特許第5894883号(P5894883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894883
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/42 20060101AFI20160317BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   B65D47/42 C
   B65D83/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-170631(P2012-170631)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-28646(P2014-28646A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−168391(JP,A)
【文献】 特開2004−091003(JP,A)
【文献】 実開平05−051785(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/42
B65D 83/00
A45D 34/04
A61M 35/00
B05C 17/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、内容物を被塗布部に塗布する塗布部を有するとともに前記容器本体に装着された塗布栓と、前記塗布栓に着脱可能に装着され前記塗布部を覆う有頂筒状のオーバーキャップと、を備え、
前記塗布栓には、前記容器本体の口部に装着され、外周面に前記オーバーキャップが着脱可能に外装される装着筒部材と、前記装着筒部材上に配置されるとともに前記塗布部が配設された操作筒部材と、が備えられ、
前記装着筒部材は、この装着筒部材の軸線に対して偏心された回転軸回りに前記操作筒部材を回転可能に支持し、
前記操作筒部材は、前記回転軸回りに回転させられることで、この操作筒部材のうち、前記塗布部が配設された部分に開口する吐出孔と前記口部内との連通を遮断する閉位置と、前記吐出孔と前記口部内とを連通する開位置と、の間を移動させられ、
前記操作筒部材は、前記閉位置で、前記装着筒部材と同軸に配置されるとともに、前記装着筒部材のうち、前記オーバーキャップが外装される被着部分の外周面よりも、前記装着筒部材の径方向の外側に突出しないように位置し、
前記操作筒部材は、前記開位置で、この操作筒部材の一部が前記被着部分の外周面よりも前記径方向の外側に突出するように構成されていることを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
請求項1記載の塗布容器であって、
前記装着筒部材および前記操作筒部材は、横断面視扁平形状とされ、
前記装着筒部材は、前記回転軸が前記軸線に対してこの装着筒部材の長軸方向に偏心されるように、前記操作筒部材を支持し、
前記操作筒部材の長軸は、この操作筒部材が前記閉位置および前記開位置それぞれに位置する状態で、前記長軸方向に延在し、
前記操作筒部材は、この操作筒部材のうち、前記回転軸に対して前記長軸方向の両側に位置する各部分が入れ替えられるように前記回転軸回りに回転させられることで、前記閉位置と前記開位置との間を移動させられることを特徴とする塗布容器。
【請求項3】
請求項2記載の塗布容器であって、
前記容器本体は、横断面視扁平形状とされ、
前記容器本体の長軸は、前記長軸方向に延在していることを特徴とする塗布容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の塗布容器であって、
前記装着筒部材および前記操作筒部材には、前記操作筒部材が前記開位置から前記回転軸回りに回転させられて前記閉位置に到達するとき、または前記操作筒部材が前記閉位置から前記回転軸回りに回転させられて前記開位置に到達するときに、互いに前記回転軸回りに乗り越える乗り越え部が各別に形成されていることを特徴とする塗布容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の塗布容器であって、
前記装着筒部材および前記操作筒部材のうち、一方には、前記回転軸回りに延在する周溝が設けられ、他方には、前記周溝内に配置され、前記操作筒部材が前記回転軸回りに回転させられることで前記周溝内を移動する凸部が設けられ、
前記凸部は、前記操作筒部材が前記閉位置および前記開位置の間で移動させられることで、前記周溝の前記回転軸回りの両端部間を移動させられることを特徴とする塗布容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の塗布容器であって、
