特許第5894770号(P5894770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894770
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/02 20060101AFI20160317BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20160317BHJP
   B60K 17/28 20060101ALI20160317BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20160317BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20160317BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20160317BHJP
   B60K 6/38 20071001ALI20160317BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20160317BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20160317BHJP
   B60K 25/06 20060101ALI20160317BHJP
   E01H 5/04 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   B60K6/20 360
   B60K17/28 DZHV
   B60K6/547
   B60K6/48
   B60K6/20 350
   B60K6/38
   B60K6/20 320
   B60K6/20 310
   B60K25/06
   E01H5/04 C
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-245845(P2011-245845)
(22)【出願日】2011年11月9日
(65)【公開番号】特開2013-100060(P2013-100060A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2014年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】上原 秀章
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−126318(JP,A)
【文献】 特開2006−161965(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0241728(US,A1)
【文献】 特開2001−105910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 20/00
B60K 25/00 − 28/16
B60K 17/00 − 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、電動機又は発電機として作動するモータと、前記エンジン及び前記モータの駆動トルクを駆動輪に伝達するデュアルクラッチ式の変速機とを備えたハイブリッド自動車の制御装置であって、
前記変速機は、
前記エンジンと第1クラッチを介して接続された第1入力軸と、前記第1入力軸と平行に配置され歯車対を介して前記第1入力軸に接続される第1カウンタ軸と、前記第1カウンタ軸と平行に配置され歯車対を介して前記第1カウンタ軸に接続される出力軸とを備え、前記第1入力軸に入力された駆動トルクを前記出力軸に出力する第1歯車機構と、
前記エンジンと第2クラッチを介して接続されると共に前記モータと直接接続された第2入力軸と、前記第2入力軸と平行に配置され歯車対を介して前記第2入力軸に接続される第2カウンタ軸と、前記第2カウンタ軸と平行に配置され歯車対を介して前記第2カウンタ軸に接続される前記出力軸とを備え、前記第2入力軸に入力された駆動トルクを前記出力軸に出力する第2歯車機構と、を有し、
前記第1カウンタ軸と前記第2カウンタ軸とを係合した係合状態又は係合を解除した非係合状態に切り替え可能な第1係合機構と、
前記第1歯車機構及び前記第2歯車機構のいずれか一方に接続されるPTO装置と、
前記PTO装置に作動を要求するPTO作動要求手段と、
前記PTO作動要求手段による前記PTO装置への作動要求が検出されたとき、前記駆動輪への駆動トルクの出力を停止しつつ前記第1係合機構を前記係合状態に制御する制御手段と、を備えている
ことを特徴とする、ハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項2】
前記第1カウンタ軸と前記出力軸との係合を解除した非係合状態に切り替え可能な第2係合機構、及び、前記第2カウンタ軸と前記出力軸との係合を解除した非係合状態に切り替え可能な第3係合機構とを有し、
