(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894857
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】排水処理装置および排水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/28 20060101AFI20160317BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20160317BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20160317BHJP
B01D 29/66 20060101ALI20160317BHJP
C02F 3/34 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
C02F3/28 A
C02F3/28 B
B01D23/02 A
B01D23/24 A
C02F3/34 101B
C02F3/34 101D
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-116731(P2012-116731)
(22)【出願日】2012年5月22日
(65)【公開番号】特開2013-240768(P2013-240768A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恵良 彰
(72)【発明者】
【氏名】草野 真一
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−142682(JP,A)
【文献】
特開平06−142683(JP,A)
【文献】
特開平11−165189(JP,A)
【文献】
特開2006−218371(JP,A)
【文献】
特開2012−110820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00−3/34
B01D 24/46
B01D 29/00
B01D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理装置であって、
前記担体を貯留し、嫌気反応を行うための嫌気反応槽と、
前記嫌気反応槽の内部に垂直に設置され上下が開口したドラフトチューブと、
前記ドラフトチューブ内に下向流を形成し、前記ドラフトチューブと前記嫌気反応槽の内壁面との間に上向流を形成するインペラ装置と、
前記嫌気反応による嫌気処理水を受け入れ、前記担体を分離するためのスクリーンと、槽内に酸素含有気体を散気する散気手段とを有するスクリーン槽と、
を備えることを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排水処理装置であって、
前記スクリーン槽内のpHを調整するpH調整手段と、
前記pH調整手段によりpH調整したpH調整水を前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送するpH調整水返送手段と、
を備えることを特徴とする排水処理装置。
【請求項3】
微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理装置であって、
前記担体を貯留し、嫌気反応を行うための嫌気反応槽と、
前記嫌気反応による嫌気処理水を受け入れ、前記担体を分離するためのスクリーンと、槽内に酸素含有気体を散気する散気手段とを有するスクリーン槽と、
前記スクリーン槽内のpHを調整するpH調整手段と、
前記pH調整手段によりpH調整したpH調整水を前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送するpH調整水返送手段と、
を備えることを特徴とする排水処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水処理装置であって、
前記スクリーン槽で分離された担体を、前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送する担体返送手段を備えることを特徴とする排水処理装置。
【請求項5】
微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理方法であって、
嫌気反応槽内で前記担体を用いて嫌気反応を行う嫌気反応工程と、
前記嫌気反応による嫌気処理水を受け入れるスクリーン槽内で、酸素含有気体を散気し、スクリーンにより前記担体を分離する担体分離工程と、
を含み、
前記嫌気反応槽は、前記嫌気反応槽の内部に垂直に設置され上下が開口したドラフトチューブと、前記ドラフトチューブ内に下向流を形成し、前記ドラフトチューブと前記嫌気反応槽の内壁面との間に上向流を形成するインペラ装置とを備えることを特徴とする排水処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の排水処理方法であって、
