(54)【発明の名称】電子カルテ装置、電子カルテシステム、電子カルテプログラム、電子カルテプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、処方参考量設定方法
【文献】
小児用薬剤の投与量の根拠,[online],2009年10月24日,[平成27年9月11日検索]、インターネット<URL:http://www.jmedj.co.jp/article/detail.php?article_id=4133>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記優先度の初期設定状態では、前記身体情報の同一項目を用いる導出手法について、患者の当該項目の値と当該項目の予め設定された複数の範囲ごとに対応する処方量参考値とに基づいて医薬品の処方参考量を導出する手法が、患者の当該項目の値と当該項目の単位量あたりの処方参考量とに基づいて医薬品の処方参考量を導出する手法に比べて前記優先度が高く設定されている請求項1に記載の電子カルテ装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
[電子カルテシステムX]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る電子カルテシステムXは、サーバ装置Y及び複数のクライアント装置Zを備えている。前記サーバ装置Y及び前記クライアント装置Zは、LAN又はインターネット等の通信ネットワーク20で通信可能に接続されている。ここに、前記クライアント装置Z各々が本発明に係る電子カルテ装置に該当する。
なお、前記電子カルテシステムXは、バックアップのために複数の前記サーバ装置Yを備えるものであってもよい。また、前記電子カルテシステムXは、前記サーバ装置Y及び前記クライアント装置Zをそれぞれ1台のみ備える構成であってもよい。さらに、前記クライアント装置Zが前記サーバ装置Yの機能を兼ねたものであってもよく、この場合前記クライアント装置Zが本発明に係る電子カルテシステムに相当する。なお、本実施の形態で説明しない点については従来構成(例えば特許文献1参照)を採用すればよい。
【0015】
[サーバ装置Y]
図2に示すように、前記サーバ装置Yは、通信インターフェース11及び記憶装置12を備えている。前記通信インターフェース11及び前記記憶装置12はバス13によって接続されている。なお、前記サーバ装置Yには前記サーバ装置Yを制御するCPUなどの制御装置も設けられている。
前記通信インターフェース11は、前記通信ネットワーク20を介して前記クライアント装置Zとの間でデータ通信を行う通信モデムなどを有する。また、前記通信インターフェース11は、前記クライアント装置Z等の外部装置から前記通信ネットワーク20を通じた前記サーバ装置Yへのアクセスについて例えば認証制御及び排他制御などを実行する。
【0016】
前記記憶装置12は、患者各々の診療に関する診療情報が記録される電子カルテ及び患者情報(身体情報など)などを蓄積して記憶するハードディスク又はフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置である。前記電子カルテシステムXでは、前記クライアント装置Zにおいて入力された電子カルテ及び患者情報が前記サーバ装置Yの前記記憶装置12に蓄積記憶される。また、前記記憶装置12に記憶された電子カルテ及び患者情報は、医師により前記クライアント装置Zを用いて参照及び編集される。
なお、1回(1日)の診察に関する電子カルテには、「S」、「O」、「A」、「P」、「指導」の各項目に分類された診療情報が記録される。ここに、「S」は主観情報(Subjective Information)であって、患者が主観的に感じている症状などに関する情報である。「O」は客観情報(Objective Information)であって、医師の診療所見及び検査所見などに関する情報である。「A」は評価情報(Assessment Information)であって、医師の評価及び判断などに関する情報である。「P」は計画情報(Plan Information)であって、投薬及び治療計画などに関する情報である。「指導」は指導情報であって、患者への教育及び指導などに関する情報である。
【0017】
さらに、前記記憶装置12には、医薬品マスター121、小児換算マスター122、優先度マスター123、病名マスター124、医療行為マスター125等の各種データベースが記憶されている。前記記憶装置12に記憶された各種データベースは、前記クライアント装置Zによって参照又は編集することが可能である。なお、前記各種データベースは、前記クライアント装置Z各々に記憶されたものであってもよい。
前記医薬品マスター121は、医薬品ごとに対応する医薬品名、医薬品コード、薬効、添付文書などの情報を含むものである。前記小児換算マスター122は、患者が15歳未満の小児である場合に医薬品の処方参考量(常用量とも称される)を導出する際に用いられる情報を含むものである。前記処方参考量は、医師が医薬品の処方量を決定する際にそのまま適用し或いは処方量を決定するために参考にする情報である。前記優先度マスター123は、前記小児換算マスター122に基づいて処方参考量を算出する際に使用可能な複数の導出手法の優先度に関する情報を含むものである。前記病名マスター124は、病名各々の症状などに関する情報を含むものである。前記医療行為マスター125は、各医薬品の服用方法や身体のどの部位の症状であるか等に関する情報を含むものである。
【0018】
ここで、前記医薬品マスター121、前記小児換算マスター122、及び前記優先度マスター123の具体例について説明する。
下記表1は、前記医薬品マスター121に登録された医薬品のうち「カロナールシロップ2%」に対応する情報の要部を示している。下記表1に示すように、前記医薬品マスター121では、医薬品ごとに換算力価、換算処方、換算包装、薬価単位、力価、処方、包装がそれぞれ対応付けて記憶されている。なお、前記医薬品マスター121のデータは、初期設定作業又はバージョンアップ作業により登録、変更、又は削除される。
【表1】
上記表1において、「医薬品」は医薬品名を示している。また、「換算力価」は薬価を力価単位に換算するための換算係数、「換算処方」は薬価を処方単位に換算するための換算係数、「換算包装」は薬価を包装単位に換算するための換算係数を示している。具体的に、「換算力価」、「換算処方」は、「薬価」を1としたときの「力価」、「処方」の値である。また、「換算包装」は、「包装」の値を1としたときの薬価の値である。さらに、「薬価単位」は医薬品の点数算出の基準となる薬価を表すときの単位、「力価」は医薬品に含まれる薬効成分の値を表すときの単位、「処方」は医薬品を処方する際の単位、「包装」は医薬品を包装単位で処方する際の単位を示している。
例えば、上記表1のデータは、「カロナールシロップ2%」の薬価単位が「ml」であり、1「ml」の薬価を力価単位に換算すると1×「20」で20「mg」、処方単位に換算すると1×「1」で1「ml」、包装単位に換算すると1/「500」で0.002「本」であることを示している。
【0019】
下記表2は、前記小児換算マスター122に登録された医薬品のうち「カロナールシロップ2%」に対応する情報の要部を示している。下記表2に示すように、前記小児換算マスター122では、医薬品ごとに登録単位、タイプ、下限、上限、換算値がそれぞれ対応付けて記憶されている。なお、前記小児換算マスター122の各データは、後述の小児換算マスター設定処理(
図5及び
図6参照)において登録、変更、又は削除され、後述の医薬品オーダー処理(
図11及び
図12参照)で用いられる。
【表2】
上記表2において、「医薬品」は医薬品名を示している。「登録単位」は「換算値」に対応する単位の種別を示しており、例えば「薬価」、「力価」、「処方」、「包装」などがある。「タイプ」は医薬品の処方参考量を導出する際の導出手法の種別を示しており、前記導出手法の種別には、例えば「体重1kgあたり」、「体重枠」、「年齢枠」などがある。なお、複数の前記導出手法の具体的内容は前記サーバ装置Yの記憶装置12に予め記憶されている。「下限」及び「上限」は、「タイプ」が「体重枠」又は「年齢枠」である場合に用いられ、「体重枠」における体重範囲又は「年齢枠」における年齢範囲を定めるものである。「換算値」は「登録単位」で登録した医薬品の処方参考量の値を示すものである。
例えば、上記表2の最上段のデータは、「カロナールシロップ2%」の処方参考量を、「体重枠」の導出手法を用いて決定する際、患者の体重が「0kg」以上「5kg」未満である場合には、「薬価」の値が「2.3ml」であることを示している。また、上記表2の最下段のデータは、「カロナールシロップ2%」の処方参考量を、「体重1kgあたり」の導出手法を用いて決定する際、患者の体重1kgあたり(単位体重あたり)の「薬価」の値が「0.5ml」であることを示している。このように、前記小児換算マスター122では、医薬品ごとに異なる複数のタイプの導出手法及び用量基準を設定しておくことが可能である。
以下、本実施の形態では、医薬品の処方参考量を導出する際の導出手法として「体重1kgあたり」、「体重枠」、「年齢枠」の3つが予め定められている場合を例に挙げて説明するが、導出手法はこれに限らない。例えば、患者の「身長」、「体重」、「体表面積」、「性別」、「年齢」、「BMI」など、各種の患者の身体情報を用いた導出手法を採用すればよい。また、複数の身体情報を組み合わせて用いる導出手法も考えられる。
【0020】
下記表3は、前記優先度マスター123に登録された医薬品のうち「カロナールシロップ2%」に対応する情報の要部を示している。下記表3に示すように、前記優先度マスター123では、医薬品ごとにタイプ及び優先度がそれぞれ対応付けて記憶されている。なお、前記優先度マスター123の各データは、後述の小児換算マスター設定処理において設定又は変更され、後述の医薬品オーダー処理(
図11及び
図12参照)で用いられる。
【表3】
上記表3において、「医薬品」は医薬品名を示している。「タイプ」は導出手法の種別を示しており、「体重1kgあたり」、「体重枠」、「年齢枠」のいずれかである。「優先度」は「タイプ」に対応する導出手法を使用する優先順番を示している。例えば、上記表3において、「カロナールシロップ2%」の処方参考量を決定する際に用いる導出手法は「体重枠」が優先度「1」であり、「体重1kgあたり」が優先度「2」であることを示している。即ち、前記優先度を定めることで、複数のタイプの導出手法が設定された医薬品について、処方参考量を導出する際にいずれの導出手法を用いるかを定めることになる。
【0021】
[クライアント装置Z]
一方、
図2に示すように、前記クライアント装置Zは、CPU1、ROM2、RAM3、データ記憶部4、通信インターフェース5、操作入力装置6及び表示装置7などを備えたコンピュータである。前記クライアント装置Zに設けられた各構成要素はバス10によって接続されている。前記通信インターフェース5は、前記通信ネットワーク20を介して前記サーバ装置Yとの間でデータ通信を行う通信モデムなどを有する。
