特許第5894961号(P5894961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894961
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】貯湯式温水供給装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20160317BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   F24H1/18 301Z
   F24H1/00 611H
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-93610(P2013-93610)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-214989(P2014-214989A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近廻 聡
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−204209(JP,A)
【文献】 特開2011−89708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯式温水供給装置であって、
電気とガスの少なくとも一方を消費することによって水を加熱する熱源と、
熱源によって加熱された温水を貯えるタンクと、
タンク内の温水を温水利用箇所に供給する供給路と、
学習モードと予約モードのうちの一方の制御モードに従って熱源の動作を制御するコントローラと、
を備えており、
コントローラは、
学習モードに従って熱源の動作を制御する場合には、過去の所定期間内における出湯履歴情報に基づいて、24時間を単位とする単位時間において熱源を動作させる動作時間を特定し、特定された動作時間の間に熱源を動作させ、
予約モードに従って熱源の動作を制御する場合には、設定された予約時刻までにタンク内に温水が貯えられるように熱源を動作させ、
学習モードに従って熱源の動作を制御する間に、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態、又は、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態が、第1の所定回数発生する第1の状況が発生する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることに関連する切換関連処理を実行する、
貯湯式温水供給装置。
【請求項2】
ユーザが制御モードを設定するための設定手段と、
報知手段と、
をさらに備えており、
切換関連処理は、ユーザに対して、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることを促す報知を報知手段に行わせることを含む、
請求項1に記載の貯湯式温水供給装置。
【請求項3】
切換関連処理は、第1の状況が発生してから所定の待機時間が経過する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることを含む、
請求項1又は2に記載の貯湯式温水供給装置。
【請求項4】
切換関連処理は、第1の状況が発生した後に、さらに、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態、又は、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態が、第2の所定回数発生する第2の状況が発生する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の貯湯式温水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、貯湯式温水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒートポンプユニットと貯湯タンクと制御装置とを備える貯湯式温水供給給湯装置が開示されている。この貯湯式温水供給装置では、制御装置は、以下の学習制御を行う。即ち、まず、制御装置は、単位時間(例えば24時間)内において、出湯が行われた際の出湯量、出湯時間等を出湯データとして記憶する。制御装置は、記憶された過去の所定期間(例えば7日間)分の出湯データから当日の大出湯の出湯時刻及び出湯量を予測して、その予測された大出湯の出湯前にヒートポンプユニットを動作させ、ヒートポンプユニットで沸き上げた湯を貯湯タンクに貯湯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−285607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の貯湯式温水供給装置では、制御装置は、単位時間の開始時刻が到来した際に、当日の大出湯の出湯時刻及び出湯量の予測を行う。しかしながら、上記の貯湯式温水供給装置では、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する場合(即ち、出湯が単位時間の開始時刻を跨いで行われる場合)、及び、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる場合(即ち、ヒートポンプユニットによる沸かし上げが単位時間の開始時刻を跨いで行われる場合)には、上記の予測が正確に行われない場合がある。その場合、制御装置は、単位時間の全期間において継続してヒートポンプユニットによる沸かし上げを行う制御を行う場合がある。その場合、貯湯タンク内の湯の量が減少する毎にヒートポンプユニットによる沸かし上げが行われる。その結果、無駄なエネルギー消費が大きくなっていた。
【0005】
