(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
運転席(7)を有する車体(1)と、前記車体(1)の側方に前記運転席(7)から車体(1)の後方へと続くように設けられたサイドフロア(81)と、前記サイドフロア(81)に設けられた乗降用ステップ(20)と、を備える乗用管理機(10)であって、
前記乗降用ステップ(20)は、
上段ステップ(30)と、前記上段ステップ(30)に対して下段となり、回動により前記上段ステップ(30)側へ折り畳まれることが可能な下段ステップ(40)と、を有し、且つ、前記サイドフロア(81)に対する乗り込み方向が前記車体(1)の後方からとなるように前記サイドフロア(81)の後部に設けられ、
前記サイドフロア(81)の側方位置には、斜め後ろ上がりの状態で格納される散布ブーム(2)が配置され、
前記サイドフロア(81)の後部から立ち上がり、前記運転席(7)後方の薬液タンク(8)に取り付けられた手すり(82)を備え、
前記サイドフロア(81)に設けられた踏みペダル(60)を備え、
前記踏みペダル(60)は、前記下段ステップ(40)が回動し折り畳まれるように前記下段ステップ(40)にペダル踏力を、前記下段ステップ(40)に設けられた長孔(43)に端部(71b)が遊嵌配置されているロッド(71)を介して当該ロッド(71)の前記端部(71b)と前記長孔(43)の一方の終端(43a)との当接により伝達させる第1の踏み部(61)と、
前記下段ステップ(40)が回動し折り畳みを解除するように前記下段ステップ(40)にペダル踏力を、前記ロッド(71)を介して当該ロッド(71)の前記端部(71b)と前記長孔(43)の反対側の終端(43b)との当接により伝達させる第2の踏み部(62)と、を有し、
前記第1の踏み部(61)及び前記第2の踏み部(62)は、同一軸を支点として回動し、
前記乗降用ステップ(20)は、一端が前記上段ステップ(30)に係止され、他端が前記下段ステップ(40)に係止された引張バネ(52)と、
前記下段ステップ(40)が前記引張バネ(52)の付勢力により付勢されて、前記下段ステップ(40)が折り畳まれる前の状態で作業者が乗降する際の状態である前記下段ステップ(40)の使用姿勢を規定するように互いに当接する第1のストッパ(34a,44)と、
前記下段ステップ(40)が前記引張バネ(52)の付勢力により付勢されて、前記下段ステップ(40)が折り畳まれた状態である前記下段ステップ(40)の格納姿勢を規定するように互いに当接する第2のストッパ(34b,44)と、を有し、
前記引張バネ(52)は、前記長孔(43)に配置されている前記ロッド(71)の前記端部(71b)が前記踏みペダル(60)の踏み込みにより移動して前記下段ステップ(40)が回動し前記下段ステップ(40)が前記使用姿勢と前記格納姿勢との間で回動により姿勢変化する際に、前記下段ステップ(40)が回動する軸(51)の軸線方向視において、前記引張バネ(52)の軸心が前記軸(51)の軸線を跨いで前記使用姿勢側から前記格納姿勢側へ乗り越えると前記下段ステップ(40)を前記格納姿勢となるように付勢し、また、前記引張バネ(52)の軸心が前記軸(51)の軸線を跨いで前記格納姿勢側から前記使用姿勢側へ乗り越えると前記下段ステップ(40)を前記使用姿勢となるように付勢するように設けられている、乗用管理機(10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乗降用ステップは通常、高い位置にある運転席に乗り込むために、多段であり、且つ、乗降しやすいように傾斜して取り付けられている。上記のように乗降用ステップがサイドフロアの側部に設けられている場合、乗降用ステップの最下部が地面に近く、車体の側方へ張り出す部分も大きくなる。このため、作業中(直進・旋回・段差乗り越え等)に乗降用ステップが作物や畝等の地面に接触することがある。これを避けるために乗降用ステップの配置を調整することができるものも知られているが、乗用管理機が進入する畝間の幅は様々であるため、畝間の幅に合わせて配置を調整する必要があり、その調整作業が煩わしい。
