【実施例1】
【0019】
実施例1にかかる本発明の高所作業用足場構造体100の構成例について説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る高所作業用足場構造体100を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、高所作業用足場構造体100は、一対の支持部材30と、支持部材30に搭載される作業台20などの部材により組み立てられている。なお、ここでは、補強部材として筋交い60や水平筋交い61等の補強部材を備えた構成例となっている。
【0020】
まず、支持部材30について説明する。
支持部材30は、伸縮可能で高さが可変である管状縦部材31と、管状縦部材31の間に設けられた複数の横桟32とを備えたものとなっている。他方の支持部材も同様に、伸縮可能で高さが可変である管状縦部材31と、管状縦部材31の間に設けられた複数の横桟32とを備えたものとなっている。
【0021】
管状縦部材31は全体の骨組みにおける柱のような働きをするものである。なお、作業現場への運び込みや撤去の際には管状縦部材31を短く縮小させた状態としておく。
管状縦部材31の素材としては、全体の重量を軽量化するために必要な構造的強度を確保せしめた上でアルミ材などを用いることが好ましい。
【0022】
次に、横桟32は、一対の管状縦部材31の間に渡された踏み桟であり、作業者が足を掛けて昇降する部材である。横桟32の幅としては、この例では後述する作業台の幅に対応する幅となっている。作業台の幅は作業性を考慮した大きさが必要であり、それに対応した横桟32の幅となる。
横桟32の高さ方向の間隔は作業者が安全に足を運ぶできることができる距離とすることが好ましい。横桟32の段数としては特に限定されず、作業員が登る高さに応じて段数を確保する必要がある。
横桟32の素材としては、全体の重量を軽量化するために必要な構造的強度を確保せしめた上でアルミ材などを用いることが好ましい。
【0023】
次に、支持部材30の伸縮機能について
図2を参照しつつ詳述する。
図2は、支持部材30のみを取り出して示した図である。
図2(a)は短縮状態、
図2(b)は伸長途中状態の一例を示す図、
図2(c)は伸長状態を示す図である。
なお、支持部材30の基本部材の段数、横桟32の段数などは一例であり、特に限定されないことは言うまでもない。
【0024】
この構成例では、支持部材30は、複数の基本部材30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30hから構成された例となっている。
【0025】
図2に示すとおり、支持部材30の基本部材30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30hは、間隔を隔てて平行に配置され両側で対をなす管状縦部材31a、31b、31c、31d、31e、31f、31g、31hと、その双方の管状縦部材の上端間に設けられた横桟32a、32b、32c、32d、32e、32f、32g、32hを備えた構造となっている。
【0026】
この構成例では、複数の基本部材30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30hは、管状縦部材の太さを順次異ならせて形成し、管状縦部材の最も太い基本部材30hの双方に、順次管状縦部材の細くなった基本部材30g、30f、30e、30d、30b、30c、30aを摺動可能に上方から嵌入させ、横桟が順次上下に当接するものとなっている。基本部材30a、30b、30c、30d、30e、30f、30gを順次上方に摺動することにより、支持部材30は伸縮し、作業に必要な高さを得ることができるものとなっている。
【0027】
図2(b)に示す支持部材30の伸長の途中状態の例では、上段から順に、上にある基本部材30a、30b、30c、30dがそれぞれ直下段の基本部材30b、30c、30d、30eに対して上方向に摺動して所定距離となったところで各々係止固定した状態となっている。
【0028】
係止手段は、各基本部材の伸張状態を保持するものであり、解除操作手段は、係止手段の作用状態を解除するものである。
係止手段は、基本部材の管状縦部材31の摺動をとめて固定できるストッパーであれば特に限定されないが、例えば、基本部材30a、30b、30c、30d、30e、30f、30gの各横桟の内部に設けられている。この構成例では、係止手段は、例えば、小円柱状の突出部材(図示せず)が横桟32の内部において略水平に仕込まれており、コイルばねからなる付勢手段(図示せず)により外側、つまり、管状縦部材31方向に突出できるように付勢されたものとなっている。この小円柱状の突出部材を直上の基本部材の管状縦部材31に突きたてることにより、直上の基本部材30を固定する。
【0029】
一方、各々の管状縦部材31には、上端の横桟32の高さから所定距離下方の位置に小孔(図示せず)が設けられている。管状縦部材31が摺動して直下の基本部材に対して上方へ移動する際、直下の基本部材の係止手段は、移動中は管状縦部材31の壁面が当接して押さえられており、コイルばねの付勢によっても突出できない状態であるが、管状縦部材31が摺動しつつ上昇して小孔が小円柱状の突出部材の真横に到達すると、コイルばねの付勢により小円柱状の突出部材が小孔内に突き刺さり、管状縦部材31が固定される仕組みとなっている。