前記制御手段は、前記PTO作動要求手段による前記PTO装置への作動要求が検出されたとき、前記第2係合機構又は前記第3係合機構を非係合状態にして前記駆動輪への駆動トルクの出力を停止する
ことを特徴とする、請求項1記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記PTO作動要求手段による前記PTO装置への作動要求が検出されたとき、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチの一方を接続状態に、且つ、他方を遮断状態に制御する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項4】
前記モータへの電力供給源となるバッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量に基づき、複数のPTO駆動モードのうちいずれか一つのPTO駆動モードを選択するPTO駆動モード選択手段と、を備え、
前記PTO駆動モード選択手段は、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量が第1閾値以上の高レベル領域にあると、前記第2歯車機構に前記モータの駆動トルクを伝達して、前記モータの駆動トルクだけで前記PTO装置を駆動するモータ単独駆動モードを選択する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項5】
前記モータへの電力供給源となるバッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量に基づき、複数のPTO駆動モードのうちいずれか一つのPTO駆動モードを選択するPTO駆動モード選択手段と、を備え、
前記PTO駆動モード選択手段は、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量が第2閾値以上で第1閾値未満の中レベル領域にあると、前記第1歯車機構に前記エンジンの駆動トルクを伝達すると共に前記第2歯車機構に前記モータの駆動トルクを伝達して、前記エンジンと前記モータとの駆動トルクで前記PTO装置を駆動するエンジン/モータ駆動モードを選択する
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項6】
前記モータへの電力供給源となるバッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量に基づき、複数のPTO駆動モードのうちいずれか一つのPTO駆動モードを選択するPTO駆動モード選択手段と、を備え、
前記PTO駆動モード選択手段は、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量が第3閾値以上で第2閾値未満の低レベル領域にあると、前記第1歯車機構に前記エンジンの駆動トルクを伝達して、前記エンジンの駆動トルクだけで前記PTO装置を駆動するエンジン単独駆動モードを選択する
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項7】
前記モータへの電力供給源となるバッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量に基づき、複数のPTO駆動モードのうちいずれか一つのPTO駆動モードを選択するPTO駆動モード選択手段と、を備え、
前記PTO駆動モード選択手段は、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量が第3閾値未満の極低レベル領域にあると、前記第1歯車機構に前記エンジンの駆動トルクを伝達して前記PTO装置を駆動すると共に、前記モータを発電機として作動させ前記第2歯車機構を介して前記エンジンの駆動トルクで前記モータを発電機として作動させて発電した電力で前記バッテリを充電する発電駆動モードを選択する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項8】
前記PTO駆動モード選択手段により選択された前記PTO駆動モードが前記エンジンの出力トルクを使用しないモードの場合には、前記エンジンの出力トルクを0とし、前記PTO駆動モード選択手段により選択された前記PTO駆動モードが前記モータの出力トルクを使用しないモードの場合には、前記モータの出力トルクを0とするトルク制御手段をそなえている
ことを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルクラッチ式の自動変速機とパワーテイクオフ装置(PTO)とをそなえたハイブリッド自動車の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン(内燃機関)及びモータ(電動発電機)の駆動力を任意に駆動輪に伝達可能なパラレル型ハイブリッド自動車が実用化されている。この種のハイブリッド自動車では、エンジンの出力軸にクラッチを介して変速機の入力軸を接続し、変速機の入力軸の外周にモータを装備して、変速機の出力軸に差動装置を介して左右の駆動輪を接続してパワートレインを構成しているものがある。
