特許第5895110号(P5895110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5895110
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】光学材料用重合性組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/38 20060101AFI20160317BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20160317BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20160317BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   C08G18/38 Z
   C08G18/32 B
   G02B1/04
   G02C7/02
【請求項の数】5
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-557679(P2015-557679)
(86)(22)【出願日】2015年7月7日
(86)【国際出願番号】JP2015069529
【審査請求日】2015年11月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-140776(P2014-140776)
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】河戸 伸雄
【審査官】 久保田 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−505429(JP,A)
【文献】 特表2014−508207(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/188176(WO,A1)
【文献】 特開2013−076076(JP,A)
【文献】 特開2012−131871(JP,A)
【文献】 特表2008−540817(JP,A)
【文献】 特開平03−199226(JP,A)
【文献】 特表2009−513782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
C08L 1/00−101/14
G02B 1/04
G02C 7/02
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2級アミノ基を二つ以上有するアミンと、(B)イソシアナト基を二つ以上有するイソシアネートと、を反応させてなるプレポリマーと、
(C)メルカプト基を三つ以上有するチオールと、を含んでなり、
イソシアネート(B)のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)のアミノ基のモル数aの比(a/b)が0.10〜0.60の範囲であり、
アミン(A)が、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N'−ジ−iso−プロピル−m−キシリレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−m−キシリレンジアミン、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−sec−ブチル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、およびN,N'−ジ−sec−ブチル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選ばれる1種以上の化合物であり、
イソシアネート(B)が、m−キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートから選ばれる1種以上の化合物であり、
チオール(C)が、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)から選ばれる1種以上の化合物である、光学材料用重合性組成物。
【請求項2】
請求項に記載の光学材料用重合性組成物を重合硬化した成形体。
【請求項3】
請求項に記載の成形体からなる光学材料。
【請求項4】
請求項に記載の成形体からなるプラスチックレンズ。
【請求項5】
アミン(A)とイソシアネート(B)とを反応させてプレポリマーを得る工程(i)と、前記プレポリマーにチオール(C)を添加混合する工程(ii)と、を含み、
イソシアネート(B)のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)のアミノ基のモル数aの比(a/b)が0.10〜0.60の範囲であり、
アミン(A)が、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N'−ジ−iso−プロピル−m−キシリレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−m−キシリレンジアミン、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−sec−ブチル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、およびN,N'−ジ−sec−ブチル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選ばれる1種以上の化合物であり、
イソシアネート(B)が、m−キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートから選ばれる1種以上の化合物であり、
チオール(C)が、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)から選ばれる1種以上の化合物である、光学材料用重合性組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオウレタンウレア成形体が得られる光学材料用重合性組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ、軽量で割れ難く、染色が可能なため、眼鏡やサングラス用途に普及してきており、これまでに様々な樹脂が開発され使用されている。その中でも代表的な例として、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートやジアリルイソフタレートから得られるアリル樹脂や、(メタ)アクリレートから得られる(メタ)アクリル樹脂等が挙げられ、より高屈折率な樹脂として、イソシアネートとチオールから得られるチオウレタン樹脂が挙げられる(特許文献1)。
【0003】
近年、生活スタイルの変化から、サングラスを着用しながら、スポーツなど体を動かすことを楽しむ人が増えてきている。また、安全意識の高まりから、子供用の眼鏡に対して割れ難さを求める声が多くなっている。このような状況から、より軽量であり、且つ耐衝撃性が良好な基材の要求が大きくなってきている。これら要求の高まりを受け、耐衝撃性良好な基材として、ウレタンウレア成形体が眼鏡レンズ用途に開発されている(特許文献2〜6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−110956号公報
【特許文献2】国際公開1996/023827号パンフレット
【特許文献3】国際公開2001/036507号パンフレット
【特許文献4】国際公開2001/036508号パンフレット
【特許文献5】国際公開2007/097798号パンフレット
【特許文献6】国際公開2009/088456号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チオウレタン成形体は、高屈折率なプラスチックレンズを得ることができる。しかしながら、屈折率が高いほど比重が増す傾向があり、高屈折率な成形体ほど軽量化への効果は小さくなる場合があった。
一方、ウレタンウレア成形体は、チオウレタン成形体よりも低比重のため軽量な材料であり、且つ耐衝撃性が良好なプラスチックレンズを得ることができる。しかしながら、ウレタンウレア成形体からなるプラスチックレンズの耐光性が乏しく、長期間使用すると黄色く着色する場合があった。また組成物を調合してから硬化に至るまでの時間(以下、ポットライフとする)が短いために、注型モールドへの注入中に重合斑が発生したり、また急激に重合が進行する場合があった。その結果、得られるレンズに脈理が多く発生する場合があった。
【0006】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明者らは、低比重で、耐衝撃性および耐光性に優れ、且つ重合性組成物のポットライフが長いため、光学歪み(脈理)の発生が抑えられた、高屈折率なチオウレタンウレア成形体を提供することができる、重合性組成物を開発すべく鋭意検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の、アミン、イソシアネート及びチオールを含み、さらにアミンおよびイソシアネートを所定範囲の比率で用いることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、予期せぬ効果として、チオールとイソシアネートとからなるチオウレタン成形体よりも、さらにアミンを加えた、チオールとイソシアネートとアミンとからなるチオウレタンウレア成形体は、耐熱性が高くなることも見出した。成形体の耐熱性が高いほど、染色時の変形や染色斑が抑えられ、またコーティング時の変形が抑えられることから、2次加工性に優れている。そのため、所望の製品を歩留まりよく製造することができ、産業上大きく貢献することができる。
【0008】
本発明は以下に示すことができる。
[1](A)2級アミノ基を二つ以上有するアミンと、
(B)イソシアナト基を二つ以上有するイソシアネートと、
(C)メルカプト基を三つ以上有するチオールと、を含んでなり、
イソシアネート(B)のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)のアミノ基のモル数aの比(a/b)が0.10〜0.60の範囲である、光学材料用重合性組成物。
[2] アミン(A)が、2級脂肪族アミンおよび2級脂環族アミンから選ばれる1種以上の化合物を含む、[1]に記載の光学材料用重合性組成物。
[3] アミン(A)は、式:−NHRで表される2級アミノ基を二つ以上有し、二つ以上のRは、各々同一でも異なっていてもよく、iso−プロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、および1,3−ジメチルブチル基から選択される、[1]または[2]に記載の光学材料用重合性組成物。
