(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1画像形成部により形成される第1現像剤像の面積を大きくすることにより、前記第1現像剤の量を多くすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
前記第1画像形成部における前記第1現像剤像を形成する際の画像形成条件を変更することにより、前記第1現像剤の量を多くすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記第1画像形成部は、像担持体と、前記像担持体を露光して潜像を形成する露光部と、前記像担持体に形成された潜像を前記第1現像剤により現像して前記第1現像剤像を形成する現像剤担持体とを有し、
前記画像形成装置は、前記画像形成条件として、前記露光部の露光量を変更することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
前記第1画像形成部は、像担持体と、前記像担持体を露光して潜像を形成する露光部と、前記像担持体に形成された潜像を前記第1現像剤により現像して前記第1現像剤像を形成する現像剤担持体とを有し、
前記画像形成装置は、前記画像形成条件として、前記現像剤担持体に印加する電圧を変更することを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
前記被画像形成体上に形成された前記第1現像剤像および前記第2現像剤像を定着する定着部を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記第1現像剤像と前記第2現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合、前記第1現像剤像の上に前記第2現像剤像を形成することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
実施の形態1.
[画像形成装置の構成]
図1は、実施の形態1における画像形成装置100の構成を示す概略断面図である。この画像形成装置100は、電子写真方式により現像剤を用いて画像を形成する印刷装置であり、本例ではカラー印刷が可能なプリンタである。
【0011】
画像形成装置100は、第1画像形成部としての画像形成部10K,10Y,10M,10Cと、第2画像形成部としての画像形成部10Wとを備える。本実施の形態では、画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、第1現像剤としての白色以外の有色の現像剤を用いて、被画像形成体としての印刷媒体P上に、画像を表す有色の現像剤像を第1現像剤像として形成する。画像形成部10Wは、第2現像剤としての白色の現像剤を用いて、印刷媒体P上に、画像を表す現像剤像の下地となる白色の現像剤像を第2現像剤像として形成する。具体的には、画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、それぞれ、カラートナーであるブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)色のトナーを用いて各色のカラートナー像を形成する。画像形成部10Wは、ホワイト(W)色のトナーである白色トナー(またはホワイトトナー)を用いて、カラートナー像の下地となる白色トナー像を形成する。以下の説明では、適宜、画像形成部10K,10Y,10M,10Cを「有色画像形成部」、画像形成部10Wを「白色画像形成部」と称する。
図1において、破線は印刷媒体Pの搬送経路Aを示し、矢印A1は印刷媒体Pが搬送される媒体搬送方向を示す。
図1の例では、印刷媒体Pの搬送経路Aに沿って、媒体搬送方向上流側から、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cがこの順で配置され、その下流側(または最下流位置)に白色画像形成部10Wが配置されている。なお、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wについては、後に詳しく説明する。
【0012】
画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wに対して媒体搬送方向上流側には、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wに印刷媒体Pを供給するための媒体供給機構20が設けられる。媒体供給機構20は、印刷媒体Pを収容する印刷媒体トレイ21と、印刷媒体トレイ21に収容された印刷媒体Pを1枚ずつ分離して繰り出すホッピングローラ22と、繰り出された印刷媒体Pを搬送するレジストローラ23とピンチローラ24とのローラ対と、レジストローラ23からの印刷媒体Pを画像形成部に送り出す搬送ローラ25とピンチローラ26とのローラ対とを有する。レジストローラ23は、印刷媒体Pの先端位置を揃えて印刷媒体Pの斜行を矯正する。
【0013】
媒体搬送方向における搬送ローラ25の下流側には、搬送ローラ25からの印刷媒体Pを保持しながら搬送する無端状の搬送ベルト30が配置される。搬送ベルト30は、印刷媒体Pが画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wをこの順番で通過するように、印刷媒体Pを搬送する。搬送ベルト30により搬送される印刷媒体P上には、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10WによってK,Y,M,C,W色のトナー像がこの順に形成される。
【0014】
画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wに対して媒体搬送方向下流側には、印刷媒体P上に形成されたトナー像を定着する定着部としての定着装置40が設けられる。具体的には、定着装置40は、トナー像に熱および圧力を加えることによってトナー像を印刷媒体Pに定着する。
図1の例では、定着装置40は、加熱部材である加熱ローラ41と、加熱ローラ41と当接する加圧部材である加圧ローラ42と、加熱ローラ41を加熱する発熱部材であるヒータ43とを含む。この構成では、加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を印刷媒体Pが通過する際に、両ローラによって印刷媒体P上のトナーに熱および圧力が付与され、印刷媒体Pにトナーが定着される。
【0015】
媒体搬送方向における定着装置40の下流側には、定着装置40を通過した印刷媒体Pを排出する排出ローラ51とピンチローラ52とのローラ対と、排出ローラ51により排出された印刷媒体Pを収容するスタッカ部53とが配置される。
【0016】
さらに、画像形成装置100は、画像形成装置100の動作を制御する制御部60を備える。この制御部60については、後に詳しく説明する。
【0017】
なお、
図1では、第1画像形成部として4つの画像形成部10K,10Y,10M,10Cを備える構成が示されているが、画像形成装置100は、第1画像形成部として少なくとも1つの画像形成部を備えていればよい。例えば、画像形成部10K,10Y,10M,10Cのうち、ブラックのトナーを含む画像形成部10Kが省略されてもよい。この場合、イエロー、マゼンタ、およびシアンのトナーを混ぜることにより、ブラックが表現される。この混色により得られるブラックは、純粋なブラック(またはブラックトナーによるブラック)と区別するために、プロセスブラックと呼ばれる。また、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの並び順は、
図1に示される順番に限られず、適宜変更されてもよい。
【0018】
[画像形成部の構成]
図2は、画像形成部10Kの概略断面図である。以下、
図2を参照して、画像形成部10Kの構成を説明する。なお、画像形成部10Y,10M,10C,10Wの構成については、画像形成部10Kと同様であるので、説明を省略する。
【0019】
画像形成部10Kは、像担持体としての感光ドラム11、帯電部としての帯電ローラ12、露光部としての光源13、現像部としての現像装置14、転写部としての転写ローラ15、およびクリーニング装置16を有する。
【0020】
感光ドラム11は、静電潜像およびトナー像を担持する部材である。感光ドラム11は、矢印R1方向に回転する。
【0021】
帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面を帯電させる。帯電ローラ12は、感光ドラム11に所定の当接量で押し付けて配置され、感光ドラム11と連れ回りで矢印R2方向に回転する。
【0022】
光源13は、帯電された感光ドラム11の表面を露光して、感光ドラム11上に静電潜像を形成する。ここでは、光源13には、LED(発光ダイオード)が使用される。
【0023】
現像装置14は、感光ドラム11上に形成された静電潜像をトナーTで現像して、感光ドラム11上にトナー像を形成する。具体的には、現像装置14は、現像剤担持体としての現像ローラ81と、現像剤供給部材としての供給ローラ82と、現像剤規制部材としての現像ブレード83とを含む。現像ローラ81は、トナーTを担持し、感光ドラム11上の静電潜像にトナーTを付与してトナー像を形成する。現像ローラ81は、感光ドラム11に所定の当接量で押し付けて配置され、矢印R3方向に回転する。供給ローラ82は、現像ローラ81にトナーを供給する。供給ローラ82は、現像ローラ81に所定の当接量で押し付けて配置され、矢印R4方向に回転する。現像ブレード83は、現像ローラ81上のトナー量を規制して均一なトナー層を形成する。現像ブレード83は、現像ローラ81に所定の当接量で押し付けて配置される。
【0024】
転写ローラ15は、感光ドラム11上に形成されたトナー像を印刷媒体Pに転写する。転写ローラ15は、搬送ベルト30を介して感光ドラム11に所定の圧力で押し付けて配置され、感光ドラム11と連れ回りで矢印R5方向に回転する。
【0025】
クリーニング装置16は、感光ドラム11の転写後の表面上に残留するトナーを除去する。
【0026】
本例では、感光ドラム11、帯電ローラ12、現像装置14、およびクリーニング装置16は、画像形成ユニット19に含まれる。
図1に示されるように、鉛直方向(
図1の上下方向)において、画像形成ユニット19は、搬送経路Aおよび搬送ベルト30の上方に配置され、転写ローラ15は、搬送経路Aおよび搬送ベルト30の下方に配置される。また、画像形成ユニット19は、画像形成装置100の本体1に対して着脱可能に装着される。光源13は、感光ドラム11の上方に、感光ドラム11と対向するように本体1側に設けられる。
