック310において、AOA、即ち、オフセット制御信号(例えば、
図1のそれぞれのオフセット制御信号114cまたは114eの)を、ブロック308のAGC調節に応じた量だけ調節することができる。
【0108】
AOA刻みサイズは、DDIFF信号のボルトを単位とし、AGC利得の関数である。AGC調節を行うときに、AOAを用いて、AGC調節によって生ずる電圧と同様の電圧だけDDIFF信号を動かすことによって、信号正規化(signal normalization)を一定にすることができる。所与の利得において予期されるAOAの電圧刻みサイズ、および所与のAGC調節によって予期される電圧の移動双方を用いて、可能なAGC調節毎にAOAカウントを調節すべき量に関して、表を予め計算しておくことができる。その実施態様は、参照表とすることができる。
【0109】
ブロック312において、プロセス300は約28ミリ秒だけ待機し、次いでブロック306に戻る。
【0110】
ブロック306において、DDIFF信号が学習枠の上限よりも上ではなく、学習枠の下限よりも下でもない場合、本プロセスはブロック314に進み、ここで
図2の既定数のエッジがPOSCOMP信号182aにおいて検出されたか否か判定を行う。この既定数は、何らかの振動が検出されたか否かに応じて、動的に決定される数である。この既定数については、
図19〜
図19Bと関連付けた以下の論出から一層良く理解されよう。一実施形態では、この既定数はPOSCOMP信号の3つ以上のエッジであることを言えば、ここでは十分であろう。
【0111】
既定数のPOSCOMPエッジが既に現れている場合、本プロセスは終了する。既定数のエッジが未だ現れていない場合、本プロセスはブロック306に戻り、更にAGCおよびAOA調節を行うことができる。
【0112】
尚、少なくともブロック324〜330は、
図3のチャネル振幅差プロセッサ202によって実行できることは明白であろう。しかしながら、その他の機能の区分(partitioning)も可能である。
【0113】
これより
図5Aを参照すると、グラフ320は、ガウスを単位とした磁場強度を表す縦軸と、任意の時間単位とした横目盛りとを有する。グラフ320は、2つの信号を含む。第1信号322は、例えば、
図1の動きセンサ102の右チャネルに寄与する磁場検知エレメント104a、104bが受ける第1磁場を表す。第2磁場信号324は、例えば、
図1の動きセンサ102の左チャネルに寄与する磁場検知エレメント104b、104cが受ける第2磁場を表す。
【0114】
第1信号322は、角度φ
1およびφ
2の間の
図1のギア100の回転角度の間に存在する部分322aを含む。第2信号324は、角度φ
1およびφ
2の間の
図1のギア100の回転角度の間に存在する部分324aを含む。尚、
図1のギア100が回転振動を受ける場合、この回転振動は、角度φ
1およびφ
2の間における前後の回転(back and forth rotation)に対応することができる。つまり、信号322、324の他の部分は実際には現れないが、それにも拘わらず、ギア100が完全に回転するかのように、明確化のために点線で示されている。
【0115】
これより
図5Bを参照すると、グラフ330は、任意の電圧単位とした縦軸と、任意の時間単位とした横軸とを有する。グラフ330は、ギア100の存在時に、このギアが
図5Aの角度φ
1およびφ
2の間で回転振動を受けるときに、
図1の動きセンサ102によって生成される信号332を含む。具体的には、信号332は
図1のL_DIFF信号124aに対応することができる。尚、
図1のギア100は完全に一回転しないが、それでもギア100の動きによって、
図1のL_DIFF信号124aを生成し、結果的にL_DIFF信号332を生成することは理解されてしかるべきである。
【0116】
また、グラフ336も、任意の電圧単位として縦軸と、任意の時間単位とした横軸とを有する。グラフ336は、ギア100の存在時に、このギアが
図5Aの角度φ
1およびφ
2の間で回転振動を受けるときに、
図1の動きセンサ102によって同様に生成される信号338を含む。具体的には、信号338は、
図1のR_DIFF信号108aに対応することができる。尚、
図1のギア100は完全に一回転しないが、それでもギア100の動きによって、
図1の変動するR_DIFF信号108aを生成し、結果的にR_DIFF信号338を生成することは理解されてしかるべきである。
【0117】
尚、R_DIFF信号338は、L_DIFF信号332よりも小さい振幅を有することは明らかである。この振幅の違いは、
図5Aの信号領域322a、324aの傾きが異なることから生ずる。回転振動が
図5Aの角度φ
1およびφ
2の間以外のギア角度で生じる場合、信号332および338の他の相対的振幅が生成されることは、認められてしかるべきである。。
【0118】
尚、振幅が異なるL_DIFFおよびR_DIFF信号332、338は、それぞれ、
図1のギア100の振動を表し、つまり、異なる振幅が十分に異なる場合、振動を検出するために用いることができることは、認められてしかるべきである。
【0119】
このように、
図5のボックス324〜330は、較正動作モードの間における振動時に、
図1の動きセンサ102の2つのチャネルのAGC設定を補正するために用いられ、振動によって2つのチャネル間における振幅の不一致が生ずることは、明白なはずである。
【0120】
また、
図5のボックス324〜330によって、振動がない場合でも、
図1の動きセンサ102の較正を高速化することができる。更に、AGCカウントの差が、ブロック328において小さくなっても、本プロセスは、振動を検出するため、そしてブロック328においてAMP_DIFF_FLAG信号を設定するために用いることができる。
【0121】
これより
図6を参照すると、
図4のBURP動作モードの後、そして
図5の較正動作モードの後に、
図1の動きセンサ102の2つのチャネルのAGCおよびAOAを制御するために、プロセス350が用いられる。プロセス350は、継続動作モード(running mode of operation)の間に行われ、右または左チャネルの内一方について、以下では説明する。
【0122】
ブロック352において、約440最下位ビットの学習枠を選択する。この学習枠は、DIFF信号の最大範囲の中心に置かれ、実施形態の中には、511最下位ビット範囲に対して9ビットを有する場合がある。
【0123】
ブロック354において、ピーク・カウンタを0にリセットする。ピーク・カウンタは、学習枠の外側でDDIFF信号が検出されたときをカウントするために用いられる。
【0124】
ブロック356において、プロセス350は、
図2のPOSCOMP信号182aの状態が、プロセス350が最後にブロック356に遭遇して以降変化したか否か確認する。
【0125】
POSCOMP信号の状態に変化がない場合、本プロセスはブロック358に進み、ここでDDIFF信号が学習枠内部にあるか否か判定を行う。ブロック358において、DDIFF信号が学習枠の外側、上または下にある場合、本プロセスはブロック360に進む。
【0126】
ブロック360において、ピーク・カウンタに保持されている値が0または1である場合、本プロセスはブロック362に進み、ここでAOA制御信号を調節する。例えば、関連のあるDDIFF信号を学習枠に向かって動かすために、
図1のオフセット制御信号114c、114eの一方または双方を調節し、本プロセスはブロック356に戻る。
【0127】
ブロック356において、POSCOMP信号の状態に変化があった場合、本プロセスはブロック368に進み、ここでPOSCOMP信号の状態が最後に切り替わって以降、DDIFF信号が学習枠を超過したことがあるか否か確認し、そしてAGC調節が行われていないことを確認する。以上のことが真である場合、本プロセスはブロック369に進み、ここでピーク・カウンタを1だけ増加させる。次いで、プロセスはブロック356に戻る。
【0128】
ブロック360において、ピーク・カウンタが1よりも大きい値を保持している場合、本プロセスはブロック364に進み、ここでAGC制御信号を減少させる(利得を低くする)。例えば、関連のあるDDIFF信号を学習枠に向かって動かすために、
図1の利得制御信号114d、114fの内一方または双方を減少させる。ブロック366において、ブロック364において行ったAGC調節にしたがって、AOAも調節する。次いで、本プロセスはブロック354に戻る。
【0129】
ブロック368において、ブロック368の前述の条件が真でない場合、本プロセスはブロック354に戻る。
【0130】
これより
図7を参照すると、グラフは、ボルトを単位とする電圧を表す縦軸と、任意の時間を単位とする横軸とを有する。信号372は、DIFF信号、例えば、