[4] アミン(A)の分子量が600以下である、[1]から[3]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[5] アミン(A)が、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N'−ジ−iso−プロピル−m−キシリレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−m−キシリレンジアミン、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−sec−ブチル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、およびN,N'−ジ−sec−ブチル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選ばれる1種以上の化合物を含む、[1]から[4]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[6] イソシアネート(B)が、m−キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートから選ばれる1種以上の化合物を含む、[1]から[5]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[7] チオール(C)が、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)から選ばれる1種以上の化合物を含む、[1]から[6]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[8] アミン(A)とイソシアネート(B)とを反応させて得られたプレポリマーと、チオール(C)とを含む、[1]から[7]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[9] [1]から[8]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を重合硬化して得られた成形体。
[10] [9]に記載の成形体からなる光学材料。
[11] [9]に記載の成形体からなるプラスチックレンズ。
[12] アミン(A)とイソシアネート(B)とを反応させてプレポリマーを得る工程(i)と、前記プレポリマーにチオール(C)を添加混合する工程(ii)と、を含み、
イソシアネート(B)のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)のアミノ基のモル数aの比(a/b)が0.10〜0.60の範囲である、光学材料用重合性組成物の製造方法。
[13] アミン(A)が、2級脂肪族アミンおよび2級脂環族アミンから選ばれる1種以上の化合物を含む、[12]に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
[14] アミン(A)は、式:−NHRで表される2級アミノ基を二つ以上有する化合物を含み、二つ以上のRは、各々同一でも異なっていてもよく、iso−プロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、および1,3−ジメチルブチル基から選択される、[12]または[13]に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
[15] アミン(A)の分子量が600以下である、[12]から[14]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
[16] アミン(A)が、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N'−ジ−iso−プロピル−m−キシリレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−m−キシリレンジアミン、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−sec−ブチル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、およびN,N'−ジ−sec−ブチル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選ばれる1種以上の化合物を含む、[12]から[15]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学材料用重合性組成物によれば、低比重で、耐熱性、耐衝撃性および耐光性に優れ、且つ重合性組成物のポットライフが長いため光学歪み(脈理)の発生が抑制された、高屈折率なチオウレタンウレア成形体を得ることができる。このようなチオウレタンウレア成形体は、高い透明性が要求される各種光学材料、特に眼鏡レンズにおいて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の光学材料用重合性組成物について、具体例を用いて説明する。
本発明の光学材料用重合性組成物は、(A)2級アミノ基を二つ以上有するアミン(以下、単にアミン(A))と、(B)イソシアナト基を二つ以上有するイソシアネート(以下、単にイソシアネート(B))と、(C)メルカプト基を三つ以上有するチオール(以下、単にチオール(C))を含有する。
【0011】
[アミン(A)]
アミン(A)は、2級アミノ基を二つ以上有するアミンである。
アミン(A)は、2級脂肪族アミンおよび2級脂環族アミンから選ばれる1種以上の化合物を含むことができる。
【0012】
2級脂肪族アミンとしては、N,N'−ジメチルエチレンジアミン、N,N'−ジ−iso−プロピル−エチレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N'−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N'−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N'−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N'−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N'−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N'−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N'−ジ−iso−プロピル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N'−ジ−sec−ブチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、N,N'−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N'−ジ−iso−プロピル−m−キシリレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−m−キシリレンジアミン等が挙げられる。2級脂肪族アミンは、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0013】
2級脂環族アミンとしては、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−イソホロンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、N,N'−ジ−iso−プロピル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−4,4'−メチレン−ビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−sec−ブチル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−sec−ブチル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。2級脂環族アミンは、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0014】
アミン(A)は、式:−NHRで表される2級アミノ基を二つ以上有する化合物を含むことができる。式中、二つ以上のRは、各々同一でも異なっていてもよく、iso−プロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、および1,3−ジメチルブチル基から選択することができる。
アミン(A)としては、分子量600以下、好ましくは400以下のものを用いることができる。これにより、ポットライフに優れ、光学材料用重合性組成物を調製後、モールド内に注型するまでのハンドリング性を確保することができる。
【0015】
そのようなアミン(A)としては、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N'−ジ−iso−プロピル−m−キシリレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−m−キシリレンジアミン、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(iso−プロピル−2−アミン)、N,N'−(シクロヘキシル−1,4−ジイルビス(メチレン))ビス(sec−プロピル−2−アミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−sec−ブチル−2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N,N'−ジ−iso−プロピル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、およびN,N'−ジ−sec−ブチル−2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンから選択される少なくとも一種であることが好ましく、
N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、およびN,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミンから選択される少なくとも一種であることがより好ましく、
N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、およびN,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)から選択される少なくとも一種であることが特に好ましい。
【0016】
[イソシアネート(B)]
