(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
古紙パルプの配合割合が60質量%以上である3層抄き以上の多層抄きである基紙の少なくとも一方の面に顔料及び接着剤を主体とした塗料を2回以上塗工して塗工層を設ける白板紙の製造方法において、
前記基紙の層のうち、一方の表面に配置した層を表面層、他方の表面に配置した層を裏面層、前記表面層と前記裏面層との中間に配置した層を中間層とそれぞれ表記したとき、
前記表面層及び前記裏面層の古紙パルプの配合割合を20質量%以下とし、前記中間層の古紙パルプの配合割合を90質量%以上として、前記基紙を抄紙する抄紙工程と、
前記基紙に前記塗料を2回以上いずれもブレードコーターを使用して塗工し、かつ、最終回で塗工する塗料が該塗料中の全顔料100質量部に対してカオリンクレーを10質量部以上含む塗料である塗工工程と、を有し、
前記白板紙は、2回以上塗工した面の光沢度が40%以上であり、かつ、密度が0.77〜0.88g/cm3であり、
前記白板紙の離解フリーネスが、450ml以上600ml以下であることを特徴とする白板紙の製造方法。
前記古紙パルプが未叩解の古紙パルプであるか、又は、未叩解の古紙パルプの離解フリーネスを基準として離解フリーネスの差異値がCSF100ml以内の叩解した古紙パルプであることを特徴とする請求項1又は2に記載の白板紙の製造方法。
前記基紙が、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、高級アルコールのプロピレンオキサイド付加物若しくは高級アルコールのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物、多価アルコール型非イオン型界面活性剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物のエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミド、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体又は脂肪酸ポリアミドアミンの中から選ばれた成分を含まないことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の白板紙の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0017】
本実施形態に係る白板紙は、古紙パルプの配合割合が60質量%以上である3層抄き以上の多層抄きである基紙の少なくとも一方の面に顔料及び接着剤を主体とした2層以上からなる塗工層を設けた白板紙において、基紙の層のうち、一方の表面に配置した層を表面層、他方の表面に配置した層を裏面層、表面層と裏面層との中間に配置した層を中間層とそれぞれ表記したとき、(1)表面層及び裏面層の古紙パルプの配合割合が20質量%以下であり、(2)中間層の古紙パルプの配合割合が90質量%以上であり、(3)塗工層の最上層が最上層中の全顔料100質量部に対してカオリンクレーを10質量部以上含み、(4)塗工層の全層がブレードコーターで塗工して形成した層であり、(5)塗工層の最上層の表面の光沢度が40%以上であり、(6)白板紙の密度が0.77〜0.88
g/cm3である。本明細書において、表面層及び裏面層を、白層ということもある。中間層のうち、表面層又は裏面層に接する中間層を、白下層ということもある。また、中間層のうち、表面層又は裏面層に接しない中間層を、中層ということもある。
【0018】
本実施形態に係る白板紙では、古紙パルプが未叩解の古紙パルプであるか、又は、未叩解の古紙パルプの離解フリーネスを基準として離解フリーネスの差異値がCSF100ml以内の叩解した古紙パルプであることが好ましい。この範囲とすることで、密度を所望する範囲にコントロールすることができる。未叩解の古紙パルプの離解フリーネスを基準として離解フリーネスの差異値とは、未叩解のフリーネスと叩解によるフリーネスとの差異値(以下、「フリーネス差異値」と略す。)である。フリーネス差異値は、より好ましくは80ml以内である。古紙パルプは、少なくとも一回以上離解、叩解及び乾燥を経ているためフレッシュパルプよりも短繊維化・角質化が進んでいる。このため過度な叩解を施した古紙パルプは、急激に基紙を緻密にすると推測される。このため古紙パルプのフリーネス差異値がCSF100mlを超えると、基紙が緻密となり密度が高くなり嵩が出ない場合がある。
【0019】
