(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894981
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】複数基準の選択を有するトポロジサーバを用いて通信アーキテクチャにわたって分散されたノードのネットワークへのアクセス
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20160317BHJP
H04L 12/733 20130101ALI20160317BHJP
【FI】
G06F13/00 520C
H04L12/733
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-517475(P2013-517475)
(86)(22)【出願日】2011年7月5日
(65)【公表番号】特表2013-538383(P2013-538383A)
(43)【公表日】2013年10月10日
(86)【国際出願番号】FR2011051582
(87)【国際公開番号】WO2012004513
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2013年3月6日
【審判番号】不服2015-3234(P2015-3234/J1)
【審判請求日】2015年2月20日
(31)【優先権主張番号】1055568
(32)【優先日】2010年7月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランドリアマスイー,クレール−サビーヌ
【合議体】
【審判長】
和田 志郎
【審判官】
千葉 輝久
【審判官】
山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−514283(JP,A)
【文献】
特表2005−524357(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/62549(WO,A1)
【文献】
大溝 拓也,ISP主導のアプリケーションネットワーク制御を実現するオーバレイルータの設計,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.110 No.39,日本,社団法人電子情報通信学会,2010年 5月13日,第110巻,第13頁−第18頁
【文献】
東條 琢也,電子情報通信学会2010年総合大会講演論文集 通信2,日本,社団法人電子情報通信学会,2010年 3月 2日,第216頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00
H04L12/733
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信アーキテクチャ(A)上に展開されたノード(N1、N2、N3...N50)のネットワークにわたって分散されたアプリケーションに、前記通信アーキテクチャに接続されたアプリケーションクライアント(C)によってアクセスするためのシステム(CANTO、M)であって、ALTO標準に準拠して前記通信アーキテクチャ内の前記ネットワークのトポロジのビューを有するサーバ(S)と、前記クライアントによる要求が行われたとき、前記トポロジのビューに基づいて、前記ネットワークのノードのセットについての情報を提供するための手段とを備え、前記サーバが、ノードの前記セットと関係する複数の特性についての情報を一度に提供することができる、システム(CANTO、M)。
【請求項2】
前記情報に基づいてノードの前記セットにおいてアクセスのためのノードの順序を特定するように動作する調停デバイス(M)をさらに備える、請求項1に記載のアクセスシステム。
【請求項3】
前記調停デバイスが、前記特性に関連付けられた重みに基づいて前記順序を特定するように動作する、請求項2に記載のアクセスシステム。
【請求項4】
前記重みが、前記アプリケーションクライアントによって与えられる、請求項3に記載のアクセスシステム。
【請求項5】
前記アプリケーションクライアントも実装する通信端末装置T上に実装されるように動作する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアクセスシステム。
【請求項6】
前記情報が、スカラー値のベクトルの形態である、請求項1から5のいずれか一項に記載のアクセスシステム。
【請求項7】
前記順序付けが、理想的なベクトルまでの距離に基づいて実行される、請求項6に記載のアクセスシステム。
【請求項8】
通信アーキテクチャ(A)上に展開されたノード(Ni、N2、N3...N50)のネットワークにわたって分散されたアプリケーションに、前記通信アーキテクチャに接続されたアプリケーションクライアント(C)によってアクセスするための方法であって、ALTO標準に準拠して前記通信アーキテクチャ内の前記ネットワークのトポロジのビューを有するサーバ(S)により、前記トポロジのビューに基づいて、前記ネットワークのノードのセットについての、ノードの前記セットと関係する複数の特性に関係する情報を、前記アプリケーションクライアントに一度に送信することを備える、方法。
【請求項9】
