(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、キャップを口部から離脱させるときに、キャップを介して弁部材を軸方向の外方に変位させ、弁部材をこの変位した位置で保持する必要があり、操作性について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、操作性を向上させることができる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、容器軸方向に沿う容器本体の内側に向けて開口する内開口が配設された中栓と、前記内開口を閉塞し、容器軸方向に沿う容器本体の内側に向けて弾性変形可能または弾性変位可能な栓体と、前記中栓および前記栓体を覆うとともに前記中栓との間に計量室を画成し、容器軸方向に沿う容器本体の外側に向けて開口する外開口が配設された外部材と、前記外開口を閉塞し、かつ弾性変形することで、前記計量室内の内容物が通過可能な吐出口が形成される吐出膜部材と、前記吐出膜部材を開閉可能に覆うキャップと、を備え、前記キャップには、前記吐出膜部材に容器軸方向に挿通され、前記栓体を、容器軸方向に沿う容器本体の内側に向けて押圧して弾性変形または弾性変位させる押圧体が突設され、前記栓体および前記押圧体は、前記押圧体が前記栓体を押圧して弾性変形または弾性変位させた状態で、前記容器本体内と前記計量室とを連通するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、吐出膜部材がキャップにより覆われた保管状態では、栓体が押圧体により押圧されて弾性変形または弾性変位させられており、容器本体内と計量室とが連通されている。したがって、保管状態の吐出容器を、外開口が鉛直下方を向く反転姿勢にすると、容器本体内の内容物が容器本体内から計量室内に流入する。
その後、キャップを操作して吐出膜部材を外部に開放し、押圧体を吐出膜部材から引き抜いて押圧体による栓体の押圧を解除すると、栓体が復元変形または復元変位することで、容器本体内と計量室との連通が遮断される。これにより、計量室内で内容物が計量される。
そして、吐出膜部材を例えば頭皮など、内容物の被供給箇所に押し当てて弾性変形させると、吐出膜部材に吐出口が形成され、この吐出口を通して計量室内の内容物が被供給箇所に吐出されて供給される。
【0008】
以上のように、この吐出容器によれば、栓体に対する押圧体の押圧を解除させ、栓体を復元変形または復元変位させることにより、容器本体内と計量室との連通、遮断を切り替えることができる。したがって、吐出膜部材を外部に開放するときに、キャップをスムーズに操作することが可能になり、操作性を向上させることできる。
また吐出膜部材を、内容物の被供給箇所に押し当てて弾性変形させ、計量室内の内容物を、吐出口を通して被供給箇所に吐出するので、吐出膜部材を被供給箇所に押し当てる力を調整して吐出口の大きさを調節することで、1回の吐出あたりに被供給箇所に供給される内容物の供給量を調整することが可能になり、操作性をより向上させることができる。
【0009】
また、前記吐出膜部材には、この吐出膜部材が弾性変形させられたときに拡開させられることで前記吐出口を形成する吐出スリットが設けられていてもよい。
【0010】
この場合、吐出膜部材に前記吐出スリットが設けられているので、吐出膜部材を被供給箇所に押し当てていないときには、吐出スリットを閉じた状態に保持しつつ、吐出膜部材を被供給箇所に押し当てるときには、吐出膜部材の弾性変形量に応じて吐出口の大きさを調節し易くすることが可能になり、操作性を一層向上させることができる。
また、吐出膜部材に前記吐出スリットが設けられているので、例えば押圧体を、この押圧体により吐出膜部材を吐出スリットが拡開するように弾性変形させながら、この吐出膜部材に挿通すること等ができる。これにより、キャップを一層スムーズに操作することが可能になり、操作性をより一層向上させることができる。
【0011】
また、前記栓体は、挿通スリットが設けられた弾性変形可能な膜状に形成され、前記押圧体は、前記栓体を押圧して前記挿通スリットが拡開するように弾性変形させながら、この栓体に容器軸方向に挿通されてもよい。
【0012】