【0022】
前記CPU1は、各種の制御プログラムに従って各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROM2は、前記CPU1により実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAM3は、前記CPU1による各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
【0023】
前記データ記憶部4は、前記CPU1によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータが記憶された不揮発性のハードディスク、フラッシュメモリ等である。具体的に、前記データ記憶部4には、前記CPU1に後述の小児換算マスター設定処理(
図5及び
図6参照)、医薬品オーダー処理(
図11及び
図12参照)などの各処理手順を実行させる電子カルテプログラムが記憶されている。例えば、前記電子カルテプログラムはC言語(Microsoft社のC/C++及びVisual C/C++(登録商標)など)で記述されたものである。
前記電子カルテプログラムは、例えばCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体から前記クライアント装置Zにインストールされる。ここに、前記電子カルテプログラムが記録されたCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体が、本発明に係る記録媒体に該当する。なお、前記電子カルテプログラムがインストールされた後の前記データ記憶部4も本発明に係る記録媒体に該当する。ところで、本発明は、前記クライアント端末Zの各機能を実現するために、該クライアント端末Zにより各処理工程を実行する電子カルテ表示方法の発明として捉えることもできる。
【0024】
前記操作入力装置6は、医師などのユーザーが前記クライアント装置Zへの各種情報の入力に使用するユーザインターフェースである。具体的に、前記操作入力装置6は、指又はタッチペンによる各種情報の入力を受け付けるべく前記表示装置7に配置されたタッチパネルを有している。また、前記操作入力装置6は、各種情報を入力するために用いられるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を有している。以下、前記表示装置7の表示画面上における「選択」及び「操作」とは、医師、看護士、技師、及び事務員などのユーザーにより前記操作入力装置6のタッチパネル、マウス、又はキーボードを用いて行われる作業を意味する。なお、前記操作入力装置6は、音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声操作入力装置を有するものであってもよい。
【0025】
前記表示装置7は、前記CPU1からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示手段である。例えば、
図3は、前記CPU1が前記表示装置7に表示させる受診リスト画面31の一例を示している。前記受診リスト画面31は、医師が診察対象となる患者を選択するための患者リスト32が配置された操作画面である。前記受診リスト画面31は、前記電子カルテシステムXに接続された不図示の受付端末等で入力され、前記サーバ装置Yの前記記憶装置12に記憶された受診リスト情報に基づいて前記CPU1によって生成される。
そして、前記患者リスト32から例えば患者33が選択され、前記受診リスト画面31に表示されたカルテ表示キー34が操作されると、前記CPU1は前記患者33の電子カルテを前記サーバ装置Yから読み出して前記表示装置7に表示させる。このとき、前記CPU1は、前記電子カルテを含む各種の情報を予め定められた画面レイアウトに従って配置したカルテ表示画面40(
図4参照)の描画データを生成し、該描画データを前記表示装置7に出力する。これにより、前記表示装置7は、前記CPU1から入力された前記描画データに基づいて、前記電子カルテを含む各種の情報が既定の位置に配置されたカルテ表示画面40を表示する。
【0026】
<カルテ表示画面>
ここで、
図4を参照しつつ前記表示装置7に表示されるカルテ表示画面40について説明する。
図4に示すように、前記CPU1は、前記表示装置7の表示画面を四つに分割し、過去カルテ表示部41、現在カルテ表示部42、患者情報表示部43、及び操作キー表示部44を同一画面上に表示させる。具体的に、前記CPU1は、前記カルテ表示部40の上段を左右(幅方向)に均等に分割し、前記過去カルテ表示部41及び前記現在カルテ表示部42を左右方向に並べて表示させる。また、前記CPU1は、前記カルテ表示部40の下段を左右(幅方向)に均等に分割し、前記患者情報表示部43及び前記操作キー表示部44を左右方向に並べて表示させる。
【0027】
前記過去カルテ表示部41は、前記CPU1により前記サーバ装置Yの記憶装置12から読み出された過去の電子カルテに記憶された診療情報が配置される画面である。また、前記現在カルテ表示部42は、現在入力対象の電子カルテの診療情報が配置される画面である。なお、
図4に示すように、前記過去カルテ表示部41及び前記現在カルテ表示部42各々の内部は更に左右に分割されており、左側に「S」、「O」、「A」、「P」「指導」の項目がこの順で表示され、右側に「P」の項目について保険診療点数などの計算に必要な医薬品の処方参考量及び処置内容などの情報が表示される。この点は、従来のカルテ2号紙と同様である。
【0028】
前記患者情報表示部43には、前記受診リスト画面31で選択された患者の個人情報、診療履歴情報、及び身体情報などが表示される。例えば、患者の身体情報には、患者の体重、年齢、身長、BMI、性別、体表面積などが含まれる。このとき、前記CPU1は、前記サーバ装置Yの記憶装置12から前記患者の個人情報、診療履歴情報、及び身体情報などを取得し、前記患者情報表示部43に表示させる。ここに、前記患者の身体情報を前記記憶装置12から読み出して取得するための処理を実行するときの前記CPU1が身体情報取得手段に相当する。ここで取得された前記患者の身体情報は、後述の医薬品オーダー処理(
図11及び
図12参照)においても用いられる。なお、前記患者の身体情報は、前記CPU1によって前記記憶装置12から読み出されるものに限らない。例えば、前記CPU1が、診察時などに行われる前記操作入力部6のユーザー操作に応じて取得するものであってもよい。
【0029】
また、前記操作キー表示部44には、前記現在カルテ表示部42に表示された電子カルテに各種の診療情報を入力するために用いられるキーパッド44Aなどが表示される。前記キーパッド44Aは、前記操作入力装置6のタッチパネル、マウス、キーボードのテンキーなどを用いて医師などのユーザーにより操作される複数の操作キーを有している。
具体的に、前記キーパッド44Aは、電子カルテを編集するために用いられる複数の編集操作キー441、及び前記電子カルテの診療情報のうち編集対象となる項目「S」、「O」、「A」、「P」を選択するために用いられる複数の項目選択キー442を有している。前記キーパッド44Aは、前記編集操作キー441及び前記項目選択キー442各々が縦横に格子状に配置されたマトリクス構造を有している。そして、前記CPU1は、前記編集操作キー441及び前記項目選択キー442各々の操作に応じて前記編集操作キー441各々の表示内容を予め設定された表示順に従って変化させる。これにより、前記クライアント装置Zでは、前記現在カルテ表示部42に表示される診療情報の編集を行うために必要な全ての操作機能が前記キーパッド44Aに集約されている。従って、前記クライアント装置Zでは、前記キーパッド44Aのみを用いて全ての項目の診療情報を編集することが可能である。
【0030】
<小児換算マスター設定処理>
上述のように構成された前記クライアント装置Zは、前記サーバ装置Yの記憶装置12に記憶された前記小児換算マスター122及び前記優先度マスター123をユーザー操作に応じて任意に設定する小児換算マスター設定機能を有している。具体的に、前記小児換算マスター設定機能によれば、医薬品の処方参考量を患者の身体情報に基づいて導出する複数の異なる導出手法のうち当該医薬品の処方参考量を導出する際に使用する導出手法を医薬品ごとに任意に設定することができる。
前記クライアント装置Zでは、前記CPU1が前記電子カルテプログラムに従って後述の小児換算マスター設定処理(
図5及び
図6)を実行することにより前記小児換算マスター設定機能が具現される。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU1が導出手法設定手段及び用量基準設定手段に相当する。
【0031】
以下、
図5及び
図6のフローチャートを参照しつつ、前記CPU1が前記電子カルテプログラムに従って実行する小児換算マスター設定処理の手順の一例について説明する。なお、図示するS101、S102、…及びS201、S202、…は前記CPU1が実行する処理手順(ステップ)番号を示す。また、
図7〜
図10は、前記小児換算マスター設定処理の実行中における前記表示装置7の表示画面の一例を示している。
【0032】
(ステップS101)
図5に示すように、まず、ステップS101において、前記CPU1は、前記小児換算マスター122のメンテナンス開始操作を待ち受ける(S101のNo側)。例えば、前記CPU1は、ユーザーによる前記操作入力部6の操作により前記電子カルテプログラムの初期設定画面が開かれ、その初期設定画面において「小児換算マスターメンテナンス」が選択された場合に前記メンテナンス開始操作が行われたと判断する。そして、前記小児換算マスター122のメンテナンスを開始するための操作入力が行われると(S101のYes側)、前記CPU1は処理をステップS102に移行させる。
【0033】
(ステップS102)
次に、ステップS2において、前記CPU1は、前記小児換算マスター122に既に登録された医薬品の情報を一覧表示する医薬品選択画面A11(
図7参照)を前記表示装置7に表示させる。なお、前記CPU1は、前記サーバ装置Yの記憶装置12に記憶された前記小児換算マスター122及び前記優先度マスター123を読み出し、前記小児換算マスター122及び前記優先度マスター123に基づいて前記医薬品選択画面A11を表示させる。
具体的に、前記医薬品選択画面A11の初期画面には、