前記オーバーキャップは、前記操作筒部材が前記閉位置に位置する状態で、前記装着筒部材および前記操作筒部材の両方に着脱可能に外嵌されることを特徴とする塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような塗布容器が知られている。この塗布容器は、内容物が収容される容器本体と、内容物を被塗布部に塗布する塗布部を有するとともに容器本体の口部に装着された塗布栓と、塗布栓に着脱可能に装着され塗布部を覆う有頂筒状のオーバーキャップと、を備えている。塗布栓には、容器本体の口部に装着されたベースキャップと、ベースキャップ上に配置されるとともに塗布部が配設された中栓と、が備えられている。ベースキャップは、中栓を、容器本体の軸線回りに回転可能に支持している。中栓は、前記軸線回りに回転させられることで、中栓のうち、塗布部が配設された部分に開口する吐出孔と容器本体の口部内との連通を遮断する閉位置と、吐出孔と口部内とを連通する開位置と、の間を移動させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−168391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の塗布容器では、中栓が開位置に位置する状態で、オーバーキャップを塗布栓に誤って装着させることがある。この場合、塗布栓にオーバーキャップが装着されていても、吐出孔と容器本体の口部内とが連通していることから、内容物が吐出孔から吐出されるおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、吐出孔と容器本体の口部内とが連通した状態で、塗布栓にオーバーキャップが装着されるのを防止することができる塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る塗布容器は、内容物が収容される容器本体と、内容物を被塗布部に塗布する塗布部を有するとともに前記容器本体に装着された塗布栓と、前記塗布栓に着脱可能に装着され前記塗布部を覆う有頂筒状のオーバーキャップと、を備え、前記塗布栓には、前記容器本体の口部に装着され、外周面に前記オーバーキャップが着脱可能に外装される装着筒部材と、前記装着筒部材上に配置されるとともに前記塗布部が配設された操作筒部材と、が備えられ、前記装着筒部材は、この装着筒部材の軸線に対して偏心された回転軸回りに前記操作筒部材を回転可能に支持し、前記操作筒部材は、前記回転軸回りに回転させられることで、この操作筒部材のうち、前記塗布部が配設された部分に開口する吐出孔と前記口部内との連通を遮断する閉位置と、前記吐出孔と前記口部内とを連通する開位置と、の間を移動させられ、前記操作筒部材は、前記閉位置で、前記装着筒部材と同軸に配置されるとともに、前記装着筒部材のうち、前記オーバーキャップが外装される被着部分の外周面よりも、前記装着筒部材の径方向の外側に突出しないように位置し、前記操作筒部材は、前記開位置で、この操作筒部材の一部が前記被着部分の外周面よりも前記径方向の外側に突出するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、操作筒部材が閉位置に位置する状態では、この操作筒部材が、装着筒部材の被着部分の外周面よりも前記径方向の外側に突出しないように位置しており、オーバーキャップを、操作筒部材に邪魔されることなく被着部分の外周面に外装させることができる。
ここで、操作筒部材を閉位置から開位置に移動させるときには、この操作筒部材を、装着筒部材の軸線に対して偏心された回転軸回りに回転させる。これにより、開位置に位置する操作筒部材を、装着筒部材に対して偏心させることが可能になり、この操作筒部材の一部を、装着筒部材の被着部分の外周面よりも前記径方向の外側に突出させることができる。その結果、操作筒部材が開位置に位置する状態では、この操作筒部材のうち、被着部分の外周面から前記径方向に突出する部分が邪魔となり、オーバーキャップを被着部分の外周面に外装させることができなくなる。したがって、吐出孔と容器本体の口部内とが連通した状態で、塗布栓にオーバーキャップが装着されるのを防止することができる
【0008】
また、前記装着筒部材および前記操作筒部材は、横断面視扁平形状とされ、前記装着筒部材は、前記回転軸が前記軸線に対してこの装着筒部材の長軸方向に偏心されるように、前記操作筒部材を支持し、前記操作筒部材の長軸は、この操作筒部材が前記閉位置および前記開位置それぞれに位置する状態で、前記長軸方向に延在し、前記操作筒部材は、この操作筒部材のうち、前記回転軸に対して前記長軸方向の両側に位置する各部分が入れ替えられるように前記回転軸回りに回転させられることで、前記閉位置と前記開位置との間を移動させられてもよい。
【0009】
この場合、操作筒部材のうち、回転軸に対して装着筒部材の長軸方向の両側に位置する各部分が入れ替えられるように回転軸回りに回転させられることで、操作筒部材が、閉位置と開位置との間を移動させられるので、操作筒部材が開位置に位置する状態で、操作筒部材を装着筒部材に対して装着筒部材の長軸方向に大きく偏心させることができる。これにより、操作筒部材の一部を、装着筒部材の被着部分の外周面よりも確実に突出させることが可能になり、操作筒部材が閉位置または開位置のいずれに位置するかを視覚的に認識し易くすることができるとともに、塗布栓にオーバーキャップが装着されるのを確実に防止することができる。
【0010】
また、前記容器本体は、横断面視扁平形状とされ、前記容器本体の長軸は、前記長軸方向に延在していてもよい。
【0011】
この場合、容器本体の長軸が、装着筒部材の長軸方向に延在しているので、操作筒部材が開位置に位置する状態で、容器本体および操作筒部材それぞれの両長軸を、装着筒部材の長軸方向に延在させることができる。これにより、例えばこの塗布容器を把持する等して内容物を被塗布部に塗布するとき等に、操作性を確保し易くすることができる。