この場合、押圧体が、栓体を押圧して挿通スリットが拡開するように弾性変形させながら、この栓体に容器軸方向に挿通されるので、押圧体により弾性変形させられた栓体が復元変形するのを効果的に規制することができる。これにより、容器本体内と計量室とを確実に連通することが可能になり、内容物を円滑に計量して操作性をさらに向上させることができる。
【0013】
また、前記中栓には、容器軸方向に沿う容器本体の外側に向けて開口して前記計量室の一部を構成する貯留凹部が配設されていてもよい。
【0014】
この場合、内容物を計量室内で計量するときに、吐出容器を反転姿勢にした後で、かつキャップを操作して吐出膜部材を外部に開放する前に、吐出容器を、外開口が鉛直上方に向く正立姿勢にする。すると、計量室内の内容物の一部が貯留凹部内に残留して貯留されつつ、残りが容器本体内に流入する。したがってその後、キャップを操作して吐出膜部材を外部に開放し、容器本体内と計量室との連通を遮断することで、計量室内で、貯留凹部内に貯留される分の内容物が計量される。
このように、この吐出容器によれば、中栓に前記貯留凹部が配設されているので、吐出容器を反転姿勢にした後、正立姿勢にした状態でキャップを操作しても、内容物を確実に計量することができる。したがって、容器本体内の内容物を計量するときに、吐出容器を正立姿勢にした状態でもキャップを操作することが可能になり、操作性を一層向上させることができる。
【0015】
また、前記キャップには、前記押圧体を径方向の外側から囲繞し、前記外部材に周方向の全周にわたって液密に当接するシール部が設けられていてもよい。
【0016】
この場合、キャップに前記シール部が設けられているので、保管状態の吐出容器で、計量室内の内容物が吐出膜部材を通して計量室の外部に流出したとしても、シール部でせき止めてキャップ内に流入するのを抑制することが可能になり、操作性をさらに向上させるとともに内容物を精度良く計量し易くすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る吐出容器によれば、操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器を説明する。
図1に示すように、吐出容器10は、容器本体11と、中栓12と、栓体13と、外部材14と、吐出膜部材15と、キャップ16と、を備えている。吐出容器10は、容器本体11内に収容された内容物Aを計量して吐出する。内容物Aとしては、例えば液体などが挙げられる。
【0020】
ここで容器本体11は有底筒状に形成され、キャップ16は、吐出膜部材15を覆った状態で容器本体11の口部11aに着脱可能に装着されるとともに有頂筒状に形成され、容器本体11およびキャップ16の各中心軸は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿って容器本体11の底部側を下側といい、キャップ16側を上側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0021】
中栓12は、容器本体11の口部11aに装着されている。中栓12は、筒状の中栓本体18と、中栓本体18内に嵌合された第1固定リング19と、を備えている。中栓本体18は、容器軸Oと同軸に配置されている。中栓本体18は、径方向の外側から内側に向けて外筒部20、中筒部21および内筒部22を備える3重筒状に形成されている。
【0022】
外筒部20は、口部11aの開口端部に外嵌されている。中筒部21は、口部11a内に嵌合されている。中筒部21の上端部と外筒部20の上端部とは互いに連結されており、この連結部分には、容器軸Oと同軸に配置された立ち上がり筒部23が立設されている。中筒部21と内筒部22とは、連結フランジ部24を介して連結されている。連結フランジ部24は、中筒部21の容器軸O方向の中央部から径方向の内側に向けて環状に突設されている。内筒部22は、連結フランジ部24の内周縁部に立設されている。
【0023】
連結フランジ部24には、容器軸Oと同軸に配置された垂下筒部25および環状凸部26が、それぞれ下方に向けて突設されている。環状凸部26は、垂下筒部25よりも小径であり、環状凸部26の下端部は、垂下筒部25の下端部よりも上側に位置している。