【0006】
そこで本発明は、作業中に乗降用ステップが作物や地面に接触することを防止できる乗用管理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の乗用管理機(10)は、運転席(7)を有する車体(1)と、車体(1)の側方に運転席(7)から車体(1)の後方へと続くように設けられたサイドフロア(81)と、サイドフロア(81)に設けられた乗降用ステップ(20)と、を備える乗用管理機(10)であって、乗降用ステップ(20)は、上段ステップ(30)と、上段ステップ(30)に対して下段となり、回動により上段ステップ(30)側へ折り畳まれることが可能な下段ステップ(40)と、を有し、且つ、サイドフロア(81)に対する乗り込み方向が車体(1)の後方からとなるようにサイドフロア(81)の後部に設けられ、サイドフロア(81)の側方位置には、斜め後ろ上がりの状態で格納される散布ブーム(2)が配置され、サイドフロア(81)の後部から立ち上がり、運転席(7)後方の薬液タンク(8)に取り付けられた手すり(82)を備え
、サイドフロア(81)に設けられた踏みペダル(60)を備え、踏みペダル(60)は、下段ステップ(40)が回動し折り畳まれるように下段ステップ(40)にペダル踏力を、下段ステップ(40)に設けられた長孔(43)に端部(71b)が遊嵌配置されているロッド(71)を介して当該ロッド(71)の端部(71b)と長孔(43)の一方の終端(43a)との当接により伝達させる第1の踏み部(61)と、下段ステップ(40)が回動し折り畳みを解除するように下段ステップ(40)にペダル踏力を、ロッド(71)を介して当該ロッド(71)の端部(71b)と長孔(43)の反対側の終端(43b)との当接により伝達させる第2の踏み部(62)と、を有し、第1の踏み部(61)及び第2の踏み部(62)は、同一軸を支点として回動し、乗降用ステップ(20)は、一端が上段ステップ(30)に係止され、他端が下段ステップ(40)に係止された引張バネ(52)と、下段ステップ(40)が引張バネ(52)の付勢力により付勢されて、下段ステップ(40)が折り畳まれる前の状態で作業者が乗降する際の状態である下段ステップ(40)の使用姿勢を規定するように互いに当接する第1のストッパ(34a,44)と、下段ステップ(40)が引張バネ(52)の付勢力により付勢されて、下段ステップ(40)が折り畳まれた状態である下段ステップ(40)の格納姿勢を規定するように互いに当接する第2のストッパ(34b,44)と、を有し、引張バネ(52)は、長孔(43)に配置されているロッド(71)の端部(71b)が踏みペダル(60)の踏み込みにより移動して下段ステップ(40)が回動し下段ステップ(40)が使用姿勢と格納姿勢との間で回動により姿勢変化する際に、下段ステップ(40)が回動する軸(51)の軸線方向視において、引張バネ(52)の軸心が軸(51)の軸線を跨いで使用姿勢側から格納姿勢側へ乗り越えると下段ステップ(40)を格納姿勢となるように付勢し、また、引張バネ(52)の軸心が軸(51)の軸線を跨いで格納姿勢側から使用姿勢側へ乗り越えると下段ステップ(40)を使用姿勢となるように付勢するように設けられている、乗用管理機(10)。
【0008】
この乗用管理機(10)によれば、乗降用ステップ(20)における下段ステップ(40)が回動によりこれより上段の上段ステップ(30)側へ折り畳まれるため、下段ステップ(40)が、乗降可能な形状(使用姿勢)から折り畳まれた形状(格納姿勢)へと姿勢変化する。下段ステップ(40)が格納姿勢となると、乗降用ステップ(20)が車体(1)の下側且つ側方へ突出する長さが短くなるため、作業中に乗降用ステップ(20)が作物や地面に接触することを防止できる。
【0010】
従来のように、車体(91)のサイドフロア(98)の側方位置に斜め後ろ上がりの状態で格納される散布ブーム(92)を備え、サイドフロア(98)の側方に乗降用ステップ(99)が設けられている乗用管理機(90)においては、作業者が、格納された散布ブーム(92)の下をくぐりながら乗降する必要があるため(