イソシアネート(B)は、イソシアナト基を二つ以上有するイソシアネートであり、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート、複素環イソシアネート等が挙げられ、これらを組み合わせることもできる。
【0017】
脂肪族イソシアネートとしては、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、1,5−ペンタンジイソシアネートのアロファネート変性体、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体等が挙げられる。脂肪族イソシアネートは、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0018】
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等が挙げられる。脂環族イソシアネートは、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0019】
芳香族イソシアネートとしては、ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートは、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0020】
複素環イソシアネートとしては、2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン等が挙げられる。複素環イソシアネートは、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0021】
これら例示化合物のうち、m−キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、1,5−ペンタンジイソシアネートのアロファネート変性体、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種であることが好ましく、
m−キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種であることがより好ましく、
m−キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種であることが特に好ましく、
m−キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、および4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)から選択される少なくとも一種であることが最も好ましい。
【0022】
[チオール(C)]
チオール(C)は、メルカプト基を三つ以上有するチオールであり、脂肪族チオール、芳香族チオール等が挙げられ、これらを組み合わせることもできる。
【0023】
脂肪族チオールとしては、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールジ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセロールトリス(2−メルカプトアセテート)、グリセロールトリス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。脂肪族チオールは、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0024】
芳香族チオールとしては、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン等が挙げられる。芳香族チオールは、これらから選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0025】
これら例示化合物のうち、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)から選択される少なくとも一種であることが好ましく、
5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
【0026】
[その他の成分]
本発明の光学材料用重合性組成物は、目的に応じて、重合触媒、内部離型剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、染料、樹脂改質剤等の添加剤を含むことができる。
重合触媒は、ルイス酸、アミン、有機酸、アミン有機酸塩等を用いることができる。ルイス酸、アミン、アミン有機酸塩が好ましく、ジメチル錫クロライド、ジブチル錫クロライド、ジブチル錫ラウレートがより好ましい。添加量は、重合性組成物100重量部に対して、0.005重量部〜0.5重量部が好ましく、0.005重量部〜0.3重量部がより好ましい。
【0027】
内部離型剤は、酸性リン酸エステルを用いることができる。リン酸モノエステル、リン酸ジエステルを挙げることができ、それぞれ単独または2種類以上混合して使用することができる。三井化学社製のMR用内部離型剤、STEPAN社製のZelecUN、城北化学工業社製のJPシリーズ、東邦化学工業社製のフォスファノールシリーズ、大八化学工業社製のAP、DPシリーズ等が好ましく、三井化学社製のMR用内部離型剤、STEPAN社製のZelecUNがより好ましい。添加量は、重合性組成物100重量部に対して、0.05重量部〜1.0重量部が好ましく、0.06重量部〜0.5重量部がより好ましい。
【0028】
紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物が好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物がより好ましい。添加量は、重合性組成物100重量部に対して、0.05重量部〜2.5重量部が好ましく、0.05重量部〜2.0重量部がより好ましい。
【0029】
樹脂改質剤として、本発明の効果を損なわない限り、二官能チオール、アルコールを含んでもよい。
二官能チオールとは、2つのメルカプト基を有する化合物であり、二官能脂肪族チオール、二官能芳香族チオール等が挙げられ、これらを組み合わせることもできる。
【0030】
二官能脂肪族チオールとしては、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコール(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコール(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
【0031】
二官能芳香族チオールとしては、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,2'−ジメルカプトビフェニル、4,4'−ジメルカプトビフェニル等が挙げられる。
アルコールとしては、水酸基を2つ以上有するアルコール、メルカプト基を有するアルコール等が挙げられ、これらを組み合わせることもできる。
水酸基を2つ以上有するアルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、グリセロールのエチレンオキサイド付加体、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加体、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加体、グリセロールのプロピレンオキサイド付加体、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加体、ペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加体、カプロラクトン変性グリセロール、カプロラクトン変性トリメチロールプロパン、カプロラクトン変性ペンタエリスリトール等が挙げられる。
メルカプト基を有するアルコールとしては、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリン−1,3−ジ(3−メルカプトプロピオネート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトール−トリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール−モノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール−ビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール−トリス(チオグリコレート)、リンゴ酸ビス(2−メルカプトアセテート)、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール等が挙げられる。
【0032】
樹脂改質剤には、エピスルフィドは含まない。
エピスルフィドは、アミン(A)と反応性が高すぎるため、不均一に硬化して得られる樹脂に脈理が発生したり、また樹脂の透明性を損なう場合がある。
【0033】
本発明の光学材料用重合性組成物において、上記効果の観点からアミン(A)、イソシアネート(B)およびチオール(C)として、例示された化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
本発明の光学材料用重合性組成物において、イソシアネート(B)のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)のアミノ基のモル数aの比(a/b)は、0.10〜0.60であり、0.10〜0.55が好ましく、0.10〜0.50がより好ましく、0.15〜0.50が特に好ましく、0.15〜0.30が最も好ましい。
【0034】
アミン(A)、イソシアネート(B)およびチオール(C)を組み合わせ、さらにこのモル数の比を満たすことにより、低比重で、耐熱性、耐衝撃性および耐光性に優れ、且つ重合性組成物のポットライフが長いため光学歪み(脈理)の発生が抑制された、高屈折率なチオウレタンウレア成形体、つまり、これらの特性のバランスに優れたチオウレタンウレア成形体をより好適に得ることができる。本発明の光学材料用重合性組成物は、上記のような本発明の効果を発現することができ、眼鏡レンズとして好適な樹脂を得ることができる。
【0035】
さらに、本発明の効果の観点から、イソシアネート(B)中のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)中のアミノ基のモル数a及びチオール(C)中のメルカプト基のモル数cの合計モル数(a+c)の比((a+c)/b)は、0.70〜1.30、好ましくは0.70〜1.20、さらに好ましくは0.90〜1.10である。
なお、これらのモル比(a/b、(a+c)/b)は、適宜選択して組み合わせることができる。
【0036】