図7に示すように、前記小児換算マスター122に既に登録された医薬品ごとに、「登録」、「名称」、「メーカー」、「体重1kgあたり」、「体重枠」、「年齢枠」の各情報を含む設定データD11が表示されている。前記設定データ11において、「名称」は医薬品名、「メーカー」は医薬品の製造会社を示している。「登録」は、前記小児換算マスター122に既に登録されているか否かを示すものであって、既に登録されている医薬品の「登録」の欄にはフラグが表示され、未登録の医薬品の「登録」の欄にはフラグが表示されない。「体重1kgあたり」、「体重枠」、「年齢枠」の各欄は、前記優先度マスター123で設定された医薬品ごとの導出手法の優先度を示している。例えば、
図7に示す設定データD11の上から3段目のデータは、「レニベース錠」の処方参考量の導出手法の優先度は、「体重枠」が「1」、「体重1kgあたり」が「2」、「年来枠」が「3」であることを示している。
【0034】
また、
図7に示すように、前記医薬品選択画面A11には、ユーザーによる操作入力を受け付ける操作部K11〜K15が表示されている。
前記操作部K11は、医薬品を検索するための操作入力が行われる操作部である。具体的に、前記CPU1は、ユーザーによる前記操作部K11への操作入力により検索条件が入力されて検索が要求されると、その検索条件を満たす医薬品を前記医薬品マスター121及び前記小児換算マスター122から抽出して前記医薬品選択画面A11に表示させる。このとき、前記CPU1は、「未登録項目の表示」にチェックが入っていれば検索範囲を前記医薬品マスター121及び前記小児換算マスター122とし、チェックが入っていなければ検索範囲を前記小児換算マスター122のみとする。
前記操作部K12〜K14は、前記小児換算マスター122の編集内容を選択するための操作部であり、前記操作部K12は「新規」、前記操作部K13は「修正」、前記操作部K14は「削除」にそれぞれ対応するものである。なお、前記操作部K15は、前記医薬品選択画面A11を閉じるための操作部であって、前記CPU1は前記操作部K15の操作に応じて前記医薬品選択画面A11を閉じる。
【0035】
(ステップS103)
続いて、ステップS103において、前記CPU1は、前記医薬品選択画面A11に表示された医薬品のいずれかが選択されたか否かを判断する。そして、前記CPU1は、医薬品が選択されたと判断すると(S103のYes側)、処理をステップS104に移行させ、選択されていないと判断している間は(S103のNo側)、処理を当該ステップS103で待機させる。
【0036】
(ステップS104)
ステップS104において、前記CPU1は、前記ステップS103で選択されたと判断した医薬品が、前記小児換算マスター122に既登録の医薬品であるか否かを判断する。ここで、医薬品が既登録であると判断されると(S104のYes側)、前記CPU1は、前記操作部K12をグレイアウト表示すると共に、処理をステップS131に移行させる。具体的に、
図7は、前記医薬品選択画面A11の最下段に表示された既登録の医薬品「レメロン錠15mg」が選択され、前記操作部K12がグレイアウト表示された状態を示している。一方、医薬品が未登録であると判断されると(S104のNo側)、前記CPU1は、前記操作部K13及び前記操作部K14をグレイアウト表示すると共に、処理をステップS105に移行させる。
【0037】
(ステップS105)
ステップS105において、前記CPU1は、前記操作部K12の操作により新規の登録開始操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記CPU1は、前記操作部K12が操作されると(S105のYes側)、処理をステップS106に移行させ、前記操作部K12が操作されなければ(S105のNo側)、処理を前記ステップS103に移行させる。
【0038】
(ステップS106)
ステップS106において、前記CPU1は、前記ステップS103で選択されたと判断した医薬品を前記小児換算マスター122に新規登録する。具体的に、前記CPU1は、前記医薬品マスター121に記憶された前記医薬品の情報の一部を前記小児換算マスター122にコピーする。例えば、前記医薬品マスター121に、前記小児換算マスター122の医薬品の登録単位、タイプ、下限、上限、換算値などに相当する情報が含まれている場合には、その情報が小児換算マスター122に登録される。一方、前記医薬品マスター121に、前記小児換算マスター122の医薬品の登録単位、タイプ、下限、上限、換算値などに相当する情報が含まれていない場合、前記CPU1は、これらの情報が空白のデータを前記小児換算マスター122に登録する。
【0039】
(ステップS131)
一方、ステップS131において、前記CPU1は、前記操作部K13の操作により修正の開始操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記CPU1は、前記操作部K13が操作されると(S131のYes側)、処理をステップS107に移行させ、前記操作部K13が操作されなければ(S131のNo側)、処理をステップS132に移行させる。
【0040】
(ステップS132)
ステップS132において、前記CPU1は、前記操作部K14の操作により削除の開始操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記CPU1は、前記操作部K14が操作されると(S132のYes側)、処理をステップS133に移行させ、前記操作部K14が操作されなければ(S132のNo側)、処理を前記ステップS103に移行させる。
【0041】
(ステップS133)
ステップS133において、前記CPU1は、前記ステップS103で選択されたと判断した医薬品を前記小児換算マスター122から削除するための処理を実行する。なお、前記CPU1は、当該削除の処理において、その既登録の医薬品を前記小児換算マスター122から本当に削除するか否かを確認するための確認画面を表示する。そして、前記CPU1は、前記確認画面において確認操作がなされた場合に、その既登録の医薬品を前記小児換算マスター122から削除する。前記CPU1は、前記医薬品の削除後、処理を前記ステップS102に移行させる。
【0042】
(ステップS107〜S108)
ステップS107において、前記CPU1は、前記ステップS103で選択されたと判断した医薬品、又は前記ステップS106で新規に登録された医薬品に対応する用量基準を任意に設定するための用量基準設定画面を前記表示装置7に表示させる。ここに、前記用量基準は、患者の身体情報と医薬品の処方参考量との対応関係を示すものである。
具体的に、前記CPU1は、前記医薬品の処方参考量を決定する際に用いる導出手法の種別に応じて、
図8〜
図10に示す用量基準設定画面A12〜A14のいずれかを表示させる。ここに、前記用量基準設定画面A12は導出手法が「体重1kgあたり」である場合、前記用量基準設定画面A13は導出手法が「体重枠」である場合、前記用量基準設定画面A14は導出手法が「年齢枠」である場合にそれぞれ対応している。なお、前記用量基準設定画面A12〜A14の表示内容及び表示形態は一例に過ぎない。例えば前記用量基準設定画面A12〜A14の表示内容を1画面に表示させ、前記医薬品の処方参考量を決定する際に用いる導出手法の選択に応じて不要な領域をグレイアウト表示することも他の実施形態として考えられる。
【0043】
前記ステップS107で最初に表示される用量基準設定画面は、予め初期設定などによって設定された導出手法に対応する前記用量基準設定画面A12〜A14のいずれかである。
例えば、前記用量基準設定画面A12が前記ステップS107における初期表示画面として設定されていることが考えられる。但し、前記CPU1は、既登録の医薬品の用量基準を設定する場合には、既に登録された用量基準に応じて前記用量基準設定画面A12〜A14のいずれかを表示させる。なお、既に登録された用量基準が複数存在する場合、前記CPU1は、予め定められた規則に従って前記用量基準のいずれかを選択し、その用量基準に応じて前記用量基準設定画面A12〜A14のいずれかを表示させる。また、未登録の医薬品の用量基準を設定する際、前記CPU1は、前記医薬品の用量基準が前記医薬品マスター121に登録されている場合には、前記CPU1がその用量基準に応じて前記用量基準設定画面A12〜A14のいずれかを自動的に選択して表示させる。
その後、前記CPU1は、続くステップS108において、前記用量基準設定画面A12〜A14のいずれかに従って医薬品の用量基準の設定登録処理を実行し、前記小児換算マスター設定処理を終了させる。なお、前記ステップS108における設定登録処理については後段で詳述する。
【0044】
ここで、
図8〜
図10を用いて前記用量基準設定画面A12〜A14について説明する。
【0045】
<用量基準設定画面A12>
図8に示すように、前記用量基準設定画面A12の上段には、医薬品の名称、メーカー、用法・用量などの情報を含む医薬品表示部D12が表示されている。なお、前記医薬品表示部D12の表示内容は、医薬品に添付される添付文書に記載された内容であり、前記CPU1は、前記医薬品マスター121に記憶された医薬品各々の添付文書の情報に基づいて前記医薬品表示部D12を表示させる。
また、前記用量基準設定画面A12の右下端部には、前記用量基準設定画面A12における設定内容を前記小児換算マスター122に登録するための操作部K31と、前記用量基準設定画面A12を閉じるため操作部K32が表示されている。
【0046】
そして、前記用量基準設定画面A12の中段には、当該医薬品の処方参考量を決定する際に用いる導出手法を選択するための操作部K21〜K23が表示されている。具体的に、前記操作部K21は「体重1kgあたり」、前記操作部K22は「体重枠」、前記操作部K23は「年齢枠」にそれぞれ対応するものである。前記用量基準設定画面A12は、「体重1kgあたり」の導出手法に対応するものであるため、前記操作部K21が他の前記操作部K22、K23とは異なる色又はハイライトで表示されている。
【0047】
さらに、前記操作部K21〜K23の右には、後述の医薬品オーダー処理(
図11及び
図12参照)において、前記医薬品マスター121に登録された医薬品の常用量に従って医薬品の処方参考量の適否を判断するか否かを選択する操作部K24が表示されている。前記常用量とは、医薬品ごとに処方参考量の適正値として予め定められるものである。
そして、前記操作部K24にチェックが付けられた場合、前記CPU1は、後述の医薬品オーダー処理において、前記医薬品マスター121に登録された医薬品の常用量に従って医薬品の処方参考量の適否を判断する。これにより、前記小児換算マスター122の登録内容にかかわらず、前記医薬品マスター121で定められた常用量の範囲外の処方が実行されることは防止される。
【0048】
また、前記用量基準設定画面A12の下段左側には、1日分に対応する用量基準を設定するための操作部K25と、1回分に対応する用量基準を設定するための操作部K26と、処方参考量を算出する際の小数点の有効桁数を設定するための操作部K27及び操作部K28とが表示されている。なお、1日分の用量基準は医薬品が内服として処方される場合に参照され、1回分の用量基準は医薬品が頓服として処方される場合に参照される。
