(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894959
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】ユーザ機器
(51)【国際特許分類】
H04L 1/16 20060101AFI20160317BHJP
H04J 13/00 20110101ALI20160317BHJP
【FI】
H04L1/16
H04J13/00
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-93080(P2013-93080)
(22)【出願日】2013年4月25日
(62)【分割の表示】特願2008-131235(P2008-131235)の分割
【原出願日】2008年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-211856(P2013-211856A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2013年4月25日
(31)【優先権主張番号】60/357,224
(32)【優先日】2002年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10/279,393
(32)【優先日】2002年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン イー. テリー
(72)【発明者】
【氏名】ネーダー ボローチ
(72)【発明者】
【氏名】アリエラ ゼイラ
【審査官】
谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−516177(JP,A)
【文献】
米国特許第06212240(US,B1)
【文献】
特開平10−233758(JP,A)
【文献】
国際公開第00/005911(WO,A1)
【文献】
国際公開第00/033502(WO,A1)
【文献】
特開平05−091091(JP,A)
【文献】
三木 信彦、他,下りリンク高速パケット伝送におけるパケット伝送における合成型ハイブリッドARQに適した軟判定レプリカを,電子情報通信学会技術研究報告RCS,2001年10月13日,vol.101, no.371,p.99-104,RCS2001-165
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/16
H04J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応変調及び符号化を用いて送信された送信時間間隔のデータを受信するユーザ機器において、該ユーザ機器は、受信された送信時間間隔データに対して物理層ハイブリッド自動反復要求メカニズムを使用し、
第1の指定された変調及び符号化方式を用いて、拡散符号により分離されたN個のトランスポートブロックセットを有する前記送信時間間隔データを受信し、第2の指定された変調及び符号化方式を用いて、送信された少なくとも1つの再送されたトランスポートブロックセットを受信するN個の受信機であって、前記N個のトランスポートブロックセットの各々は、前記N個の受信機の各々によってそれぞれ受信され、前記第2の指定された変調及び符号化方式は、前記第1の指定された変調及び符号化方式よりもロバスト性が高く、前記送信時間間隔内においてサポートできるトランスポートブロックセットの個数が、前記第1の指定された変調及び符号化方式よりも少ない変調及び符号化方式である、N個の受信機;
前記N個のトランスポートブロックセットの各々のデータが指定された品質を満たすかどうかをそれぞれ判定し、前記少なくとも1つの再送されたトランスポートブロックセットを以前に受信された対応するトランスポートブロックセットと結合するN個のハイブリッド自動反復要求復号器であって、前記指定された品質を満たすか否かの前記判定は、前記第1の指定された変調及び符号化方式を用いて受信されたトランスポートブロックセットの各々に対して実行され、受信されたトランスポートブロックセットのうち、前記指定された品質を満たさないと判定されたものだけが再送される、N個のハイブリッド自動反復要求復号器;および、
前記指定された品質が満たされない場合、反復要求を送信する自動反復要求送信機;
を備えたことを特徴とするユーザ機器。
【請求項2】
前記指定された品質が、巡回冗長テストを用いて判定されることを特徴とする請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項3】
前記受信された送信時間間隔データが時分割二重/符号分割多元接続フォーマットの状態にあり、前記トランスポートブロックセットが時間によって分割されていることを特徴とする請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項4】