【0012】
また、前記装着筒部材および前記操作筒部材には、前記操作筒部材が前記開位置から前記回転軸回りに回転させられて前記閉位置に到達するとき、または前記操作筒部材が前記閉位置から前記回転軸回りに回転させられて前記開位置に到達するときに、互いに前記回転軸回りに乗り越える乗り越え部が各別に形成されていてもよい。
【0013】
この場合、装着筒部材および操作筒部材に、前記乗り越え部が形成されているので、操作筒部材が開位置から回転軸回りに回転させられて閉位置に到達するとき、または操作筒部材が閉位置から回転軸回りに回転させられて開位置に到達するときに、これらの乗り越え部が互いに回転軸回りに乗り越えることでクリック感を得ることができる。したがって、このクリック感に基づいて、操作筒部材が閉位置または開位置に到達したことを容易に認識することが可能になり、操作筒部材を閉位置または開位置に高精度に位置させ易くすることができる。
【0014】
また、前記装着筒部材および前記操作筒部材のうち、一方には、前記回転軸回りに延在する周溝が設けられ、他方には、前記周溝内に配置され、前記操作筒部材が前記回転軸回りに回転させられることで前記周溝内を移動する凸部が設けられ、前記凸部は、前記操作筒部材が前記閉位置および前記開位置の間で移動させられることで、前記周溝の前記回転軸回りの両端部間を移動させられてもよい。
【0015】
この場合、操作筒部材が閉位置および開位置の間で移動させられることで、凸部が、周溝の回転軸回りの両端部間を移動させられるので、操作筒部材が開位置から回転軸回りに回転させられて閉位置に到達したとき、および操作筒部材が閉位置から回転軸回りに回転させられて開位置に到達したときのいずれの場合においても、凸部を、周溝の壁面のうち、回転軸回りの内側を向く周端面に突き当てて、操作筒部材の更なる回転を規制することができる。これにより、操作筒部材を閉位置または開位置に高精度に位置させ易くすることができる。
【0016】
また、前記オーバーキャップは、前記操作筒部材が前記閉位置に位置する状態で、前記装着筒部材および前記操作筒部材の両方に着脱可能に外嵌されてもよい。
【0017】
この場合、操作筒部材が閉位置に位置する状態で、オーバーキャップが装着筒部材および操作筒部材の両方に外嵌されることから、塗布栓にオーバーキャップが装着された状態で、操作筒部材の回転軸回りの回転をオーバーキャップにより規制することが可能になり、操作筒部材が閉位置から開位置に移動するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る塗布容器によれば、吐出孔と容器本体の口部内とが連通した状態で、塗布栓にオーバーキャップが装着されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る塗布容器であって、操作筒部材が閉位置に位置する状態を示す要部の縦断面図である。
図2図1に示す塗布容器についての図1とは異なる方向に沿った縦断面図である。
図3図1に示す塗布容器の平面図である。
図4図1に示す塗布容器であって、操作筒部材が開位置に位置する状態を示す要部の縦断面図である。
図5図4に示す塗布容器の平面図である。
図6図1に示すA−A断面矢視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る塗布容器であって、操作筒部材が閉位置に位置する状態を示す要部の縦断面図である。
図8図7に示す塗布容器の平面図である。
図9図7に示す塗布容器であって、操作筒部材が開位置に位置する状態を示す要部の縦断面図である。
図10図9に示す塗布容器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る塗布容器を説明する。
図1および図2に示すように、塗布容器10は、内容物が収容される容器本体11と、容器本体11に装着される塗布栓12と、塗布栓12に着脱可能に装着される有頂筒状のオーバーキャップ13と、を備えている。
【0021】
容器本体11は、有底筒状に形成されている。容器本体11は、図示しない底部、筒状の胴部14、環板状の肩部15、および筒状の口部16を備えており、これらの胴部14、肩部15および口部16の各中心軸は共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸O1といい、容器軸O1方向に沿って前記底部側を下側、その反対側を上側という。また、容器軸O1に直交する方向を径方向という。
【0022】
容器本体11は、この容器本体11の内側に向けて弾性変形可能とされており、容器本体11の胴部14は、スクイズ変形させられた後、復元変形可能となっている。容器本体11は横断面視扁平形状とされ、図示の例では、容器本体11のうちの胴部14が横断面視扁平形状となっている。
【0023】
肩部15の外周縁部は、胴部14の上端部に連結されている。肩部15は、外周縁部から内周縁部に向かうに従い漸次上方に向かっている。肩部15の内周縁部には、口部16が立設されている。口部16は、下側から上側に向かうに従い漸次、段状に縮径する多段筒状に形成されている。口部16は、大径の下筒部16aと小径の上筒部16bとを備える2段筒状に形成されている。
【0024】