データ処理デバイス上で実行されるといつでも、請求項8に記載の方法のステップを実行するための手段を備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信アーキテクチャにわたって展開されたノードのネットワーク全体にわたって分散されたアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
これらのアプリケーションは、「ピアツーピア」(またはp2p)と呼ばれるアプリケーションを備えるだけでなく、インターネットを介してネットワーク化された複数のコンピュータから成るとともに、ユーザにコンテンツまたはデータ(一般に、大きいマルチメディアコンテンツ)を提供するために協働するCDN(コンテンツ配信ネットワーク)のネットワークも備える。
【0003】
このタイプのネットワークは:
− コンテンツがレプリケートされるようにCDNに「注入」されるオリジンサーバと、
− コンテンツがレプリケートされる、インターネット「エッジ」に(永続的か否かにかかわらず)地理的に分散されたストレージノードと、
− コンテンツが、セマンティック的な意味でユーザ要求が「最も近い」ノードによって提供されることを可能にするセマンティックルーティング機構(「名前ベースのルーティング」)とから成る。
【0004】
また、これらの分散されたアプリケーションは、潜在的に共有される、分散型であり、異種であり、遠隔であり、さらに独立したコンピュータリソースのセットから成る仮想インフラストラクチャである、より一般的にグリッドとして知られる、「コンピューティンググリッド」も備える。
【0005】
また、他のタイプのアプリケーションが、本発明の範囲内に含まれることも可能である。これらの分散されたアプリケーションは、アプリケーションノードのコンテンツまたはセマンティクス特性に基づいて、ただし、基礎をなす通信アーキテクチャのトポロジ上の特性には配慮せずに、複数のアプリケーションノードをつなぎ合わせてネットワーク(「オーバーレイ」)にすることと同一の特性を共有する。
【0006】
論理構造とハードウェアアーキテクチャの間の、この独立関係は、利点を有するが、アプリケーションノードのネットワークの展開が、通信アーキテクチャのトポロジを考慮に入れないため、少なくとも1つの大きな欠点も有する。
【0007】
むしろ、2つのノードが、純粋にアプリケーションおよびセマンティクス基準に基づくノードのネットワーク内の隣接ノードであり得るが、複数の遠隔の通信ネットワークに展開されることがあり得る。1つのノードが1つの大陸に配置されており、さらにこのノードの隣接ノードが別の大陸に配置されている状況は、稀ではない。
【0008】
結果は、終端間送信時間の増大、およびノードのネットワークの全体的なパフォーマンスの低下だけでなく、多くの遠隔接続の使用による、インターネットネットワーク全体の輻輳ももたらされる。
【0009】
別の問題は、このことにより、事業者は料金請求されないトラフィックが事業者のネットワークを通ることを許すことが必要となることである。このことは、一部の事業者が、事業者のネットワークのサイズを大きくすること、またはそのトラフィックに割り当てられるサービス品質を下げることを要求する。
【0010】
この状況を改善する提案が行われてきた。これらの提案のうちの1つが、IETF(インターネットエンジニアリングタスクフォース)内の作業部会によって研究されている「ALTO」(アプリケーション層トラフィック最適化)サービスである。
【0011】
この提案の原理が、
図1に示され、さらに通信アーキテクチャAの部分的な見通しを有するサーバSに依拠する。このALTOサーバSは、ALTOクライアントC
ALTOが、この部分的な見通しを考慮に入れるノードのネットワークNpのノードN1、N2、N3...N50のセットについての情報を獲得することを可能にする。この見通しは、この見通しが、通信アーキテクチャの1つの領域だけしかカバーせず、さらにこの見通しが、この見通しが表すインターネットネットワークの見通しの視点である所与の独立したシステムの事業者中心であるという意味で、部分的である。
【0012】
文書、draft−ietf−alto−protocol−04.txtのセクション2.2において説明されるとおり、領域は、独立したシステム、ISP(インターネットサービスプロバイダ)によって管理されるネットワーク、またはそのようなネットワークのサブネットワークまたはセットであり得る。
【0013】
ALTOサーバSは、ALTOクライアントに様々なサービスを提供することが可能である。サーバSは、特に、ネットワークのサーバSによる見通しのマップを提供すること、またはアプリケーションクライアントCが接続されたALTOクライアントによって識別子がサーバSに送信されたあるセットのノードの順序を提供することが可能である。
【0014】
サーバSによって提供される情報は、ネットワークのトポロジを考慮に入れ、したがって、クライアントCがその知識を利用してノードのネットワーク(特にピアツーピアネットワーク)をセットアップすることを可能にすることができる。このため、送信/配信機構のための最適なネットワークが、設置され得る。
【0015】
しかし、文書、draft−ietf−alto−protocol−04.txtによって現在、規定されている、この機構は、一度に単一の特性と関係する情報を特定することだけしか可能にしない。セクション5.1.1によれば、この特性は、地理的距離、ホップの数、または一般的なルーティングコードであることが可能である。
【0016】