第1固定リング19は、垂下筒部25内に嵌合されている。第1固定リング19には、容器軸Oと同軸に配置された環状の第1突条部19aが形成されている。第1突条部19aは、第1固定リング19から上方に向けて突設されている。
【0024】
ここで前記中栓12には、下方に向けて開口し容器本体11内に連通する内開口27が配設されている。内開口27は、第1固定リング19内とされ、容器軸Oと同軸に配置されている。また前記中栓12には、上方に向けて開口する貯留凹部28が配設されている。貯留凹部28は、中筒部21、連結フランジ部24および内筒部22により環状に画成され、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0025】
栓体13は、内開口27を閉塞し、下方に向けて弾性変形可能とされている。栓体13は、挿通スリット13sが設けられた弾性変形可能な膜状に形成されている。栓体13は、有頂筒状の栓体基部13aと、栓体基部13aの下端部から径方向の外側に向けて突設された第1固定フランジ部13bと、を備えている。栓体基部13aおよび第1固定フランジ部13bは、容器軸Oと同軸に配置されるとともに、例えばシリコンゴム等の軟質材料により一体に形成されている。
【0026】
第1固定フランジ部13bは、連結フランジ部24と第1固定リング19との間に容器軸O方向に挟み込まれており、図示の例では、環状凸部26と第1突条部19aとの間に挟み込まれている。第1固定フランジ部13bには、第1突条部19aが嵌合する環状の凹溝部が形成されている。
栓体基部13aは、内筒部22内に挿通されている。なお図示の例では、栓体基部13aの外周面と内筒部22の内周面との間には第1環状隙間が設けられているが、この第1環状隙間はなくてもよい。
【0027】
栓体基部13aの頂壁部は、内筒部22の上端部よりも下方に位置しており、貯留凹部28の開口面よりも下方に位置している。この頂壁部は、下方に向けて凹となる凹球面状となっている。
図2に示すように、この頂壁部には前記挿通スリット13sが形成されている。キャップ16が口部11aから離脱され、吐出膜部材15が外部に開放された使用前状態で、挿通スリット13sは完全に閉じられている。挿通スリット13sは、この吐出容器10を容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oを径方向に通過する直線状に形成されている。
【0028】
図1に示すように、外部材14は、中栓12および栓体13を覆うとともに中栓12との間に計量室29を画成している。外部材14は、筒状の外部材本体30と、外部材本体30内に嵌合された第2固定リング31と、を備えている。
外部材本体30は、容器軸Oと同軸に配置されている。外部材本体30は、大径部32、中径部33および小径部34が、下方から上方に向けてこの順に連設された3段筒状に形成されている。大径部32は、立ち上がり筒部23に外嵌されている。中径部33は立ち上がり筒部23よりも小径である。大径部32と中径部33とを連結する連結段部は、立ち上がり筒部23の開口端縁の上方に位置しており、この連結段部には、立ち上がり筒部23内に液密に嵌合するシール筒部が、下方に向けて延設されている。
【0029】
第2固定リング31は、中径部33内に嵌合されている。第2固定リング31には、容器軸Oと同軸に配置された環状の第2突条部が形成されている。前記第2突条部は、第2固定リング31から上方に向けて突設されている。
前記外部材14には、容器軸O方向に沿う容器本体11の外側に向けて開口し、計量室29内に連通する外開口35が配設されている。外開口35は、第2固定リング31内とされ、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0030】
計量室29は、内開口27を通して容器本体11内と連通可能であり、外開口35を通してこの吐出容器10の外部と連通可能となっている。計量室29の一部は、貯留凹部28により構成されている。
【0031】
吐出膜部材15は、外開口35を閉塞する。吐出膜部材15には、計量室29内の内容物Aが通過可能な図示しない吐出口が形成される。前記吐出口は、この吐出膜部材15が弾性変形することで形成される。吐出膜部材15には、この吐出膜部材15が弾性変形させられたときに拡開させられることで前記吐出口を形成する吐出スリット15sが設けられている。