<重合性組成物の調製方法>
本発明の光学材料用重合性組成物の調製方法は、2級アミノ基を二つ以上有するアミン(A)とイソシアナト基を二つ以上有するイソシアネート(B)とを反応させてプレポリマーを得る工程(i)と、前記プレポリマーにチオール(C)を添加混合する工程(ii)を含む。以下、各工程について説明する。
【0037】
[工程(i)]
工程(i)においては、イソシアネート(B)に、所定量のアミン(A)を一括装入または分割装入して、これらを反応させる。イソシアネート(B)のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)のアミノ基のモル数aの比(a/b)が0.10〜0.60であり、0.10〜0.55が好ましく、0.10〜0.50がより好ましく、0.15〜0.50が特に好ましく、0.15〜0.30が最も好ましい。
【0038】
アミン(A)とイソシアネート(B)とチオール(C)とを一括混合すると、反応熱が大きくなり、ポットライフが短くなる。そのため、注型までの作業性が低下するとともに、得られる樹脂成形体に脈理が発生する場合がある。さらに、成分が均一に溶解する前に重合が進行するため、透明性が損なわれた樹脂成形体が得られる場合がある。本発明のように、アミン(A)とイソシアネート(B)とを反応させてプレポリマーを得た後に、このプレポリマーにチオール(C)を添加混合して得られた重合性組成物によれば、透明性に優れ、脈理が抑制された樹脂成形体を好適に得ることができる。
【0039】
なお、アミンに1級アミノ基を二つ以上有するアミンを使用する場合、2級アミノ基を二つ以上有するアミン(A)と比較して反応性が高いため、イソシアネート(B)とのプレポリマーの際に、急激な発熱が認められるとともに、1級アミノ基は2つのイソシアナト基と反応するため架橋することで得られるプレポリマーが高粘調になり、作業性を低下させる。さらに、使用するイソシアネート(B)の種類によっては白色の不溶成分が発生して、透明樹脂用途には不適な場合がある。
これに対し、本願発明の光学材料用重合性組成物の製造方法によれば、2級アミノ基を二つ以上有するアミン(A)とイソシアナト基を二つ以上有するイソシアネート(B)とを反応させてプレポリマーを得ていることから、急激な発熱や、粘度の上昇が認められないことから作業性に優れ、さらに白色の不溶成分の発生が抑制され、透明性に優れた樹脂成形体を得ることができる。
アミン(A)とイソシアネート(B)との反応は添加剤の存在下で行ってもよい。反応温度は、使用する化合物や添加剤の種類や使用量及び生成するプレポリマーの性状により異なるため、一概に限定されるものではなく、操作性、安全性、便宜性等を考慮して、適宜選ばれる。
【0040】
[工程(ii)]
工程(ii)においては、工程(i)で得られたプレポリマーに、さらにチオール(C)を添加混合し、重合性組成物を得る。混合温度は、使用する化合物により異なるため、一概に限定されるものではなく、操作性、安全性、便宜性等を考慮して、適宜選ばれるが、25℃もしくはそれ以下が好ましい。使用する化合物の溶解性に応じて加熱してもよい。加熱温度はその化合物の安定性、安全性を考慮して決定される。
【0041】
工程(i)においてイソシアネート(B)とチオール(C)でプレポリマーを得て、続く工程(ii)において工程(i)で得られたプレポリマーにアミン(A)を添加混合し、重合性組成物を得る場合、工程(i)で得られたプレポリマーにはイソシアナト残基が残っているため、アミン(A)との反応熱が大きくなり、ポットライフが短くなる。そのため、注型までの作業性が著しく低下するとともに、得られる樹脂成形体に脈理が発生する場合がある。
これに対して、本願発明の光学材料用重合性組成物の製造方法によれば、工程iにおいて上記範囲のモル比a/bの範囲にてアミン(A)とイソシアネート(B)とを反応させてプレポリマーを得ており、アミン(A)のアミノ基がほとんど残っていないため、上記のような問題は発生しない。
【0042】
本発明のチオウレタンウレア成形体の製造方法は、特に限定されないが、好ましい製造方法として注型重合が挙げられる。ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド内に重合性組成物を注入する。得られるプラスチックレンズに要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい。
【0043】
本発明のチオウレタンウレア成形体を製造するための重合条件については、使用する化合物の種類、触媒の種類と添加量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため、一概に限定されるものではないが、0〜140℃の温度で1〜50時間かけて行われる。場合によっては、10〜140℃の温度範囲で保持または徐々に昇温して、1〜48時間で硬化させることが好ましい。離型後、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。処理温度は通常50〜150℃の範囲で行われるが、90〜140℃で行うことが好ましく、100〜130℃で行うことがより好ましい。
【0044】
<成形体および用途>
本発明のチオウレタンウレア成形体は、本発明の光学材料用重合性組成物から得られ、注型重合時のモールドを変えることにより種々の形状として得ることができる。本発明のチオウレタンウレア成形体は、高い透明性を備え、プラスチックレンズ、カメラレンズ、発光ダイオード(LED)、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、発光ダイオード等の光学用樹脂としての各種用途に使用することが可能である。特に、プラスチックレンズ、カメラレンズ、発光ダイオード等の光学材料、光学素子として好適である。
【0045】
本発明のチオウレタンウレア成形体を用いたプラスチックレンズは必要に応じて、片面又は両面にコーティング層を施して用いてもよい。コーティング層としては、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用してもよい。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
【0046】
これらのコーティング層はそれぞれ、紫外線からレンズや目を守る目的で紫外線吸収剤、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上する目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、さらにフォトクロミック染料やフォトクロミック顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
【0047】
プライマー層は通常、後述するハードコート層と光学レンズとの間に形成される。プライマー層は、その上に形成するハードコート層とレンズとの密着性を向上させることを目的とするコーティング層であり、場合により耐衝撃性を向上させることも可能である。プライマー層には得られた光学レンズに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は組成物の粘度を調整する目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
【0048】
プライマー組成物は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成させることができる。塗布法を用いる場合、レンズへスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布された後、固化させることによりプライマー層が形成される。乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じてレンズの表面は、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
【0049】
ハードコート層は、一般的には硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,InおよびTiの元素群から選ばれる元素の酸化物微粒子の1種以上および/またはこれら元素群から選ばれる2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子の1種以上を含むハードコート組成物が使用される。
【0050】
ハードコート組成物には前記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物にはレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
【0051】
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。干渉縞の発生を抑制するため、ハードコート層の屈折率は、レンズとの屈折率の差が±0.1の範囲にあるのが好ましい。
【0052】
反射防止層は、通常、必要に応じて前記ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系および有機系があり、無機系の場合、SiO、TiO等の無機酸化物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、CVD法などの乾式法により形成される。有機系の場合、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用い、湿式により形成される。
【0053】
反射防止層は単層および多層があり、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。効果的に反射防止機能を発現するには多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合も低屈折率膜と高屈折率膜との屈折率差は0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、ZnO、TiO、CeO、Sb、SnO、ZrO、Ta等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO膜等が挙げられる。
【0054】
反射防止層の上には、必要に応じて防曇コート層、防汚染層、撥水層を形成させてもよい。防曇コート層、防汚染層、撥水層を形成する方法としては、反射防止機能に悪影響をもたらすものでなければ、その処理方法、処理材料等については特に限定されずに、公知の防曇コート処理方法、防汚染処理方法、撥水処理方法、材料を使用することができる。例えば、防曇コート、防汚染処理方法では、表面を界面活性剤で覆う方法、表面に親水性の膜を付加して吸水性にする方法、表面を微細な凹凸で覆い吸水性を高める方法、光触媒活性を利用して吸水性にする方法、超撥水性処理を施して水滴の付着を防ぐ方法などが挙げられる。また、撥水処理方法では、フッ素含有シラン化合物等を蒸着やスパッタすることによって撥水処理層を形成する方法や、フッ素含有シラン化合物を溶媒に溶解したあと、コーティングして撥水処理層を形成する方法等が挙げられる。