本明細書では、無駄なエネルギー消費を適切に抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する貯湯式温水供給装置は、電気とガスの少なくとも一方を消費することによって水を加熱する熱源と、熱源によって加熱された温水を貯えるタンクと、タンク内の温水を温水利用箇所に供給する供給路と、学習モードと予約モードのうちの一方の制御モードに従って熱源の動作を制御するコントローラとを備えている。コントローラは、学習モードに従って熱源の動作を制御する場合には、過去の所定期間内における出湯履歴情報に基づいて、24時間を単位とする単位時間において熱源を動作させる動作時間を特定し、特定された動作時間の間に熱源を動作させる。コントローラは、予約モードに従って熱源の動作を制御する場合には、設定された予約時刻までにタンク内に温水が貯えられるように熱源を動作させる。コントローラは、学習モードに従って熱源の動作を制御する間に、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態、又は、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態が、第1の所定回数発生する第1の状況が発生する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることに関連する切換関連処理を実行する。
【0007】
学習モードに従って熱源の動作を制御することができる上記の貯湯式温水供給装置では、学習モードに従って熱源の動作を制御する間に、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態、又は、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態、が発生する場合、コントローラが、単位時間において熱源を動作させる動作時間を正確に特定できない可能性がある。その場合、単位時間の全期間において継続して熱源を動作させる制御が行われ、無駄なエネルギー消費が大きくなる可能性がある。
【0008】
この点、上記の貯湯式温水供給装置では、コントローラは、上記の第1の状況が発生する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることに関連する切換関連処理を実行する。切換関連処理が実行されることにより、制御モードを学習モードから予約モードに切り換え得る。予約モードでは、学習モードと異なり、コントローラは、出湯履歴情報に基づいて、熱源を動作させるための動作時間を特定する必要はない。そのため、制御モードが学習モードから予約モードに切り換われば、単位時間の全期間において継続して熱源を動作させる制御が行われることがなくなる。従って、上記の貯湯式温水供給装置によると、無駄なエネルギー消費を適切に抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の給湯暖房装置10の構成を示すブロック図。
図2】リモコン12を示す図。
図3】学習モードにおける出湯時間と蓄熱運転の関係を示す図(1)。
図4】学習モードにおける出湯時間と蓄熱運転の関係を示す図(2)。
図5】学習モードにおける出湯時間と蓄熱運転の関係を示す図(3)。
図6】予約モードにおける出湯時間と蓄熱運転の関係を示す図。
図7】コントローラ14が実行する自動変更処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0011】
(特徴1) ユーザが制御モードを設定するための設定手段と、報知手段とをさらに備えることが好ましい。切換関連処理は、ユーザに対して、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることを促す報知を報知手段に行わせることを含むことが好ましい。この構成によると、報知手段による報知を受けたユーザが、設定手段において制御モードを学習モードから予約モードに切り換えれば、比較的早期に制御モードを学習モードから予約モードに切り換え得る。従って、上記の構成によると、無駄なエネルギー消費を適切に抑制し得る。
【0012】
(特徴2) 切換関連処理は、第1の状況が発生してから所定の待機時間が経過する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることを含むことが好ましい。この構成によると、貯湯式温水供給装置は、適切なタイミングで制御モードを学習モードから予約モードに切り換え得る。その結果、無駄なエネルギー消費を生じさせ得る学習モードが長期間続くことを抑制することができる。
【0013】
(特徴3) 切換関連処理は、第1の状況が発生した後に、さらに、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態、又は、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態が、第2の所定回数発生する第2の状況が発生する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることを含むことが好ましい。この構成による場合も、貯湯式温水供給装置は、無駄なエネルギー消費を生じさせ得る学習モードが長期間続くことを抑制することができる。
【0014】
(第1実施例)
図1に示す本実施例の給湯暖房装置10は、給湯と暖房の両者を行う熱供給装置である。給湯暖房装置10は、主に、ヒートポンプ40と、給湯暖房ユニット50と、貯湯タンク30と、暖房端末70と、コントローラ14と、リモコン12を備えている。コントローラ14は、ヒートポンプ40及び給湯暖房ユニット50を含む給湯暖房装置10の全体の動作を制御する制御手段である。なお、本実施例のコントローラ14は、一つの独立したユニットではなく、ヒートポンプ40や給湯暖房ユニット50に分散配置された複数の電子制御ユニットと、各配管に配置された各種のセンサ等によって構成されている。ここでいう各種のセンサには、温度センサ及び流量センサが含まれる。
【0015】
