(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光照射によって硬化する光硬化型インクにおいて、樹脂と着色体と光反応開始剤と導電剤と溶剤とを含み、前記導電剤はフェニル基が複数個配位したホウ酸陰イオンと金属陽イオンとからなる塩であり、前記溶剤は環状カーボネートまたはアルコールの少なくとも何れかであることを特徴とする光硬化型インク。
【発明を実施するための形態】
【0011】
溶剤の環状カーボネート系材料は有機物質に溶解し易く、且つ、極性が高いことから、溶剤に溶解した導電剤をインク中で電離させやすくするので、より少ない溶剤量でインクの導電性を付与できる。また導電剤は、フェニル基が複数個配位したホウ酸陰イオンと金属陽イオンからなる塩である化合物を用いることで、陰イオンの部分が樹脂に対する導電剤の溶解性を付与するとともに、陽イオンと陰イオンが電離しやすいので、少量の溶剤成分でも導電性を示す。フェニル基が複数個配位したホウ酸陰イオンと金属陽イオンからなる導電剤は、それ自身が電離しやすいが、溶剤に極性の大きな環状カーボネートを含むことでさらに電離しやすくなり、少量の溶剤成分でも導電性が向上する。
【0012】
光は、光反応開始剤に吸収され、光反応開始剤を分解できる波長の光であれば特に限定されない。電磁波、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、ガンマー線などがあげられる。これらの中でも、特に紫外線が好ましい。紫外線による硬化の場合、波長が100〜450nm程度の領域が好ましい。このような光源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯の他、LEDランプ等が挙げられる。これらの中でも特に、LEDランプはインク吐出のタイミングに連動して、高速に点灯、消灯できる点、およびランプ寿命が長く、消費電力が小さい点において特に好ましい。これらの光源の他に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
【0013】
樹脂は、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基、チオール基、(メタ)アクリレート基等の重合性を有する官能基を分子構造内に有する樹脂であれば特に制限されない。具体的にはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールプロピレングリコール共重合体ジビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂が挙げられる。これらの中でも特に、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等は粘度も低く反応性も高いことから好ましく例示される。
【0014】
(メタ)アクリレート系樹脂としてはフェノキシグリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化2メチル1,3プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2ヒドロキシ3アクリロイキシプロピルメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチルプールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチェル(メタ)アクリレートなどがあげられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、エトキシ化ビスフェノールA型アクレート、芳香族ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートのポリマー骨格に重合性官能基がついた樹脂を用いることもできる。この他、室温での粘度が低く、分子鎖末端にアクリレート基かメタクリレート基が形成されているものであれば基本的に本発明にもちいることができる。
【0015】
また、重合性官能基としてエポキシ基、オキセタニル基を持つ樹脂成分としては、アリルグリシジルエーテル、2エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、1ビニル3,4エポキシシクロヘキサン、メタクリル酸[(3,4-エポキシシクロヘキサン)-1-イル]メチル、1,2、8,9ジエポキシリモネン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ブタンテトラカルボン酸 テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル) 修飾ε-カプロラクトン等のモノマ成分の他、低分子量の脂環式エポキシド、ビスフェノールA系エポキシド、水添ビスフェノールA系エポキシド、ビスフェノールF系エポキシド、ノボラック型エポキシド、脂肪族環式エポキシド、ナフタレン型エポキシド、ビフェニル型エポキシド、2官能アルコールエーテル型エポキシド、アクリル変性脂環式エポキシド、2官能アルコールエーテル型エポキシド等が例示される。
【0016】
オキセタニル基を有するものとしては、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)] メチルエーテル、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等が例示される。
【0017】
