(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5895722
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】回転操作部品および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01C 10/00 20060101AFI20160317BHJP
H01G 5/01 20060101ALI20160317BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
H01C10/00 C
H01G5/01 C
H05K7/12 U
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-130142(P2012-130142)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-254872(P2013-254872A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水崎 紘行
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝
(72)【発明者】
【氏名】奥濃 基晴
【審査官】
小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−261192(JP,A)
【文献】
実開昭57−195801(JP,U)
【文献】
特許第106334(JP,C2)
【文献】
特開2007−285423(JP,A)
【文献】
実開昭63−104741(JP,U)
【文献】
実公昭57−011425(JP,Y1)
【文献】
米国特許第02811867(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 10/00 −10/50
H01G 5/01
H05K 7/12
F16F 1/04 − 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転型電子部品の回動部に固定される基部とねじ穴を有する操作部とが軸部を介して連結されて成る部品であって、
前記軸部にその回転軸の周りに巻かれた螺旋状バネが含まれると共に、この軸部と前記操作部と前記基部とが弾性を有する樹脂により一体に成形されて成り、
前記軸部には、巻き方向が相反する一対の螺旋状バネと各螺旋状バネに挟まれて両者を繋ぐ連結部とが含まれており、
前記連結部は、前記軸部の軸方向を長さ方向としかつ前記回転軸から偏心した位置に前記回転軸に重ならないように配置された柱状体からなる、回転操作部品。
【請求項2】
前記一対の螺旋状バネの各々が、その延在方向と直交する断面が略矩形状の形状を有している、請求項1に記載の回転操作部品。
【請求項3】
回転型電子部品が搭載された基板が本体部の内部に収容されると共に、ねじ穴を有する操作部と基部とが軸部を介して連結されて成る回転操作部品が、前記基部が前記電子部品の回動部に固定され、操作部が前記本体部の表面に露出した状態で配備された電子機器において、
前記回転操作部品は、前記軸部にその回転軸の周りに巻かれた螺旋状バネが含まれると共に、この軸部と前記操作部と前記基部とが弾性を有する樹脂により一体に成形されて成り、
前記軸部には、巻き方向が相反する一対の螺旋状バネと各螺旋状バネに挟まれて両者を繋ぐ連結部とが含まれており、
前記連結部は、前記軸部の軸方向を長さ方向としかつ前記回転軸から偏心した位置に前記回転軸に重ならないように配置された柱状体からなる、電子機器。
【請求項4】
前記一対の螺旋状バネの各々が、その延在方向と直交する断面が略矩形状の形状を有している、請求項3に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転型電子部品の回動部を回転させるために当該回動部に取り付けられる回転操作部品、およびこれらの部品を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
回転型電子部品とは、部品本体に設けられた回動部の回転角度によって設定状態が変動する部品のことで、具体例として、可変抵抗器、可変コンデンサ、ロータリスイッチなどをあげることができる。この種の部品が内部に組み込まれる電子機器では、回動部に回転操作部品を取り付け、この回転操作部品に回転力を与える方法によって回動部を回転させる。
【0003】