前記スクリーン槽内のpHを調整するpH調整工程と、
前記pH調整工程によりpH調整したpH調整水を前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送するpH調整水返送工程と、
を含むことを特徴とする排水処理方法。
【請求項7】
微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理方法であって、
嫌気反応槽内で前記担体を用いて嫌気反応を行う嫌気反応工程と、
前記嫌気反応による嫌気処理水を受け入れるスクリーン槽内で、酸素含有気体を散気し、スクリーンにより前記担体を分離する担体分離工程と、
前記スクリーン槽内のpHを調整するpH調整工程と、
前記pH調整工程によりpH調整したpH調整水を前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送するpH調整水返送工程と、
を含むことを特徴とする排水処理方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の排水処理方法であって、
前記スクリーン槽で分離された担体を、前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送する担体返送工程を含むことを特徴とする排水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理装置および排水処理方法に関し、特に、微生物を保持した担体を用いて、嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理装置および排水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微生物を保持した担体を用いて、例えば嫌気性条件下で排水を浄化する排水処理としては、硝酸または亜硝酸を含有する排水の脱窒処理や、アンモニアおよび亜硝酸を含有する排水の嫌気性アンモニア酸化処理、有機性排水のメタン発酵処理等が挙げられる。
【0003】
このうち、有機性排水のメタン発酵処理では、可燃性かつ温室効果ガスであるメタン、および有毒ガスである硫化水素等が生成するため、嫌気反応槽を密閉し、発生ガスを捕集した上で適切に処理する必要がある。例えば、発生ガスを脱硫剤等に通気して硫化水素等を除去した上で、燃焼させ、必要に応じて、ボイラによる熱回収を行う。
【0004】
また、担体を用いて嫌気反応槽で排水を処理する際、例えば、スクリーン等を用いて担体を処理水から分離するが、スクリーンの目詰まりが発生する場合がある。
【0005】
例えば、特許文献1では、担体を貯留する反応槽の内部に垂直に設置され上下が開口したドラフトチューブと、ドラフトチューブ内に下向流を形成し、ドラフトチューブと反応槽内壁面との間に上向流を形成するインペラ装置と、インペラ装置による上向流に伴って上昇する担体が存在する領域を実質的にドラフトチューブの上端以下に抑えるインペラ装置出力に調整する出力調整手段として設けられたインペラ装置の回転数変更用インバータと、を有し、反応槽上部に設置された担体を分離するスクリーンによって、担体を分離する装置が提案されている。特許文献1では、担体の界面を調整することで、スクリーン近傍の担体の存在率を低減し、スクリーンの目詰まりを抑制することが提案されている。
【0006】
特許文献2では、反応槽内にスクリーンと、流路を形成するガイド板と、スクリーン下方から窒素ガスを噴出する窒素ガス噴出手段とを備えた装置が提案されている。
【0007】
特許文献1および特許文献2の装置では、スクリーンの目詰まりをある程度抑制することはできるが、長期間の運転においては、原水から流入する異物や、増殖した微生物塊、担体や一部担体が破砕したもの等による目詰まりが避けがたい。また、スクリーンの一部破損により担体が流出する可能性もある。
【0008】
スクリーンが目詰まりした場合には、槽上部より、高圧水やブラシにより洗浄することが有効である。その他、補修するなどメンテナンス作業の際には、スクリーン上部を開放する必要がある。しかしながら、前述のとおり、特に、有機性排水のメタン発酵処理では、可燃性かつ温室効果ガスであるメタン、および有毒ガスである硫化水素等が生成するため、反応槽を開放する場合には、一旦処理を停止し、槽内部のガスを十分に置換するといった処置を講じる必要があり、非常に煩雑かつ危険を伴う作業が発生する。
【0009】
一方、特許文献3では、担体を含む処理水を、ガイド板および邪魔板を配した担体分離機へ通液し、担体を沈降分離した上で、反応槽へ返送する装置が提案されている。
【0010】
特許文献3の装置においては、担体は、微生物の付着、保持によって見かけ比重が増加するために底部への堆積が起こりやすくなる一方で、脱窒処理では窒素ガスが、メタン発酵処理ではメタンガスが、担体内部で発生して見かけの比重が低下するため、担体の液面への浮上、滞留等の懸念もある。すなわち、担体の見かけ比重の変化が大きく、実質的に予測不可能である。特許文献3は、担体を沈降分離することを想定したものであるが、上記のような担体の比重低下や浮上については想定されておらず、沈降性の低下した担体を分離することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許4544583号公報