貯湯タンク30は、温水を貯める密閉容器である。貯湯タンク30の容量は、一例ではあるが50リットルである。貯湯タンク30には、貯湯タンク30へ上水を供給する給水管28と、貯湯タンク30から温水を出湯する出湯管22が接続されている。出湯管22は、給湯暖房ユニット50に接続されており、貯湯タンク30からの温水を給湯暖房ユニット50に送る。貯湯タンク30には、複数の温度センサ(図示省略)が高さ方向に沿って配置されている。複数の温度センサはコントローラ14に接続されており、それらの検出結果に基づいて、コントローラ14は貯湯タンク30内の温水温度及び温水量(即ち熱量)を把握することができる。
【0016】
出湯管22には、給水バイパス管26を通じて、給水管28が接続されている。給水バイパス管26は、出湯管22の温水に、給水管28の上水を混合する。給水バイパス管26と出湯管22の接続位置には、給湯側混合弁24が設けられている。給湯側混合弁24は、コントローラ14に接続されており、その動作はコントローラ14によって制御される。コントローラ14は、給湯側混合弁24を制御することにより、貯湯タンク30からの出湯温度を、ユーザの指定した設定温度まで低下させることができる。
【0017】
ヒートポンプ40は、電気式熱源の一種である。ヒートポンプ40には、商用電源が供給される。ヒートポンプ40は、大気中から採熱して、貯湯タンク30の温水を加熱する。ヒートポンプ40は、蓄熱送り管32と蓄熱戻り管34を介して、貯湯タンク30に接続されている。貯湯タンク30の温水は、蓄熱送り管32を通って、ヒートポンプ40へ送られる。送られた温水は、ヒートポンプ40において加熱された後に、蓄熱戻り管34を通って貯湯タンク30へ戻される。それにより、貯湯タンク30に温水が貯えられる。なお、貯湯タンク30の温水は、ヒートポンプ40だけに限られず、後述する給湯暖房ユニット50や、燃料電池、発電機、太陽光、電気ヒータといった他の熱源によって加熱される構成であってもよい。
【0018】
給湯暖房ユニット50は、ガス式熱源の一種である。前述したように、給湯暖房ユニット50には、出湯管22を通じて、貯湯タンク30からの温水が送られる。ユーザの指定した設定温度に対して、貯湯タンク30からの温水温度が低い場合、給湯暖房ユニット50は、バーナ(図示省略)を点火して当該温水を加熱する。加熱された温水は、給湯管16を通じてカラン等の温水利用箇所に供給される。あるいは、風呂往き管84を通じて、浴槽90に供給される。即ち、浴槽90も温水利用箇所の一つである。
【0019】
給湯管16には、給湯バイパス管18を通じて、出湯管22が接続されている。給湯バイパス管18は、出湯管22の温水を、給湯管16へ直接的に送ることができる。また、給湯バイパス管18には、バイパス制御弁20が設けられている。バイパス制御弁20は、コントローラ14に接続されており、その動作はコントローラ14によって制御される。給湯暖房ユニット50での加熱が不要であれば、コントローラ14はバイパス制御弁20を開弁し、給湯暖房ユニット50をバイパスさせることができる。それにより、給湯暖房ユニット50での無用な放熱を避けることができる。また、コントローラ14は、バイパス制御弁20の開度を調節し、温水の一部を給湯暖房ユニット50に送るとともに、他の部分は給湯暖房ユニット50をバイパスさせることで、給湯温度を細かに調整することもできる。
【0020】
給湯暖房ユニット50は、浴槽90の温水を循環加熱(追い焚き、保温)することもできる。給湯暖房ユニット50は、風呂戻り管82と風呂往き管84を介して、浴槽90に接続されている。浴槽90の温水は、風呂戻り管82を通じて給湯暖房ユニット50へ送られ、給湯暖房ユニット50において加熱された後に、風呂往き管84を通じて浴槽90に戻される。温水の循環は、給湯暖房ユニット50の風呂ポンプ(図示省略)によって行われる。なお、給湯暖房装置10の内部において、浴槽90の温水を循環させる経路は、衛生面を考慮して、前述した給湯管16に繋がる経路とは独立して設けられている。
【0021】
給湯暖房ユニット50は、暖房端末70に接続されており、加熱した暖房用熱媒を暖房端末70に送る。暖房端末70とは、一例ではあるが、温水床暖房パネルや浴室暖房機である。また、暖房用熱媒は、一例であるが、不凍液である。なお、不凍液等の暖房用熱媒は、厳密には水(上水)とは異なるが、本明細書では便宜上、不凍液等の暖房用熱媒も、熱源(給湯暖房ユニット50)によって加熱される水の一種として取り扱う。暖房用熱媒は、給湯暖房ユニット50のバーナにより加熱された後、暖房送り管60を通じて、暖房端末70に送られる。暖房端末70で放熱した暖房用熱媒は、第1暖房戻り管62を通ってヒートポンプ40に送られた後、第2暖房戻り管64を通って給湯暖房ユニット50に戻される。即ち、ヒートポンプ40において暖房用熱媒の一次加熱が行われる。なお、第2暖房戻り管64には、暖房バイパス管66を通じて、第1暖房戻り管62が接続されている。暖房バイパス管66と第2暖房戻り管64の接続位置には、暖房側混合弁68が設けられている。暖房側混合弁68は、コントローラ14に接続されており、その動作はコントローラ14によって制御される。例えばヒートポンプ40の運転が停止している場合、コントローラ14は、暖房側混合弁68を制御することにより、暖房端末70からの暖房用熱媒を給湯暖房ユニット50へ直接的に送り戻すことができる。
【0022】
図2は、リモコン12を示す。リモコン12は、ユーザが各種の操作を行う操作端末である。図2に示すように、リモコン12は、電源ボタン102及びチェックボタン104を含む、複数の操作ボタンを有している。例えば、ユーザが電源ボタン102を押すと、給湯暖房装置10の電源がオンされる。再度、ユーザが電源ボタン102を押すと、給湯暖房装置10の電源がオフされる。その他、ユーザは、リモコン12を操作することで、現在時刻の設定、給湯設定温度の指定、浴槽90への自動給湯(いわゆる湯張り)並びにその設定温度及び設定湯量の指定、浴槽90の温水の加熱(いわゆる追い焚き)、他のリモコン(図示省略)との間での通話といった、各種操作を行うことができる。チェックボタン104は、後述する助言情報を表示するための操作ボタンである。