【0032】
吐出膜部材15は、有頂筒状の吐出膜基部15aと、吐出膜基部15aの下端部から径方向の外側に向けて突設された第2固定フランジ部15bと、を備えている。吐出膜基部15aおよび第2固定フランジ部15bは、容器軸Oと同軸に配置されるとともに、例えばシリコンゴム等の軟質材料により一体に形成されている。
第2固定フランジ部15bは、小径部34と第2固定リング31との間に容器軸O方向に挟み込まれている。第2固定フランジ部15bには、前記第2突条部が嵌合する環状の凹溝部が形成されている。
【0033】
吐出膜基部15aは、小径部34内に挿通されており、吐出膜基部15aの外周面と小径部34の内周面との間には、第2環状隙間が設けられている。吐出膜基部15aは、小径部34(外部材14)よりも上方に突出しており、吐出膜基部15aの頂壁部は、小径部34の上端部(外部材14の上端部)よりも上方に位置している。この頂壁部は、下方に向けて凹となる凹球面状となっている。
図3に示すように、この頂壁部には前記吐出スリット15sが形成されている。使用前状態で、吐出スリット15sは完全に閉じられている。吐出スリット15sは、前記平面視において、容器軸Oを中心とした放射状に、図示の例では十字(X字)状に形成されている。
【0034】
図1に示すように、キャップ16は、吐出膜部材15だけでなく、中栓12および外部材14も覆っている。キャップ16は、口部11aにおいて外筒部20が装着された部分よりも下方に位置する部分に形成された雄ねじ部に螺着されている。
キャップ16には、吐出膜部材15に容器軸O方向に挿通され、栓体13を、下方に向けて押圧して弾性変形させる押圧体36が突設されている。押圧体36は、キャップ16と一体に形成されている。押圧体36は、キャップ16の頂壁部から下方に向けて延設されており、容器軸O上に配置されている。
【0035】
図4に示すように、押圧体36の平面視形状は、挿通スリット13sの平面視形状と異なっている。押圧体36は、前記平面視において、容器軸Oを中心とした放射状に形成されている。押圧体36は、前記平面視において容器軸Oから径方向の外側に延在する板状部36aが、周方向に間隔をあけて複数配置されてなる。図示の例では、板状部36aは、周方向に互いに同等の間隔をあけて4つ配置されており、押圧体36は、前記平面視において十字状に形成されている。
【0036】
図1に示すように、押圧体36は、吐出膜部材15に、容器軸O方向に抜き差し可能に貫通されている。押圧体36は、例えば、吐出膜部材15を吐出スリット15sが拡開するように弾性変形させながらこの吐出膜部材15に挿通されていたり、各板状部36aが吐出スリット15s内に配置されるように吐出膜部材15に挿通されていたり等している。
【0037】
そして本実施形態では、栓体13および押圧体36は、押圧体36が栓体13を押圧して弾性変形させた状態で、容器本体11内と計量室29とを連通するように構成されている。押圧体36は、栓体13を押圧して挿通スリット13sが拡開するように弾性変形させながら、この栓体13に容器軸O方向に挿通される。
図4に示すように、押圧体36は、前記平面視において、挿通スリット13sが、この挿通スリット13sの延在方向に直交する方向に拡開するように栓体13を弾性変形させる。
【0038】
キャップ16が口部11aに装着され、吐出膜部材15がキャップ16により覆われた保管状態では、容器本体11内と計量室29とは、内開口27、および押圧体36に設けられた連通路38を通して連通されている。連通路38は、押圧体36において、周方向に隣り合う板状部36aの間に画成されている。
【0039】
キャップ16には、押圧体36を径方向の外側から囲繞し、外部材14に周方向の全周にわたって液密に当接するシール部37が設けられている。シール部37は、キャップ16の頂壁部から下方に向けて延設され、容器軸Oと同軸に配置されている。シール部37は、前記第2環状空間内に進入しており、小径部34内に液密に嵌合している。
【0040】
前記吐出容器10は、保管状態では、押圧体36が栓体13に挿通されることにより、栓体13において挿通スリット13sにより区画された部分同士の固着が抑制されている。また、押圧体36が吐出膜部材15に挿通されることにより、吐出膜部材15において吐出スリット15sにより区画された部分同士の固着が抑制されている。
