(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0021】
[第1の実施形態の説明]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態では、表示面上を遮蔽する遮蔽物体の検出および検出された遮蔽物体に応じた情報表示レイアウトの自動構成の仕組みについて説明する。
【0022】
[構成の説明]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示制御装置10Aの機能構成を示す図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る表示制御装置10Aは、表示部101、遮蔽物体検出部102、遮蔽物体特定部103、表示制御部104および記憶部105を備える。
【0023】
表示部101は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(electroluminescence)ディスプレイなどにより構成される。例えば、後に説明するように、表示部101は、記憶部105に備えられている表示情報記憶部105aにより記憶されている表示情報を、表示位置調整部104aによって決定された情報表示レイアウトに従って、表示部101の表示面に表示する。なお、
図1に示した例では、表示部101が表示制御装置10Aと一体化されているが、表示部101は表示制御装置10Aと別体に構成されていてもよい。
【0024】
遮蔽物体検出部102は、例えば、物体の接触を検出することが可能なデバイス(例えば、タッチセンサ、圧力センサ、静電容量センサなど)または非接触により物体を検出することが可能なデバイス(例えば、撮像素子、赤外線センサ、光センサ、温度センサ、磁界センサなど)により構成される。遮蔽物体検出部102は、表示部101の表示面を少なくとも一方向から遮蔽する遮蔽物体を検出する。
【0025】
閲覧者が表示情報を閲覧している場合には、遮蔽物体は、表示部101による閲覧者への情報表示量を減ずる物体となる。この場合、遮蔽物体検出部102は、表示部101の表示面に表示される表示情報と表示情報の閲覧者との間に存在する遮蔽物体を検出することが可能である。
【0026】
遮蔽物体検出部102による遮蔽物体の検出結果には、少なくとも、表示面上で遮蔽物体により遮蔽される領域が含まれる。また、遮蔽物体の検出結果には、遮蔽物体を特定するための情報(例えば、遮蔽物体の特徴量の検出結果、遮蔽物体に敷設されたマーカの検出結果など)が含まれていてもよいし、検出状態の変化(例えば、検出状態から非検出状態への変化など)の検出結果が含まれていてもよい。
【0027】
ここで、遮蔽物体検出部102による遮蔽物体の検出例について、
図2、
図3および
図11を参照しながら説明する。
図2は、表示部101の表示面101aに遮蔽物体201が載せられている状態を示す図である。表示面101aに遮蔽物体201が載せられた場合、例えば、遮蔽物体検出部102は、遮蔽物体201により遮蔽される領域202の位置を検出する。例えば、領域202の位置は、表示面101aの座標系における領域202の位置であってもよい。また、遮蔽物体検出部102は、遮蔽物体の特徴量(例えば、遮蔽物体の形状、遮蔽物体の検出信号など)を検出する。
【0028】
図3は、表示部101の表示面101aに遮蔽物体301が載せられている状態を示す図である。遮蔽物体301は、例えば、特定パターンを有するマーカ302が表示面101aに接触する面301aに敷設されている。表示面101aに遮蔽物体301が載せられた場合、例えば、遮蔽物体検出部102は、遮蔽物体301により遮蔽される領域303の位置を検出する。領域303の位置は、表示面101aの座標系におけるマーカ302の位置であってもよいし、表示面101aの座標系における領域303の位置であってもよい。また、遮蔽物体検出部102は、遮蔽物体301に敷設されたマーカ302を検出する。
【0029】
図11は、表示部1101が壁画ディスプレイにより構成される場合の例を示す図である。特に、