基紙に用いる各層のパルプの離解フリーネスは、いずれも350ml以上600ml以下であることが好ましい。より好ましくは400ml以上570ml以下である。この範囲とすることによって白板紙の離解フリーネスを350ml以上600mlの範囲とすることができ、嵩を上げるための好適な条件となる。350ml未満では、基紙が緻密となり密度が高くなり嵩が出ない場合がある。また、600mlを超えると繊維間結合が弱くなり、紙力の低下が生じ印刷に耐えうることができず支障をきたす場合がある。本発明における各層のパルプの離解フリーネスは、基紙を各層に分離しTappi離解機(JIS P 8220:1998「パルプ‐離解方法」に準拠)を用いて固形分濃度1質量%とし、25分間離解調製したスラリーをカナダ標準形ろ水度試験機(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」に準拠)で測定することによって得られる。
【0020】
白板紙の離解フリーネスは、350〜600mlであることが好ましい。より好ましくは、400〜550mlである。350ml未満では、基紙が緻密となり密度が高くなり嵩が出ない場合がある。600mlを超えると繊維間結合が弱くなり、紙力の低下が生じ印刷に耐えうることができず支障をきたす場合がある。本発明における白板紙の離解フリーネスは、各層のパルプの離解フリーネスの測定において、各層に分離せず、塗工層を含めた、白板紙全体で測定した値をいう。
【0021】
基紙に用いる古紙パルプは、大きく上質系、中質系に分けられるが、退色を避けるために、表面層及び裏面層、すなわち基紙の表側に使用する古紙パルプは上質系古紙パルプを使用することが好ましい。上質系古紙パルプとしては、上白・罫白・カード・模造・色上・ケント・白アート・ミルクカートンなどの古紙から調製されたパルプが挙げられる。本実施形態で使用する古紙として、離解又は除塵処理だけでなく、好ましくは、脱墨、漂白、インク分散又は洗浄などの各工程を経た後の古紙パルプを使用する。特に多層抄きの場合、抄き合わせ後にプレスパートで加圧脱水するときに、微細なインクは別の層へ移動することがある。したがって、古紙処理工程には微細インクを除去できる洗浄装置を設置し、当該装置による洗浄工程を経ることがより好ましい。
【0022】
中質系古紙パルプの代表として、新聞、雑誌、切付、中質反古、茶模造、段ボール、台紙・地券、ボール紙などから調製されるパルプが挙げられる。
【0023】
基紙に用いるパルプとしては、古紙パルプの他に、バージンパルプとして広葉樹漂白サルファイトパルプ(LBSP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、機械パルプ(GP、TMP、BCTMP)などを有利に用いることが好ましい。また、必要に応じて、木材パルプ以外に、非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを適宜用いてもよい。なお、機械パルプは退色性の面から白層に配合せず、白下層若しくは中層に配合することが好ましい。脱墨パルプ(DIP)については上質系古紙であれば白層に配合してもよいが、中質系古紙の場合は白層に配合せず、白下層若しくは中層に配合することが好ましい。
【0024】
本実施形態に係る白板紙では、填料を配合してもよい。使用する填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、カオリンクレー、焼成カオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウムである。填料は、白色度及び不透明度に優れるため、白下層又は中層に低白色度のDIPを使用する場合などは、白層に使用することが好ましい。
【0025】
基紙中の填料含有量は、最表層である白層に使用する場合は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。より好ましくは2〜8質量部である。さらに好ましくは、3〜7質量部である。1質量部以下では、白色度向上、不透明度向上等の効果が得られない場合がある。10質量部を超えると、基紙自体の強度が不足し印刷・加工に耐えられず実質使用することができない場合がある。
【0026】
白板紙全体の灰分は、基紙にDIPを配合している場合、残留する灰分の影響のため高くなる。白板紙全体の灰分は好ましくは3〜25質量部である。より好ましくは、5〜21質量部であり、更に好ましくは9〜17質量部である。3質量部未満とするにはDIP中の灰分を無くする必要があるため非常にコストがかかり実質不可能である。25質量部を超えるとパルプ分が少なくなり軽量化することができない。また、剛度及びリングクラッシュが所望する範囲とならない場合がある。ここで、白板紙全体の灰分は、基紙の灰分と塗工層の灰分との和である。