【0041】
図5および
図6に示すように、吐出容器10は、キャップ16の頂壁部を接地面として、外開口35が鉛直下方を向く反転姿勢で保管される。保管状態の吐出容器10を反転姿勢にすると、容器本体11内の内容物Aが、内開口27および連通路38を通して容器本体11内から計量室29内に流入する。
【0042】
その後、
図7に示すように、この吐出容器10を、外開口35が鉛直上方を向く正立姿勢にすると、計量室29内の内容物Aの一部が貯留凹部28内に残留して貯留されつつ、残りが容器本体11内に流入する。口部11aからキャップ16を離脱させることで吐出膜部材15を外部に開放し、押圧体36を吐出膜部材15から引き抜いて押圧体36による栓体13の押圧を解除すると、栓体13が復元変形することで、容器本体11内と計量室29との連通が遮断される。これにより、計量室29内で、貯留凹部28内に貯留される分の内容物Aが計量される。
【0043】
そして
図8に示すように、この吐出容器10を再び反転姿勢にして、吐出膜部材15を例えば頭皮など、内容物Aの被供給箇所に押し当てて弾性変形させると、吐出膜部材15に前記吐出口が形成され、この吐出口を通して計量室29内の内容物Aが被供給箇所に吐出されて供給される。このとき、例えば吐出膜部材15を、容器軸O方向に沿う容器本体11の内側に、被供給箇所と外部材14とが当接するまで弾性変形させると、吐出膜部材15の更なる弾性変形が規制される。このように吐出膜部材15を弾性変形させると、吐出操作ごとに吐出膜部材15の弾性変形量がばらつくのが抑えられる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、栓体13に対する押圧体36の押圧を解除させ、栓体13を復元変形させることにより、容器本体11内と計量室29との連通、遮断を切り替えることができる。したがって、吐出膜部材15を外部に開放するときに、キャップ16をスムーズに操作し、キャップ16を口部11aから円滑に離脱させることが可能になり、操作性を向上させることできる。
【0045】
また吐出膜部材15を、内容物Aの被供給箇所に押し当てて弾性変形させ、計量室29内の内容物Aを、前記吐出口を通して被供給箇所に吐出するので、吐出膜部材15を被供給箇所に押し当てる力を調整して前記吐出口の大きさを調節することで、1回の吐出あたりに被供給箇所に供給される内容物Aの供給量を調整することが可能になり、操作性をより向上させることができる。
また本実施形態では、吐出膜部材15を、容器軸O方向に沿う容器本体11の内側に、被供給箇所と外部材14とが当接するまで弾性変形させることで、吐出操作ごとに吐出膜部材15の弾性変形量がばらつくのを抑えることもできる。これにより、1回の吐出あたりの内容物Aの供給量を同等に調整することも可能になり、安定した吐出操作を行うことができる。なお、このときの内容物Aの吐出量は、例えば、吐出膜部材15の外部材14に対する突出量を適宜設定すること等により、変更することができる。
【0046】
また、吐出膜部材15に前記吐出スリット15sが設けられているので、吐出膜部材15を被供給箇所に押し当てていないときには、吐出スリット15sを閉じた状態に保持しつつ、吐出膜部材15を被供給箇所に押し当てるときには、吐出膜部材15の弾性変形量に応じて前記吐出口の大きさを調節し易くすることが可能になり、操作性を一層向上させることができる。
【0047】
また、吐出膜部材15に前記吐出スリット15sが設けられているので、例えば押圧体36を、この押圧体36により吐出膜部材15を吐出スリット15sが拡開するように弾性変形させながら、この吐出膜部材15に挿通すること等ができる。これにより、キャップ16を口部11aにスムーズに着脱させることが可能になり、操作性をより一層向上させることができる。
【0048】
また、押圧体36が、栓体13を押圧して挿通スリット13sが拡開するように弾性変形させながら、この栓体13に容器軸方向に挿通されるので、押圧体36により弾性変形させられた栓体13が復元変形するのを効果的に規制することができる。これにより、容器本体11内と計量室29とを確実に連通することが可能になり、内容物Aを円滑に計量して操作性をさらに向上させることができる。