図1のR_DIFF信号108aまたはL_DIFF信号124aの内一方を表す。また、信号372はDDIFF信号も表し、例えば、
図1のR_DDIFF信号110aまたはL_DDIFF信号126aの内一方を表すが、アナログ形態となっている。更に特定すると、信号372は、
図2のIDDIFF信号154aを表すことができる。
【0131】
信号372は、
図7におけるSTATE0からSTATE15までで識別される複数の状態を通過する。状態374a、374bはこれらを表す。各状態は、ある範囲の値を示し、DIFF信号(アナログ信号)に関してアナログ値の範囲を示し、DDIFF信号(ディジタル信号)に関してディジタル値の範囲を示し、更にIDDIFF信号(ディジタル信号)に関しても、ディジタル値の範囲を示す。一方、これらのディジタル値の範囲は、DIFF信号のアナログ値の範囲を示す。
【0132】
STATE0からSTATE15と関連付けられた値の範囲の例(DIFF信号、DDIFF信号、またはIDDIFF信号のピーク−ピーク範囲の割合)は、
図2におけるエレメント180bのように特定される。
【0133】
状態信号392は、DIFF信号が時間の経過と共に移って行く状態を表し、
図2のSTATE_SM信号174aと同一または同様である。つまり、図示のDIFF信号372は、あるときにはSTATE0にあり、他のときにはSTATE1にある等となる。尚、DIFF信号372の正のピークにおいて、STATE15に達し、エレメント392aとして識別されることは理解されよう。DIFF信号372は、STATE15における線374aよりも上に進み続けることができ、DIFF信号がSTATE15、372aよりも下に低下するまで、DIFF信号372はSTATE15、392a内に居続ける。
【0134】
領域376a、376bを有する信号376は、
図2のPPEAK信号158aを表す。領域378a、378bを含む信号378は、
図2のNPEAK信号160aを表す。PPEAK信号376は、DIFF信号372の正のピークの振幅を表す値を概ね保持する。NPEAK信号378は、DIFF信号372の負のピークの振幅を表す値を概ね保持する。
【0135】
領域376a、376bは、
図2のロジック156および比較器164の動作によって、PPEAK信号376がカウントする時点、言い換えると、下方に遷移してDIFF信号372を再度捕らえる時点、そしてPPEAK信号376がカウントする時点、言い換えると、再度上方に遷移してDIFF信号372の正のピークを捕らえる時点を表す。同様に、領域378a、378bは、
図2のロジック162および比較器166の動作によって、NPEAK信号378がカウントする時点、言い換えると、上方に遷移してDIFF信号372を再度捕らえる時点、そしてNPEAK信号378がカウントする時点、言い換えると、下方に再度遷移してDIFF信号372の負のピークを捕らえる時点を表す。
【0136】
点380a、380bは、DIFF信号が第10状態STATE10から第11状態STATE11に遷移する時点を示す。点382a、382bは、DIFF信号が第5状態STATE5から第4状態STATE4に遷移する時点を示す。
【0137】
尚、領域376a、376bの開始は、それぞれ、点380a、380bと一致することは明白であろう。また、領域378a、378bの開始が、それぞれ、点382a、382bと一致することも明白であろう。
図7Aと関連付ける以下の論述から、点380a、380b、382a、382bは、POSCOMP信号の遷移とも一致することが明白になるであろう。
【0138】
点384a、384bは、DIFF信号のSTATE15から、STATE15よりも4つ下への変化、即ち、状態差390によって表される、STATE11への変化を示す。点386a、386bは、DIFF信号のSTATE0から、STATE0よりも4状態上への変化、即ち、状態差388によって示される、STATE4への変化を示す。尚、
図7Aと関連付ける以下の論述から、点384a、384b、386a、386bは、POSCOMP_PK信号の遷移とも一致することが明白となろう。
【0139】
状態チャター392によって代表される、何らかの状態チャター(不適切な状態遷移)が、状態遷移の間に現れる可能性がある。状態遷移チャターは、
図2のSTATE_SM信号174aに伴う。
図2の状態ピーク・ロジック・モジュール176によって、以下で説明するプロセスによって、この状態遷移チャターを本質的に低減または排除し、状態チャターを低減した、または状態チャターがない
図2のSTATE_PEAK信号176aが得られる。
【0140】
これより
図7Aを参照すると、グラフ400は、ボルトを単位とする電圧を表す縦軸と、任意の時間を単位とする横軸とを有し、時間が
図7の横軸と一致している。
【0141】
信号402は、
図2のPOSCOMP信号182aを表す。先に説明したように、POSCOMP信号402の遷移404a、404bおよび406a、406bは、
図7の状態遷移および関連のある点3
80a、3
80b、および3
82a、3
82bと一致し、これらから得られる(
図2のデコーダ182によって)。
【0142】
信号408は、点線で示されており、
図2のPOSCOMP_PK信号178を表す。これは、
図10と関連付けて以下で説明するプロセスの間に生成される。先に説明したように、POSCOMP_PK信号408の遷移410a、410bおよび412a、412bは、
図7の状態遷移および関連のある点3
84a、3
84bおよび3
86a、3
86bと一致し、これらから得られる(
図10のプロセスによって)。
【0143】
これより
図8を参照すると、
図7の状態遷移が、状態ロジック・モジュール430内における状態図フォーマットで示されている。これは、
図2の状態ロジック・モジュール174と同一または同様とすることができる。状態ロジック・モジュール430は、COMP_A信号434、COMP_B信号432、およびクロック信号436を受け取る。これらは、
図2のCOMP_A信号172a、COMP_B信号170a、およびクロック信号184aと同一または同様とすることができる。
【0144】
各バブル(bubble)の中には、状態数0〜15の内それぞれ1つが示されているが、二進フォーマットとなっており、
図2に示した値の範囲の例180bにしたがって、各状態に付随する値の限度も一緒に示されている。COMP_A信号およびCOMP_B信号の状態は、状態ロジック・モジュール430内において示される。
【0145】
COMP_B信号432の状態が0から1に遷移すると、ロジックは上方に遷移する。COMP_A信号の状態が0から1に遷移すると、ロジックは下方に遷移する。
【0146】
状態ロジック・プロセッサ430は、STATE_SM信号438を生成するように構成されている。STATE_SM信号438は、
図2のSTATE_SM信号174aと同一または同様とすることができる。
【0147】
状態遷移は、前述したチャターを有する可能性があり、適正な状態に達するまでの、最初に一方向(上または下)の遷移、次いで他の方向、前後の遷移として表すことができる。この状態チャターは、例えば、COMP_A信号434および/またはCOMP_B信号432上のノイズから生ずる可能性があり、このノイズは、例えば、
図2のIDDIFF信号154a上のノイズから生ずる可能性がある。
【0148】
これより
図9を参照すると、グラフ500は、ボルトを単位とする電圧を表す縦軸と、任意の時間単位とした横軸とを有する。信号502は、DIFF信号、例えば、
図1のR_DIFF信号108aまたはL_DIFF信号124aの一方を表す。また、信号502は、DDIFF信号、例えば、
図1のR_DDIFF信号110aまたはL_DDIFF信号126aの一方も表す。
【0149】
図7におけると同様、信号502は、
図7においてSTATE0からSTATE15として識別された、複数の状態を通過する。これらの状態の内、状態504a、504bが代表となっている。各状態は、ある範囲の値を示し、DIFF信号(アナログ信号)に関してアナログ値の範囲を示し、DDIFF信号(ディジタル信号)に関してディジタル値の範囲を示し、更にIDDIFF信号(ディジタル信号)に関しても、ディジタル値の範囲を示す。一方、これらのディジタル値の範囲は、DIFF信号のアナログ値の範囲を示す。
【0150】
前述のように、STARTE0からSTATE15までと関連付けられた値の範囲例(DIFF信号、DDIFF信号、またはIDDIFF信号のピーク−ピーク範囲の割合)を、
図2におけるエレメント180bのように特定する。
【0151】
状態信号544は、DIFF信号が時間の経過と共に移って行く状態を表し、
図2のSTATE_SM信号174aと同一または同様である。つまり、図示のDIFF信号502は、あるときにはSTATE0にあり、他のときにはSTATE1にある等となる。尚、DIFF信号502は、変曲542を有することが、