【0027】
表面層及び裏面層の古紙パルプ配合割合は20質量%以下である。より好ましくは10質量%以下である。さらに好ましくは0質量%である。20質量%を超えると退色が悪化する。
【0028】
本明細書において、古紙パルプ配合割合は、数1によって算出する。
(数1)古紙パルプの配合割合(質量%)=古紙パルプの配合量÷(バージンパルプの配合量+古紙パルプの配合量)×100
【0029】
中間層、すなわち基紙表側の最表層(表面層)及び裏側の最表層(裏面層)を除いた層の古紙パルプの配合割合は90質量%以上である。より好ましくは95質量%以上であり、更に好ましくは100質量%である。90質量%未満では、白層に配合する古紙の配合量を多くしなければ、基紙全体の古紙パルプの配合割合を60質量%以上にすることができず、結果として退色が悪化する。退色性を維持しながら白板紙全体の古紙配合率を高める場合には、中間層に古紙を多く配合し、表面層及び裏面層には古紙配合を最小限とすることが好ましい。また、中間層のうち白下層には、中層よりも白色度の高い古紙パルプを配合することが好ましい。本明細書において、中間層の古紙パルプの配合割合は、中間層全体に対する古紙パルプの配合割合をいい、中間層を1層で形成した場合には、該層に対する古紙パルプの配合割合をいい、中間層を2層以上で形成した場合には、全中間層の全体に対する古紙パルプの配合割合をいう。
【0030】
本実施形態に係る白板紙では、パルプ及び填料以外に、サイズ剤、硫酸バンド、カチオン澱粉若しくはポリアクリルアミド系などの内添紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤又はピッチコントロール剤などの各種助剤を、各製品に合わせて好適に配合してもよい。
【0031】
本実施形態に係る白板紙では、基紙が、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、高級アルコールのプロピレンオキサイド付加物若しくは高級アルコールのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物、多価アルコール型非イオン型界面活性剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物のエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミド、脂肪酸アミドのヒドロキシエチル誘導体又は脂肪酸ポリアミドアミンの中から選ばれた成分を含まないことが好ましい。これらの成分は、一般に嵩高剤と呼ばれるが、本実施形態に係る白板紙は、嵩高剤を使用せずとも、低密度の白板紙を得ることができる。また、これらの成分を使用しないことで、工程汚れなどの支障がなく白板紙を生産することができる。
【0032】
本実施形態に係る白板紙では、基紙の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、長網多層抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機など3層以上の多層抄きでできる抄紙機である各種装置で製造できる。
【0033】
本実施形態に係る白板紙では、基紙の表面に表面サイズ液を塗布してもよい。表面サイズ液としては、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子などが挙げられるが、特に限定されるものではない。塗布方法は、サイズプレスのようなポンドを設けるタイプ、ゲートロールサイズプレス若しくはシムサイザーのようなフィルムメタリングタイプ、ロッドコーター又はエアーナイフコーターなどの高知の塗布機を用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0034】
本実施形態に係る白板紙において、基紙の表面又は基紙に必要に応じて表面サイズ処理を施した表面に、2層以上からなる塗工層を設ける。2層以上からなる塗工層は、基紙の表面層又は裏面層のいずれか一方の表面だけに設けるか、又は表面層及び裏面層の両方の表面に設けてもよい。また、2層以上からなる塗工層を表面層又は裏面層のいずれか一方の表面に設ける場合は、他方の表面には、塗工層を設けないか、又は1層だけからなる塗工層を設けてもよい。
【0035】
