特許第5895512号(P5895512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5895512環線系統保護継電システムのサンプリング同期回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5895512
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】環線系統保護継電システムのサンプリング同期回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/28 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
   H02H3/28 W
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-280953(P2011-280953)
(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公開番号】特開2013-132161(P2013-132161A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年9月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】興津 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】石井 隆
(72)【発明者】
【氏名】神谷 敏実
【審査官】 猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−051313(JP,A)
【文献】 特開平02−155420(JP,A)
【文献】 特開平10−051435(JP,A)
【文献】 特開平11−191919(JP,A)
【文献】 特開平02−188121(JP,A)
【文献】 特開2007−306739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 1/00−3/07
3/26−3/30
7/00
7/10−7/20
99/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統は電源変電所から各需要家までを環線で接続し、電源変電所端に配置する中央継電装置と各需要家端に配置する端末装置との間は1系と2系のループ伝送路で接続し、変電所側の中央継電装置と各端末装置で系統信号を同時サンプリングし、各端末装置で同時サンプリングした系統信号を時分割で多重化して中央継電装置にループ伝送し、中央継電装置は各端末装置からの系統信号を分離し、これら系統信号と変電所端での系統信号から保護演算を行い、必要に応じて各需要家端の機器操作信号を各端末装置にループ伝送する環線系統保護継電システムにおいて、
前記中央継電装置と各端末装置のサンプリング同期回路は、多重分離装置の伝送情報入出力部と共通にして通信ボードに搭載し、
前記中央継電装置の通信部と各端末装置の通信部の間で同期したサンプリング同期信号をそれぞれ生成し、このサンプリング同期信号を中央継電装置のリレー部および各端末装置のリレー部による系統信号のサンプリング同期信号とし、
前記中央継電装置の通信部がもつ親局としてのサンプリング同期回路は自走発振回路として動作し、前記各端末装置の通信部がもつサンプリング同期回路は従属同期回路として動作することをノードアドレスで切り替えるよう構成すると共に、
前記サンプリング同期回路は、
ループ伝送路の光−電気変換器(1,2)で変換した受信信号から1系と2系の分離インタフェース(21、22)が受信フレーム内のサンプリング同期用タイムスロットからサンプリング同期タイミング信号を抽出し、1系と2系の遅延測定回路(23、24)が1系と2系の伝送遅延(T1、T2)を測定し、遅延測定回路(25)が1系と2系の伝送路から得られたサンプリング同期タイミング信号の伝送時間差(T3)を測定し、監視・設定回路(3)が伝送時間差(T3)からサンプリング同期点を演算して受信SPタイミング回路(26)に同期点を設定し、発振器(27)とDPLL(28)と位相比較器(29)との間で従属同期をとるサンプリング同期ロジック構成としたことを特徴とする環線系統保護継電システムのサンプリング同期回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環線系統を保護する環線系統の保護継電システムに係り、特に中央通信装置と複数の端末装置で計測される系統信号を同時サンプリングして多重伝送するサンプリング同期回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力系統の保護継電システムは、コンピュータ資源を利用してシステムを構築し、保護対象となる電力系統から収集した系統電圧や系統電流などのディジタル情報を基にディジタル保護演算を行い、事故検出とその事故区間が特定されたときは事故区間に繋がる系統しゃ断器などを開放して事故区間を系統から切り離し、健全区間のみによる電力系統の円滑な運用を図る。
【0003】
環線系統のディジタル保護継電システムの例を、図4に電力系統と保護継電システムの概略構成で示す。同図において、電力系統は変電所SSから各需要家D1〜D3までの線路接続を環線構成とし、線路に系統事故などが発生した場合にその区間を切り離し、残りの健全区間には迂回路(変電所からみて時計方向と反時計方向の線路)を通して需要家への給電路を確保可能とする。