図7のDIFF信号372とは異なる。変曲点542は、DIFF信号502のサイクル中の変化(mid-cycle change)を示し、方向変化、例えば、
図1の物体100の回転方向変化によって生ずる可能性があり、あるいは物体100の回転振動から生ずる可能性がある。
【0152】
領域506a、506bを有する信号506は、
図2のPPEAK信号158aを表す。領域508aを含む信号508は、
図2のNPEAK信号160aを表す。PPEAK信号506は、通常、DIFF信号502の正のピークの振幅を表す値を保持する。NPEAK信号508は、通常、DIFF信号502の負のピークの振幅を表す値を保持する。
【0153】
領域506a、506bは、
図2のロジック156および比較器164の動作によって、PPEAK信号506がカウントする時点、言い換えると、下方に遷移してDIFF信号502を再度捕らえる時点、そしてPPEAK信号506がカウントする時点、言い換えると、再度上方に遷移してDIFF信号502の正のピークを捕らえる時点を表す。同様に、領域508aは、
図2のロジック162および比較器166の動作によって、NPEAK信号508がカウントする時点、言い換えると、上方に遷移してDIFF信号502を再度捕らえる時点、そしてNPEAK信号508がカウントする時点、言い換えると、下方に再度遷移してDIFF信号502の負のピークを捕らえる時点を表す。
【0154】
点510a、510bは、DIFF信号502が第10状態STATE10から第11状態STATE11に遷移する時点を示す。点512aは、DIFF信号502が第5状態STATE5から第4状態STATE4に遷移する時点を示すが、点510aの後のみである。
【0155】
尚、領域506a、506bの開始は、それぞれ、点510a、510bと一致することは明白であろう。また、領域508aの開始が、点512aと一致することも明白であろう。
図9Aと関連付ける以下の論述から、点510a、512a、510bは、POSCOMP信号の遷移とも一致することが明白になるであろう。
【0156】
点514a、514bは、DIFF信号502についてのSTATE15から、STATE15よりも4つ下への変化、即ち、状態差524によって表される、STATE11への変化を示す。点516a、516bは、DIFF信号502のSTATE0から、STATE0よりも4状態上への変化、即ち、状態差520、522によって示される、STATE4への変化を示す。尚、
図9Aと関連付ける以下の論述から、点514a、514b、516a、516bは、POSCOMP_PK信号の遷移とも一致することが明白となろう。
【0157】
追加の点518は、DIFF信号208についてSTATE8から、STATE8よりも4つ下への変化、即ち、状態差526によって表される、STATE4への変化を示す。尚、点514a、514b、および518は、各々、状態信号544が4状態だけ低下する時点を示すことは、認められてしかるべきである。点516a、516bは、各々、状態信号544が4状態だけ上昇する時点を表す。
【0158】
尚、
図9Aと関連付けた以下の論述から、点518はPOSCOMP_PK信号の遷移とも一致することは明白となろう。
【0159】
状態チャター540によって代表される、何らかの状態チャター(不適切な状態遷移)が、状態遷移の間に現れる可能性がある。状態遷移チャターは、
図2のSTATE_SM信号174aに伴う。
図2の状態ピーク・ロジック・モジュール176によって、以下で説明するプロセスによってこの状態遷移チャターを本質的に低減または排除し、状態チャターを低減した、または状態チャターがない
図2のSTATE_PEAK信号176aが得られる。
【0160】
これより
図9Aを参照すると、グラフ550は、ボルトを単位とする電圧を表す縦軸と、任意の時間を単位とする横軸とを有し、時間が
図9の横軸と一致している。
【0161】
信号552は、
図2のPOSCOMP信号182aを表す。先に説明したように、POSCOMP信号502の遷移554a、554bおよび556aは、
図9の状態遷移および関連のある点510a、510b、512aと一致し、これらから得られる(
図2のデコーダ182によって)。
【0162】
信号558は、点線で示されており、
図2のPOSCOMP_PK信号178を表す。これは、
図10と関連付けて以下で説明するプロセスの間に生成される。先に説明したように、POSCOMP_PK信号558の遷移560a、560b、562a、562bは、
図9の状態遷移および関連のある点514a、518、514b、516a、516bと一致し、これらから得られる(
図10のプロセスによって)。
【0163】
図10から
図17は、振動を識別するために用いられるプロセスを表す。本明細書において説明する区分(partitioning)では、これらのプロセスは、
図3の振動プロセッサ200内に示した種々の振動サブプロセッサ204〜226によって実行される。振動プロセッサ200は、
図1の振動プロセッサ116と同一または同様とすることができる。しかしながら、本明細書において示す区分は、明確化のために示す、機能区分の一例に過ぎないことは認められてしかるべきである。
図3の振動サブプロセッサ202〜226は、いずれも
図1の異なるブロック内、例えば、
図1のAOA/AGCプロセッサ114内、または
図1の状態プロセッサ112、128内において具体化することもできる。
【0164】
図10〜
図17のプロセスの各々は、「開始」ブロックによって開始される。開始ブロックは、
図1の動きセンサ102に最初に電力を投入する時点、またはその後におけるいずれかの時点、例えば、
図5のプロセスによって代表される較正モードの終了時を表すことができる。
【0165】
前述のように、
図3のチャネル振幅差プロセッサ202によって実行されるプロセスは、
図5のプロセス300によって代表され、特に
図5のブロック324〜330によって代表される。
【0166】
これより
図10を参照すると、
図3の右変曲プロセッサ204によって、右チャネル(例えば、
図1参照)についてプロセス例450を実行することができる。プロセス例450は、
図3の左変曲プロセッサ206によって、左チャネル(例えば、
図1参照)についても実行することができる。2つのチャネルに対する動作は、直列または並列のいずれでも実行することができる。プロセス450について、以下では一方のチャネル、右または左に関して説明する。プロセス450は、変曲を識別するため、したがって
図1の物体100の方向の変化を識別するために用いることができ、これは異常状態(fault condition)または振動を示す。また、プロセス450によって、POSCOMP_PK信号の遷移も見つけられる。
【0167】
プロセス450は、変曲、例えば、
図9の変曲542を識別することに関する。これは、見かけ上のまたは実際の方向変化、例えば、
図1の物体100の見かけ上の回転方向の変化によって引き起こされるDIFF、DDIFF、および/またはIDDIFF信号の変化である。見かけ上の方向変化は、物体100の振動による可能性がある。見かけ上の方向変化は、
図9および
図9Aと関連付けて先に示したように、DIFF、DDIFF、およびIDDIFF信号の突然の位相変化によってその特徴が表されることが多い。
【0168】
プロセス450は、ブロック452において開始し、ここでPOSCOMP_PK信号(例えば、
図1のPOSCOMP_PK信号、
図2のPOSCOMP_PK信号178、
図3のPOSCOMP_PK信号、または
図9AのPOSCOMP_PK信号558)が高(high)か否か識別する。POSCOMP_PK信号が高でない(即ち、低(low)である)場合、本プロセスはブロック454に進む。
【0169】
ブロック454において、STATE_PEAK信号、例えば、
図2のSTATE_PEAK信号176aからSTATE_SM信号、例えば、
図9の状態信号544によって表される
図2のSTATE_SM信号174aを減算した値が3よりも大きいか否か識別する。言い換えると、これらの状態が4以上異なるということである。STATE_PEAK信号の生成については、
図17と関連付けて以下で更に詳しく説明する。ここでは、
図9の状態差524、526によって、少なくとも4状態の差が表されることを言えば十分であろう。
【0170】
状態差が3よりも大きい場合、本プロセスはブロック456に進み、ここでPOSCOMP_PK信号を反対状態、即ち、高状態に切り替える(例えば、
図9Aのエッジ560bに関する
図9の点518を参照のこと)。
【0171】
ブロック458において、STATE_SM信号によって識別される現在の状態が、10以下である場合、本プロセスはブロック460に進み、ここでINFLECTION_FLAG信号をトリガする。INFLECTION_FLAG信号は、