【0027】
以下、画像形成部10Kの各構成部材についてより詳しく説明する。
感光ドラム11は、
図3に示されるように、円筒形に加工された導電性支持体11aと、その上に塗布して形成された感光層11bとを有する。導電性支持体11aの端部には、感光ドラム11を回転させるための図示しない感光ギヤが取り付けられる。導電性支持体11aは、アルミニウム合金により形成され、外径φ30mm、厚み0.75mmである。感光層11bは、バインダ樹脂に電荷輸送剤や酸化防止剤等を添加して形成される。
【0028】
帯電ローラ12は、
図2に示されるように、円筒形の金属シャフト12aと、その周面に形成された半導電性の弾性層12bとを有する。弾性層12bは、エピクロルヒドリンゴムを用いて形成される。帯電ローラ12の金属シャフト12aには、感光ドラム11の表面を所定の電位に帯電させるための帯電電圧Vchが印加される。帯電電圧Vchは、ここでは−1000〜−1100Vである。
【0029】
光源13は、
図3に示されるように、所定の間隔で配列された複数個のLED13aと、LED13aを発光させる発光制御部13bと、LED13aから出射された光を感光ドラム11に収束させるように配列された複数個のレンズ13cとにより構成される。LED13aの個数および配列の間隔は、解像度(dpi)などによって適宜決められればよい。発光制御部13bは、制御部60から入力される画像データに応じて、各LED13aの発光/非発光および発光する際の光量を制御する。1個のLED13aで1個のドットを形成する際に感光ドラム11に照射される光量は、例えば0.1〜1.0μJ/cm
2の範囲で制御される。
【0030】
現像ローラ81は、
図2に示されるように、円筒形の金属シャフト81aと、その周面に形成された半導電性の弾性層81bとを有する。金属シャフト81aの端部には、現像ローラ81を回転させるための図示しない現像ギヤが取り付けられる。現像ギヤは感光ギヤと噛み合い、感光ドラム11の回転によって現像ローラ81が感光ドラム11に対して一定の周速差を持って回転駆動される。弾性層81bはウレタンゴムを用いて形成され、その表面には、トナーの帯電性を高めるためにイソシアネート処理が施される。金属シャフト81aには、現像ローラ81上のトナーを感光ドラム11の静電潜像に付着させるための現像電圧Vdが印加される。現像電圧Vdは、ここでは−100〜−300Vである。
【0031】
供給ローラ82は、円筒形の金属シャフト82aと、その周面に形成された半導電性の発泡弾性層82bとを有する。発泡弾性層82bは、トナーの帯電性に優れたシリコーンゴムを用いて形成される。金属シャフト82aの端部には、供給ローラ82を回転させるための図示しない供給ギヤが取り付けられる。供給ギヤと現像ギヤとの間には図示しないアイドルギヤが設置され、供給ギヤはアイドルギヤを介して現像ギヤに連結される。これにより、供給ローラ82と現像ローラ81とは同じ回転方向に回転する。金属シャフト82aには、現像ローラ81との電位差により供給ローラ82から現像ローラ81にトナーを供給するための供給電圧Vsが印加される。供給電圧Vsは、ここでは−100〜−400Vである。
【0032】
現像ブレード83は、厚み0.08mmのステンレス(SUS)板をL字形状に折り曲げて形成される。現像ブレード83は、折り曲げによるエッジ部83aと、L字形状における長手部83bおよび短手部83cとを有する。現像ブレード83は、現像ローラ81の回転方向R3におけるエッジ部83aの下流側に長手部83bが位置し、エッジ部83aが現像ローラ81の表面に押し当てられるように設置される。すなわち、現像ブレード83は、エッジ部83aが現像ローラ81にカウンタ方向に押し当てられるように設置される。長手部83bのエッジ部83aと反対側の端部は、画像形成ユニット19の枠体に固定される。現像ブレード83には、供給ローラ82に印加される供給電圧Vsと同じ電圧が印加される。ただし、現像ブレード83には、供給電圧Vsと異なる電圧が印加されてもよい。
【0033】
転写ローラ15は、円筒形の金属シャフト15aと、その周面に形成された半導電性の発泡弾性層15bとを有する。発泡弾性層15bは、エピクロルヒドリンゴムを用いて形成される。金属シャフト15aには、感光ドラム11との電位差により感光ドラム11上のトナーを印刷媒体P上に転写するための転写電圧Vtが印加される。転写電圧Vtは、ここでは+1000〜+5000Vである。
【0034】
クリーニング装置16は、板状弾性部材(またはクリーニングブレード)16aを含む。板状弾性部材16aは、その一端が感光ドラム11の表面に所定の当接量で押し当てられるように設置され、感光ドラム11上のトナーを掻き落とす。板状弾性部材16aには、耐久性に優れるウレタンゴムが用いられる。
【0035】
なお、以降の説明においては、必要に応じて、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wの部材の符号に対し、それぞれ色を示すアルファベットK,Y,M,C,Wを付す。例えば、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wの感光ドラム11を、それぞれ11K,11Y,11M,11C,11Wと表記する。
【0036】
[現像剤(トナー)]
以下、トナーについて説明する。
ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン、およびホワイト(白色)のトナーは、結着樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂)、着色剤、およびワックスが混合されて凝集してできるトナー母粒子と、トナー母粒子に添加される外添剤(例えば、帯電制御剤、酸化防止剤等)とにより構成される。
【0037】
ブラック、イエロー、マゼンタ、およびシアンのカラートナー用の着色剤として用いられる顔料としては、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミンレーキ、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられる。着色剤は、結着樹脂100(重量部)に対して2〜20(重量部)の割合で添加される。これに対し、白色トナーでは、着色剤として、一般的に無機系の材料が用いられる。無機系の材料としては、例えば、酸化チタンや、酸化亜鉛、硫化亜鉛が挙げられ、ここでは隠蔽率が良好な酸化チタンが用いられる。着色剤である酸化チタンは、隠蔽率を上げるために、結着樹脂100(重量部)に対して25〜35(重量部)の割合で添加される。
【0038】
白色トナーは、着色剤として無機系の材料が用いられ、また顔料も多く添加されていることから、他の色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のカラートナーと比べて、比重が大きい。例えば、白色トナーの比重は、カラートナーの比重の1.6〜2.0倍である。
【0039】
各色のトナーの粒径は、例えば5〜9μmである。一例では、トナーの平均体積粒径は、ブラックが5.7μm、イエローが5.6μm、マゼンタが5.6μ、シアンが5.6μm、ホワイト(白色)が7.0μmである。
【0040】
各色のトナーの円形度は、例えば0.950〜0.955である。トナーの円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス株式会社製)を用いて測定された粒子の円形度を下式より求め、測定された全粒子の円形度の総和を測定された全粒子数で除した値である。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子の投影像の周囲長)
本実施の形態における円形度とは、トナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.000を示し、トナー形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0041】
トナーの固めかさ密度は、一例では、ブラックが0.33g/cm
3、イエローが0.34g/cm
3、マゼンタが0.35g/cm
3、シアンが0.33g/cm
3、ホワイト(白色)が0.58g/cm
3である。
【0042】
[制御部]
以下、制御部60について説明する。
制御部60は、画像形成装置100の各部を制御することにより、画像形成装置100の画像形成動作等の動作を制御する。具体的には、制御部60は、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wを制御して、印刷媒体P上にトナー像を形成する。
【0043】
制御部60は、カラートナー像と白色トナー像とを重ね合わせて形成する場合と、カラートナー像を白色トナー像と重ね合わせずに形成する場合とがある。具体的には、制御部60は、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wを制御して、カラートナー像と白色トナー像とを印刷媒体P上に重ね合わせて形成する第1の画像形成と、カラートナー像を白色トナー像と重ね合わせずに印刷媒体P上に形成する第2の画像形成とを行う。より具体的には、制御部60は、第1の画像形成では、カラートナー像とその下地としての白色トナー像とを重ね合わせて形成し、第2の画像形成では、カラートナー像を下地としての白色トナー像と重ね合わせずに形成する。下地としての白色トナー像は、印刷媒体Pの印刷可能範囲の全体に形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。以下の説明では、第1の画像形成を「下地印刷」、第2の画像形成を「通常印刷」と称する。
【0044】
ここで、通常印刷および下地印刷について説明する。
図4は、通常印刷において印刷媒体P上に転写されたトナー層の一例を示す概略断面図である。
図4に示されるように、通常印刷では、印刷媒体P上に、ブラックトナー層TLk、イエロートナー層TLy、マゼンタトナー層TLm、およびシアントナー層TLcが形成される。典型的には、印刷媒体Pは紙媒体などの白色の媒体であり、印刷媒体P上に形成された画像は、印刷媒体Pのトナー層側すなわち印刷面側から観察される。
【0045】
図5は、下地印刷において印刷媒体P上に転写されたトナー層の一例を示す概略断面図である。