前記受信された送信時間間隔データが符号分割多元接続フォーマットの状態にあり、前記トランスポートブロックセットが符号によって分割されていることを特徴とする請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項5】
前記受信された送信時間間隔データが時分割二重/符号分割多元接続フォーマットの状態にあり、前記トランスポートブロックセットが時間および符号によって分割されていることを特徴とする請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項6】
前記受信された送信時間間隔データが直交周波数分割多元接続フォーマットの状態にあり、前記トランスポートブロックセットがサブキャリアによって分割されていることを特徴とする請求項1に記載のユーザ機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはワイヤレス通信システムに関する。特に、本発明は、適応変調・符号化(AMC)およびハイブリッド自動反復要求(H−ARQ)技法が適用されるこのようなシステムにおけるユーザ機器に関する。
【背景技術】
【0002】
符号分割多元接続(CDMA)または直交周波数分割多重(OFDM)システムを用いた第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)の時分割二重(TDD)または周波数分割二重(FDD)通信システムのようなワイヤレス通信システムでは、無線リソースの利用を最適化するためにAMCが用いられる。
【0003】
データを送信するために用いられる変調および符号化のシステム(セット)は、ワイヤレスチャネル条件に基づいてさまざまである。例えば、誤り符号化の種類(例えばターボ符号化に対して畳込み符号化)、符号化レート、CDMAシステムの場合の拡散係数、変調タイプ(例えば直交位相シフトキーイングに対してM相(M-ary)直交振幅変調)、および/またはOFDMシステムの場合の加算/減算サブキャリア(副搬送波)は変わり得る。チャネル特性が向上すれば、データを転送するために、より低いデータ冗長性および/または「低ロバスト性(less robust)」の変調・符号化セット(modulation and coding set、MCS)が用いられる。その結果、無線リソースの所与の割当てに対して、より多くのユーザデータが転送され、有効データ転送速度が高くなる。逆に、チャネル特性が劣化すれば、より高いデータ冗長性や「高ロバスト性(more robust)」の変調・符号化セットが用いられ、転送されるユーザデータは少なくなる。AMCを用いると、無線リソース利用率とサービス品質(QOS)の間の最適化を、より良好に維持することができる。
【0004】
このようなシステムにおけるデータは、無線インタフェース(air interface)を通じての転送のために、送信時間間隔(TTI)に分けて受信される。特定のユーザ機器へ転送される1つのTTI内のデータをトランスポートブロックセット(TBS)と呼ぶ。無線リソースの特定の割当てに対して、低ロバスト性の変調・符号化セットでは、TBSサイズをより大きくすることができるが、高ロバスト性の変調・符号化セットでは、より小さいTBSサイズだけが可能である。このため、所与の無線リソース割当てに対する変調・符号化セットによって、所与のTTIでサポート可能なTBSの最大サイズが決まる。
【0005】
このようなシステムでは、ハイブリッド自動反復要求(H−ARQ)メカニズムを用いて、QOSを維持し、無線リソース効率を改善することができる。
図1に、H−ARQを用いたシステムを示す。送信機20が、特定の変調・符号化セットを用いて無線インタフェースを通じてTBSを送信する。TBSは受信機26により受信される。H−ARQ復号器30が、受信されたTBSを復号する。受信データの品質が許容できない場合、ARQ送信機28がTBSの再送を要求する。受信TBSの品質をチェックするための1つの手法として、巡回冗長検査(CRC)がある。ARQ受信機22がその要求を受信し、TBSの再送が送信機20により行われる。再送は、配送が成功する可能性を向上させるために、高ロバスト性の変調・符号化セットを適用してもよい。H−ARQ復号器30は、受信されたTBSの複数のバージョンを結合する。結合のための必要条件は、結合されるTBSが同一なことである。結果として得られる品質が依然として不十分である場合、もう一度再送が要求される。その結果の品質が十分である場合(例えば結合したTBSがCRCチェックに合格した場合)、受信TBSはさらなる処理のために送出される。H−ARQメカニズムによれば、許容できない品質で受信されたデータを再送させることにより、所望のQOSが維持される。