【0003】
さらに、このようなハイブリッド自動車の変速機に、例えば特許文献1に記載されているような所謂デュアルクラッチ式変速機が適用される場合もある。特許文献1に記載のデュアルクラッチ式変速機は、第1入力軸と出力軸との間に複数の変速段を構成する第1歯車機構を設けると共に、第2入力軸と出力軸との間に複数の変速段を構成する第2歯車機構を設け、エンジンからの駆動力を、第1クラッチを介して第1入力軸に伝達可能とする一方、第2クラッチを介して第2入力軸にも伝達可能としている。この技術の場合、第1入力軸と第2入力軸とを内外2重に配設される構造としており、モータを装備可能な変速機の外側の入力軸(アウタシャフト)にモータを装備している。
【0004】
また、清掃車やコンクリートポンプ車両やタンクローリ車両などのように作業装置を搭載した車両においては、作業装置の作動のために変速機から動力を取り出して作業装置に伝達するようにしたPTO(Power take-off)装置を搭載することが知られている。エンジンの駆動力と電動機の駆動力とをそれぞれ車両の駆動輪に伝達可能とした、いわゆるパラレル型ハイブリッド自動車においても、このPTO装置を搭載する場合がある。
【0005】
例えば特許文献2には、エンジン及び電動機から変速機を介してそれぞれ車両の駆動輪に駆動力を伝達可能なハイブリッド自動車において、変速機から取り出した動力を作業装置に伝達可能なPTO装置を備えたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−126318号公報
【特許文献2】特開2007−261491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハイブリッド自動車にPTO装置を搭載するメリットは、エンジンに替えてモータを用いて静かで排気のない状態で動力を取り出すことや、或いは、モータのトルクでエンジンのトルクをアシストして騒音及び排気を低減すると共に燃費の低減を図って動力を取り出すことが行なえる点にある。
【0008】
ところで、例えば図7に示すように、上記のような所謂デュアルクラッチ式変速機が適用されたパラレル型ハイブリッド自動車に、PTO装置10を搭載することが考えられる。図7に示すように、変速機2は、エンジン1と第1クラッチ3Aを介して接続する第1歯車機構21Aと、エンジン1と第2クラッチ3Bを介して接続する第2歯車機構22Aと、をそなえて構成される。なお、変速機2の出力トルクは、プロペラシャフト5に伝達され、デファレンシャル6を介して駆動輪7に伝達される。
【0009】
そこで、こうした構造においても、エンジン1のトルクとモータ4のトルクとを選択的に用いてさまざまな態様でPTO装置10を作動させることができるようにしたい。
この際、クラッチ3A,3Bの断接や第1及び第2歯車機構21A,22A内の歯車機構の切り換えをよりシンプルな制御で実施して、さまざまな態様でのPTO装置10の作動を実現させたい。
【0010】
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたもので、デュアルクラッチ式変速機とPTO装置とを装備したハイブリッド自動車において、シンプルな制御で、エンジンのトルクとモータのトルクとを選択的に用いてさまざまな態様でPTO装置を作動させることができるようにした、ハイブリッド自動車の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド自動車の制御装置は、エンジンと、電動機又は発電機として作動するモータと、前記エンジン及び前記モータの駆動トルクを駆動輪に伝達するデュアルクラッチ式の変速機とを備えたハイブリッド自動車の制御装置であって、前記変速機は、前記エンジンと第1クラッチを介して接続された第1入力軸と、前記第1入力軸と平行に配置され歯車対を介して前記第1入力軸に接続される第1カウンタ軸と、前記第1カウンタ軸と平行に配置され歯車対を介して前記第1カウンタ軸に接続される出力軸とを備え、前記第1入力軸に入力された駆動トルクを前記出力軸に出力する第1歯車機構と、前記エンジンと第2クラッチを介して接続されると共に前記モータと直接接続された第2入力軸と、前記第2入力軸と平行に配置され歯車対を介して前記第2入力軸に接続される第2カウンタ軸と、前記第2カウンタ軸と平行に配置され歯車対を介して前記第2カウンタ軸に接続される前記出力軸とを備え、前記第2入力軸に入力された駆動トルクを前記出力軸に出力する第2歯車機構と、を有し、前記第1カウンタ軸と前記第2カウンタ軸とを係合した係合状態又は係合を解除した非係合状態に切り替え可能な第1係合機構と、前記第1歯車機構及び前記第2歯車機構のいずれか一方に接続されるPTO装置と、前記PTO装置に作動を要求するPTO作動要求手段と、前記PTO作動要求手段による前記PTO装置への作動要求が検出されたとき、前記駆動輪への駆動トルクの出力を停止しつつ前記第1係合機構を前記係合状態に制御する制御手段と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