【0004】
保護継電システムは、変電所側に設けた中央通信装置MSと、各需要家側に設けた複数の端末装置RS1、RS2、RS3との間を1系と2系の二重化ループ伝送路で結合し、需要家側の各端末装置RS1〜RS3が同時サンプリングで収集したデータを時分割で多重化して1系伝送路と2系伝送路を通して中央通信装置MSに伝送し、中央通信装置MSは受信した多重化データを需要家別に分離し、この情報と変電所SS側で同時サンプリングで収集したデータを利用して中央継電装置MRが保護演算を行い、この保護演算で事故発生を検出したときには事故発生した需要家を環線系統から切り離す制御情報を含めた多重情報を中央通信装置MSが伝送し、各需要家の各端末装置RS1〜RS3は中央通信装置MSから伝送されてくる多重情報から自局宛の機器制御情報を分離抽出し、当該端末装置では当該需要家をそのしゃ断器のトリップで環線系統から取り除き、電力系統の運用を継続可能にする。
【0005】
この保護継電システムにおける中央通信装置MSと各端末装置RS1〜RS3間の情報伝送には、複数の情報を時分割で多重化して伝送する多重情報伝送が行われる。また、保護継電システムの性質から、多重情報伝送処理を実現するため、実時間処理、サイクリック伝送、同時サンプリングのための同期化等が施される。
【0006】
上記の中央通信装置MSと各端末装置RS1〜RS3間の多重情報伝送は、図5にフレーム構成の例を示すように、所定のサイクル構成,フレーム構成及びワード構成の伝送フォーマット化処理と、伝送速度等に基づいた送受信処理と、各種インタフェースによる多重分離を行うが、これら信号処理が保護系統構成に応じて個別に設計,製作されるため系統構成の変更や新設の都度装置の設計等が必要となる。
【0007】
この対処法として、中央通信装置MSと複数の端末装置RS1〜RS3間での情報の多重伝送に、送受信情報の多重分離をバス上の送受信タイミング信号により行うことにより、多重情報伝送処理のための装置設計,変更を容易にした多重情報伝送処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
中央継電装置及び各端末装置で計測される系統信号の同時サンプリング方法としては、中央継電装置に接続する中央通信装置から1系と2系のループ伝送路に対してサンプリング同期化のための送信タイミングで信号を発信し、前記発信信号が前記1系と2系のループ回線に接続された各端末装置を経て一巡し、それぞれ中央通信装置に到達するまでに必要な右回り遅延時間T1と左回り遅延時間T2とを求め、遅延時間がT1=T2時には(T1+T2)/4の時間だけ、かつ折り返し伝送になるT1≠T2時にはT1/2,T2/2の時間だけそれぞれ同期すべきタイミングより前の時刻に調整したタイミングで1系と2系のループ回線に中央通信装置から夫々サンプリング同期用タイミング信号を送出し、各端末装置は前記1系のループ回線を通して受信したサンプリング同期用タイミング信号と2系のループ回線を通して受信したサンプリング同期用タイミングとの受信タイミングの中間時刻を同時サンプリングタイミングとする方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許2689508「ディジタル保護継電システムの多重情報伝送処理装置」
【特許文献2】特許2689506「ディジタル保護継電装置のサンプリング同期方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
環線系統の保護継電システムにおける従来のサンプリング同期方法は、保護と通信の責務から、それぞれを分割して処理をしていた関係から、通信部でのサンプリング同期およびリレー部でのサンプリング同期が必要となっていた。特許文献2では、このサンプリング同期について提案しているが、実際のシステムでは、図4中に示すように、中央通信装置MSと端末装置RSの通信部TRでのサンプリング同期SA1と、端末装置RSのリレー部RYでのサンプリング同期SA2という二段方式となっており、冗長であった。
【0011】
本発明の目的は、中央継電装置と各端末装置で計測される系統信号を同時サンプリングする回路を一段構成で効率的なサンプリング同期をしながら、多重分離装置と統合、集約した設計を容易にした環線系統保護継電システムのサンプリング同期回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記の課題を解決するため、中央継電装置の通信部と各端末装置の通信部の間で同期したサンプリング同期信号をそれぞれ生成し、このサンプリング同期信号を中央継電装置のリレー部および各端末装置のリレー部による系統信号のサンプリング同期信号とし、中央継電装置の通信部がもつ親局としてのサンプリング同期回路は自走発振回路として動作し、前記各端末装置の通信部がもつサンプリング同期回路は従属同期回路として動作する構成としたもので、以下の構成を特徴とする。
【0013】
電力系統は電源変電所から各需要家までを環線で接続し、電源変電所端に配置する中央継電装置と各需要家端に配置する端末装置との間は1系と2系のループ伝送路で接続し、変電所側の中央継電装置と各端末装置で系統信号を同時サンプリングし、各端末装置で同時サンプリングした系統信号を時分割で多重化して中央継電装置にループ伝送し、中央継電装置は各端末装置からの系統信号を分離し、これら系統信号と変電所端での系統信号から保護演算を行い、必要に応じて各需要家端の機器操作信号を各端末装置にループ伝送する環線系統保護継電システムにおいて、