この他、反応性希釈成分としてはN−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、メタアリル(メタ)アクリレートなどが例示される。これら樹脂成分を単独で用いる場合の他、複数をしてもよい。
【0018】
着色体は、重合性官能基を有する樹脂成分や溶剤成分に対し溶解し、発色するものであれば特に制限はない。具体的にはVALIFAST YELLOW 3150, VALIFAST YELLOW 3170, VALIFAST YELLOW 4120, VALIFAST YELLOW 4121, VALIFAST ORANGE 2210, VALIFAST ORANGE 3209, VALIFAST RED 1306, VALIFAST RED 2320, VALIFAST RED 3311, VALIFAST RED 3312, VALIFAST PINK 2310N, VALIFAST BROWN 3402, VALIFAST BLUE 1605, VALIFAST BLUE 1621, VALIFAST BLUE 2620, VALIFAST BLUE 2627, VALIFAST BLUE 2670, VALIFAST BLACK 1807, VALIFAST BLACK 3804, VALIFAST BLACK 3810, VALIFAST BLACK 3820, VALIFAST BLACK 3830, VALIFAST BLACK 3840, VALIFAST BLACK 3866, VALIFAST BLACK 3870(以上オリエント化学製), ORASOL Yellow 2GLN, ORASOL Yellow 3R, ORASOL Yellow 2RLN, ORASOL Orange G, ORASOL Orange RG, ORASOL Brown 2GL, ORASOL Brown 2RG, ORASOL Brown 6RL, ORASOL Red 3GL, ORASOL Red 2B, ORASOL Red G, ORASOL Red BL, ORASOL Pink 5BLG, ORASOL Blue GN, ORASOL Blue GL, ORASOL Black CN, ORASOL Black RLI(以上Ciba製)、Savinyl Yellow RLS, Savinyl Red 3BLS, Savinyl Pink 6BLS, Savinyl Blue GLS, Savinyl Black RLSN(以上Clariant)があげられる。このほか、Solvent Yellow 25, 88, 89, Solvent Orange 11, 99, Solvent Brown 42, 43, 44, Solvent Red 122, 135, 127, 130, 233, Solvent Blue 67, 70, Solvent Black 27, 28, 29等も本発明の着色体として使用することができる。この他、重合性官能基を有する樹脂成分や溶剤成分に対し分散性を有する分散剤で処理された顔料成分を用いることもできる。
【0019】
光反応開始剤は、IRGACURE261(チバガイギー社製)、オプトマーS P-150(旭電化工業社製)、オプトマーS P-151旭電化工業社製)、オプトマーSP-152旭電化工業社製)、オプトマーSP-170(旭電化工業社製)、オプトマーSP-171(旭電化工業社製)、オプトマーSP-172(旭電化工業社製)、UVE-1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD-1012(サートマー社製)、サンエイドSI-60L(三新化学工業社製) 、サンエイドSI-80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI- 100L(三新化学工業社製)、サンエイドSI- 110(三新化学工業社製)、サンエイドSI- 180(三新化学工業社製)、CI-2064(日本曹達社製)、CI-2639(日本曹達社製)、CI-2624(日本曹達社製)、CI-2481(日本曹達社製)、Uvacure 1590(ダイセルUCB)、Uvacure 1591(ダイセルUCB)、RHODORSILPhotoInItiator2074 (ローヌ・プーラン社製)、UVI-6990(ユニオンカーバイド社製)、BBI-103(ミドリ化学社製)、MPI-103(ミドリ化学社製)、TPS-103(ミドリ化学社製)、MDS-103(ミドリ化学社製)、DTS-103(ミドリ化学社製)、DTS-103(ミドリ化学社製)、NAT-103(ミドリ化学社製)、NDS-103(ミドリ化学社製)、CYRAURE UVI6990(ユニオンカーバイト日本)CPI-100P(サンアプロ)、CPI-101A、CPI-200K(サンアプロ)、CPI-210S(サンアプロ)等が挙げられる。これら重合開始剤は単独で適用することも可能であるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。このほか公知の重合促進剤および増感剤等と組み合わせて適用することもできる。これに加えラジカル重合系の光反応開始剤を用いることもできる。
【0020】
具体的には、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ベンゾフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムなどが例示される。これら光反応開始剤の組成は反応性や保存安定性の観点から3〜10wt%程度が好ましい。
【0021】