塗工層の最上層は、最上層中の全顔料100質量部に対してカオリンクレーを10質量部以上含む。より好ましくは20質量部以上であり、更に好ましくは30質量部以上である。10質量部未満では所望する白紙光沢度が得られない。キャレンダーなどの加工機で潰して光沢度を得る方法があるが、結果として嵩が出なくなる。ただし、カオリンクレーを多用すると白紙光沢度は向上するが白色度が低くなる場合がある。また、塗料とした場合粘度が高くなりすぎ実質生産できなくなる場合がある。このため、最上層中のカオリンクレーの含有量は、最上層中の全顔料100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、40質量部以下である。カオリンクレーは、クレー、カオリンと呼ばれることもあり、例えば、湿式カオリン、焼成カオリン、乾式カオリンを含む。
【0036】
本実施形態に係る白板紙において、少なくとも一方の面に顔料及び接着剤を主体とした塗料を2回以上塗工する。最上層以外の塗工層についても、カオリンクレーを配合することが好ましい。最上層以外の塗工層は、該塗工層中の全顔料100質量部に対してカオリンクレーを10質量部以上含むことが好ましい。より好ましくは20質量部以上であり、更に好ましくは30質量部以上である。カオリンクレー未使用では所望する白紙光沢度が得られ難い。キャレンダーなどの加工機で潰して光沢度を得る方法があるが、結果として嵩が出なくなる。カオリンクレーを多用すると白紙光沢度は向上するが白色度が低くなる場合がある。また、塗料とした場合粘度が高くなりすぎ実質生産できなくなる場合がある。このため、最上層以外の塗工層のカオリンクレーの含有量は、該塗工層中の全顔料100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、40質量部以下である。
【0037】
カオリンクレーは、白色度、粒子径、BET比表面積又はデラミネート処理の有無などによって等級分けがされている。本実施形態では、いずれの等級資材も使用できるが、白紙光沢が出やすいデラミクレーであることがより好ましい。
【0038】
顔料は、カオリンクレーの他に、例えば、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)などの精製した天然鉱物顔料、軽質炭酸カルシウム、有機顔料を使用することが好ましい。そのほかの資材としては、特に限定されるものではなく、例えば、タルク、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛又は炭酸マグネシウムの少なくとも1種を混合してもかまわない。
【0039】
本実施形態に係る白板紙において、塗工層に用いるバインダーとしては、スチレン‐ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル、エチレン‐酢酸ビニルなどの各種共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン若しくはポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物などが挙げられる。さらには、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、燐酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉又はそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの天然多糖類又はそのオリゴマー又はその変性体が挙げられる。また、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲンなどの天然タンパク質又はその変性体、ポリ乳酸、ペプチドなどの合成高分子やオリゴマーが挙げられる。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
本実施形態に係る白板紙において、塗工層には、必要に応じて、分散剤、消泡剤、耐水化剤、着色染料、着色顔料、増粘剤などの各種所剤を使用してもよい。
【0041】
本実施形態に係る白板紙において、2回以上塗工する面の塗工方法はブレードコーターとする。その他の液だまりを有するサイズプレス、メタリングサイズプレス、ゲートロール、シムサイザーなどの各種フィルムトランスファーコーターやエアーナイフコーター、ロッドコーター、ダイレクトファウンテンコーター、スプレーコーター、カーテンコーターでは所望する白紙光沢度は得られない。2層以上からなる塗工層を表面層又は裏面層のいずれか一方の表面に設ける場合であって、他方の表面に1層だけからなる塗工層を設ける場合には、1層だけからなる塗工層の塗工方法は、特に制限はないが、ブレードコーターであることがより好ましい。
