特許第5895713号(P5895713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サタケの特許一覧

<>
  • 特許5895713-異物選別機 図000002
  • 特許5895713-異物選別機 図000003
  • 特許5895713-異物選別機 図000004
  • 特許5895713-異物選別機 図000005
  • 特許5895713-異物選別機 図000006
  • 特許5895713-異物選別機 図000007
  • 特許5895713-異物選別機 図000008
  • 特許5895713-異物選別機 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5895713
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】異物選別機
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/22 20060101AFI20160317BHJP
   B07B 1/20 20060101ALI20160317BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20160317BHJP
   B02B 7/00 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   B07B1/22 Z
   B07B1/20 A
   B07B1/46 K
   B02B7/00 105
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-125695(P2012-125695)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-248576(P2013-248576A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】梶原 一信
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 康義
(72)【発明者】
【氏名】波光 勉
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 洋二
(72)【発明者】
【氏名】小池 康範
(72)【発明者】
【氏名】大島 祥吾
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−161771(JP,A)
【文献】 特開2010−216721(JP,A)
【文献】 実開平06−003474(JP,U)
【文献】 実開平07−007411(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/22
B07B 1/20
B07B 1/46
B02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物に混在する異物を選別する異物選別機であって、
粒状物の整粒よりも小さな孔が多数形成される固定筒体、該固定筒体内に配設され複数の撹拌部材が固定される第1回転軸、を有し、前記撹拌部材の回転により前記固定筒体の一端側から他端側へ粒状物を撹拌しながら搬送することで、前記固定筒体に形成される孔から前記粒状物の整粒よりも小さな異物を排出する一方、前記固定筒体の他端側から前記小さな異物が除去された粒状物を搬出する第1選別部と、
粒状物の整粒よりもやや大きな孔が多数形成される回転筒体、該回転筒体が固定される第2回転軸、を有し、前記回転筒体の一端側から粒状物が搬入され、前記回転筒体の回転により該回転筒体に形成される孔から前記粒状物の整粒を排出する一方、前記回転筒体の他端側から前記粒状物の整粒よりも大きな異物を排出する第2選別部と、を備え、
前記第1選別部と前記第2選別部は連続して配置され、前記固定筒体から搬出される粒状物が前記回転筒体の一端側から搬入可能とされるとともに、前記第1回転軸と前記第2回転軸が前記第1回転軸の回転速度を減速させる変速機構を介して連結されることを特徴とする異物選別機。
【請求項2】
前記第2選別部は、
前記回転筒体の他端側に配設され、該回転筒体を軸方向に仕切るとともに該回転筒体の内周面の一部に粒状物の整粒よりも大きな異物の移動用開口を形成する切り欠きが設けられる仕切板、
前記回転筒体の他端に配設され、該回転筒体の回転方向に前記移動用開口とやや位相がずれた位置関係で前記大きな異物の排出用開口を形成する切り欠きが設けられる端板、
前記排出用開口における前記回転筒体の反回転方向側の端部と前記仕切板との間に配設され、前記移動用開口から前記仕切板と前記端板との間の領域に流入し当該領域において前記回転筒体に形成される孔から排出されない前記大きな異物を前記排出用開口に案内する案内板、