図5に示されるように、下地印刷では、印刷媒体P上に、ブラックトナー層TLk、イエロートナー層TLy、マゼンタトナー層TLm、およびシアントナー層TLcが形成され、さらにその上に白色トナー層TLwが形成される。白色トナー層TLwは、例えば印刷媒体Pの印刷可能範囲の全体に均一に形成され、下地層を構成する。典型的には、印刷媒体Pは透明フィルムなどの透明な媒体であり、印刷媒体P上に形成された画像は、印刷媒体Pのトナー層と反対側すなわち非印刷面側から観察される。白色トナー層TLwは、カラー画像の下地または白背景として形成され、光の透過を防ぎ、紙媒体と同様のカラー画像の色味を再現する役割を果たす。
【0046】
カラートナー像と白色トナー像とが重ねて形成される領域では、カラートナーと白色トナーとが混ざり合うことにより、カラートナー像の濃度が画像データに応じた所望の濃度よりも低くなるなど、画像の品位が低下する場合がある。
【0047】
例えば、
図5のようにカラートナー層の上に白色トナー層を重ねて形成する場合には、次のような現象が生じる。白色トナーは、カラートナーと比べて比重が大きい。例えば、印刷媒体P上に形成される各色のカラートナー層の単位面積あたりの重量が0.4〜0.6mg/cm
2であるのに対して、白色トナー層の単位面積あたりの重量は0.7〜1.0mg/cm
2である。そのため、白色トナー層がカラートナー層に沈み込んで混ざり合い、カラートナー像の濃度が低下する現象が発生する。
【0048】
ただし、白色トナー像とカラートナー像とが重ね合わされる領域では、上記の現象に限られず、またトナー像の上下関係によらず、白色トナーとカラートナーとの混合による画像品位の低下が生じる場合がある。例えば、トナー像の定着において、溶融したカラートナーと白色トナーとの混合が生じ、カラートナー像の濃度が低下する場合がある。
【0049】
上記のようなトナーの混ざり合いによる画像品位の低下を抑制する等の観点より、制御部60は、白色トナー像とカラートナー像とを印刷媒体P上に重ね合わせて形成する場合、カラートナー像を白色トナー像と重ね合わせずに印刷媒体P上に形成する場合に比べて、カラートナー像の形成に用いられるカラートナーの量を多くする。または、制御部60は、白色トナー像が形成される領域に形成されるカラートナー像のトナー量(または濃度)を、白色トナー像が形成されない領域に形成されるカラートナー像のトナー量(または濃度)よりも大きくする。例えば、制御部60は、カラートナー像の面積を大きくすることにより、カラートナー像のトナー量を多くする。
【0050】
具体的には、制御部60は、カラートナー像のトナー量が多くなるように、またはカラートナー像の面積が大きくなるように、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cを制御する。より具体的には、制御部60は、カラートナー像のトナー量が多くなるように、またはカラートナー像の面積が大きくなるように、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおけるカラートナー像を形成する際の画像形成条件を変更する。本実施の形態では、制御部60は、画像形成条件として、光源13から感光ドラム11に照射される光量である露光量を変更する。具体的には、制御部60は、下地印刷を行う場合、通常印刷を行う場合に比べて、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cでの光源13の露光量を多くし、潜像面積を大きくして、カラートナー像の面積を大きくする。
【0051】
以下、制御部60による露光量の制御について詳しく説明する。
制御部60は、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wにおける露光量を、それぞれK,Y,M,C,W色の画像データに基づいて制御する。具体的には、制御部60は、画像データにおける濃度が高いほど露光量を大きくする。
【0052】
各色について、制御部60は、感光ドラム11の表面に形成可能な静電潜像のN個(Nは2以上の整数)のドットで構成される単位領域ごとに、露光量を制御する。例えば、制御部60は、
図6のように、4×4のマトリクス状に配列された16個のドットで構成される単位領域ごとに露光量を制御する。1個のドットは、1個のLED13aの1回の発光により形成される。
【0053】
制御部60は、単位領域に含まれるN個のドットのうち実際に光を照射して形成するドットの個数M(0≦M≦N)と、各ドットに対応する照射光量l
i(i=1,2,…,M)とを制御することによって、当該単位領域における露光量LEを制御する。ここで、照射光量l
iは、実際に形成するM個のドットのうちi番目のドットを形成する際にLED13aから感光ドラム11に照射する光量である。制御部60は、ドットの個数Mを調整することで露光量LEを大まかに制御し、各ドットに対応する照射光量l
iを調整することで露光量LEを細かく制御する。照射光量l
iは、露光量制御の基準となる基準光量Lと、基準光量Lに対する照射光量l
iの割合を示す係数α
i(0<α
i≦1)とによって、l
i=L・α
iと表される。係数α
iは1を含む2値以上の値をとり、照射光量l
iは基準光量Lを含む2値以上の値をとる。単位領域における露光量LEは、M個のドットに対応する照射光量l
iの総和で表され、下記式(1)により表される。
LE=l
1+l
2+…+l
M
=L・α
1+L・α
2+・・・+L・α
M …(1)
【0054】
制御部60は、例えば、ドットの個数Mと、各ドットに対応する係数α
i(i=1,2,…,M)とを制御することで、露光量LEを制御する。
【0055】
上記のように単位領域における露光量LEが制御されることにより、単位領域における露光面積(または潜像面積)SEが制御される。また、各ドットに対応する照射光量l
iが制御されることにより、各ドットの面積s
iが制御される。1個のドットの面積sは、照射光量lが大きくなるほど大きくなり、照射光量lの関数s(l)で表される。露光面積SEは、下記式(2)により表される。
SE=s
1+s
2+…+s
M
=s(l
1)+s(l
2)+…+s(l
M)
=s(L・α
1)+s(L・α
2)+…+s(L・α
M) …(2)
【0056】
また、単位領域における露光量LEが制御されることにより、単位領域におけるドットの面積比率SRが制御される。面積比率SRは、単位領域中のN個すべてのドットを基準光量Lで形成したときのN個のドットの面積の総和に対する、実際に形成されるM個のドットの面積の総和(すなわち露光面積SE)の比率である。基準光量Lで形成されるドットの面積s(L)をSとした場合、面積比率SRは下記式(3)により表される。
SR={SE/(N・S)}・100(%) …(3)
【0057】
図6において、黒丸は実際に形成されたドットを表し、白丸は実際に形成されなかったドットを表す。16個のドットのうち1個のドットを基準光量Lで形成した場合における面積比率SRは6.25%である。
図6の例では、4個のドットが基準光量Lで形成されており、面積比率SRは6.25×4=25%である。照射光量を基準光量Lより小さく調整することによって、ドットの大きさ(分かり易く言えば
図6の黒丸の大きさ)を小さくすることができ、面積比率SRを細かく調整することができる。
【0058】
通常印刷では、制御部60は、基準光量Lとして光量L0を用いる。一方、下地印刷では、制御部60は、通常印刷に比べて、K,Y,M,C色に対応する基準光量Lを大きくする。具体的には、制御部60は、補正係数ΔL(>1)で光量L0を補正し、L0・ΔLを基準光量Lとして用いる。W色については、制御部60は、基準光量Lとして通常印刷時と同じ光量L0を用いる。
【0059】
上記の補正制御により、下地印刷では、通常印刷時に比べて、K,Y,M,C色における各ドットの照射光量が大きくなり(具体的にはΔL倍になり)、各ドットの面積が大きくなる。これにより、露光量LEが大きくなり、露光面積SEが大きくなる。
【0060】
制御部60は、光源13K,13Y,13M,13C,13Wの露光量をそれぞれ独立に制御する。この場合、光量L0は色ごとに異なる値であってもよく、例えば、K,Y,M,C,W色の光量L0として、それぞれ光量Lk,Ly,Lm,Lc,Lwが用いられる。
【0061】
本例では、制御部60は、LED13aの発光時間(またはオン時間)を制御することによって、照射光量l
iを制御する。具体的には、光量L0を得るために必要なLED13aの発光時間をT0とすると、通常印刷において、基準光量L(=L0)でドットを形成する場合にはLED13aを発光時間T0だけ発光させ、光量L0・α
iでドットを形成する場合には発光時間T0・α
iだけ発光させる。下地印刷においては、基準光量L(=L0・ΔL)でドットを形成する場合にはLED13aを発光時間T0・ΔLだけ発光させ、光量L0・ΔL・α
iでドットを形成する場合には発光時間T0・ΔL・α
iだけ発光させる。例えば、制御部60は、基準光量LをΔLで1.1、1.2、・・・倍する場合には、1個のLED13aの1回の発光における発光時間を1.1、1.2、・・・倍する。
【0062】
図7は、制御部60の構成の一例を示すブロック図である。以下、
図7を参照して、制御部60の具体的な構成例を説明する。
【0063】
図7において、制御部60は、光量記憶部61、光量補正係数記憶部62、画像データ入力部63、下地判定部64、印刷制御部65、および発光制御部66を有する。
【0064】
光量記憶部61は、通常印刷時におけるK,Y,M,C,W色の基準光量である光量Lk,Ly,Lm,Lc,Lwを記憶する。光量補正係数記憶部62は、下地印刷時に基準光量の補正に用いられる補正係数ΔLを記憶する。
【0065】
画像データ入力部63は、図示しない上位装置等から印刷対象の画像データの入力を受け、当該画像データを印刷制御部65に送る。画像データは、下地(または白背景)のオン/オフを示す下地設定値を含む。
【0066】
下地判定部64は、画像データ入力部63から印刷制御部65に送られた画像データが下地印刷されるべき画像データか否かを判定し、判定結果を印刷制御部65に通知する。具体的には、下地判定部64は、画像データの下地設定値がオンである場合には下地オンを通知し、下地設定値がオフである場合には下地オフを通知する。
【0067】
印刷制御部65は、画像データ入力部63からの画像データと、下地判定部64からの判定結果とに基づいて、画像形成装置100の各部を制御して、画像データに応じた画像を印刷媒体Pに印刷する。印刷制御部65は、判定結果が下地オフである場合には通常印刷を行い、下地オンである場合には下地印刷を行う。
【0068】
