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特許5895871管理装置、管理方法、及び無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5895871
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法、及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20160317BHJP
   H04B 1/7143 20110101ALI20160317BHJP
【FI】
   H04W72/04 131
   H04W72/04 134
   H04B1/7143
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-33683(P2013-33683)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-165612(P2014-165612A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2014年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】藤本 直之
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−034056(JP,A)
【文献】 特開2007−318576(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/149420(WO,A1)
【文献】 特表2008−537443(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0163275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークの管理を行う管理装置において、
スーパーフレームの先頭のタイムスロットからのずれ量を示すオフセット及び前記スーパーフレーム内におけるタイムスロットの間隔を示すインターバルからなり無線信号の送受信を行うタイムスロットを指定する第1情報と、無線信号の送受信に用いるチャネルを指定する第2情報とを少なくとも含む予め用意された通信リンクのうち、前記無線ネットワークを介した無線通信のために既に設定されている通信リンク以外の未設定の通信リンクを格納する格納部と、
通信リンクの設定要求に応じて、前記格納部に格納された通信リンクを、インターバルがより広くオフセットが互いに異なる複数の通信リンクに分割して設定する管理部と
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記通信リンクは、予め規定された規則に応じた優先度が割り当てられるものであり、
前記管理部は、前記通信リンクの設定要求に適した通信リンクが前記格納部に複数格納されている場合には、高い優先度が割り当てられている通信リンクを優先して設定することを特徴とする請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記管理部は、設定の解除が行われた通信リンクが生じた場合には、当該通信リンクと前記格納部に格納されている通信リンクとに割り当てられている優先度に応じて、当該通信リンクと前記格納部に格納されている通信リンクとの合成を行って前記格納部に格納させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管理装置。
【請求項4】
前記管理部は、既に設定されている当該通信リンクと合成が可能な第1通信リンク、及び当該通信リンクと交換が可能な第2通信リンクが前記格納部に格納されている場合には、当該通信リンクに代えて前記第2通信リンクを設定するとともに、当該通信リンクと前記第1通信リンクとの合成を行って前記格納部に格納させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管理装置。
【請求項5】
前記管理部は、既に設定されている当該通信リンクと交換が可能であって当該通信リンクよりも優先度が高い第2通信リンクが前記格納部に格納されている場合には、当該通信リンクに代えて前記第2通信リンクを設定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管理装置。
【請求項6】
無線ネットワークを介した無線通信が行われる無線通信システムにおいて、
前記無線ネットワークを介して無線通信を行う無線機器と、
前記無線ネットワークを介した前記無線機器間の無線通信を行うための通信リンクを設定する請求項1から請求項5の何れか一項に記載の管理装置と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
無線ネットワークの管理を行う管理方法であって、
スーパーフレームの先頭のタイムスロットからのずれ量を示すオフセット及び前記スーパーフレーム内におけるタイムスロットの間隔を示すインターバルからなり無線信号の送受信を行うタイムスロットを指定する第1情報と、無線信号の送受信に用いるチャネルを指定する第2情報とを少なくとも含む通信リンクの設定要求が入力されたときに、予め用意された通信リンクのうち、前記無線ネットワークを介した無線通信のために既に設定されている通信リンク以外の未設定の通信リンクを、インターバルがより広くオフセットが互いに異なる複数の通信リンクに分割して設定するステップを有することを特徴とする管理方法。