図7の二点鎖線の作業者参照)、作業者の体が散布ブーム(92)に接触し、場合によっては薬液が服に付着したり、くぐり難かったりした。これに対し、この乗用管理機(10)によれば、乗降用ステップ(20)がサイドフロア(81)の後部に設けられているため、乗降に際して散布ブーム(2)の下をくぐる必要がない。従って、作業者が散布ブーム(2)に接触することなく容易に乗降することができる。
【0012】
このような引張バネ(52)によれば、使用姿勢又は格納姿勢のいずれか一方から他方への姿勢変化に際して、下段ステップ(40)が回動する軸(51)の軸線方向視において引張バネ(52)の軸心の位置によって、引張バネ(52)が下段ステップ(40)を付勢する姿勢が変化する。すなわち、下段ステップ(40)が使用姿勢から格納姿勢へ姿勢変化する際には、引張バネ(52)の軸心が軸(51)の軸線を跨いで乗り越えると、下段ステップ(40)が格納姿勢となるように付勢されて、第2のストッパ(34b,44)が互いに当接し、格納姿勢とされる。逆に、下段ステップ(40)が格納姿勢から使用姿勢へ姿勢変化する際には、引張バネ(52)の軸心が軸(51)の軸線を跨いで乗り越えると、下段ステップ(40)が使用姿勢となるように付勢されて、第1のストッパ(34a,44)が互いに当接し、使用姿勢とされる。このような引張バネ(52)の付勢により、姿勢変化の操作ストロークが短くて済み、姿勢変化の操作性が向上する。また、このように、引張バネ(52)の付勢力により第1及び第2のストッパ(34a,34b,44)が互いに当接することで、下段ステップ(40)が使用姿勢及び格納姿勢となるため、当該引張バネ(52)と第1のストッパ(34a,44)とにより下段ステップを使用姿勢に保持することができ、スムーズな乗降が可能であると共に、当該引張バネ(52)と第2のストッパ(34b,44)とにより下段ステップ(40)を格納姿勢に保持することができ、走行中の乗降用ステップ(20)の振れを抑制できる。
【0013】
また、本発明の乗用管理機(10
)によれば、サイドフロア(81)に乗った後又はサイドフロア(81)から降りる前に、サイドフロア(81)に設けられた踏みペダル(60)を操作することにより下段ステップ(40)の姿勢変化を行うことができるため、作業者が乗降動作を容易且つ円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業中に乗降用ステップが作物や地面に接触することを防止できる乗用管理機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本実施形態の乗用管理機10の後方斜視図である。乗用管理機10は、車体1と散布ブーム2とを有し、薬液散布を行う乗用型ブームスプレーヤである。車体1は、前後方向に長い機体フレーム3を有しており、その下面の前後部分からそれぞれ左右一対の車軸4が下方に延び、各車軸4の先端に車輪5が取付けられている。
【0018】
乗用管理機10には、各車輪5を駆動するためのエンジンを内蔵するエンジンルーム6が機体フレーム3の後部に配置され、運転席7が機体フレーム3の前部に配置されている。また、機体フレーム3の前後方向中間部には薬液タンク8が配置されている。
【0019】
機体フレーム3の前端部には、車体1の前後方向に対して垂直且つ水平な方向に横架されたセンターブーム9を介して、散布ブーム2が取り付けられている。散布ブーム2は、薬液散布を行わないときには折り畳まれ、
図1に示されるように車体1に対して側方位置に斜め後ろ上がりの状態で格納されている。薬液散布を行うときには、散布ブーム2をセンターブーム9に対して一直線状となるように広げる。
【0020】