図7は、回転型電子機器を200、回転操作部品を500として、これらの部品200,500が導入される電子機器の従来の構成例を示したものである。
図中、300は電子機器のケース体であり、その内部に回路基板400が配備されている。回転型電子機器200は、回路基板400のあらかじめ定められた場所に固定されると共に、当該基板400の回路パターンに電気接続されている。また、ケース体300の回転型電子部品200の上方にあたる場所には、回転操作部品500を支持するための取付孔301が形成されている。
【0004】
回転型電子機器200の本体部201の上面の中央には、穴部(図示せず。)が形成され、その穴部に、上面に凹部203を有する回動部202が嵌め込まれている。
回転操作部品500は、ねじ穴501を有する操作部502に軸部503が一連に連ねられて成るもので、軸部503の先端には、回動部202の凹部203に対応する形状の取付片504が設けられている。
【0005】
上記の回転操作部品500は、取付孔301を介して、取付片504および軸部503をケース体300の内部に挿入し、取付片504を回動部202の凹部203に嵌め込むことによって、操作部502をケース体300の表面に露出させた状態で回動部202に固定される。なお、取付孔301の内周縁には下向きの段部が形成されて、その段部にOリング310が配備される。操作部502の底面の周縁部はケース体300の上面により支持され、それより内側の部分はOリング310により支持される。
【0006】
上記の方法で取り付けられた回転操作部品500の操作部502のねじ穴501にドライバ(図示せず。)を挿入して、そのドライバを回転させると、その回転力は操作部502から軸部503および取付片504を介して回転型電子機器200の回動部202に伝わり、回動部202と回転操作部品500とが一体となって回転する。このように、ケース体300の外での回転操作によってケース体300の内部の回転型電子部品200に対する設定を、行うことができる。
【0007】
下記の特許文献1には、回転操作部品の取り付けに関して
図7に示したのと同様の方法が開示されている。
さらに特許文献2には、回転型電子部品(感度調整用のボリューム)が組み込まれる電子機器において、本体ケースの開口部に連結される蓋部材の内部に回転型電子部品の支持部を設け、この支持部に支持された回転型電子部品に回転操作部品を取り付けると共に、支持部に回路基板を連結し、回転型電子部品と基板との電気接続を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−67505号公報
【特許文献2】特開平6−85474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の記載によれば、基板上の回転型電子部品と本体部に挿入された回転操作部品とは容易に連結できるように思われるが、実際には、本体部に対する基板のずれ、基板に形成された配線パターンのずれ、基板に対する回転型電子部品のずれなどの影響により、回転型電子部品の回転軸と回転操作部品の回転軸との間にずれが生じる可能性がある。以下、この部品間の回転軸のずれを、「軸ずれ」という。
【0010】
この軸ずれを無視して回転型電子部品と回転操作部品とを連結すると、連結部分や軸部が無理に引っ張られたり、押圧されたりして、トルクが高められる。このため、回転操作が行われても回動部が回りにくい状態になることがある。その状態で無理な回転操作を続けると、回転型電子部品や回転操作部品が破損するおそれもある。
【0011】
特許文献2に記載された発明は、上記の問題を解決するために、支持部により回転型電子部品を位置決め固定してから、支持部を介して基板への電気接続や回転操作部品への連結を行っている。しかし、このような方法をとると、部品点数や工数が増えて、コスト高になる。また電子機器の本体の大型化を招くおそれもある。
【0012】
図8は、上記の問題を解決することを目的に改良された回転操作部品500Aの例である。
図8の例に関して、
図7の例と同じ構成を
図7と同一の符号により表すことにより説明を省略し、変更点のみを説明する。この例の回転操作部品500Aの軸部503は、短軸部505と複数の板バネを矩形状に連結させた構成のバネ部506とにより構成される。この構成は、回転型電子部品200との間に軸ずれが生じても、バネ部506が変形することによりずれが吸収される、という考えによるものである。しかしながら、発明者らが検証してみたところ、板バネの連結による矩形状のバネ部506は、矩形の対角線に沿う方向(図中の上下方向および左右方向)には変形するが、矩形を貫く方向(板バネの厚み方向)にはあまり変形しないことが判明した。軸ずれは任意の方向に生じ得るので、方位によって変形力にばらつきがあるようなバネ部506では、軸ずれを十分に吸収することは困難である。