をさらに有する請求項1記載の異物選別機。
【請求項3】
前記第2選別部における前記回転筒体は、多角筒体である請求項1又は2記載の異物選別機。
【請求項4】
前記第2選別部における前記回転筒体に形成される孔は、該回転筒体の回転により前記粒状物に他端側へ移動する力を与えるよう、前記回転筒体の軸に直交する方向に対し斜めに配置される長孔である請求項1乃至3の何れか一項に記載の異物選別機。
【請求項5】
前記第1選別部における前記固定筒体は、複数の筒体が連結されてなり、前記複数の筒体に形成される孔の大きさがそれぞれ異なる請求項1乃至4の何れか一項に記載の異物選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒等の粒状物に混在する異物を選別する異物選別機に関し、特に精米後の精白米に混在する砕米や糠玉等の異物を選別除去するのに好適な異物選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、精白米等の穀粒に混在する異物を選別する装置として、円筒形状又は多角筒形状のスクリーンを利用するものが知られている(特許文献1,2を参照。)。
【0003】
特許文献1には、穀粒に混在する砕米等の小さな異物を選別する装置が記載されている。当該装置は、回転又は固定した円筒形状のスクリーン内に穀粒を供給し、前記スクリーンのメッシュから小さな異物を排出することで、穀粒に混在する砕米等の小さな異物を選別するものである。
【0004】
特許文献2には、穀粒に混在する糠玉等の大きな異物を選別する装置が記載されている。当該装置は、回転する円筒形状のスクリーン内に穀粒を供給し、前記スクリーンのメッシュから前記穀粒の整粒を排出することで、穀粒に混在する糠玉等の大きな異物を選別するものである。
【0005】
ところで、穀粒に混在する小さな異物と大きな異物を選別するためには、上記二台の装置を設置し、該二台の装置に穀粒を順次投入する必要があるため、上記各装置を設置するための大きなスペースを確保する必要がある。
また、上記選別作業を効率よく行うためには、一台目の装置から二台目の装置へ精白米を搬送する装置を別途設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−178679号公報
【特許文献2】特開平9−66264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、穀粒等の粒状物に混在する小さな異物と大きな異物を一台の装置で選別することができる異物選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
粒状物に混在する異物を選別する異物選別機であって、
粒状物の整粒よりも小さな孔が多数形成される固定筒体、該固定筒体内に配設され複数の撹拌部材が固定される第1回転軸、を有し、前記撹拌部材の回転により前記固定筒体の一端側から他端側へ粒状物を撹拌しながら搬送することで、前記固定筒体に形成される孔から前記粒状物の整粒よりも小さな異物を排出する一方、前記固定筒体の他端側から前記小さな異物が除去された粒状物を搬出する第1選別部と、
粒状物の整粒よりもやや大きな孔が多数形成される回転筒体、該回転筒体が固定される第2回転軸、を有し、前記回転筒体の一端側から粒状物が搬入可能とされ、前記回転筒体の回転により該回転筒体に形成される孔から前記粒状物の整粒を排出する一方、前記回転筒体の他端側から前記粒状物の整粒よりも大きな異物を排出する第2選別部と、を備え、
前記第1選別部と前記第2選別部は連続して配置され、前記固定筒体から搬出される粒状物が前記回転筒体の一端側から搬入可能とされるとともに、前記第1回転軸と前記第2回転軸が前記第1回転軸の回転速度を減速させる変速機構を介して連結されることを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記第2選別部が、
前記回転筒体の他端側に配設され、該回転筒体を軸方向に仕切るとともに該回転筒体の内周面の一部に粒状物の整粒よりも大きな異物の移動用開口を形成する切り欠きが設けられる仕切板、
前記回転筒体の他端に配設され、該回転筒体の回転方向に前記移動用開口とやや位相がずれた位置関係で前記大きな異物の排出用開口を形成する切り欠きが設けられる端板、
前記排出用開口における前記回転筒体の反回転方向側の端部と前記仕切板との間に配設され、前記移動用開口から前記仕切板と前記端板との間の領域に流入し当該領域において前記回転筒体に形成される孔から排出されない前記大きな異物を前記排出用開口に案内する案内板、
をさらに有することが好ましい。
【0010】
本発明は、前記第2選別部における前記回転筒体が、多角筒体であることが好ましい。
【0011】