なお、前記第1カウンタ軸と前記出力軸との係合を解除した非係合状態に切り替え可能な第2係合機構、及び、前記第2カウンタ軸と前記出力軸との係合を解除した非係合状態に切り替え可能な第3係合機構とを有し、前記制御手段は、前記PTO作動要求手段による前記PTO装置への作動要求が検出されたとき、前記第2係合機構又は前記第3係合機構を非係合状態にして前記駆動輪への駆動トルクの出力を停止することが好ましい。
【0013】
前記制御手段は、前記PTO作動要求手段による前記PTO装置への作動要求が検出されたとき、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチの一方を接続状態に、且つ、他方を遮断状態に制御することが好ましい。
【0014】
また、前記モータへの電力供給源となるバッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量に基づき、複数のPTO駆動モードのうちいずれか一つのPTO駆動モードを選択するPTO駆動モード選択手段と、を備えることが好ましい。
【0015】
この場合、前記PTO駆動モード選択手段は、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量が第1閾値以上の高レベル領域にあると、前記第2歯車機構に前記モータの駆動トルクを伝達して、前記モータの駆動トルクだけで前記PTO装置を駆動するモータ単独駆動モードを選択することが好ましい。
【0016】
前記PTO駆動モード選択手段は、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量が第2閾値以上で第1閾値未満の中レベル領域にあると、前記第1歯車機構に前記エンジンの駆動トルクを伝達すると共に前記第2歯車機構に前記モータの駆動トルクを伝達して、前記エンジンと前記モータとの駆動トルクで前記PTO装置を駆動するエンジン/モータ駆動モードを選択することも好ましい。
【0017】
前記PTO駆動モード選択手段は、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量が第3閾値以上で第2閾値未満の低レベル領域にあると、前記第1歯車機構に前記エンジンの駆動トルクを伝達して、前記エンジンの駆動トルクだけで前記PTO装置を駆動するエンジン単独駆動モードを選択することも好ましい。
【0018】
前記PTO駆動モード選択手段は、前記充電量検出手段により検出された前記バッテリ充電量が第3閾値未満の極低レベル領域にあると、前記第1歯車機構に前記エンジンの駆動トルクを伝達して前記PTO装置を駆動すると共に、前記モータを発電機として作動させ前記第2歯車機構を介して前記エンジンの駆動トルクで前記モータを発電機として作動させて発電した電力で前記バッテリを充電する発電駆動モードを選択することも好ましい。
【0019】
前記PTO駆動モード選択手段により選択された前記PTO駆動モードが前記エンジンの出力トルクを使用しないモードの場合には、前記エンジンの出力トルクを0とし、前記PTO駆動モード選択手段により選択された前記PTO駆動モードが前記モータの出力トルクを使用しないモードの場合には、前記モータの出力トルクを0とするトルク制御手段をそなえていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のハイブリッド自動車の制御装置によれば、PTO作動要求手段によるPTO装置への作動要求が検出されたとき、第1係合機構を係合状態に制御するので、第1係合機構により第1カウンタ軸と第2カウンタ軸とが係合し、これにより、第1歯車機構と第2歯車機構との間でのトルク伝達が可能になり、第2歯車機構の入力軸(第2入力軸)に接続されたモータと第1歯車機構との間でのトルク伝達も可能になる。したがって、常にモータの駆動トルクを利用してPTO装置を作動させることが可能になり、第1クラッチと第2クラッチとの何れかを適宜接続して、エンジンとモータとの何れかあるいは両方を使用して、シンプルな制御でPTO装置を作動させることが可能になる。
【0021】
PTO作動要求手段によるPTO装置への作動要求が検出されたとき、第1カウンタ軸と出力軸との間の第2係合機構又は第2カウンタ軸と出力軸との間の第3係合機構を非係合状態にして駆動輪への駆動トルクの出力を停止することにより、車両の停止に支障なくPTO装置を作動させることができる。
【0022】
PTO装置への作動要求が検出されたとき、第1クラッチ及び第2クラッチの一方を接続状態に他方を遮断状態に制御することにより、第1クラッチ及び第2クラッチを断接切替することなく、係合機構を有効に利用して様々な態様でPTO装置を作動させることができる。