図3の変曲フラグ信号の1つと同一または同様とすることができる。次いで、本プロセス450はブロック452に戻る。
【0172】
本明細書において用いる場合、「トリガされる」(triggered)という用語は、フラグ信号の一時的な状態変化を意味し、その後フラグ信号はその元の状態に戻る。トリガ状態は、例えば、
図2のクロック信号184aの1サイクルの間存在することができる。
【0173】
ブロック452において、POSCOMP_PK信号が高である場合、本プロセスはブロック462に進み、ここでSTATE_SM信号からSTATE_PEAK信号を減算した値が3よりも大きいか否か識別する。言い換えると、これらの状態が4以上異なるか否か識別する。
【0174】
状態差が3よりも大きい場合、本プロセスはブロック464に進み、ここでPOSCOMP_PK信号を反対状態、即ち、低状態に切り替える。(例えば、
図9Aのエッジ562bに関する
図9の点516bを参照のこと)。
【0175】
ブロック466において、STATE_SM信号によって識別される現在の状態が5よりも大きい場合、本プロセスはブロック468に進み、ここでINFLECTION_FLAG信号をトリガし、プロセス450はブロック452に戻る。
【0176】
ブロック454、458、462、466において、示された状態が偽である場合、本プロセスはブロック452に戻る。
【0177】
尚、POSCOMP_PK信号のエッジは、プロセス450の結果であることは認められてしかるべきである。
【0178】
プロセス450は、DDFFまたはIDDIFF信号を連続的に走査して変曲を調べ、変曲が検出された場合、右または左チャネルのINFLECTION_FLAGをトリガすることができる。プロセス450は、POSCOMP_PK信号を連続的に生成することができる。
【0179】
これより
図11を参照すると、プロセス例570は、
図3の方向変更プロセッサ208によって実行することができる。プロセス570は、2つのチャネル、右および左について、直列または並列のいずれでも実行することができる。以下では、プロセス570について、双方のチャンネルに関して説明する。一般に、
図1のR_POSCOMP信号112aと
図1のL_POSCOMP信号128aとの間の相対位相(プラスまたはマイナス)は、
図1の物体100の回転方向を示し、相対位相の変化、特に相対位相の符号の変化は物体100の回転方向の変化を示すことは認められてしかるべきである。プロセス570は、
図1の物体100の方向変化を識別するために用いられ、この方向変化は、異常状態または振動を示す。
【0180】
プロセス570は、ブロック572において開始し、ここでL_POSCOMP信号においてエッジが検出された場合、プロセス570はブロック574に進む。
【0181】
ブロック574において、検出された動きの方向(R_POSCOMP信号とL_POSCOMP信号との間の位相の符号)が、L_POSCOMP信号の最後のエッジ以降に変化したのである場合、本プロセスはブロック576に進む。
【0182】
ブロック576において、右および左チャネル双方に対する「方向検証エッジ・カウンタ」が0よりも大きいか否か判定を行う。方向検証エッジ・カウンタについては、
図19〜
図19Bのブロック1022と関連付けて説明する。本質的に、方向検証エッジ・カウンタは、
図19〜
図19Bのプロセスによって右または左チャネルのいずれかにおいて振動が検出されているときには0にリセットされる。
【0183】
ブロック576において、L_POSCOMPエッジが最初のエッジである場合、本プロセスはブロック578に進む。
【0184】
ブロック578において、L_POSCOMP信号およびR_POSCOMP信号が、例えば、
図16のプロセスによって検証されているか否か判定を行う。双方が検証されている場合、
図3のPOSCOMP_OK_FLAGの双方をセットする。双方が検証されている場合、本プロセスはブロック580に進む。
【0185】
ブロック580において、右および左チャネル双方に十分な振幅があるか否か判定を行う。この判定は、種々の方法で行うことができる。特定的な一実施形態では、PPEAK信号(
図2の158a)とNPEAK信号(
図2の160a)との間の差を所定の閾値と比較することができる。
【0186】
ブロック580において、双方のチャネルの振幅が十分に大きいと判定された場合、本プロセスはブロック582に進み、ここで
図3のDIR_CHANGE_PK_FLAG信号をトリガし、本プロセスはブロック572に進む。
【0187】
ブロック572において、L_POSCOMPエッジが検出されない場合、本プロセスはブロック584に進み、ここで、R_POSCOMP信号においてエッジが検出された場合、プロセス570はブロック586に進む。
【0188】
ブロック586において、R_POSCOMP信号の最後のエッジ以降、検出された動きの方向(R_POSCOMP信号とL_POSCOMP信号との間の位相の符号)が変化している場合、本プロセスはブロック576に進む。
【0189】
ブロック584において、R_POSCOMPエッジがない(そして、L_POSCOMPエッジもない)場合、プロセス570はブロック588に進む。
【0190】
ブロック588において、一方のチャネル上において合計3つのPOSCOMPおよびPOSCOMP_PKエッジの組み合わせがあり、他方のチャネル上にはPOSCOMPまたはPOSCOMP_PKのエッジがないか否か判定を行う。この条件が真である場合、本プロセスはブロック582に進み、ここでDIR_CHANGE_RM_FLAG信号をトリガする。この条件が偽である場合、プロセス570はブロック572に戻る。
【0191】
ブロック574〜580、586、または588のいずれかの条件が偽である場合、本プロセスはブロック572に戻る。
【0192】
これより
図12を参照すると、プロセス例600を
図3の方向変化_PKプロセッサ210によって実行することができる。プロセス600は、2つのチャネル、右および左について、直列または並列のいずれでも実行することができる。プロセス600について、以下では双方のチャネルに関して説明する。プロセス600は、
図1の物体100の方向変化を識別するために用いられ、この方向変化は異常状態または振動を示す。
【0193】
本プロセスはブロック602において開始し、L_POSCOMP_PK信号においてエッジが検出された場合、プロセス600はブロック604に進む。
【0194】
ブロック604において、L_POSCOMP_PK信号の最後のエッジ以降、検出された動きの方向(R_POSCOMP信号とL_POSCOMP信号との間の位相の符号)が変化している場合、プロセス600はブロック606に進む。
【0195】
ブロック606において、「方向検証エッジ・カウンタ」が、エッジが検出されたチャネルに対して、0よりも大きいか否か判定を行う。方向検証エッジ・カウンタについては、
図19〜
図19Bのブロック1022と関連付けて説明する。
【0196】
ブロック606において、
図19〜
図19Bの方向検証カウンタ(CNT)が、エッジが検出されたチャネルに対して0よりも大きい場合、プロセス600はブロック608に進む。
【0197】
ブロック608において、ブロック602またはブロック604においてエッジが検出されたチャネル、右または左に対して、POSCOMP_PK信号が検証されているか否か(POSCOMP_PK_OK_FLAGがセットされている。
図3参照)判定を行う。
【0198】
ブロック610において、右および左チャネル双方に十分な振幅があるか否か判定を行う。この判定は、種々の方法で行うことができる。特定的な一実施形態では、PPEAK信号(
図2の158a)とNPEAK信号(
図2の160a)との間の差を所定の閾値と比較することができる。
【0199】
ブロック610において、双方のチャネルの振幅が十分高いと判定された場合、本プロセスはブロック612に進み、ここで
図3のDIR_CHANGE_FLAG信号をトリガし、本プロセスはブロック602に進む。
【0200】
ブロック602において、L_POSCOMP_PKエッジが検出されない場合、本プロセスはブロック614に進み、ここでR_POSCOMP_PK信号においてエッジが検出された場合、プロセス600は、ブロック616に進む。
【0201】
ブロック616において、検出された動きの方向(R_POSCOMP信号とL_POSCOMP信号との間の位相の符号)が、R_POSCOMP_PK信号の最後のエッジ以降変化している場合、本プロセスはブロック608に進む。
【0202】
ブロック614において、R_POSCOMP_PKエッジがない(そして、L_POSCOMP_PKエッジもない)場合、プロセス600はブロック602に戻る。
【0203】