印刷制御において、印刷制御部65は、入力された画像データを発光制御部66に送る。このとき、印刷制御部65は、入力された画像データを発光制御用の各色の画像データに変換して送ってもよい。発光制御用の各色の画像データは、例えば、静電潜像の各ドットの階調値を示すビットマップデータである。各ドットの階調値には、例えば、実際に形成されるドットについては係数α
i(0<α
i≦1)が設定され、実際に形成されないドットについては0が設定される。
【0069】
下地オフの場合、印刷制御部65は、光量記憶部61に記憶されている光量Lk,Ly,Lm,Lc,Lwを取得して発光制御部66に送る。
【0070】
下地オンの場合、印刷制御部65は、光量記憶部61に記憶されている光量Lk,Ly,Lm,Lc,Lwと、光量補正係数記憶部62に記憶されている補正係数ΔLとを取得し、光量Lk・ΔL,Ly・ΔL,Lm・ΔL,Lc・ΔL,Lwを発光制御部66に送る。また、印刷制御部65は、予め用意された下地画像を表す下地画像データを発光制御部66に送る。下地画像データは、例えば、全ドットの階調値にα
i=1が設定されている全面ベタ画像の画像データである。
【0071】
発光制御部66は、印刷制御部65からの各色の画像データに基づいて、各色の光源13の発光を制御し、各色の感光ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
【0072】
具体的には、下地オフの場合、発光制御部66は、光量Lk,Ly,Lm,Lcを基準光量Lとして用いて、K,Y,M,C色の画像データに応じた静電潜像をそれぞれ感光ドラム11K,11Y,11M,11Cに形成する。さらに、発光制御部66は、光量Lwを基準光量Lとして、W色の画像データに応じた静電潜像を感光ドラム11Wに形成してもよい。
【0073】
下地オンの場合には、発光制御部66は、光量Lk・ΔL,Ly・ΔL,Lm・ΔL,Lc・ΔLを基準光量Lとして、K,Y,M,C色の画像データに応じた静電潜像をそれぞれ感光ドラム10K,10Y,10M,10Cに形成する。また、発光制御部66は、光量Lwを基準光量Lとして、下地画像データに応じた静電潜像を感光ドラム11Wに形成する。
【0074】
図7において、制御部60は、さらに、駆動部71、帯電電源72、現像電源73、供給電源74、転写電源75、および高圧制御部76を有する。
【0075】
駆動部71は、例えばモータであり、印刷制御部65からの指示に従い、感光ドラム11等を駆動して回転させる。帯電電源72は、帯電ローラ12に帯電電圧Vchを印加する電源である。現像電源73は、現像ローラ81に現像電圧Vdを印加する電源である。供給電源74は、供給ローラ82および現像ブレード83に供給電圧Vsを印加する電源である。転写電源75は、転写ローラ15に転写電圧Vtを印加する電源である。高圧制御部76は、印刷制御部65からの指示に従い、帯電電源72、現像電源73、供給電源74、および転写電源75を制御して、それぞれ、帯電ローラ12、現像ローラ81、供給ローラ82と現像ブレード83、および転写ローラ15に各バイアスを印加する。
【0076】
[画像形成装置の動作]
以下、画像形成装置100の印刷動作について説明する。
印刷制御部65は、画像データ入力部63から画像データの入力を受けると、次のような印刷動作が行われるように画像形成装置100の各部を制御する。
【0077】
図1を参照すると、搬送経路A上の各ローラが駆動部71によって駆動され、印刷媒体トレイ21に積載された印刷媒体Pは、ホッピングローラ22によって1枚ずつ分離して繰り出され、レジストローラ23によって先端位置が揃えられた後、搬送ローラ25によって搬送ベルト30に搬送される。印刷媒体Pは、搬送ベルト30によって搬送され、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wを順に通過する。このとき、印刷媒体P上には、K,Y,M,C,W色のトナー像がこの順番で形成される。トナー像が転写された印刷媒体Pは、搬送ベルト30により定着装置40に送られる。印刷媒体P上のトナー像は、定着装置40により加熱および加圧されて印刷媒体P上に定着する。その後、印刷媒体Pは、排出ローラ51によってスタッカ部53に排出される。
【0078】
次に、上記の印刷動作のうち、画像形成部10Kによるトナー像の形成動作について説明する。なお、画像形成部10Y,10M,10C,10Wの動作については、画像形成部10Kと同様であり、説明を省略する。
【0079】
感光ドラム11は、感光ギヤに対する駆動部71からの駆動力により回転する。この感光ドラム11の回転により、帯電ローラ12が連れ回りで回転し、現像ローラ81および供給ローラ82が感光ギヤからの駆動力により回転駆動される。帯電ローラ12には帯電電源72から帯電電圧Vchが印加され、感光ドラム11の表面はマイナスに帯電される。帯電した感光ドラム11の表面には、光源13から画像データに応じた光が照射される。感光ドラム11の表面のうち光が照射された部分の電位は、光源13から照射された露光量に応じて低下し、これにより感光ドラム11表面に静電潜像が形成される。ここでは、感光ドラム11の表面のうち、全露光された(基準光量Lが照射された)露光部分の電位は−30〜90V、露光されなかった非露光部分の電位は−400〜−550Vである。現像部14では、供給ローラ82が現像ローラ81と同方向に(カウンタで)回転することで、トナーがマイナスに摩擦帯電し、かつ供給ローラ82から現像ローラ81へとトナーが搬送される。また、現像ローラ81には現像電源73から現像電圧Vd(ここでは−100〜−300V)が印加され、供給ローラ82および現像ブレード83には供給電源74から供給電圧Vsが印加され、現像ローラ81と供給ローラ82間の電位差により、供給ローラ82から現像ローラ81にトナーが供給される。また、現像ローラ81と現像ブレード83間の電位差により、現像ローラ81上のトナー層厚が規制され、現像ブレード83のL字型の形状により、現像ローラ81上の余分なトナーが掻き落とされ、現像ローラ81上に均一なトナー層が形成される。現像ローラ81上に形成されたトナー層のトナーは、現像ローラ81と感光ドラム11間の電位差により、感光ドラム11上の静電潜像に供給され、感光ドラム11上にトナー像が形成される。このとき、トナーは、感光ドラム11の表面のうち、光源13から光が照射されて表面電位が低下した部分に選択的に付着する。搬送ベルト30により印刷媒体Pが感光ドラム11へと搬送され、感光ドラム11と印刷媒体Pとが接している間、転写ローラ15に転写電源75から転写電圧Vtが印加され、感光ドラム11上に形成されたトナー像が印刷媒体P上に転写される。印刷媒体Pへのトナー像の転写が完了すると、駆動部71による感光ドラム11の回転が停止し、各電源から各部材への電圧の印加が停止する。
【0080】
図8は、露光制御の手順を示すフローチャートである。以下、
図8を参照して、上記の印刷動作のうちの露光制御について説明する。
【0081】
ステップS11において、印刷制御部65は、画像データ入力部63から画像データの入力を受け、ステップS12に移行する。画像データは、K,Y,M,C色の画像データと、下地設定値とを含む。
【0082】
ステップS12では、印刷制御部65は、入力された画像データを下地判定部64に送り、下地判定部64から下地オンまたは下地オフを示す判定結果を受け、下地オフである場合はステップS13に移行し、下地オンである場合にはステップS15に移行する。
【0083】
ステップS13では、印刷制御部65は、光量記憶部61から光量Lk,Ly,Lm,Lc,Lwを読み込み、ステップS14に移行する。
【0084】
ステップS14では、印刷制御部65は、発光制御部66を制御して、ステップS13で得られた光量Lk,Ly,Lm,Lcを基準光量Lとして用い、K,Y,M,C色の画像データに応じた光を、それぞれ光源13K,13Y,13M,13Cから照射して感光ドラム11K,11Y,11M,11C上に静電潜像を形成する。入力された画像データにW色の画像データが含まれる場合には、印刷制御部65は、光量Lwを基準光量Lとして用い、W色の画像データに応じた光を光源13Wから照射して感光ドラム11W上に静電潜像を形成してもよい。静電潜像の形成が完了すると、処理が終了する。
【0085】
ステップS15では、印刷制御部65は、光量記憶部61から光量Lk,Ly,Lm,Lc,Lwを読み込み、光量補正係数記憶部62から補正係数ΔLを読み込み、補正光量Lk・ΔL,Ly・ΔL,Lm・ΔL,Lc・ΔLを算出し、ステップS16に移行する。
【0086】
ステップS16では、印刷制御部65は、発光制御部66を制御して、ステップS15で得られた補正光量Lk・ΔL,Ly・ΔL,Lm・ΔL,Lc・ΔLを基準光量Lとして用い、K,Y,M,C色の画像データに応じた光を、それぞれ光源13K,13Y,13M,13Cから照射して感光ドラム11K,11Y,11M,11C上に静電潜像を形成する。さらに、印刷制御部65は、発光制御部66を制御して、光量Lwを基準光量Lとして用い、下地画像データに応じた光を光源13Wから照射して感光ドラム11W上に下地画像の静電潜像を形成する。静電潜像の形成が完了すると、処理が終了する。
【0087】
[評価結果]
以下、上記の画像形成装置100を用いて行った評価の結果を示す。
本評価では、様々な条件で、ドット形成により階調表現されたシアン(C)色のハーフトーン画像を印刷し、印刷画像におけるトナードット径φを測定した。具体的には、下記の条件により、基準例1、比較例1、実施例1〜4の測定を行った。
基準例1:下地オフ、基準光量L=Lc
比較例1:下地オン、基準光量L=Lc
実施例1:下地オン、基準光量L=Lc×1.1
実施例2:下地オン、基準光量L=Lc×1.2
実施例3:下地オン、基準光量L=Lc×1.3
実施例4:下地オン、基準光量L=Lc×1.4
【0088】
図9(a)および(b)は、それぞれ下地オフの例(基準例1)におけるシアントナー像の平面図および断面図を示す。下地オフの例では、
図9(a)のように印刷媒体としての白色の紙媒体Pw上にシアントナー層TLcを形成し、
図9(b)のようにマトリクス状に配列された複数のトナードットTDcを形成した。
【0089】
図10(a)および(b)は、それぞれ下地オンの例(比較例1、実施例1〜4)におけるシアントナー像の平面図および断面図を示す。下地オンの例では、
図10(a)のように印刷媒体としての透明フィルムPt上にシアントナー層TLcを形成し、シアントナー層TLcの上に白色トナー層TLwを重ねて、10(b)のようにマトリクス状に配列された複数のトナードットTDcを形成するとともに、白色の下地TFwを形成した。
【0090】
