(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894811
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】ポリイミドシートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/34 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
B32B27/34
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-21622(P2012-21622)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-158984(P2013-158984A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219266
【氏名又は名称】東レ・デュポン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182785
【弁理士】
【氏名又は名称】一條 力
(72)【発明者】
【氏名】日高 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 倫雄
【審査官】
北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−006149(JP,A)
【文献】
特開2008−094015(JP,A)
【文献】
特開2010−031107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドフィルムを10〜3000枚積層したポリイミドシートであって、ポリイミドフィルムを構成する酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を併用し、ポリイミドフィルムを構成するジアミン成分として、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンを併用し、該ポリイミドシートの厚みが0.2mm以上であり、且つ任意の平面の直交する2方向の線膨張係数がいずれも10ppm/℃以下であるポリイミドシート。
【請求項2】
平面方向の少なくとも1方向の引張モードでの線膨張係数が10ppm/℃以上のポリイミドフィルムを10〜3000枚積層した請求項1に記載のポリイミドシート。
【請求項3】
ポリイミドフィルムを同一方向に積層して得られる、ポリイミドシートの曲げ試験におけるMD方向の弾性率αM、TD方向の弾性率αTとし、ポリイミドフィルムを1枚ずつ任意の角度に回転させながら積層して得られるポリイミドシートの曲げ試験における任意の方向の弾性率β1、β1に直交する方向の弾性率β2とした場合に、
(αM+αT)/2)−0.5[GPa]≦β1≦(αM+αT)/2)+0.5[GPa]、
(αM+αT)/2)−0.5[GPa]≦β2≦(αM+αT)/2)+0.5[GPa]
である請求項1または2に記載のポリイミドシート。
【請求項4】
ポリイミドフィルムを同一方向に積層して得られる、ポリイミドシートの曲げ試験におけるMD方向の最大応力γM、TD方向の最大応力γTとし、ポリイミドフィルムを1枚ずつ任意の角度に回転させながら積層して得られるポリイミドシートの曲げ試験における任意の方向の最大応力δ1、δ1に直交する方向の最大応力δ2とした場合に、
(γM+γT)/2)−20[MPa]≦δ1≦(γM+γT)/2)+20[MPa]、
(γM+γT)/2)−20[MPa]≦δ2≦(γM+γT)/2)+20[MPa]
である請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドシート。
【請求項5】
ポリイミドフィルムを10〜3000枚積層した後、プレスするポリイミドシートの製造方法であって、ポリイミドフィルムを構成する酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を併用し、ポリイミドフィルムを構成するジアミン成分として、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミンを併用し、ポリイミドフィルムを積層する際に、積層するフィルムが、積層されるフィルムに対して、積層されるフィルムの任意の点を中心にフィルム平面方向に実質的に角度をつけて積層するポリイミドシートの製造方法。
【請求項6】
ポリイミドシートの厚みが0.2mm以上であり、且つ任意の平面の直交する2方向の線膨張係数がいずれも10ppm/℃以下である請求項5に記載のポリイミドシートの製造方法。
【請求項7】
ポリイミドフィルムを、1枚ずつ任意の角度に回転させながら積層する請求項5または6に記載のポリイミドシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面方向に等方性を持つポリイミドシートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は、耐熱性、しゅう動性、耐薬品性に優れたフィルムであり、様々な用途に使用されている。ただし、一般的なポリイミド樹脂は、その製造工程上、等方性のある物性となるため、X、Y、Z方向の物性がほぼ同等である。