【請求項8】
設定の解除が行われた通信リンクが生じたときに、当該通信リンクと前記未設定の通信リンクとに割り当てられている優先度に応じて、当該通信リンクと前記未設定の通信リンクとの合成を行うステップを有することを特徴とする請求項7記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークの管理を行う管理装置及び管理方法、並びに当該装置を備える無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラントや工場等においては、高度な自動操業を実現すべく、フィールド機器と呼ばれる現場機器(測定器、操作器)と、これらの制御を行う制御装置とが通信手段を介して接続された分散制御システム(DCS:Distributed Control System)が構築されている。このような分散制御システムの基礎をなす通信システムは、有線によって通信を行うものが殆どであったが、近年においてはISA100.11aやWirelessHART(登録商標)等の産業用無線通信規格に準拠した無線通信を行うものも実現されている。
【0003】
これらの無線通信規格に準拠した無線通信システムは、システムマネージャ(或いは、ネットワークマネージャ)と呼ばれる管理装置を設けて無線ネットワークを介した無線通信を行うために必要となる通信リソース(チャネルやタイムスロット等)の管理を行っている。具体的に、管理装置は、無線ネットワークを介して行われる無線通信の各々に対して互いに異なるタイムスロット及びチャネルの割り当てを行った通信スケジュールを作成し、通信リソースの割り当てが重複しないように管理している。
【0004】
ここで、上述した分散制御システムでは、フィールド機器の測定結果を定期的に収集し、収集した測定結果に基づいてフィールド機器を定期的に制御(操作)する動作が繰り返し行われる。このため、上述した無線通信システムの管理装置は、図14に示す通り、スーパーフレーム(Superframe)と呼ばれる通信テンプレートを用い、スーパーフレーム内で無線機器間の通信リンク(図14中の斜線を付した部分)を設定することによって周期的な通信スケジュールを作成している。図14は、スーパーフレームを説明するための図である。
【0005】
尚、上記の通信リンクは、以下の(1)〜(4)に示す情報からなるものである。
(1)無線信号の送受信を行うタイムスロットを指定する情報
(2)無線信号の送受信に用いるチャネルを指定する情報
(3)送信・受信の別を指定する情報
(4)通信リンクが属するスーパーフレームを指定する情報
上記(1)に示す情報は、スーパーフレームの先頭のタイムスロットからのずれ量を示す情報(オフセット(Offset))と、スーパーフレーム内の周期的な通信におけるタイムスロットの間隔を示す情報(インターバル(Interval))とからなる情報である。
【0006】
以下の特許文献1〜3には、上述した従来の無線通信システムの一例が開示されている。また、以下の非特許文献1には、上記のISA100.11aにおける通信リソースの管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7701858号明細書
【特許文献2】米国特許第7420980号明細書
【特許文献3】特開2011−103520号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“ISA-100.11a-2009 Wireless systems for industrial automation: Process control and related applications”,p.249-314
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した無線通信システムでは、例えば無線ネットワークに対して新たな無線機器が参入してきた場合に、管理装置によって通信リンクの設定が動的に行われる。このような新たな通信リンクの設定を行うときには、既に設定してある通信リンクと重複が生じないようにする必要があるが、従来は、空きスロットが多数存在するにも拘わらず新たな通信リンクを設定することができないことがあり、通信リソースが有効利用されているとは言い難いという問題があった。
【0010】
図15は、スーパーフレーム内に設定される通信リンクの一例を示す図である。図15に示す例では、以下に示す4つの通信リンク「A」〜「D」が設定されているものとする。尚、図15において、文字「A」〜「D」が付されたタイムスロットは、以下に示す通信リンク「A」〜「D」がそれぞれ設定されたタイムスロットを示しており、文字「A」〜「D」が付されていないタイムスロットは、空きスロットを示している。また、説明を簡単にするために、図15では割り当て可能なチャネルが1つのみであるとしている。
【0011】
通信リンク「A」:オフセット=0,インターバル=8
通信リンク「B」:オフセット=1,インターバル=4
通信リンク「C」:オフセット=3,インターバル=16
通信リンク「D」:オフセット=6,インターバル=12