上記各例では、それぞれ面積比率SRが10%、20%、30%、40%である階調の異なる4種類のハーフトーン画像を印刷した。
【0091】
図11(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ面積比率10%、20%、30%、40%に対応する静電潜像の単位領域のドットパターンを示す。
図6と同様に、静電潜像の単位領域は、4×4=16個のドットで構成され、そのうち1個のドットを基準光量Lで形成した場合の面積比率は6.25%である。
【0092】
面積比率10%のパターンは、
図11(a)のように、基準光量Lによる1個のドット(面積比率6.25%)と、基準光量Lより小さい照射光量による2個のドット(それぞれ面積比率1.875%)とを含む。
【0093】
面積比率20%のパターンは、
図11(b)のように、基準光量Lによる3個のドット(面積比率6.25%)と、基準光量Lより小さい照射光量による1個のドット(面積比率1.25%)とを含む。
【0094】
面積比率30%のパターンは、
図11(c)のように、基準光量Lによる4個のドット(面積比率6.25%)と、基準光量Lより小さい照射光量による2個のドット(それぞれ面積比率1.25%)とを含む。
【0095】
面積比率40%のパターンは、
図11(d)のように、基準光量Lによる6個のドット(面積比率6.25%)と、基準光量Lより小さい照射光量による1個のドット(面積比率5%)とを含む。
【0096】
上記いずれのパターンにおいても、静電潜像の複数のドットは、互いに隣接するように配置され、シアントナーで現像されることにより1個のトナードットTDcを形成する。
【0097】
上記各例において、印刷後の印刷媒体上のトナードットTDcのドット径φを、QEA社製のハンディ型画像評価システムPias−IIのドットツールで測定した。表1に、基準例1、比較例1、および実施例1〜4の、印刷条件および測定結果を示す。
【0099】
下地オン時に、下地オフ時と同程度の濃度の画像が得られることが望ましく、下地オフ時と同程度のドット径φが得られることが望ましい。そこで、基準例1の画像を基準として、比較例1および実施例1〜4の画像を評価した。具体的には、基準例1のドット径φに対して±10%以内の範囲を、下地オフとの濃淡差を感じない良好なドット径φの範囲として、下地オン時の各ドット径φを評価した。表1において、良好と判定されたドット径φには丸印が、それ以外のドット径φにはバツ印が付されている。
【0100】
基準例1と比較例1とを比べると、露光量の補正制御を行わずに下地オンで印刷した比較例1では、下地オフで印刷した基準例1に対して、ドット径が18〜20%小さくなっている。
【0101】
比較例1と実施例1〜4とを比べると、露光量の補正制御を行った実施例1〜4では、補正制御を行わなかった比較例1に対して、ドット径が大きくなっている。
【0102】
基準例1と実施例1とを比べると、補正係数ΔL=1.1で補正を行った実施例1では、基準例1に対して、ドット径が11〜13%小さくなっており、淡い色合いの画像と判定された。
【0103】
基準例1と実施例2,3とを比べると、補正係数ΔL=1.2,1.3で補正を行った実施例2,3では、基準例1に対して、ドット径が−6〜+5%の範囲に収まっており、濃淡差を感じない良好な画像と判定された。
【0104】
基準例1と実施例4とを比べると、補正係数ΔL=1.4で補正を行った実施例4では、基準例1に対して、ドット径が7〜14%大きくなっており、面積比率10%以外の条件において濃い色合いの画像と判定された。
【0105】
上記評価結果より、白色トナー像とカラートナー像とを重ね合わせて形成する場合(例えば下地印刷を行う場合)、カラートナー像を白色トナー像と重ね合わせずに形成する場合(例えば通常印刷を行う場合)に比べて、有色画像形成部における露光量を1.2〜1.3倍にすることが好ましい。例えば、露光量(具体的には基準光量)をΔL倍する補正制御を行う場合、補正係数ΔLは1.2〜1.3の範囲で設定されることが好ましい。
【0106】
[効果]
以上の通り、本実施の形態では、画像形成装置は、画像を表す第1現像剤像とその下地となる第2現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合、第1現像剤像を第2現像剤像と重ね合わせずに被画像形成体上に形成する場合に比べて、第1現像剤像の形成に用いられる第1現像剤の量を多くする。このため、画像を表す現像剤像とその下地となる現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合に、下地となる現像剤像による画像濃度の低下などの画像品位の低下を抑えることができ、良好な画像を得ることができる。また、本実施の形態では、画像形成装置は、有色の第1現像剤像と白色の第2現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合、第1現像剤像を第2現像剤像と重ね合わせずに被画像形成体上に形成する場合に比べて、第1現像剤像の形成に用いられる第1現像剤の量を多くする。このため、有色の現像剤像と白色の現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合に、白色の現像剤像による画像濃度の低下などの画像品位の低下を抑えることができ、良好な画像を得ることができる。具体的には、白色トナー像とカラートナー像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合、カラートナー像を白色トナー像と重ね合わせずに被画像形成体上に形成する場合に比べて、カラートナー像のトナー量を多くすることにより、カラートナーと白色トナーとが混ざり合っても、十分な濃度または画像データに応じた濃度を確保することができ、カラートナー像の濃度低下を抑制することができる。
【0107】
実施の形態2.
以下、実施の形態2における画像形成装置について説明する。本実施の形態2における画像形成装置は、上記実施の形態1に対し、制御部60の構成が異なり、その他の部分については同様である。以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態1と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0108】
本実施の形態では、制御部60は、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおけるカラートナー像を形成する際の画像形成条件を変更する場合、画像形成条件として、光源13の露光量を変更する代わりにまたはそれに加えて、感光ドラム11と現像ローラ81との電位差を変更する。具体的には、制御部60は、現像ローラ81に印加する現像電圧Vdを変更する。本例では、制御部60は、現像ローラ81に印加する現像電圧Vdの絶対値を大きくすることで、カラートナー像のトナー量を多くする。
【0109】
図12は、実施の形態2における制御部60の構成の一例を示すブロック図である。以下、
図12を参照して、実施の形態2における制御部60の具体的な構成例を説明する。
【0110】
図12において、制御部60は、現像電圧記憶部91、電圧補正係数記憶部92、画像データ入力部63、下地判定部64、印刷制御部65、発光制御部66、および高圧制御部76を有する。
【0111】
現像電圧記憶部91は、通常印刷時におけるK,Y,M,C,W色の現像電圧Vdである電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vwを記憶する。各色の現像電圧Vdは独立して制御され、電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vwは互いに異なる値であってもよい。
【0112】
電圧補正係数記憶部92は、下地印刷時に現像電圧Vdの補正に用いられる補正係数ΔV(>1)を記憶する。
【0113】
画像データ入力部63は、実施の形態1と同様に、入力された画像データを印刷制御部65に送る。下地判定部64は、実施の形態1と同様に、印刷制御部65に下地オン/オフの判定結果を通知する。
【0114】
印刷制御部65は、画像データ入力部63からの画像データと、下地判定部64からの判定結果とに基づいて、画像形成装置100の各部を制御して、画像データに応じた画像を印刷媒体Pに印刷する。印刷制御部65は、判定結果が下地オフである場合には通常印刷を行い、下地オンである場合には下地印刷を行う。
【0115】
印刷制御において、印刷制御部65は、実施の形態1と同様に、各色の画像データを発光制御部66に送り、下地オンの場合には、さらにW色の下地画像データを発光制御部66に送る。
【0116】
下地オフの場合、印刷制御部65は、現像電圧記憶部91に記憶されている電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vwを取得して高圧制御部76に送る。
【0117】
下地オンの場合、印刷制御部65は、現像電圧記憶部91に記憶されている電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vwと、電圧補正係数記憶部92に記憶されている補正係数ΔVとを取得し、電圧Vk・ΔV,Vy・ΔV,Vm・ΔV,Vc・ΔV,Vwを高圧制御部76に送る。
【0118】
発光制御部66は、実施の形態1と同様に、各色の画像データに基づいて、各色の光源13の発光を制御し、各色の感光ドラム11の表面に静電潜像を形成する。ただし、本実施の形態では、露光量の補正制御は行われなくてもよい。
【0119】
高圧制御部76は、印刷制御部65からの指示に従い、帯電電源72、現像電源73、供給電源74、および転写電源75を制御して、それぞれ、帯電ローラ12、現像ローラ81、供給ローラ82と現像ブレード83、および転写ローラ15に各バイアスを印加する。
【0120】
下地オフの場合、高圧制御部76は、現像電圧Vdとして現像ローラ81K,81Y,81M,81Cに、それぞれ電圧Vk,Vy,Vm,Vcを印加する。さらに、高圧制御部76は、現像ローラ81Wに現像電圧VdとしてVwを印加してもよい。
【0121】
下地オンの場合、高圧制御部76は、現像電圧Vdとして各色の現像ローラ81K,81Y,81M,81C,81Wに、それぞれ電圧Vk・ΔV,Vy・ΔV,Vm・ΔV,Vc・ΔV,Vwを印加する。
【0122】
図12において、制御部60は、さらに、駆動部71、帯電電源72、現像電源73、供給電源74、および転写電源75を有する。これらは実施の形態1と同様である。
【0123】