【0003】
このため、平面方向のみに低寸法安定性が望まれる用途に対しては、線膨張係数が要求特性に届かないといった問題があった。
【0004】
この問題に対し、ポリイミドフィルムを複数枚積層して樹脂状とする提案(特許文献1、2、3参照)がなされた。同特許では従来のポリイミド樹脂よりも、平面方向において熱膨張係数の小さい樹脂を提案しているが、平面方向の直交する方向には差が見られるという問題があった。
【0005】
また、高温環境下で使用されるものにおいては、10ppm/degC以下の熱膨張係数を要求される場合があり、これらの要求を満たすことは出来ていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−167903号公報
【特許文献1】特開2011−167904号公報
【特許文献1】特開2011−167905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、実質的に物性が等方的なポリイミドシートおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は次のような構成である。
【0009】
特定のポリイミドフィルムを
10〜3000枚積層したポリイミドシートであって、該ポリイミドシートの厚みが0.2mm以上であり、且つ任意の平面の直交する2方向の線膨張係数がいずれも10ppm/℃以下であるポリイミドシート。
【0010】
特定のポリイミドフィルムを
10〜3000枚積層した後、プレスするポリイミドシートの製造方法であって、ポリイミドフィルムを積層する際に、積層するフィルムが、積層されるフィルムに対して、積層されるフィルムの任意の点を中心にフィルム平面方向に実質的に角度をつけて積層するポリイミドシートの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、面内の線膨張係数が10ppm/℃以下であるポリイミドシートを得ることができるため、本発明によって得られるポリイミドシートは、シリコンやガラスとのマッチングを求められる場合の用途に適している。本発明によって得られるポリイミドシートは、高温において寸法安定性が要求される電子部品用途などに利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明のポリイミドシートについて具体的に説明する。
【0013】
本発明のポリイミドシートは
特定のポリイミドフィルムを
10〜3000枚積層したポリイミドシートであって、該ポリイミドシートの厚みが0.2mm以上であり、且つ任意の平面の直交する2方向の線膨張係数がいずれも10ppm/℃以下であるポリイミドシートである。
【0014】
本発明のポリイミドシートは、ポリイミドフィルム
を、10〜3000枚
、好ましくは20〜800枚積層する。
【0015】
本発明のポリイミドシートの厚みは0.2〜20mmが好ましく、より好ましくは、0.3〜15mm、さらにより好ましくは0.5〜10mmである。
【0016】
本発明のポリイミドシートに用いるポリイミドフィルムは、製造方法に特に限定はなく、一般的に知られている方法で製造されたポリイミドフィルムである。例えば、酸二無水物とジアミンを反応させたポリアミド酸溶液を流延またはフィルム状に押出し、乾燥、熱処理を行って、イミド化を進行させることにより、製膜するのが一般的である。この際、乾燥・熱処理は、流延またはフィルム状に押し出されたポリアミド酸溶液を、200〜600℃、好ましくは250〜550℃の高温雰囲気に維持した乾燥熱処理ゾーンを通過させることにより達成することができる。また、乾燥・熱処理中のフィルムは、ポリアミック酸からポリイミドへ転移させる工程中、任意の倍率で延伸しても構わない。
【0017】
一般的に知られているイミド化の方法には、加熱することにより脱水をおこなう熱閉環法とイミド化触媒、脱水剤を使用して化学的に脱水をおこなう化学閉環法があるが、本発明に用いられるイミド化の方法は特に限定されない。ただし、フィルムの線膨張係数を小さくする場合は、化学閉環法の方が好ましい。
【0018】
イミド化触媒としては、第三級アミン類が好ましく、具体例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ピリジン、イソキノリン、2−エチルピリジン、2−メチルピリジン、N−エチルモルフォリン、N−メチルモルフォリン、ジエチルシクロヘキシルアミン、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、4−ベンゾイルピリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、4−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−イソプロピルピリジン、N−ジメチルベンジルアミン、4−ベンジルピリジン、およびN−ジメチルドデシルアミンなどが挙げられる。また、脱水剤としては、有機カルボン酸無水物、N,N−ジアルキルカルボジイミド類、低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物およびチオニルハロゲン化物が挙げられる。
【0019】