乗用管理機10には、乗降性を向上させるために、サイドフロア81を更に備えている。サイドフロア81は、機体フレーム3の左右両側縁部から側方に張り出した部分であり、運転席7のフロア7aの側方から機体フレーム3の後端まで延びている。サイドフロア81は、泥や液体を落とすことができるように、ここでは格子状部分を有する構成とされている。また乗用管理機10は、車体1両側のサイドフロア81の後部からそれぞれ立ち上がってエンジンルーム6の高さ程度に延びて前方に折れ曲がり、薬液タンク8の頂部に端部が固定された一対の手すり82が設けられている。
【0021】
サイドフロア81の後部には、作業者がサイドフロア81に乗降するための乗降用ステップ20が、サイドフロア81に対する乗り込み方向が車体1の後方からとなるように設けられている。また、サイドフロア81の後部であってエンジンルーム6寄りの位置には、後述するように作業者が踏んで乗降用ステップ20に踏力を伝達させるための踏みペダル60が設けられている。
【0022】
図2は、乗降用ステップ20の後方斜視図である。乗降用ステップ20は、上段ステップ30と、上段ステップ30に対して下段となり、回動により上段ステップ30側へ折り畳まれることが可能な下段ステップ40と、を備える。上段ステップ30は、作業者が乗降時に足を置く部分であるコの字状の第1の踏み板31と、第1の踏み板31の両端から斜め上方のサイドフロア81側にそれぞれ延びる一対の第1の側方支持板32,32とを有する。第1の踏み板31は、コの字の開放側が上を向き、第1の側方支持板32,32の下端部において第1の側方支持板32,32同士の間に架け渡されてこれらを連結し、第1の側方支持板32,32の上端部は、サイドフロア81の後部に固着されている。
【0023】
下段ステップ40は、作業者が乗降時に足を置く部分であるコの字状の第2の踏み板41と、第2の踏み板41の両端から斜め上方のサイドフロア側にそれぞれ延びる一対の第2の側方支持板42,42とを有する。第2の踏み板41は、コの字の開放側が上を向き、第2の側方支持板42,42の下端部において第2の側方支持板42,42同士の間に架け渡されてこれらを連結する。第2の側方支持板42,42の上端部は、第1の側方支持板32,32の下端部を外側から挟み込むように重ね合わされ、この重ね合わされた部分において、第1及び第2の踏み板31,41と平行となるように丸棒状の軸51が通されている。この軸51は、第1の側方支持板32,32同士に連結されると共に、第2の側方支持板42,42を回転自在に支持する。また、第2の側方支持板42,42は、軸51が通された位置よりも更に端部側(
図4の上端側)に、後述するロッド71の端部71bが遊嵌配置される円弧状の長孔43,43をそれぞれ有している。なお、第1の踏み板31及び第2の踏み板41には、滑り止めとなる上方が切り欠いた形状の凹部31a,41aが複数設けられている。
【0024】
第1の側方支持板32,32の両方の下端面は、軸棒51の軸線方向視において(
図4も参照)、下方に凸となるような円弧面35に構成され、その円弧面35の両端には、外側に膨らむ段部34a,34bが形成されている。これらの段部34a,34bが、後述する下段ステップ40の使用姿勢及び格納姿勢を規定するための第1の上段ステップ側ストッパ(第1のストッパ)34a(
図4及び
図6参照)及び第2の上段ステップ側ストッパ(第2のストッパ)34bを構成し、これらのストッパは、両方の第1の側方支持板32,32に設けられている。一方、第2の側方支持板42,42は、下段ステップ40の使用姿勢及び格納姿勢を規定するためのピンである下段ステップ側ストッパ(第1のストッパ及び第2のストッパを兼ねる)44,44を下段ステップの内側へ向けて突出するように有している。
【0025】
乗降用ステップ20には、上段ステップ30と下段ステップ40とに係止される引張バネ52が設けられている。引張バネ52は、その一端が片方(
図2の右側)の第1の側方支持板32の外側面に設けられた上部係止部53に係止され、他端が片方(
図2の右側)の第2の側方支持板42の外側面に設けられた下部係止部54に係止されており、下段ステップ40を上段ステップ30側へと付勢している。
図2の使用姿勢(詳しくは後述)においては(