図13は、実施の形態2における現像電圧制御の手順を示すフローチャートである。以下、
図13を参照して、現像電圧制御について説明する。
【0124】
ステップS21において、印刷制御部65は、画像データ入力部63から画像データの入力を受け、ステップS22に移行する。画像データは、K,Y,M,C色の画像データと、下地設定値とを含む。
【0125】
ステップS22では、印刷制御部65は、入力された画像データを下地判定部64に送り、下地判定部64から下地オンまたは下地オフを示す判定結果を受け、下地オフである場合はステップS23に移行し、下地オンである場合にはステップS25に移行する。
【0126】
ステップS23では、印刷制御部65は、現像電圧記憶部91から電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vwを読み込み、ステップS24に移行する。
【0127】
ステップS24では、印刷制御部65は、高圧制御部76を制御し、ステップS23で得られた電圧Vk,Vy,Vm,Vcを現像電圧Vdとしてそれぞれ現像ローラ81K,81Y,81M,81Cに印加し、K,Y,M,C色のトナー像を形成する。入力された画像データにW色の画像データが含まれる場合には、印刷制御部65は、現像電圧Vdとして電圧Vwを現像ローラ81Wに印加して、W色のトナー像を形成してもよい。トナー像の形成が完了すると、処理が終了する。
【0128】
ステップS25では、印刷制御部65は、現像電圧記憶部91から電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vwを読み込み、電圧補正係数記憶部92から補正係数ΔVを読み込み、補正現像電圧Vk・ΔV,Vy・ΔV,Vm・ΔV,Vc・ΔVを算出し、ステップS26に移行する。
【0129】
ステップS26では、印刷制御部65は、高圧制御部76を制御して、ステップS25で得られた補正現像電圧Vk・ΔV,Vy・ΔV,Vm・ΔV,Vc・ΔVを現像電圧Vdとしてそれぞれ現像ローラ81K,81Y,81M,81Cに印加し、K,Y,M,C色のトナー像を形成する。また、印刷制御部65は、現像ローラ81Wに対して現像電圧Vdとして電圧Vwを印加し、下地層としてのW色のトナー像を形成する。トナー像の形成が完了すると、処理が終了する。
【0130】
以下、本実施の形態2における画像形成装置を用いて行った評価の結果を示す。
本評価では、様々な条件で、ドット形成により階調表現されたシアン(C)色のハーフトーン画像を印刷し、印刷画像におけるトナードット径φを測定した。具体的には、下記の条件により、基準例2、比較例2、実施例5〜9の測定を行った。
基準例2:下地オフ、現像電圧Vd=Vc
比較例2:下地オン、現像電圧Vd=Vc
実施例5:下地オン、現像電圧Vd=Vc×1.1
実施例6:下地オン、現像電圧Vd=Vc×1.2
実施例7:下地オン、現像電圧Vd=Vc×1.3
実施例8:下地オン、現像電圧Vd=Vc×1.4
実施例9:下地オン、現像電圧Vd=Vc×1.5
【0131】
実施の形態1と同様に、下地オフの例では、
図9(a)のように紙媒体Pw上にシアントナー層TLcを形成し、
図9(b)のように複数のトナードットTDcを形成した。また、下地オンの例では、
図10(a)のように透明フィルムPt上にシアントナー層TLcを形成し、その上に白色トナー層TLwを重ねて、10(b)のように複数のトナードットTDcを形成するとともに白色の下地TFwを形成した。
【0132】
また、実施の形態1と同様に、各例では、それぞれ面積比率SRが10%、20%、30%、40%である階調の異なる4種類のハーフトーン画像を印刷し、印刷後の印刷媒体上のトナードットTDcのドット径φを測定した。表2に、基準例2、比較例2、および実施例5〜9の、印刷条件および測定結果を示す。
【0134】
基準例2の画像を基準として、比較例2および実施例5〜9の画像を評価した。具体的には、基準例2のドット径φに対して±10%以内の範囲を、下地オフとの濃淡差を感じない良好なドット径φの範囲として、下地オン時の各ドット径φを評価した。表2において、良好と判定されたドット径φには丸印が、それ以外のドット径φにはバツ印が付されている。
【0135】
基準例2と比較例2とを比べると、現像電圧の補正制御を行わずに下地オンで印刷した比較例2では、下地オフで印刷した基準例2に対して、ドット径が18〜20%小さくなっている。
【0136】
比較例2と実施例5〜9とを比べると、現像電圧の補正制御を行った実施例5〜9では、補正制御を行わなかった比較例2に対して、ドット径が大きくなっている。
【0137】
基準例2と実施例5とを比べると、補正係数ΔV=1.1で補正を行った実施例5では、基準例2に対して、ドット径が14〜15%小さくなっており、淡い色合いの画像と判定された。
【0138】
基準例2と実施例6〜8とを比べると、補正係数ΔV=1.2〜1.4で補正を行った実施例6〜8では、基準例2に対して、ドット径が−9〜+5%の範囲に収まっており、濃淡差を感じない良好な画像と判定された。
【0139】
基準例2と実施例9とを比べると、補正係数ΔV=1.5で補正を行った実施例9では、基準例2に対して、ドット径が9〜13%大きくなっており、面積比率10%以外の条件において濃い色合いの画像と判定された。
【0140】
上記評価結果より、白色トナー像とカラートナー像とを重ね合わせて形成する場合(例えば下地印刷を行う場合)、カラートナー像を白色トナー像と重ね合わせずに形成する場合(例えば通常印刷を行う場合)に比べて、有色画像形成部における現像電圧を1.2〜1.4倍にすることが好ましい。例えば、現像電圧をΔV倍する補正制御を行う場合、補正係数ΔVは1.2〜1.4の範囲で設定されることが好ましい。
【0141】
以上の通り、本実施の形態では、画像形成装置は、白色トナー像とカラートナー像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合、カラートナー像を白色トナー像と重ね合わせずに被画像形成体上に形成する場合に比べて、カラートナー像の形成に用いられるカラートナーの量が多くなるように、現像剤担持体に印加する電圧を変更する。このため、本実施の形態によれば、白色トナー像とカラートナー像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合に良好な画像を得ることができる。
【0142】
具体的には、現像電圧の設定を変更することにより、感光ドラム11表面におけるトナーの付着面積(例えばドット径)およびトナーの層厚を変更し、感光ドラム11上のトナー付着量を変更することができる。具体的には、現像電圧の絶対値を高くすることにより、感光ドラム11表面の露光された部分と現像ローラ81との電位差が大きくなり、トナーの付着面積および層厚が大きくなり、トナーの付着量が大きくなる。この理由は次の通りである。露光後の感光ドラムの表面電位の絶対値は、露光中心から離れるほど高くなる。このため、露光中心から離れるほどトナーが付着しにくくなる。現像電圧の絶対値を高くすると、露光中心から離れた位置であってもトナーが付着しやすくなり、トナーのドット径が大きくなる。また、現像電圧の絶対値を高くすると、感光ドラム11の露光部分と現像ローラ81との電位差が拡大することにより、トナーの層厚が大きくなる。
【0143】
実施の形態3.
図14は、実施の形態3における画像形成装置300の構成を示す概略断面図である。以下、
図14を参照して、実施の形態3における画像形成装置300について説明する。以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態1と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0144】
図14において、画像形成装置300は、第1画像形成部としての画像形成部10K,10Y,10M,10Cと、第2画像形成部としての画像形成部10Tとを備える。画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、実施の形態1と同様に、第1現像剤としての白色以外の有色の現像剤を用いて、印刷媒体P上に、画像を表す有色の現像剤像を第1現像剤像として形成する。画像形成部10Tは、第2現像剤としての透明の現像剤を用いて、印刷媒体P上に、画像を表す現像剤像の被覆となる透明の現像剤像を第2現像剤像として形成する。具体的には、画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、それぞれ、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)色のトナーを用いて各色のカラートナー像を形成する。画像形成部10Tは、クリア(T)色のトナーである透明トナー(またはクリアトナー)を用いて、カラートナー像の被覆となる透明トナー像を形成する。以下の説明では、適宜、画像形成部10K,10Y,10M,10Cを「有色画像形成部」、画像形成部10Tを「透明画像形成部」と称する。
図14の例では、印刷媒体Pの搬送経路Aに沿って、媒体搬送方向上流側から、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cがこの順で配置され、その下流側(または最下流位置)に透明画像形成部10Tが配置されている。したがって、画像形成時には、K,Y,M,C,T色のトナー像がこの順番で印刷媒体P上に形成される。
画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Tは、実施の形態1と同様、
図2に示される構成を有する。以下の説明では、必要に応じて、画像形成部10Tの部材の符号に対し、色を示すアルファベットTを付す。
【0145】
本実施の形態では、カラートナー像上に透明トナー像が重ねて形成されることにより、印刷物の光沢(グロス)が調整される。具体的には、カラートナーよりも高融点の透明トナーによりカラートナー像上に透明トナー像が重ねて形成されることにより、印刷物のグロスが抑えられる。
【0146】
カラートナーとしては、実施の形態1と同様のものが用いられる。透明トナーは、結着樹脂およびワックスが混合されて凝集してできるトナー母粒子と、トナー母粒子に添加される外添剤(例えば、帯電制御剤、酸化防止剤等)とにより構成される。透明トナーの結着樹脂としては、グロスを抑えるために、カラートナーの結着樹脂よりも分子量の高いものが用いられる。例えば、カラートナーの結着樹脂としてはポリエステル系樹脂が用いられ、透明トナーの結着樹脂としてはスチレンアクリル共重合樹脂が用いられる。また、ここでは、透明トナーは無色透明であり、高い透明度を得るために、透明トナーには染料および顔料などの着色剤は添加されない。