【0013】
本発明は上記の問題に着目してなされたもので、回転型電子部品との間の軸ずれがどの方向に生じても、十分な変形力によって軸ずれを吸収することが可能な回転操作部品を提供することを第1の課題とする。
さらに、本発明は、この回転操作部品を導入することによって、設定変更のための回転操作を容易に実施できる小型の電子機器を、手頃な価格で提供できるようにすることを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による回転操作部品は、回転型電子部品の回動部に固定される基部とねじ穴を有する操作部とが軸部を介して連結されて成る部品であって、軸部にその回転軸の周りに巻かれた螺旋状バネが含まれると共に、この軸部と操作部と基部とが弾性を有する樹脂により一体に成形されることを特徴とする。
【0015】
上記の特徴を備えた回転操作部品は、回転型電子部品が搭載された基板が収容された電子機器の本体部に対し、基部が電子部品の回動部に固定され、操作部が本体部の表面に露出した状態で配備される。操作部に回転力が加えられと、回転操作部品全体が回転型電子部品の回動部と共に回転する。
【0016】
上記の回転操作部品は、全体が弾性を有する樹脂により製作されると共に、軸部に螺旋状バネが含まれているので、回転型電子部品との軸ずれがどの方向に生じたとしても、その軸ずれの方向やずれ量に応じた変形を螺旋状バネに生じさせて、軸部内でずれを吸収することができる。よって、部品間の連結部分や軸部に無理な力がかかるのを防ぎながら、操作部を筐体の表面で安定して支持し、基部を回転型電子部品の回動部にしっかりと固定することが可能になる。
また、螺旋状バネを含む部品全体が弾性を有する樹脂により一体に成形されるので、部品全体の強度を高めると共に、製作を容易にすることができる。
【0017】
上記の回転操作部品の一実施形態では、巻き方向が相反する一対の螺旋状バネと各螺旋状バネに挟まれて両者を繋ぐ連結部とが軸部に含まれる。たとえば、操作部側に右巻きの螺旋状バネが配備される場合には、そのバネに連結部を介して連結される他方の螺旋状バネは左巻きとなる。
【0018】
上記の構成によれば、回転操作部品の基部が回転型電子部品の回動部に固定されたときに、軸部の螺旋状バネが若干収縮してその巻き方向に沿う回転力が生じたとしても、それぞれのバネにおける回転力が連結部において相殺され、回転型電子部品の回動部に回転力が伝搬するのを防ぐことができる。よって、回動部が初期状態から回転した状態になって、回転操作による調整可能範囲が削減されるのを防ぐことができる。
【0019】
上記の実施形態において、連結部を軸部の軸方向を長さ方向とする柱状体とし、一対の螺旋状バネを連結部を挟んで同等の長さに形成すれば、螺旋状バネおよび柱状体を含む軸部の構成が単純になるので、回転操作部品の成形が容易になる。また、連結部の変形力が高められるので、軸ずれに対する応答性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による回転操作部品によれば、回転型電子部品との軸ずれがいずれの方向に生じたとしても、螺旋状バネの変形によって、軸部内で軸ずれを吸収することが可能になる。よって、回転操作に対するトルクが弱まり、回転型電子部品の回動部を容易に回転させることが可能になり、部品の破損を防ぐことができる。
【0021】
また上記の回転操作部品が導入された電子機器によれば、部品点数や組立の工数を削減すると共に、機器本体の小型化を実現することが可能になる。よって、設定変更のための操作が容易な小型の電子機器を手頃な価格で提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明が適用された光電センサの内部構成を示す斜視図である。
【
図2】基本形の回転操作部品を斜め下方向から見た斜視図である。
【
図3】基本形の回転操作部品の側面図および斜視図である。
【
図4】基本形の回転操作部品の操作部を周囲のケース部材と共に示した上面図、操作部および支持軸ならびに周囲のケース部材の縦断面図である。
【
図5】第2実施例にかかる回転操作部品の側面図および斜視図である。
【
図6】第3実施例にかかる回転操作部品の側面図および斜視図である。
【
図7】回転型電子部品および回転操作部品が導入された電子機器の従来例を示す模式的断面図である。
【