【特許文献2】特開2008−194620号公報
【特許文献3】特許3796029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理において、担体を分離するスクリーンのメンテナンスを容易に行うことができる排水処理装置および排水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理装置であって、前記担体を貯留し、嫌気反応を行うための嫌気反応槽と;
前記嫌気反応槽の内部に垂直に設置され上下が開口したドラフトチューブと;前記ドラフトチューブ内に下向流を形成し、前記ドラフトチューブと前記嫌気反応槽の内壁面との間に上向流を形成するインペラ装置と;前記嫌気反応による嫌気処理水を受け入れ、前記担体を分離するためのスクリーンと、槽内に酸素含有気体を散気する散気手段とを有するスクリーン槽と;を備える排水処理装置である。
【0014】
また、前記排水処理装置において、前記スクリーン槽内のpHを調整するpH調整手段と、前記pH調整手段によりpH調整したpH調整水を前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送するpH調整水返送手段と、を備えることが好ましい。
また、本発明は、微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理装置であって、前記担体を貯留し、嫌気反応を行うための嫌気反応槽と;前記嫌気反応による嫌気処理水を受け入れ、前記担体を分離するためのスクリーンと、槽内に酸素含有気体を散気する散気手段とを有するスクリーン槽と;前記スクリーン槽内のpHを調整するpH調整手段と;前記pH調整手段によりpH調整したpH調整水を前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送するpH調整水返送手段と;を備える排水処理装置である。
【0015】
また、前記排水処理装置において、前記スクリーン槽で分離された担体を、前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送する担体返送手段を備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理方法であって、嫌気反応槽内で前記担体を用いて嫌気反応を行う嫌気反応工程と、前記嫌気反応による嫌気処理水を受け入れるスクリーン槽内で、酸素含有気体を散気し、スクリーンにより前記担体を分離する担体分離工程と、を含
み、前記嫌気反応槽は、前記嫌気反応槽の内部に垂直に設置され上下が開口したドラフトチューブと、前記ドラフトチューブ内に下向流を形成し、前記ドラフトチューブと前記嫌気反応槽の内壁面との間に上向流を形成するインペラ装置とを備える排水処理方法である。
【0017】
また、前記排水処理方法において、前記スクリーン槽内のpHを調整するpH調整工程と、前記pH調整工程によりpH調整したpH調整水を前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送するpH調整水返送工程と、を含むことが好ましい。
また、本発明は、微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理方法であって、嫌気反応槽内で前記担体を用いて嫌気反応を行う嫌気反応工程と、前記嫌気反応による嫌気処理水を受け入れるスクリーン槽内で、酸素含有気体を散気し、スクリーンにより前記担体を分離する担体分離工程と、前記スクリーン槽内のpHを調整するpH調整工程と、前記pH調整工程によりpH調整したpH調整水を前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送するpH調整水返送工程と、を含む排水処理方法である。
【0018】
また、前記排水処理方法において、前記スクリーン槽で分離された担体を、前記嫌気反応槽または前記嫌気反応槽の前段へ返送する担体返送工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、嫌気反応槽とは別個に、嫌気反応による嫌気処理水を受け入れ、担体を分離するためのスクリーンと、槽内に酸素含有気体を散気する散気手段とを備えるスクリーン槽を備えることにより、スクリーンのメンテナンスを容易に行うことができる排水処理装置および排水処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る排水処理装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0022】
本発明の実施形態に係る排水処理装置の一例の概略を