【0023】
リモコン12は、表示パネル100を有している。表示パネル100は、一例であるが、液晶パネルである。表示パネル100は、現在時刻、温水の設定温度(給湯設定温度、風呂設定温度、半身浴設定温度)、二つの熱源(ヒートポンプ40及び給湯暖房ユニット50)の稼働状況などを表示することができる。
【0024】
詳しくは後述するが、本実施例では、ユーザが給湯暖房装置10の電源をオフする操作を行った場合、又は、ユーザがリモコン12のチェックボタン104を押した場合に、コントローラ14は、表示パネル100に助言情報を表示させる。助言情報は、コントローラ14内のメモリ(図示省略)に記憶されている。助言情報の内容は、後で図7を参照して説明する。なお、本明細書では、ユーザによる給湯暖房装置10の電源をオフする操作、及び、ユーザによるリモコン12のチェックボタン104を押す操作を、ひとまとめに「表示許可」と呼ぶ場合がある。
【0025】
(給湯暖房装置10の制御モード)
本実施例の給湯暖房装置10は、学習モードと予約モードの2つの制御モードに従って運転可能である。ユーザは、リモコン12を操作して、学習モードと予約モードの2つの制御モードのうちの一方を選択することができる。コントローラ14は、ユーザによって選択された制御モードに従って、給湯暖房装置10の各部の動作を制御する。
【0026】
(学習モード)
学習モードは、過去の所定期間内(例えば7日間)における出湯履歴情報に基づいて、24時間を単位とする単位時間において、熱源(ヒートポンプ40及び給湯暖房ユニット50)を動作させる動作時間を特定し、特定された動作時間の間に熱源を動作させる制御モードである。ユーザによって学習モードが選択されている場合、コントローラ14は、給湯が行われる度に、給湯が開始された時刻及び給湯が終了した時刻(以下では「時刻情報」と呼ぶ場合がある)と、供給された温水の量(以下では「供給量情報」と呼ぶ場合がある)とを記憶する。コントローラ14は、1日分(24時間分)の時刻情報及び供給量情報を、1日分の出湯履歴情報として記憶する。本実施例では、コントローラ14は、給湯暖房装置10が設置された世帯(以下では「特定の世帯」と呼ぶ場合がある)の過去7日分の出湯履歴情報を記憶する。出湯履歴情報は、コントローラ14のメモリ(図示省略)に記憶される。なお、本実施例では、コントローラ14は、2:00を始点とする24時間を、1日を特定するための単位時間としている。
【0027】
続いて、学習モードにおいて、コントローラ14が、24時間毎(時刻が2:00になる毎)に実行する処理について説明する。上記の通り、本実施例では、コントローラ14は、特定の世帯の過去7日分の出湯履歴情報を記憶する。そのため、コントローラ14は、24時間毎に、8日前の出湯履歴情報を消去して、前日の出湯履歴情報を新たに記憶する。
【0028】
次いで、コントローラ14は、特定の世帯の過去7日分の出湯履歴情報から、当日に出湯が開始される時刻(以下では「出湯開始時刻」と呼ぶ)を予測する。出湯開始時刻の予測の際には、コントローラ14は、特定の世帯の過去7日分の出湯履歴情報から、過去7日間中、特定のタイミングにおいて出湯が開始された時刻のうち最も早い時刻を特定する。
【0029】
例えば、コントローラ14は、特定の世帯の過去7日分の出湯履歴情報から、過去7日間において最初の出湯が開始された時刻のうち、最も早い時刻を特定する。以下では、この時刻を「第1出湯開始時刻」と呼ぶ。また、例えば、コントローラ14は、特定の世帯の過去7日分の出湯履歴情報から、過去7日間において浴槽90への湯張り運転が開始された時刻のうち、最も早い時刻を特定する。以下では、この時刻を「第2出湯開始時刻」と呼ぶ。上記の第1、第2出湯開始時刻は、特定される出湯開始時刻の一例に過ぎない。コントローラ14は、上記以外の出湯開始時刻を特定してもよい。
【0030】
次いで、コントローラ14は、特定された出湯開始時刻までに、貯湯タンク内に出湯用の温水が貯えられるように熱源(ヒートポンプ40、給湯暖房ユニット50)を動作させるための熱源の動作開始時刻(以下では「動作開始時刻」と呼ぶ)を特定する。動作開始時刻を特定する場合、まず、コントローラ14は、特定の世帯の過去7日分の出湯履歴情報から、特定されたそれぞれの出湯開始時刻において必要とされる出湯量(例えば、過去7日分の平均出湯量)を算出する。次いで、コントローラ14は、その出湯量の温水を貯湯タンク30内に貯えるために必要な熱源の動作時間を特定する。次いで、コントローラ14は、特定されたそれぞれの出湯開始時刻と、対応する動作時間とを用いて、各動作開始時刻を特定する。
【0031】
例えば、コントローラ14は、上記の第1出湯開始時刻までに貯湯タンク30内に温水が貯えられるように熱源を動作させるための熱源の動作開始時刻(第1動作開始時刻)を特定する。具体的には、コントローラ14は、特定の世帯の過去7日分の出湯履歴情報から、特定の世帯における最初の出湯時の平均出湯量を算出し、それに基づいて熱源の動作時間(第1動作時間)を算出し、第1出湯開始時刻と第1動作時間とを用いて、上記の第1動作開始時刻を特定する。同様に、コントローラ14は、上記の第2出湯開始時刻までに貯湯タンク30内に温水が貯えられるように熱源を動作させるための熱源の動作開始始時刻(第2動作開始時刻)を特定する。この場合も、コントローラ14は、特定の世帯の過去7日分の出湯履歴情報から、特定の世帯における湯張り時の平均出湯量を算出し、それに基づいて熱源の動作時間(第2動作時間)を算出し、第2出湯開始時刻と第2動作時間とを用いて、上記の第2動作開始時刻を特定する。
【0032】
コントローラ14は、上記のように特定された動作開始時刻(例えば、上記の第1動作開始時刻)が到来すると、熱源を動作させる。その結果、対応する出湯開始時刻(例えば、上記の第1出湯開始時刻)までに、貯湯タンク30内には、必要な量の温水が貯えられる。その後、その出湯開始時刻(例えば、第1出湯開始時刻)の近傍の時刻に出湯が実行されると、貯湯タンク30内の温水が、出湯管22を介して温水利用箇所に供給される。このように、本実施例の給湯暖房装置10を学習モードに従って運転することにより、過去7日分の出湯履歴情報に基づいて特定された出湯開始時刻において、貯湯タンク30内に必要な量の温水を貯えておくことができる。