本発明は、前記第2選別部における前記回転筒体に形成される孔が、該回転筒体の回転により前記粒状物に他端側へ移動する力を与えるよう、前記回転筒体の軸に直交する方向に対し斜めに配置される長孔であることが好ましい。
【0012】
本発明は、前記第1選別部における前記固定筒体が、複数の筒体が連結されてなり、前記複数の筒体に形成される孔の大きさがそれぞれ異なることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の異物選別機は、粒状物に混在する小さな異物を選別する第1選別部と、粒状物に混在する大きな異物を選別する第2選別部を備えるので、粒状物に混在する小さな異物と大きな異物を一台の装置で選別することができる。
また、本発明の異物選別機は、前記第1選別部と前記第2選別部が連続して配置されるため、前記第1選別部から前記第2選別部へ粒状物を搬送する装置を別途設ける必要がなく、構造がシンプルとなり、大きな設置スペースを確保する必要がない。
さらに、本発明の異物選別機は、変速機構を介して第1回転軸と第2回転軸を連結するため、1つのモータで前記両回転軸を回転駆動することができ、消費電力抑制効果がある。
【0014】
本発明の異物選別機は、第2選別部が回転筒体の他端側に配設される仕切板を有することとすれば、当該仕切板が障害となり、粒状物の整粒が大きな異物とともに前記回転筒体の端板側へ移動することを防ぐことができる。
また、本発明の異物選別機は、粒状物の整粒が前記仕切板と前記端板との間の領域に流入した場合でも、前記回転筒体が所定角度回転する間、粒状物が他端側へ移動することなく同じ領域にとどまるため、前記粒状物の整粒を前記回転筒体に形成される孔から確実に排出することができる。
したがって、本発明の異物選別機によれば、粒状物の整粒が、該粒状物の整粒よりも大きな異物とともに排出用開口から排出されることを防ぐことができる。
【0015】
本発明の異物選別機は、第2選別部における回転筒体に形成される孔が、該回転筒体の回転により前記粒状物に他端側へ移動する力を与えるよう、前記回転筒体の軸に直交する方向に対し斜めに配置される長孔であることとすれば、後方からの粒状物に押される形で移動する粒状物の移動力が十分でない場合でも、該粒状物を前記回転筒体の他端側へ確実に移動させることができる。
【0016】
本発明の異物選別機は、第1選別部における固定筒体が、複数の筒体が連結されてなり、前記複数の筒体に形成される孔の大きさがそれぞれ異なることとすれば、粒状物の整粒よりも小さな異物を更に細かく選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態における異物選別機の斜視図。
図2図1の異物選別機の平面図。
図3図2のA−A断面斜視図。
図4図2のA−A断面図。
図5図2のB−B断面図。
図6図1の異物選別機において端部のカバーを外した状態の大異物選別部の斜視図。
図7】大異物選別部の拡大図。
図8図7(a)のD−D断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における異物選別機の斜視図を示す。図2は、図1の異物選別機の平面図を示す。図3は、図2のA−A断面斜視図を示す。図4は、図2のA−A断面図を示す。図5は、図2のB−B断面図を示す。
本実施の形態における異物選別機は、穀粒等の粒状物を原料とし、該粒状物の整粒よりも小さな異物(以下、「小異物」という。)と大きな異物(以下、「大異物」という。)を選別するものである。
ここでは、精白後の精白米を原料とし、該精白米に混在する小異物である砕米・害虫・脱落胚芽等(以下、「砕米等」という。)と、大異物である糠玉を選別除去する場合を例として説明する。
【0020】
本実施の形態における異物選別機は、小異物選別部1と、該小異物選別部1に連続して配置される大異物選別部2を備える。
前記小異物選別部1は、横設される固定円筒体11と、該固定円筒体11内に配設される第1回転軸12と、該第1回転軸12に固定され該第1回転軸12と一体的に回転可能に配置される複数の撹拌翼13と、を備える。
【0021】
前記固定円筒体11には、該固定円筒体11の全周にわたり、精白米の整粒よりも小さな幅の長孔14が該固定円筒体11の軸に直交する方向に向けて多数形成されている。ここでは、前記固定円筒体11は、二つの筒体が連結されてなり、第1円筒体11aに形成される長孔の幅(本実施例では幅1.5mm、長さ25mm)が、第2円筒体11bに形成される長孔の幅(本実施例では幅1.7mm、長さ25mm)よりも小さなものとされている。なお、図3において、前記固定円筒体11に形成される長孔は図示省略されている。
【0022】
前記固定円筒体11の下方には、前記固定円筒体11に形成される長孔14から排出される砕米を機外へ排出するための排出樋15が配設される。前記排出樋15は、内部が前記第1円筒体11aと第2円筒体11bに対応する領域に仕切られており、各領域の下部に小砕米排出口16と大砕米排出口17が形成されている。