【0006】
H−ARQおよびAMCの両方を用いたシステムでは、要求されたTBS再送の配送を成功させるために、変調・符号化セットの変更が必要と判断されることがある。この状況では、TTI内に許容される物理データビットの最大量が変調・符号化セットとともに変わる。
【0007】
TTI当たりただ1つのTBSだけが存在するので、有効ユーザデータ転送速度は、各TTIに適用されるTBSサイズに対応する。最大データ転送速度を達成するため、最大のTBSサイズが、TTI内の最低ロバスト性(least robust)の変調・符号化セットに適用される。送信を成功させるためにワイヤレスチャネル条件が高ロバスト性の変調・符号化セットを要求する場合、TBSサイズをTTI内でサポートすることができないようなことがある。したがって、最大データ転送速度で動作している時、高ロバスト性の変調・符号化要求が実現されるごとに、確認応答が成功していないH−ARQプロセス中のすべての未決送信を破棄しなければならない。
【0008】
Incremental Redundancy(増加的冗長性、IR)が適用される場合、TBSデータは、正しい結合のために、再送において一定にとどまらなければならない。したがって、TBS再送が、最初の送信よりも高いロバスト性の変調・符号化セットでサポート可能なことを保証するため、使用されるTBSサイズは、最高ロバスト性(most robust)のMCSに対応しなければならない。しかし、最高ロバスト性の変調・符号化セットで許容されるTBSサイズが適用されると、移動体への最大データ転送速度が低下する。また、低ロバスト性の変調・符号化セットが適用されると、物理リソースが十分に利用されない。
【0009】
TBSサイズが高ロバスト性の変調・符号化セットによってサポートされていない場合、前の変調・符号化セットを用いてそのTBSを再送することができる。しかし、チャネル条件から高ロバスト性の変調・符号化セットを使用しなければならない場合、または最初の送信が複数箇所で破損している場合、再送されたTBSを結合しても全く合格せず、送信に失敗することがある。
【0010】
現在の実装では、AMCおよびH−ARQメカニズムによってTBSをうまく送信することができない場合、回復は(レイヤ2における)無線リンク制御(RLC)プロトコルによって処理される。失敗した送信のH−ARQ回復とは異なり、ノードBにキューイングされているTBSのRLC誤り検出、データ回復およびバッファリングは、ブロック誤り率およびデータレイテンシを増大させ、QOS要件を満たすことができない可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、H−ARQ送信障害を最小限にして最大のデータ転送速度を提供するため、増加的冗長性をサポートし、このようなシステムにおける変調・符号化セットの適応を可能にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ワイヤレス通信システムにおいてデータは送信時間間隔内に送信されるものである。ワイヤレス通信システムは、適応変調・符号化(adaptive modulation and coding)を使用し、自動反復要求メカニズムを有する。送信時間間隔は、複数のトランスポートブロックセット(TBS)を有する。トランスポートブロックセットは、第1の指定された変調・符号化システムで送信される。各トランスポートブロックセットが受信され、トランスポートブロックセットが指定された品質を満たすかどうかが判定される。指定された品質が満たされない場合には、反復要求が送信される。指定された変調・符号化システムは、送信時間間隔内のTBSの数を減らすことをサポートし得る第2の指定された変調・符号化システムに変更される。反復要求に応答して、トランスポートブロックセットの少なくとも1つが再送される。再送されたトランスポートブロックセットが受信される。再送されたトランスポートブロックセットは、前に受信された対応するトランスポートブロックセットと結合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ワイヤレスH−ARQ通信システムの一実施形態を示す図である。
【
図2A】複数のTBSを有するTTIの説明図である。
【
図2B】複数のTBSを有するTTIの説明図である。
【
図2C】複数のTBSを有するTTIの説明図である。
【
図2D】複数のTBSを有するTTIの説明図である。
【
図3A】複数のTBSを有することが可能なTTIによるAMCを用いたワイヤレスH−ARQ通信システムの実施形態を示す図である。
【
図3B】複数のTBSを有することが可能なTTIによるAMCを用いたワイヤレスH−ARQ通信システムの実施形態を示す図である。