【0049】
また、中栓12に前記貯留凹部28が配設されているので、吐出容器10を反転姿勢にした後、正立姿勢にした状態でキャップ16を口部11aから離脱させても、内容物Aを確実に計量することができる。したがって、容器本体11内の内容物Aを計量するときに、吐出容器10を正立姿勢にした状態でもキャップ16を口部11aから離脱させることが可能になり、操作性を一層向上させることができる。
【0050】
また、キャップ16に前記シール部37が設けられているので、保管状態の吐出容器10で、計量室29内の内容物Aが吐出膜部材15を通して計量室29の外部に流出したとしても、シール部37でせき止めてキャップ16内に流入するのを抑制することが可能になり、操作性をさらに向上させるとともに内容物Aを精度良く計量し易くすることができる。
【0051】
また、押圧体36が板状部36aにより構成されているので、キャップ16と押圧体36とを容易に一体成形することができる。
なお本実施形態では、押圧体36は前記平面視において十字状に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば押圧体は、板状部が周方向に互いに同等の間隔をあけて3つ配置されてなる構成であってもよく、5つ以上配置されてなる構成であってもよい。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の吐出容器を、
図9および
図10を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0053】
本実施形態に係る吐出容器50では、
図9に示すように、押圧体36は、容器軸Oと同軸に配置された筒状に形成されている。押圧体36において栓体13よりも上側に位置する部分には、径方向の外側に向けて開口する連通孔51が形成されている。連通孔51は、押圧体36内と計量室29とを連通している。連通孔51の容器軸O方向の大きさは、この連通孔51の径方向の内側から外側に向かうに従い漸次、小さくなっている。
図10に示すように、連通孔51の周方向の大きさは、この連通孔51の径方向の内側から外側に向かうに従い漸次、大きくなっている。
【0054】
図9に示すように、押圧体36の下端開口部52は、下方に向けて開口する端面開口部52aと、下方および径方向の外側の両方に向けて開口する側面開口部52bと、が連設されてなる。端面開口部52aは、径方向の外側に向けては開口していない。端面開口部52aは、容器軸Oに対して連通孔51が位置する連通孔側に配置されている。端面開口部52aの開口端縁は、径方向に沿って直線状に延在している。側面開口部52bは、端面開口部52aに対して、連通孔側の反対側である反連通孔側に配置されている。側面開口部52bの開口端縁は、連通孔側から反連通孔側に向かうに従い漸次、上方に向けて直線状に延在している。
【0055】
前記吐出容器50では、押圧体36が栓体13を押圧して弾性変形させた状態で、容器本体11内と計量室29とが、押圧体36の下端開口部52、押圧体36内および連通孔51により形成される第1連通路53のみを通して連通されていてもよく、第1連通路53と、押圧体36の外周面と栓体13との間に形成される図示されない第2連通路と、の両方を通して連通されていてもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器50によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、押圧体36に前記第1連通路53が設けられているので、容器本体11内と計量室29とを押圧体36内を通して確実に連通し、内容物Aの流通面積を確保することができる。これにより、例えば計量室29内が内容物で満たされた反転姿勢の吐出容器50を正立姿勢にするときに、計量室29内の過剰な内容物Aを速やかに容器本体11内に流入させること等が可能になり、内容物Aを円滑に計量して操作性をさらに向上させることができる。
【0057】
なお
図11に示すように、押圧体36とキャップ16とは別体に形成されていてもよい。図示の例では、押圧体36は、キャップ16の頂壁部から下方に向けて延設された被着筒部に外装されている。この場合、キャップ16および押圧体36を容易に成形することができる。