図1に示し、その構成について説明する。排水処理装置1は、微生物を保持した担体を用いて嫌気性条件下で排水を浄化処理する排水処理装置である。排水処理装置1は、担体24を貯留し、上部が密閉されて実質的に外気と遮断されている嫌気反応槽10と、嫌気反応槽10の嫌気処理水を受け入れ、担体を分離するためのスクリーン16と、スクリーン16の下方より槽内に酸素含有気体を散気する散気手段として散気装置18とを有するスクリーン槽12と、を備える。排水処理装置1は、スクリーン槽12内のpHを調整するpH調整手段を備えてもよく、pH調整手段によりpH調整したpH調整水を嫌気反応槽10または嫌気反応槽10の前段へ返送するpH調整水返送手段としてポンプ28を備えてもよい。排水処理装置1において、ポンプ28は、スクリーン槽12で分離された担体を、嫌気反応槽10または嫌気反応槽10の前段へ返送する担体返送手段として機能してもよい。また、嫌気反応槽10の前段に調整槽(不図示)を設置してもよい。
【0023】
図1の排水処理装置1において、嫌気反応槽10の嫌気処理水出口36とスクリーン槽12の入口とは、嫌気処理水配管32により接続されている。嫌気反応槽10には、嫌気反応槽10の内部に略垂直に設置され上下が開口したドラフトチューブ14と、ドラフトチューブ14内に下向流を形成し、ドラフトチューブ14と嫌気反応槽10の内壁面との間に上向流を形成するインペラ装置20と、インペラ装置20の出力を調整する出力調整手段として設けられたインペラ装置20の回転数変更用のインバータ22とが設置されている。インペラ装置20とインバータ22とは電気的接続手段等により接続されている。なお、この嫌気反応槽10の構成は一例であって、本構成に限定されるものではない。
【0024】
スクリーン槽12内には、処理水出口を囲むようにスクリーン16が設置され、スクリーン16の下方には散気装置18が設置されている。スクリーン槽12内には、ポンプ28が設置され、ポンプ28は担体返送配管34により嫌気反応槽10の上部と接続されている。散気装置18とポンプ28との間にはスクリーン16と略並行に配置されたガイド板26が設けられてもよい。また、スクリーン槽12には、pH測定手段としてpH測定装置30が設置されている。
【0025】
本実施形態に係る排水処理方法および排水処理装置1の動作について説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係る排水処理装置1と、排水処理装置1の運転中の担体24の流動状態を示している。嫌気反応槽10内には微生物を保持した担体24が貯留されている。嫌気反応槽10内に入口から被処理水(原水)が導入され、嫌気反応槽10において担体24を用いて嫌気反応が行われる(嫌気反応工程)。嫌気反応後の嫌気処理水は、嫌気処理水出口36から嫌気処理水配管32を通して担体分離用のスクリーン16を備えたスクリーン槽12へ流入する。嫌気反応槽10においては、担体24の大部分が嫌気処理水出口36よりも下の領域で流動しているが、そのうち、浮上した担体24の少なくとも一部は、嫌気処理水とともにスクリーン槽12へ流入する。そして、スクリーン槽12において、散気装置18により酸素含有気体を散気しつつ、スクリーン16によって担体が分離され(担体分離工程)、処理水が得られる。処理水は、スクリーン槽12の出口から排出される。一方、分離された担体は、ポンプ28により担体返送配管34を通して嫌気反応槽10または嫌気反応槽10の前段の調整槽等へ返送されてもよい(担体返送工程)。
【0027】
本実施形態では、スクリーン16によって担体を分離するスクリーン槽12を、嫌気反応槽10と別個に設け、さらに酸素含有気体により散気(曝気)することで、通水状態でもスクリーン槽12のスクリーン16上部を開放し、安全かつ容易に、洗浄や補修といったメンテナンス作業を実施することができる。
【0028】
さらに、排水中にメタンや硫化水素等の残存ガスがわずかに溶存しても、酸素含有気体により残存ガスをストリッピング(揮散)または酸化することができるため、後段での異臭等の発生を防ぎ、残留CODを低減することができる。
【0029】
嫌気反応槽10内には、略垂直に設置され上下が開口したドラフトチューブ14が設けられており、ドラフトチューブ14内には、ドラフトチューブ14内に下向流を形成し、ドラフトチューブ14と嫌気反応槽10の内壁面との間に上向流を形成するインペラ装置20が設けられている。
【0030】
インペラ装置20の作動によって生じる上向流に伴って上昇する担体24が存在する領域は、例えば、実質的にドラフトチューブ14の上端以下、かつ、嫌気処理水出口36より下に抑えられるよう、インペラ装置出力が調整される。
【0031】
ここで、界面計等の界面検知手段を用いて、担体24の存在する領域の上端を検知し、その検知結果に基づいて、インペラ装置20の出力を調整してもよい。
【0032】