ALTOサーバに対するクライアントの要求の中で、クライアントは、或る特性(「費用タイプ」として知られている)を指定しなければならず、さらにサーバは、その特性についての情報で応答する。
【0017】
しかし、単一の特性に依拠するのではなく、アプリケーションノードのセットが複数の特性から選択されることを可能にすることが有益であり得る。また、特性のより大きい多様性を考慮に入れて、その結果、多数の組合せおよび選択基準を許すことも有益であり得る。
【0018】
このことは、現行では、考慮に入れられるべき特性と同じ数の要求をALTOサーバに送ることによってしか可能でない。その場合、クライアントは、受信された情報を、ソリューションを構築するために組み合わせることが可能である。それでも、そのような手順は、最適ではない。このことは、そのような手順が、ALTOクライアントとALTOサーバの間で多数のメッセージを生成するためである。このトラフィックは、事業者にとって料金請求可能ではなく、さらに通信アーキテクチャのリソースを輻輳させることに寄与する可能性がある。
【0019】
さらに、ALTO問題を正式にまとめるIETFのRFC5693が、セクション5.1、「Information Provided by an ALTO Service」において、頻繁に変化する情報は、頻繁で、費用の高い更新を要求し、さもなければ、しばしば、陳腐であるため、ALTOサービスによって提供される情報は、変化がまれであることを特徴とすると述べている。このことは、終端間時間または利用可能な帯域幅などの、所与の時点におけるネットワークの状態を反映するメトリックについて当てはまる。しかし、良好に機能することが、これらのメトリックの統計的な値を知ることに依拠する、成功している多くのアプリケーションが、現在、存在する。サービス事業者およびネットワーク事業者とともにアプリケーションノードも、トラフィックをよりうまく管理するためにこれらの統計をますます計算し、格納するようになっている。したがって、これらの統計がしばしば既に存在しており、ALTOサーバ更新の頻度に適合する時間範囲をカバーすることを考えると、これらの統計が、ALTOによって提供されるサービスに組み込まれ得ないことは、残念である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】draft−ietf−alto−protocol−04.txt
【非特許文献2】IETF、RFC5693
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、この状況を改善する現実の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そのようにするために、本発明は、通信アーキテクチャ上に展開されたノードのネットワークにわたって分散されたアプリケーションに、該通信アーキテクチャに接続されたアプリケーションクライアントによってアクセスするためのシステムを開示する。このアクセスシステムは、通信アーキテクチャ内のネットワークのトポロジのビューを有するサーバと、アプリケーションクライアントによる要求が行われたとき、このトポロジのビューに基づいて、そのネットワークのノードのセットについての情報を提供するための手段とを備える。
【0023】
サーバは、ノードのそのセットと関係する複数の特性についての情報を提供することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、アクセスシステムは、その情報に基づいて、ノードのセットの中のノードの順序を特定するように動作する調停デバイスをさらに備える。
【0025】
調停デバイスは、前述の特性に関連付けられた重みに基づいて、その順序を特定するように動作することが可能である。
【0026】
これらの重みは、前述のアプリケーションクライアントによって与えられることが可能である。
【0027】
その情報は、スカラー値のベクトルの形態であり得る。
【0028】
順序付けは、理想的なベクトルまでの距離に基づいて実行され得る。
【0029】
本発明のアクセスシステムは、アプリケーションクライアントも実装する通信端末装置上に実装され得る。
【0030】
本発明のさらなる目的は、通信アーキテクチャ上に展開されたノードのネットワークにわたって分散されたアプリケーションに、該通信アーキテクチャに接続されたアプリケーションクライアントによってアクセスするための方法であって、通信アーキテクチャ内のネットワークのトポロジのビューを有するサーバによって、そのトポロジのビューに基づいて、そのネットワークのノードのセットについての、ノードのそのセットと関係する複数の特性に関係する情報をアプリケーションクライアントに送信することを備える方法である。
【0031】
本発明のさらなる目的は、データ処理デバイス上で実施されたとき、この方法を実行するように動作する手段を備えるソフトウェアアプリケーションである。
【0032】
本発明、本発明の利点、および本発明の特性は、添付の図面とともに、後段の実施形態の説明においてより明確となろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】既に言及された、ALTOプロトコルを実装する通信アーキテクチャを示す図である。
【
図2】本発明によるアクセスシステムを実装する通信アーキテクチャを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図2に示される図は、概略の機能図である。この図は、本発明の原理をより説明しやすくするために意図的に簡略化されている。