【0023】
また、バッテリ充電量に基づき、例えば、モータ単独駆動モードと、エンジン/モータ駆動モードと、エンジン単独駆動モードと、発電駆動モードといった、複数のPTO駆動モードのうちいずれか一つのPTO駆動モードを選択することにより、バッテリの管理をしながらPTO装置を作動させることができる。
【0024】
例えば、バッテリ充電量が第1閾値以上の高レベル領域にあると、モータ単独駆動モードを選択し、エンジンを使用せずに、モータのトルクだけでPTO装置を作動させることにより、静かで排気のない状態でPTO装置を作動させることができる。
【0025】
また、バッテリ充電量が第2閾値以上第1閾値未満の中レベル領域にあると、エンジン/モータ駆動モードを選択し、モータとエンジンとの両トルクでPTO装置を作動させることにより、静かで排気を低減すると共に燃費の低減を図りながらPTO装置を作動させることができる。
【0026】
バッテリ充電量が第3閾値以上第2閾値未満の低レベル領域にあると、エンジン単独駆動モードを選択し、エンジンのトルクだけで前記PTO装置を作動させることにより、バッテリの保護を図りながらPTO装置を作動させることができる。
【0027】
そして、バッテリ充電量が第3閾値未満の極低レベル領域にあると、発電駆動モードを選択し、エンジンのトルクで、PTO装置を作動させると共にモータを発電機として作動させてバッテリを充電するので、バッテリ充電量が回復し、モータを使用可能の状態にすると共にバッテリの保護を図りながらPTO装置を作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態にかかるパラレル型ハイブリッド自動車の駆動系の変速機を示すスケルトン図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるパラレル型ハイブリッド自動車の駆動系及びその制御装置を示す概略構成図であり、モータ単独駆動モードを選択した場合を示している。
図3】本発明の一実施形態にかかるパラレル型ハイブリッド自動車の駆動系及びその制御装置を示す概略構成図であり、エンジン/モータ駆動モードを選択した場合を示している。
図4】本発明の一実施形態にかかるパラレル型ハイブリッド自動車の駆動系及びその制御装置を示す概略構成図であり、エンジン単独駆動モードを選択した場合を示している。
図5】本発明の一実施形態にかかるパラレル型ハイブリッド自動車の駆動系及びその制御装置を示す概略構成図であり、発電駆動モードを選択した場合を示している。
図6】本発明の一実施形態にかかるパラレル型ハイブリッド自動車その制御装置による制御を説明するフローチャートである。
図7】本発明の課題を説明するパラレル型ハイブリッド自動車の駆動系の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面により本発明の実施の形態を説明する。
図1図6は本発明の一実施形態にかかるパラレル型ハイブリッド自動車の駆動系及びその制御装置を示す図であり、これらの図に基づいて説明する。なお、ここでは、図中左側である変速機2の入力側を前方(符号F)として、図中右側である変速機2の出力側を後方(符号R)として説明する。
【0030】
本実施形態にかかるパラレル型ハイブリッド自動車の駆動系は、図2の概略構成図に示すように、変速機2は、エンジン1と第1クラッチ3Aを介して接続する第1歯車機構21Aと、エンジン1と第2クラッチ3Bを介して接続する第2歯車機構22Aと、をそなえて構成される。なお、変速機2の出力トルクは、プロペラシャフト5に伝達され、デファレンシャル6を介して駆動輪7に伝達される。
【0031】
このようなデュアルクラッチ式の変速機2に、PTO装置10を搭載する場合、モータ4は、第1歯車機構21Aの入力軸(第1入力軸)21と第2歯車機構22Aの入力軸(第2入力軸)22との何れかの外周に装備することになる。第1入力軸21と第2入力軸22とを同軸に配置する場合、例えば、第1入力軸21をインナ軸に第2入力軸22をアウタ軸に配置することができる。この場合、モータ4は、アウタ軸である第2入力軸22の外周に装備することになる。
【0032】
図1は、そのデュアルクラッチ式の変速機2の構成をより詳細に示すスケルトン図である。図1に示すように、変速機2には、走行用動力源であるエンジン1がクラッチユニット3を介して接続されている。クラッチユニット3は、内側にインナクラッチである第1クラッチ3Aが、その外側のアウタクラッチである第2クラッチ3Bが互いに同軸に配置されている。各クラッチ3A,3Bの入力側には、エンジン1の出力軸1aが接続され、第1クラッチ3Aの出力側には、インナ軸である変速機2の第1入力軸21が接続され、第2クラッチ3Bの出力側には、アウタ軸である変速機2の第2入力軸22が接続されている。第1入力軸21と第2入力軸22も同軸に配置されている。そして、アウタ軸である第2入力軸22の外周にモータ(電動発電機)4のロータ(回転子)4aが結合されている。なお、モータ4のステータ(固定子)4bは変速機2のケーシング側に固定されている。