【0055】
本発明のチオウレタンウレア成形体を用いたプラスチックレンズはファッション性やフォトクロミック性の付与などを目的として、目的に応じた色素を用い、染色して使用してもよい。レンズの染色は公知の染色方法で実施可能であるが、通常、以下に示す方法で実施される。
【0056】
一般的には、使用する色素を溶解または均一に分散させた染色液中に所定の光学面に仕上げられたレンズ生地を浸漬(染色工程)した後、必要に応じてレンズを加熱して色素を固定化(染色後アニール工程)する方法である。染色工程に用いられる色素は公知の色素であれば特に限定されないが、通常は油溶染料もしくは分散染料が使用される。染色工程で使用される溶剤は用いる色素が溶解可能もしくは均一に分散可能なものであれば特に限定されない。この染色工程では、必要に応じて染色液に色素を分散させるための界面活性剤や、染着を促進するキャリアを添加してもよい。染色工程は、色素及び必要に応じて添加される界面活性剤を水又は水と有機溶媒との混合物中に分散させて染色浴を調製し、この染色浴中に光学レンズを浸漬し、所定温度で所定時間染色を行う。染色温度及び時間は、所望の着色濃度により変動するが、通常、120℃以下で数分から数十時間程度でよく、染色浴の染料濃度は0.01〜10重量%で実施される。また、染色が困難な場合は加圧下で行ってもよい。必要に応じて実施される染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地に加熱処理を行う工程である。加熱処理は、染色工程で染色されたレンズ生地の表面に残る水を溶剤等で除去したり、溶媒を風乾したりした後に、例えば大気雰囲気の赤外線加熱炉、あるいは抵抗加熱炉等の炉中に所定時間滞留させる。染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地の色抜けを防止する(色抜け防止処理)と共に、染色時にレンズ生地の内部に浸透した水分の除去が行われる。
【0057】
また、眼鏡用プラスチックレンズは、包装された状態で比較的長期間保管されることがあり、レンズ保管中に、傷つき、吸湿による変形や、レンズが変色によりレンズの保管期間の違いによって左右で色が異なってしまうなど品質上の問題が生じる場合がある。
【0058】
その場合、公知(例えば、特開2007−99313号公報、特開2007−24998号公報、特開平9−216674号公報など)の包装技術により抑制、改善することができる。
【0059】
具体的には、酸素もしくは酸素および水蒸気の透過を抑制する性質(ガスバリア性)を有する材質からなり、不活性ガスが充填された包装材中に密閉保存する方法や、酸素もしくは酸素および水蒸気の透過を抑制する性質(ガスバリア性)を有する材質からなる包装材中に、脱酸素剤とともに密閉保存する方法、レンズを真空に密封する方法などがある。
【0060】
脱酸素剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、酸素を吸収する脱酸素剤組成物を、通気性を有する包装材で包装したものをあげることができる。脱酸素剤組成物としては、例えば、還元性金属の酸化反応を利用して酸素を吸収するものを用いることができる。このような脱酸素剤組成物を用いた脱酸素剤には、脱酸素に当たって雰囲気中から水分を補給する必要がある水分依存型脱酸素剤と、雰囲気中からの水分補給を必要としない自力反応型脱酸素剤とがある。自力反応型の脱酸素剤も用いる際はともに乾燥剤(例えばシリカゲルなど)を包装材中に同封すると良い。また、脱酸素機能と乾燥機能を合わせ持つ脱酸素剤を用いても良い(例えば三菱ガス化学株式会社製ファーマキープ(KD、KCタイプ))。また、水分供与体を必要とせずに乾燥雰囲気中で脱酸素機能を発揮する脱酸素剤を用いてもよい。そのような脱酸素剤としては、炭素−炭素不飽和結合を有する架橋高分子からなる脱酸素成分を有する脱酸素剤(例えば特開平11−70331号公報参照)や、遷移金属を担体に担持して活性化してなる金属を主剤とする脱酸素剤(例えば特開平8−38883号公報参照)や、マグネシウム化合物を担体に担持後、還元することにより得られる活性化マグネシウムを主剤とする脱酸素剤(例えば特開2001−37457号公報参照)、不飽和基を有した液状炭化水素オリゴマーを主剤とし酸素吸収促進物質を含むものを担体に担持した酸素吸収組成物を有する脱酸素剤(例えば特開平10−113555号公報参照)等がある。市販されている製品としては、三菱ガス化学株式会社製ファーマキープ(KHタイプ)を挙げることができる。
【0061】
また、自力反応型脱酸素剤としては、例えば特公昭57−31449号公報に記載された脱酸素剤中に水分供与体を存在させて、そこから脱酸素に必要な水分を供給するようにしたものもある。
【0062】
包装材中への不活性ガスの充填および包装材の密閉は、包装材内の空気を脱気した後に不活性ガスを充填することにより包装材内の空気を不活性ガスに置換し、その状態で包装材の開口部を密閉することにより行うことができる。
包装材内に充填される不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等を用いることができる。経済性の観点から窒素ガスを使用することが好ましい。
【0063】
水分によるレンズ変形などの劣化防止や包装材中に残存した空気中の水分を除去するために、乾燥剤(例えばシリカゲルなど)を包装材中にレンズとともに同封してもよい。
包装材としては、少なくとも酸素の透過を抑制する材質からなる、酸素透過率の低いアルミニウムなどの金属箔層を有するものが好ましい例としてあげられる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
樹脂の性能試験において、ポットライフ、透明性、歪み(脈理)、屈折率、アッベ数、比重、耐熱性、耐衝撃性、耐光性は、以下の方法により評価した。
【0065】
・ポットライフ:得られた重合性組成物を混合温度にて保持し、すべての光学材料用重合性組成物を混合し終わった時点から1時間毎にB型粘度計にて粘度を測定して、粘度が10000mPa・sを超えた時間を評価した。
・透明性:得られた樹脂を暗所にてプロジェクターに照射して、曇り、不透明物質、テープからの粘着成分の溶出の有無を目視にて判断した。曇り、不透明物質、テープからの溶出が確認されないものを「○」(透明性あり)、確認されたものを「×」(透明性なし)とした。
・歪み(脈理):得られたレンズを高圧UVランプに投影して、レンズ内に歪みが見られてないものを「○」(脈理なし)、見られるものを「×」(脈理あり)とした。
・屈折率(ne)、アッベ数(νe):プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
・比重:アルキメデス法により測定した。
・耐熱性:TMAペネートレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ、昇温速度10℃/min)でのガラス転移温度Tgを測定した。
・耐衝撃性:中心厚1mmのレンズに、米国FDAに準拠する、127cmの高さより軽い鋼球から重い鋼球へ、破断するまで順に落下させて、耐え得る鋼球重量により耐衝撃性を評価した。鋼球は8g→16g→28g→33g→45g→67g→95g→112g→174g→225g→534gの順で実施した。
・耐光性:2mm厚平板を用いてQ−Lab製促進耐候性試験機にてQUV試験(光源:UVA−340、強度:0.50W/m2、試験条件:50℃×200時間)を実施し、照射前後の色相変化を測定した。
【0066】
[実施例1]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物51.6重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)12.5重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン35.9重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)40、比重1.22、Tgは125℃、耐光性ΔYIは2.2であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは3時間後であった。結果を表−1に示す。
【0067】
[実施例2]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物45.0重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)12.4重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)42.6重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.55、アッベ数(νe)43、比重1.23、Tgは121℃、耐光性ΔYIは1.1であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは3時間後であった。結果を表−1に示す。
【0068】
[実施例3]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物50.5重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)13.1重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物36.4重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜140℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに140℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)40、比重1.22、Tgは130℃、耐光性ΔYIは2.0であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは3時間後であった。結果を表−1に示す。
【0069】
[実施例4]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物50.3重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)(DORF KETAL社製;商品名CLEARLINK1000)15.8重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン33.9重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜140℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに140℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)41、比重1.22、Tgは134℃、耐光性ΔYIは1.8であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは2時間後であった。結果を表−1に示す。