塗布栓12は、容器本体11の口部16に装着された装着筒部材17と、装着筒部材17上に配置された操作筒部材18と、操作筒部材18に配設された塗布部19と、を備えている。
装着筒部材17は、容器軸O1と同軸に配置されており、装着筒部材17の軸線は、容器軸O1上に配置されている。装着筒部材17は、2重筒状に形成されている。装着筒部材17は、内周壁部20および外周壁部21と、これらの両周壁部20、21の上端部同士を連結する連結部22と、を備えている。
【0025】
内周壁部20は、容器本体11の口部16の前記下筒部16aに外装され、図示の例では螺着されている。連結部22は、表裏面が容器軸O1方向を向く環板状に形成されている。連結部22は、内周壁部20の上端部から径方向の外側に向けて突設されている。外周壁部21は、この装着筒部材17における最大外径部を構成している。外周壁部21は、上方から下方に向かうに従い漸次、段状に拡径する多段筒状に形成されている。外周壁部21は、上側の小径部(被着部分)21aと下側の大径部21bとを備える2段筒状に形成されている。
【0026】
図3に示すように、装着筒部材17は、横断面視扁平形状とされ、図示の例では、装着筒部材17のうちの外周壁部21が、横断面視扁平形状となっている。装着筒部材17の長軸L1および短軸L2は、容器軸O1上で互いに直交している。
なお前記容器本体11の長軸は、装着筒部材17の長軸L1方向に延在しており、容器本体11の胴部14、および装着筒部材17の外周壁部21の前記大径部21bの両横断面視形状は、互いに同等となっている。
【0027】
図2に示すように、容器本体11と装着筒部材17との間には、両者の相対的な容器軸O1回りの回転を規制する規制部23が設けられている。規制部23は、容器本体11および装着筒部材17それぞれに突起状に形成され、これらの規制部23が容器軸O1回りに互いに係合し合うことで、容器本体11と装着筒部材17との相対的な回転が規制されている。
【0028】
図1に示すように、装着筒部材17には、円筒状の立ち上がり筒部24、円柱状の基軸部25およびシール筒部26が設けられている。
立ち上がり筒部24は、前記連結部22の内周縁部に立設され、容器軸O1方向に延在している。立ち上がり筒部24は、容器軸O1に対して前記長軸L1方向に偏心させられている。
【0029】
基軸部25は、立ち上がり筒部24内に配置されている。基軸部25は、容器軸O1方向に延在し、立ち上がり筒部24と同軸に配置されている。基軸部25の下端部は、立ち上がり筒部24における容器軸O1方向の中央部に連結されている。基軸部25と立ち上がり筒部24との間のうち、両者の連結部分よりも上側に位置する部分内には、上方に向けて開口する環状空間27が設けられている。基軸部25の下端部は、容器本体11の口部16の上方に位置し、基軸部25の下端部と口部16の開口端縁との間には、容器軸O1方向の隙間があいている。
【0030】
シール筒部26は、立ち上がり筒部24と基軸部25との連結部分から下方に向けて延設されている。シール筒部26は、容器本体11の口部16の前記上筒部16bに液密に外嵌されている。
前記基軸部25には、容器本体11の口部16内と前記環状空間27とを連通する連通孔28が形成されている。連通孔28は、基軸部25の下端部に容器軸O1方向に延設され、連通孔28の下端開口部は、基軸部25の下端面から前記シール筒部26内に開口し、連通孔28の上端開口部は、基軸部25の外周面から環状空間27内に開口している。
【0031】
操作筒部材18は、容器軸O1方向に延在する有底筒状の本体筒部29および2重筒状の外装筒部30を備えている。図3に示すように、操作筒部材18は横断面視扁平形状とされ、図示の例では、操作筒部材18のうちの本体筒部29および外装筒部30が横断面視扁平形状となっている。
【0032】
図1に示すように、本体筒部29の底壁部(操作筒部材のうち、塗布部が配設された部分)29aには、容器本体11の口部16内と連通可能な吐出孔31が形成されている。吐出孔31は、底壁部29aを容器軸O1方向に貫通している。吐出孔31は、装着筒部材17の前記基軸部25と同軸に配置されている。吐出孔31は、本体筒部29の底壁部29aに立設された突出筒部32内に連通している。突出筒部32は、本体筒部29と同軸に配置されている。
【0033】
外装筒部30は、この操作筒部材18における最大外径部を構成している。外装筒部30の内筒部33および外筒部34の上端部同士は互いに連結され、これらの内筒部33と外筒部34との間に、前記本体筒部29の周壁部が挟み込まれている。
外装筒部30は、本体筒部29の底壁部29aよりも上側の拡径部34aと下側の同径部34bとを備えている。拡径部34aは、上方から下方に向かうに従い漸次拡径し、内筒部33との間に本体筒部29の周壁部を挟み込んでいる。同径部34bは、容器軸O1方向の全長にわたって同径とされている。
【0034】
ここで装着筒部材17は、操作筒部材18を、容器軸O1に対して偏心された回転軸O2回りに回転可能に支持している。装着筒部材17は、回転軸O2が容器軸O1に対して前記長軸L1方向に偏心されるように、操作筒部材18を支持している。回転軸O2は、装着筒部材17の前記立ち上がり筒部24および前記基軸部25の各中心軸が位置する共通軸とされている。図3に示すように、回転軸O2は、装着筒部材17の長軸L1上に位置し、容器軸O1に対して、装着筒部材17の短軸L2方向には偏心されていない。