【0033】
続いて、図3図5を参照して、学習モードに従って給湯暖房装置10を運転する場合における、出湯時間と貯湯タンク30内の蓄熱状態(即ち、貯湯タンク30内の温水量)との関係の具体例を説明する。図3図5の例では、コントローラ14は、単位時間(24時間)の開始時刻(2:00)において、過去7日間の出湯履歴情報に基づいて、6:00、及び、21:00を出湯開始時刻として特定し、5:00、及び、20:00を熱源の動作開始時刻として特定している。
【0034】
(学習モード:正常:図3
図3を参照して、学習モードに従って給湯暖房装置10を運転する場合において、正常に出湯が行われる場合の出湯時間と貯湯タンク30内の蓄熱状態との関係の例を説明する。図3中の上側のグラフは、2:00〜26:00の24時間における、実際の出湯時間を示す。図3中の下側のグラフは、2:00〜24:00の24時間における、貯湯タンク30内の蓄熱状態(貯湯タンク30内の温水量)を示す。
【0035】
図3の例では、動作開始時刻である5:00以前の時間帯では、貯湯タンク30内には温水が貯えられていない(蓄熱なし)。コントローラ14は、動作開始時刻である5:00に熱源の動作を開始する。これにより、熱源によって加熱された温水が貯湯タンク30に貯えられる運転(以下では「蓄熱運転」と呼ぶ)が開始される。蓄熱運転は、6:00に終了する。これにより、6:00(出湯開始時刻)の時点で、貯湯タンク30内には、出湯に必要な温水が貯えられる。
【0036】
この例では、6:00から7:00の間に実際に出湯が行われる。即ち、貯湯タンク30内の温水が、出湯管22を介して温水利用箇所に供給される。その結果、貯湯タンク30は、再び温水が貯えられていない状態(蓄熱なし)に戻る。図3の例では、次の動作開始時刻である20:00に再び熱源の動作を開始する。これにより、再び蓄熱運転が開始される。蓄熱運転は、21:00に終了する。これにより、21:00(次の出湯開始時刻)の時点で、貯湯タンク30内には、出湯に必要な温水が貯えられる。
【0037】
この例では、その後、21:00から22:00の間に実際に出湯が行われる。即ち、貯湯タンク30内の温水が、出湯管22を介して温水利用箇所に供給される。その結果、貯湯タンク30は、再び温水が貯えられていない状態(蓄熱なし)に戻る。
【0038】
(学習モード:日跨ぎ出湯:図4
図4の例では、前日の1:30から当日の2:30に亘って出湯が行われている。このように、単位時間の開始時刻である2:00を跨いで出湯が行われることを、以下では「日跨ぎ出湯」と呼ぶ場合がある。
【0039】
学習モードに従って給湯暖房装置10を運転する場合に、上記の日跨ぎ出湯が行われると、本実施例のコントローラ14は、過去7日間の出湯履歴情報に基づいて特定される出湯開始時刻(6:00、21:00)及び動作開始時刻(5:00、20:00)とは無関係に、常時貯湯タンク30内の全量に温水が貯えられている状態(以下では「満蓄状態」と呼ぶ)を保つように制御を行ってしまう。即ち、コントローラ14は、貯湯タンク30内の蓄熱量(温水の量)が減少する度に蓄熱運転を行う。そのため、図3の場合と比べて、蓄熱運転を行う頻度が多くなる。貯湯タンク30からの放熱量も大きくなる。その結果、無駄なエネルギー消費が大きくなる。
【0040】
(学習モード:直後出湯:図5
図5の例では、単位時間の開始時刻である2:00から10分後の2:10から3:10に亘って出湯が行われている。このように、単位時間の開始時刻である2:00の直後(具体的には、2:00〜3:00の間)に出湯が開始されることを、以下では「直後出湯」と呼ぶ場合がある。直後出湯が行われる場合には、熱源による蓄熱運転が、単位時間の開始時刻である2:00を跨いで行われる。
【0041】
学習モードに従って給湯暖房装置10を運転する場合に、上記の直後出湯が行われると、上記の図4の日跨ぎ出湯の場合と同様に、本実施例のコントローラ14は、過去7日間の出湯履歴情報に基づいて特定される出湯開始時刻(6:00、21:00)及び動作開始時刻(5:00、20:00)とは無関係に、常時満蓄状態を保つように制御を行ってしまう。この場合も、上記の日跨ぎ出湯の場合と同様に、無駄なエネルギー消費が大きくなる。
【0042】
(予約モード:図6
次いで、予約モードについて説明する。予約モードは、予め設定された予約時刻までに、貯湯タンク30内に温水が貯えられるように熱源を動作させる制御モードである。ユーザは、リモコン12を操作して、予約時刻を設定しておくことができる。予約モードでは、コントローラ14は、学習モードと異なり、出湯履歴情報に基づいて出湯開始時刻や動作開始時刻を特定する必要はない。予約モードでは、仮に、上記の日跨ぎ出湯や直後出湯が行われたとしても、学習モードとは異なり、コントローラ14が常時満蓄状態を保つように制御を行ってしまうことはない。そのため、上記の図4図5の場合のように、無駄なエネルギー消費が大きくことはない。
【0043】
図6を参照して、予約モードに従って給湯暖房装置10を運転する場合における出湯時間と貯湯タンク30内の蓄熱状態との関係の例を説明する。図6の例では、2:00と13:00が予約時刻として予め設定されている。コントローラ14は、予約時刻より前(例えば予約時刻の約1時間前)に熱源の動作を開始し、蓄熱運転を行う。これにより、2:00、13:00(予約時刻)の時点で、貯湯タンク30内には、出湯に必要な温水が貯えられる。
【0044】
(自動変更処理:図7
次いで、図7を参照して、学習モードに従って給湯暖房装置10を運転する場合に、コントローラ14が実行する自動変更処理について説明する。自動変更処理は、所定の条件が満たされる場合に、給湯暖房装置10の制御モードを、学習モードから予約モードに自動的に変更するための処理である。ユーザがリモコン12を操作して、学習モードを選択すると、コントローラ14は、図7の自動変更処理を開始する。
【0045】