【0070】
[実施例5]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物52.1重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン(HUNTSMAN社製;商品名JEFFLINK754)12.8重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン35.1重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜140℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに140℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)40、比重1.23、Tgは132℃、耐光性ΔYIは2.0であった。耐衝撃性試験では、225gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは2時間後であった。結果を表−1に示す。
【0071】
[実施例6]
m−キシリレンジイソシアネート20.6重量部、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)33.2重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)13.4重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン32.8重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)38、比重1.20、Tgは114℃、耐光性ΔYIは1.6であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは2時間後であった。結果を表−1に示す。
【0072】
[実施例7]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)58.7重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)6.3重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン35.0重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜140℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに140℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.59、アッベ数(νe)41、比重1.15、Tgは125℃、耐光性ΔYIは1.4であった。耐衝撃性試験では、225gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは3時間後であった。結果を表−1に示す。
【0073】
[実施例8]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)57.3重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)12.4重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン30.3重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜140℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに140℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.57、アッベ数(νe)41、比重1.16、Tgは126℃、耐光性ΔYIは1.6であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは3時間後であった。結果を表−1に示す。
【0074】
[実施例9]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)58.0重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン(HUNTSMAN社製;商品名JEFFLINK754)11.3重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン30.7重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜140℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに140℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.58、アッベ数(νe)41、比重1.17、Tgは140℃、耐光性ΔYIは1.4であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは3時間後であった。結果を表−1に示す。
【0075】
[実施例10]
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン50.1重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)12.8重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン37.1重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)40、比重1.22、Tgは122℃、耐光性ΔYIは1.8であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは3時間後であった。結果を表−1に示す。
【0076】
[実施例11]
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン50.1重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)12.8重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン37.1重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)40、比重1.22、Tgは121℃、耐光性ΔYIは1.9であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは3時間後であった。結果を表−1に示す。
【0077】
[実施例12]
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート44.8重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)22.8重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン32.4重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.57、アッベ数(νe)40、比重1.17、Tgは83℃、耐光性ΔYIは2.8であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは5時間以降であった。結果を表−1に示す。
【0078】
[実施例13]
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート45.9重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン(HUNTSMAN社製;商品名JEFFLINK754)20.9重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン33.2重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.58、アッベ数(νe)40、比重1.19、Tgは87℃、耐光性ΔYIは1.7であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは5時間以降であった。結果を表−1に示す。
【0079】
[実施例14]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物10.6重量部、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート34.5重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン(HUNTSMAN社製;商品名JEFFLINK754)32.6重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.40重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン22.3重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.56、アッベ数(νe)41、比重1.16、Tgは95℃、耐光性ΔYIは4.8であった。耐衝撃性試験では、225gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは2時間後であった。結果を表−1に示す。
【0080】
[実施例15]
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート45.6重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)13.1重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物41.3重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、比重1.22、Tgは87℃、耐光性ΔYIは2.5であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは5時間以降であった。結果を表−1に示す。
【0081】
[実施例16]