溶剤は、環状カーボネートまたはアルコールであり、重合性官能基を有する樹脂や導電剤、着色材、光反応開始剤に対し溶解性を有する。アルコールはエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メチル2-プロパール、2-ブタノール等単体で100℃以下の沸点をもち、ビニルエーテル基含有モノマとの相溶性を有するものであればよい。また、上記アルコールを2種以上混合してもよい。更に、上記以外のアルコールでも共沸混合物の沸点が100℃以下になる2種以上のアルコールを組み合わせたものでもよい。また、ソルミックス、エキネン、クリンソルブ(以上日本アルコール販売)等のエタノールを主成分とする混合物である工業用でもよい。添加量は樹脂の硬化性等を考慮し30wt%以下であることが好ましい。また、アルコールのソルビリティーパラメータは16(cal/cm
3)
1/2以下であることが、樹脂や導電剤、着色材、光反応開始剤に対し溶解しやすくするために特に好ましい。
【0022】
また環状カーボネートとは環状構造の一部にカーボネート(CO
3)構造を有する化合物であり、具体的にはエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2ブチレンカーボネート、グリセリンカーボネート等が例示される。
【0023】
導電剤は、重合性官能基を有する樹脂および溶剤に対して溶解するとともに、インク中でイオンとして電離するもので、且つ、重合反応を阻害しないものであり、フェニル基が複数個配位したホウ酸陰イオンと金属陽イオンからなる塩である。フェニル基が複数個配位したホウ酸陰イオンとしては、テトラフェニルホウ酸イオンやテトラフロロフェニルホウ酸イオン、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボラート等が挙げられる。具体的な塩として、テトラフェニルホウ酸リチウムやテトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフロロフェニルホウ酸ナトリウム等が挙げられる。これら導電剤の添加量は0.1〜1wt%程度添加する。これら導電剤の中でも特にテトラフェニルホウ酸リチウムおよびテトラフェニルホウ酸ナトリウムはインクに対する溶解性およびインク中での電離が良く、少量の添加で導電性を付与できる点で特に好ましい。
【0024】
光硬化性インクは上記組成物以外に、非反応性樹脂バインダー剤、界面活性剤、可塑剤等を含んでいてもよい。
【0025】
以下に本発明の実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下に使用される「部」は特に示さない限りすべて重量基準である。
【実施例1】
【0026】
重合性官能基付樹脂としてジエチレングリコールジビニルエーテルDVE2(BASF社製)6.8重量部、光反応開始剤CPI-200(サンアプロ社製)0.4重量部、導電剤としてテトラフェニルホウ酸ナトリウム(TPBNa)(アルドリッチ社製)0.05、溶媒として工業用アルコールのソルミックスAP-7(日本アルコール販売社製)1.5重量部と環状カーボネートであるプロピレンカーボネート(PC)(BASF社製)の各成分すべてを250mlガラス管に投入し、200mlになるよう調合し、マグネチックスターラにて30分間攪拌し、各成分の相溶性を確認した。その結果、混合液は透明となり相溶した。次に、着色体としてOrasol Black RLI(Ciba社製)0.1重量部配合、攪拌し本発明の光硬化型インクを調合した。本インクの抵抗率について、電気導電率計を用い20℃におけるインクの抵抗率を測定した。また、
図2に示すように、コンティニュアスインクジェットプリンタの印字ヘッド6に365nmの照度が1W/cm
2で露光部が20mm×100mmのUV−LEDランプ7を固定した装置を用い、100mm/sの速さで基材9を移動させ、基材9上に印字ドット8を形成し、硬化させた。その後、アセトン中に浸漬し硬化性を確認した。
【0027】
結果を表1に示す。相溶性は良好だった。抵抗値も2030Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例2】
【0028】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、導電剤をテトラフェニルホウ酸リチウム(TPBLi)(アルドリッチ社製)とした。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0029】
相溶性は良好だった。抵抗値も2390Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例3】
【0030】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、溶媒をAP-7(日本アルコール販売社製)2重量部と環状カーボネートであるビニレンカーボネート(VC)(東京化成工業社製)とした。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0031】
相溶性は良好だった。抵抗値も1904Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例4】
【0032】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、導電剤をTPBLi(アルドリッチ社製)、溶媒をAP-7(日本アルコール販売社製)2重量部と環状カーボネートであるビニレンカーボネート(VC)(東京化成工業社製)とした。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0033】