図11は、表示部1101が壁画ディスプレイにより構成される場合において、表示部1101と閲覧者とが存在する空間1100を上から見た図である。空間1100には、表示部1101に表示された表示情報を閲覧できる有効領域1102が存在する。有効領域1102は、表示部1101の視野角、情報表示能力(例えば、表示情報の内容を閲覧できる距離など)、遮蔽物体の検出に用いられるデバイスの能力(例えば、検出範囲など)などによって規定される。表示情報の閲覧者は、例えば、有効領域1102に存在する。
【0030】
また、空間1100には、表示部1101に表示された表示情報を閲覧できない無効領域1103が存在する。無効領域1103に閲覧者が存在する場合には、閲覧者は、視野角、情報表示能力、デバイスの能力などの関係上、表示部1101に表示された表示情報を閲覧するのが困難な状況にある。
【0031】
例えば、無効領域1103に閲覧者が存在する場合、閲覧者が視野角の範囲外であるため表示情報が閲覧困難な状態である。また、例えば、無効領域1103に閲覧者が存在する場合、閲覧者と表示情報との距離が遠いため表示情報が閲覧困難な状態である。また、例えば、無効領域1103に閲覧者が存在する場合、遮蔽物体が検出範囲外に存在する可能性が高いため、遮蔽物体により遮蔽される領域を考慮した情報表示がなされない状態である。かかる理由により、無効領域1103に閲覧者が存在する場合には、本実施形態の対象から除外されてもよい。
【0032】
物体1104は、空間1100に存在し、例えば、柱のような構造をした物体である。このとき、例えば、遮蔽物体検出部102は、空間1100に存在する遮蔽物体を検出する。
図2および
図3に示した例とは異なり、表示部1101の表示面に対して遮蔽物体となり得る物体が、表示面と非接触な状態で存在するとき、表示部1101と閲覧者との位置関係により、遮蔽物体の検出が異なる。
【0033】
例えば、閲覧者が地点P1から表示部1101を閲覧している場合、物体1104により遮蔽された状態は、遮蔽状態1105として遮蔽物体検出部102により検出される。一方、閲覧者が地点P2から表示部1101を閲覧している場合、物体1104により遮蔽された状態は、遮蔽状態1106として遮蔽物体検出部102により検出される。表示部1101と閲覧者の地点P1・P2、および物体1104との位置関係から、遮蔽状態1106には、物体1104があるため遮蔽された遮蔽領域1107が存在し、遮蔽状態1105には遮蔽領域は存在しない。
【0034】
図11に示した例のように、有効領域1102に存在する閲覧者の位置を検出するデバイスは、上記したように、遮蔽物体検出部102を構成する各種のデバイスであってもよいし、他のデバイス(例えば、人体検出センサなど)であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。なお、遮蔽物体検出部102は、遮蔽物体を検出する諸機能により表示部101の情報表示機能を阻害することのない構成であることが望ましい。
【0035】
図1に戻って説明を続ける。記憶部105は、表示制御装置10Aにおける動作に使用される各種のプログラム、各種のデータなどを記憶する機能を有する。記憶部105に記憶されている各種のデータは、遮蔽物体特定部103、表示制御部104における各処理において参照される。例えば、記憶部105は、表示情報記憶部105aおよび遮蔽物体情報記憶部105bを有し、表示情報記憶部105aは、表示情報に関するデータを記憶しており、遮蔽物体情報記憶部105bは、遮蔽物体に関する情報を記憶している。
【0036】
表示情報に関するデータには、例えば、表示情報自体(表示情報のソース)、表示情報のサイズ、表示情報を構成する各情報要素に関する情報などが含まれていてもよい。また、表示情報に関するデータには、表示情報を構成する各情報要素の遮蔽優先度が含まれていてもよい。例えば、遮蔽優先度は、高いほど遮蔽物体により遮蔽される部分(以下、「被遮蔽部分」とも言う。)として決定され易くなる。
【0037】
また、表示情報に関するデータには、表示情報の構成が含まれていてもよい。この表示情報の構成は、例えば、表示情報内の各情報要素のレイアウトである。また、表示情報に関するデータには、表示情報の表示優先度が含まれていてもよい。表示優先度は、高いほどその表示情報が表示部101に表示され易くなる。
【0038】
