特許第5894595号(P5894595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894595
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】編組線の端末処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6592 20110101AFI20160317BHJP
   H01R 43/01 20060101ALI20160317BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   H01R13/6592
   H01R43/01 Z
   H01R43/048 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-522973(P2013-522973)
(86)(22)【出願日】2012年6月29日
(86)【国際出願番号】JP2012066699
(87)【国際公開番号】WO2013002370
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2013年9月5日
【審判番号】不服2015-3081(P2015-3081/J1)
【審判請求日】2015年2月18日
(31)【優先権主張番号】特願2011-145792(P2011-145792)
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 幸毅
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴充
(72)【発明者】
【氏名】石川 茂
【合議体】
【審判長】 森川 元嗣
【審判官】 冨岡 和人
【審判官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−87902(JP,A)
【文献】 特開2011−30323(JP,A)
【文献】 特開2010−160957(JP,A)
【文献】 特開2002−218621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/648
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編組線の端末を内側環状体と外側環状体との間に挟み込む第1の工程と、
前記外側環状体を内側に向かって加締める第2の工程と、
前記編組線に電線を挿入する第3の工程と、を備えた編組線の端末処理方法であって、
前記内側環状体は、無端の環状形状を有すると共に、前記内側環状体の軸方向に沿った少なくとも一つの第1の溝を前記第の工程よりも前に予め有し、
前記第2の工程は、前記外側環状体を、前記内側環状体の前記第1の溝に沿って凹ませることを含んでおり、
前記内側環状体と前記電線とが非密着状態であることを特徴とする編組線の端末処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の編組線の端末処理方法であって、
前記内側環状体は、前記内側環状体の周方向に沿った第2の溝を有し、
前記第2の工程は、前記外側環状体を、前記内側環状体の前記第2の溝に沿って凹ませることを含むことを特徴とする編組線の端末処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の編組線の端末処理方法であって、
前記内側環状体は、複数の前記第1の溝の間に配置された突出部を有し、
前記突出部は、相互に隣り合う前記第1の溝の間に延在する平面に設けられ、前記平面に対して相対的に外側に向かって突出しており、
前記第2の工程は、前記突出部を前記編組線と接触させることを含むことを特徴とする編組線の端末処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編組線の端末を内側環状体と外側環状体との間に挟み込んで、外側環状体を内側に向かって加締める編組線の端末処理方法に関するものである。
文献の参照による組み込みが認められる指定国については、2011年6月30日に日本国に出願された特願2011−145792号に記載された内容を参照により本明細書に組み込み、本明細書の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