【0049】
前記操作部K25には、チェックボックスCH25、登録単位選択部K251、換算値入力部K252、上限値設定部K253、及び下限値設定部K254が表示されている。また、前記操作部K26にも、前記操作部K25と同様に、チェックボックスCH26、登録単位選択部K261、換算値入力部K262、上限値設定部K263、及び下限値設定部K264が表示されている。前記CPU1は、前記チェックボックスCH25、CH26にチェックがある場合に前記操作部K25、K26内の情報の編集を可能とし、チェックがない場合には前記操作部K25、K26をグレイアウト表示する。
【0050】
前記登録単位選択部K251、K262は、医薬品の換算値の登録単位を選択するための操作部であり、プルダウンメニューなどによって「薬価」、「力価」、「処方」、「包装」などの登録単位のいずれかを任意に選択して変更することが可能である。ここで、前記CPU1は、前記用量基準設定画面A12〜A14のそれぞれの初期表示時、即ちある医薬品について初めて用量基準を設定する際に、前記登録単位選択部K251、K262の選択状態を予め定められた「薬価」又は「力価」とする。これは、医薬品の添付文書に記載された用量基準において、医薬品の処方参考量は薬価単位又は力価単位で定められていることが多いためである。これにより、ユーザーが前記登録単位選択部K251、K262、又は後述の登録単位選択部K411,421、K511、K521を操作して登録単位を切り替える手間をできるだけ省略させることができる。
前記換算値入力部K252は、前記登録単位選択部K251で選択された登録単位で示した体重1kgあたりの1日の処方参考量の換算値を入力するための操作部である。また、前記換算値入力部K262は、前記登録単位選択部K251で選択された登録単位で示した体重1kgあたりの1回の処方参考量の換算値を入力するための操作部である。なお、当該導出手法は体重の単位量「1kg」あたりの処方参考量を設定するものであるが、前記用量基準設定画面A12において単位量「1kg」が任意の単位量に変更可能な構成であってもよい。
前記上限値設定部K253及び前記下限値設定部K254は、医薬品の1日の常用量として上限値及び下限値を設定するための操作部である。また、前記上限値設定部K263及び前記下限値設定部K264は、医薬品の1回の常用量として上限値及び下限値を設定するための操作部である。
【0051】
前記操作部K27は、医薬品の処方参考量の算出時に有効とする小数点桁数を設定するための操作部である。また、前記操作部K28は、医薬品の処方参考量の算出時に実行する桁落ち処理の種類を選択するための操作部であり、例えば「四捨五入」、「切り上げ」、「切り捨て」が選択可能である。そして、前記CPU1は、後述の医薬品オーダー処理(
図11のS305)において、前記操作部K27に入力された小雨点桁数で医薬品の処方参考量を算出し、前記操作部K28で選択された「四捨五入」、「切り上げ」、「切り捨て」のいずれかに応じて桁落ち処理を実行する。
【0052】
さらに、前記用量基準設定画面A12の下段右側には、医薬品の処方参考量を算出する際に用いる導出手法の優先度を設定するための操作部K29が表示されている。具体的に、前記操作部K29には、導出手法を選択するための導出手法選択部K291、選択中の導出手法の優先度を一つ上げるための上移動キーK292、及び選択中の導出手法の優先度を一つ下げるための下移動キーK293が表示されている。
【0053】
例えば、
図8では、「セキタールシロップ0.2%」の1日分に対応する用量基準として、換算値の単位が薬価であり、体重1kgあたりの換算値が0.5ml、上限値が10.0ml、下限値が1.0mlであることが設定されている。また、
図8では、「セキタールシロップ0.2%」の処方参考量を算出する際に用いる導出手法の優先度として、「体重1kgあたり」が優先度「1」、「体重枠」が優先度「2」、「年齢枠」が優先度「3」に設定されている。
【0054】
<用量基準設定画面A13>
図9に示すように、前記用量基準設定画面A13では、前記用量基準設定画面A12における前記操作部K25〜K28に代えて、操作部K41及び操作部K42が表示されている。前記操作部K41は、1日分に対応する用量基準を設定するための操作部であり、前記操作部K42は、1回分に対応する用量基準を設定するための操作部である。また、前記用量基準設定画面A13は、「体重枠」の導出手法に対応するものであるため、前記操作部K22が他の前記操作部K21、K23とは異なる色又はハイライトで表示されている。なお、ここで説明しない箇所については前記用量基準設定画面A12と同様である。
【0055】
前記操作部K41には、チェックボックスCH41、登録単位選択部K411、換算値入力部K412が表示されている。また、前記操作部K42には、チェックボックスCH42、登録単位選択部K421、換算値入力部K422が表示されている。前記CPU1は、前記チェックボックスCH41、CH42にチェックがある場合に前記操作部K41、CH42内の情報の編集を可能とし、チェックがない場合には前記操作部K41、K42をグレイアウト表示する。
前記登録単位選択部K411、K421は、医薬品の換算値の登録単位を選択するための操作部であり、プルダウンメニューなどによって「薬価」、「力価」、「処方」、「包装」などの登録単位のいずれかを選択することが可能である。
前記換算値入力部K412、K422は、複数の体重枠と前記体重枠ごとに対応する換算値とを設定するための操作部である。具体的に、前記換算値入力部K412では、操作部K413の操作により体重枠が1行追加され、操作部K414の操作により体重枠が1行削除される。同じく前記換算値入力部K422では、操作部K423の操作により体重枠が1行追加され、操作部K424の操作により体重枠が1行削除される。そして、前記換算値入力部K412、K422に表示された体重枠各々では、体重の下限及び上限と換算値とをそれぞれ個別に設定することが可能である。従って、前記換算値入力部K412、K422では、例えば添付文書の記載に合わせて体重の下限及び上限を任意に設定することにより任意の体重範囲ごとに換算値を設定することができる。
【0056】
例えば、
図9では、「カロナールシロップ2%」の1日分に対応する用量基準として、換算値の単位が薬価であり、換算値は、0.0kg以上5.0kg未満は2.5ml、5.0kg以上10.0kg未満は5.0ml、10.0kg以上20.0kg未満は10.0ml、20.0kg以上は15.0mlであることが設定されている。
【0057】
<用量基準設定画面A14>
図10に示すように、前記用量基準設定画面A14では、前記用量基準設定画面A12における前記操作部K25〜K28に代えて、操作部K51及び操作部K52が表示されている。前記操作部K51は、1日分に対応する用量基準を設定するための操作部であり、前記操作部K52は、1回分に対応する用量基準を設定するための操作部である。また、前記用量基準設定画面A14は、「年齢枠」の導出手法に対応するものであるため、前記操作部K23が他の前記操作部K21、K22とは異なる色又はハイライトで表示されている。なお、ここで説明しない箇所については前記用量基準設定画面A12と同様である。
【0058】
前記操作部K51には、チェックボックスCH51、登録単位選択部K511、換算値入力部K512が表示されている。また、前記操作部K52には、チェックボックスCH52、登録単位選択部K521、換算値入力部K522が表示されている。前記CPU1は、前記チェックボックスCH51、CH52にチェックがある場合に前記操作部K51、CH52内の情報の編集を可能とし、チェックがない場合には前記操作部K51、K52をグレイアウト表示する。
前記登録単位選択部K511、K521は、医薬品の換算値の登録単位を選択するための操作部であり、プルダウンメニューなどによって「薬価」、「力価」、「処方」、「包装」などの登録単位のいずれかを選択することが可能である。
前記換算値入力部K512、K522は、複数の年齢枠と前記年齢枠ごとに対応する換算値とを設定するための操作部である。具体的に、前記換算値入力部K512では、操作部K513の操作により年齢枠が1行追加され、操作部514の操作により年齢枠が1行削除される。同じく、前記換算値入力部K522では、操作部K523の操作により年齢枠が1行追加され、操作部524の操作により年齢枠が1行削除される。そして、前記換算値入力部K512、K522に表示された年齢枠各々では、年齢の下限及び上限と換算値とをそれぞれ個別に設定することが可能である。従って、前記換算値入力部K512、K522では、例えば添付文書の記載に合わせて年齢の下限及び上限を任意に設定することにより任意の年齢範囲ごとに換算値を設定することができる。
【0059】
例えば、
図10では、「アトックドライシロップ40μg」の1日分の用量基準として、換算値の単位が薬価であり、換算値は、0歳0ヶ月以上1歳0ヶ月未満は0.5ml、1歳0ヶ月以上4歳0ヶ月未満は1.0ml、4歳0ヶ月以上7歳0ヶ月未満は1.5ml、7歳0ヶ月以上10歳0ヶ月未満は2.0ml、10歳0ヶ月以上12歳0ヶ月未満は3.0ml、12歳0ヶ月以上15歳0ヶ月未満は4.0mlであることが設定されている。
【0060】
<設定登録処理>
続いて、
図6を参照しつつ、前記ステップS108で実行される前記設定登録処理の手順の一例について説明する。
【0061】
(ステップS201)
まず、ステップS201において、前記CPU1は、前記用量基準設定画面A12〜A14において、導出手法の選択が変更されたか否かを判断する。具体的に、前記CPU1は、前記操作部K21〜K23のうち現在選択中の操作部と別の操作部が操作されたか否かを判断する。例えば、前記用量基準設定画面A12(
図8参照)の状態では、前記CPU1は、前記操作部K22又は前記操作部K23が操作されたか否かを判断する。
ここで、前記導出手法の選択が変更された場合(S201のYes側)、処理はステップS202に移行する。また、前記導出手法の選択が変更されていない場合(S201のNo側)、処理はステップS203に移行する。
【0062】
(ステップS202)
ステップS202において、前記CPU1は、その選択された導出手法に対応する前記用量基準設定画面A12〜A14(
図8〜
図10参照)のいずれかを前記表示装置7に表示させる。
【0063】
(ステップS203)
ステップS203において、前記CPU1は、前記用量基準設定画面A12〜A14のいずれかにおいて、「登録単位」の選択が変更されたか否かを判断する。そして、前記CPU1は、登録単位が変更されたと判断した場合(S203のYes側)、処理をステップS204に移行させ、登録単位が変更されていないと判断した場合(S203のNo側)、処理をステップS205に移行させる。
【0064】
(ステップS204)