図4も参照)、引張バネ52の付勢力により、下段ステップ側ストッパ44,44が第1の上段ステップ側ストッパ34a,34aに当接した状態にある。
【0026】
前述のように、サイドフロア81の後部であって、エンジンルーム6寄りの位置且つ第1の側方支持板32の側方上方には、踏みペダル60が配置されている。この踏みペダル60は、下段ステップ40が回動し折り畳まれるように下段ステップ40にペダル踏力を伝達させる第1の踏み部61と、下段ステップ40が上記とは反対方向に回動し折り畳みを解除するように下段ステップ40にペダル踏力を伝達させる第2の踏み部62とを有する。そして、第1の踏み部61及び第2の踏み部62は、サイドフロア81に設けられて軸63に回転可能に支持されている。
【0027】
踏みペダル60は更に、第1の踏み部61と第2の踏み部62と三つ叉を成すように突出する突出部64を有し、この突出部64の先端にはロッド71の一方の端部71aが回転可能に係止されており、このロッド71の他の端部71bは、前述の第2の側方支持板42が有する円弧状の長孔43に遊嵌配置されている。
図2の状態にあっては、ロッド71の他の端部71bは、長孔43の一方の終端43aに当接した状態にある(
図4参照)。なお、
図2では、踏みペダル60及びロッド71の構成を見やすくするために、ロッド71の一方の端部71aを突出部64の先端から取り外した状態としている。
【0028】
次に、乗降用ステップ20の動作について説明する。
図3及び
図4は下段ステップ40が使用姿勢とされた様子を示す図、
図5及び
図6は下段ステップ40が格納姿勢とされた様子を示す図である。ここで、下段ステップ40の使用姿勢とは、下段ステップ40が折り畳まれる前の状態で作業者が乗降する際の状態を指し、下段ステップ40の格納姿勢とは、下段ステップ40が折り畳まれた状態を指す。
【0029】
図3及び
図4に示されるように、下段ステップ40が使用姿勢にあるときには、引張バネ52の付勢力により下段ステップ側ストッパ44,44が第1の上段ステップ側ストッパ34a,34aに当接した状態にあり、上段ステップ30及び下段ステップ40が斜め後方且つ下方に延び直線状を成す姿勢とされている。この状態で、踏みペダル60の第1の踏み部61はサイドフロア81の側方でサイドフロア81より上方に位置すると共に、第2の踏み部62はサイドフロア81の側方でサイドフロア81より若干上方に位置している。このように、下段ステップ40が使用姿勢にある状態で作業者は下段ステップ40及び上段ステップ30を伝いサイドフロア81に登ることができる。
【0030】
そして、サイドフロア81上の作業者が第1の踏み部61を踏むと、軸63を支点として踏みペダル60が
図4の時計回りに回動する。すると、突出部64に一方の端部71aが係止されたロッド71が斜め後方且つ下方に押され、ロッド71の他の端部71bが当接している第2の側方支持板42の長孔43の一方の終端43aに、踏力(押圧力)が伝達され、伝達された踏力により、下段ステップ40が、軸51を支点として、折り畳まれる方向である
図4の時計回りに回動する。
【0031】
下段ステップ40の回動が進むと、引張バネ52の一端が係止されている下部係止部54、及び、下段ステップ側ストッパ44,44の位置が変化する。回動の初期は、引張バネ52は下段ステップ40が使用姿勢を維持するように付勢しているが、軸51の軸線方向視において(
図4)引張バネ52の軸心が軸51の軸線を跨いで使用姿勢側から格納姿勢側へ乗り越えると、引張バネ52は、下段ステップ40を格納姿勢となるように付勢する。この付勢力により、作業者による第1の踏み部61のそれ以上の踏み込み力がなくても下段ステップ40は軸51を支点に更に回動し、下段ステップ側ストッパ44,44が第2の上段ステップ側ステッパ34b,34bに当接し(