【
図3C】複数のTBSを有することが可能なTTIによるAMCを用いたワイヤレスH−ARQ通信システムの実施形態を示す図である。
【
図4】H−ARQ再送の前に変調・符号化セットを変更する場合のフローチャートである。
【
図5】単一TBSの再送の前に変調・符号化セットを変更する場合の説明図である。
【
図6】3個すべてのTBSの再送の前に変調・符号化セットを変更する場合の説明図である。
【
図7】TDD/CDMA通信システムにおける重複TBSの図である。
【
図8】TDD/CDMA通信システムにおける非重複TBSの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2A、
図2B、
図2Cおよび
図2Dは、複数のTBS、すなわちTBS
1〜TBS
Nを有するTTIを示している。
図2Aは、TDD/CDMAシステムで用いられる場合のように、1つのTTIを時間で分割した複数のTBSを示している。
図2Bは、FDD/CDMAまたはTDD/CDMAシステムで用いられる場合のように、符号で分割した複数のTBSを示している。
図2Cは、TDD/CDMAシステムで用いられる場合のように、時間および符号で分割した複数のTBSを示している。
図2Dは、OFDMシステムで用いられる場合のように、サブキャリア(副搬送波)で分割した複数のTBSを示している。各TBSは、割り当てられたリソースに対して、最高ロバスト性の変調符号化セットで送信が可能となるようにサイズが決められる。例えば、最高ロバスト性のMCSでは、TTI内に最大2,000ビットのTBSをサポートする容量しかないかもしれない。最高ロバスト性の変調符号化セットに言及しているが、実際には、最高ロバスト性の変調符号化セットが必要とされる可能性が少ない場合には、最高ロバスト性のセットは、高ロバスト性のセットであってもよい。最低ロバスト性の変調・符号化セットでは、TTI内に最大20,000ビットのTBSをサポートする容量があるかもしれない。最低ロバスト性の変調符号化セットに言及しているが、実際には、最低ロバスト性の変調符号化セットが必要とされる可能性が少ない場合には、最低ロバスト性のセットは、低ロバスト性のセットであってもよい。
【0015】
TBSは、好ましくは、TTI内で最高ロバスト性の変調・符号化セットで送信が可能となるようにサイズが決められる。すると、最低ロバスト性の変調・符号化セットを適用すれば、このサイズの複数のTBSがTTI内で適用されることにより最大のデータ転送速度が達成される。また、配送を成功させるために送信の信頼性を高める必要がある時には、最高ロバスト性の変調・符号化セットを適用することができる。
【0016】
図3Aは、1つまたは複数のTBSを有するTTIを送信するための送信機44および受信機46の概略図である。送信機44は、ユーザ機器または基地局/ノードBのいずれに配置されてもよい。受信機46は、基地局/ノードBまたはユーザ機器のいずれに配置されてもよい。現在のシステム実装では、AMCは通常、ダウンリンクのみで用いられる。したがって、送信の好ましい実装は、ダウンリンクでAMCをサポートする際に用いられる。アップリンクでAMCを用いる他のシステムでは、トランスポートブロックセット送信をアップリンクに適用することができる。
【0017】
送信機30
1〜30
N(30)が、無線インタフェース36を通じてそれぞれのTBS、すなわちTBS
1〜TBS
Nを送信する。TTI内のTBSの数は、送信に用いられるTBSサイズおよび変調・符号化セットに依存する。配送を確実に成功させるために最高ロバスト性の変調・符号化セットが用いられる場合、TTIは1個のTBSのみをサポートしてもよい。より高い有効データ転送速度を達成するために、より低いロバスト性の変調・符号化セットが用いられる場合、複数のTBSがTTI内で送信される。別法として、
図3Bに示すように、一部のTBSが、異なる受信機46
1〜46
K(46)を宛先としてもよい。また、
図3Cに示すように、各TBSが、異なる受信機46
1〜46
K(46)へ送られてもよい。このフレキシビリティにより、無線リソースの利用率および効率を高めることができる。
【0018】
受信機38
1〜38
N(38)が、それぞれの送信されたTBSを受信する。H−ARQ復号器42
1〜42
N(42)が、それぞれの受信されたTBSを復号する。
図3には各TBSごとに1つの送信機30、受信機38およびH−ARQ復号器42が示されているが、1つの送信機30、受信機38およびH−ARQ復号器42がすべてのTBSを処理してもよい。品質テストに合格しない各TBSについて、ARQ送信機40が再送を要求する。ARQ受信機32が、その要求を受信し、適切なTBS(複数可)を再送するように指示する。再送されたTBS(複数可)は、H−ARQ復号器42によって結合され、再び品質テストが実行される。TBS(複数可)は、品質テストに合格した場合、さらなる処理のために送出される。1つのTTIが複数のTBSを含み得るので、好ましくは、1つのTBSにおける不合格は、必ずしもTTI全体の再送を必要としない。これにより、無線リソースがより効率的に利用される。