シールドシェルの端部を編組チューブで覆い、当該編組チューブにおけるシールドシェルとの重複部分の外周を、リング部材で加締める技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−103177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術において、シールドシェル、編組チューブ、及びリング部材はいずれも単なる筒形状であるため、リング部材を加締めると当該リング部材に余長が発生する。この余長によってリング部材の外周が部分的に突出してしまうので、編組線の端末構造の小型化を十分に図ることができないという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、編組線の端末構造の小型化を図ることが可能な編組線の端末処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明に係る編組線の端末処理方法は、編組線の端末を内側環状体と外側環状体との間に挟み込む第1の工程と、前記外側環状体を内側に向かって加締める第2の工程と、前記編組線に電線を挿入する第3の工程と、を備えた編組線の端末処理方法であって、前記内側環状体は、無端の環状形状を有すると共に、前記内側環状体の軸方向に沿った少なくとも一つの第1の溝を前記第の工程よりも前に予め有し、前記第2の工程は、前記外側環状体を、前記内側環状体の前記第1の溝に沿って凹ませることを含んでおり、前記内側環状体と前記電線とが非密着状態であることを特徴とする。
【0010】
]上記発明において、前記内側環状体は、前記内側環状体の周方向に沿った第2の溝を有し、前記第2の工程は、前記外側環状体を、前記内側環状体の前記第2の溝に沿って凹ませることを含んでもよい。
【0011】
]上記発明において、前記内側環状体は、複数の前記第1の溝の間に配置された突出部を有し、前記突出部は、相互に隣り合う前記第1の溝の間に延在する平面に設けられ、前記平面に対して相対的に外側に向かって突出しており、前記第2の工程は、前記突出部を前記編組線と接触させることを含んでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外側環状体が内側環状体の第1の溝に沿って凹んでいるので、編組線の端末構造の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は、本発明の実施形態におけるコネクタの正面図であり、図1(b)は、本発明の実施形態におけるコネクタの平面図であり、図1(c)は、本発明の実施形態におけるコネクタの側面図である。
図2図2は、本発明の実施形態におけるコネクタの分解斜視図である。
図3図3は、図1(c)のIII部の拡大断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態におけるインナフェルールを示す斜視図である。
図5図5(a)は、本発明の実施形態におけるインナフェルールの正面図であり、図5(b)は、本発明の実施形態におけるインナフェルールの平面図であり、図5(c)は、本発明の実施形態におけるインナフェルールの側面図である。
図6図6(a)〜図6(g)は、本発明の実施形態におけるコネクタの組立手順を示す図である。
図7図7(a)は、本発明の実施形態における加締め前の編組線の端末構造を示す断面図であり、図7(b)は、本発明の実施形態における加締め後の編組線の端末構造を示す断面図である。
図8図8(a)は、本発明の他の実施形態における編組線の端末構造を示す平面図であり、図8(b)は図8(a)のVIIIB-VIIIB線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1(a)〜図1(c)は本実施形態におけるコネクタを示す図、図2は本実施形態におけるコネクタの分解斜視図、図3図1(c)のIII部の拡大断面図、図4及び図5(a)〜図5(c)は本実施形態におけるインナフェルールを示す図である。
【0016】
本実施形態におけるコネクタ10は、例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等の走行駆動源に電動モータを含む車輌において、電動モータとインバータとの間で大容量の電力を伝達する電力ケーブルのコネクタである。
【0017】
具体的には、このコネクタ10は、インバータに電気的に接続された交流用電力ケーブル40の端部に取り付けられたメスコネクタである。なお、本実施形態における交流用電力ケーブル40は、三相交流電力(U,V,W相)用の3本の電線41と、当該3本の電線41を囲繞する編組線42と、から構成されている。
【0018】
なお、上述のコネクタ10を、メスコネクタに代えてオスコネクタとして構成してもよいし、インバータとバッテリの間を接続する電力ケーブルのコネクタとして用いてもよい。
【0019】
以下において、コネクタが嵌合する方向を「嵌合方向」と称し、コネクタを取り外す方向を「解除方向」と称する。