また前記連通孔51はなくてもよい。この場合、押圧体が栓体を押圧して弾性変形させた状態で、容器本体内と計量室とが、第2連通路のみを通して連通されてもよい。
【0058】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、シール部37および貯留凹部28はなくてもよい。貯留凹部28がない場合、吐出容器を反転姿勢として計量室内に内容物が流入された後、吐出容器を正立姿勢にせず反転姿勢としたまま、キャップを口部から離脱させてもよい。
【0059】
また前記実施形態では、キャップ16は口部11aに着脱可能に装着されているものとしたが、これに限られない。例えば、中栓や外部材のいずれか一方、またはこれらの両方に着脱可能に装着されていてもよい。つまりキャップは、容器本体の口部、中栓および外部材のうち、少なくとも1つに着脱可能に装着されていてもよい。
さらにキャップは、容器本体の口部、中栓または外部材にヒンジ部を介して連結されていてもよい。つまりキャップを、吐出膜部材を開閉可能に覆う他の構成に適宜変更してもよく、さらにキャップとあわせて、例えば押圧体の形状、大きさ、材質なども適宜変更してもよい。
【0060】
また前記実施形態では、第1固定リング19が中栓本体18内に嵌合されているものとしたが、これに限られず、例えば第1固定リングと中栓本体とが一体に形成されていてもよい。
さらに前記実施形態では、第2固定リング31が外部材本体30内に嵌合されているものとしたが、これに限られず、例えば第2固定リング31と外部材本体とが一体に形成されていてもよい。
【0061】
また、吐出膜部材の吐出膜基部の頂壁部(例えば、吐出スリットが形成された部分より径方向の外側)に、上方に向けて突出する1つまたは複数の突起部を形成し、この頂壁部を被供給箇所に押し当てたときに、前記突起部を起点に頂壁部が歪な変形を起こすように構成してもよい。これにより、頂壁部に吐出口を形成し易くなり、操作性の更なる向上を図ることができる。
【0062】
また前記実施形態では、栓体13は、有頂筒状の栓体基部13aを備えているものとしたが、これに限られない。例えば、栓体基部が有頂筒状でなく平板状に形成されていてもよい。
さらに前記実施形態では、吐出膜部材15は、有頂筒状の吐出膜基部15aを備えているものとしたが、これに限られない。例えば、吐出膜基部が有頂筒状でなく平板状に形成されていてもよい。
さらにまた、挿通スリット13sおよび吐出スリット15sの平面視形状は前記実施形態に示したものに限られず、適宜変更してもよい。
【0063】
また前記実施形態では、栓体13に、挿通スリット13sが形成されているものとしたが、これに限られない。例えば栓体基部の頂壁部に、この栓体が弾性変形させられていない状態では実質的に閉塞された微小な孔部を1つまたは2つ以上、容器軸方向に貫設し、押圧体および栓体を、押圧体が栓体を押圧して弾性変形させたときに、この孔部を通して容器本体内と計量室とが連通するように構成してもよい。
【0064】
また前記実施形態では、栓体13が、弾性変形可能な膜状に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば栓体が、内開口を閉塞する硬質板状に形成されるとともに第1固定リングに弾性連結片を介して連結され、栓体が、押圧体により押圧されることで、弾性連結片を弾性変形させながら下方に向けて弾性変位して内開口を開放するいわゆる1点弁や3点弁などであってもよい。つまり栓体は、内開口を閉塞し、容器軸方向に沿う容器本体の内側に向けて弾性変位可能とされていてもよい。
【0065】
また前記実施形態では、吐出膜部材15に、吐出スリット15sが形成されているものとしたが、これに限られない。例えば吐出膜基部の頂壁部に、この吐出膜部材が弾性変形させられていない状態では実質的に閉塞された微小な吐出口を1つまたは2つ以上、容器軸方向に貫設し、吐出膜部材が被供給箇所に押し当てられたときに、計量室内の内容物が吐出口を通して被供給箇所に吐出されるように構成してもよい。この場合、押圧体を、例えば、吐出口を拡径変形させながら吐出膜部材に挿通可能な形状や大きさとすることが好ましい。
【0066】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。