【0147】
以下、本実施の形態の制御部60について説明する。
制御部60は、カラートナー像と透明トナー像とを重ね合わせて形成する場合と、カラートナー像を透明トナー像と重ね合わせずに形成する場合とがある。具体的には、制御部60は、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Tを制御して、カラートナー像と透明トナー像とを印刷媒体P上に重ね合わせて形成する第3の画像形成と、カラートナー像を透明トナー像と重ね合わせずに印刷媒体P上に形成する第4の画像形成とを行う。より具体的には、制御部60は、第3の画像形成では、カラートナー像とその被覆としての透明トナー像とを重ね合わせて形成し、第4の画像形成では、カラートナー像を被覆としての透明トナー像と重ね合わせずに形成する。被覆としての透明トナー像は、印刷媒体Pの印刷可能範囲の全体に形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。以下の説明では、第3の画像形成を「被覆印刷」、第4の画像形成を「通常印刷」と称する。
【0148】
ここで、通常印刷および被覆印刷について説明する。
通常印刷では、実施の形態1と同様に、
図4に示されるように、印刷媒体P上に、ブラックトナー層TLk、イエロートナー層TLy、マゼンタトナー層TLm、およびシアントナー層TLcが形成される。
【0149】
被覆印刷では、
図15に示されるように、印刷媒体P上に、ブラックトナー層TLk、イエロートナー層TLy、マゼンタトナー層TLm、およびシアントナー層TLcが形成され、さらにその上に透明トナー層TLtが形成される。透明トナー層TLtは、例えば印刷媒体Pの印刷可能範囲の全体に均一に形成され、被覆層を構成する。典型的には、印刷媒体Pは紙媒体などの白色の媒体であり、印刷媒体P上に形成された画像は、印刷媒体Pのトナー層側すなわち印刷面側から観察される。
【0150】
一例では、印刷媒体P上に形成される各色のカラートナー層の単位面積あたりの重量は0.4〜0.6mg/cm
2であり、透明トナー層の単位面積あたりの重量は0.2〜0.4mg/cm
2である。
【0151】
カラートナー像と透明トナー像とが重ねて形成される領域では、透明トナー像の影響により、カラートナー像の濃度が画像データに応じた所望の濃度よりも低くなるなど、画像の品位が低下する場合がある。具体的には、印刷媒体P上のカラートナー層および透明トナー層は、定着装置40により加熱および加圧されて印刷媒体P上に定着する。カラートナーは融点が低く、定着後のカラートナー層は均一で平坦な表面を有し、グロスが高い。一方、透明トナーは融点が高く、定着後の透明トナー層は凹凸のある粗い表面を有し、グロスが低い。よって、透明トナーを重ねて印字することで、グロスを抑えた印刷物が得られる。しかし、カラートナー層の上に透明トナー層を重ねて形成する場合、透明トナー層の表面の起伏により透明トナー層で光が乱反射することで、透明トナー層を形成しない場合と比較してカラー画像の濃度が低下してしまう。このため、透明トナー像を重ねた場合と、透明トナー像を重ねていない場合とで、カラー画像の濃度に差が生じてしまう。
【0152】
上記のような画像品位の低下を抑制する等の観点より、制御部60は、カラートナー像と透明トナー像とを印刷媒体P上に重ね合わせて形成する場合、カラートナー像を透明トナー像と重ね合わせずに印刷媒体P上に形成する場合に比べて、カラートナー像の形成に用いられるカラートナーの量を多くする。または、制御部60は、透明トナー像が形成される領域に形成されるカラートナー像のトナー量(または濃度)を、透明トナー像が形成されない領域に形成されるカラートナー像のトナー量(または濃度)よりも大きくする。例えば、制御部60は、カラートナー像の面積を大きくすることにより、カラートナー像のトナー量を多くする。
【0153】
具体的には、制御部60は、カラートナー像のトナー量が多くなるように、またはカラートナー像の面積が大きくなるように、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cを制御する。より具体的には、制御部60は、カラートナー像のトナー量が多くなるように、またはカラートナー像の面積が大きくなるように、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cにおけるカラートナー像を形成する際の画像形成条件を変更する。本実施の形態では、制御部60は、画像形成条件として、感光ドラム11と現像ローラ81との電位差を変更する。具体的には、制御部60は、現像ローラ81に印加する現像電圧Vdを変更する。本例では、制御部60は、現像ローラ81に印加する現像電圧Vdの絶対値を大きくすることで、カラートナー像のトナー量を多くする。
【0154】
図16は、実施の形態3における制御部60の構成の一例を示すブロック図である。以下、
図16を参照して、実施の形態3における制御部60の具体的な構成例を説明する。
【0155】
図16において、制御部60は、現像電圧記憶部391、電圧補正係数記憶部392、画像データ入力部63、被覆判定部364、印刷制御部65、発光制御部66、および高圧制御部76を有する。
【0156】
現像電圧記憶部391は、通常印刷時におけるK,Y,M,C,T色の現像電圧Vdである電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vtを記憶する。各色の現像電圧Vdは独立して制御され、電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vtは互いに異なる値であってもよい。
【0157】
電圧補正係数記憶部392は、被覆印刷時に現像電圧Vdの補正に用いられる補正係数ΔV(>1)を記憶する。
【0158】
画像データ入力部63は、実施の形態1と同様に、入力された画像データを印刷制御部65に送る。画像データは、被覆のオン/オフを示す被覆設定値を含む。
【0159】
被覆判定部364は、画像データ入力部63から印刷制御部65に送られた画像データが被覆印刷されるべき画像データか否かを判定し、判定結果を印刷制御部65に通知する。具体的には、被覆判定部364は、画像データの被覆設定値がオンである場合には被覆オンを通知し、被覆設定値がオフである場合には被覆オフを通知する。
【0160】
印刷制御部65は、画像データ入力部63からの画像データと、被覆判定部364からの判定結果とに基づいて、画像形成装置100の各部を制御して、画像データに応じた画像を印刷媒体Pに印刷する。印刷制御部65は、判定結果が被覆オフである場合には通常印刷を行い、被覆オンである場合には被覆印刷を行う。
【0161】
印刷制御において、印刷制御部65は、実施の形態1と同様に、各色の画像データを発光制御部66に送る。また、印刷制御部65は、被覆オンの場合には、予め用意された被覆画像を表す被覆画像データを発光制御部66に送る。被覆画像データは、例えば、全ドットの階調値にα
i=1が設定されている全面ベタ画像の画像データである。
【0162】
被覆オフの場合、印刷制御部65は、現像電圧記憶部391に記憶されている電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vtを取得して高圧制御部76に送る。
【0163】
被覆オンの場合、印刷制御部65は、現像電圧記憶部391に記憶されている電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vtと、電圧補正係数記憶部392に記憶されている補正係数ΔVとを取得し、電圧Vk・ΔV,Vy・ΔV,Vm・ΔV,Vc・ΔV,Vtを高圧制御部76に送る。
【0164】
発光制御部66は、実施の形態1と同様に、各色の画像データに基づいて、各色の光源13の発光を制御し、各色の感光ドラム11の表面に静電潜像を形成する。ただし、本実施の形態では、露光量の補正制御は行われなくてもよい。
【0165】
高圧制御部76は、印刷制御部65からの指示に従い、帯電電源72、現像電源73、供給電源74、および転写電源75を制御して、それぞれ、帯電ローラ12、現像ローラ81、供給ローラ82と現像ブレード83、および転写ローラ15に各バイアスを印加する。
【0166】
被覆オフの場合、高圧制御部76は、現像電圧Vdとして現像ローラ81K,81Y,81M,81Cに、それぞれ電圧Vk,Vy,Vm,Vcを印加する。
【0167】
被覆オンの場合、高圧制御部76は、現像電圧Vdとして各色の現像ローラ81K,81Y,81M,81C,81Tに、それぞれ電圧Vk・ΔV,Vy・ΔV,Vm・ΔV,Vc・ΔV,Vtを印加する。
【0168】
図16において、制御部60は、さらに、駆動部71、帯電電源72、現像電源73、供給電源74、および転写電源75を有する。これらは実施の形態1と同様である。
【0169】
図17は、実施の形態3における現像電圧制御の手順を示すフローチャートである。以下、
図17を参照して、現像電圧制御について説明する。
【0170】
ステップS31において、印刷制御部65は、画像データ入力部63から画像データの入力を受け、ステップS32に移行する。画像データは、K,Y,M,C色の画像データと、被覆設定値とを含む。
【0171】
ステップS32では、印刷制御部65は、入力された画像データを被覆判定部364に送り、被覆判定部364から被覆オンまたは被覆オフを示す判定結果を受け、被覆オフである場合はステップS33に移行し、被覆オンである場合にはステップS35に移行する。
【0172】
ステップS33では、印刷制御部65は、現像電圧記憶部391から電圧Vk,Vy,Vm,Vcを読み込み、ステップS34に移行する。
【0173】
ステップS34では、印刷制御部65は、高圧制御部76を制御し、ステップS33で得られた電圧Vk,Vy,Vm,Vcを現像電圧Vdとしてそれぞれ現像ローラ81K,81Y,81M,81Cに印加し、K,Y,M,C色のトナー像を形成する。トナー像の形成が完了すると、処理が終了する。
【0174】
ステップS35では、印刷制御部65は、現像電圧記憶部391から電圧Vk,Vy,Vm,Vc,Vtを読み込み、電圧補正係数記憶部392から補正係数ΔVを読み込み、補正現像電圧Vk・ΔV,Vy・ΔV,Vm・ΔV,Vc・ΔVを算出し、ステップS36に移行する。
【0175】