【0023】
前記大異物選別部2は、前記固定円筒体11に連続して横設される断面八角形の回転多角筒体21と、該回転多角筒体21内に配設されるとともに該回転多角筒体21が固定される第2回転軸22と、を備える。
【0024】
前記第2回転軸22は、前記第1回転軸12の回転速度を減速させるための変速機構23を介して前記第1回転軸12と同軸上に連結されている。ここで、前記変速機構23には、従来周知のものを用いることができる。
前記回転多角筒体21には、該回転多角筒体21の全周にわたり、精白米の整粒よりもやや大きな幅の長孔24(本実施例では幅5.0mm、長さ45mm)が、該回転多角筒体21の軸に直交する方向に向けて多数形成されている。なお、図3において、前記回転多角筒体21に形成される長孔24は一部の面で図示省略されている。
【0025】
前記回転多角筒体21には一端側から精白米が搬入可能とされるとともに、該回転多角筒体21の下方には、該回転多角筒体21に形成される長孔24から排出される整粒を機外へ排出するための整粒排出口26が設けられる。
また、前記回転多角筒体21の他端側端部の側方には、前記回転多角筒体21に形成される長孔24から排出されない糠玉が排出される糠玉排出樋27が配設され、該糠玉排出樋27の下部には前記糠玉を機外に排出するための糠玉排出口28が形成されている。
【0026】
本実施の形態における異物選別機は、図3乃至図5に示すように、投入口3へ投入される精白米が、ロータリーバルブ4を介して一定流量でホッパ5から小異物選別部1に供給される。
前記固定円筒体11に一端から搬入される精白米は、モータ6により回転駆動される第1回転軸12を介して回転する撹拌翼13により撹拌されながら前記一端側から他端側へ搬送され、その間、前記固定円筒体11に形成される長孔14から砕米等が排出される。なお、ここでは、前記第1回転軸12及び前記撹拌翼13は、図5に矢印で示すように、大異物選別部2側からみて時計回りに回転する。
ここで、本実施の形態における異物選別機は、前記固定円筒体11が第1円筒体11aと第2円筒体11bを連結して構成されるため、第1円筒体11aに形成される長孔から小さな砕米等が排出され、第2円筒体11bに形成される長孔から大きな砕米等が排出される。
【0027】
一方、前記砕米が排出されて除去された精白米は、該固定円筒体11の他端から搬出され、該固定円筒体11に連続して横設される大異物選別部2の回転多角筒体21に一端から直接搬入される。
【0028】
前記回転多角筒体21に搬入される精白米は、後方からの精白米に押される形で該回転多角筒体21内を他端側に移動するが、その際、前記第1回転軸12と同じ方向に回転する第2回転軸22を介して回転駆動される該回転多角筒体21内において、当該回転多角筒体21に形成される長孔24から整粒が排出される。
ここで、本実施の形態における異物選別機は、大異物選別部2における前記回転多角筒体21の回転速度を、小異物選別部1における前記撹拌翼13の回転速度の1/5〜1/10程度に減速させる必要があるが、第2回転軸22が、前記第1回転軸12の回転速度を減速させるための変速機構23を介して前記第1回転軸12と連結されているため、1つのモータ6により両者を回転駆動することができ消費電力抑制効果がある。
【0029】
一方、前記整粒が排出された後の糠玉は、該回転多角筒体21の他端から排出される。
【0030】
上記実施の形態において、前記回転多角筒体21に形成される長孔24は、該回転多角筒体21の回転により前記精白米に他端側へ移動する力を与えるよう、該回転多角筒体21の軸に直交する方向に対し斜めに配置される構成とすることもできる。このような構成とすれば、後方からの精白米に押される形で前記回転多角筒体21内を他端側に移動する精白米の移動力が十分でない場合でも、該精白米を記回転筒体の他端側へ確実に搬送することができる。
【0031】
また、前記第1回転軸12と前記第2回転軸22は、変速機構23を介して連結されていればよく、必ずしも同軸上に配置される必要はない。
【0032】
なお、前記固定円筒体11及び回転多角筒体21に形成される長孔14,24は、適宜形状を変更することができる。
また、前記固定円筒体11内に配置される撹拌翼13は、精白米を撹拌しながら搬送する構造であればよく、同様の機能を有するのであればスクリューコンベア等に変更することもできる。
さらに、前記回転多角筒体21は、断面八角形に限るものでなく、また回転円筒体に変更することもできる。
【0033】
次に、大異物選別部の構造について詳細に説明する。