S10では、コントローラ14は、過去7日間中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生することを監視する。具体的に言うと、S10では、コントローラ14は、過去7日間の出湯履歴情報を参照し、過去7日間中の5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われているか否かを判断する。過去7日中の5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われている場合、コントローラ14は、S10でYESと判断し、S12に進む。一方、S10でNOの場合には監視を継続する。
【0046】
S12では、コントローラ14は、助言情報を表示待機させる。具体的に言うと、S12では、コントローラ14は、助言情報を表示するためのフラグをメモリの所定領域内に記憶させる。
【0047】
次いで、S14では、コントローラ14は、表示許可が行われることを監視する。S14の時点で、表示許可が行われている場合(即ち、電源オフ操作とリモコン12のチェックボタン104を押す操作のいずれかが行われている場合)、コントローラ14は、S14でYESと判断し、S16に進む。一方、S14の時点で、表示許可が行われていない場合、コントローラ14は、S14でNOと判断し、S10に戻る。この際、コントローラ14は、S12でメモリに記憶させた助言情報を表示するためのフラグをメモリから削除する。
【0048】
S16では、コントローラ14は、助言情報を表示パネル100に表示する。即ち、表示パネル100には、助言情報が示すメッセージ「タンク沸き上げモードの[タイマー]をご利用頂くと、設定時刻に合わせてタンク沸き上げします」(図7参照)が表示される。コントローラ14は、助言情報を表示パネル100に表示させると、助言情報を表示パネル100に表示させた日時を含む表示履歴データをメモリに記憶する。コントローラ14は、所定時間に亘って助言情報を表示させると、助言情報の表示を終了する。なお、助言情報の表示が終了すると、S12でメモリに記憶された助言情報を表示するためのフラグはメモリから削除される。S14で電源オフ操作が行われている場合、コントローラ14は、給湯暖房装置10の電源をオフする。この場合、図7の自動変更処理は一旦終了する。ただし、給湯暖房装置10の電源がオフされた場合でも、コントローラ14のメモリには、出湯履歴情報が保存される。そのため、次回電源がオンされる場合には、コントローラ14は、メモリに保存された出湯履歴情報に基づいて、図7の自動変更処理を再度実行する。
【0049】
次いで、S18では、助言情報を1か月以内に2回表示したか否かを判断する。上記の通り、コントローラ14は、助言情報を表示パネル100に表示させると、助言情報を表示パネル100に表示させた日時を含む表示履歴データをメモリに記憶する。コントローラ14はメモリをチェックし、1か月以内に表示履歴データが2つ記憶されているか否かを判断する。メモリ内に、1か月以内に表示履歴データが2つ記憶されている場合には、コントローラ14はS18でYESと判断し、S20に進む。1か月以内に表示履歴データが2つ記憶されている場合(S18でYES)は、助言情報が一度表示パネル100に表示された後、1か月以内に、再度助言情報が表示パネル100に表示されたことを意味する。即ち、助言情報を一度表示した後、1か月以内に、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況(S10でYES)が再度発生していることを意味する。この一方で、S18でNOの場合には、S10に戻る。
【0050】
S20では、コントローラ14は、自動変更設定がオンになっているか否かを確認する。ユーザは、リモコン12を操作して、予め自動変更設定をオンまたはオフに設定しておくことができる。自動変更設定がオンの場合、コントローラ14は、S20でYESと判断し、S22に進む。
【0051】
S22では、コントローラ14は、給湯暖房装置10の制御モードを学習モードから予約モードに変更する。続くS24では、コントローラ14は、制御モードの変更が完了した旨のメッセージを表示パネル100に表示させる。コントローラ14は、所定時間に亘ってメッセージを表示させると、メッセージの表示を終了する。その場合、図7の自動変更処理が終了する。
【0052】
一方、自動変更設定がオフの場合、コントローラ14は、S20でNOと判断し、S10に戻る。即ち、自動変更設定がオフの場合、給湯暖房装置10の制御モードが学習モードから予約モードに自動的に切り換えられることはない。これは、設定した制御モードがコントローラ14によって自動的に変更されることを望まないユーザに配慮した処理である。
【0053】
以上、自動変更処理の内容について説明した。図7には示していないが、本実施例では、ユーザによって表示許可が行われた場合(即ち、電源オフ操作とリモコン12のチェックボタン104を押す操作のいずれかが行われた場合)において、上記の助言情報が表示されない場合(即ち、図7のS10でNOと判断されている場合)には、コントローラ14は、上記の助言情報に代えて、当日と前日の光熱費を示すメッセージを表示させる。具体的には、コントローラ14は、「今日と昨日の光熱費です 昨日***円、今日***円」というメッセージを表示パネル100に表示させる。「***円」で表示される部分には、実際に算出された昨日の光熱費と今日の光熱費とが記述される。このメッセージを表示させることで、ユーザに実際の光熱費を意識させることができる。ユーザが、効率の良い運転を心がけることにより、ユーザの費用面のメリットを大きくし得る。
【0054】