【0019】
図3A、
図3Bおよび
図3CにはAMCコントローラ34も示されている。チャネル条件が変化した場合、AMCコントローラは、データを転送するために用いられる変調・符号セットの変更を開始することがある。
図4は、再送と再送の間にAMCで起こるこのような変化を例示する流れ図である。複数のTBSを有するTTIが送信された後、変調・符号化セットの変更が行われる(ステップ50)。
図5を用いて説明すると、1つのTTIが、最大データ転送速度を達成するために最低ロバスト性の変調・符号化セットで適用された3個のTBS、すなわちTBS
1、TBS
2およびTBS
3を有する。
図5の変調・符号化セットは、後でただ1つのTBSだけを送信することができるように変化する。
図4に戻って、TBSの少なくとも1つが許容できない品質で受信され、再送が要求される(ステップ52)。
図5の例示では、大きい「X」印で示すように、TBS
2が再送を要求する。再送を要求するTBSは、新たな変調・符号化セットで送信され、前のTBS送信と結合される(ステップ54)。
図5に示すように、TBS
2のみが再送され、前のTBS
2送信と結合される。この例は、高ロバスト性の変調・符号化セットでただ1つのTBSを送信することを示しているが、TTI内において高ロバスト性の変調・符号化セットで2個のTBSを送信することも可能である。
【0020】
図6は、再送を要求する複数のTBSを示している。3個のTBS、すなわちTBS
1、TBS
2およびTBS
3が1つのTTI内で送信される。一度にただ1つのTBSを送信することができるように、変調・符号化セットが変更される。3個のすべてのTBSが、許容できない品質で受信される。3個のすべてのTBSについて、再送要求が送信される。その後、再送1、再送2および再送3で示すように、各TBSが別々のTTIにおいて再送される。再送されたTBSは前の送信と結合される。2個のTBSがTTI内において高ロバスト性の変調・符号化セットで送信される場合にも同様の手続きが用いられる。
【0021】
図示のように、複数のTBSにより、最大データ転送速度および増加的冗長性が可能となる。最大データ転送速度を達成する最低ロバスト性の変調・符号化セットでTTIを送信することができ、その後、高ロバスト性の変調・符号化セットでH−ARQ再送を行うことによって、より高い確率で確実に送信を成功させることができる。増加的冗長性を可能にすることにより、無線リソースをより積極的に用いることができる。より積極的な(低ロバスト性の)変調・符号化セットを用いることにより、より高いデータ転送速度および無線リソース効率を達成することができる。というのは、チャネル条件が劣化した場合には、QOSを維持するために、より保守的な(高ロバスト性の)セットを用いて送信を行うことができるからである。
【0022】
3GPPシステムの場合のようなTDD/CDMA通信システムにおいて、TTI内に複数のTBSを実装する2つの好ましい手法では、重複または非重複のいずれかのタイムスロット(時間割、時間帯)を用いる。重複タイムスロットでは、TBSは時間的に重複し得る。
図7に例示するように、TTI内の第1のTBSは、「A」というリソースユニットを使用する。リソースユニットとは、1つのタイムスロット内の1つ符号の使用のことである。第2のTBSは「B」リソースユニットを有する。
図7に示すように、第2のタイムスロットでは、第1および第2の両方のTBSが送信される。したがって、それらの2つのTBSの送信は時間的に重複する。
【0023】
非重複TBSでは、各タイムスロットはTTIの1つのTBSのみを含む。
図8に例示するように、第1のTBS(「A」)は、スロット1および2における唯一のTBSである。第2のTBS(「B」)は、スロット3および4における唯一のTBSである。
【0024】
第3世代パートナーシッププロジェクトで提案されているシステムの場合のようなFDD/CDMA通信システムにおいて、送信は同時に起こる。FDD/CDMAシステムでは、好ましくは、各TBSに、送信のための異なる符号/周波数のペアが割り当てられる。OFDMシステムでは、好ましくは、各TBSに、送信のための異なるサブキャリアが割り当てられる。
【符号の説明】
【0025】
20 送信機
22 ARQ受信機
24 無線インタフェース
26 受信機
28 ARQ送信機
30 AH−ARQ復号器
32 ARQ送信機
34 AMCコントローラ
36 無線インタフェース
38 受信機
40 ARQ送信機
42 H−ARQ復号器