【0020】
このコネクタ10は、図1(a)〜図1(c)及び図2に示すように、3つの端子20と、ハウジング30と、を備えている。
【0021】
端子20は、例えば銅又は銅合金から構成されたメス端子であり、図2に示すように、その先端側に略箱形状の受容部21を有すると共に、その後端にバレル部22を有している。
【0022】
図3に示すように、端子20の受容部21内には、弓状に屈曲した板バネ211が設けられている。この受容部21には、相手方のオスコネクタのオス端子51が挿入可能となっており、受容部21内に挿入されたオス端子51は、板バネ211によって箱状の受容部21の内壁面に押し付けられる。このため、オス端子51は、板バネ211によって押し付けられながら受容部21内に挿入される。この押付によってオス端子51と受容部21とが相互にワイピングされて、メス端子20とオス端子51とが電気的に接続される。
【0023】
図2に示すように、メス端子20のバレル部22には、電力ケーブル40の電線41の中心導体が圧着されている。なお、この電線41は、中心導体の外周を被覆する絶縁層411を有しているが、バレル部32と圧着される端部では、この絶縁層411が剥がされて中心導体が露出している。
【0024】
この電線41は、環状のワイヤシール23にそれぞれ挿入されている。また、電線41においてワイヤシール23の近傍にはストレインリリーフ24が取り付けられており、ワイヤシール23の抜け止めが図られている。なお、ワイヤシール23は、例えば、シリコーンゴムから構成されている。また、ストレインリリーフ24は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)から構成されている。
【0025】
ハウジング30は、図1(a)〜図1(c)及び図2に示すように、収容部31と、筒部32と、外壁部33と、凸部34と、を有しており、例えば、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料によって一体的に形成されている。
【0026】
収容部31には、端子20をそれぞれ収容する3つの収容穴311が実質的に平行に形成されている。それぞれの収容穴311は解除方向側で開口しており、当該開口を介して端子20が収容穴311内に受容部21側から挿入されている。この収容穴311には、端子20と共にワイヤシール23が圧入されており、このワイヤシール23が端子20とハウジング30との間をシールしている。
【0027】
図3に示すように、収容穴311の底部には露出孔312が形成されており、収容穴311内に収容されている端子20に対して、この露出孔312を介してオス端子51が接近可能となっている。
【0028】
この収容部31は、筒部32内に突出しており、収容部31と筒部32との間に嵌合溝321が形成されている。この嵌合溝321にオスコネクタのハウジング(不図示)が入り込むと共に、収容部31がオスコネクタのハウジング内に入り込むことで、メスコネクタ10がオスコネクタと嵌合する。
【0029】
また、その嵌合溝321内において、収容部31の外周には環状のハウジングシール313が装着されている。このハウジングシール313は、例えばシリコーンゴムから構成されており、嵌合時に収容部31とオスコネクタのハウジングとの間をシールする。
【0030】
筒部32は、図1(a)に示すように、扁平な略円筒体であり、この筒部32の長軸方向の両端には、嵌合方向に沿ったガイド溝322,323が形成されている。オスコネクタのガイドリブ(不図示)がこのガイド溝322,323に挿入されることで、メスコネクタ10がオスコネクタに対して正確に位置決めされる。
【0031】
外壁部33は、図2に示すように、解除方向側で収容部31の周囲を取り囲んでいる。この外壁部33と収容部31との間に形成された挿入空間331には、扁平な略円筒状のシールドプレート332が挿入されている。このシールドプレート332は、例えば、銅又は銅合金から構成されており、ハウジング30内で端子20を電磁的にシールドする。
【0032】
さらに、この挿入空間331には、2つのフェルール25,26が圧着された編組線42の端末が挿入されており、シールドプレート332と編組線42とは、フェルール25を介して電気的に接続されている。そして、挿入空間331に編組線42、フェルール25,26、及びシールドプレート332を挿入した状態で、外壁部33には、上カバー381と下カバー382とから構成されるリアカバー38が被せられている。
【0033】