前記中央継電装置と各端末装置のサンプリング同期回路は、多重分離装置の伝送情報入出力部と共通にして通信ボードに搭載し、
前記中央継電装置の通信部と各端末装置の通信部の間で同期したサンプリング同期信号をそれぞれ生成し、このサンプリング同期信号を中央継電装置のリレー部および各端末装置のリレー部による系統信号のサンプリング同期信号とし、
前記中央継電装置の通信部がもつ親局としてのサンプリング同期回路は自走発振回路として動作し、前記各端末装置の通信部がもつサンプリング同期回路は従属同期回路として動作することをノードアドレスで切り替えるよう構成すると共に、
前記サンプリング同期回路は、
ループ伝送路の光−電気変換器(1,2)で変換した受信信号から1系と2系の分離インタフェース(21、22)が受信フレーム内のサンプリング同期用タイムスロットからサンプリング同期タイミング信号を抽出し、1系と2系の遅延測定回路(23、24)が1系と2系の伝送遅延(T1、T2)を測定し、遅延測定回路(25)が1系と2系の伝送路から得られたサンプリング同期タイミング信号の伝送時間差(T3)を測定し、監視・設定回路(3)が伝送時間差(T3)からサンプリング同期点を演算して受信SPタイミング回路(26)に同期点を設定し、発振器(27)とDPLL(28)と位相比較器(29)との間で従属同期をとるサンプリング同期ロジック構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明によれば、中央継電装置の通信部と各端末装置の通信部の間で同期したサンプリング同期信号をそれぞれ生成し、このサンプリング同期信号を中央継電装置のリレー部および各端末装置のリレー部による系統信号のサンプリング同期信号とし、中央継電装置の通信部がもつ親局としてのサンプリング同期回路は自走発振回路として動作し、前記各端末装置の通信部がもつサンプリング同期回路は従属同期回路として動作する構成としたため、中央継電装置と各端末装置で計測される系統信号を同時サンプリングする回路を一段構成で効率的なサンプリング同期をしながら、多重化情報伝送装置と統合、集約した設計が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来と本発明におけるサンプリング同期回路のブロック構成図。
図2】実施形態の電力系統と保護継電システムの概略構成図。
図3】実施形態のサンプリング同期回路図。
図4】従来の電力系統と保護継電システムの概略構成図。
図5】多重情報伝送におけるフレームの構成例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)サンプリング同期回路のブロック構成
図1は、従来と本発明におけるサンプリング同期回路のブロック構成を示す。図4で説明するように、従来、中央通信装置MSと端末装置RSにおけるサンプリング同期には、2つのサンプリング同期回路で構成されていた。すなわち、サンプリング同期SA1では1系と2系の伝送路上の情報に対して中央通信装置MSと端末装置RSの通信部TRにおいてサンプリング同期を得ている。一方、サンプリング同期SA2は、中央継電装置MRで取り込む計測情報のサンプリング同期と、端末装置RSのリレー部RYで取り込む計測情報のサンプリング同期を得ている。
【0018】
本実施形態におけるサンプリング同期ロジックは、伝送路上の通信情報のサンプリングと、変電所SSおよびリレー部RYでの計測情報のサンプリングという境を無くし一体化することで、図2のように、中央通信装置を中央継電装置と一体構成とし、中央継電装置MRのサンプリング同期回路(親局モード)と端末装置RSのサンプリング同期回路(端末局モード)として共通化して後述の多重情報伝送装置に集約可能とする。
【0019】
従来のサンプリング同期は、図1の(a)に示すように、中央通信装置MSの通信部TRと端末装置RSの通信部TRとの間のサンプリング同期信号と、中央通信装置MSのリレー部RYと端末装置RSのリレー部RYによるサンプリング同期信号を分離して管理していた。すなわち、中央通信装置MSと端末装置RSの通信部TRで同期をとり、その結果の同期信号(SP同期信号)を中央継電装置および端末装置のリレー部RYに渡して再度同期を取っていた。
【0020】
本実施形態は、図1の(b)に示すように、上記の通信部TRとリレー部RYとの別れた情報管理を撤廃して一体化することで、より効率的なサンプリング同期を実現するものである。これにより、通信部のサンプリング同期1回路とリレー部のサンプリング同期2回路に別れていた2つのDPLL(ディジタルPLL)回路が1つに削減される。この結果、プリント板枚数が削減され、多重情報伝送装置と同一FPGAに統合されることで、機能が集約される。さらに、通信として必要な機能を多重情報伝送装置と合わせることで、ICにワンチップ化できる。
【0021】
また、中央継電装置の通信部がもつサンプリング同期の親局機能は、自走発振回路として動作し、端末装置の通信部は従属同期回路として動作することを、一義的に「ノードアドレス」で切り替えられるように設計されることで、回路設計を容易にする。
【0022】
(2)サンプリング同期ロジック