また、表示情報に関するデータには、遮蔽物体情報記憶部105bに記憶されている遮蔽物体に関する情報との関連度が含まれていてもよい。例えば、遮蔽物体との関連度が高い表示情報ほど、優先的に表示部101に表示されてもよい。また、表示情報に関するデータには、遮蔽物体が存在しない場合における情報表示の有無、遮蔽物体が存在しない場合における情報表示の優先度などが含まれていてもよい。
【0039】
また、表示情報に関するデータには、情報表示の状態変化に関する情報が含まれてもよい。状態変化に関する情報は、例えば、ある遮蔽物体が認識されることによって、情報表示された後、トリガーとなった遮蔽物体が、対象領域からの除去などによって、認識されなくなった場合、ただちに表示情報を非表示にするといった情報であってもよい。あるいは、状態変化に関する情報は、遮蔽物体が認識されなくなったときから所定時間を経過したら、情報を非表示にするといった情報であってもよい。あるいは、状態変化に関する情報は、同、不同に関わらず、新たな遮蔽物体が認識されるまで、表示形態を維持するといった情報であってもよい。
【0040】
遮蔽物体に関する情報には、遮蔽物体の特徴量(例えば、遮蔽物体の形状、遮蔽物体から検出される検出信号など)および遮蔽物体の性質(例えば、その遮蔽物体の種類など)が含まれていてもよい。また、遮蔽物体に関する情報には、遮蔽物体により遮蔽される表示面における領域のサイズが含まれていてもよい。また、遮蔽物体に関する情報には、遮蔽物体自体のもつ発信情報(例えば、マーカなど)およびその発信情報と遮蔽物体との物理的な位置関係が含まれていてもよい。また、遮蔽物体に関する情報には、当該遮蔽物体の検出時に表示される表示情報を識別するための情報が含まれていてもよい。
【0041】
遮蔽物体特定部103は、遮蔽物体を特定する機能を有する。例えば、遮蔽物体特定部103は、遮蔽物体検出部102による遮蔽物体の検出結果および遮蔽物体情報記憶部105bにより記憶されている遮蔽物体に関する情報に基づいて、表示部101の表示面を遮蔽する遮蔽物体を特定する。遮蔽物体の特定は、遮蔽物体が有する何らかの性質の特定であってもよい。
【0042】
ここで、遮蔽物体の性質は、例えば、遮蔽物体検出部102により遮蔽物体の特徴量(例えば、遮蔽物体の形状、検出信号など)が検出され、遮蔽物体に関する情報に物体毎の特徴量が含まれる場合には、検出された特徴量と物体毎の特徴量との照合結果に基づいて特定されてもよい。また、遮蔽物体検出部102により遮蔽物体に敷設されたマーカが検出され、遮蔽物体に関する情報に物体毎のマーカが含まれる場合には、検出されたマーカと物体毎のマーカとの照合結果に基づいて特定されてもよい。
【0043】
表示制御部104は、表示位置調整部104aおよび情報内容配置調整部104bを有しており、表示部101による表示を制御する機能を有する。例えば、表示制御部104は、遮蔽物体特定部103による特定結果および記憶部105により記憶されている情報に基づいて、表示部101の表示面に表示する表示情報のレイアウトを構築する。表示位置調整部104aは、表示部101の表示面上で遮蔽物体により遮蔽される領域と重なる領域に表示情報を配置する。
【0044】
例えば、表示位置調整部104aは、遮蔽物体特定部103による遮蔽物体の特定結果と、遮蔽物体情報記憶部105bにより記憶されている当該遮蔽物体に関する情報と、表示情報記憶部105aにより記憶されている表示情報に関するデータとに基づいて、表示情報と遮蔽物体との位置関係、表示情報のサイズ、表示情報の姿勢(回転、傾きなど)などを決定する。
図4および
図5は、表示情報の表示レイアウトの構成例を示す図である。
【0045】
特に、
図4は、表示部101の表示面101aの上に、遮蔽物体401が載せられた状態を示している。
図4に示す遮蔽物体401は、縦書きを主な構成とする情報媒体(例えば、パンフレットなど)である。遮蔽物体401の背面には、
図3に示した例で挙げたような固有のマーカが印刷されており、このマーカは遮蔽物体検出部102により検出され、この検出結果に基づいて遮蔽物体特定部103により遮蔽物体401の性質(例えば、遮蔽物体の表示面101aにおける遮蔽領域の位置・範囲、縦書きの情報媒体など)が特定される。表示位置調整部104aは、特定結果に応じて表示情報の位置を決定する。
【0046】
例えば、
図4に示すように、表示対象の表示情報が4種類存在したとする。かかる場合、表示位置調整部104aは、例えば、各表示情報の一部分が遮蔽物体401によって遮蔽される位置に各表示情報の表示領域候補402を設定する。