図2に示すように、アウタフェルール25もインナフェルール26もいずれも扁平な円筒形状を有している。アウタフェルール25は、編組線42の端末を挿入可能な大きさの内孔251を有している。それに対し、インナフェルール26は、編組線42の内孔421(図7(a)参照)に挿入可能な外径を有している。
【0034】
また、本実施形態では、図4及び図5(a)〜図5(c)に示すように、インナフェルール26の幅広な上面262に、インナフェルール26の軸方向に沿った2つの凹状の第1の溝264が形成されている。同様に、インナフェルール26の幅広な下面263にも、インナフェルール26の軸方向に沿った2つの凹状の第1の溝264が形成されている。
【0035】
なお、第1の溝264の数や形成位置は特に限定されない。例えば、インナフェルール26に第1の溝264を1〜3つ形成してもよいし、第1の溝264を5つ以上形成してもよい。
【0036】
因みに、アウタフェルール25は、フェルール25,26の間に編組線42の端末を挟んだ状態で加締められているが、加締める前のアウタフェルール25には、こうした溝264が形成されていない(図7(a)参照)。一方、加締めた後のアウタフェルール25は、インナフェルール26の第1の溝264に倣うように凹んでいる(図7(b)参照)。
【0037】
また、本実施形態におけるインナフェルール26の外周面261には、当該インナフェルール26の周方向に沿った凹状の第2の溝265が全周に亘って形成されている。一方、アウタフェルール25は、加締めに伴って、インタフェルール26の第2の溝265に倣うように凹んでいる。
【0038】
なお、インナフェルール26に複数の第2の溝265を形成してもよく、第2の溝265の数は特に限定されない。
【0039】
さらに、インナフェルール26の上面262及び下面263には、凸状の突出部266がそれぞれ形成されている。いずれの突出部266も、2つの第1の溝264の間であり且つ第2の溝265内に配置されている。図5(c)に示すように、これらの突出部266の上面は、インナフェルール26の外周面261において、第1の溝264や第2の溝265が形成されていない部分と同一の高さとなっている。
【0040】
図1(a)〜図1(c)及び図2に戻り、ハウジング30の凸部34は、筒部32から径方向に突出しており、当該凸部34を嵌合方向に貫通する貫通孔341が形成されている。この貫通孔341には、例えば鋼製のカラー35が挿入されており、さらにこのカラー35にはボルト36が挿入されている。当該ボルト36は、凸部34の嵌合方向側の面で、Eリング37によって抜け止めされて、ハウジング30に回転可能に保持されている。このボルト36を、オスコネクタの雌ネジ部(不図示)にねじ込むことで、メスコネクタ10がオスコネクタと嵌合する。
【0041】
以下に、図6(a)〜図6(g)並びに図7(a)及び図7(b)を参照しながら、コネクタ10の組立手順について説明する。
【0042】
図6(a)〜図6(g)は本実施形態におけるコネクタの組立手順を示す図、図7(a)及び図7(b)は本実施形態における加締め前後の編組線の端末構造を示す断面図である。
【0043】
先ず、図6(a)に示すように、電線41をワイヤシール23に挿入すると共に、当該電線41にストレインリリーフ24を装着する。次いで、電線41の端部において絶縁層411から露出した中心導体を端子20のバレル部22内に位置させて、当該バレル部22を加締めて、中心導体とバレル部22を圧着する。
【0044】
一方、図6(b)に示すように、編組線42の端末をアウタフェルール25とインナフェルール26との間に挟み込んだ状態で、アウタフェルール25を加締めて、インナフェルール26、編組線42、及びアウタフェルール25を圧着する。
【0045】
具体的には、先ず、図7(a)に示すように、アウタフェルール25の内孔251内に編組線42の端末を挿入すると共に、その編組線42の内孔421内にインナフェルール26を挿入して、編組線42の端末をアウタフェルール25とインナフェルール26との間に挟み込む。
【0046】
次いで、インナフェルール26内に中子63を挿入した状態で、上下の金型61,62を相互に接近させてアウタフェルール25を押圧することで、アウタフェルール25を内側に向かって加締めて、編組線42と2つのフェルール25,26とを圧着する。
【0047】
この金型61,62の押圧によって、図7(b)に示すように、アウタフェルール25が、インナフェルール26の第1の溝264に倣うように凹む(図7(b)における符号252)。
【0048】
この際、第1の溝264は、インナフェルール26の軸方向に沿って形成されているので、加締めに伴うアウタフェルール25の余長がこの凹み252によって吸収される。このため、アウタフェルール25の外周には突出する部分が形成されないので、編組線の端末構造の小型化を図ることができる。
【0049】