本発明で用いるポリイミドフィルムを構成する酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物を併用
する。
【0020】
好ましい形態としては、本発明で用いるポリイミドフィルムの全酸成分のうち、ピロメリット酸成分
を10〜80mol%、さらに好ましくは20〜80mol%である。また、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分
は、好ましくは5〜50mol%、さらに好ましくは5〜40mol%である。
【0021】
本発明で用いるポリイミドフィルムを構成するジアミン成分は、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミ
ンを併用
する。
【0022】
好ましい形態としては、本発明で用いるポリイミドフィルムの全ジアミン成分のうち、4,4’―ジアミノジフェニルエーテル
を、好ましくは10〜90mol%、さらに好ましくは20〜85mol%である。また、パラフェニレンジアミン成分
は、好ましくは5〜50mol%、さらに好ましくは5〜40mol%である。
【0023】
本発明に係るポリイミドフィルムは、無機粒子などの添加物を、前駆体であるポリアミック酸をポリイミドへ環化、脱溶媒する前であれば、いかなる工程においても添加することが可能である。
この時の添加物の好ましい形態は、粒子径が3.0μm以下の無機粒子をフィルム樹脂重量あたり0.1〜0.9重量%の割合で添加することが好ましい。
【0024】
また、本発明に係るポリイミドフィルムの厚さは特に規定しないが、ポリイミドフィルムの厚さが薄すぎる場合は積層枚数が多くなるために空気泡が発生し、ポリイミドシートの収率が悪化する可能性があり、また厚すぎる場合はポリイミドフィルム内で相分離がおこり十分な密着力が得られない可能性あるため、2〜250μmの厚さが好ましい。また、より好ましくは5〜200μm、さらにより好ましくは10〜100μm、さらにより好ましくは10〜50μmである。
【0025】
本発明におけるポリイミドシートに用いるポリイミドフィルムの熱膨張係数は、平面方向の少なくとも1方向の引張モードでの線膨張係数が10ppm/℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは、平面方向の1方向の線膨張係数が10ppm/℃以上、且つそれに直交する方向の線膨張係数が10ppm/℃以下のポリイミドフィルムを用いることである。さらにより好ましくは、平面方向の平面方向の1方向の線膨張係数が10〜15ppm/℃以上、且つそれに直交する方向の線膨張係数が3〜8ppm/℃のポリイミドフィルムを用いることである。
【0026】
本発明におけるポリイミドシートは、ポリイミドフィルムを同一方向に積層して得られる、ポリイミドシートの曲げ試験におけるMD方向の弾性率α
M、TD方向の弾性率α
Tとし、ポリイミドフィルムを1枚ずつ任意の角度に回転させながら積層して得られるポリイミドシートの曲げ試験における任意の方向の弾性率β1、β1に直交する方向の弾性率β2とした場合に、
(α
M+α
T)/2)−0.5[GPa]≦β1≦(α
M+α
T)/2)+0.5[GPa]、
(α
M+α
T)/2)−0.5[GPa]≦β2≦(α
M+α
T)/2)+0.5[GPa]
となることが好ましい。
【0027】
また、本願におけるポリイミドシートを構成するポリイミドフィルムの引張弾性率はMD、TD方向ともに3GPa〜10GPaであることが好ましい。より好ましくは4GPa〜9GPaであり、さらに好ましくは5GPa〜8GPaである。
【0028】
本発明におけるポリイミドシートは、ポリイミドフィルムを同一方向に積層して得られるポリイミドシートの曲げ試験におけるMD方向の最大応力γ
M、TD方向の最大応力γ
Tとし、ポリイミドフィルムを1枚ずつ任意の角度に回転させながら積層して得られるポリイミドシートの曲げ試験における任意の方向の最大応力δ1、δ1に直交する方向の最大応力δ2とした場合に、
(γ
M+γ
T)/2)−20[MPa]≦δ1≦(γ
M+γ
T)/2)+20[MPa]、
(γ
M+γ
T)/2)−20[MPa]≦δ2≦(γ
M+γ
T)/2)+20[MPa]
となることが好ましい。
【0029】
また、本願におけるポリイミドシートを構成するポリイミドフィルムの引張試験における最大応力はMD、TD方向とも330MPa〜490MPaであることが好ましい。より好ましくは350MPa〜470MPaであり、さらに好ましくは370MPa〜450MPaである。
【0030】
本発明におけるポリイミドシートは、ポリイミドフィルムを同一方向に積層して得られる、ポリイミドシートの引張試験におけるMD方向の弾性率ε
M、TD方向の弾性率ε
Tとし、ポリイミドフィルムを1枚ずつ任意の角度に回転させながら積層して得られるポリイミドシートの引張試験における任意の方向の弾性率ζ1、ζ1に直交する方向の弾性率ζ2とした場合に、
(ε
M+ε
T)/2)−1.0[GPa]≦ζ1≦(ε
M+ε
T)/2)+1.0[GPa]、
(ε
M+ε
T)/2)−1.0[GPa]≦ζ2≦(ε
M+ε
T)/2)+1.0[GPa]
となることが好ましい。
【0031】
本発明におけるポリイミドシートは、ポリイミドフィルムを同一方向に積層して得られるポリイミドシートの引張試験におけるMD方向の最大応力η