図6は、図1の異物選別機において端部のカバーを外した状態の大異物選別部の斜視図を示す。図7は大異物選別部の拡大図であって、図7(a)は図4のC部拡大図、図7(b)は図7(a)のE−E断面図を示す。図8は、図7(a)のD−D断面図を示す。ここで、図6において、回転多角筒体21に形成される長孔は一部の面で図示省略されている。また、回転多角筒体21は、図6及び図8に矢印で示すように、前記糠玉排出樋27が配設される他端側端部の側からみて時計回りに回転する。
大異物選別部2は、前記回転多角筒体21の他端側に配設され、該回転多角筒体21内を軸方向に仕切るリング状の仕切板30と、前記回転多角筒体21の他端に配設されるリング状の端板31と、をさらに備える。
【0034】
前記仕切板30には切り欠きが設けられ、前記回転多角筒体21の内周面の一部に精白米に混在している大異物である糠玉の移動用開口32が形成されている。
また、前記端板31には切り欠きが設けられ、前記回転多角筒体21の回転方向に前記移動用開口32とやや位相がずれた位置関係で、糠玉の排出用開口33が形成されている。
そして、前記排出用開口33における前記回転多角筒体21の反回転方向側の端部と前記仕切板30との間には、前記移動用開口32から前記仕切板30と前記端板31との間の領域に流入し、当該領域において前記回転多角筒体21に形成される長孔24から排出されない糠玉を前記排出用開口33へ案内する案内板34が配設されている。該案内板34は、図7(b)に示すように、当該案内板34に接触した糠玉を前記排出用開口33から確実に排出できるよう、前記仕切板30及び前記端板31に対し傾斜して配設する構成とされる。ここでは、前記案内板34は、前記端板31の一部を前記仕切板30側に折り曲げて形成されている。なお、前記案内板34の先端と前記仕切板30は、必ずしも接触している必要はなく、両者の間に、糠玉が通り抜けできない大きさの隙間が設けられてもよい。
ここで、前記仕切板30と前記端板31は、それぞれ一定の幅を有するリング状部材に代えて円板状部材とすることもできる。その場合、円板中央部をアクリル等の透明材料で形成することもできる。
【0035】
上記大異物選別部2の構造によれば、回転多角筒体21の他端側に仕切板30が配設されるため、当該仕切板30が障害となり、精白米の整粒が、糠玉とともにそれ以上端板側へ移動することを防ぐことができる。
また、精白米の整粒が前記移動用開口32から前記仕切板30と前記端板31との間の領域に流入した場合でも、前記回転多角筒体21が約1回転する間、精白米が端板31側に移動することなく同じ領域にとどまるため、該精白米の整粒を前記回転多角筒体21に形成される長孔24から確実に排出することができる。
したがって、上記大異物選別部2によれば、精白米の整粒が糠玉とともに排出用開口33から排出されることを防ぐことができる。
【0036】
なお、上記大異物選別部2は、前記移動用開口32、前記排出用開口33及び前記案内板34を、それぞれ周方向に複数設ける構成とすることもできる。例えば、前記移動用開口32から半周した位置に別途排出用開口及び案内板を設け、該案内板における前記回転多角筒体21の反回転方向側に新たに移動用開口を設けることとすれば、前記仕切板30と前記端板31との間の領域を、さらに周方向に二つの領域に分けることとなり、前記2つの各排出用開口から、前記回転多角筒体21が半回転する毎に糠玉が排出されることとなる。
【0037】
なお、上記大異物選別部2は、粒状物に混在する大きな異物を確実に選別することを目的とする異物選別機として、上記小異物選別部1と独立した装置とすることもできる。
その場合、回転多角筒体21の一端側に粒状物の投入口を設け、第2回転軸22を前記第1回転軸を介することなくモータ6により駆動する構成とすればよい。
【0038】
上記実施の形態では、精白後の精白米を原料とし、該精白米の整粒よりも小さな異物である砕米等と、大きな異物である糠玉を選別する場合を例として説明したが、本発明の異物選別機は、精白米に限ることなく、米・麦類・豆類・ナッツ類等の穀類、ペレット・ビーズ等の小片、医薬品等の錠剤やカプセル剤等、各種粒状物を原料とし、該粒状物に混在する小さな異物と大きな異物を選別できるものである。
【0039】
本発明は、上記実施の形態に限るものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の異物選別機は、精白米等の粒状物に混在する小さな異物と大きな異物を一台の装置で選別することができるため、利用価値が極めて高い。
【符号の説明】
【0041】
1 小異物選別部
2 大異物選別部
3 投入口
4 ロータリーバルブ
5 ホッパ
6 モータ
11 固定円筒体
12 第1回転軸
13 撹拌翼
14 長孔
16 小砕米排出口
17 大砕米出口
21 回転多角筒体
22 第2回転軸
23 変速機構
24 長孔
26 整粒排出口
28 糠玉排出口
30 仕切板
31 端板
32 移動用開口
33 排出用開口
34 案内板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8