図8】回転型電子部品および回転操作部品が導入された電子機器の他の従来例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明が適用された電子機器の一例である光電センサの内部構成を示す。
この実施例の光電センサは、投光部および受光部が一体となった反射型のセンサであって、前後が開口された長手形状のケース体2の内部に光学系や基板を支持するホルダ6が組み込まれた構成をとる。ケース体2の前端の開口部は透光性を有するカバーレンズ(図示せず。)により塞がれ、後端の開口部はコネクタを有する蓋体(図示せず。)により塞がれる。
【0024】
ホルダ6は、レンズホルダ60の後方に基板支持部62が一体に設けられた樹脂成形品である。レンズホルダ60の内部の空間は壁部61により二分され、一方が投光用の導光路となり、他方が受光用の導光路となる。各導光路の前端部にはそれぞれ投光用または受光用のレンズ7が装着される。
【0025】
レンズホルダ60の後端部には、投光窓および受光窓を有する遮光板(図示せず。)が設けられ、その背後に、投光素子および受光素子を支持する基板4が装着される。投光素子および投光窓は投光用の導光路に対応し、受光素子および受光窓は受光用の導光路に対応する。
【0026】
基板支持部62は、ケース体2の底面に沿って延設されており、その上に回路基板5が装着される。回路基板5には、投光処理および受光処理に関わる回路パターンが形成されると共に、回転型電子部品として可変抵抗器3が搭載されている。回路基板5には、可変抵抗器3以外の部品も搭載されるが、
図1では図示を省略する。
【0027】
この実施例の可変抵抗器3は、中央に穴部(図示せず。)を有する立方体状の本体部30の穴部に回動部31が嵌め込まれた構成の部品である。回動部31の上面には溝状の凹部32が形成されている。
この実施例では、回動部31の回転角度によって抵抗が変動する仕組みを利用して、可変抵抗器3を投光用または受光用の処理回路に電気接続することにより、投光量または受光信号のゲインを手動で調整できるようにしている。この調整操作のために、回動部31には以下に述べる回転操作部品1が固定される。
【0028】
この実施例で使用される回転操作部品1は、弾性を有する樹脂を材料とする成形品である。
図2は、この回転操作部品1を斜め下方向から見た状態を示す斜視図である。
図3(A)は、可変抵抗器3に取り付けられた回転操作部品1を一側方から正面視した状態を示し、
図3(B)は、
図3(A)の左斜め前方に視点を変更して回転操作部品1を見た状態を示す。
なお、
図3(A)(B)では、可変抵抗器3の本体30の一辺に沿う方向を幅方向として、幅方向に沿う軸をX軸とし、奥行き方向に沿う軸をY軸とし、高さ方向に沿う軸をZ軸とする。後記する
図5,
図6の例でも同様である。
【0029】
この実施例の回転操作部品1は、円盤状の基部11と基部11より大きい円盤状の操作部12とを軸部10を介して連結した構成の樹脂成型品である。
基部11の底面には、回動部31の凹部32に係合可能な突条110が設けられている。操作部12の上面にはねじ穴120が形成され、端縁の一箇所に略半円状の切り欠き部123を介して二股に分かれた突起121が設けられている。この突起121の先端部には下向きの鉤122が形成されている。ねじ穴120はプラス形であって、軸部10の上端位置にまで達する深さを有する。
【0030】
軸部10は、操作部12に連なる支持軸101と基部11に連なる短軸102とが、螺旋状バネ100を挟んで一連に連結された構成である。支持軸101は、基部11より若干大きい径の円柱体を、周面の対向関係にある2箇所でそれぞれ中間位置から底部にかけて窪ませて、各窪み103,103の下方に斜め上に突出する突出片104,104を設けた形状である。短軸102は、上端面を斜めに傾斜させた略円柱体であって、その下端面が基部11の中心部に接合される。
【0031】
螺旋状バネ100は、弾性を有する樹脂により、他の箇所と共に一体に成形されており、広めのピッチをもって軸部10の回転軸の周りにほぼ二巻き分巻かれている。また巻きの内側が回転軸をその近傍で取り囲み、巻きの外側が支持軸101や基部11の外縁部にほぼ対応するように、バネの幅が広く設定されている。螺旋状バネ100の上端は短い連結軸105を介して支持軸101の中心に連結される。また、
図2や
図3では明確でないが、螺旋状バネ100の下端と短軸102の上端面とは一連に連なって1つの面が形成されている。
【0032】
図4は、回転操作部品1の操作部12の上面を周囲のケース部材(ケース体の一部)と共に示した上面図(
図4(A))と、操作部12および支持軸101ならびに周囲のケース部材を含む範囲の縦断面図(