図4に示した例では、表示情報の種類は4種類であるが、表示情報の種類は4種類に限定されない。
【0047】
例えば、表示位置調整部104aは、遮蔽物体401が縦書きの情報媒体であるという性質および縦書きの情報媒体を閲覧する閲覧者の一般的な視線の動きを考慮し、
図4における<1>〜<4>のように右上から左下にかけて優先順位を設定してもよい。例えば、表示優先度が設けられている場合、表示優先度の高い表示情報から順に、優先順位の高い位置に設定されてもよい。また、表示優先度は、遮蔽物体401毎に決められていてもよい。かかる場合、表示優先度は、遮蔽物体401との関連度の高さに応じて定められてもよい。
【0048】
図5は、表示部101の表示面101aの上に、遮蔽物体401が載せられた状態を示している。
図5に示す遮蔽物体401は、横書きを主な構成とする情報媒体である。
図5に示した例においても、
図4に示した例と同様に、表示位置調整部104aは、遮蔽物体の特定結果に応じて表示情報の位置を決定する。
【0049】
例えば、表示位置調整部104aは、遮蔽物体401が横書きの情報媒体であるという性質および横書きの情報媒体を閲覧する閲覧者の一般的な視線の動きを考慮し、
図5における<1>〜<4>のように左上から右下にかけて優先順位を設定してもよい。
【0050】
図1に戻って説明を続ける。情報内容配置調整部104bは、遮蔽物体により遮蔽される領域と表示情報との位置関係に応じて、表示情報に含まれる内容(以下、「情報要素」とも言う。)の位置を決定する。例えば、情報内容配置調整部104bは、表示位置調整部104aにより構成された表示レイアウトと、表示情報記憶部105aにより記憶されている表示情報に関するデータとに基づいて、表示情報に含まれる内容(情報要素)の配置、サイズなどを決定する。このとき、表示情報の被遮蔽領域が考慮される。
【0051】
図6は、表示情報に含まれる情報要素の位置決定例を示す図である。表示情報は、例えば、文章、図、絵などからなる情報要素の集まりから構成される。
図6に示したように、例えば、表示情報601aは、情報要素A〜Dから構成され、
図6に示すように情報要素レイアウトが構成されているとする。ここでは、情報要素レイアウトを構成する情報要素が情報要素A〜Dの4種類である例を示しているが、情報要素の種類は4種類に限定されない。
【0052】
例えば、遮蔽物体が表示部101の表示面上に載せられ、表示情報のレイアウトが
図4に示したような配置に決定されたとき、遮蔽物体601に遮蔽される領域に表示情報601aを配置すると、情報要素レイアウト602aに示すようになる。このとき、遮蔽物体601と表示情報601aとの位置関係により、表示情報601aの被遮蔽部分は異なってしまう。
【0053】
例えば、情報要素A〜Dのうち、レイアウト602aに示すように表示情報601aが配置された場合、左上および右上に存在する表示情報601aの情報要素Aは被遮蔽状態にならない。しかし、例えば、情報要素Aの遮蔽優先度が最も高い場合には、情報要素Aを被遮蔽状態とするのが好ましい。したがって、情報内容配置調整部104bは、表示位置調整部104aにより決定された表示レイアウトにおける表示情報の被遮蔽領域と表示情報を構成する各情報要素の遮蔽優先度とに基づいて、左上および右上に存在する表示情報601aの情報要素レイアウトを情報要素レイアウト601bに示すように変更する。
【0054】
このように、情報内容配置調整部104bは、情報要素のレイアウトを変更することにより、レイアウト602bに示すように、遮蔽優先度が高い情報要素を被遮蔽領域としたレイアウトを構成することが可能となる。以上、第1の実施形態に係る表示制御装置10Aの構成について説明した。続いて、第1の実施形態に係る表示制御装置10Aの動作の流れについて説明する。特に、表示部101に表示情報を表示する表示制御装置10Aの動作の流れについて説明する。
【0055】
[動作の説明]
図7は、本発明の第1の実施形態に係る表示制御装置10Aの動作の流れを示す図である。