【0030】
解除操作手段は、上記係止手段を解除するものであり、係止手段に対応した解除手段であれば特に限定されない。上記例の係止手段に対応した解除操作手段は、突出部材を外部から操作できるように突出部材に設けてある操作つまみを、横桟32に形成された長孔から突出させた構成である。この操作つまみを付勢手段に抗して操作して突出部材を内側に後退させることにより、小孔に突き刺さっている小円柱状の突出部材を引き抜き、管状縦部材31を再び摺動自在の状態に戻す。
このように、支持部材30は、横残32一段分の高さの基本部材を複数個連結し、それぞれを縦方向に摺動可能な構造とすることにより、伸縮機能を備えたものとなっている。
【0031】
なお、
図1に示す構成例において、支持部材30は、下端部に脚高さ調整機構50を備えうる。例えば、床面に当接される座板にネジ部が設けられて上下方向に調整可能な機構などがある。このような高さ調整機構50により、床面に凹凸がある場合や、階段等においても本発明の高所作業用足場構造体100の設置が可能になる。
【0032】
次に、作業台20を説明する。
作業台20は、天板21と、天板の一部に設けられた開閉可能な開閉ハッチ22と、天板21および開閉ハッチ22を支える天板支持体23と、横桟に係止されるアーム24を備えた構造となっている。
図3(a)は作業台20の全体を示す上面図であり、
図3(b)はハッチ22の閉状態を示す斜視図、
図3(c)はハッチ22の開状態を示す斜視図である。
【0033】
天板21は作業員の踏み板となるものであり、作業員の体重をしっかり支える例えばステンレス鋼板などの素材で構成されている。なお、一部に開口が設けられており、その開口の上面に対して開閉ハッチ22が開閉可能に設けられている。
【0034】
開閉ハッチ22は、天板の一部に設けられた開口を覆うように設けられた部材であり、蝶番などにより開閉可能な構造となっている。なお、
図3(b)に示されるとおり、閉状態においては天板支持体23により戴置され、係止されるようになっている。
開閉ハッチ22は、後述するように、開状態では作業員が天板を通過する開口を提供することができ、閉状態では開口を覆って作業床の一部となり、天板21と一体になり、作業員が作業床の一部として踏みしめることができるものとなる。
開閉ハッチ22は閉状態では開口を覆って作業床の一部となるので、開閉ハッチ22の素材は天板と同じ素材、例えば、ステンレス鋼板などの素材で構成されることが好ましい。
【0035】
開閉ハッチ22を開状態にするには、後述するように、支持部材30をよじ昇ってきた作業者が作業台20の底面から開閉ハッチ22を押し上げればよい。
図3(c)は、開閉ハッチ22の開状態を示す。
図3(c)に構造例では、開閉ハッチ22は、作業台20の幅方向に開閉し、開閉方向の一端に蝶番(図に示されない)を備えた構造となっている。なお、この構成例では、開閉ハッチ22は開閉レバー25を備えたものとなっている。開閉レバー25は、中間部にあるつまみをつまんで下げれば閉じる役割を果たすとともに、開閉ハッチ22が作業台20から落下することを防ぐ。
【0036】
天板支持体23は、天板21の下側に位置して天板21を支える部材である。この構成例では天板21に対する枠体として下方から天板21を支えるものとなっている。天板支持体23も天板を支える構造強度が必要であるので、例えば、ステンレス材などの素材が好ましい。
【0037】
アーム24は、一対の支持部材30の任意の横桟32に橋渡しされるように掛けられ、作業台20全体を一対の支持部材30の任意の横桟32に対して係止する部材である。
図3(a)に示されるとおり、アーム24が横桟32を把持することにより、作業台20は支持部材30に搭載される。この構成例では、アーム24の先端部分には、横桟32の上面から側面に対応するフック状の嵌合形状が設けられており、横桟32の上面から側面にしっかりと嵌ることにより係止することができ、作業台20を安定した状態で横桟32間を橋渡しするように取り付けが可能となっている。アーム24も天板を支える構造強度が必要であるので、例えば、ステンレス材などの素材が好ましい。
【0038】
次に、作業台20のアーム24の伸縮機能の工夫について述べる。
上記したように、支持部材30を伸長させて組立て、縮小して畳むことが可能であるが、本発明に係る高所作業用足場構造体100では、作業台20の組み上げ方に工夫が施されている。作業台20の支持部材30の横桟32への取り付け作業が、作業員が地上にいる状態で行うことができれば非常に楽である。逆に、支持部材30を所定の伸長状態に伸ばし切ってから作業員が作業台20を持ち上げて支持部材30の横桟32へ取り付けることとなると非常に不便であり、かつ危険な作業となってしまう。そこで、作業員が地上にいる状態にて、支持部材30の横桟32へ作業台20の取り付け作業を行い、作業台20を支持部材30の横桟32へ取り付けた状態で支持部材30を伸長して作業台20を高く持ち上げることを可能とした。
ここで、本発明の高所作業用足場構造体100では、かつ、作業台20を支持部材30の横桟32へ取り付けた状態で容易に支持部材30を伸長して行くことができるよう作業台のアーム24が伸縮するよう工夫している。
【0039】