その結果、担体24の大部分は、嫌気反応槽10の液面近傍まではほとんど流動しない状態に保たれ、かつ、嫌気反応槽10の底部にもほとんど堆積しない状態に保たれる。担体24の大部分は、ドラフトチューブ14と嫌気反応槽10の内壁面との間の所定領域(すなわち、ドラフトチューブ14の上端以下に抑えられた領域)内にほとんど存在することになり、その領域内で流動して被処理水と接触する。
【0033】
そして、気泡を抱いた一部の担体(見掛け比重の低下した担体)が嫌気反応槽10の上部まで上昇し(浮上し)、ドラフトチューブ14の上端から吸い込まれて循環され、インペラ装置20通過時のせん断力によって脱泡される。つまり、担体24の大部分は上記特定領域内で流動され、脱泡することが望ましい一部の担体がドラフトチューブ14の上端から吸い込まれてインペラ装置20通過時のせん断力によって効率よく脱泡される。したがって、担体全量からみれば、担体がインペラ装置20を通過する頻度が高くなりすぎることはなく、担体が過剰に磨耗することが抑制される。
【0034】
この構成によれば、担体24が存在する領域を、嫌気処理水出口36より下に抑えることで、気泡を抱いて、浮上してきたごく一部の担体が、スクリーン槽12へ流入することとなる。
【0035】
ここで、例えば上記特許文献1の技術では、スクリーン近傍の担体の存在率が低減されるよう、担体界面が低くなるようにインペラ装置の出力を調整する必要がある。一方、本実施形態においては、スクリーン16を備えるスクリーン槽12が嫌気反応槽10と別個に設けられているため、嫌気反応槽10における担体界面は、少なくとも嫌気処理水出口36より下になるように調整すればよい。すなわち、従来よりも担体界面をより高い位置に調整することも可能となる。この結果、担体の充填率を高く設定することも可能となり、例えば、担体の充填率を嫌気反応槽10の容量に対して、30〜60容積%程度とすることもできる。
【0036】
上記の通り、スクリーン槽12へ流入した担体は、曝気撹拌により脱泡され、担体返送手段としてのポンプ28により嫌気反応槽10へ返送されてもよい。これにより、スクリーン槽12での一時的な活性低下はあるにせよ、嫌気反応槽10内で担体は再度活性化されることができる。
【0037】
さらに、スクリーン槽12にpH調整手段を備え、スクリーン槽内のpHを調整し(pH調整工程)、pH調整水返送手段としてのポンプ28により、脱炭酸しpH調整したpH調整水と担体を嫌気反応槽10または嫌気反応槽10の前段の調整槽等へ返送してもよい(処理水返送工程)。これにより、嫌気反応槽10内のpHを適切な範囲に保つことができる。
【0038】
有機性排水のメタン発酵処理においては、反応に伴い、弱酸である炭酸が生成し液中に溶解する、また、一部の有機酸が残留するなどして、pHが低下する場合がある。そして、嫌気反応槽10内のpHが6.5を下回ると、嫌気反応の効率低下が懸念される。さらに、嫌気反応に伴い生成する硫化水素は、低pHでは、遊離し、ガス化しやすくなるため、スクリーン槽12や後段で臭気が生じ易くなる。この場合、嫌気反応槽10内にpH調整手段を設置し、アルカリ剤等のpH調整剤を添加してpHを調整することもできるが、アルカリ剤の使用量が多くなる場合がある。
【0039】
本実施形態の構成によれば、スクリーン槽12で散気装置18により散気を行うため、炭酸の除去(脱炭酸)効果が得られる。脱炭酸に伴い、pHが上昇するため、中和に要するアルカリ剤等のpH調整剤の使用量を低減することができる。そして、この脱炭酸し、さらに必要に応じてpH調整手段によりpH調整したpH調整水を嫌気反応槽10または嫌気反応槽10の前段の調整槽等へ返送することにより、嫌気反応槽10内のpHを適切な範囲に調整することができる。
【0040】
pH調整剤としては、塩酸等の酸、苛性ソーダ等のアルカリ剤等が挙げられる。嫌気反応槽10内のpHは、例えば、6.5〜8.5の範囲内に調整されればよい。また、スクリーン槽12内のpHとしては、例えば、反応槽10のpHが6.5未満に低下する場合には、アルカリを添加して、pH7〜10程度に調整した排水を返送することで、反応槽10のpHの低下を抑制することもできるし、例えば、反応槽10のpHが8.5を超える場合には、酸を添加して、pH4〜7程度に調整した排水を返送することで、反応槽10のpHの上昇を抑制することもできる。
【0041】
本実施形態で用いられる担体としては、特に限定されるものではないが、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等を含んでなる多孔質体や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等を含んでなるゲル状体等が挙げられる。担体の細孔径が大きいほど、被処理水中の酸化態窒素および水素供与態が、担体内部まで拡散しやすく、担体内部でのガス発生が起こり易い(浮上しやすく、脱泡し難い)ので、多孔質体の孔径が小さい(例えば、数μm〜数十μm程度)ものが好ましい。
【0042】
また、担体の形状も特に限定されるものではないが、0.5mm〜10mm程度の球状または立方体状(キューブ状)等の長方体のものが好適である。さらに、