図3は、本実施形態によるサンプリング同期回路の構成図であり、多重分離装置100の伝送情報入出力部と共通にして通信ボード300に搭載される。200は中央継電装置MRまたは端末装置のリレー部RYになる継電装置である。
【0023】
サンプリング同期回路の説明の前に、多重分離装置100の概略構成を説明する。多重分離装置100は、中央通信装置MS、または端末装置RS(RS1〜RS3)の通信部TRに搭載され、図2の1系と2系のループ伝送路を通した多重情報伝送機能と、継電装置200との間で回線情報や監視情報などを多重/分離して授受する機能を集約して高集積化する。
【0024】
多重分離装置100は、伝送路との情報入出力手段として、1系の光−電気変換器(O/E)と2系の光−電気変換器(O/E)が接続され、これら光−電気変換器からの電気信号(1系のDATA1,ECLK1,2系のDATA2,ECLK2)が入力される。同様に、1系の電気−光変換器(E/O)と2系の電気−光変換器(E/O)が接続され、これら電気−光変換器からの光信号(1系のDATA1,ECLK1,2系のDATA2,ECLK2)が光伝送路に出力される。
【0025】
また、多重分離装置100には、中央継電装置MRまたはリレー部RYとの間で多重・分離した各個別の情報の入出力手段を備える。また、多重分離装置100を搭載する通信ボード300には、多重分離装置100とリレー部RY200との間の情報授受を管理する。
【0026】
次に、図3に示すサンプリング同期回路を説明する。図3において、伝送路を通したO/Eからの信号は、多重分離装置100中の1系受信インタフェース1から1系分離インタフェース21にて、図5に示すフレーム内のサンプリング同期用タイムスロット(SP)からサンプリング同期タイミング信号を抽出する。同様に、2系受信インタフェース2から2系分離インタフェース22にて、フレーム内のサンプリング同期用タイムスロットからサンプリング同期タイミング信号を抽出する。この動作は、サンプリング信号は、特許文献2で記載されているように、例えば50HzのようなSP同期信号と呼ばれる信号であり、この信号を192KHzの多点サンプリング回線を使用して、S/P、P/S変換する。S/P、P/S変換することで、中央継電装置と端末装置間でSP同期信号を授受して同時性を示す同期点を求める。
【0027】
中央継電装置(親局、マスター局)としての動作では、特許文献2に記載するように、1系SP送信タイミング回路(10)で発生させたタイミングで1系の伝送遅延T1を1系遅延測定回路23で測定して、監視・設定回路3のCPUがバス経由で処理を行う。同様に、2系SP送信タイミング回路11で発生させたタイミングで2系の伝送遅延T2を2系遅延測定回路24で測定して、監視・設定回路3のCPUがバス経由で処理を行う。
【0028】
端末装置(子局、スレーブ局)としての動作では、1系と2系の伝送路から得られたSP同期信号の伝送時間差T3を遅延測定回路25で測定し、この伝送時間差T3を監視・設定回路3のCPUが(T3/2)の演算処理により受信SPタイミング回路26にサンプリング同期点を設定することで、発振器27とDPLL28と位相比較器29との間で、従属同期をとる。その従属同期した信号を元に、逓倍回路30で、必要な周波数成分を作成して端末装置RSのリレー部RYで計測情報の同期したサンプリング信号(SP同期信号)に使用する。
【0029】
これらの機能を多重分離装置100を構成するICの中に集約することで、装置の小型化、低消費電力化を図る。
【0030】
なお、端末装置側でサンプリング信号(SP同期信号)で同時サンプリングした計測データは、多重分離装置100の送信タイミング回路9で送信タイミングが生成され、この送信タイミングで1系多重インタフェース10と2系多重インタフェース11で多重化し、1系送信選択回路13と2系送信選択回路14および1系送信インタフェース15と2系送信インタフェース16を経て伝送される。
【0031】
以上のように、中央継電装置と各端末装置で計測される系統信号の同時サンプリングは、サンプリング同期をとるための1系送受信回路と2系送受信回路とDPLL(ディジタルPLL)回路と、その結果必要とするタイミング信号を生成する回路を多重分離装置100と同じにIC化してその集積化を図ると共に通信ボード300に一体に実装できる。
【0032】
したがって、中央継電装置のサンプリング同期回路(親局モード)と端末装置のサンプリング同期回路(端末局モード)として共通化してFPGAに集約し、中央継電装置と端末装置では通信部のサンプリング同期1回路とリレー部のサンプリング同期2回路に別れていた2つのDPLL回路が1つに削減され、プリント板枚数を削減して効率的なサンプリング同期ができる。さらに、通信として必要な機能が多重分離装置100と統合、集約した設計ができ、ICにワンチップ化もできる。さらに、サンプリング同期の親局機能は、自走発振回路として動作し、端末側はスレーブ側であり従属同期回路して動作することを、一義的に「ノードアドレス」で切り替えられるように設計されることで、設計が容易となる。
【符号の説明】
【0033】
100 多重分離装置
200 リレー部
300 通信ボード
3 監視・設定回路
9 送信タイミング回路
10、11 多重インタフェース
13,14 送信選択回路
15,16 送信インタフェース
21,22 分離インタフェース(S/P、P/S)
23、24 遅延測定回路
25 遅延測定回路
26 受信SPタイミング回路
27 発振器
28 DPLL
29 位相比較器
30 逓倍回路
図1
図2
図3
図4
図5