【0035】
この図は、クライアントCが接続された通信アーキテクチャAを表す。このクライアントCは、ノードのネットワークNpのノードN1、N2、N3...N50にわたって分散されたアプリケーションを使用することを所望するアプリケーションクライアントである。
【0036】
前述したとおり、これらのノードは、特に、ネットワークのトポロジに関して、異なる特性を有する。このため、これらのノードは、帯域幅、アップタイムなどの点で異なる特性をそれぞれが有する異なるアクセス手段(イーサネット(登録商標)、Wifi、3G、LTEなど)によって通信アーキテクチャAに接続された機器上に配置され得るが、これらのノードは、異なる事業者のネットワーク内に、さらに非常に異なる地理的区域に配置されることも可能である。
【0037】
アプリケーションクライアントCは、通信端末装置T上に配置され得る。アプリケーションクライアントは、モバイル電話機、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末、またはインターネットなどの通信アーキテクチャ上に配置されたアプリケーションにユーザが接続することを可能にする他の任意のデバイスであり得る。それらのアプリケーションは、ネットワーク化されたゲームアプリケーション、ファイル共有アプリケーション、特にビデオに関するマルチメディアフローアクセスアプリケーション、共有されるコンピューティングアプリケーションなどであり得る。
【0038】
それ自体知られている仕方で、アプリケーションクライアントCは、ネットワークNpのノードのリストを認識することが可能である。例えば、そのネットワークへのアクセスポイントを提供する集中サーバを使用することなどの、そのようにする様々な技術が存在する。この集中サーバは、例えば、「ピアツーピア」ネットワークNpのコンテキスト内の「トラッカ」である。完全な分散モードにおいて、ピアノードは、ピア交換(PEX)技術によって、または検索エンジンによって識別され得る。
【0039】
次に、アプリケーションクライアントCが、そのリストを、サービス要求の形態でALTOクライアントCALTOに送信することが可能である。このALTOクライアントは、
図2に示されるとおり、通信端末装置T内に並置され得る。そのような事例において、別々であってもよい2つの機能モジュール(インターフェースを介して相互運用される異なる2つのソフトウェア製品)、または単一のソフトウェアモジュールに組み立てられた技術手段が存在する。
【0040】
また、このALTOクライアントは、通信アーキテクチャA内に、例えば、前述したネットワークNpのノードを識別する集中サーバ(トラッカなど)内に配置されることも可能である。
【0041】
ALTOクライアントは、アプリケーションクライアントCとALTOサーバの間のインターフェースを確実にするように構成された機能エンティティである。ALTOクライアントは、IETFによって現在、指定されているALTOプロトコルに準拠して、サーバとの通信を可能にするソフトウェア手段を実装する。ALTOクライアントは、ALTOクライアントが接続された通信アーキテクチャA内でいずれのALTOサーバが利用可能であるか、ならびにそれらのALTOサーバが提供するサービスを特定するための手段をさらに備えることが可能である。
【0042】
次に、ALTOクライアントC
ALTOが、ALTOサーバSにサービス要求を送信する。このサービス要求は、アプリケーションクライアントCによって特定されたノードのリストと、サービスの識別子とを備える。このサービスは、前述した文書、draft−ietf−alto−protocol−04.txtのセクション3.2において定義されたサービスを備え得るが、標準化されたサービスであるか、独自のサービスであるかにかかわらず、他のサービスも明らかに備え得る。規格化されつつあるALTOプロトコルによって現在、考慮に入れられているサービスは、「マップサービス」、「マップフィルタリングサービス」、「エンドポイントプロパティサービス」、および「エンドポイントコストサービス」である。
【0043】
さらに、この要求は、特性のセットを含み得る。これらの特性は、いずれの特性を選択するかは、アプリケーションに依存するので、アプリケーションクライアントCによって提供され得るが、ALTOクライアントまたは第三者機能モジュールが、他のデータに基づいて、それらの特性を決定すること、またはそのような決定に寄与することが可能であることも予見され得る。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、クライアントCが、調停デバイスMを介してALTOクライアントにこの要求を送信する。
【0045】
アプリケーションクライアントCは、あるセットのノードの識別子をALTOクライアントCANTOに送信する。
【0046】
また、アプリケーションクライアントCは、調停デバイスMに要求を送信することも行う。
【0047】
この要求は、以下を含む:
− クライアントCが順序および/またはコストを知ることを所望するノードの数、
− 複数の特性、
− およびそれらの特性に関連付けられた潜在的な重み。
【0048】
また、特性、重み、および所望されるノードの数の間の関連付けを備える複数のグループをこの要求の中に入れることも可能である。
【0049】
この要求が受信されたとき、調停デバイスMは、ALTOクライアントC