相溶性は良好だった。抵抗値も2241Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例5】
【0034】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、溶媒をAP-7(日本アルコール販売社製)3重量部のみとした。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0035】
相溶性は良好だった。抵抗値も2400Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例6】
【0036】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、導電剤をTPBLi(アルドリッチ社製)、溶媒をAP-7(日本アルコール販売社製)3重量部のみとした。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0037】
相溶性は良好だった。抵抗値も2825Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例7】
【0038】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、重合性官能基付樹脂として、エポキシ系官能基を有するCEL2021(ダイセル化学工業社製)とDENACOL EX-111(ナガセケムテックス社製)を3.4重量部ずつ調合したものを用いた。また、溶媒を環状カーボネートであるビニレンカーボネート(VC)(東京化成工業社製)3重量部のみとした。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0039】
相溶性は良好だった。抵抗値も1680Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例8】
【0040】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、重合性官能基付樹脂として、エポキシ系官能基を有するCEL2021(ダイセル化学工業社製)とDENACOL EX-111(ナガセケムテックス社製)を3.4重量部ずつ調合したものを用いた。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0041】
相溶性は良好だった。抵抗値も2168Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例9】
【0042】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、重合性官能基付樹脂として、エポキシ系官能基を有するCEL2021(ダイセル化学工業社製)とDENACOL EX-111(ナガセケムテックス社製)を3.4重量部ずつ調合したものを用いた。また、溶剤としてAP-7(日本アルコール販売社製)2重量部と環状カーボネートであるビニレンカーボネート(VC)(東京化成工業社製)の混合溶剤を用いた。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0043】
相溶性は良好だった。抵抗値も2033Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
【実施例10】
【0044】
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、重合性官能基付樹脂として、エポキシ系官能基を有するCEL2021(ダイセル化学工業社製)とDENACOL EX-111(ナガセケムテックス社製)を3.4重量部ずつ調合したものを用いた。また、溶剤としてAP-7(日本アルコール販売社製)3重量部を用いた。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0045】
相溶性は良好だった。抵抗値も2563Ω・cmで印字特性も良好だった。更に硬化後アセトン浸漬においても溶解せず硬化性も良好だった。
[比較例1]
実施例1と同様の手順で、調合および各評価を実施した。調合の際、溶剤を非環状のカーボネート化合物であるジメチレンカーボネート(東京化成社製)3重量部のみとした。調合割合および評価結果を表1に示す。
【0046】
相溶性は良好だった。しかし、抵抗率が7000Ω・cmとなり、インク滴への帯電がうまくいかず印字不良を起こした。
[比較例2]
実施例1と同様の手順で調合および各種試験を実施した。調合の際、導電剤として陽イオンが4級アンモニウムイオンであるテトラフェニルホウ酸アンモニウムを0.05重量部加えた。また、溶剤としてAP-7(日本アルコール販売社製)3重量部のみを用いた。その結果、白濁し沈澱が発生し相溶せずインクを作製することができなかった。
[比較例3]
実施例1と同様の手順で調合および各種試験を実施した。調合の際、導電剤として陰イオンがパラトルエンスルフォン酸と陽イオンがナトリウムとの塩であるパラトルエンスルフォン酸ナトリウムを0.05重量部加えた。また、溶剤としてAP-7(日本アルコール販売社製)3重量部のみを用いた。その結果、白濁し沈澱が発生し相溶せずインクを作製することができなかった。
【0047】
以上の結果より、本発明の溶剤および導電剤成分を適用することで、導電性を確保し良好な印字特性が得られた。
【0048】
【表1】