以上、本実施例の給湯暖房装置10の構成、及び、コントローラ14が実行する自動変更処理の内容について説明した。上記の通り、学習モードに従って給湯暖房装置10が運転される場合において、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合(図7のS10でYES)には、無駄なエネルギー消費が大きくなる可能性が高い。本実施例では、給湯暖房装置10は、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合(図7のS10でYES)には、図7のS12以降の各処理を実行することにより、制御モードを学習モードから予約モードに切り換え得る。予約モードでは、学習モードと異なり、コントローラは、出湯履歴情報に基づいて、熱源を動作させる必要はない。そのため、制御モードが学習モードから予約モードに切り換われば、常時満蓄状態を保つように熱源を動作させる制御が行われることがなくなる。従って、本実施例の給湯暖房装置10によると、無駄なエネルギー消費を適切に抑制し得る。
【0055】
本実施例の給湯暖房装置10は、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合(図7のS10でYES)に、助言情報を表示パネル100に表示する(S16)。助言情報を見たユーザが、リモコン12を操作して、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えれば、比較的早期に制御モードを予約モードに切り換えることができる。そのため、本実施例の給湯暖房装置10によると、無駄なエネルギー消費を適切に抑制し得る。
【0056】
本実施例の給湯暖房装置10は、助言情報を1か月以内に2回表示した場合には(図7のS20でYES)、給湯暖房装置10の制御モードを学習モードから予約モードに自動的に変更する(S22)。助言情報を1か月以内に2回表示する場合は、助言情報を一度表示した後、1か月以内に、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況(S10でYES)が再度発生していることを意味する。そのような場合に、給湯暖房装置10の制御モードを学習モードから予約モードに自動的に変更することで、本実施例の給湯暖房装置10は、無駄なエネルギー消費を生じさせ得る学習モードが長期間続くことを適切に抑制することができる。
【0057】
本実施例と請求項の記載の対応関係を説明しておく。給湯暖房装置10が「貯湯式温水供給装置」の一例である。給湯暖房ユニット50、ヒートポンプ40が、「熱源」の一例である。出湯管22が「供給路」の一例である。リモコン12が「設定手段」の一例である。リモコン12の表示パネル100が「報知手段」の一例である。図7のS12以降の各処理が「切換関連処理」の一例である。日跨ぎ出湯が行われる状態、直後出湯が行われる状態が、それぞれ、「(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態」、「(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態」の一例である。図7のS10でYESの場合が、「第1の状況が発生する場合」の一例である。助言情報を表示パネル100に表示させることが「報知」の一例である。助言情報を一度表示した後に、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況(S10でYES)が再度発生している場合が、「第2の状況が発生する場合」の一例である。
【0058】
(第2実施例)
次いで、第2実施例の給湯暖房装置10について、第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の給湯暖房装置10も、その基本構成は第1実施例の給湯暖房装置10(図1図2)と共通する。本実施例の給湯暖房装置10では、コントローラ14が実行する自動変更処理の内容が第1実施例とは異なる。
【0059】
本実施例では、コントローラ14は、S16で助言情報を表示した後、所定の待機時間が経過することを監視する。コントローラ14は、所定の待機時間が経過するまでの間に、ユーザがリモコン12を操作して制御モードを学習モードから予約モードに変更しない場合には、自動的に制御モードを学習モードから予約モードに切り換える。
【0060】
本実施例による場合も、給湯暖房装置10は、適切なタイミングで制御モードを学習モードから予約モードに切り換え得る。その結果、無駄なエネルギー消費を生じさせ得る学習モードが長期間続くことを抑制することができる。
【0061】
(第3実施例)
次いで、第3実施例の給湯暖房装置10について、第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の給湯暖房装置10も、コントローラ14が実行する自動変更処理の内容の一部が第1実施例とは異なる。本実施例では、コントローラ14は、S16で助言情報を表示した後、1か月以内に助言情報を2回表示したか否かの判断(S18)を行うとともに、助言情報を表示してから所定の待機時間が経過するまでの間に、ユーザがリモコン12を操作して制御モードを学習モードから予約モードに変更したか否かの監視を併せて行う。
【0062】
S18でYESと判断された場合の各処理は、第1実施例と同様であるため、詳しい説明は省略する。一方、S16で助言情報を表示した後、所定の待機時間が経過するまでの間に、ユーザがリモコン12を操作して制御モードを学習モードから予約モードに変更しなかった場合の処理は、第2実施例と同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0063】
本実施例の給湯暖房装置10による場合も無駄なエネルギー消費を生じさせ得る学習モードが長期間続くことを抑制することができる。
【0064】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0065】
(変形例1) 上記の各実施例では、コントローラ14は、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合(図7のS10でYES)に、助言情報を表示パネル100に表示する(S16)。上記の通り、助言情報は、ユーザに対して、制御モードを予約モードに切り換えることを促すメッセージを含む。ユーザに対して、制御モードの切り換えを促す報知の方法は、助言情報の表示に限らず、任意の方法によることができる。従って、例えば、コントローラ14は、リモコン12に内蔵されているスピーカを用いて、ユーザに対して、制御モードを学習モードに切り換えることを促すための音声メッセージを発するようにしてもよい。
