【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、義歯の義歯床に光重合用歯科用材料として広く用いられている成分に対して特定量の蛍光剤を配合した特定の透過率を有する歯科用組成物と、この歯科用組成物を義歯の義歯床に固定できる特定成分の歯科用プライマーとのキットを義歯の義歯床の表面に削り取った識別情報記録部に使用すれば、前記課題を解決できることを究明して本発明を完成した。
【0009】
即ち本発明は、
義歯の義歯床の表面に識別情報記録部を削り取り、この識別情報記録部に、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの重量割合が1:1〜1:3から成る単量体混合物:60〜90重量%と,ジ(メタ)アクリレートモノマー:10〜40重量%とから成る単量体混合物100重量部に対して,光重合触媒:0.04〜0.5重量部を添加した歯科用プライマーを塗布し、光照射して重合させ、
次に当該部位に、(メタ)アクリレートモノマー:88〜97重量%,平均粒子径0.01〜1μmのシリカ粉末:1〜10重量%,蛍光剤:0.1〜2重量%,光重合触媒:0.2〜0.6重量%から構成され、硬化後に60〜98%の透過率を有する歯科用組成物を当該部位に充填し、光照射して重合硬化させた後に表面を研磨することにより、
波長が310〜430nmにピークを有する光を照射すると識別情報記録部の識別情報を蛍光により確認できる義歯を製造する方法と、
(メタ)アクリレートモノマー:88〜97重量%,平均粒子径0.01〜1μmのシリカ粉末:1〜10重量%,蛍光剤:0.1〜2重量%,光重合触媒:0.2〜0.6重量%から構成され、硬化後に60〜98%の透過率を有する歯科用組成物と、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの重量割合が1:1〜1:3から成る単量体混合物:60〜90重量%と,ジ(メタ)アクリレートモノマー:10〜40重量%とから成る単量体混合物100重量部に対して,光重合触媒:0.04〜0.5重量部を添加した歯科用プライマーと
から成る義歯に蛍光により確認できる識別情報を付与する組成物キット
とである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、簡単に義歯の義歯床の表面に情報を記録することが可能であり、日常生活では全く目立つことがなく、必要時に識別情報記録部に記録した識別情報を蛍光により容易に確認できる義歯を製造する方法及びこの方法を実施するための義歯に蛍光により確認できる識別情報を付与する組成物キットである。
【0011】
以下に本発明に係る識別情報記録部の識別情報を蛍光により確認できる義歯を製造する方法に使用する組成物キットに使用される成分について説明する。
本発明に係る組成物キットの歯科用組成物で使用する(メタ)アクリレートモノマーは、従来から歯科用材料で使用されてきた物質が使用可能である。具体的には、1つの不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレートモノマーとして、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレートの各モノマー、及びこれらのアクリレートの各モノマーが例示できる。
【0012】
2つ以上の不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス(メタクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート及びこれらのアクリレートの各モノマーが例示できる。
【0013】
特に、分子中にウレタン結合を有する(メタ)アクリレートモノマーは重合前のペーストの操作性や透過率の点から好ましく、例えば、ジ−2−(メタ)アクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート等が採用できる。分子中にウレタン結合を有する(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリレートモノマー中に50〜90重量%であることが好ましい。
【0014】
不飽和二重結合を3個含有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート及びこれらのアクリレートの各モノマーが使用できる。
また、不飽和二重結合を4個以上含有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、1,3,5−トリス[1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオンのモノマー及びこのアクリレートの各モノマーが使用できる。
本発明に係る組成物キットの歯科用組成物においては、(メタ)アクリレートモノマーの不飽和二重結合の数等に関係なく、これ等は夫々1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは、後述する特定のシリカ粉末と組み合わせた時に硬化した後の透過率が60〜98%(濁度計にて測定する)となるように後述するシリカ粉末との組合せを適宜選択して使用すると、義歯の義歯床に使用した際に識別情報が目立たず外部から簡単に視認されない。
【0015】
(メタ)アクリレートモノマーは歯科用組成物中に88〜97重量%配合されていることが必要である。88重量%未満又は97重量%を超えると重合前の操作性が悪くなる。
【0016】