【0035】
図1に示すように、操作筒部材18の本体筒部29には、回転軸O2と同軸に配置された内垂下筒部35aおよび外垂下筒部35bが下方に向けて延設されている。内垂下筒部35aは、装着筒部材17の前記基軸部25に、回転軸O2回りに摺動可能に液密に外嵌している。内垂下筒部35a内は、操作筒部材18の前記吐出孔31に連通しており、本体筒部29の底壁部29aと装着筒部材17の基軸部25の上端部との間には、容器軸O1方向の隙間が設けられている。外垂下筒部35bは、立ち上がり筒部24に回転軸O2回りに摺動可能に液密に嵌合している。外垂下筒部35bは、2重筒状に形成されており、立ち上がり筒部24は、外垂下筒部35bの両筒部の間に嵌合されている。
【0036】
操作筒部材18は、回転軸O2回りに回転させられることで、図1に示すような閉位置と、図4に示すような開位置と、の間を移動させられる。
図4に示すように、操作筒部材18は、開位置で、前記吐出孔31と容器本体11の口部16内とを連通する。操作筒部材18が開位置に位置する状態では、装着筒部材17の基軸部25と、操作筒部材18の内垂下筒部35aと、の周面同士の間に、吐出孔31と口部16内とを連通する連通路36が形成される。連通路36は、基軸部25および内垂下筒部35aの両周面に各別に形成された溝部が互いに連通することで形成される。
一方、図1に示すように、操作筒部材18は、閉位置で、吐出孔31と口部16内との連通を遮断する。操作筒部材18が開位置に位置する状態では、前記溝部同士の連通が遮断されており、基軸部25および内垂下筒部35aの周面同士の間を通した吐出孔31と口部16内との連通が遮断されている。
【0037】
図1から図5に示すように、操作筒部材18の長軸は、この操作筒部材18が閉位置および開位置それぞれに位置する状態で、前記長軸(装着筒部材の長軸)L1方向に延在している。
図1および図3に示すように、操作筒部材18は、閉位置で、装着筒部材17と同軸に配置されるとともに、装着筒部材17の小径部21aの外周面よりも径方向の外側に突出しないように位置している。操作筒部材18の外周面は、この操作筒部材18が閉位置に位置する状態で、前記小径部21aの外周面に対して、径方向に沿って同等の位置に、または径方向の内側に配置されている。図示の例では、操作筒部材18の前記同径部34bの外周面は、この外周面の全周にわたって、小径部21aの外周面と径方向に沿って同等の位置に配置されており、小径部21aの横断面視形状と同径部34bの横断面視形状とは、互いに同等とされている。
【0038】
そして本実施形態では、図4および図5に示すように、操作筒部材18は、開位置で、この操作筒部材18の一部が、装着筒部材17の小径部21aの外周面よりも径方向の外側に突出するように構成されている。操作筒部材18は、この操作筒部材18のうち、回転軸O2に対して前記長軸L1方向の両側に位置する各部分が入れ替えられるように回転軸O2回りに回転させられることで、閉位置と開位置との間を移動させられる。操作筒部材18は、閉位置と開位置との間を、回転軸O2回りに180°回転させられ、開位置で、装着筒部材17に対して前記長軸L1方向に偏心させられる。操作筒部材18は、開位置で、この操作筒部材18のうちの外装筒部30が、装着筒部材17の小径部21aよりも前記長軸L1方向の外側に突出するように構成されている。
【0039】
なお図4に示すように、操作筒部材18が、開位置で、装着筒部材17の大径部21bの外周面よりも径方向の外側に突出しないように位置していてもよい。つまり操作筒部材18の外周面が、この操作筒部材18が開位置に位置する状態で、大径部21bの外周面に対して、径方向に沿って同等の位置に、または径方向の内側に配置されていてもよい。この場合、この塗布容器10によって内容物を円滑に塗布し易くすることができる。
【0040】
ここで図6に示すように、装着筒部材17および操作筒部材18のうち、一方には、回転軸O2回りに延在する周溝39が設けられ、他方には、周溝39内に配置され、操作筒部材18が回転軸O2回りに回転させられることで周溝39内を移動する凸部40が設けられている。本実施形態では、周溝39は、装着筒部材17に設けられ、立ち上がり筒部24の周面に形成されている。凸部40は、操作筒部材18に設けられ、外垂下筒部35bの周面に縦リブ状に突設されている。凸部40は、操作筒部材18が閉位置および開位置の間で移動させられることで、周溝39の回転軸O2回りの両端部間を移動させられる。
【0041】
さらに図2および図6に示すように、装着筒部材17および操作筒部材18には、操作筒部材18が開位置から回転軸O2回りに回転させられて閉位置に到達するとき、または操作筒部材18が閉位置から回転軸O2回りに回転させられて開位置に到達するときに、互いに回転軸O2回りに乗り越える乗り越え部41、42が各別に形成されている。乗り越え部41、42には、主乗り越え部41と副乗り越え部42とが備えられている。
【0042】
図2に示すように、主乗り越え部41には、装着筒部材17の立ち上がり筒部24及び連結部22に形成された第1主乗り越え部41aと、操作筒部材18の外装筒部30に形成された第2主乗り越え部41bと、が備えられている。第1主乗り越え部41aは、回転軸O2回りに間隔をあけて一対配置されている。第1主乗り越え部41aは、表裏面が回転軸O2回りを向く板状に形成されている。第1主乗り越え部41aは、立ち上がり筒部24の外周面に突設され、第1主乗り越え部41aの下端部は、連結部22に連結されている。第2主乗り越え部41bは、外装筒部30の内周面に縦リブ状に突設されている。