ブロック604〜610、614、616のいずれかの条件が偽である場合、本プロセスはブロック602に戻る。
【0204】
これより
図13を参照すると、
図3の方向変化_RM(継続モード)プロセッサ212によって、プロセス例650を実行することができる。プロセス650は、2つのチャネル、右および右について、直列または並列のいずれでも実行することができる。プロセス650について、以下では双方のチャネルに関して説明する。プロセス650は、
図1の物体100の方向変化を識別するために用いられ、方向変化は異常状態または振動を示す。
【0205】
プロセス650は、ブロック652において開始し、ここで右および左チャネル双方のPOSCOMP_PK信号を検査する。右または左チャネルのいずれかのPOSCOMP_PK信号においてエッジ(遷移)が検出された場合、プロセス650はブロック654に進む。
【0206】
ブロック654において、右および左チャネルにおけるPOSCOMP信号の最後の2つのエッジの順序(右、左)(即ち、位相の符号)を、右および左チャネルにおけるPOSCOMP_PK信号の最後の2つのエッジの順序と比較する。最後の2つのPOSCOMP_PK信号のエッジは、ブロック652において検出されたばかりの1つを含む。POSCOMP信号の順序がPOSCOMP_PK信号の順序とは異なる場合、本プロセスはブロック656に進む。
【0207】
ブロック656において、例えば、
図16のプロセス800によって右および左チャネル双方においてPOSCOMP信号が検証された場合、本プロセスはブロック658に進み、ここでDIR_CHANGE_FLAG信号(
図3)を一時的にトリガし、例えば、
図2のクロック信号184aの1サイクルの間トリガし、次いで本プロセスはブロック652に戻る。
【0208】
ブロック652において、右または左チャネルのいずれでもPOSCOMP_PK信号においてエッジが検出されない場合、本プロセスはブロック660に進み、ここでPOSCOMP信号を検査する。ブロック660において、右または左チャネルのいずれかでPOSCOMP信号において遷移が検出された場合、本プロセスはブロック662に進む。
【0209】
ブロック662において、右および左チャネルにおけるPOSCOMP_PK信号の最後の2つのエッジの順序(右、左)(即ち、位相の符号)を、右および左チャネルにおけるPOSCOMP信号の最後の2つのエッジの順序と比較する。最後の2つのPOSCOMPエッジは、ブロック660において検出されたばかりの1つを含む。順序がPOSCOMP信号およびPOSCOMP_PK信号で異なる場合、本プロセスはブロック664に進む。
【0210】
ブロック664において、例えば、
図16Aのプロセス850によってPOSCOMP_PK信号が右および左チャネル双方において検証されている場合、本プロセスはブロック666に継続する。
【0211】
ブロック666において、右および左チャネルのSTATE_PK状態信号において示される状態が異なるか否か判定を行う。状態が異なる場合、本プロセスはブロック656に進む。2つのチャネルにおいて状態が異ならない場合、プロセス650はブロック652に戻る。
【0212】
ブロック660において、右または左チャネルのいずれでもPOSCOMP信号においてエッジが検出されない場合、プロセス650はブロック652に戻る。ブロック652、660は、右または左チャネルのいずれかのPOSCOMP_PK信号またはPOSCOMP信号のいずれかにおいて遷移が検出されるまで、基本的に繰り返す。
【0213】
ブロック662において、POSCOMP_PK信号における遷移の順序が、ブロック660において検出された遷移を有するPOSCOMP信号における遷移の順序と異ならない場合、本プロセスはブロック652に戻る。
【0214】
ブロック664において、POSCOMP_PK信号が検証されてOKになっていない場合、プロセス650はブロック652に戻る。
【0215】
ブロック654または656の条件が真でない場合、本プロセスはブロック652に戻る。
【0216】
これより
図14を参照すると、
図3の信号位相プロセッサ214によってプロセス例700を実行することができる。プロセス700は、2つのチャネル、右および左について、直列または並列のいずれでも実行することができる。プロセス700について、以下では双方のチャネルに関して説明する。プロセス700は、異常状態または振動を示すように、十分な大きさの右および左チャネル間における位相不一致を識別するために用いられる。
【0217】
プロセス700は、ブロック702において開始し、ここで右および左チャネル双方の信号振幅(
図1および
図2のDIFF信号、DDIFF信号、またはIDDIFF信号)が十分な振幅を有するか否か判定を行う。このような判定は、
図11のブロック580と関連付けて先に説明した。右および左チャネル双方の振幅が十分である場合、プロセス700はブロック704に進む。
【0218】
ブロック704において、右および左チャネル双方のSTATE_SM信号双方が、右および左チャネルのSTATE_SM信号の少なくとも2回の状態変化に対して同じ勾配(上向きまたは下向きの状態変化)を示しているか否か判定を行う。この条件が真である場合、本プロセスはブロック706に進む。
【0219】
ブロック706において、右および左チャネル双方のSTATE_SM信号が、右および左チャネルの関連のあるSTATE_PEAK信号から3状態離れているか否か判定を行う。この条件が偽である場合、本プロセスはブロック708に進む。
【0220】
ブロック708において、右および左チャネル双方のSTATE_SM信号が、右および左チャネルの関連のあるSTATE_PEAK信号から2状態離れているか否か判定を行う。この条件が偽である場合、本プロセスはブロック710に進む。
【0221】
ブロック710において、右および左チャネルのPOSCOMP_PK信号が低であるか否か、そして右および左チャネルのSTATE_SM信号が状態4または5を示すか否か判定を行う。この条件が偽である場合、本プロセスはブロック712に進む。
【0222】
ブロック712において、右および左チャネルのPOSCOMP_PK信号が高であるか否か、そして右および左チャネルのSTATE_SM信号が状態10または11を示すか否か判定を行う。この条件が偽である場合、本プロセスはブロック714に進む。
【0223】
ブロック714において、ブロック704と同様に、右および左チャネル双方のSTATE_SM信号が、右および左チャネルのSTATE_SM信号の少なくとも2回の状態変化に対して同じ勾配(上向きまたは下向きの状態変化)を示しているか否か判定を行う。この条件が偽である場合、本プロセスはブロック716に進む。
【0224】
ブロック716において、右および左チャネル双方のSTATE_SM信号が、関連のあるSTATE_PEAK信号から1状態以下だけ離れているか否か判定を行う。この条件が真である場合、本プロセスはブロック726に進み、ここで
図3のTOO_CLOSE_FLAG信号をクリアする、即ち、偽にセットする。
【0225】
ブロック706において、ブロック706と関連付けて先に記載した条件が真である場合、本プロセスはブロック718に進む。ブロック718において、右または左チャネルのSTATE_SM信号が状態4または11を示す場合、
図3のTOO_CLOSE_FLAG信号を真にセットする。次いで、本プロセスはブロック702に戻る。
【0226】
ブロック708において、ブロック708と関連付けて先に記載した条件が真である場合、本プロセスはブロック720に進む。ブロック720において、右または左チャネルのSTATE_SM信号が状態3または12を示す場合、TOO_CLOSE_FLAG信号を真にセットする。次いで、本プロセスはブロック702に戻る。
【0227】
ブロック710において、ブロック710と関連付けて先に記載した条件が真である場合、本プロセスはブロック722に進む。ブロック722において、TOO_CLOSE_FLAG信号を真にセットする。次いで、本プロセスはブロック702に戻る。
【0228】
ブロック712において、ブロック712と関連付けて先に記載した条件が真である場合、本プロセスはブロック724に進む。ブロック724において、TOO_CLOSE_FLAG信号を真にセットする。次いで、本プロセスはブロック702に戻る。
【0229】
ブロック702において、ブロック702と関連付けて先に記載した条件が偽である場合、本プロセスはブロック726に進む。
【0230】
ブロック704において、ブロック704と関連付けて先に記載した条件が偽である場合、本プロセスはブロック710に進む。
【0231】
ブロック714または716と関連付けて先に記載した条件がそれぞれ真および偽である場合、本プロセスはブロック702に戻る。
【0232】
これより
図15を参照すると、
