【実施例】
【0028】
以下、実施例等により本発明の実施形態をより具体的に記載する。なお、以下特に断りがない限り、「%」や「部」は「重量%」、「重量部」を意味するものとする。
【0029】
(製造例1) 還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白素材の製造
n-ヘキサンで脱脂した脱脂大豆100重量部に、醸造調味料みりんタイプ(還元糖含量27.1重量%,以下同じ)2重量部、グルコース1.5重量部および、水40部を押出機に供給して加熱、加圧処理を行い、組織化した。なお、押出機は幸和工業(株)社製二軸押出機を用い、使用ダイの直径2.5mm×10穴、処理量は粉体原料流量30kg/h、スクリュー回転数200rpm、バレル入口側温度80℃、中央部120℃、出口側150℃の条件で加圧処理を行った。
得られた蛋白組織物は、長さ5mm程度となるようにダイス出口直後にカッターで切断し、乾燥機にて水分8重量%となるように80℃の熱風で乾燥を行い、還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白素材とした。直径は、短径がおよそ2〜4mm、長径が5〜10mmであった。
尚、還元糖を含まない偏平形状組織状大豆蛋白素材としては、「ニューフジニック50」(不二製油(株)製、およそ長径5mm×短径3mm×厚み2mm)を、分離大豆蛋白としては、「ニューフジプロSE」(不二製油(株)製)を用いた。
【0030】
(製造例2) 還元糖を含む偏平形状組織状大豆蛋白素材の製造
n-ヘキサンで脱脂した脱脂大豆100重量部に、醸造調味料みりんタイプ2重量部、グルコース1.5重量部および、水40部を押出機に供給して加熱、加圧処理を行い、組織化した。なお、押出機は幸和工業(株)社製二軸押出機、使用ダイの直径5.0mm×1穴、処理量は粉体原料流量30kg/h、スクリュー回転数200rpm、バレル入口側温度80℃、中央部120℃、出口側150℃の条件で用いた。得られた蛋白組織物は、長さ15mm程度となるようにダイス出口直後にカッターで切断し、さらに粉砕機にて長径が10〜15mm、厚みが2〜4mmの偏平形状となるように粉砕後、乾燥機にて水分8重量%となるように80℃の熱風で乾燥を行い、還元糖を含む偏平形状組織状大豆蛋白素材とした。
尚、還元糖を含まない粒形状組織状大豆蛋白素材としては、「ニューフジニック59」(不二製油(株)製、およそ直径4〜5mm)を、分離大豆蛋白としては、「ニューフジプロSE」(不二製油(株)製)を用いた。
【0031】
(実施例1) ミートボール様食品(ミートレス)
最初に、粉末状大豆蛋白として分離大豆蛋白を3部,乾燥卵白を2部,液体油としてナタネ油を4部,水12部をサイレントカッターに投入して、約25℃で混練し、均一に乳化させ、大豆蛋白生地を調製した。次に、還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白素材4部に水8部を加え水戻しを行ったもの、および「ニューフジニック50」4部に水12部を加えて水戻しを行ったものを加えた後、たまねぎ20部,キャベツ4部,さらに調味料14部,固形植物油脂8部,澱粉3部を加えて混合し、生地を得た。
該生地を成形機で直径28mm球状(25g)に成形した後に、蒸し加熱(85〜95℃)を8分間行い、空冷後、-35℃で急速凍結を行い、畜肉を使用しないミートボール様食品を得た(表1の試験1)。次に表1の試験2、3の通り、本発明の組織状大豆蛋白素材の添加量を種々変更して同様にミートボール様食品を得た。
以上により得られた試験1〜3の食品について、ほぐれ、口溶け、肉粒感について
評価した。結果を表1に示した。
【0032】
(表1)配合表及び品質評価結果
【0033】
試験例1では、畜肉を全く使用していないミートレス食品であるにも関わらず、挽肉様の肉粒感に加えて、ほぐれ、口溶けも良好であり、畜肉のミートボールと全く遜色のない食感を有していた。これに対して還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白素材が配合されていない比較試験例1では、噛み応えはあるものの、ほぐれ感,口溶け感は感じられず、咀嚼時に口残り感のある食感であった。