ALTOに第2の要求を送信する。
【0050】
この第2の要求は、複数の特性を含む。
【0051】
次に、ALTOクライアントが、ALTOサーバに、以下を備えるALTO仕様に準拠する要求を送信する
− ALTOクライアントが、応答において特性のセットに関するベクトルを必要とすることを示すパラメータ、
− 複数の特性、および
− あるセットのノードの識別子。
【0052】
また、この要求は、戻されるパラメータ値が順序値ではなく、スカラー値であることを指定するパラメータを備える必要もあり得る。
【0053】
ALTOサーバは、ALTOサーバが情報を受信したノードのセットに関して受信される複数の特性についての情報を決定するために、ALTOサーバが有するトポロジのビューを使用する。ALTOサーバは、ALTOクライアントC
ALTOにそれらのパラメータを含むベクトルを送り返す。ALTOサーバの応答は、概略で以下のフォーマット:
N1、V1C1、V1C2、V1C3、V1C4、
N2、V2C1、V2C2、V2C3、V2C4、
N5、V5C1、V5C2、V5C3、V5C4、
を有することが可能であり、このフォーマットにおいて、Niは、ノードxの識別子を示し、さらにViCjは、特性jのノードiに関する値を表す。
【0054】
これらの特性Cjは、通信アーキテクチャA内のネットワークNpのトポロジからもたらされる。これらの特性Cjは、機器間の接続についての特性(例えば、IPホップの数、一般的な値として、または無線キロメートル数としての各IPホップのコスト)と、アプリケーションノード自体についての特性(ALTOサービスによって割り当てられたID、接続のタイプ、利用可能なメモリリソースもしくはCPU時間リソース等)とを備える。
【0055】
各IPホップのコストは、ALTOサーバSが有するトポロジのビューの一部を形成することが可能な様々な基準:帯域幅、送信時間、ジッタ、IP機器の輻輳などを考慮に入れることが可能である。
【0056】
このデータは、ALTOサーバS内で周期的に測定され、更新されることが可能である。このデータは、ネットワーク管理ツールによって提供され得る。RFC5693に適合するデータオプションは、以下のとおりであり得る:
− ネットワークの高い動的状態メトリックについての統計、
− 各メトリックに関する、そのメトリックによるノード品質の指標、例えば、スカラー指標、
− 場合により、各情報(統計または指示)に関する信頼性指標、
− それらの値に関して適用される時間範囲、例えば、時間数、
− 場合により、各メトリックに関する、所与の時間範囲と、後述する統計または指標の値とを備えるセット。
【0057】
しかし、これらのプロセスは、本発明自体の範囲から外れており、さらに説明することはしない。
【0058】
ALTOサーバSからの応答は、現在、規格化されつつあるALTOプロトコルに準拠してALTOクライアントC
ALTOに送り返されることが可能である。この応答は、調停デバイスMに再送される。
【0059】
そのデバイスは、アプリケーションクライアントCによって与えられる重みに基づいて、最良の特性ベクトルを求める様々な最適化技術を実装することが可能である。
【0060】
特性のそれぞれを個別にではなく、特性ベクトルを最適化することを求めることが有益であり得る。発見される解は、より安定しており、物理的観点からより理に適っている。パレート最適点、つまり、少なくとも1つの成分が、他のいずれのベクトルにおけるその成分によっても超えられることがないベクトルが得られることが可能である。
【0061】
調停デバイスが、ALTOサーバSによって送り返されたこの情報に基づいて、ノードの順序付を実行することが可能である。この順序は、セットの中の各ノードに関連付けられたベクトルと理想的なベクトルの間の距離に基づくことが可能である。
【0062】
理想的なベクトルは、各成分が、抽出された効率的な(つまり、パレート最適の)解の中で見られる最良の値であるベクトルであり得る。
【0063】
次に、調停デバイスMが、これらの値をアプリケーションクライアントに戻すことが可能である。アプリケーションクライアントが、初期要求の中で、アプリケーションクライアントが接続されることを所望するノードの数を送信した場合、その数のノードだけが戻される。
【0064】
応答は、場合により、或る値に関連付けられた、このように特定されたノード識別子のリストから成ることが可能である。この値は、ALTOサーバSによって通信された、関連する特性ベクトルであることが可能であり、または、そのベクトルと理想的なベクトルの間の距離の順序表現であり得る、より統合された値であることが可能である。
【0065】
値タイプの選択は、アプリケーションクライアントCからの要求の中で調停デバイスMに送信されるパラメータによって決定され得る。
【0066】
アプリケーションクライアントが、選択されたノードとの通信を、それ自体知られている仕方で確立することが可能である。しかし、それらのノードは、アプリケーションによって特定された特性に応じて最適に選択されている。さらに、これらの目的を達するのに、ALTOサーバに単一の要求が送られており、アプリケーションクライアント、ALTOクライアント、および調停デバイスの間のさらなるトラフィックは、非常に限られており、さらに通信端末装置自体の内部でローカルであり、したがって、通信アーキテクチャAに全くコストがかからずに行われ得るため、さらなるトラフィックは、増加していない。