図3のピーク更新ジャンプ・プロセッサ216、218によって、プロセス例750を実行することができる。プロセス750は、2つのチャネル、右および左について、直列または並列のいずれでも実行することができる。プロセス750について、以下では1つのチャネルのみに関して説明する。プロセス750は、異常状態または振動を示すために、十分な大きさの右または左チャネル(DIFF信号、DDIFF信号、またはIDDIFF信号)における振幅ジャンプ(amplitude jump)を識別するために用いられる。
【0233】
本プロセスは、ブロック752において開始し、ここでPPEAK信号158a(
図2)とNPEAK信号160a(
図2)との間の差を取り、ピーク−ピーク大きさ(PP)値を得ることによって、信号の大きさ(DIFF信号、DDIFF信号、またはIDDIFF信号)を計算する。ブロック754において、第1差値(DELTA1)をPP値の33%として計算する。ブロック756において、第2差値(DELTA2)をPP値の11%として計算する。
【0234】
ブロック758において、次の正ピーク値(PEAK+1)が、直前の正ピーク値(PEAK)に第1差値(DELTA1)を加算した値以上か否か判定を行う。この条件が真である場合、本プロセスはブロック760に進み、ここで
図3のPEAK_CLAMP_FLAG信号をセットし、本プロセスはブロック762に進む。この条件が偽である場合も、本プロセスはブロック762に進む。
【0235】
ブロック762において、次の正ピーク値(PEAK+1)が、直前の正ピーク値(PEAK)から第2差値(DELAT2)を減算した値以下であるか否か判定を行う。この条件が真である場合、本プロセスはブロック764に進み、ここで
図3のPEAK_IN_FLAG信号をセットし、本プロセスはブロック766に進む。この条件が偽である場合も、本プロセスはブロック766に進む。
【0236】
ブロック766において、次の負ピーク値(NPEAK+1)が、直前の負ピーク値(NPEAK)から第1差値(DELAT1)を減算した値以上であるか否か判定を行う。この条件が真である場合、本プロセスはブロック768に進み、ここで
図3のPEAK_CLAMP_FLAG信号をセットし、本プロセスはブロック770に進む。この条件が偽である場合も、本プロセスはブロック770に進む。
【0237】
ブロック770において、次の負ピーク値(NPEAK+1)が、直前の負ピーク値(NPEAK)に第2差値(DELAT2)を加算した値以下であるか否か判定を行う。この条件が真である場合、本プロセスはブロック772に進み、ここで
図3のPEAK_IN_FLAG信号をセットし、本プロセスはブロック774に進む。この条件が偽である場合も、本プロセスはブロック774に進む。
【0238】
ブロック774において、プロセス750は、処理しているチャネルにおいて次のPOSCOMPの立ち上がりエッジを待つ。
【0239】
ブロック776において、PPEAK値が次のPPEAK値を取り、ブロック778において、NPEAK値が次のNPEAK値を取る。ブロック780において、ブロック760、764、768、または727においてセットしたいずれのフラグもクリアする。次いで、本プロセスはブロック752に戻る。
【0240】
これより
図16を参照すると、
図3のPOSCOMP検証プロセッサ220、222によって、プロセス例800を実行することができる。プロセス800は、2つのチャネル、右および左チャネルについて、直列または並列のいずれでも実行することができる。プロセス800について、以下では1つのチャネルのみ関して説明するが、ブロックの一部では他方のチャネルを用いる。プロセス800は、適正なPOSCOMP信号を識別するために用いられる。適正でないPOSCOMP信号は、異常または振動状態を示す可能性がある。
【0241】
プロセス800は、ブロック802において開始し、ここで右および左チャネル双方の信号振幅(
図1および
図2のDIFF信号、DDIFF信号、またはIDDIFF信号)が十分な振幅を有するか否か判定を行う。このような判定は、
図11のブロック580と関連付けて先に説明した。右および左チャネル双方の振幅が十分である場合、プロセス800はブロック804に進む。
【0242】
ブロック804において、
図1の動きセンサ102が現在、
図4と関連付けて先に説明したBURP動作モードにあるか否か判定を行う。BURP動作モードは、動きセンサ102が最初に電力を受けた後直ぐに現れることができる。動きセンサ102が現在BURP動作モードにない場合、プロセス800はブロック806に進む。
【0243】
ブロック806において、動きセンサ102が現在、
図5と関連付けて先に説明した較正動作モードにあるか否か判定し、更にAOA/AGCイベントが発生したか否か判定を行う。較正動作モードは、動きセンサ102がBURP動作モードに入った後直ぐに、または他の時点において入ることができる。動きセンサ102が現在較正動作モードにない場合、プロセス800はブロック808に進む。
【0244】
ブロック808において、
図3および
図15のPEAK_CLAMP_FLAG信号が、検証中のチャネル、右または左において検出されたか否か判定を行う。PEAK_CLAMP_FLAG信号が検出されない場合、本プロセスはブロック810に進む。
【0245】
ブロック810において、
図3および
図12のDIR_CHANGE_PK_FLAG信号が検出されたか(セットされているか)否か判定を行う。DIR_CHANGE_PK_FLAG信号が検出されない場合、本プロセスはブロック811に進む。
【0246】
ブロック811において、
図3および
図13のDIR_CHANGE_RM_FLAG信号が検出されたか(セットされているか)否か判定を行う。DIR_CHANGE_RM_FLAG信号が検出されない場合、本プロセスはブロック812に進む。
【0247】
ブロック812において、POSCOMP信号のエッジ(遷移)が、検証中のチャネル、右または左において検出されたか否か判定を行う。POSCOMPエッジが検出された場合、本プロセスはブロック814に進む。
【0248】
ブロック814において、右および左チャネルのSTATE_PK信号によって示される状態が異なるか否か判定を行う。示される状態が異なる場合、本プロセスはブロック816に進み、ここで検証中のチャネル、右または左においてPOSCOMP_OK_FLAG信号をセットする。POSCOMP_OK_FLAG信号をセットすることは、POSCOMP信号が検証されたことを示す。次いで、プロセス800はブロック802に戻る。
【0249】
ブロック802における条件が偽である場合、またはブロック804〜811のいずれかの条件が真である場合、プロセス800はブロック818に進み、ここで検証中のチャネル、右または左においてPOSCOMP_OK_FLAG信号をクリアして、POSCOMP信号が検証されていないことを示し、次いでプロセス800はブロック802に戻る。
【0250】
ブロック812および814における条件が偽である場合、本プロセスはブロック802に戻る。
【0251】
これより
図16Aを参照すると、
図3のPOSCOMP_PK検証プロセッサ224、226によってプロセス例850を実行することができる。プロセス850は、2つのチャネル、右および左に対して、直列または並列のいずれでも実行することができる。プロセス850について、以下では1つのチャネルのみに関して説明するが、ブロックの一部では他方のチャネルも用いる。プロセス850は、適正なPOSCOMP_PK信号を識別するために用いられる。適正でないPOSCOMP_PK信号は、異常または振動状態を示す可能性がある。
【0252】
プロセス850は、ブロック852において開始し、ここで右および左チャネル双方の信号振幅(
図1および
図2のDIFF信号、DDIFF信号、またはIDDIFF信号)が十分な振幅を有するか否か判定を行う。このような判定は、
図11のブロック580と関連付けて先に説明した。右および左チャネル双方の振幅が十分である場合、プロセス850はブロック854に進む。
【0253】
ブロック854において、
図1の動きセンサ102が現在、
図4と関連付けて先に説明したBURP動作モードにあるか否か判定を行う。BURP動作モードは、動きセンサ102が最初に電力を受けた後直ぐに現れることができる。動きセンサ102が現在BURP動作モードにない場合、プロセス850はブロック856に進む。
【0254】
ブロック856において、
図3および
図10のINFLECTION_FLAG信号が、検証中のチャネル、右または左において検出されたか否か判定を行う。INFLECTION_FLAG信号が検出されない場合、プロセス850はブロック858に進む。
【0255】
ブロック858において、
図3および