支持部材30は、短縮状態から、基本部材30a、30b、30c、30d、30e、30f、30gを順次上方に伸張することができるが、この動きに追随できるように、作業台20のアーム24は摺動機構を備えている。例えば、天板支持体23とアーム24との間にガイドレールのような摺動機構を設ければよい。
【0040】
高所作業用足場構造体100の組み立てを
図4を参照しつつ説明する。
図4は本発明の高所作業用足場構造体100が組み立てられる状態の一部を模式的に示す図であり、
図4(a)は上から2段目の横桟に作業台を戴置した状態を示す図であり、
図4(b)は一方の支持部材を一段伸張した状態を示し、
図4(c)はもう一方の支持部材を一段伸張した状態を示す図である。
【0041】
まず、
図4(a)に示すように、作業員が地上にいる状態で、作業台20を横桟32に戴置する。なお、この例では作業台20を載せおく横桟32は上から2段目としているが、他の段であっても良い。
【0042】
次に、
図4(b)に示すように、一方の基本部材31bを上方に引き延ばす。そうすると、作業台20を載せ置いた横桟32の高さが左右で異なるものとなり、作業台20が斜めになりつつ、かつ、横桟32間の距離が変動することとなる。もし、作業台20のアーム24に伸縮機能がなければ、このように、作業台20を載せ置いた横桟32の高さが左右で異なることは許容できず、左右それぞれの基本部材31bを同時に上げざるを得ず、作業員が左右1人ずつ計2人必要となってしまう。しかし、この構成例では、作業台20のアーム24が摺動機構により図面右上方向に摺動することにより伸縮して横桟32間の距離の変動に追随することができる仕組みとなっている。
【0043】
次に、
図4(c)に示すように、他方の支持部材30の基本部材31bを上方に引き延ばす。そうすると、作業台20を載せ置いた横桟32の高さが左右で同じになり、作業台20が略水平になり、かつ、横桟32間の距離が元に戻ることとなる。この結果、作業台20は床面に略平行に一段高くなる。この作業を他の基本部材についても繰り返し、左右の基本部材31gをそれぞれ交互に上方に引き上げてゆけば、作業台20が所定の作業位置にまで到達することができる。
このように、支持部材30を伸長させ、作業台20を所定の高さまで組み上げた後、筋交い60や水平筋交い61等の補強部材を取り付けて高所作業用足場構造体100を完成させる。
【0044】
なお、補強部材である筋交い60は、支持部材30間に渡されるものであり、筋交い60を設ける位置などは構造強度を確保できるものであれば特に限定されないが、
図1の構成例では、支持部材30間に斜めに渡されている。補強部材である水平筋交い61も支持部材30間に渡されるものであり、水平筋交い61を設ける位置などは構造強度を確保できるものであれば特に限定されないが、
図1の構成例では、支持部材30間に略水平に渡されている。
【0045】
なお、筋交い60や水平筋交い61を設ける箇所は、作業員が高所作業用足場構造体100の内側へ出入し、くぐりやすいような箇所に適宜設ければよい。
筋交い60、水平筋交い61の素材は特に限定されないが、この例ではアルミなどのパイプ材となっている。全体の重量を軽量化するために必要な構造的強度を確保せしめるように太さや肉厚径を決めることが好ましい。
【0046】
次に、高所作業用足場構造体100での作業員の昇降動作について説明する。
図5は、高所作業用足場構造体100への作業者Hの昇状態を示す図であり、
図5(a)は地面から作業者Hが昇り始める状態を示す斜視図、
図5(b)は作業者Hがハッチ22を開いて作業台20に昇る直前状態を示す斜視図である。
【0047】
図5(a)に示すとおり、本発明に係る高所作業用足場構造体100は、支持部材30の外面側から横桟32を登って行くではなく、支持部材30の内側から横桟32をよじ昇ることができる。そして、作業台20の底面まで到達すると、
図5(b)に示すように、頭上にある開閉ハッチ22を開いて作業台20に上がる構造になっている。このように、本発明に係る高所作業用足場構造体100では作業台20に開閉ハッチ22を設けておくことにより、外面側から登る必要はなく、
図5(b)に示すように支持部材30の内側から横桟32をよじ昇ることができ、重心が安定しやすい。
したがって、作業者Hは安全に作業台20に到達することが可能である。
【0048】
さらに、本発明の高所作業用足場構造体100によれば、作業員が開閉ハッチ22を通過後、開閉ハッチ22を閉じれば天板支持体23に係止されて安定し、天板21と一体になって作業台20の一部となるため、作業足場を広く確保する事ができ、かつ、開口から落下するなどの事故も防ぐことができる。
【0049】
本発明の高所作業用足場構造体100の基本構成を示したが、高所作業用足場構造体100同士をさらに複数台並べて組み上げることも可能である。
例えば、高所作業用足場構造体100を隣接させて複数台並べた状態において支持部材30同士や作業台20同士を連結する連結部材(図示せず)を用いて、
図1に示した高所作業用足場構造体100を横方向に2台以上並べて組み上げて作業台の横方向の長さを拡げたり、縦方向に2台以上並べて組み上げて作業台の縦方向の幅を拡げたりすることも可能である。
【0050】
以上、本発明に係る高所作業用高所作業用足場構造体における好ましい実施形態を図示して詳細に説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。