ステップS36では、印刷制御部65は、高圧制御部76を制御して、ステップS35で得られた補正現像電圧Vk・ΔV,Vy・ΔV,Vm・ΔV,Vc・ΔVを現像電圧Vdとしてそれぞれ現像ローラ81K,81Y,81M,81Cに印加し、K,Y,M,C色のトナー像を形成する。また、印刷制御部65は、現像ローラ81Tに対して現像電圧Vdとして電圧Vtを印加し、被覆層としてのT色のトナー像を形成する。トナー像の形成が完了すると、処理が終了する。
【0176】
以下、上記の画像形成装置300を用いて行った評価の結果を示す。
本評価では、様々な条件で、シアン(C)色の画像を印刷し、印刷画像の濃度および光沢度を測定した。具体的には、下記の条件により、基準例3、比較例3、実施例10〜14の測定を行った。
基準例3:被覆オフ、現像電圧Vd=Vc
比較例3:被覆オン、現像電圧Vd=Vc
実施例10:被覆オン、現像電圧Vd=Vc×1.1
実施例11:被覆オン、現像電圧Vd=Vc×1.2
実施例12:被覆オン、現像電圧Vd=Vc×1.3
実施例13:被覆オン、現像電圧Vd=Vc×1.4
実施例14:被覆オン、現像電圧Vd=Vc×1.5
【0177】
上記各例では、
図18に示される印刷パターンを、印刷媒体としての沖データ社製のA4サイズのエクセレントホワイト(坪量80g/m
2)に、A4縦送りで印刷速度30ppm(pages per minute)にて、定着温度170℃で印刷した。
図18の印刷パターンはA4縦サイズであり、その四隅および中央の合計5箇所には、5cm×5cmの矩形のブロックB1〜B5が配置されている。各ブロックは、100%duty(すなわち面積比率100%)のベタ画像である。そして、印刷後の印刷媒体上の5箇所のブロックB1〜B5の濃度を測定し、5箇所の濃度の平均値を印刷画像の濃度として求めた。濃度の測定には、X−Rite社製の分光濃度計X−Rite528を用いた。また、印刷後の印刷媒体上の5箇所のブロックB1〜B5の光沢度を測定し、5箇所の光沢度の平均値を印刷画像の光沢度として求めた。光沢度の測定には、村上色彩技術研究所製のデジタル精密光沢計GM−26Dを用いた。表3に、基準例3、比較例3、および実施例10〜14の、印刷条件および測定結果を示す。
【0179】
基準例3の画像を基準として、比較例3および実施例10〜14の画像を評価した。具体的には、基準例3の印刷画像の濃度に対して±0.10以内の範囲を、被覆オフとの濃淡差を感じない良好な濃度の範囲として、被覆オン時の各印刷画像の濃度を評価した。表3の「濃度判定」の欄において、良好と判定された濃度には丸印が、不良と判定された濃度にはバツ印が付されている。
【0180】
基準例3と比較例3および実施例10〜14とを比べると、被覆オンで印刷した比較例3および実施例10〜14では、被覆オフで印刷した基準例3に対して、光沢度が21〜23だけ低下している。すなわち、透明トナーによる被覆によって印刷画像のグロスが抑えられている。
【0181】
基準例3と比較例3とを比べると、現像電圧の補正制御を行わずに被覆オンで印刷した比較例3では、被覆オフで印刷した基準例3に対して、濃度が0.16小さくなっており、濃度は不良と判定された。
【0182】
比較例3と実施例10〜14とを比べると、現像電圧の補正制御を行った実施例10〜14では、補正制御を行わなかった比較例3に対して、濃度が大きくなっている。
【0183】
基準例3と実施例10とを比べると、補正係数ΔV=1.1で補正を行った実施例10では、基準例3に対して、濃度が0.11小さくなっており、濃度は不良と判定された。
【0184】
基準例3と実施例11〜13とを比べると、補正係数ΔV=1.2〜1.4で補正を行った実施例11〜13では、基準例3に対して、濃度が±0.10の範囲に収まっており、濃度は良好と判定された。
【0185】
基準例3と実施例14とを比べると、補正係数ΔV=1.5で補正を行った実施例14では、基準例3に対して、濃度が0.11大きくなっており、濃度は不良と判定された。
【0186】
上記評価結果より、カラートナー像と透明トナー像とを重ね合わせて形成する場合(例えば被覆印刷を行う場合)、カラートナー像を透明トナー像と重ね合わせずに形成する場合(例えば通常印刷を行う場合)に比べて、有色画像形成部における現像電圧を1.2〜1.4倍にすることが好ましい。例えば、現像電圧をΔV倍する補正制御を行う場合、補正係数ΔVは1.2〜1.4の範囲で設定されることが好ましい。
【0187】
以上の通り、本実施の形態では、画像形成装置は、画像を表す第1現像剤像とその被覆となる第2現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合、第1現像剤像を第2現像剤像と重ね合わせずに被画像形成体上に形成する場合に比べて、第1現像剤像の形成に用いられる第1現像剤の量を多くする。このため、画像を表す現像剤像とその被覆となる現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合に、被覆となる現像剤像による画像濃度の低下などの画像品位の低下を抑えることができ、良好な画像を得ることができる。また、本実施の形態では、画像形成装置は、有色の第1現像剤像と透明の第2現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合、第1現像剤像を第2現像剤像と重ね合わせずに被画像形成体上に形成する場合に比べて、第1現像剤像の形成に用いられる第1現像剤の量を多くする。このため、有色の現像剤像と透明の現像剤像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合に、透明の現像剤像による画像濃度の低下などの画像品位の低下を抑えることができ、良好な画像を得ることができる。具体的には、カラートナー像と透明トナー像とを被画像形成体上に重ね合わせて形成する場合、カラートナー像を透明トナー像と重ね合わせずに被画像形成体上に形成する場合に比べて、カラートナー像のトナー量を多くすることにより、カラートナー像の濃度を濃くすることで、透明トナー像を重ねることによる画像濃度の低下を抑えることができる。よって、透明トナー像を重ねる場合と重ねない場合とで濃度差の少ない画像が得られる。
【0188】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様で実施することができる。
【0189】
例えば、上記の説明では、1個のドットを形成する際の照射光量l
iを可変的に制御する構成を例示したが、照射光量l
iは基準光量Lに固定されてもよい。すなわち、LED13aの発光制御は、多値制御に限られず、発光/非発光の2値制御であってもよい。この場合、面積比率SR=(M/N)×100(%)となる。
【0190】
また、上記実施の形態1,2の評価では、露光量や現像電圧の変更によってドット径が大きくなることを示したが、これは一例であり、例えば細線ではライン幅が広くなる。
【0191】
また、上記実施の形態3では、画像形成条件として現像電圧を変更する構成を例示したが、現像電圧を変更する代わりにまたはそれに加えて、実施の形態1と同様に画像形成条件として露光量を変更してもよい。
【0192】
また、上記の説明では、画像形成条件として露光量または現像電圧を変更する構成を例示したが、トナー量を変化させることができれば、他の画像形成条件を変更する構成であってもよい。例えば、画像形成条件として帯電電圧を変更することにより、感光ドラム11の表面電位を変化させて、トナー量を変化させてもよい。
【0193】
また、上記の説明では、媒体搬送方向における有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cの下流側(または最下流位置)に白色画像形成部10Wを配置する構成を例示したが、白色画像形成部10Wは、有色画像形成部10K,10Y,10M,10Cの上流側(または最上流位置)に配置されてもよい。この構成では、印刷媒体上に白色トナー像が形成され、その上にカラートナー像が形成される。この場合、例えば、白色以外の印刷媒体を用いる場合に、印刷媒体の表面の色を白色トナーで隠蔽することができる。
【0194】
また、上記の説明では、画像を表す第1現像剤像として有色の現像剤像を形成する構成を例示したが、第1現像剤として白色の現像剤を用い、画像を表す第1現像剤像として白色の現像剤像を形成してもよい。例えば、透明フィルム上に画像を表す白色トナー像を形成し、その上にカラートナー像を下地として形成してもよい。また、白色以外の有色の用紙上に画像を表す白色トナー像を形成し、その上に透明トナー像を被覆として形成してもよい。
【0195】
また、上記の説明では、搬送ベルト30(または印刷媒体P)の鉛直方向上方に画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wを配置する構成を例示したが、搬送ベルト30と画像形成部との位置関係はこれに限定されず、例えば、
図19に示されるように、搬送ベルト30と画像形成部とは水平方向に対向するように配置されてもよい。
図19では、
図1と同一または対応する要素については同一の符号が付されている。
図19では、画像形成部10K,10Y,10M,10C,10Wは鉛直方向に並べて配置され、印刷媒体Pは搬送ベルト30によって鉛直方向上方に搬送される。
図19において、画像形成部10Wの代わりに画像形成部10Tが配置されてもよい。
【0196】
また、上記の説明では、直接転写方式の画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、本発明は中間転写方式の画像形成装置に適用されてもよい。
図20は、中間転写方式の画像形成装置の構成を示す概略図である。
図20では、
図1と同一または対応する要素については同一の符号が付されている。
図20では、画像形成部10W,10K,10Y,10M,10Cによって第1の被画像形成体としての搬送ベルト(または転写ベルト)30の表面上に各色のトナー像が順に1次転写される。搬送ベルト30上に1次転写された各色のトナー像は、2次転写装置201によって、第2の被画像形成体としての印刷媒体P上に2次転写される。印刷媒体P上に2次転写されたトナー像は、定着装置40によって定着された後、スタッカ部53に排出される。
図20において、画像形成部10Wの代わりに画像形成部10Tが配置されてもよい。
【0197】
また、上記の説明では、複数色分の感光ドラムを配列したタンデム方式の画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではなく、本発明は、1つの感光ドラムを用いて複数色のトナー像を形成するワンドラム方式の画像形成装置に適用されてもよい。
【0198】
また、画像形成装置は、カラープリンタに限られず、ファクシミリ装置やコピー機などであってもよい。