【0033】
第1歯車機構21Aと第2歯車機構22Aとを構成するために、このような第1入力軸21及び第2入力軸22と平行に、第1カウンタ軸23及び第2カウンタ軸24が配設され、第1入力軸21と第1カウンタ軸23とが歯車対26i,26jで接続され、第2入力軸22と第2カウンタ軸24とが歯車対26a,26bで接続されている。歯車対26i,26jは6速段を達成するために使用される。
【0034】
特に、インナ軸である第1入力軸21は、アウタ軸である第2入力軸22よりも変速機2の後方に突出し露出しており、この露出部に歯車26jが固設されている。そして、アウタ軸である第2入力軸22の後方側に歯車26aが固設されている。また、第1カウンタ軸23はアウタ軸であり、第2カウンタ軸24はインナ軸であり、インナ軸である第2カウンタ軸24は、アウタ軸である第1カウンタ軸23よりも変速機2の前方及び後方に突出し露出しており、この前方露出部に歯車26bが固設されている。そして、アウタ軸である第1カウンタ軸23の前方側に歯車26iが固設されている。
【0035】
また、第1入力軸21及び第2入力軸22と同軸上に、出力軸25が配設され、第1カウンタ軸23と出力軸25との間、及び、第2カウンタ軸24と出力軸25との間に、それぞれ各変速段の歯車対が介装されている。
【0036】
第1カウンタ軸23と出力軸25との間には、3速段を達成するための歯車対26e,26fが介装される。また、4速段を達成するために、第1,2カウンタ軸23,24と同軸で第2カウンタ軸24と断接可能な歯車26gと出力軸25に固設された歯車26hとからなる歯車対26g,26hが設けられている。また、第2カウンタ軸24と出力軸25との間には,1速段,2速段を達成するための歯車対26c,26dが介装され、4速段を達成するための歯車対26g,26hが介装され、さらに、後退段(R)を達成するために、歯車26lを介して歯車対26k,26mが介装されている。
【0037】
さらに、第1入力軸21と出力軸25との間、及び、第1カウンタ軸23の歯車26fと出力軸25との間には、第2動力断接機構(第2係合機構)としてのシンクロナイザ(図中にはそのスリーブを示す、以下、単に、シンクロ2ともいう)27が介装されている。
【0038】
また、第1カウンタ軸23と第2カウンタ軸24との間、及び、第2カウンタ軸24と出力軸25の歯車26fとの間には、第1動力断接機構(第1係合機構)としてのシンクロナイザ(図中にはそのスリーブを示す、以下、単に、シンクロ1ともいう)28が介装されている。
これらの各軸及び歯車の組み合わせにより第1歯車機構21Aと第2歯車機構22Aとが構成される。
【0039】
そして、1速段,2速段にかかる歯車26dと出力軸25との間、及び、後退にかかる歯車26mと出力軸25との間には、第3動力断接機構(第3係合機構)としてのシンクロナイザ(図中にはそのスリーブを示す、以下、単に、シンクロ3ともいう)29が介装されている。
【0040】
そして、図1中に示すように、1速段(図1中、「1」で示す)達成するには、シンクロ2を中立に、シンクロ1を前方に(第1カウンタ軸23と第2カウンタ軸24との結合)、シンクロ3を後方に(歯車26dと出力軸25との結合)、それぞれ設定する。エンジン1の駆動トルクを使用する場合には、第1クラッチ3Aを接続状態にし、第2クラッチ3Bを遮断状態にする。
【0041】
2速段(図1中、「2」で示す)を達成するには、シンクロ2を中立に、シンクロ1を中立に、シンクロ3を後方に(歯車26dと出力軸25との結合)、それぞれ設定する。エンジン1の駆動トルクを使用する場合には、第1クラッチ3Aを遮断状態にし、第2クラッチ3Bを接続状態にする。
【0042】
3速段(図1中、「3」で示す)を達成するには、シンクロ2を後方に(歯車26fと出力軸25との結合)、シンクロ1を中立に、シンクロ3を中立に、それぞれ設定する。エンジン1の駆動トルクを使用する場合には、第1クラッチ3Aを接続状態にし、第2クラッチ3Bを遮断状態にする。
【0043】
4速段(図1中、「4」で示す)を達成するには、シンクロ2を中立に、シンクロ1を後方に(第2カウンタ軸24と歯車26gとの結合)、シンクロ3を中立に、それぞれ設定する。エンジン1の駆動トルクを使用する場合には、第1クラッチ3Aを遮断状態にし、第2クラッチ3Bを接続状態にする。
【0044】
5速段(図1中、「5」で示す)を達成するには、シンクロ2を前方に(第1入力軸21と出力軸25との結合、直結)、シンクロ1を中立に、シンクロ3を中立に、それぞれ設定する。エンジン1の駆動トルクを使用する場合には、第1クラッチ3Aを接続状態にし、第2クラッチ3Bを遮断状態にする。
【0045】
6速段(図1中、「6」で示す)を達成するには、シンクロ2を前方に(第1入力軸21と出力軸25との結合)、シンクロ1を前方に(第1カウンタ軸23と第2カウンタ軸24との結合)、シンクロ3を中立に、それぞれ設定する。エンジン1の駆動トルクを使用する場合には、第1クラッチ3Aを遮断状態にし、第2クラッチ3Bを接続状態にする。