図6)、下段ステップ40の回動が阻止される。このような下段ステップ40の回動に際して、下段ステップ側ストッパ44,44は円弧面35,35の面上を円滑に摺動し、長孔43に遊嵌配置されたロッド71の端部71bは、引張バネ52の軸心が軸51の軸線を跨いだときの引張バネ52による下段ステップ40の回動に従い長孔43が移動し、長孔43の反対側の終端43bに位置する。このようにして、下段ステップ40が使用姿勢から格納姿勢へと姿勢変化する。
【0032】
一方、
図5及び
図6に示されるように、下段ステップ40が格納姿勢にあるときには、引張バネ52の付勢力により下段ステップ側ストッパ44,44が第2の上段ステップ側ストッパ34b,34bに当接した状態にあり、この状態で、踏みペダル60の第2の踏み部62はサイドフロア81の側方でサイドフロア81より上方に位置すると共に、第1の踏み部61はサイドフロア81の側方でサイドフロア81より若干上方に位置している。このような格納姿勢において、乗用管理機10による作業を行う。
【0033】
そして、作業者が降りる場合には、運転席7からサイドフロア81を伝いサイドフロアの後部に行き、第2の踏み部62を踏むと、軸63を支点として踏みペダル60が
図6の反時計回りに回動する。すると、突出部64に一方の端部71aが係止されたロッド71が斜め前方且つ上方へ引っ張られ、ロッド71の他の端部71bが遊嵌配置されている第2の側方支持板42の長孔42の終端43bに、踏力(引張力)が伝達され、伝達された踏力により、下段ステップ40が、軸51を支点として、折り畳みが解除される方向である反時計回りに回動する。
【0034】
下段ステップ40の回動が進むと、引張バネ52の一端が係止されている下部係止部54、及び、下段ステップ側ストッパ44,44の位置が変化する。回動の初期は、引張バネ52は下段ステップ40が格納姿勢を維持するように付勢しているが、軸51の軸線方向視において(
図6)引張バネ52の軸心が軸51の軸線を跨いで格納姿勢側から使用姿勢側へ乗り越えると、引張バネ52は、下段ステップ40を使用姿勢となるように付勢する。この付勢力により、作業者による第2の踏み部62のそれ以上の踏み込み力がなくても下段ステップ40は軸51を支点に更に回動し、下段ステップ側ストッパ44,44が第1の上段ステップ側ステッパ34a,34aに当接し(
図4)、下段ステップ40の回動が阻止される。このような下段ステップ40の回動に際して、下段ステップ側ストッパ44,44は円弧面35,35の面上を円滑に摺動し、長孔43に遊嵌配置されたロッド71の端部71bは、引張バネ52の軸心が軸51の軸線を跨いだときの引張バネ52による下段ステップ40の回動に従い長孔43が移動し、長孔43の一方の終端43aに位置する。このようにして、下段ステップ40が格納姿勢から使用姿勢へと姿勢変化する。
【0035】
このように、本実施形態の乗用管理機10によれば、乗降用ステップ20における下段ステップ40が回動によりこれより上段の上段ステップ30側へ折り畳まれ、下段ステップ40が、乗降可能な使用姿勢から折り畳まれた格納姿勢へと姿勢変化し、下段ステップ40が格納姿勢となると、乗降用ステップ20が車体1の下側且つ側方へ突出する長さが短くなるため、作業中に乗降用ステップ20が作物や地面に接触することを防止できる。また、乗用管理機10が進入する畝間の幅は様々であるため、従来は、乗降用ステップ20を作物や地面に接触させないようにするためには、畝間の幅に合わせて乗降用ステップ20の配置を調整する必要があったが、本実施形態における乗降用ステップ20ではその調整作業が不要となるため、調整のコスト及び手間を削減することができる。
【0036】
また、車体1の側方位置に斜め後ろ上がりの状態で格納される散布ブーム2を備える乗用管理機10では、従来(