図7に示すように、本発明の第1の実施形態に係る表示制御装置10Aは、遮蔽物体検出部102により、表示部101の表示面上の遮蔽物体を検出する。遮蔽物体が検出された場合(ステップS701で「YES」)、遮蔽物体が表示部101の表示面上には、遮蔽物体による遮蔽領域が存在する状態となる。この場合、遮蔽物体に関する情報は、遮蔽物体特定部103に出力され、ステップS702に動作が遷移される。
【0056】
遮蔽物体が検出されない場合(ステップS701で「NO」)、表示部101の表示面上には、遮蔽物体による遮蔽領域が存在しない状態となる。この場合、ステップS706に動作が遷移される。
【0057】
動作がステップS702に遷移された場合、遮蔽物体特定部103により、遮蔽物体検出部102から出力された遮蔽物体に関する情報と遮蔽物体情報記憶部105bに記憶された遮蔽物体に関する情報とに基づいて、遮蔽物体を特定する(ステップS702)。これにより、表示部101の表示面上における遮蔽領域(例えば、遮蔽物体自体が持つ情報発信部分の表示面上での位置に基づいた遮蔽領域の位置など)などといった表示情報のレイアウトを決定するために必要な情報が決定する。ここで決定された情報表示に関する情報は、表示制御部104に出力される。
【0058】
続いて、表示制御部104の表示位置調整部104aにより、遮蔽物体特定部103からの情報表示に関する情報、遮蔽物体特定部103によって特定された遮蔽物体に関する情報および表示情報に関するデータに基づいて、表示レイアウト(例えば、表示情報の種類、数、表示位置、表示サイズ、表示姿勢など)を決定する(ステップS703)。その際、表示面上の遮蔽物体が考慮される。ここで決定した表示レイアウトに関する情報は、情報内容配置調整部104bに出力される。
【0059】
続いて、表示制御部104の情報内容配置調整部104bにより、表示位置調整部104aにより構成された表示レイアウトおよび記憶部105に記憶されている表示情報に関するデータに基づいて、表示情報内の内容のレイアウト(例えば、各情報要素の配置、サイズなど)を決定する(ステップS704)。その際、表示情報の被遮蔽領域が考慮される。ここで決定した各情報要素のレイアウトを含んだ表示レイアウトは、表示部101に出力される。
【0060】
動作がステップS706に遷移された場合には、遮蔽物体検出部102によって遮蔽物体が検出されなくなった場合に、動作がステップS707に遷移されてもよい。また、表示情報記憶部105aに表示情報が存在する場合は(ステップS706で「YES」)、動作がステップS707に遷移されてもよい。表示情報記憶部105aに表示情報が存在しない場合は(ステップS706で「NO」)、動作がステップS701に遷移されてもよい。
【0061】
動作がステップS707に遷移された場合には、表示情報記憶部105aに記憶された情報表示の状態変化に関するルールに従って、表示状態を変えてもよい。例えば、遮蔽物体が認識できなくなったらすぐに表示情報も消してもよいし、認識できなくなった後、所定時間経過によって表示情報を消してもよい。また、表示情報記憶部105aに表示情報が存在する場合は、表示制御部104の表示位置調整部104aにより、表示情報記憶部105aに記憶されている表示情報に関するデータに基づいて、表示レイアウト(例えば、表示情報の種類、数、表示位置、表示サイズ、表示姿勢など)を決定する。ここで決定した表示レイアウトに関する情報は、表示部101に出力される。
【0062】
動作がステップS705に遷移された場合には、表示部101により、前段階までの処理により決定した表示レイアウトに基づいた情報表示を行う(ステップS705)。
図7の開始から終了間の処理が繰り返され、表示情報の表示が行われる。
【0063】
[効果の説明]
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、表示部101の表示面に表示される電子的な情報とは異なる別種の物理情報媒体が共存している環境下において、ある情報要素を自覚的に明らかにしないようにすることができる。したがって、注意を引く広告手法の一つであるディザー広告のように、物理情報媒体の存在によって、電子的な情報が部分的に被遮蔽状態になるような情報表示レイアウトを自動的に構成することにより、電子的な情報に対する気づきを発生させる、興味を持たせる情報表示を実現することができる。
【0064】