【0066】
(変形例2) 上記の各実施例では、コントローラ14は、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合(図7のS10でYES)に、制御モードを予約モードに切り換えることに関する各種処理(図7のS12以降の処理等)を実行している。コントローラ14が、制御モードを予約モードに切り換えることに関する各種処理を行うための条件は、「7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合」に限られない。従って、例えば、コントローラ14は、期間を問わず日跨ぎ出湯又は直後出湯が通算7回行われた場合に、制御モードを予約モードに切り換えることに関する各種処理を行うようにしてもよい。一般的に言うと、コントローラ14は、学習モードに従って熱源の動作を制御する間に、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態、又は、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態が、第1の所定回数発生する第1の状況が発生する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることに関連する切換関連処理を実行すればよい。
【0067】
(変形例3) 上記の各実施例では、単位時間の開始時刻(2:00)から1時間以内(2:00〜3:00の間)に出湯が開始されることを「直後出湯」と呼んでいる。これに限られず、「直後出湯」は、単位時間の開始時刻から任意の所定時間内(例えば、30分以内、2時間以内、等)に出湯が開始されることを含んでもよい。
【0068】
(変形例4) 上記の各実施例では、コントローラ14は、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合(図7のS10でYES)に、助言情報を表示パネル100に表示している(S16)が、助言情報を表示する処理を省略してもよい。その場合、例えば、コントローラ14は、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合(図7のS10でYES)に、助言情報を表示することなく、ただちに制御モードを自動的に予約モードに切り換える処理を行ってもよい。一般的に言うと、コントローラ14は、学習モードに従って熱源の動作を制御する間に、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態、又は、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態が、第1の所定回数発生する第1の状況が発生する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることに関連する切換関連処理を実行すればよい。
【0069】
(変形例5) 上記の第1実施例では、コントローラ14は、図7のS16で助言情報を表示した後、助言情報を1か月以内に2回表示した場合(S18でYES)に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えている。第1実施例では、S18の判断を省略してもよい。即ち、コントローラ14は、助言情報を1か月以内に2回表示したか否かに関わらず、図7のS16で助言情報を表示した後、7日中5日で日跨ぎ出湯又は直後出湯が行われる状況が発生する場合(図7のS10でYES)に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えてもよい。一般的に言うと、切換関連処理は、第1の状況が発生した後に、さらに、(a)出湯中に単位時間の開始時刻が経過する状態、又は、(b)単位時間の開始時刻から所定時間内に出湯が行われる状態が、第2の所定回数発生する第2の状況が発生する場合に、制御モードを学習モードから予約モードに切り換えることを含めばよい。
【0070】
(変形例6) 上記の各実施例では、給湯暖房装置10が、電気式熱源としてヒートポンプ40を有している例を説明した。電気式熱源はヒートポンプに限られず、例えば電気ヒータであってもよい。
【0071】
(変形例7) 上記の各実施例では、給湯暖房装置10は、蓄熱手段として温水を貯める貯湯タンク30を有している例を説明した。蓄熱手段は貯湯タンクに限られず、例えば他の熱媒を貯めるタンクや容器であってもよい。また、蓄熱手段は、電気式熱源やガス式熱源が発生した熱に加え、地熱、太陽熱、発電熱といった他の熱を蓄熱するものであってもよい。
【0072】
(変形例8) 上記の各実施例では、本明細書で開示する技術を実現するための給湯暖房装置10を例として説明した。これに限らず、本明細書で開示する技術を実現するための装置は、暖房機能を備えない給湯装置、又は、給湯機能を備えない暖房装置であってもよい。
【0073】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0074】
10:給湯暖房装置
12:リモコン
14:コントローラ
16:給湯管
18:給湯バイパス管
20:バイパス制御弁
22:出湯管
24:給湯側混合弁
26:給水バイパス管
28:給水管
30:貯湯タンク
32:蓄熱送り管
34:蓄熱戻り管
40:ヒートポンプ
50:給湯暖房ユニット
60:暖房送り管
62:第1暖房戻り管
64:第2暖房戻り管
66:暖房バイパス管
68:暖房側混合弁
70:暖房端末
82:風呂戻り管
84:風呂往き管
90:浴槽
100:表示パネル
102:電源ボタン
104:チェックボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7