図7参照)、車体91の側方に乗降用ステップ99が設けられていると、作業者が、格納された散布ブーム92の下をくぐりながら乗降する必要があったため、作業者の体が散布ブーム92に接触し、場合によっては薬液が服に付着したり、くぐり難かったりしたが、本実施形態の乗用管理機10によれば、サイドフロア81に対する乗り込み方向が車体1の後方からとなるように乗降用ステップ20がサイドフロア81の後部に設けられているため、乗降に際して散布ブーム2の下をくぐる必要がない。従って、作業者が散布ブーム2に接触することなく容易に乗降することができる。また、乗用管理機10を倉庫に収納する際、車体1の後方から乗降できるため、車体1の側方に確保すべきスペースを小さく抑えることができ、倉庫スペースを有効に利用することができる。更に、サイドフロア81の後部には、サイドフロア81から立ち上がってエンジンルーム6の高さ程度に延びて前方に折れ曲がり、薬液タンク8の頂部に端部が固定された一対の手すり82,82が設けられているため、作業者が乗降動作及びサイドフロア81上の移動を安全に行うことができる。
【0037】
また、乗降用ステップ20に設けられた引張バネ52の上記動作によれば、使用姿勢又は格納姿勢のいずれか一方から他方への姿勢変化に際して、下段ステップ40が回動する軸51の軸線方向視において引張バネ52の軸心の位置によって、引張バネ52が下段ステップ40を付勢する姿勢が変化し、下段ステップ40が使用姿勢から格納姿勢へ姿勢変化する際には、引張バネ52の軸心が軸51の軸線を跨いで乗り越えると、下段ステップ40が格納姿勢となるように付勢されて、第2の上段ステップ側ストッパ34b,34bと下段ステップ側ストッパ44,44とが互いに当接し、格納姿勢とされる一方で、下段ステップ40が格納姿勢から使用姿勢へ姿勢変化する際には、引張バネ52の軸心が軸51の軸線を跨いで乗り越えると、下段ステップ40が使用姿勢となるように付勢されて、第1の上段ステップ側ストッパ34a,34aと下段ステップ側ストッパ44,44とが互いに当接し、使用姿勢とされる。すなわち、このような引張バネ52の付勢により、姿勢変化の操作ストローク(踏みペダル60において第1及び第2の踏み部61,62を踏み込む距離)が短くて済み、姿勢変化の操作性を向上できる。また、引張バネ52の付勢力により第1及び第2の上段ステップ側ストッパ34a,34b並びに下段ステップ側ストッパ44が互いに当接し、下段ステップ40が使用姿勢及び格納姿勢となるため、当該引張バネ52と第1の上段ステップ側ストッパ34a,34a及び下段ステップ側ストッパ44,44とにより下段ステップ40を使用姿勢に保持することができ、スムーズに乗降できると共に、当該引張バネ52と第2の上段ステップ側ストッパ34b,34b及び下段ステップ側ストッパ44,44とにより下段ステップ40を格納姿勢に保持することができ、走行中の乗降用ステップ20の振れを抑制できる。
【0038】
また、本発明の乗用管理機10は、踏みペダル60がサイドフロア81に設けられているため、作業者がサイドフロア81に乗った後又はサイドフロア81から降りる前に、サイドフロア81に設けられた踏みペダル60を操作することにより下段ステップ40の姿勢変化を行うことができるため、作業者が乗降動作を容易且つ円滑に行うことができる。なお、本実施形態においては、下段ステップ40が格納姿勢であるときであっても、上段ステップ30のみでも乗降用ステップとしての機能を有する。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、乗降用ステップ20が上段ステップ30及び下段ステップ40の二つのステップからなる態様を示したが、三つ以上のステップを有する態様としてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、第1の側方支持板32に第1のストッパ(第1の上段ステップ側ストッパ)34a及び第2のストッパ(第2の上段ステップ側ストッパ)34bが別々に設けられ、第2の側方支持板42に第1及び第2のストッパを兼ねる下段ステップ側ストッパ44が設けられる態様としたが、反対に、第1の側方支持板32に第1及び第2のストッパを兼ねるストッパを設け、第2の側方支持板42に第1のストッパ及び第2のストッパが別々に設けられる態様としてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、乗用管理機10を乗用型ブームスプレーヤとしたが、他の乗用管理機に対しても適用できる。