【0046】
後退段(図1中、「R」で示す)を達成するには、シンクロ2を中立に、シンクロ1を中立に、シンクロ3を前方に(歯車26mと出力軸25との結合)、それぞれ設定する。エンジン1の駆動トルクを使用する場合には、第1クラッチ3Aを遮断状態にし、第2クラッチ3Bを接続状態にする。
【0047】
このような変速機2の後退段にかかる歯車26lには、歯車26nが噛合しており、歯車26nの回転軸に、PTO装置10が接続される。
図2に示すように、車両の全体を制御するために、車両ECU(車両用電子制御ユニット,制御手段)100が備えられている。この車両ECU100は、メモリ(ROM,RAM)及びCPU等で構成されるコンピュータである。車両ECU100は、PTO作動時に、エンジン1,クラッチユニット3,変速機2,モータ4をそれぞれ制御する。
【0048】
このために、PTOの作動を指令するPTOスイッチ(PTOSW)101からの信号と、モータ4と接続された図示しないバッテリの充電量(SOC)を検出するSOC検出部(充電量検出手段)102からの信号とが、車両ECU100に入力されるようになっている。
なお、エンジン1の制御は、エンジン制御用のエンジンECUを通じて、また、モータ4の制御は、モータ4のインバータ制御用のインバータECUを通じて、変速機2の制御は、変速機制御用の変速機ECUを通じて、それぞれ行なってもよい。
【0049】
また、SOC検出部102としては、バッテリを制御するためのバッテリECUを適用することができる。バッテリECUでは、バッテリの充放電時の電流や電圧を監視しており、これらの監視情報からSOCを算出することができる。
【0050】
車両ECU100は、PTOスイッチ101が入力されると、第1クラッチ3A及び第2クラッチ3Bのいずれか一方を接続状態に保持し、他方を遮断状態に保持して、さらに、変速機2から駆動輪7側へのトルクの出力を遮断して、PTO装置10を作動させる。本実施形態では、第2クラッチ3B及びシンクロナイザ(第2係合機構)27,シンクロナイザ(第3係合機構)29を遮断状態[中立(N)状態]とし、第1クラッチ3A及びシンクロナイザ(第1係合機構)28を接続状態[前方(F)状態]とする。そして、モータ4の駆動トルクのみをPTO装置10に使用するモータ単独駆動モードと、エンジン1及びモータ4の両方の駆動トルクをPTO装置10に使用するエンジン/モータ駆動モードと、エンジンの駆動トルクのみをPTO装置10に使用するエンジン単独駆動モードと、エンジンの駆動トルクを単独でPTO装置10に使用しながらモータ4を発電機として駆動をする発電駆動モードと、を選択的に実施する。
【0051】
モータ単独駆動モードでは、図2に示すように、モータ4だけに出力トルクを発生させ、エンジン1は出力トルク0の状態にする。
エンジン/モータ駆動モードでは、図3に示すように、エンジン1とモータ4との両方に出力トルクを発生させる。
エンジン単独駆動モードでは、図4に示すように、エンジン1だけに出力トルクを発生させ、モータ4は出力トルク0の状態にする。
発電駆動モードでは、図5に示すように、エンジン1のトルクを増大させて、エンジン1のトルクでPTO装置10を作動させると共にエンジン1のトルクでモータ4を発電機として作動させてバッテリを充電する。
【0052】
特に、車両ECU100は、SOC検出部102からのSOC情報に基づいて、これらの接続モードのいずれかを選択して、以下のような制御を実施する。
まず、SOCが第1閾値SOC1以上の高レベル領域にあると、モータ単独使用モードを選択し、モータ4のトルクだけでPTO装置を作動させる。
SOCが第1閾値SOC1未満であるが第1閾値SOC1よりも低い第2閾値SOC2以上の中レベル領域にあると、モータ,エンジン両用モードを選択し、モータ4とエンジン1との両トルクでPTO装置10を作動させる。
【0053】
SOCが第2閾値SOC2未満であるが第2閾値SOC2よりも低い第3閾値SOC3以上の低レベル領域にあると、エンジン単独使用モードを選択し、エンジン1のトルクだけでPTO装置10を作動させる。
さらに、SOCが第3閾値SOC3未満の極低レベル領域にあると、発電併用モードを選択し、エンジン1のトルクを増大させて、エンジン1のトルクでPTO装置10を作動させると共にエンジン1のトルクでモータ4を発電機として作動させてバッテリを充電する。
【0054】
本発明の一実施形態に係るハイブリッド自動車の制御装置は上述のように構成されているので、例えば図6のフローチャートに示すように制御が行なわれる。
つまり、車両ECU100により、PTO作動要求があるか否かをPTOスイッチ101のオンオフ情報から判定する(ステップS10)。
【0055】
PTO作動要求があれば、SOCが第1閾値SOC1以上の高レベル領域にあるか否かを判定する(ステップS20)。SOCが高レベル領域にあれば、モータ単独駆動モードを選択し、モータ4の駆動トルクだけでPTO装置10を作動させる(ステップS30)。これにより、静かで排気のない状態でPTO装置10を作動させることができる。