本実施形態による方式では、遮蔽状態にある表示情報に対して閲覧者による遮蔽物体の表示面上での状態変化、例えば、表示面上の遮蔽物体の位置の変更、表示面上からの遮蔽物体の除去などが起こり、表示情報の遮蔽状態が解除された場合、閲覧者がその遮蔽状態が解除された情報を積極的に見たと位置づける。この遮蔽状態にあった表示情報の遮蔽状態が解除されたという状態変化は、遮蔽物体検出部102により測定することが可能であり、これは、間接的に閲覧者の積極的な閲覧行為の測定となる。
【0065】
また、閲覧者の閲覧状況のデータを情報表示レイアウトの構築の際のフィードバックに利用する(例えば、このフィードバック情報を基に、表示情報に関するデータの表示優先度などのパラメータに更新をかける)ことで、表示情報をより閲覧者の注意を引く、見てもらえる表示形体にしていくことが可能となる。
【0066】
また、表示情報として動画を扱うことも可能である。表示情報として動画を扱う場合、例えば、一部遮蔽されている状態であっても画像を再生し、画面上に動きの変化部分を発生させることで、より注意を引く効果を生むことも可能である。また、遮蔽状態にある場合は、動画のサムネイルを遮蔽物体により一部が遮蔽された状態で表示しておき、その遮蔽状態が解消されると動画を再生するといった仕組みにすることも可能である。
【0067】
[第2の実施形態の説明]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態においては、表示制御装置10Aに対する閲覧者の入力行為は、遮蔽物体を介した行為(例えば、遮蔽物体を置く、移動させる、除去するといった行為)であり、表示情報に対して直接操作を行わない構成であった。
【0068】
一方、本発明の第2の実施形態では、表示情報に対して、閲覧者が直接的な入力行為を行うことが可能な仕組み(例えば、表示面に表示された表示情報に対するタッチ入力による表示の操作を可能とする仕組み)について説明する。また、第2の実施形態では、表示情報と直接インタラクションが可能になることを踏まえた表示情報のレイアウトについても言及する。
【0069】
[構成の説明]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る表示制御装置10Bの機能構成を示す図である。
図8に示すように、本発明の第2の実施形態に係る表示制御装置10Bは、入力部801および入力情報処理部802を備える点が、本発明の第1の実施形態に係る表示制御装置10Aと異なる。以下、本発明の第1の実施形態と同等の機能を有する構成要素に関しては、同じ番号を付し、説明を省略する。
【0070】
入力部801は、例えば、接触的に物体を検出することが可能な、タッチセンサ、圧力センサ、静電容量センサにより構成される。あるいは、入力部801は、非接触的に物体を検出することが可能な、撮像素子、赤外線センサ、光センサ、温度センサ、磁界センサなどの計測機能を利用したデバイスである。例えば、入力部801は、スタイラスペンのような機器を媒介して入力操作を行うデバイスであってもよいし、上記計測機能を利用して指による非機器媒介型の入力を行う機能を有するデバイスであってもよい。かかる構成により、入力部801は、表示部101の表示面に表示される表示情報に対する操作入力行為を検出することが可能である。
【0071】
表示制御部104は、表示位置調整部104a、情報内容配置調整部104bおよび入力情報処理部802を備えており、遮蔽物体特定部103による遮蔽物体の特定結果、記憶部105に記憶されている情報、入力部801からの操作入力情報に基づいて、表示部101の表示面に出力する表示情報のレイアウトを構築する。
【0072】
入力情報処理部802は、入力部801により閲覧者による表示情報に対する操作入力情報を記憶部105の表示情報記憶部105aに記憶されている表示情報の操作入力に対するルールに関するデータに基づいて処理し、それに伴う表示情報の表示形態の変更指令などの情報を、表示位置調整部104a、情報内容配置調整部104bに対して出力する。表示位置調整部104a、情報内容配置調整部104bでは、入力情報処理部802から得られた閲覧者の入力行為を反映した情報形態に基づいた処理を行う。
【0073】