ステップS204において、前記CPU1は、前記ステップS203で変更された後の「登録単位」で「換算値」を表示させる。具体的に、前記CPU1は、後述のステップS205で入力された換算値又は後述のステップS207で算出された換算値を表示させる。
【0065】
(ステップS205)
次に、ステップS205において、前記CPU1は、前記用量基準設定画面A12〜A14のいずれかにおいて換算値が入力されたか否かを判断する。なお、前記換算値の入力とは新規の入力又は前記換算値の変更を含む。そして、前記CPU1は、前記換算値が入力されたと判断した場合(S205のYes側)、処理をステップS206に移行させ、前記換算値が入力されていないと判断した場合(S205のNo側)、処理をステップS251に移行させる。
【0066】
(ステップS206)
ステップS206において、前記CPU1は、前記ステップS205で換算値が入力されたときに選択されていた「登録単位」を編集中の医薬品に対応付けて前記小児換算マスター122に記憶させる。これにより、前記CPU1は、その後に前記小児換算マスター122を参照することにより、最後に前記換算値が入力されたときの登録単位を医薬品ごとに確認することができる。
そこで、前記CPU1は、前記ステップS107(
図5参照)又は前記ステップS202において前記用量基準設定画面A12〜A14を表示させる際、前記ステップS206で記憶された登録単位及びその登録単位に対応する換算値を初期表示させる。即ち、前記CPU1は、前記ステップS206で記憶された登録単位が前記登録単位選択部K251、K261で選択され、その登録単位で表した換算値が前記換算値入力部K252、K262に入力された状態で前記用量基準設定画面A12を表示させる。これにより、ユーザーは、最後に前記換算値入力部K252、K262に換算値を入力したときに前記登録単位選択部K251、K261でいずれの登録単位が選択されていたかを認識することができる。即ち、ユーザーは、前記ステップS205で入力された換算値と後述のステップS207で算出された換算値とを判別することができる。
【0067】
(ステップS207)
そして、ステップS207において、前記CPU1は、前記ステップS205で入力された換算値に基づいて、他の登録単位における換算値を算出する。具体的に、前記CPU1は、前記サーバ装置Yの前記医薬品マスター121(前記表1参照)から対象医薬品の「換算力価」、「換算処方」、「換算包装」のそれぞれの値を抽出する。そして、前記CPU1は、前記ステップS205で換算値が入力されたときの登録単位と「換算力価」、「換算処方」、「換算包装」のそれぞれの値とに基づいて他の登録単位における換算値を算出する。具体的に、前記医薬品マスター121の「換算力価」、「換算処方」、「換算包装」のそれぞれの値は、登録単位が薬価の換算値を、「換算力価」、「換算処方」、「換算包装」のそれぞれの値で除した値が、力価、処方、包装のそれぞれの登録単位で示した換算値となる。なお、前記各登録単位の換算値は、一時的に前記RAM3又は前記データ記憶部4などに記憶され、後述のステップS209において前記小児換算マスター122に記憶される。
【0068】
例えば、前記表1に示した「カロナールシロップ2%」について、登録単位「薬価」で換算値「2.5ml」が入力された場合を考える。この場合、前記CPU1は、登録単位「薬価」の換算値「2.5ml」と「換算力価」の値として記憶された値「20」とに基づいて、2.5×20=50(mg)を登録単位「力価」の換算値として算出する。同じく、前記CPU1は、登録単位「薬価」の換算値「2.5ml」と「換算処方」の値として記憶された値「1」とに基づいて、2.5×1=2.5(ml)を登録単位「処方」の換算値として算出する。また、前記CPU1は、登録単位「薬価」の換算値「2.5ml」と「換算包装」の値として記憶された値「500」とに基づいて、2.5/500=0.005(本)を登録単位「包装」の換算値として算出する。
また、前記表1に示された「カロナールシロップ2%」について、登録単位「力価」で換算値「50mg」が入力された場合を考える。この場合、前記CPU1は、登録単位「力価」の換算値「50mg」と「換算力価」の値として記憶された値「20」とに基づいて、50/20=2.5(ml)を登録単位「薬価」の換算値として算出する。一方、前記CPU1は、登録単位「力価」の換算値「50mg」と「換算処方」の値として記憶された値「1」とに基づいて、50/20×1=2.5(ml)を登録単位「処方」の換算値として算出する。また、前記CPU1は、登録単位「力価」の換算値「50mg」と「換算包装」の値として記憶された値「500」とに基づいて、50/20/500=0.005(本)を登録単位「包装」の換算値として算出する。
【0069】
(ステップS251)
一方、ステップS251において、前記CPU1は、医薬品の処方参考量を決定する際に用いる導出手法の優先度の設定操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記CPU1は、前記操作部K29において、前記導出手法選択部K291で導出手法が選択された状態で、前記上移動キーK292又は前記下移動キーK293が操作されたか否かを判断する。ここで、前記導出手法の優先度の設定操作が行われたと判断されると(S251のYes側)、処理はステップS252に移行する。一方、前記導出手法の優先度の設定操作が行われていないと判断されると(S251のNo側)、処理はステップS208に移行する。
【0070】
(ステップS252)
ステップS252において、前記CPU1は、前記上移動キーK292又は前記下移動キーK293の操作に従って前記導出手法の優先度の順番を変更する。具体的に、前記操作部K29(
図8〜
図10参照)では、前記導出手法各々の表示位置によって優先度が定められている。例えば、
図8〜
図10では、前記操作部K29において、最上段の「体重1kgあたり」の導出手法が優先度「1」、中段の「体重枠」の導出手法が優先度「2」、最下段の「年齢枠」の導出手法が優先度「3」に設定されている。そして、前記上移動キーK292又は前記下移動キーK293が操作されると、前記CPU1は、前記導出手法選択部K291で現在選択中の導出手法の表示位置を上又は下に移動させることによりその導出手法の優先度を変更する。
ところで、前記優先度は初期設定状態では、前記身体情報の同一項目を用いる導出手法について、患者の当該項目の値と当該項目の予め設定された複数の範囲ごとに対応する処方量参考値とに基づいて医薬品の処方参考量を導出する手法が、患者の当該項目の値と当該項目の単位量あたりの処方参考量とに基づいて医薬品の処方参考量を導出する手法に比べて前記優先度が高く設定されていることが望ましい。具体的に、本実施の形態では、「体重1kgあたり」の導出手法と「体重枠」の導出手法とがいずれも体重を用いる導出手法である。なお、一般に「体重枠」の導出手法における各体重範囲ごとの下限及び上限の差は、「体重1kgあたり」の導出手法における単位量「1kg」よりも大きな値に設定される。そのため、「体重枠」の導出手法は、処方参考量の種類(値)が絞られ、ある程度パターン化された処方参考量が導出されるため、薬局における医薬品の管理や調剤作業が容易となる。一方、「体重1kgあたり」の導出手法は、単位量あたりの処方参考量が導出されるためきめ細かい処方参考量を得ることができるが、このようなきめ細かい処方参考量の設定が必要となることは少ないと考えられる。また、細かい処方参考量でそのまま医薬品の処方が依頼されると薬局の薬剤師が調剤しづらいことも問題である。そこで、前記優先度の初期設定状態としては、「体重枠」の優先度を「体重1kgあたり」の優先度よりも高いことが望ましい。即ち、前記導出手法選択部K291の初期状態では、上方から順に、「体重枠」、「体重1kgあたり」、「年齢枠」、又は「体重枠」、「年齢枠」、「体重1kgあたり」、又は「年齢枠」、「体重枠」、「体重1kgあたり」であることが望ましい。これにより、薬局の運用の効率化を図るような設定を自然と促すことができる。
【0071】
(ステップS208)
その後、ステップS208において、前記CPU1は、前記操作部K31の操作により前記小児換算マスター122への登録操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記登録操作がなされたと判断されると(S208のYes側)、処理はステップS209に移行し、前記登録操作がなされていないと判断されると(S208のNo側)、処理は前記ステップS201に移行する。
【0072】
(ステップS209)
ステップS209において、前記CPU1は、現在表示中の前記用量基準設定画面A12〜A14のいずれかにおける設定内容を前記小児換算マスター122(前記表2参照)及び前記優先度マスター123(前記表3参照)に記憶させる。
【0073】
例えば、前記用量基準設定画面A12(
図8参照)において登録操作が行われた場合、前記CPU1は、前記小児換算マスター122の「タイプ」に「体重1kgあたり」を記憶させる。即ち、「体重1kgあたり」が使用候補の導出手法として記憶される。また、前記CPU1は、前記操作部K251で選択された登録単位を前記小児換算マスター122の「登録単位」に記憶させる。さらに、前記CPU1は、前記操作部K252に入力された「換算値」を前記小児換算マスター122の「換算値」に記憶させる。
【0074】
一方、前記用量基準設定画面A13(
図9参照)において登録操作が行われた場合、前記CPU1は、前記小児換算マスター122の「タイプ」に「体重枠」を記憶させる。即ち、「体重枠」が使用候補の導出手法として記憶される。また、前記CPU1は、前記操作部K411で選択された登録単位を前記小児換算マスター122の「登録単位」に記憶させる。さらに、前記CPU1は、前記操作部K412に入力された「下限」、「上限」、「換算値」を前記小児換算マスター122の「下限」、「上限」、「換算値」にそれぞれ記憶させる。
【0075】
同じく、前記用量基準設定画面A14(
図10参照)において登録操作が行われた場合、前記CPU1は、前記小児換算マスター122の「タイプ」に「年齢枠」を記憶させる。即ち、「年齢枠」が使用候補の導出手法として記憶される。また、前記CPU1は、前記操作部K511で選択された登録単位を前記小児換算マスター122の「登録単位」に記憶させる。また、前記操作部K512に入力された「下限」、「上限」、「換算値」を前記小児換算マスター122の「下限」、「上限」、「換算値」にそれぞれ記憶させる。
【0076】
また、前記CPU1は、前記用量基準設定画面A12〜A14(
図8〜
図10参照)において登録操作が行われた場合、前記操作部K29による優先度の設定内容を前記優先度マスター123に記憶させる。具体的に、
図8〜
図10に示す状態で登録操作が行われた場合、前記CPU1は、前記優先度マスター123に、「体重1kgあたり」の導出手法が優先度「1」、「体重枠」の導出手法が優先度「2」、「年齢枠」の導出手法が優先度「3」である旨を記憶させる。