【0043】
第2主乗り越え部41bは、操作筒部材18が開位置から回転軸O2回りに回転させられて閉位置に到達するときに、両第1主乗り越え部41aのうちの一方を乗り越える。また第2主乗り越え部41bは、操作筒部材18が閉位置から回転軸O2回りに回転させられて開位置に到達するときに、両第1主乗り越え部41aのうちの他方を乗り越える。なお、第2主乗り越え部41bが第1主乗り越え部41aを乗り越えるときに、第1主乗り越え部41aが回転軸O2回りに弾性変形することで、乗り越えを認識可能な乗り越え音を生じさせてもよい。
【0044】
図6に示すように、副乗り越え部42には、装着筒部材17の立ち上がり筒部24に形成された第1副乗り越え部42aと、操作筒部材18の外垂下筒部35bに形成された第2副乗り越え部42bと、が備えられている。第1副乗り越え部42aは、回転軸O2回りに間隔をあけて一対配置されている。第1副乗り越え部42aは、周溝39の径方向を向く壁面に突設されている。第2副乗り越え部42bは、前記凸部40により構成されている。
【0045】
凸部40は、操作筒部材18が開位置から回転軸O2回りに回転させられて閉位置に到達するときに、両第1副乗り越え部42aのうちの一方を乗り越え、周溝39の一方の端部内に配置される。また凸部40は、操作筒部材18が閉位置から回転軸O2回りに回転させられて開位置に到達するときに、両第1副乗り越え部42aのうちの他方を乗り越え、周溝39の他方の端部内に配置される。
【0046】
ここで、操作筒部材18が閉位置または開位置に位置する状態では、凸部40が、周溝39の端部内に配置され、周溝39の壁面のうち、回転軸O2回りの内側を向く周端面と、第1副乗り越え部42aと、の間に位置しており、凸部40の回転軸O2回りの移動が規制される。つまり周溝39、凸部40および第1副乗り越え部42aは、操作筒部材18が閉位置または開位置に位置する状態で、操作筒部材18の回転軸O2回りの回転を規制し、操作筒部材18を閉位置または開位置に保持する保持手段43を形成している。
【0047】
図1に示すように、塗布部19は、操作筒部材18の前記底壁部29aに配設されている。塗布部19は、底壁部29aから上方に向けて延在し、操作筒部材18の外装筒部30内から上方に向けて突出している。本実施形態では、塗布部19には、吐出孔31から吐出された内容物が含浸され、塗布部19は、この含浸した内容物を塗布する。塗布部19は、例えば1本または多数本のブラシやフェルト、スポンジ等により構成される。塗布部19は、操作筒部材18と一体に成形されていてもよく、別体に成形されていてもよい。
【0048】
なお塗布部19として、例えば操作筒部材18と別体に形成されるとともに、突出筒部32が挿入される挿入孔が設けられ、かつ前記底壁部29aに対向する面を焼き固め、この対向面からの内容物の含浸を抑制するなどした構成を採用してもよい。この場合、突出筒部32からの内容物が塗布部19内に効率よく含浸され易くなる。
さらに、操作筒部材18に突出筒部32を複数形成し、塗布部19として、前記挿入孔を複数設けた構成を採用してもよい。
【0049】
オーバーキャップ13は、装着筒部材17の前記小径部21aの外周面に外装され、塗布部19を覆っている。オーバーキャップ13の内径は、このオーバーキャップ13の容器軸O1方向の全長にわたって同等である。図1および図2に示すように、オーバーキャップ13は、操作筒部材18が閉位置に位置する状態で、装着筒部材17および操作筒部材18の両方に着脱可能に外嵌される。オーバーキャップ13は、装着筒部材17の前記小径部21a、および操作筒部材18の前記同径部34bに一体に外嵌される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る塗布容器10によれば、図1に示すように、操作筒部材18が閉位置に位置する状態では、この操作筒部材18が、装着筒部材17の小径部21aの外周面から径方向の外側に突出しないように位置しており、オーバーキャップ13を、操作筒部材18に邪魔されることなく小径部21aの外周面に外装させることができる。
【0051】
ここで図4に示すように、操作筒部材18を閉位置から開位置に移動させるときには、この操作筒部材18を、装着筒部材17の軸線に対して偏心された回転軸O2回りに回転させる。これにより、開位置に位置する操作筒部材18を、装着筒部材17に対して偏心させることが可能になり、この操作筒部材18の一部を、装着筒部材17の小径部21aの外周面よりも径方向の外側に突出させることができる。その結果、操作筒部材18が開位置に位置する状態では、この操作筒部材18のうち、小径部21aの外周面から径方向に突出する部分が邪魔となり、オーバーキャップ13を小径部21aの外周面に外装させることができなくなる。したがって、吐出孔31と容器本体11の口部16内とが連通した状態で、塗布栓12にオーバーキャップ13が装着されるのを防止することができる
【0052】