図1に示したような流動状態を形成するために、担体の比重は少なくとも1.0より大であり、真比重として、1.1以上、あるいは見かけ比重として1.01以上のものが好ましい。
【0043】
嫌気反応槽10に貯留される担体の充填率としては、例えば、5〜40%程度とすればよいが、上記の通り、30〜60容積%程度と高い充填率にすることもできる。嫌気反応槽10の形状は、角型であっても円筒型であってもよく、特に限定されるものではない。嫌気反応槽10の槽底角部への担体の堆積を抑制するために、
図1に示したように嫌気反応槽10の槽底角部にはテーパーが付けられていることが好ましく、とくに45度以上のテーパーであることが好ましい。嫌気反応槽10内を嫌気状態に維持するために、また、有機性排水のメタン発酵処理等に用いる場合には発生したメタンガスや硫化水素ガス等を捕集し、適切に処理するために、嫌気反応槽10の上部は実質的に外気と遮断されている密閉構造である。
【0044】
そして、メタンガス等が発生する場合には、発生したメタンガス等は、ガス排出配管等を介して排出され、例えば、温水や蒸気を製造するボイラ、発電用のガスエンジン、ガスタービン等の燃料等として有効利用することができる。ここで、ガス中に硫化水素等が含有されていると燃焼過程で硫黄酸化物等を生成し、ボイラ等の腐食等といった不具合を生じる場合があるため、必要に応じて、酸化鉄等の脱硫材等と接触させる等の前処理を行ってもよい(不図示)。
【0045】
スクリーン槽12への嫌気処理水配管32は、スクリーン槽12の液面よりも低い位置で嫌気処理水を流入させるように接続されることが好ましく、このように水封することで、嫌気反応槽10への発生ガスが流出することを抑制することができる。
【0046】
スクリーン16の形状としては特に制限されるものではないが、ウエッジワイヤーやパンチングメタル、金網等、その目開きが担体の寸法に比して十分に小さければ、任意のものを使用することができる。スクリーン16の下方からは、空気等の酸素含有気体によって散気(曝気)される。散気により、スクリーン16上への担体の堆積が抑制され、スクリーン16の目詰まりの頻度を大幅に低減することができる。
【0047】
散気装置18としては、スクリーン槽12内に酸素含有気体を散気することができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、散気管、散気板等が挙げられる。散気装置18の設置位置は、スクリーン槽12内に酸素含有気体を散気することができればよく、特に制限はないが、散気によりスクリーン16上への担体の堆積を効果的に抑制するために、スクリーン16の下方であることが好ましい。
【0048】
ここで、スクリーン16の洗浄効果を高めるために、上記の通り、散気装置18とポンプ28との間にはスクリーン16とおよそ並行に配置されたガイド板26を設けてもよい。ガイド板26を設けることで、気泡の上昇流路を制限し、ポンプ28への気泡の混入等を抑制することができる。そして、散気に伴い、メタンや硫化水素等のストリッピングや酸化効果等が得られるとともに、溶存炭酸が脱炭酸され、処理液のpHが上昇する。
【0049】
担体返送手段としてのポンプと、pH調整水返送手段としてのポンプは、同一でなくてもよく、スクリーン16の出口以降からpH調整した処理水をpH調整水として返送してもよいが、ポンプを同一とすることで、設備を簡略化することができる。
【0050】
ポンプ28の吸込み口は、気泡が混入しない位置とすることが好ましく、スクリーン槽12槽の下部かつ散気手段である散気装置18より遠い位置であることが好ましい。
【0051】
担体返送手段としてのポンプ、pH調整水返送手段としてのポンプとしては、特に限定されるものではないが、担体をできるだけ破損することがないよう、異物通過性能の高い水中ポンプや、モーノポンプ、ホースポンプ等を使用することができる。
【0052】
本実施形態における嫌気性条件下で排水を浄化する排水処理としては、硝酸または亜硝酸を含有する排水の脱窒処理や、アンモニアおよび亜硝酸を含有する排水の嫌気性アンモニア酸化処理、有機性排水のメタン発酵処理等が挙げられる。本実施形態に係る排水処理装置および排水処理方法は、特に、有機性排水のメタン発酵処理に好適に適用することができる。
【0053】
このように、本実施形態に係る排水処理装置および排水処理方法によれば、担体を充填した嫌気反応槽を備える排水処理装置について、煩雑かつ危険な作業を伴わず、容易にスクリーンのメンテナンスを行うことができ、長期間の運転でもスクリーンの目詰まりを抑制することができる。さらに、処理水の臭気および残留COD等を低減し、少ないアルカリ剤等のpH調整剤の使用量で嫌気反応槽のpHを調整することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 排水処理装置、10 嫌気反応槽、12 スクリーン槽、14 ドラフトチューブ、16 スクリーン、18 散気装置、20 インペラ装置、22 インバータ、24 担体、26 ガイド板、28 ポンプ、30 pH測定装置、32 嫌気処理水配管、34 担体返送配管、36 嫌気処理水出口。