【0077】
このように、前記クライアント装置Zでは、前記CPU1により前記小児換算マスター設定処理が実行されることによって、医薬品ごとに処方参考量を算出するときの導出手法及び用量基準を任意に設定することができる。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU1が導出手法設定手段及び用量基準設定手段に相当する。
【0078】
<医薬品オーダー処理>
そして、前記クライアント装置Zにおいて、前記CPU1は、前記電子カルテプログラムに従って実行する電子カルテの編集処理において、患者に処方する医薬品、処方量、服用方法、服用日数などの情報を入力する医薬品オーダー処理(
図11及び
図12参照)を実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU1が処方参考量導出手段に相当する。
以下、
図11及び
図12のフローチャートを参照しつつ、前記CPU1が前記電子カルテプログラムに従って実行する医薬品オーダー処理の手順の一例について説明する。なお、図示するS301、S302、…及びS401、S402、…は前記CPU1が実行する処理手順(ステップ)番号を示す。また、
図13〜
図19は、前記医薬品オーダー処理の実行中における前記表示装置7の表示画面の一例を示している。
【0079】
(ステップS301)
まず、ステップS301において、前記CPU1は、医薬品オーダーを開始するための操作入力を待ち受ける(S301のNo側)。そして、前記CPU1は、医薬品オーダーを開始するための操作入力が行われたと判断すると(S301のYes側)、処理をステップS302に移行させる。
具体的に、前記クライアント装置Zでは、前記操作キー表示部44のキーパッド44Aを用いて医薬品オーダーを開始するための操作入力が行われる。ここに、
図13は、前記キーパッド44Aにより医薬品オーダーを開始するための操作入力が行われるときの前記キーパッド44Aの遷移を示している。
【0080】
まず、
図13(A)は、前記キーパッド44Aにおいて電子カルテの診療情報の項目「S、「O」、「A」、「P」が選択されていない状態を示している。ここで、前記キーパッド44Aの項目「P」の操作キーが選択されると、前記CPU1は、
図13(B)に示すように前記キーパッド44Aの操作キー各々に項目「P」に属する操作内容を表示させる。具体的に、
図13(B)に示す前記キーパッド44Aの操作キー各々には、「投薬」、「処置」、「手術」、「検査オーダー」、「画像オーダー」、「麻酔」、「リハビリ・精神」、「医学管理」、「在宅」などが表示されている。
そして、前記キーパッド44Aの「投薬」の操作キーが操作されると、前記CPU1は、
図13(C)に示すように前記キーパッド44Aの操作キー各々に「投薬」に属する操作内容を表示させる。具体的に、
図13(C)に示す前記キーパッド44Aの操作キー各々には、「内服」、「頓服」、「外用」、「注射」、「自己注射」、「神経ブロック」、「DO」、「約束」、「薬歴オーダー」などが表示されている。
その後、前記キーパッド44Aの「内服」、「頓服」、又は「外用」を示す操作キーが操作されると、前記CPU1は、
図13(D)に示すように前記キーパッド44Aの操作キー各々に、操作された「内服」、「頓服」、又は「外用」に属する医薬品を表示させる。例えば
図13(D)は、「頓服」の操作キーが操作された場合の前記キーパッド44Aの表示状態を示す図である。また、前記CPU1は、
図13(D)に示すように前記キーパッド44Aの上端に医薬品を検索するための検索操作部44Bを表示させる。そして、前記CPU1は、前記検索操作部44Bに医薬品が入力されると、その医薬品を前記医薬品マスター121から検索するための処理を実行し、検索結果として得られた医薬品名を前記表示装置7に一覧表示させる。
【0081】
(ステップS302)
ステップS302において、前記CPU1は、処方する医薬品が選択されたか否かを判断する。具体的に、前記CPU1は、前記キーパッド44Aの操作キーの操作による医薬品の選択、又は前記検索操作部44Bの検索結果における医薬品の選択が行われたか否かを判断する。ここで、医薬品が選択されたと判断すると(S302のYes側)、処理はステップS303に移行し、医薬品が選択されるまでの間は(S302のNo側)、処理は当該ステップS302で待機される。
【0082】
(ステップS303)
次に、ステップS303において、前記CPU1は、医薬品を処方する患者が15歳未満の小児であるか否かを前記電子カルテに記憶された患者情報に基づいて判断する。ここで、患者が15歳未満であると判断されると(S303のYes側)、処理はステップS304に移行し、患者が15歳未満ではないと判断されると(S303のNo側)、処理はステップS331に移行する。
なお、患者が15歳未満である場合には医薬品の体への影響が比較的大きいため、細かい用量基準で処方参考量を設定することが望ましい。そのため、本実施の形態では、患者が15歳未満である場合に後述のステップS304以降の処理が実行される場合を例に挙げて説明するが、これに限らない。例えば、15歳よりも下又は上の年齢を前記ステップS303における判断指標としてもよい。また、前記ステップ303の処理が省略されること、即ち患者の年齢にかかわらず後述のステップS304以降の処理が実行されることも他の実施形態として考えられる。この場合、前記小児換算マスター121の名称は、例えば単に換算マスター121とすればよい。
【0083】
(ステップS331)
なお、ステップS331において、前記CPU1は、前記医薬品マスター121に基づいて処方参考量を設定した後、処理を後述のステップS310に移行させるが、この点は従来と同様であるため詳細な説明は省略する。例えば、前記医薬品マスター121に登録された医薬品の添付文書を前記表示部7に表示させ、ユーザーによる前記操作入力部6に対する医薬品の処方量の入力操作に応じて、医薬品の処方量を設定する。また、前記医薬品マスター121に前記小児換算マスター122と同様の情報が初期値として設定されている場合には、前記CPU1はその情報を用いて医薬品の処方参考量を設定する。さらに、前記CPU1は、前記医薬品マスター121に登録された常用量に従って医薬品の処方参考量の適否を判断する処理も実行する。
【0084】
(ステップS304)
一方、患者が15歳未満である場合、続くステップS304において、前記CPU1は、医薬品の処方参考量を決定するために用いる導出手法の自動選択処理を実行する。ここで、
図12を参照しつつ、前記導出手法の自動選択処理について説明する。
【0085】
(ステップS401〜S402)
図12に示すように、まずステップS401において、前記CPU1は、前記ステップS302で選択された医薬品の設定内容を前記優先度マスター123から抽出する。また、ステップS402において、前記CPU1は、変数Nの初期値を1に設定する(N=1)。
【0086】
(ステップS403)
次に、ステップS403において、前記CPU1は、前記ステップS401で抽出された前記医薬品の設定内容に基づいて、優先度が前記変数Nの値である導出手法が、前記導出手法ごとに予め定められた使用条件を満たすものであるか否かを判断する。具体的に、前記変数Nの初期値は1であるため、1回目に実行される前記ステップS402では、優先度「1」の導出手法が前記使用条件を満たすものであるか否かが判断される。
ここで、前記優先度Nに対応する導出手法が前記使用条件を満たさない場合(S403のNo側)、処理はステップS404に移行し、前記使用条件を満たすものである場合(S403のYes側)、処理はステップS405に移行する。
【0087】
例えば、「体重枠」の導出手法について予め設定された前記使用条件としては、患者の体重が、前記導出手法に対応する用量基準において設定された複数の体重範囲全体における最小体重及び最大体重の体重範囲内であることが考えられる。また、同じく「年齢枠」の導出手法について予め設定された前記使用条件としては、患者の年齢が、前記導出手法に対応する用量基準において設定された複数の年齢範囲全体における最低年齢及び最高年齢の年齢範囲内であることが考えられる。これらの使用条件を満たさない場合には、体重又は年齢が前記用量基準で想定されておらず前記用量基準に従って処方参考量を導出することができず、或いはその導出された処方参考量が適切でないおそれがあるためである。
さらに、「体重1kgあたり」の導出手法に関する前記使用条件としては、患者の体重及び年齢の相互関係において体重が年齢に対して適切な範囲内であることが考えられる。例えば、年齢ごとに通常の体重範囲が定められており、患者の体重が患者の年齢における通常の体重範囲内であることが前記使用条件として考えられる。この使用条件を満たさない場合には、体重が年齢に対して過大又は過小であって前記導出手法を用いて処方参考量を算出することが適切でない場合があるためである。もちろん、体重と年齢との関係に限らず、前記処方参考量を算出するための基準となる情報が適正な範囲にあるか否かは、患者の身体情報のうち少なくとも二つ以上の情報に基づいて判断すればよい。
【0088】
(ステップS404)
ステップS404において、前記CPU1は、前記変数Nを1加算し(N=N+1)、処理を前記ステップS403に移行させる。これにより、次に実行される前記ステップS403では優先度が一つ低い導出手法について前記使用条件を満たすか否かが判断される。
【0089】
(ステップS405)
そして、ステップS405において、前記CPU1は、優先度Nの導出手法の選択を確定する。このように、前記導出手法の自動選択処理では、複数の前記導出手法のうち前記使用条件を満たす前記導出手法であって、その中で最も優先度が高い導出手法が自動的に選択される。そのため、例えば体重が年齢に対して過大又は過小であって前記導出手法を用いて処方参考量を算出することが適切でない場合に、そのままその導出手法を用いて処方参考量が算出されることを防止することができる。なお、前記使用条件を満たす前記導出手法が存在しない場合、前記CPU1は前記導出手法の選択を行わず注意表示などを行う。
【0090】
(ステップS305〜S306)
前記ステップS304で前記導出手法が選択されると、処理はステップS305に移行する。そして、ステップS305において、前記CPU1は、前記ステップS304で選択された導出手法及びその導出手法に対応する前記用量基準と患者の身体情報とに基づいて医薬品の処方参考量を導出し、その導出された処方参考量を示した処方入力画面B11を前記表示装置7に表示させる。このとき、前記用量基準において1日分及び1回分の両方の用量基準が設定されている場合、前記CPU1は、前記ステップS302で選択された医薬品が内服である場合には1日分に対応する用量基準、頓服である場合には1回分に対応する用量基準に従って医薬品の処方参考量を算出する。