また操作筒部材18のうち、回転軸O2に対して前記長軸L1方向の両側に位置する各部分が入れ替えられるように回転軸O2回りに回転させられることで、操作筒部材18が、閉位置と開位置との間を移動させられるので、操作筒部材18が開位置に位置する状態で、操作筒部材18を装着筒部材17に対して前記長軸L1方向に大きく偏心させることができる。これにより、操作筒部材18の一部を、装着筒部材17の小径部21aの外周面よりも確実に突出させることが可能になり、操作筒部材18が閉位置または開位置のいずれに位置するかを視覚的に認識し易くすることができるとともに、塗布栓12にオーバーキャップ13が装着されるのを確実に防止することができる
【0053】
さらに容器本体11の長軸が、前記長軸(装着筒部材の長軸)L1方向に延在しているので、操作筒部材18が開位置に位置する状態で、容器本体11および操作筒部材18それぞれの両長軸を、前記長軸L1方向に延在させることができる。これにより、例えばこの塗布容器10を把持する等して内容物を被塗布部に塗布するとき等に、操作性を確保し易くすることができる。
【0054】
また、装着筒部材17および操作筒部材18に、前記乗り越え部41、42が形成されているので、操作筒部材18が開位置から回転軸O2回りに回転させられて閉位置に到達するとき、または操作筒部材18が閉位置から回転軸O2回りに回転させられて開位置に到達するときに、これらの乗り越え部41、42が互いに回転軸O2回りに乗り越えることでクリック感を得ることができる。したがって、このクリック感に基づいて、操作筒部材18が閉位置または開位置に到達したことを容易に認識することが可能になり、操作筒部材18を閉位置または開位置に高精度に位置させ易くすることができる。
【0055】
また、操作筒部材18が閉位置および開位置の間で移動させられることで、凸部40が、周溝39の回転軸O2回りの両端部間を移動させられるので、操作筒部材18が開位置から回転軸O2回りに回転させられて閉位置に到達したとき、および操作筒部材18が閉位置から回転軸O2回りに回転させられて開位置に到達したときのいずれの場合においても、凸部40を、周溝39の壁面のうち、回転軸O2回りの内側を向く周端面に突き当てて、操作筒部材18の更なる回転を規制することができる。これにより、操作筒部材18を閉位置または開位置に高精度に位置させ易くすることができる。
【0056】
また、操作筒部材18が閉位置に位置する状態で、オーバーキャップ13が装着筒部材17および操作筒部材18の両方に外嵌されることから、塗布栓12にオーバーキャップ13が装着された状態で、操作筒部材18の回転軸O2回りの回転をオーバーキャップ13により規制することが可能になり、操作筒部材18が閉位置から開位置に移動するのを抑制することができる。
なお、オーバーキャップ13を装着筒部材17のみに外嵌可能に形成してもよい。この場合、操作筒部材18が開位置に位置する状態で、塗布栓12にオーバーキャップ13が装着されるのをより確実に防止することができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の塗布容器50を、図7から図10を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0058】
図7および図8に示すように、本実施形態に係る塗布容器50では、操作筒部材18の底壁部29aには、凹溝部51と、突出板部52と、が設けられている。
凹溝部51は、この操作筒部材18が閉位置または開位置に位置する状態で、前記長軸L1方向に延在している。凹溝部51の底壁面には、前記吐出孔31が開口している。突出板部52は、この操作筒部材18が閉位置または開位置に位置する状態で、前記長軸L1方向に間隔をあけて一対配置され、凹溝部51の前記長軸L1方向の両端部に各別に配置されている。突出板部52の表裏面は、前記長軸L1方向を向いており、突出板部52は、前記長軸L1方向の外側に向けて凸となるように湾曲している。
【0059】
塗布部19には、突出板部52が挿入される一対の図示しない挿入孔が形成されている。塗布部19は、前記底壁部29aに対向する面を焼き固めるなどしており、この対向面から塗布部19内に内容物が含浸することが抑制されている。これにより、塗布部19は、前記挿入孔から均一に内容物が含浸されるように構成されている。
なお、前記対向面は焼き固めなどされていなくてもよい。また、挿入孔は一対形成されていなくてもよく、例えば、一対の突出板部52の両方が挿入される1つの挿入孔が形成されていてもよい。
【0060】
保持手段43は、装着筒部材17の前記連結部22の外周縁部に形成された環状溝部53を備えている。環状溝部53は、連結部22の外周縁部の全周にわたって形成され、上方および径方向の外側に両方に向けて開口している。環状溝部53の壁面のうち、径方向の外側を向く側壁面54は、下方から上方に向かうに従い漸次、径方向の外側から内側に向けて延在しており、図示の例では、径方向の外側に向けて凸となる凸曲面状に形成されている。図7および図9に示すように、環状溝部53の側壁面54は、操作筒部材18が閉位置または開位置に位置する状態で、操作筒部材18の下端部により径方向の外側から囲繞されている。
【0061】