【0042】
本実施形態に係る白板紙では、塗工層の合計の塗工量(乾燥塗工量)が15〜30g/m
2であることが好ましい。より好ましくは19〜28g/m
2である。15g/m
2未満では所望する印刷光沢度に到達しない場合がある。30g/m
2を超えると塗工層強度が低下し、打ち抜き又は製函時に紙粉又は粉落ちが発生し重大な障害となる場合がある。2層以上からなる塗工層は、各層を同一の組成とするか、又は異なる組成としてもよい。また、各層の厚さを均等にするか、又は異なる厚さとしてもよい。
【0043】
白板紙の坪量は、150g/m
2以上の厚紙であることが好ましく、200g/m
2以上であることがより好ましい。白板紙の坪量の上限値は、900g/m
2であることが好ましく、600g/m
2であることがより好ましい。白板紙の坪量が900g/m
2を超えると、箱に加工する時に、罫線が入りづらく折り曲げたときに割れが生じ実質使用することができない。ここで、白板紙の坪量は、基紙の1m
2あたりの質量及び塗工層の1m
2あたりの質量の和である。また、基紙の坪量は、130g/m
2以上であることが好ましく、180g/m
2以上であることがより好ましい。130g/m
2未満では、箱としての機能を発揮するためには強度が足りない。また、多層抄きとした場合1層当たりの坪量が低すぎて、実質生産することができない。基紙の坪量の上限値は、870g/m
2であることが好ましく、570g/m
2であることがより好ましい。また、基紙を130g/m
2以上で単層抄きとした場合、剛度又は強度が低くなり実質箱としての機能をなさない。
【0044】
本実施形態に係る白板紙で得られる紙ウェブを基紙として所望する品質要求によりキャスト処理を行ってもよい。
【0045】
本実施形態に係る白板紙では、塗工層の最上層の表面の光沢度が40%以上である。より好ましくは45%以上である。更に好ましくは50%以上である。光沢度は、例えば、塗工層の塗工方法をブレードコーターを用いた塗工方法とすることで、所望の範囲とすることができる。本明細書において、光沢度とは、JIS P 8142:1993「紙及び板紙−75度鏡面光沢度試験の測定方法」に準じて算出した値である。
【0046】
本実施形態に係る白板紙では、密度が0.77〜0.88
g/cm3である。より好ましくは0.80〜0.85g/
g/cm3である。0.77
g/cm3未満ではリングクラッシュをはじめとする箱とした場合の強度や持ち運びなどの印刷作業性はよいが、紙層強度が弱くなり印刷時に膨れと呼ばれる紙層内剥離が発生する。0.88
g/cm3を超えると箱とした場合の強度や持ち運びなどの印刷作業性が劣る。
【実施例】
【0047】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
【0048】
実施例又は比較例の白板紙について次の評価を行った。評価結果を表1に示す。評価方法については次に示す。
【0049】
<密度>
JIS P 8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準じて算出した。
【0050】
<光沢度>
表面層側に形成した塗工層の最上層の表面について、JIS P 8142:1993「紙及び板紙−75度鏡面光沢度試験の測定方法」に準じて算出した。
【0051】
<箱加工後の強度>
JIS P 8126:1994「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準じて算出した値を基に下記評価を行った。尚、測定方向は紙の抄紙流れ方向に対し垂直方向(CD方向)とした。
◎:比圧縮強さは155kN/m以上であり、箱としての使用可能である(実用レベル)。
○:比圧縮強さは131kN/m以上155kN/m未満であり、箱としての使用可能である(実用レベル)。
△:比圧縮強さは107kN/m以上131kN/m未満であるが、箱としての使用可能である(実用下限)。
×:比圧縮強さが107kN/m未満であり、箱としての使用不可である(実用不可)。
【0052】
<印刷作業性>
JIS P 8125:1994「紙及び板紙−こわさ試験方法−テーバーこわさ試験機法」に準じて算出した値を基に下記評価を行った。尚、測定方向は紙の抄紙流れ方向に対し垂直方向(CD方向)とした。
◎:こわさは13mN・m以上であり、持ち運びに支障なし(実用レベル)。
○:こわさは10mN・m以上13mN・m未満であり、持ち運びに支障なし(実用レベル)。
△:こわさは8.5mN・m以上10mN・m未満であり、持ち運びやすさの下限(実用下限)。