【0056】
SOCが高レベル領域になければ、SOCが第2閾値SOC2以上第1閾値SOC1未満の中レベル領域にあるか否かを判定する(ステップS40)。SOCが中レベル領域にあれば、モータ/エンジン駆動モードを選択し、モータ4とエンジン1との両駆動トルクでPTO装置10を作動させる(ステップS50)。これにより、静かで排気を低減すると共に燃費の低減を図りながらPTO装置10を作動させることができる。
【0057】
SOCが高レベル領域にも中レベル領域にもなければ、SOCが第3閾値SOC3以上第2閾値SOC2未満の低レベル領域にあるか否かを判定する(ステップS60)。SOCが低レベル領域にあれば、エンジン単独駆動モードを選択し、エンジン1の駆動トルクだけでPTO装置10を作動させる(ステップS70)。これにより、バッテリの保護を図りながらPTO装置10を作動させることができる。
【0058】
そして、SOCが高レベル領域にも中レベル領域にも低レベル領域にもなければ、SOCは第3閾値SOC3未満の極低レベル領域にあるので、発電駆動モードを選択し、エンジン1の駆動トルクでPTO装置10を作動させると共にモータ4を発電機として作動させてバッテリを充電する(ステップS80)。これにより、バッテリ充電量が回復し、モータ4を使用可能の状態にすると共にバッテリの保護を図りながらPTO装置10を作動させることができる。
【0059】
PTO装置への作動要求が検出されたときには、選択されるPTO駆動モードによらず、第1クラッチ3A及び第2クラッチ3Bの一方を接続状態に制御し他方を切断状態に保持するので、バッテリの充電状態に応じてPTO駆動モードが変更される際にも、第1クラッチ3A及び第2クラッチ3Bの段接切替を行なうことがなく、PTO駆動モードの切替を速やか且つ円滑に行なえ、この切替のPTO装置10の作動への影響も抑制される。
【0060】
なお、上記の実施形態では、インナ軸である第2カウンタ軸24の歯車26lにPTO装置10を接続しているが、図1中に二点鎖線で示すように、アウタ軸である第1カウンタ軸23の歯車(例えば、歯車26e,26g)にPTO装置10´を接続する構成も可能である。
【0061】
しかし、例えば、歯車26eにPTO装置10´を接続する場合、PTO装置10´からの反力によって、第1カウンタ軸23に軸ブレが生じて第1カウンタ軸23とその内側の第2カウンタ軸24との間の潤滑膜が保持されず、両カウンタ軸23,24間の摺動により両カウンタ軸23,24の摺動面の焼き付きや磨耗が発生するおそれがある。
つまり、インナ軸である第2カウンタ軸24の両端部は、アウタ軸である第1カウンタ軸23の両端からいずれも突出することになり、第1カウンタ軸23及び第2カウンタ軸24の全長を抑えようとすると、必然的に、第1カウンタ軸23の軸長が制限される。
【0062】
しかし、第1カウンタ軸23の軸長が短いと、PTO装置10´からの反力によって、第1カウンタ軸23に大きな変形が加わり、第1カウンタ軸23に軸ブレが生じて第1カウンタ軸23とその内側の第2カウンタ軸24との間の潤滑膜が保持されないおそれがある。
この点、本装置では、PTO装置使用時には、シンクロナイザ28(シンクロ1)は常時接続されるので、アウタ軸である第2カウンタ軸24とインナ軸である第1カウンタ軸23とが相対回転することはなく、かかる損傷のおそれも回避できる。
【0063】
〔その他〕
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、かかる実施の形態を適宜変更して実施しうるものである。
【0064】
例えば、車両ECU100は、PTOスイッチ101が入力されると、第2クラッチ3Bを遮断状態とし、第1クラッチ3Aを接続状態とする例を説明したが、第2クラッチ3Bを接続状態とし、第1クラッチ3Aを遮断状態としてもよい。この場合には、シンクロナイザ29を遮断状態とし、シンクロナイザ28については接続状態でも遮断状態でもかまわない。
【0065】
また、上記実施形態では、前進6速段のデュアルクラッチ式の変速機を例示したが、変速段数は書進時これに限るものではなく、また、変速機の構成も図1に例示するものに限らない。
【符号の説明】
【0066】
1 エンジン(内燃機関)
2 デュアルクラッチ式変速機
3 クラッチユニット
3A 第1クラッチ
3B 第2クラッチ
4 モータ(電動発電機)
5 プロペラシャフト
6 デファレンシャル
7 駆動輪
10 PTO装置
21A 第1歯車機構
21 第1入力軸
22A 第2歯車機構
22 第2入力軸
23 第1カウンタ軸
24 第2カウンタ軸
25 出力軸
26a〜26n 変速用の歯車
27〜29 動力断接機構(係合機構)としてのシンクロナイザ
100 車両ECU(制御手段)
101 PTOスイッチ(PTOSW)
102 SOC検出部(充電量検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7