本発明に係る組成物キットの歯科用組成物においては、前述の(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて重合硬化後に適度な透過率(濁度計にて測定した数値が60〜98%)を得るために、平均粒子径が非常に小さなシリカ粉末を使用する。シリカ粉末としては、長石、石英及びヒュームドシリカの粉末を例示できる。これらシリカ粉末は、平均粒径0.01〜1μmのものが用いられる。0.01μm未満では歯科用組成物の重合前の操作性が悪化し、平均粒径が1μmを超えると、本発明において歯科用組成物が重合硬化したものにおいて、義歯の義歯床の表面との密着性が悪くなる。
【0017】
シリカ粉末は歯科用組成物中に1〜10重量%配合されていることが必要である。1重量%未満では歯科用組成物の重合前の操作性が悪化し、10重量%を超えると重合後に義歯の義歯床の表面との密着性が悪くなる。
【0018】
前記シリカ粉末は、予めカップリング剤を用いて表面処理したものを用いることが好ましい。カップリング剤としては、オルガノファンクショナルシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤が使用できる。カップリング処理は、従来のカップリング処理と同様に、シリカ粉末とカップリング剤とを適宜混合すればよい。
【0019】
本発明において、歯科用組成物には必要に応じ、重合前の操作性を向上させるために有機無機複合充填材を0.1〜5重量%使用できる。
【0020】
有機無機複合充填材の作製方法は、前記シリカ粉末を、歯科用組成物において使用するものとして説明した前記の(メタ)アクリレートモノマーから選択された1種又は2種以上のモノマーに加熱重合開始剤、例えば、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、更に必要に応じ前記したカップリング剤、着色剤、酸化安定剤、紫外線吸収剤、顔料等を適宜添加し、攪拌混合し、そして80〜120℃で重合させ、ボールミル等で平均粒径1〜50μm程度に粉砕することで得られたものを採用することができる。平均粒径が1μm未満では、比表面積が大きくなり、歯科用組成物とする際、他の成分との均一な混合に長時間を要する上に、硬くなり易く、作業性が劣ることになり好ましくない。平均粒径が50μmを超えると、義歯の義歯床の表面との密着性が悪くなり好ましくない。有機無機複合充填材の配合量が0.1重量%未満では有機無機複合充填材を配合する効果が得られ難く、5重量%を超えると義歯の義歯床の表面との密着性が悪くなり好ましくない。
【0021】
本発明において、歯科用組成物には、蛍光剤を0.1〜2重量%配合する。蛍光剤は、歯科用の光照射器で蛍光反応を示すものが使用可能であり、具体的には有機蛍光材料が使用可能である。例えば、フタル酸誘導体〔ジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート、o−フタルアルデヒド〕、チオフェン誘導体〔2,5−ビス(5’−t−ブチルベンゾオキサゾリル−2’)チオフェン、2,5−ビス(6,6’−ビス(tert−ブチル)−ベンゾオキサゾール−2−イル)チオフェン〕、クマリン誘導体(3−フェニル−7−(4−メチル−5−フェニル−1,2,3−トリアゾール−2−イル)クマリン、3−フェニル−7−(2H−ナフト〔1,2−d〕−トリアゾール−2−イル)クマリン)、ナフタールイミド誘導体〔N−メチル−5−メトキシナフタールイミド〕、スチルベン誘導体〔4,4’−ビス(ジフェニルトリアジニル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン〕、ベンゾチアゾール誘導体、フタルイミド誘導体、フルオラントレン(fluoranthrene)誘導体、ペリレン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、ピラノ−ベンゾピラン−2,5−ジオン誘導体、ピラノ−キノリン−2,5誘導体、ピラゾールキノキサリン誘導体、2−ピラノ−イソキノリン−3,6−ジオン誘導体、ベンズイミダゾ−ベンズ−イソキノリン−7−オン誘導体、アクリジン誘導体等が挙げられ、これらの中ではフタル誘導体及びチオフェン誘導体が好ましい。
【0022】
本発明において、歯科用組成物に使用する蛍光剤としては、無機蛍光材料、例えば、タングステン酸カルシウム、ヒ酸マグネシウムカルシウム、ケイ酸バリウム、リン酸カルシウム及びリン酸カルシウム亜鉛等のアルカリ土類金属の硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩も使用できる。
【0023】
蛍光剤は前記無機蛍光材料と前記有機蛍光材料との組合せも可能であり、例えば、酸化亜鉛/酸化マグネシウムとジヒドロキシテレフタル酸エステル(Hoechst Celanese社からLumilux Blue LX #52055として販売されている)の混合物が有用である。
【0024】
蛍光剤の励起波長ピークは、310〜430nmが好ましく、350〜400nmがより好ましい。蛍光剤の含有量は、歯科用組成物中に0.1〜2重量%配合されていることが必要であり、0.5〜1重量%が特に好ましい。従来からコンポジットレジンやセメント等の歯科用組成物には歯牙の色調に合わせるために蛍光剤を配合する場合があったが、その場合の配合量は歯牙の色調に合わせるために0.1重量%未満であった。
【0025】
本発明において、歯科用組成物に使用する光重合触媒としては、増感剤と還元剤の組合わせが一般に用いられる。増感剤としては、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4′−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキサイドの誘導体、アジド基を含む化合物等が例示でき、これらは、単独もしくは混合して使用される。