図4(B))とを、上下に対応づけて示したものである。
【0033】
この実施例のケース体2の可変抵抗器3の上方にあたる箇所には、厚み部分を貫通する取付孔20が形成される。取付孔20の内周縁には下向きの段部21が形成され、さらにその外側にガイド溝22が形成される。段部21の深さは操作部12の周縁の厚みに合わせられ、取付孔20の中心部からガイド溝22までの距離は、操作部12の中心部から突起121までの距離に合わせられ、ガイド溝22の深さは鉤122の長さに合わせられている。さらに、取付孔20の内底部にも、内向きの段部23が設けられる。
【0034】
なお、段部21,23は取付孔20の全周に沿って設けられるが、ガイド溝22の形成範囲は可変抵抗器3の回動部31の回動可能範囲に応じて限定される。ケース体2の上面では、ガイド溝22の一端部の近傍に『+』印のマーク25が記され、他端部の近傍に『−』印のマーク26が記されている。これらのマーク25,26は、調整の方向を示すものである。また、ガイド溝22内の5箇所に、それぞれ取付孔20の径方向に沿う線状の目盛りマーク24が記されている。操作部121の二股突起121の切り欠き部123は、当該突起121が目盛りマーク24に位置合わせされた場合の目盛りマーク24の表示窓として機能する。
【0035】
図2〜
図4に示した回転操作部品1を取り付けるには、取付孔20を介して基部11および軸部10をケース体3の内部に挿入し、基部11の突条110が可変抵抗器3の回動部31の凹部32に嵌め込まれるまで押圧を加える。この取り付けに際して、支持軸101の周面の上端部にはOリング8が装着される。支持軸101の底部の突出片104,104は、挿入時には変形して取付孔20を通過するが、取付後は段部23の下方に位置して抜け止めとして機能する。
【0036】
取り付け後の回転操作部品1は、ケース体3に対しては、
図4(B)に示すように、操作部12の底面の周縁部が段部21に当接し、それより内側の部分がOリング8に接触すると共に、突起121の鉤122がガイド溝22に係合した状態になって支持される。操作部12に回転力が加えられると、鉤122がガイド溝22に沿って案内されるので、このガイド溝22により鉤122を移動させることができる範囲で、回転操作部品1を回動部31と共に回転させることができる。
【0037】
上記の回転操作部品1の軸部10の長さは、取付孔20の底部から可変抵抗器3の回動部31までの距離よりやや短く設定されている。したがって、回転操作部品1の取り付けが完了したときの螺旋状バネ100は若干収縮した状態になる。この螺旋状バネ100およびOリング8の付勢力と、突起121の鉤122のガイド溝22への係合とによって、ケース体3に対する操作部12の姿勢を安定させることができる。
【0038】
支持軸101や基部11に外縁を合わせて二巻き近く巻かれた螺旋状バネ100は、XY平面内のいずれの方向に対しても十分な変形力を持つので、下方の可変抵抗器3との軸ずれがどの方向に生じても、その軸ずれの方向およびずれ量に応じて螺旋状バネ100を変形させることができる。加えて、螺旋状バネ100の上下の支持軸101や短軸102も弾性を有するので、螺旋状バネ100の変形により若干引っ張られたり、押圧されたりしても、その力に応じて変形して耐えることができる。よって、可変抵抗器3の軸ずれを軸部10において吸収することができ、可変抵抗器3の回動部31と回転操作部品1の基部12との連結部分や軸部10に、軸ずれに伴う無理な引張力や押圧力がかかるのを防ぐことができる。また、螺旋状バネ100の巻きのピッチが広く設定されているので、高さ方向(Z軸方向)における変形力も確保され、可変抵抗器3との間の距離のばらつきに対応することができる。
【0039】
したがって、取付後の回転操作部品1の操作部12のねじ穴120にドライバ(図示せず。)を差し込んで回転力を加えると、その回転力は、操作部12から軸部10を介して基部11および回動部31に伝わり、回動部31をスムーズに回転させることができる。これにより、調整作業を容易にすると共に、部品1,3の破損を防ぐことができる。また、軸ずれを防ぐための別部品を設ける必要がないので、コストや工数を増加させることなく、安定した状態で取り付けることができる。また、センサを小型化することも可能になる。
【0040】
以下、上記
図2〜4に示した回転操作部品1を基本形として、
図5および
図6に、変形例にかかる回転操作部品1P,1Qを示す。
図5,
図6でも、
図3と同様に、回転操作部品1P、1Qの側面図(A)と斜視図(B)とを左右に並べて示すと共に、基本形と同一または対応する構成に、