表示情報に関するデータは、例えば、当該表示データを、例えば、サムネイル、付箋のように簡略化、あるいは形式化した形態のデータを持つ。このような別種の表現スタイルを持つ表示情報の場合、表示情報に関するデータは、入力部801によって、表示情報に対して、操作入力が行われた際のインタラクションルールに関する情報も持つ。例えば、インタラクションルールは、表示情報が付箋形態の表示スタイルによって表示部101の表示面に表示されていた場合、閲覧者によるその表示情報に対する入力行為(例えば、タッチするといったアクション)を受けたとき、全容表示する形態に移行するといったルールである。
【0074】
[動作の説明]
ここでは、本発明の第1の実施形態に係る構成に表示情報に対する操作入力が行える機能が付加されることで、可能となる動作について、
図9および
図10を参照しながら説明する。
【0075】
図9は、表示情報に対する操作に基づく表示情報の移動例を示す図であり、表示制御装置10の表示面を示している。本発明の第1の実施形態では、ある表示情報に関して、被遮蔽部分の情報を閲覧したい場合には、遮蔽物体の位置を変更する必要があった。一方、本発明の第2の実施形態では、表示中の表示情報に対して操作入力が可能であるため、閲覧者による操作入力(ここでは、指入力によるドラッグ&ドロップ)が、入力部801により検知され、入力情報処理部802により解読され、表示情報レイアウトに反映される(例えば、表示面上の対象表示情報の位置を移動させることができる)。
【0076】
解読の結果、例えば、入力情報処理部802は、表示情報902に対する操作に基づいて、表示情報902を移動させる。
図9に示した例では、遮蔽物体901により遮蔽された表示情報902が閲覧者903による操作により移動されている。このような操作により、対象の表示情報は、遮蔽物体による被遮蔽状態から脱し、閲覧者は被遮蔽領域のない情報閲覧が可能となる。
【0077】
図10は、表示情報に対する操作に基づく表示情報の移動例を示す図であり、表示制御装置10の表示面を示している。ここでは、表示情報により、遮蔽物体に対する補足説明を行うような状況を想定している。このとき、各表示情報1002は、遮蔽物体1001による被遮蔽領域を持つ表示情報群であり、各表示情報の内容は、遮蔽物体1001の持つ情報に対する補足情報であるとする。
【0078】
このとき、各表示情報が、遮蔽物体1001に対する補足情報の全容を表示するような形態を取ったとすると、閲覧者の見る情報は過剰となり、各表示情報が遮蔽物体1001のどの部分に対する補足情報であるのか直感的に理解しづらくなってしまう。そのため、
図10に示した例では、表示情報1002は形式化された付箋状の表示形態を取っており、それぞれの表示情報1002の表示位置は、遮蔽物体1001の補足情報と関連した相対位置を取っているとする。このように、全容状態を形式化した付箋状の状態で表示することも、表示情報の情報内容の遮蔽ということができる。
【0079】
このとき、閲覧者1003が、ある付箋状の表示情報に対して操作入力(ここでは、指入力による表示情報に対するタップ)を行うと、その操作入力情報は、入力部801により検知され、入力情報処理部802により解読され、表示情報レイアウトに反映される(例えば、表示面上の対象表示情報の位置を移動させることができる)。解読の結果、例えば、入力情報処理部802は、表示情報1002に対する操作に基づいて、全容情報の一部が表示された状態から全容情報が表示された状態に変更する。
【0080】
ここでは、対象の表示情報の表示形態が、付箋状の形態から全容形態に変更される。また、全容形態への変更による対象表示情報の情報表示領域の拡大に伴い、遮蔽物体に対して、左下に配置されていた付箋状の表示情報が干渉しない位置へと移動を行う。
図10のような表示形態を取ることで、情報表示スペースを有効に利用することが可能となる。
【0081】
[効果の説明]
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態に、表示情報に対して、閲覧者が直接、積極的な入力行為を行える仕組みを追加することで、表示情報との直接的なインタラクションが可能になる。これにより、表示情報のレイアウト、特に、閲覧者とインタラクションを行うことが可能であることを前提としたレイアウト、遮蔽方式を取ることも可能となる。
【0082】