×:こわさが8.5mN・m未満であり、持ち運ぶことが出来ない(実用不可)。
【0053】
<退色性>
白板紙を105℃、1時間の熱風乾燥機によって処理し、退色の度合いを視感評価した。退色性の評価は、次に示す要領によって記述することにした。
◎…ほとんど黄ばみは無い(実用レベル)。
○ …僅かに黄ばむ(実用レベル)。
△…多少黄ばみあり(実用下限レベル)。
×…黄ばみが著しい(実用に適さない)。
【0054】
(実施例1)
<基紙の作製>
白層(表面層及び裏面層)としてそれぞれ広葉樹パルプ(L−BKP)を全パルプ中90%と針葉樹パルプ(N−BKP)を全パルプ中10%とからなるCSF450mlに調整したパルプを用い、白下層(表面層に接する中間層及び裏面層に接する中間層)としてそれぞれCSF450mlの新聞脱墨漂白古紙を未叩解のまま用い、中層(表面層又は裏面層に接しない中間層)として2層設け、それぞれCSF450mlの脱墨した雑誌古紙パルプを未叩解のまま用いて短網組み合わせ型抄紙機によって全坪量380g/m
2の基紙を抄速200m/minで抄紙した。表側白層(表面層)の坪量は30g/m
2、白下層(中間層)の坪量は60g/m
2、中層(中間層)の坪量はそれぞれ100g/m
2で2層、裏側の白下層(中間層)の坪量は60g/m
2、裏側白層(裏面層)の坪量は30g/m
2であった。白層のパルプには、パルプ量に対してタルク(日本タルク株式会社製、NTL)を5%混合したものを用い、6層全層に紙力増強剤としてポリアクリルアマイド(荒川化学工業株式会社製 ポリストロン619)を各層のパルプ量に対して0.2%、6層全層に凝集助剤として硫酸バンドをパルプ量に対して0.5%、サイズ剤としてロジンエマルジョンサイズ剤(星光PMC株式会社製 AL1200)を白層のパルプだけにパルプ量に対して0.3%、歩留り向上剤(栗田工業株式会社製 HH220)を6層全層に各層のパルプ量に対して300ppm添加した。表面層及び裏面層の古紙パルプの配合割合はそれぞれ0%、中間層の古紙パルプの配合割合は100%であった。また、基紙全体の古紙パルプの配合割合は、84.2%であった。
【0055】
<サイズプレス>
基紙に酸化澱粉(日本食品化工株式会社製 MS3800)の7%糊液をポンド式サイズプレスにより片面当たり固形分2g/m
2として両面に塗布、乾燥した。
【0056】
<表面層への塗工層の形成>
この基紙の表面層に、下塗り層用塗料として、顔料としてカオリンクレー(ケイミン社製 ハイドラスパース)を全顔料中30部及び湿式重質炭酸カルシウム(株式会社イメリスミネラメズジャパン製 カービタル60)を全顔料中70部と、接着剤としてSBR(スチレン‐ブタジエンゴム)系ラテックス(旭化成ケミカル社製、B−1541)を全顔料100部に対して15部及びリン酸エステル化澱粉を全顔料100質量部に対して3部とからなる塗料を用い、この下塗り層用塗料をブレードコーターにて固形分13g/m
2となるように塗布、乾燥して下塗層を形成した。次いで上塗り層用塗料として、顔料としてカオリンクレー(カダム社製 アマゾンSB)を全顔料中30部、湿式重質炭酸カルシウム(株式会社イメリスミネラメズジャパン製 カービタル90)を全顔料中60部及び酸化チタン(デュポン社製 RPS−Vantage)を全顔料中10部と、接着剤としてSBR(スチレン‐ブタジエンゴム)系ラテックス(旭化成ケミカル社製、B−1541)を全顔料に対して15部とからなる塗料を用い、上塗り層用塗料をブレードコーターにて固形分13g/m
2となるように塗布、乾燥して上塗り層(最上層)を形成した。
【0057】
<裏面層への塗工層の形成>
基紙の裏面層に、上塗り層用塗料をロッドコーターにて固形分10g/m
2となるように塗布、乾燥した。
【0058】
<平滑加工処理>
線圧50kg/cmにてキャレンダー処理を行い、その後100kg/cm、140℃にて表面をラスタープレスにて処理し白板紙を得た。白板紙の離解フリーネスは、450mlとなった。
【0059】
(実施例2)
表面層への塗工層の形成において、下塗り層用塗料の顔料として使用するカオリンクレーを全顔料中30部から0部に変更し、湿式重質炭酸カルシウムを全顔料中70部から100部に変更し、かつ、上塗り層用塗料の顔料として使用するカオリンクレーを全顔料中30部から10部に変更し、湿式重質炭酸カルシウムを全顔料中70部から90部に変更した以外は実施例1と同様とした。
【0060】
(実施例3)
表面層への塗工層の形成において、下塗り層用塗料及び上塗り層用塗料共に顔料として使用するカオリンクレーを全顔料中30部から50部に変更し、湿式重質炭酸カルシウムを全顔料中70部から50部に変更した以外は実施例1と同様とした。