図15のPEAK_CLAMP_FLAG信号が、検証中のチャネル、右または左において検出されたか否か判定を行う。PEAK_CLAMP_FLAG信号が検出されない場合、本プロセスはブロック860に進む。
ブロック860において、
図3および
図11のDIR_CHANGE_FLAG信号が検出されたか(セットされているか)否か判定を行う。DIR_CHANGE_FLAG信号が検出されないと判定された場合、本プロセスはブロック862に進む。
【0256】
ブロック862において、
図3および
図13のDIR_CHANGE_RM_FLAG信号が検出されたか(セットされているか)否か判定を行う。DIR_CHANGE_RM_FLAG信号が検出されない場合、本プロセスはブロック864に進む。
【0257】
ブロック864において、POSCOMP_PK信号のエッジ(遷移)が、検証中のチャネル、右または左において検出されたか(設定されているか)否か判定を行う。POSCOMP_PKエッジが検出された場合、プロセス850はブロック866に進む。
【0258】
ブロック866において、検証中のチャネル、右または左において、POSCOMP_PK_OK_FLAG信号をセットする。POSCOMP_PK_OK_FLAG信号をセットすることは、POSCOMP_PK信号が検証されたことを示す。次いで、プロセス850はブロック852に戻る。
【0259】
ブロック852における条件が偽である場合、またはブロック854〜862のいずれかの条件が真である場合、プロセス850はブロック868に進み、ここでPOSCOMP_PK_OK_FLAG信号をクリアし、POSCOMP_PK信号が検証されていないことを示し、次いでプロセス850はブロック852に戻る。
【0260】
ブロック864の条件が偽である場合、プロセスはブロック852に戻る。
【0261】
これより
図17を参照すると、
図2のSTATE_SM信号174aから
図2のSTATE_PEAK信号176aを生成するために、プロセス900を用いることができる。先に述べたように、STATE_PEAK信号176aは、STATE_SM信号174aに存在するかもしれない状態チャターから、状態チャターが低減されている。
【0262】
プロセス900は、ステップ902において開始し、ここで
図2、
図7A、
図9A、および
図10のPOSCOMP_PK信号が高状態(1)にあるか否か判定を行う。POSCOMP_PK信号が高状態にない場合、プロセス900はブロック904に進む。
【0263】
ブロック904において、STATE_SM信号によって示される状態が、STATE_PEAK信号によって示される状態よりも大きいか否か判定を行う。この条件が真である場合、プロセス900はブロック906に進む。
【0264】
ブロック906において、STATE_PEAK信号を、STATE_SM信号に等しくセットし、プロセスはブロック902に戻る。つまり、ブロック906において、STATE_PEAK信号の遷移を生成する。
【0265】
ブロック904において、条件が偽である場合、プロセス900はブロック902に戻る。
【0266】
ブロック902において、条件が真である場合、本プロセスはブロック908に進む。
【0267】
ブロック908において、STATE_SM信号によって示される状態が、STATE_PEAK信号によって示される状態よりも少ないか否か判定を行う。この条件が真である場合、プロセス900はブロック906に進む。この条件が偽である場合、プロセス900はブロック902に戻る。
【0268】
尚、STATE_PEAK信号において低減されたチャターを、STATE_SM信号におけるチャターと比較することによって、状態の境界(例えば、
図2の180bを参照)、即ち、他の方法で可能になるものよりも間隔が狭い状態を用いることが可能になることは、理解されてしかるべきである。端的に
図2を参照すると、STATE_SM信号174aにおけるチャターは、特に適用された閾値THRESH_A168aおよびTHRESH_B168bの間隔が狭いときに、COMP_A信号172aおよびCOMP_B信号170aに遷移として現れるIDDIFF信号154aにおけるノイズの影響を受ける。
図17のプロセスは、
図2の2つの比較器170、172へのヒステリシスの適用と同様の機能を設けることにより、2つの閾値THRESH_A168aおよびTHRESH_B168bの間隔を一層狭めることを可能にする。
【0269】
間隔を一層狭められた状態を設けることによって、
図1のPOSCOMP_PK信号112a、128aのエッジを一層精度高く(時間について)位置決め(placement)することが可能になる(例えば、
図7および
図7Aを参照のこと)。POSCOMP信号のエッジ(遷移)は、
図1の物体100の絶対回転角度に直接関係があるので、
図17のプロセス900は、STATE_PEAK信号を得ることによって、物体100の絶対回転角度の一層正確な知識を与える。
【0270】
これより
図18を参照すると、グラフ920は、任意の単位の振幅を目盛りとする縦軸と、任意の単位の時間を目盛りとする横軸とを有する。信号922は、
図1のDIFF信号108a、124aの1つ、またはアナログ形態の
図1のDDIFF信号110a、126aの1つ、またはアナログ形態の
図2のIDDIFF信号154aを表す。
【0271】
第1時点928は、サイクル924の第1所定数、例えば、
図1の動きセンサ102に電力を投入した後の3サイクルを表す。
図1の振動プロセッサ116によって振動が検出されない場合、実施形態の中には、
図1の出力プロトコル・プロセッサ118が時点928(時点928は有効な時点とすることができる)においてアクティブな出力信号118aを生成することができる場合もある。しかしながら、振動プロセッサ116によって振動が検出された場合、他の所定数のサイクル926を第1所定サイクル数924に加算して、時点930(新たな有効時点)までアクティブな出力信号118aを遅らせることができる。振動がもはや検出されなくなり、アクティブな出力信号118aをしかるべく遅延させることができるような時点まで、第1所定サイクル数の倍数を第1所定サイクル数924に加算することができる。
【0272】
この構成では、アクティブな出力信号118aを、不必要に長い可能性がある量だけ遅延させることが理解されよう。
【0273】
尚、アクティブな出力信号118aはできるだけ素早く供給することが望ましいことは認められよう。
【0274】
これより
図18Aを参照すると、グラフ940は、振幅の任意の単位を目盛りとする縦軸と、任意の単位の時間を目盛りとする横軸とを有する。信号942は、
図1のDIFF信号108a、124aの1つ、またはアナログ形態の
図1のDDIFF信号110a、126aの1つ、またはアナログ形態の
図2のIDDIFF信号154aを表す。
【0275】
第1時点948は、所定数のサイクル、例えば、
図1の動きセンサ102に電力を投入した後の3サイクルを表す。時点0から時点948までに、
図1の振動プロセッサ116によって振動が検出されない場合、時点948は有効な時点となり、実施形態の中には、
図1の出力プロトコル・プロセッサ118が検証済みの出力信号を生成できる場合もある。この検証済みの出力信号はアクティブな出力信号118aであり、時点948においては、検証されていない出力信号が先行している。この検証されていない出力信号は、時点948以前におけるインアクティブな出力信号である可能性がある。
【0276】
しかしながら、振動プロセッサ116によって振動が検出された場合、時点948よりも後に有効な時点が現れることができる。振動検出は、DIFF信号の振幅変化942が生ずる時点952において行われることが示される。
【0277】
所定のサイクル数944を表す時点948よりも前に
図1の振動プロセッサ116によって振動が検出された場合、「
決定された」時間期間954を検出時点952に(from)加算し、出力信号118aの検証を時点950まで遅らせることができる。時点950の前には、検証されていない出力信号が先行している。言い換えると、新たな有効時点が時点950において現れる。
決定された時間期間954(またはサイクル数)は、検出される振動の個々の特性(例えば、振動の種類、振動の持続期間)にしたがって決定することができる。これについては、以下で
図19〜
図19Bを参照して説明する。
【0278】
実施形態の中には、
決定された時間期間954が、検出される振動の個々の特性にしたがって決定された、DIFF信号942(または、図示しない、POSCOMP信号)のあるサイクル数を含むことができる場合がある。他の実施形態では、
決定された時間期間954は、DIFF信号のサイクルとは無関係な、検出される振動の個々の特性と関係のある時間期間とすることができる場合もある。
【0279】
この構成は、
図18の構成よりも、所望通りの少ない時間量だけ、出力信号118aの検証を遅らせるということが理解されよう。言い換えると、有効な時点950は、