また、アウタフェルール25の外周に突出する部分が形成されると、作業中に当該突出部分に引っ掛かる等して編組線を破損してシールド性能が低下してしまうおそれがある。
【0050】
これに対し、本実施形態では、アウタフェルール25の外周に突出部分が形成されないので、引っ掛かり等によって編組線を破損することがない。
【0051】
また、本実施形態では、金型61,62の押圧によって、アウタフェルール25が、図6(b)に示すように、インナフェルール26の第2の溝265に倣うように凹む。
【0052】
この際、第2の溝265は、インナフェルール26の周方向に沿って形成されているので、インナフェルール26、編組線42、及びアウタフェルール25の圧着部の引張強度が向上する。
【0053】
また、アウタフェルール25を第1の溝264に沿って変形させると、アウタフェルール25において第1の溝264間に対向する部分が太鼓状に膨らんでしまい、この部分でインナフェルール26、編組線42、及びアウタフェルール25が非接触となってしまう場合がある。
【0054】
これに対し、本実施形態では、アウタフェルール25が太鼓状に膨らんでも、突出部266によって、インナフェルール26、編組線42、及びアウタフェルール25が接触し、インナフェルール26、編組線42、及びアウタフェルール25の間の接触抵抗が低下するので、シールド性能を向上させることができる。
【0055】
また、この突出部266によって、インナフェルール26、編組線42、及びアウタフェルール25の接触面積が増加するので、インナフェルール26、編組線42、及びアウタフェルール25の圧着部の引張強度も向上する。
【0056】
次いで、図6(c)に示すように、編組線42内に、端子20が取り付けられた電線41を挿入する。
【0057】
一方、図6(d)に示すように、ハウジング30の嵌合溝321にハウジングシール313を挿入して、収容部31の周りにハウジングシール313を装着する。次いで、図6(e)に示すように、ハウジング30の挿入空間331内にシールドプレート332を挿入する。次いで、図6(f)に示すように、ハウジング30の凸部34の貫通孔341にカラー35及びボルト36を挿入し、さらにEリング37によってボルト36を固定する。
【0058】
次いで、図6(g)に示すように、ハウジング30の収容穴311内に端子20を挿入すると共に、ハウジング30の挿入空間331内にアウタフェルール25、編組線42、及びインナフェルール26を挿入する。
【0059】
次いで、特に図示しないが、ハウジング30の外壁部33と編組線42を覆うように、ハウジング30にリアカバー38を装着することで、コネクタ10が完成する。
【0060】
本実施形態におけるインナフェルール26が本発明における内側環状体の一例に相当し、本実施形態におけるアウタフェルール25が本発明における外側環状体の一例に相当する。
【0061】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0062】
図8(a)及び図8(b)は本発明の他の実施形態における編組線の端末構造を示す平面図及び断面図である。
【0063】
例えば、図8(a)及び図8(b)に示すように、インナフェルール26に代えて、電線41を電磁的にシールドする金属製のパイプ70を、編組線42の端末に挿入すると共に、編組線42におけるパイプ70との重複部分の外周にアウタフェルール25を位置させて、このアウタフェルール25を加締めることで、パイプ70、編組線42、及びアウタフェルール25を圧着させてもよい。
【0064】
この場合にも、軸方向に沿った凹状の溝71をパイプ70に形成することで、加締めに伴うアウタフェルール25の余長が凹みによって吸収されるので、編組線の端末構造の小型化を図ると共に編組線の破損を防止することができる。
【0065】
また、特に図示しないが、パイプ70に周方向に沿った凹状の溝をさらに形成することで、圧着部の引張強度を向上させることができる。
【0066】
この場合には、パイプ70が本発明における内側環状体の一例に相当し、アウタフェルール25が本発明における外側環状体の一例に相当する。
【符号の説明】
【0067】
10…コネクタ
20…端子
25…アウタフェルール
251…内孔
252…凹み
26…インナフェルール
261…外周面
262…上面
263…下面
264…第1の溝
265…第2の溝
266…突出部
30…ハウジング
31…収容部
32…筒部
33…外壁部
331…挿入空間
332…シールドプレート
34…凸部
40…電力ケーブル
41…電線
42…編組線
421…内孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8