試験例1に対して還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白素材の配合が多い試験例2,試験例3になるにつれ、肉粒感が弱くなる傾向となった。
【0034】
(実施例2)
表2の通り、組織状大豆蛋白の配合量を変更し、加水調整を行った他は、実施例1の試験例1と同様にしてミートボール様食品の調製を行った。
【0035】
(表2)配合表及び品質評価結果
【0036】
ニューフジニック50を添加せず偏平状組織状大豆蛋白の添加量自体が少ない試験例4は、ほぐれ、口溶け感と肉粒感、噛み応えの組み合わせにおいてやや肉粒感と噛み応えが不足する食感となった。ニューフジニック50の添加量が試験例1より少ない試験例5では、試験例4に比べ肉粒感は向上したものの、噛み応えはやや不足、更に添加量の増えた試験例1は全てにおいてバランス良く高得点となった。一方ニューフジニック50の添加量が多い試験例6では、ほぐれ、口溶け感にやや乏しい食感となった。
【0037】
(実施例3)
表3の通り、乾燥卵白の配合量を変更し、その他は実施例1の試験例1と同様にしてミートボール様食品の調整を行った。
【0038】
(表3)配合表及び品質評価結果
【0039】
いずれもほぐれ、口溶け感と肉粒感を有する点で食感は良好であった。その中で、乾燥卵白を添加しない試験例7では硬さがやや弱くなり、試験例8では試験例7と比較すると硬くなる傾向にはあるが試験例1に比べ食感は弱くなった。また試験例9は、他の試験区に比べしっかりとした食感になった。
【0040】
(実施例4)牛肉,豚肉,鶏肉と併用したハンバーグ
ミキサーにて、分離大豆蛋白2部,水19部、φ約6mmの牛肉ブリスケット,豚肉ウデ,鶏肉ムネ計50部、φ約3mmの豚背脂6部を混合した。試験例10では還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白素材6部を水12部で戻したものを添加し、試験例11では還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白素材4部、ニューフジニック50を2部、それらを水12部で戻したものを添加した。さらに各々に調味料2部,たまねぎ20部,パン粉4部を加え、全体を100部としてハンバーグ生地を得た。生地を成形機で重量70gのハンバーグ状に成形した後、これに焼き蒸し加熱(210℃,7分)を行い、空冷し、急速冷凍を行った。
比較試験例2では、還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白素材の代わりに還元糖を含まない粒形状組織状大豆蛋白素材として「ニューフジニックBSN」を使用した。比較試験例3では還元糖を含まない偏平形状組織状大豆蛋白素材として「ニューフジニック50」を使用した。表4に内材配合及び結果を示した。
【0041】
(表4)配合表及び品質評価結果
【0042】
以上の通り、本発明の還元糖を含む粒形状組織状大豆蛋白を使用した試験例10ではほぐれ、口溶け感が付与され肉粒感も比較的付与されており、更にニューフジニック50を組み合わせた試験例11ではより肉粒感を感じ良好な結果となった。
還元糖を含まない粒形状のニューフジニックBSNを使用した比較試験例2では肉粒感は付与されたものの、ほぐれ、口溶け感が少ない品質となった。また還元糖を含まない偏平状のニューフジニック50のみの比較試験例3では、肉粒感は得られず、ほぐれ、口溶け感は比較試験例1程劣らないものだった。
【0043】
(実施例5)還元糖を含む偏平形状組織状大豆蛋白素材の使用
還元糖を含む組織状大豆蛋白素材には偏平形状のものを、従来食感の組織状大豆蛋白素材には粒形状のニューフジニック59を使用し、加水調整を行った他は、実施例1の試験例1と同様にしてミートボール様食品の調製を行った。
【0044】
(表5)配合表及び品質評価結果
【0045】
試験例12では、畜肉を全く使用していないミートレス食品であるにも関わらず、挽肉様の肉粒感に加えて、ほぐれ、口溶けも良好であり、畜肉のミートボールと全く遜色のない食感を有していた。これに対して還元糖を含む偏平形状組織状大豆蛋白素材が配合されていない比較試験例4では、肉粒感、噛み応えはあるものの、ほぐれ感,口溶け感は感じられず、咀嚼時に非常に口残り感のある食感であった。
試験例12に対して還元糖を含む偏平形状組織状大豆蛋白素材の配合が多い試験例13,試験例14になるにつれ、肉粒感,噛み応えが弱くなる傾向となった。