図7から図10に示すように、環状溝部53の側壁面54には、この塗布容器50を容器軸O1方向から見た平面視において、前記長軸L1方向の外側に凸となる閉保持部分54aと開保持部分54bとが備えられている。図7および図8に示すように、閉保持部分54aは、操作筒部材18が閉位置に位置する状態で、操作筒部材18の下端部に径方向の内側から近接または当接することで、操作筒部材18の回転を規制する。図9および図10に示すように、開保持部分54bは、操作筒部材18が開位置に位置する状態で、操作筒部材18の下端部に径方向の内側から近接または当接することで、操作筒部材18の回転を規制する。
【0062】
前記塗布容器50では、操作筒部材18を、閉位置または開位置から回転軸O2回りに回転させると、この操作筒部材18の下端部が、環状溝部53の側壁面54上を摺動し、装着筒部材17の連結部22において環状溝部53よりも内側に位置する部分に乗り上げさせられる。これにより、保持手段43による操作筒部材18の回転の規制が解除される。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る塗布容器50によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また前記保持手段43によれば、操作筒部材18が開位置と閉位置との間を移動する際に、外筒部34の下端部が連結部22における環状溝部53よりも内側に位置する部分に乗り上げること、およびこの乗り上げが解除されることで、例えばクリック感として開閉操作を認識することができる。これにより、操作筒部材18を閉位置または開位置に高精度に位置させ易くすることができる。
さらに前記保持手段43によれば、操作筒部材18を回転軸O1回りのどちら側に向けて回転させても、操作筒部材18に開位置と閉位置との間を移動させることが可能になり、操作筒部材18の回転方向が制限されることなく良好な操作性を具備させることができる。
【0064】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、規制部23はなくてもよい。さらに吐出孔31は複数形成されていてもよい。
また容器本体11、装着筒部材17および操作筒部材18は、横断面視扁平形状でなくてもよい。
【0065】
また前記実施形態では、塗布部19として、含浸した内容物を塗布する構成を採用したが、これに限られない。例えば、塗布部として円筒状のノズルなど、内容物を含浸させることなく直接流出させる構成を採用してもよい。
【0066】
また前記実施形態では、容器本体11は弾性変形可能であるものとしたが、これに限られない。例えば、容器本体がスクイズ変形可能であるものの復元変形不能であってもよい。さらに例えば、容器本体がスクイズ変形不能であってもよい。
さらに前記実施形態では、容器本体11は有底筒状に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば容器本体が、チューブ容器であったり袋容器などであったりしてもよい。
【0067】
また前記実施形態では、操作筒部材18が開位置から回転軸O2回りに回転させられて閉位置に到達するときと、操作筒部材18が閉位置から回転軸O2回りに回転させられて開位置に到達するときと、のいずれの場合においても、乗り越え部41、42が互いに回転軸O2回りに乗り越えるものとしたが、これに限られず、いずれか一方の場合にのみ、乗り越え部が互いに乗り越えるように構成されていてもよい。
さらに前記実施形態では、乗り越え部41、42は主乗り越え部41と副乗り越え部42とが備えられているものとしたが、これに限られない。例えば主乗り越え部のみ備えられていてもよく、副乗り越え部のみ備えられていてもよい。
さらにまた乗り越え部41、42はなくてもよい。
【0068】
また前記実施形態では、周溝39は装着筒部材17に設けられ、凸部40は操作筒部材18に設けられているものとしたが、これに限られず、周溝が操作筒部材に設けられ、凸部が装着筒部材に設けられていてもよい。
さらに周溝39、凸部40および保持手段43はなくてもよい。
【0069】
また前記実施形態では、操作筒部材18は外装筒部30を備えているものとしたが、外装筒部30はなくてもよい。この場合、操作筒部材の本体筒部を、この操作筒部材が開位置に位置する状態で、装着筒部材の小径部よりも径方向の外側に突出するように構成してもよい。
【0070】
また前記実施形態では、オーバーキャップ13は、操作筒部材18が閉位置に位置する状態で、装着筒部材17および操作筒部材18の両方に着脱可能に外嵌されるものとしたが、これに限られず、例えば操作筒部材に外嵌されなくてもよい。
さらに前記実施形態では、オーバーキャップ13が、装着筒部材17の前記小径部21aの外周面に外装されるものとしたが、これに限られない。例えばオーバーキャップが、操作筒部材の前記大径部の外周面に外装されてもよい。この場合、操作筒部材を、開位置で、この操作筒部材の一部が装着筒部材の大径部の外周面よりも径方向の外側に突出するように構成すればよい。
【0071】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10、50 塗布容器
11 容器本体
12 塗布栓
13 オーバーキャップ
17 装着筒部材
18 操作筒部材
19 塗布部
31 吐出孔
39 周溝
40 凸部
41、42 乗り越え部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10