図18の有効な時点930の前に現れる。
【0280】
以上で説明した構成は、時点950(または948)の前では検証されない出力信号を「インアクティブ」と記述し、時点950(または948)以降の検証された出力信号を「アクティブ」と記述したが、
図1の出力プロトコル・プロセッサ118は、更に一般的に、時点950(または948)(ここでは「有効時点」と呼ぶ)の前には第1特性を有する出力信号118aを供給することができ、時点950(または948)の後には第2の異なる特性を有する出力信号118aを供給することができることは理解されよう。
【0281】
代替実施形態の中には、有効時点950の前における第1特性(即ち、検証されていない信号)が、方向情報を含まないことができ(しかし、実施形態の中には、動き速度情報を含むことができる場合もある)、時点950後における第2の異なる特性(即ち、検証された信号)が、検証された方向情報と動き速度情報とを含むことができる場合もある。他の代替実施形態の中には、有効時点950の前における第1特性(即ち、検証されていない信号)が、推定の(検証されていない)方向情報および動き速度情報を含むことができ、時点950の後における第2の異なる特性(即ち、検証された信号)が、検証されている方向情報および動き速度情報を含むことができる場合もある。
【0282】
図1と関連付けて先に説明したように、プロトコルが異なる出力信号例が、2008年7月31日に出願された米国特許出願第12,183,367号、2004年11月9日に発行された米国特許第6,815,944号、および2006年4月11日に発行された米国特許第7,026,808号に記載されている。
【0283】
これより
図19〜
図19Bを参照すると、これらは併せてプロセス1000を記述する。プロセス1000は、並列に実行する複数のプロセスを含む。第1プロセスは、ブロック1002〜1010を含む。第2プロセスは、ブロック1012〜1052(
図19〜
図19B)を含む。プロセス1000は、
図18Aの時点950を識別するために用いることができる(既定時間946、または所定サイクル数944に加算される、既定サイクル数946を含む)。この時点で、
図1の出力信号118aがアクティブになり、言い方を変えると、
図1の物体100の動きの方向を示すようになる。
【0284】
ブロック1002において、プロセス1000はいずれかのチャネル、右または左においてPOSCOMP信号のエッジを待つ。一旦POSCOMP信号においてエッジが検出されたなら、本プロセスはブロック1004に進み、ここでカウント(CNT)(POSCOMPエッジのカウント)を1増加させる。
【0285】
ブロック1006において、カウント(CNT)が4以上であるか否か判定を行う。このカウントが4以下である場合、プロセス1000はブロック1008に進み、ここでVALID信号を0にセットし、
図1の出力信号118aが未だ有効でないことを示す。この場合、実施形態の中には、アクティブな出力信号118a(
図1)が抑制されている場合もある。本プロセスはブロック1002に戻る。
【0286】
ブロック1006において、カウント(CNT)が4以上である場合、VALID信号を1にセットし、
図1の出力信号118aが有効であることを示す。この場合、アクティブな出力信号118aを生成することができる。ブロック1010のVALID=1は、
図18Aの有効時点950が現れたことを表す。
【0287】
ブロック1012〜1052の並列プロセスによってカウント(CNT)を4のカウントまで増大させること、または増大させないことができる。
【0288】
ブロック1012、1014、1016、1018、および1020において、電力オン信号、R_INFLECTION FLAG信号(
図3および
図10)、L_INFLECTION_FLAG信号(
図3および
図10)、DIR_CHANGE_FLAG信号(
図3および
図11)、またはTOO_CLOSE_FLAG信号(
図3および
図14)がそれぞれ異常状態を示すか否か判定を行う。列挙した信号のいずれかが異常状態を示す場合、本プロセスはブロック1022に進み、ここでカウント(CNT)を0にセットし、プロセス1000はブロック1002に戻る。
【0289】
列挙した信号のいずれもが異常状態を示さない場合、本プロセスは
図19Aのブロック1024、1026、1028、および1030に進み、ここでDIR_CHANGE_PK_FLAG信号(
図3および
図12)、DIR_CHANGE_RM_FLAG信号(
図3および
図13)、R_PEAK_IN_FLAG信号(
図3および
図15)、またはL_PEAK_IN_FLAG信号(
図3および
図15)が、それぞれ、異常状態を示すか否か判定を行う。列挙した信号のいずれかが異常状態を示す場合、本プロセスはブロック1034に進み、ここでカウント(CNT)が1よりも大きいか否か判定を行う。カウントが1よりも大きい場合、本プロセスはブロック1032に進み、ここでカウント(CNT)を1にセットし、本プロセスは
図19Bのブロック1036、1038、1040、1042、1044、1046、1048に進む。
【0290】
列挙した信号のいずれもが異常状態を示さない場合も、本プロセスは
図19Bのブロック1036、1038、1040、1042、1044、1046、1048に進む。
【0291】
ブロック1036、1038、1040、1042、1044、1046、1048において、AMP_DIFF_FLAG信号(
図3および
図5)、R_PEAK_CLAMP_FLAG信号(
図3および
図15)、L_PEAK_CLAMP_FLAG信号(
図3および
図15)、R_POSCOMP_OK_FLAG信号(
図3および
図16)、L_POSCOMP_OK_FLAG信号(
図3および
図16)、R_POSCOMP_PK_OK_FLAG信号(
図3および
図16A)、またはL_POSCOMP_PK_OK_FLAG信号(
図3および
図16A)が、それぞれ、異常状態を示すか否か判定を行う。列挙した信号のいずれかが異常状態を示す場合、本プロセスはブロック1050に進み、ここでカウント(CNT)が2よりも大きいか否か判定を行う。
【0292】
ブロック1050において、カウント(CNT)が2よりも大きい場合、本プロセスはブロック1052に進み、ここでカウント(CNT)を2にセットし、本プロセスは
図19のブロック1002に戻る。ブロック1052において、カウント(CNT)が2以下である場合も、本プロセスはブロック1002に戻る。
【0293】
列挙した信号のいずれもが異常状態を示さない場合も本プロセスはブロック1002に進む。
【0294】
尚、特定の振動サブプロセッサについて
図3で説明したが、その出力が
図19〜
図19Bのプロセスにおいて用いられることは認められよう。他の振動サブプロセッサおよび関連のあるプロセスも用いることができる。振動サブプロセッサの出力は、
図19〜
図19Bのロジックとは異なるロジックを用いても、
図18Bの既定時間946を識別することができる。
【0295】
以上で説明したプロセスにおいて、種々の遅延時間、種々のカウント値、種々の振幅枠、および種々のその他の数値パラメータについて説明した。以上のプロセスは、本発明から逸脱することなく、これら説明した特定の数値パラメータから逸脱することができることは認められよう。
【0296】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したので、今では当業者には、これらの概念を組み込んだ他の実施形態も用いることができることは明らかであろう。加えて、本発明の一部として含まれているソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能記憶媒体を含むコンピュータ・プログラム生産物において具体化することができる。例えば、このようなコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、ハード・ドライブ・デバイス、CD−ROM、DVD−ROM、またはコンピュータ・ディスケットのような、コンピュータ読み取り可能プログラム・コード・セグメントが格納されている読み取り可能メモリ・デバイスを含むことができる。コンピュータ読み取り可能送信媒体は、光、有線、またはワイヤレスのいずれかで、プログラム・コード・セグメントがディジタル信号またはアナログ信号として搬送される通信リンクを含むことができる。したがって、本発明は、記載した実施形態に限定されるのではなく、添付した請求項の主旨および範囲によってのみ限定されてしかるべきであることを申し述べる。
【0297】
本明細書において引用した全ての特許、特許出願、刊行物、および引例は、引用したことによって、その全体が明示的に本願にも含まれるものとする。