なお、前記医薬品の用量基準設定画面A12〜A14のいずれかにおいて前記操作部K24にチェックが付けられていた場合、前記CPU1は、前記ステップS305において、前記医薬品マスター121に登録された常用量に基づいて前記医薬品の処方参考量の適否を判断し、その判断結果を表示することが考えられる。これにより、前記小児換算マスター122の用量基準に従って導出された処方参考量が、前記医薬品マスター121で定められた常用量の範囲外である場合にその旨をユーザーに通知することができる。
また、前記CPU1は、ステップS306において、前記ステップS304で選択された導出手法に対応する用量基準を示す用量基準表示画面B21〜B23を前記処方入力画面B11と共に前記表示装置7に並べて表示させる。なお、前記ステップS305及び前記ステップS306の処理は前記CPU1によって並列処理される。
【0091】
ここで、
図14〜
図16を用いて、前記処方入力画面B11及び前記用量基準表示画面B21〜B23について説明する。
【0092】
<処方入力画面B11>
まず、
図14に示すように、前記処方入力画面B11は、医薬品を処方する際の導出手法となる患者の情報として、例えば身長、体重、年齢などが表示される。また、前記処方入力画面B11には、処方する医薬品の基本的な用法・用量など、医薬品の添付文書に記載された情報も表示される。
そして、前記処方入力画面B11には、処方する医薬品の名称と、用量基準で設定された登録単位、及び用量基準に従って算出された処方参考量が表示される。具体的に、
図14には、「セキタールシロップ0.2%」を「薬価」の単位で「5ml」の医薬品を処方することが入力された状態が示されている。前記医薬品の処方参考量「5ml」は、用量基準において体重1kgあたり0.5mlであることが設定されており、患者の体重が10kgであることより算出された値である。なお、
前記処方入力画面B11の表示内容は、前記用量基準表示画面B21〜B23における操作に伴って変化する(
図14〜
図16参照)。特に、前記処方入力画面B11に表示される医薬品の処方参考量は、その処方参考量を導出する導出手法の変更によりその変更後の導出手法で導出された値に自動的に変更される。なお、
図10において医薬品の横に表示され「添」のアイコンが操作されると、その医薬品の添付文書が表示される。
【0093】
<用量基準表示画面B21>
図14に示すように、前記用量基準表示画面B21には、医薬品の処方参考量を決定する際に用いる導出手法を選択するための操作部K61〜K63と、前記小児換算マスター122の設定を行うための操作部K64とが表示されている。具体的に、前記操作部K61は「体重1kgあたり」、前記操作部K62は「体重枠」、前記操作部K63は「年齢枠」にそれぞれ対応するものである。前記用量基準設定画面A12は、「体重1kgあたり」の導出手法に対応するものであるため、前記操作部K61が他の前記操作部K62、K63とは異なる色又はハイライトで表示されている。なお、前記CPU1は、前記操作部K61〜K63のうち前記小児換算マスター122に登録されていない導出手法に対応する操作部をグレイアウト表示して選択できない状態にする。これにより、当該医薬品の導出手法としてそのグレイアウト表示された導出手法を選択することができない旨をユーザーに認識させることができる。
【0094】
また、前記用量基準表示画面B21には、体重1kgあたりの1日(1回)の換算値及びその登録単位を含む操作部K65が表示されている。具体的に、
図14では、体重1kgあたりの1日(1回)の換算値が「0.5ml」、登録単位が「薬価」であることが表示されている。なお、前記換算値は前記操作部K65において変更することが可能である。
さらに、前記用量基準表示画面B21には、患者の体重を入力するための操作部K66が表示されている。前記操作部K66には、前記電子カルテにおける患者情報として記憶された体重が表示され、その値は前記操作部K66において変更することが可能である。
なお、前記用量基準表示画面B21には、今回の医薬品の処方参考量として算出された「今回オーダー量」の算出式及び算出結果、前記用量基準設定画面A12で設定された常用量の上限値及び下限値、小数点桁数、桁落ち処理種別なども表示されている。ここで、前記CPU1は、「体重1kgあたり」の導出手法に従って医薬品の処方参考量を算出した際に、その算出後の処方参考量が前記上限値及び前記下限値で定められる常用量の範囲外である場合にその旨を通知する。これにより、例えば体重が極端に軽い場合又は重い場合などに、前記算出後の処方参考量が常用量の範囲外であることをユーザーに認識させることができる。
【0095】
<用量基準表示画面B22>
図15に示すように、前記用量基準表示画面B22では、前記用量基準表示画面B21における前記操作部K65、K66に代えて、操作部K71が表示されている。前記操作部K71は、「体重枠」の導出手法に対応する用量基準が表示された操作部である。また、前記用量基準表示画面B22は、「体重枠」の導出手法に対応するものであるため、前記操作部K62が他の前記操作部K61、K63とは異なる色又はハイライトで表示されている。なお、前記操作部K61〜K64については前記用量基準表示画面B21と同様である。
前記操作部K71には、医薬品の用量基準及びその登録単位が表示されている。具体的に、
図15では、前記操作部K71において、患者の体重が「10.0kg以上20.0kg未満」の体重枠に該当することがその体重枠のハイライト表示によって表示されると共に、その体重枠に対応する換算値が「10.0ml」、登録単位が「薬価」であることが表示されている。
【0096】
<用量基準表示画面B23>
図16に示すように、前記用量基準表示画面B23では、前記用量基準表示画面B21における前記操作部K65、K66に代えて、操作部K81が表示されている。前記操作部K71は、「年齢枠」の導出手法に対応する用量基準が表示された操作部である。また、前記用量基準表示画面B23は、「年齢枠」の導出手法に対応するものであるため、前記操作部K63が他の前記操作部K61、K62とは異なる色又はハイライトで表示されている。なお、前記操作部K61〜K64については前記用量基準表示画面B21と同様である。
前記操作部K81には、医薬品の用量基準及びその登録単位が表示されている。具体的に、
図16では、前記操作部K81において、患者の年齢が「1際0ヶ月以上4歳0ヶ月未満」の年齢枠に該当することがその年齢枠のハイライト表示によって表示されると共に、その年齢枠に対応する換算値が「1.0g」、登録単位が「薬価」であることが表示されている。
【0097】
(ステップS307)
そして、ステップS307において、前記CPU1は、現在選択中の導出手法が変更されたか否かを判断する。ここで、現在選択中の導出手法が変更されたと判断されると(S307のYes側)、処理は前記ステップS305に移行する。これにより前記ステップS305では、前記ステップS307における変更後の導出手法に対応する用量基準で算出された処方参考量が表示され、前記ステップS306では、前記ステップS307における変更後の導出手法に対応する用量基準の設定内容が表示される。一方、現在選択中の導出手法が変更されていなければ(S307のNo側)、処理はステップS308に移行する。
【0098】
(ステップS308)
ステップS308において、前記CPU1は、前記処方参考量入力画面B11に入力された処方参考量を確定するための操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記CPU1は、前記キーパッド44Aに表示された「ENTER/決定」の操作キーが操作されたか否かを判断する。ここで、前記処方参考量を確定するための操作が行われたと判断されると(S308のYes側)、処理は前記ステップS309に移行し、前記処方参考量を確定するための操作が行われなければ(S308のNo側)、処理はステップS381に移行する。
【0099】
(ステップS381)
ステップS381において、前記CPU1は、前記操作部K64の操作により前記小児換算マスター122の設定要求操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記操作部K64が操作されたと判断されると(S381のYes側)、処理はステップS382に移行し、前記操作部K64が操作されていないと判断されると(S382のNo側)、処理は前記ステップS307に移行する。
【0100】
(ステップS382)
前記ステップS382において、前記CPU1は、前記ステップS302で選択された医薬品に対応する前記小児換算マスター122の設定内容を変更するための処理を実行し、その設定後、処理を前記ステップS307に移行させる。なお、前記小児換算マスター122の設定内容の変更は、前述した小児換算マスター設定処理における設定登録処理(
図6参照)と同様に行えばよいため、ここでは説明を省略する。
このように、前記医薬品オーダー処理では、前記用量基準表示画面B21〜B23における前記操作部K64の操作により、当該医薬品に対応する前記小児換算マスター122の変更処理を開始させることができる。そのため、前記医薬品オーダー処理を終了させて初期設定画面などから小児換算マスターメンテナンスを開始する必要はなく、日々の運用の中で簡単に前記小児換算マスター122の内容を充実させていくことが可能である。
【0101】
(ステップS309〜310)
そして、前記CPU1は、ステップS309において、前記処方参考量入力画面B11に入力された処方参考量を実際の処方量として確定し、続くステップS310において、医薬品の服用方法及び服用日数を設定するための処理を実行する。
ここに、
図17は、医薬品の服用方法を選択するための表示画面の一例、
図18は、医薬品の服用日数を入力するための表示画面の一例を示している。
図17に示すように、医薬品の服用方法を選択する際、前記キーパッド44Aには、「毎食後」や「朝・夕食後」などの医薬品の服用方法を選択するための操作キーが表示されている。また、
図18に示すように、医薬品の服用日数を入力する際、前記キーパッド44Aには、医薬品の服用日数を入力するための数字などの操作キーが表示されている。そして、前記ステップS310では、前記CPU1が、前記キーパッド44Aの操作キーの操作に応じて医薬品の服用方法及び服用日数を設定する。
【0102】
(ステップS311)
その後、ステップS311において、前記CPU1は、医薬品オーダーの確定操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記キーパッド44Aに表示された「ENTER/決定」の操作キー(
図18参照)が操作されたか否かを判断する。ここで、前記医薬品オーダーを確定するための操作が行われたと判断されると(S311のYes側)、処理は前記ステップS312に移行し、前記医薬品オーダーを確定するための操作が行われなければ(S311のNo側)、処理は前記ステップS311で待機する。