【0061】
(実施例4)
キャレンダー処理線圧を50kg/cmから30kg/cmに変更し、かつ、ラスタープレス処理を100kg/cm、140℃から70kg/cm、140℃に変更した以外は実施例1と同様とした。
【0062】
(
参考例5)
白下層及び中層に使用する古紙パルプを叩解しフリーネス450mlから350mlへ調整して使用した以外は実施例1と同様とした。古紙パルプのフリーネスの差異値は100mlであった。また、白板紙の離解フリーネスは380mlとなった。
【0063】
(実施例6)
表面層の塗工量を、下塗り層及び上塗り層の塗工量を各々固形分13g/m
2から8g/m
2なるよう変更した以外は実施例1と同様とした。
【0064】
(実施例7)
白層(表面層及び裏面層)に使用するパルプを、広葉樹パルプ70%と、針葉樹パルプ10%と、未叩解の新聞脱墨漂白古紙20%とに変更した以外は実施例1と同様とした。白板紙の離解フリーネスは450mlとなった。
【0065】
(比較例1)
表面層への塗工層の形成において、下塗り層用塗料及び上塗り層用塗料共に顔料として使用するカオリンクレーを全顔料中30部から0部に変更し、湿式重質炭酸カルシウムを全顔料中70部から100部に変更した以外は実施例1と同様とした。
【0066】
(比較例2)
キャレンダー処理線圧を50kg/cmから70kg/cmに変更し、かつ、ラスタープレス処理を100kg/cm、140℃から120kg/cm、140℃に変更した以外は比較例1と同様とした。
【0067】
(比較例3)
白層の原料、白下層の原料及び中層の原料のそれぞれの完成原料を、白層の原料:白下層の原料:中層の原料=30:60:100で混合し、長網単層抄きにより380g/m
2とした基紙を使用した以外は実施例1と同様とした。
【0068】
(比較例4)
白層に脱墨したCSF450mlの雑誌古紙パルプを未叩解のまま用い、中層に広葉樹パルプ(L−BKP)90%と針葉樹パルプ(N−BKP)10%とからなるCSF450mlに調整したパルプを使用した以外は実施例1と同様とした。
【0069】
(比較例5)
表面層への塗工に使用するコーターヘッドを、上塗り層及び下塗り層共にブレードコーターからロッドコーターに変更した以外は実施例1と同様とした。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例1〜7の白板紙は、いずれも、白紙光沢度が高く、密度が低いため紙厚さが高くなり、箱にしたときの強度や印刷時などの持ち運びが良好であり、また退色性も優れていた。また、高級アルコール系界面活性剤、脂肪酸アミド系資材などの嵩高剤を使用せずとも、古紙を使用した、低密度の白板紙を製造できることが確認できた。実施例1と実施例2とを比較すると、下塗り層及び上塗り層の両方にカオリンクレーを配合することで、光沢度を向上できることが確認できた。また、実施例1と実施例5とを比較すると、古紙パルプを未叩解とすることで、箱加工後の強度及び印刷作業性を向上できることが確認できた。
【0072】
比較例1では、最上層にカオリンクレーを使用していないため、光沢度が出なかった。比較例2では、比較例1の状態で光沢度を出すために平滑処理の圧力を高くして行ったが、密度が高くなり箱加工後の強度及び印刷作業性が劣る結果となった。比較例3では原紙を単層抄きとしたため所望する剛度が得られず印刷時などの持ち運びに支障をきたした。また、箱にしたときの強度が低く使用することができなかった。比較例4では、最表層に雑誌古紙を使用したため退色性が悪化し、実使用できなかった。比較例5では、塗工に際しロッドコーターを使用したため光沢度が出なかった。
【0073】
表1から明らかなように、古紙パルプの配合割合が60質量%以上である3層抄き以上の多層抄きである基紙の少なくとも一方の面に顔料及び接着剤を主体とした2層以上からなる塗工層を設けた白板紙において、基紙の層のうち、一方の表面に配置した層を表面層、他方の表面に配置した層を裏面層、表面層と裏面層との中間に配置した層を中間層とそれぞれ表記したとき、(1)表面層及び裏面層の古紙パルプの配合割合が20質量%以下であり、(2)中間層の古紙パルプの配合割合が90質量%以上であり、(3)塗工層の最上層が最上層中の全顔料100質量部に対してカオリンクレーを10質量部以上含み、(4)塗工層の全層がブレードコーターで塗工して形成した層であり、(5)塗工層の最上層の表面の光沢度が40%以上であり、(6)白板紙の密度が0.77〜0.88
g/cm3とすることで、白紙光沢度が高く、印刷作業性が良く、箱等に加工した場合の強度に優れた白板紙を得ることができた。