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート44.7重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)(DORF KETAL社製;商品名CLEARLINK1000)15.4重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物39.9重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、比重1.23、Tgは92℃、耐光性ΔYIは2.0であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは5時間以降であった。結果を表−1に示す。
【0082】
[実施例17]
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート46.1重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン(HUNTSMAN社製;商品名JEFFLINK754)13.2重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物40.7重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、比重1.23、Tgは91℃、耐光性ΔYIは1.4であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは5時間以降であった。結果を表−1に示す。
【0083】
[実施例18]
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート48.1重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン(東京化成社製;製品コードD2638)9.9重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物42.0重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)38、比重1.23、Tgは82℃、耐光性ΔYIは4.2であった。耐衝撃性試験では、225gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは5時間以降であった。結果を表−1に示す。
【0084】
[実施例19]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物28.6重量部、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート23.3重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン(東京化成社製;製品コードD2638)9.6重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン38.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、比重1.24、Tgは99℃、耐光性ΔYIは2.9であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは5時間以降であった。結果を表−1に示す。
【0085】
[実施例20]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)33.8重量部、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート21.6重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を20℃に保持した後に、N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン(東京化成社製;製品コードD2638)8.9重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン35.7重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、脈理が認められず、屈折率(ne)1.59、アッベ数(νe)40、比重1.21、Tgは105℃、耐光性ΔYIは2.5であった。耐衝撃性試験では、534gの鋼球で破断しなかった。さらに、ポットライフ試験の結果、重合性組成物の粘度が10000mPa・sを超えるのは5時間以降であった。結果を表−1に示す。
【0086】
[比較例1]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物54.3重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン45.7重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.10重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、屈折率(ne)1.62、アッベ数(νe)37、比重1.30、Tgは115℃であった。結果を表−1に示す。
【0087】
[比較例2]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物52.9重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物47.1重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.10重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、屈折率(ne)1.63、アッベ数(νe)37、比重1.31、Tgは125℃であった。結果を表−1に示す。
【0088】
[比較例3]
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート49.2重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン50.8重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.10重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、屈折率(ne)1.62、アッベ数(νe)38、比重1.29、Tgは58℃であった。結果を表−1に示す。
【0089】
[比較例4]
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート47.8重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物52.2重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.10重量部、ジメチルスズジクロライド0.20重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、屈折率(ne)1.63、アッベ数(νe)40、比重1.30、Tgは70℃であった。結果を表−1に示す。
【0090】
[比較例5]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)60.1重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン32.6重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、ジメチルスズジクロライド0.20g、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液に、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンと2,6−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンとの混合物(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE100)7.3重量部を装入して高速撹拌した。均一溶液とした後に、成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は脈理が多く、また白濁していたため、それ以降の評価を中止した。結果を表−1に示す。
【0091】
[比較例6]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)59.9重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン19.8重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、ジメチルスズジクロライド0.20g、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液に、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンと2,6−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンとの混合物(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE100)20.3重量部を装入して高速撹拌した。均一溶液とした後に、成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があったが、脈理が多く観察された。屈折率(ne)1.57、アッベ数(νe)40、比重1.20、Tgは220℃であった。結果を表−1に示す。
【0092】
[比較例7]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)59.2重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物20.7重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、ジメチルスズジクロライド0.20g、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液に、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンと2,6−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンとの混合物(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE100)20.1重量部を装入して高速撹拌した。均一溶液とした後に、成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があったが、脈理が多く観察された。屈折率(ne)1.57、アッベ数(νe)40、比重1.20、Tgは263℃であった。結果を表−1に示す。