【0103】
(ステップS312)
ステップS312において、前記CPU1は、前記処方入力画面B11に入力された医薬品オーダーの内容を確定して前記電子カルテの診療情報の項目「P」に記録する。ここに、
図19は、前記電子カルテの診療情報の項目「P」の表示例を示している。具体的に、
図19に示すように、前記項目「P」の表示欄には、「セキタールシロップ0.2%」の1日分の処方量が5mlであり、服用方法が1日3回毎食後であること、服用日数が7日分であることが入力されている。このように、当該医薬品オーダー処理において導出された前記処方参考量を当該医薬品の処方量として確定するための処理を実行するときの前記CPU1が処方量確定手段に相当する。ところで、前記CPU1が前記医薬品の処方量を確定すると、前記医薬品の処方量は病院内の薬局又は外部の調剤薬局に出力される。このとき、その医薬品の処方量が、医師などが任意に定めた前記登録単位で表されたものであり、その都度異なる登録単位である場合には、医薬品を調剤する薬剤師がその処方量の登録単位を自己がわかりやすい単位に変化する手間が生じる。そのため、前記CPU1が前記医薬品の処方量を出力する際には、その処方量を予め定めれた所定の単位に変換して出力することが望ましい。例えば、前記CPU1は、前記医薬品の処方量を常に薬価単位で表して出力することが考えられる。なお、前記登録単位の変更による前記処方量の変換は、前記ステップS207と同様の処理で実現可能であるためここでは説明を省略する。
【0104】
以上、説明したように、前記クライアント装置Zでは、前記CPU1によって前記医薬品オーダー処理が実行されることにより、医薬品ごとに異なる導出手法で医薬品の処方量を決定するためのユーザー作業が簡素化される。特に、15歳未満の小児については細かい用量基準に従って医薬品の処方量を決定することが望ましいところ、前記クライアント装置Zでは、その処方量の決定するための処方参考量を予め医薬品ごとに設定した導出手法及び用量基準に従って自動的に行うことができる。従って、小児を診察する医師の作業効率を著しく向上させると共に、医師の計算ミスや判断ミスなどにより誤った処方量の医薬品が処方されることも防止される。
【0105】
[その他の機能への応用]
前記医薬品オーダー処理(
図11参照)では、医師が患者に処方する医薬品を個々に選択して処方内容を登録する場合を例に挙げて説明した。
一方、従来から、前記クライアント装置Zは、予め登録された複数の医薬品を含む一又は複数の処方セットのいずれかを選択することにより、その処方セットに含まれた複数の医薬品を電子カルテに一挙に入力する処方セット入力機能を有している。例えば、前記処方セットには、風邪の際に処方される複数の医薬品を含む風邪セット、インフルエンザの際に処方される複数の医薬品を含むインフルエンザセットなどがある。
また、前記クライアント装置Zは、過去に行われた処方と同じ処方を電子カルテに入力する再処方入力機能も有している。なお、前記処方セット入力機能及び前記再処方入力機能は、前記CPU1によって前記電子カルテプログラムが実行されることにより具現される。ここに、前記処方セット入力機能を具現するときの前記CPU1が処方セット入力手段に相当し、前記再処方入力機能を具現するときの前記CPU1が再処方入力手段に相当する。
以下、前記医薬品オーダー処理(
図11参照)において、前記処方セット入力機能又は前記再処方入力機能により医薬品が入力された場合に実行される処理例について説明する。
【0106】
[処方セット入力機能]
(ステップS301〜S302)
前記CPU1は、前記処方セットの入力を開始するための操作キーの操作により、医薬品オーダーの開始操作入力があったと判断し(S301のYes側)、前記処方セットのいずれかの選択が確定した場合に前記医薬品が選択されたと判断する(S302のYes側)。
具体的に、
図13に示したように、前記キーパッド44Aでは、「P」の操作キー(
図13(A)参照)が操作され、続いて「投薬」の操作キー(
図13(B)参照)が操作されると、
図13(C)に示すように「約束」の操作キーが表示される。この「約束」の操作キーが前記処方セットの入力を開始するための操作キーである。
ここで、前記キーパッド44Aの「約束」の操作キーが操作されると(S301のYes側)、前記CPU1は、前記サーバ装置Y又は前記クライアント装置Zごとに予め記憶された処方セットの一覧画面C11(
図20参照)を前記表示装置7に表示させる。具体的に、
図20に示す前記一覧画面C11では、「小児約束1」、「くらりす小児」、「PL・ソロン」、「内服(1)」などの処方セットが表示されている。
そして、前記一覧画面C11に表示中の前記処方セットのいずれかが選択されるとその処方セットのみが異なる色又はハイライトで表示される。なお、
図20は、「内服(1)」の処方セットが選択された状態を示している。そして、前記一覧画面C11で処方セットが選択された状態で「OK」キーが操作されると、前記CPU1は、前記処方セットの選択を確定する(S302のYes側)。
【0107】
(ステップS303〜S305)
その後、前記ステップS303において患者が15歳未満であると判断されると(S303のYes側)、前記CPU1は、前記ステップS304及びS305の各処理を前記処方セットに含まれた複数の医薬品各々を対象に実行する。
例えば、
図20に示す内服(1)が選択された場合、その内服(1)に含まれた「セキタールシロップ0.2%」、「カロナールシロップ2%」、「アトックロダイシロップ40μg」各々を対象に前記ステップS304及びS305の各処理が実行される。即ち、前記CPU1は、「セキタールシロップ0.2%」に対応する導出手法を選択し(S304)、その導出手法に対応する用量基準に従って「セキタールシロップ0.2%」の処方参考量を導出する(S305)。また、前記CPU1は、「カロナールシロップ2%」に対応する導出手法を選択し(S304)、その導出手法に対応する用量基準に従って「カロナールシロップ2%」の処方参考量を導出する(S305)。さらに、前記CPU1は、「アトックロダイシロップ40μg」に対応する導出手法を選択し(S304)、その導出手法に対応する用量基準に従って「アトックロダイシロップ40μg」の処方参考量を導出する(S305)。即ち、前記医薬品各々に対応する導出手法が異なる場合には、前記医薬品各々の処方参考量は当該医薬品ごとに対応する導出手法に従って導出される。なお、これらの処理は前記CPU1によって並列処理され、或いは前記医薬品ごとに順に処理される。
そして、前記CPU1は、前記処方セットに含まれた複数の医薬品各々の処方参考量などの情報を統合した処方入力画面C21(
図21参照)を前記表示装置7に表示させる(S305)。具体的に、
図21に示すように、前記処方入力画面C21では、複数の医薬品「セキタールシロップ0.2%」、「カロナールシロップ2%」、「アトックロダイシロップ40μg」ごとの処方参考量及び登録単位が処方表示部K412に表示されている。
【0108】
(ステップS306〜S307)
また、前記処方入力画面C21において、前記処方表示部K412に表示された複数の医薬品のいずれかが選択されると、前記CPU1は、その医薬品の欄をハイライト表示させると共に、その医薬品に対応する導出手法の用量基準を示す用量基準表示画面C31を前記表示装置7に表示させる(S306)。前記用量基準表示画面C31では、前記選択された医薬品に対応する導出手法に応じて、前記用量基準表示画面B12〜B14(
図14〜
図16参照)の前記操作部K65、前記操作部K71、又は前記操作部K81と同様の情報が表示される。
なお、前記処方入力画面C21には、前記操作部K61〜K64が表示されている。そして、前記CPU1は、前記操作部K61〜K63の操作に応じて、前記処方表示部K412において選択中の医薬品のみについて導出手法を変更する(S307のYes側)。なお、その後のステップS308〜S312については特に異なるところがないため説明を省略する。
【0109】
以上説明したように、前記クライアント装置Zでは、前記処方セット機能により複数の医薬品が一挙に入力される場合にも、前記医薬品オーダー処理において前記医薬品ごとに異なる導出手法で処方参考量を導出して前記電子カルテに簡単に入力することができる。なお、
図22は、前記処方セットの選択により複数の医薬品が前記項目「P」に入力された状態を示す図である。
図22に示すように、前記項目「P」の表示欄には、「セキタールシロップ0.2%」、「カロナールシロップ2%」、「アトックロダイシロップ40μg」の1日分の処方量、服用方法、及び服用日数が入力されている。
【0110】
[再処方入力機能]
前記再処方入力機能は、以前の診察時における処方と同じ処方を再度実行するものであるため、本来、患者の体重、身長、年齢などの身体情報が変化した場合であっても、以前の診察時の患者の状態に応じて決定された処方量が適用されることになる。しかしながら、患者の身体情報が変化すると、今の状態に適した処方量も変化する。
そこで、前記CPU1は、前記再処方操作が行われる場合にも前記医薬品オーダー処理と同様の処理を実行する。なお、係る処理は、前記処方セット入力機能により医薬品が入力される場合と同様であるため、ここでは相違点のみについて説明する。
即ち、
図13に示したように、前記キーパッド44Aでは、「P」の操作キー(
図13(A)参照)が操作され、続いて「投薬」の操作キー(
図13(B)参照)が操作されると、
図13(C)に示すように「DO」の操作キーが表示される。この「DO」の操作キーが前記再処方の入力を開始するための操作キーである。そして、
図13(C)に示す前記キーパッド44Aの「DO」の操作キーが操作されると、前記CPU1は、前記サーバ装置Y又は前記クライアント装置Zごとに予め記憶された当該患者の過去の処方の一覧画面(不図示)を前記表示装置7に表示させる。
そして、前記一覧画面(不図示)から過去の処方が選択されると、前記CPU1は、その過去の処方に含まれる医薬品各々について、医薬品ごとに設定された前記導出手法及び前記用量基準と現在の患者の身体情報とに基づいて医薬品の処方参考量を算出する(S305)。これにより、過去の処方から長時間が経過して患者の身体情報に変化が生じている場合であっても、今の状態に適した前記医薬品ごとの処方参考量を算出することができる。また、前記過去の処方に複数の医薬品が含まれる場合でも、その医薬品各々について適した前記導出手法及び前記用量基準に従って医薬品の処方量を決定することができる。
特に、前記ステップS304においては、患者の現在の身体情報に基づいて複数の前記導出手法のうち前記使用条件を満たす前記導出手法であって、その中で最も優先度が高い導出手法が自動的に選択されることになる。そのため、過去の処方から長時間が経過して患者の身体情報に変化が生じている場合であっても、医薬品各々について今の状態に適した前記導出手法を用いて前記処方参考量を導出することができる。