M、TD方向の最大応力η
Tとし、ポリイミドフィルムを1枚ずつ任意の角度に回転させながら積層して得られるポリイミドシートの引張試験における任意の方向の最大応力θ1、θ1に直交する方向の最大応力θ2とした場合に、
(η
M+η
T)/2)−30[MPa]≦θ1≦(η
M+η
T)/2)+30[MPa]、
(η
M+η
T)/2)−30[MPa]≦θ2≦(η
M+η
T)/2)+30[MPa]
となることが好ましい。
【0032】
本発明の特徴の1つは、ポリイミドシートを積層する際において、積層されるフィルムに対して積層するフィルムを、積層されるフィルムの平面上の任意の点を中心に実質的に角度をつけて積層し、同工程を繰り返し行いフィルムを積層することにある。これは、異方性のあるフィルムを用いて等方的な物性を持たせるために必須な工程である。同工程により、プレス後のポリイミドシートは等方的な物性を示す。
【0033】
また、ポリイミドフィルムに厚みムラがある場合、同一方向に積層してプレスすると厚みムラに起因するフィルム間の密着力不足が発生する。このためフィルムの厚みムラを平均化するためにも角度をつけて積層を行う行程は重要である。
【0034】
積層の方法についての制限は特に無く、角度を付けて積層すれば良い。例えば、ロールフィルムを任意の長さに裁断し、積層する工程において、1枚目のフィルムに対して2枚目のフィルムは、1枚目のフィルムの任意の点を中心に10度回転させた状態で積層する。といった工程となる。
この際、角度は自由に設定でき、かつ角度は固定する必要は無く、積層するフィルム毎に任意の角度を設定できる。
【0035】
平面方向の熱膨張係数を均等にする目的で、好ましくは70度〜110度に回転させて積層する。さらに好ましくは80度〜100度に回転させて積層する方法である。
また、角度の方向もプラス方向、マイナス方向どちらを選んでもよく、かつ積層するフィルム毎に任意の方向を選ぶことができる。
【0036】
ポリイミドフィルムの厚みムラを平均化するためには、プラスのみ、もしくはマイナス方向のみに設定することが好ましい。
【0037】
さらに、フィルムの向きも自由に設定でき、A面(フィルム製造時の搬送方向に対して垂直上向きの面)、D面(フィルム製造時の搬送方向に対して垂直下向きの面)も任意に変えて積層することができる。
【0038】
ポリイミドフィルムは製膜垂直上向き方向と下向き方向においてカールするため、好ましくは、1枚ずつA面とD面を入れ替える積層方法が好ましい。
【0039】
本発明におけるポリイミドシートを製造する際には、ポリイミドシートを構成するポリイミドフィルムの両面に表面処理を行ってもよい。
【0040】
本発明では、ポリイミドフィルムを用い、MD方向、TD方向を直交させて1枚ずつ積層し、熱圧着させることで得られる。その際の圧着手段としては、平板の熱板間に、裁断されたフィルムをMD方向、TD方向に任意の角度をつけて積層した積層フィルムを挿入し、平板をシリンダー等で加圧し、プレスする方法である。また該方法を用いる際は、真空下で加熱加圧することが、得られるポリイミドシートに気泡等の欠点が生じにくい点から好ましい。また面内の圧力ムラの軽減のために鏡面板、クッション板等を積層したポリイミドフィルムの上下または内部に用いても構わない。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し本発明はこれらの実施例のみによって限定されない。また、シートの各物性は以下の方法に従って測定した。
【0042】
[曲げ弾性率、曲げ強度]
ASTM D690に準じた。試験片サイズをt3.2mm×W12.7mm×L63.5mmとし、万能試験機を用いた。速度は5mm/min、弾性率は10MPa〜20MPaの間のこの時の値を最小二乗法により算出した。
【0043】
[熱膨張係数]
TMAを用いて5℃/minの昇温速度で、室温〜400℃まで測定した。このときの50〜200℃平均膨張の値を熱膨張係数とした。
【0044】
[実施例1]
東レ・デュポン株式会社製「カプトン150EN−A」を60cmに裁断し、MD方向とTD方向を直交するように1枚ずつ、150枚重ねて、上下にガラステフロン製の厚さ3mmのクッション材を置いて、北川精機株式会社製真空プレス機を用いて、350℃130kg/cm
2の条件で30分プレスし、100℃に冷却後圧力を解放し、ポリイミドシートを取り出した。得られたポリイミドシートの物性を表1に示す。なお、表1において、平均値とは、任意の方向をMDとしたとき、それに直交する方向をTDとし、MD方向の熱膨張係数、曲げ弾性率、曲げ強度と、TD方向の熱膨張係数、曲げ弾性率、曲げ強度と、それらの平均値を示している。
【0045】
[比較例1]
積層時にMD方向とTD方向を同じ向きにした以外は実施例と同じ方法でポリイミドシートを得た。得られたポリイミドシートの物性を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1の結果から、本発明のポリイミドシートは面内方向において10ppm/℃以下の線膨張係数をもつポリイミドシートであることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の、
10〜3000枚のポリイミドフィルムを積層したポリイミドシートは、高温において寸法安定性が要求される電子部品用途などに利用することができる。