【0026】
還元剤としては、第3級アミンが一般に使用される。第3級アミンとしては、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルが例示できる。また、他の還元剤として、ベンゾイルパーオキサイド、スルフィン酸ソーダ誘導体、有機金属化合物等が挙げられる。
光重合型開始剤は、紫外線又は可視光線等の活性光線を照射することにより重合反応が達せられる。光源としては超高圧、高圧、中圧及び低圧の各種水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、アルゴンイオンレーザー、発光ダイオードを使用した歯科用光照射装置等が使用される。
【0027】
光重合触媒は歯科用組成物中に0.2〜0.6重量%配合される。0.2重量%未満では硬化が不十分となり、0.6重量%を超えると保存性が低下する。
【0028】
本発明において、歯科用組成物には必要に応じ着色剤を0.01〜2重量%含ませることがある。着色剤の配合は、義歯の義歯床に合わせてピンクや赤色に着色すると効果的である。ただし、光重合に影響を与えず、通常の使用で外部から容易に識別情報が認識されないように僅かな着色に抑える必要がある。
【0029】
更に、重合禁止剤、酸化安定剤、紫外線吸収剤、顔料(例えば、二酸化チタン)、染料を歯科用組成物に添加することができる。
【0030】
前述の歯科用組成物は、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの重量割合が1:1〜1:3から成る単量体混合物:60〜90重量%と,ジ(メタ)アクリレートモノマー:10〜40重量%とから成る単量体混合物100重量部に対して,光重合触媒:0.04〜0.5重量部を添加した歯科用プライマーと組み合わせて歯科用組成物キットとすることで記録後の位置が全く目立たなくさせることができる。
【0031】
2−ヒドロキシエチルメタクリレートは、歯科用プライマー中に添加されるテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートとジ(メタ)アクリレートモノマーとを溶融させる溶剤としての役目を成すと共に自らも重合硬化して基材の役目を成すもので、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートに対してその重量割合が1〜3倍になるように添加される。
【0032】
歯科用プライマーに使用されるテトラヒドロフルフリル(メタ)クリレートは、義歯の義歯床の表面に塗布し易くする効果と切削によって荒れた面を整える効果とを有する物質であり、前述した歯科用組成物に使用されている1つの不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレートモノマーの中の1つである。テトラヒドロフルフリル(メタ)クリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの重量割合が1:1〜1:3から成る単量体混合物の配合量は60〜90重量%であり、60重量%未満では効果が得られず、90重量%を超えると後に適用する歯科用組成物の接着性が低下する。
【0033】
ジ(メタ)アクリレートモノマーは、歯科用プライマーの強度を得るため及び接着性を高めるために歯科用プライマー中に10〜40重量%配合される。10重量%未満では十分な効果が得られず、40重量%を超えるとかえって強度が低下する。
【0034】
光重合触媒は、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの重量割合が1:1〜1:3から成る単量体混合物:60〜90重量%と,ジ(メタ)アクリレートモノマー:10〜40重量%とから成る単量体混合物100重量部に対して,歯科用プライマー中に0.04〜0.5重量%配合される。この光重合触媒は前述の歯科用組成物と同じ物質が利用できる。歯科用プライマーは光重合させることで接着剤としての効果を発揮する。光重合触媒が0.04重量%未満では効果が不十分となり、0.5重量%を超えると歯科用組成物との接着性が低下する。
【0035】
本発明に係る組成物キットの使用方法は、完成した義歯の義歯床の表面を例えば文字や記号を構成するように削り取ることによって識別情報記録部を形成する。義歯の義歯床の表面に識別情報記録部を形成する手段は切削バーや刻刀類等である。識別情報記録部の識別情報は個人名,住所,所属団体,連絡先等が挙げられるが、特に限定されない。識別情報は比較的大きな、例えば1文字が2mm四方以上の大きさで記録されていると、後に識別情報を確認する際に特別な拡大装置等を必要としないため好ましい。
【0036】
削り取られた識別情報記録部に歯科用プライマーを筆等を用いて塗布する。塗布後に光照射器を用いて光照射し重合させる。
次に、歯科用プライマーが塗布・重合された部位に歯科用組成物を充填する。充填操作は、例えばシリンジ等に充填された歯科用組成物をそのシリンジのノズルから押し出して義歯の義歯床の表面の切削された部位に充填すればよい。
次に、充填された歯科用組成物に歯科用プライマーと同様に光照射を行い重合硬化させる。そして硬化後の表面を研磨することで識別情報を含んだ義歯が作製される。
【0037】
作製された義歯の識別情報の記録部位は、ほぼ透明又は義歯の義歯床と同色であるために、そのまま口腔内で使用される。従って、その時点では外部から簡単に視認されることはなく、また使用者自身も気にかけることはない。
しかし、識別情報を確認する状況、即ち、不運にも使用者が災害に遭遇し、義歯が残った場合には、義歯の義歯床の表面に対して波長310〜430nmにピークを有する光を照射することによって識別情報を確認することができるのである。