【0093】
[比較例8]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)61.2重量部、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド18.0重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、ジメチルスズジクロライド0.20g、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液に、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンと2,6−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンとの混合物(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE100)20.8重量部を装入して高速撹拌した。均一溶液とした後に、成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があったが、脈理が多く観察された。屈折率(ne)1.57、アッベ数(νe)41、比重1.18、Tgは212℃であった。結果を表−1に示す。
【0094】
[比較例9]
4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)55.7重量部、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)25.3重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部、ジメチルスズジクロライド0.20g、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液に、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンと2,6−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンとの混合物(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE100)19.0重量部を装入して高速撹拌した。均一溶液とした後に、成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、25℃〜130℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに130℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があったが、脈理が多く観察された。屈折率(ne)1.55、アッベ数(νe)42、比重1.20、Tgは182℃であった。結果を表−1に示す。
【0095】
[比較例10]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物55.7重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)15.3重量部を滴下して1時間反応させた。当該溶液に、内部離型剤(三井化学社製;商品名MR用内部離型剤)0.15重量部、ジメチルスズジクロライド0.03重量部、ジプロピレングリコール29.0重量部を混合溶解し、均一溶液とした。400Paにて脱泡を行った後に成型モールドへ注入した。これを重合オーブンへ投入して、50℃〜120℃まで24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンから取り出して成型モールドからの離型作業を行った。離型性は良好であり、モールドの剥離は見られなかった。得られた成形体をさらに120℃で2時間アニール処理を行った。得られた成形体は透明性があり、屈折率(ne)1.51、アッベ数(νe)51、比重1.12、Tgは85℃であった。結果を表−1に示す。
【0096】
[比較例11]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物27.3重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、ポリプロピレングリコール系2級アミン(HUNTSMAN社製;商品名JEFFAMINE SD−2001)52.3重量部を装入した。得られたウレアプレポリマーの透明性はなく、さらに粘性が非常に高いため、攪拌することが困難であった。そのため、それ以降の作業を行うことはできなかった。結果を表−1に示す。
【0097】
[比較例12]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物55.4重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、m−キシリレンジアミン7.3重量部を滴下した。滴下直後、急激な発熱とともに、不溶物が発生した。そのため、それ以降の作業を中止した。結果を表−1に示す。
【0098】
[比較例13]
2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの混合物45.1重量部、紫外線吸収剤(共同薬品社製;商品名バイオソーブ583)1.5重量部を混合溶解し、均一溶液とした。当該溶液を50℃に加温した後に、N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90)43.5重量部を滴下した。数分後、得られたウレアプレポリマーの粘性が高く、攪拌することが困難であった。そこで90℃まで加熱したが流動性は見られなかった。そのため、それ以降の作業を行うことはできなかった。結果を表−1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
*1:イソシアネート(B)のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)のアミノ基のモル数aの比(a/b)
【0101】
i−1:2,5−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの混合物
i−2:m−キシリレンジイソシアネート
i−3:4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)
i−4:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
i−5:1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
i−6:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
【0102】
t−1:4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン
t−2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
t−3:5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンとの混合物
t−4:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
t−5:エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)
t−6:ジプロピレングリコール
【0103】
a−1:N,N'−ジ(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE90 分子量284.5)
a−2:N,N'−ジ−sec−ブチル−4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)(DORF KETAL社製;商品名CLEARLINK1000 分子量322.6)
a−3:N,N'−ジ−iso−プロピル−イソホロンジアミン(HUNTSMAN社製;商品名JEFFLINK754 分子量254.5)
a−4:N,N'−ジ−tert−ブチル−エチレンジアミン(東京化成社製;製品コードD2638 分子量172.3)
a−5:2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンと2,6−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンの混合物(ALBEMARLE社製;商品名ETHACURE100 分子量178.3)
a−6:ポリプロピレングリコール系2級アミン(HUNTSMAN社製;商品名JEFFAMINE SD−2001 平均分子量2050)
a−7:m−キシリレンジアミン
【0104】
本発明のチオウレタンウレア成形体は、チオウレタン成形体である比較例1〜4と比較して、低比重であり、耐衝撃性および耐光性に優れており、これらの特性のバランスに優れていた(実施例4、5と比較例1や、実施例3と比較例2や、実施例12、13と比較例3、実施例15〜17と比較例4)。
また、本発明のチオウレタンウレア成形体は、1級芳香族アミンを用いたチオウレタンウレア成形体である比較例5〜9と比較して、白濁が抑制され透明性に優れており、ポットライフが長く脈理が抑えられており、耐光性に優れており、これらの特性のバランスに優れていた。
さらに、本発明のチオウレタンウレア成形体は、二官能チオールを用いたチオウレタンウレア成形体(比較例8、9)や二官能アルコールを用いたウレタンウレア成形体(比較例10)と比較して、耐衝撃性に著しく優れていた。
以上のように、本発明の光学材料用重合性組成物によれば、低比重で、耐熱性、耐衝撃性および耐光性に優れ、且つ重合性組成物のポットライフが長いため光学歪み(脈理)の発生が抑制された、高屈折率なチオウレタンウレア成形体を得ることができることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の光学材料用重合性組成物から得られるチオウレタンウレア成形体は、高い透明性が要求される各種光学材料、特に眼鏡レンズにおいて好適に使用することができる。
【0106】
この出願は、2014年7月8日に出願された日本出願特願2014−140776号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【要約】
本発明の光学材料用重合性組成物は、(A)2級アミノ基を二つ以上有するアミンと、(B)イソシアナト基を二つ以上有するイソシアネートと、(C)メルカプト基を三つ以上有するチオールと、を含んでなり、イソシアネート(B)のイソシアナト基のモル数bに対する、アミン(A)のアミノ基のモル数aの比(a/b)が0.10〜0.60の範囲である。