図2〜
図4に示したのと同一の符号を付す。
【0041】
基本形の回転操作部品1では、操作部12の姿勢を安定させるために、螺旋状バネ100が少し収縮するように押圧力を加えて取り付けるようにしているが、その際に螺旋状バネ100の巻き方向に沿う回転が生じ、その回転が可変抵抗器3の回動部31に伝搬して回動部31が回転する可能性がある。そうなると、可変抵抗器3の回動部31は、初期段階から若干回転している状態になるので、回転操作で調整可能な範囲が縮小されてしまう。
【0042】
上記の問題に鑑み、
図5の第2実施例にかかる回転操作部品1Pの軸部10には、巻き方向が相反する一対の螺旋状バネ100a,100bを連結部100cを介して一連に繋いだ構成のバネ部材が含まれている。図中、上方の螺旋状バネ100aは右巻きに設定され、下方の螺旋状バネ100bは左巻きに設定されている。いずれの螺旋状バネ100a,100bとも、ほぼ一巻き分の長さであって、巻きの内側は軸部10の回転軸をその近傍で取り囲み、巻きの外側は支持軸101や基部12の外縁部に対応する。また、螺旋状バネ100aと100bとは、連結部100cを介して線対称に近い形状に形成される。
【0043】
連結部100cの上下の端面は、それぞれ螺旋状バネ100a,100bと一連に連なる傾斜面に形成される。また、バネ100a,100b同士が接触することがないように、バネ100a,100bの間に若干の間隙が生じるように、連結部100cの長さや各バネ100a,100bとの連結位置が調整されている。
【0044】
なお、この第2実施例の回転操作部品1Pでは、支持軸101の窪み103や突出片104bが、基本形に対して約90度ずれた位置に設けられる。また、短軸102の上面も左巻きの螺旋状バネ100bの巻きに連なるように、傾斜の方向が変更されている。
【0045】
上記の構成によれば、取り付けの際の押圧力により各螺旋状バネ100a,100bが収縮したとき、上方の螺旋状バネ100aには右方向への回転力が生じるのに対し、下方の螺旋状バネ100bには左方向への回転力が生じる。各バネ100a,100bの長さはほぼ同じであるので、双方の回転力を両者の間の連結部100cにおいて相殺することができる。これにより、可変抵抗器3の回動部31が回転するのを防いで、調整可能範囲をフル活用することが可能になる。
【0046】
図6に示す第3実施例の回転操作部品1Qでも、回転操作部品1Pと同様に、巻き方向が相反する一対の螺旋状バネ100a,100bを連結部100dを介して一連に連結した構成の連結体が軸部10に導入される。この実施例の連結部100dは略円柱状であって、その長さ方向が軸部10の軸方向に合わせられ、上下の端面は、それぞれ螺旋状バネ100a,100bに一連に連なるように傾斜している。
【0047】
螺旋状バネ100a,100bは、第2実施例と同様に、ほぼ一巻き分の長さであって、連結部100dを介して線対称に近い形状をとるように設定される。支持軸101は基本形と同様であるが、螺旋状バネ100aと支持軸101とは、
図3の連結軸105よりやや太い連結軸106を介して連結される。螺旋状バネ100bと基部11とも、連結軸106とほぼ同形状の連結軸107を介して連結される。
【0048】
第3実施例の回転操作部品1Qでも、各螺旋状バネ100a,100bが収縮した際に生じた回転力を連結部100dにおいて相殺することができるので、可変抵抗器3の回動部31が回転するのを防ぎ、調整可能範囲をフル活用することが可能になる。
さらに、この回転操作部品1Qでは、螺旋状バネ100a,100bの間に十分な間隔が確保されると共に、連結部100dの形状が単純になるので、成形が容易になる。また連結部100dを柱状体にしたことによって連結部100dの変形力も高められるので、軸ずれに対して、螺旋状バネ100a,100bと共に連結部100dも変形させることができ、軸ずれに対する応答性を高めることができる。
【0049】
以上に示した基本形の回転操作部品1および変形例の回転操作部品1P,1Qは、可変抵抗器3に限らず、可変コンデンサやロータリスイッチなどの他の回転型電子部品にも適用することができる。またこれらの部品が導入される電子機器は光電センサに限らず、他のタイプのセンサやセンサ以外の電子機器にも同様の構成を導入することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1,1P,1Q 回転操作部品
2 ケース体
3 回転型電子部品(可変抵抗器)
5 回路基板
10 軸部
11 基部
12 操作部
100,100a,100b 螺旋状バネ
100c,100d 連結部