本発明の第1の実施形態の場合、1つの遮蔽物体に対して、複数の被遮蔽領域を持つ表示情報が存在した場合、遮蔽物体に対する操作により、ある1つの表示情報の被遮蔽状態が解除された場合、その表示情報に注目することができる。しかし、例えば、遮蔽物体の操作により、同時に複数の表示情報の被遮蔽状態が解除された場合、閲覧者は、被遮蔽状態にあったどの表示情報に対して注目したのかを見分けることができない。
【0083】
本発明の第2の実施形態の場合、付箋化した表示情報を表示面上の遮蔽物体の位置変化に応じて変化させ、遮蔽物体との相対位置が変化しない表示位置を取る(表示領域制限にかかる場合は、その限りではない)ようにする。そして、その表示情報の全容を見るためには、その表示情報(付箋状)に対して入力行為を行うことにすると、積極的な閲覧状態の計測により表示情報の全容表示を正確に行うことが可能となる。
【0084】
[変形例の説明]
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0085】
表示制御装置を構成する各ブロックは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、記憶部により記憶されているプログラムがCPUによりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。あるいは、表示制御装置10を構成する各ブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0086】
また、例えば、複数種類の表示情報を扱う場合、例えば、表示優先度は高いが、表示情報のうちのいくつかは、遮蔽物体と関連性の高い情報であり、残りのものは関連性が低い情報であるといった場合も想定される。かかる場合には、関連性の高い情報群に関しては、遮蔽物体により情報の一部が遮蔽されるような情報表示レイアウトを取り、残りのものは表示面上の遮蔽物体、および遮蔽物体と関連性が高い表示情報により情報を遮蔽されることがないレイアウトを取るといったことも可能である。
【0087】
また、表示面上に遮蔽物体が存在しない場合の情報表示に関しては、遮蔽物体自体にも情報発信能力があり、閲覧者が遮蔽物体に注目する過程で、表示情報に関心・注意を引くといった効果とはならない。しかし、どこにも遮蔽部分がない表示情報を表示する、あるいは、情報表示空間において、より前面に存在する表示情報を遮蔽物とみなして、部分的に隠した情報表示手法に則ることも可能である。上記においては、物理媒体としての遮蔽物体により表示面が遮蔽される場合について主に説明したが、本実施形態は、表示面が電子情報媒体としての表示情報により遮蔽される場合にも広く適用され得る。したがって、上記の遮蔽物体は、電子情報媒体としての表示情報を包含するオブジェクトであってもよい。
【0088】
また、遮蔽物体の状態に関わらず、常に遮蔽されることなく表示面上に表示しておきたい表示情報に関しては、特許文献1に記載された技術を利用した情報表示手法による情報表示を行ってもよい。
【0089】
また、遮蔽物体が記憶部に登録されていない物体である場合、外部センサ、例えば、カメラ、深度センサなどを利用してその物体の性質を解析する機能を組み込むことも可能である。
【0090】
また、表示情報記憶部105aに記憶させる表示情報に関して、表示情報に関するステータス情報を手動入力するだけではなく、表示情報の内容を解析して、自動的にステータス情報を入力する形式を組み組むことも可能である。例えば、表示情報の内容を文字群、絵群などに分類、文字群はさらに文字の大きさ、文字の属性(数字部分、フォント)などに切り分け、それぞれに優先度を割り振ってもよい(例えば、数字部分、色が部分的に変わる部分、強調文字になっている部分などの優先度を高くしてもよい)。
【0091】
また、表示位置調整部104aと情報内容配置調整部104bとの間で、n回フィードバックループを回すことで、表示レイアウトをより適切な状態にする仕組みを組み込んでもよい。閲覧者の遮蔽状態にある表示情報に対する操作入力の情報を蓄積することで、どの表示情報、あるいは、ある表示情報のどの部分に対して注目したかを学習し、表示レイアウトをより適切な状態にする仕組みを組み込んでもよい。
【0092】
また、入力部801の機能は、遮蔽物体検出部102を構成する機能により実現してもよい。
【0093】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。