【0012】
以上の通信リンク「A」〜「D」が設定されている状況下において、インターバル「4」の通信リンクを新たに設定しようとすると、図15に示す通り、空きスロットが存在するにも拘わらず、新たな通信リンクの設定をすることができないことが分かる。このように、空きスロットが存在するにも拘わらず、通信リンクを設定することができない状況になることを本明細書等では「断片化」という。
【0013】
また、無線通信システムの管理装置は、経路変更や帯域変更等によって、既に設定してある通信リンクを削除して新たな通信リンクを設定する動作(通信リンクの再設定)を頻繁に行う。このような通信リンクの再設定が頻繁に行われると、通信リンクの断片化が進行し、新たな通信リンクの設定ができなくなる可能性が高まり、貴重な通信リソースの利用効率が更に低下する虞が考えられる。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、通信リンクの断片化による通信リソースの利用効率の低下を防止することが可能な管理装置、管理方法、及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の管理装置は、無線ネットワーク(N1)の管理を行う管理装置(14)において、予め用意された通信リンクのうち、前記無線ネットワークを介した無線通信のために既に設定されている通信リンク以外の未設定の通信リンクを格納する格納部(22)と、通信リンクの設定要求に応じて、前記格納部に格納された通信リンクを複数の通信リンクに分割して設定する管理部(23a)とを備える。
この発明によると、通信リンクの設定要求があると、通信リンクの設定要求に応じて、格納部に格納された通信リンクが複数の通信リンクに分割されて設定される。
また、本発明の管理装置は、前記通信リンクが、予め規定された規則に応じた優先度が割り当てられるものであり、前記管理部が、前記通信リンクの設定要求に適した通信リンクが前記格納部に複数格納されている場合には、高い優先度が割り当てられている通信リンクを優先して設定することを特徴としている。
また、本発明の管理装置は、前記管理部が、設定の解除が行われた通信リンクが生じた場合には、当該通信リンクと前記格納部に格納されている通信リンクとに割り当てられている優先度に応じて、当該通信リンクと前記格納部に格納されている通信リンクとの合成を行って前記格納部に格納させることを特徴としている。
また、本発明の管理装置は、前記管理部が、既に設定されている当該通信リンクと合成が可能な第1通信リンク、及び当該通信リンクと交換が可能な第2通信リンクが前記格納部に格納されている場合には、当該通信リンクに代えて前記第2通信リンクを設定するとともに、当該通信リンクと前記第1通信リンクとの合成を行って前記格納部に格納させることを特徴としている。
また、本発明の管理装置は、前記管理部が、既に設定されている当該通信リンクと交換が可能であって当該通信リンクよりも優先度が高い第2通信リンクが前記格納部に格納されている場合には、当該通信リンクに代えて前記第2通信リンクを設定することを特徴としている。
また、本発明の管理装置は、前記管理部が、前記格納部に格納された通信リンクを、インターバルがより広くオフセットが互いに異なる複数の通信リンクに分割することを特徴としている。
本発明の通信システムは、無線ネットワーク(N1)を介した無線通信が行われる無線通信システム(1)において、前記無線ネットワークを介して無線通信を行う無線機器(11、12、13a,13b)と、前記無線ネットワークを介した前記無線機器間の無線通信を行うための通信リンクを設定する上記の何れかに記載の管理装置(14)とを備えることを特徴としている。
本発明の管理方法は、無線ネットワーク(N1)の管理を行う管理方法であって、通信リンクの設定要求が入力されたときに、予め用意された通信リンクのうち、前記無線ネットワークを介した無線通信のために既に設定されている通信リンク以外の未設定の通信リンクを複数の通信リンクに分割して設定するステップ(S12、S13)を有することを特徴としている。
また、本発明の管理方法は、設定の解除が行われた通信リンクが生じたときに、当該通信リンクと前記未設定の通信リンクとに割り当てられている優先度に応じて、当該通信リンクと前記未設定の通信リンクとの合成を行うステップ(S23)を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、予め用意された通信リンクのうち、無線ネットワークを介した無線通信のために既に設定されている通信リンク以外の未設定の通信リンクを格納部に格納し、通信リンクの設定要求に応じて、格納部に格納された通信リンクを複数の通信リンクに分割して設定するようにしており、通信リンクの断片化による通信リソースの利用効率の低下を防止することが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による無線通信システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による管理装置としてのシステムマネージャの要部構成を示すブロック図である。
図3】通信リンクの設定を行っていないシステムマネージャに格納されるホッピングパターンの一例を示す図である。
図4】システムマネージャのリソース管理部で行われる通信リソースの分割処理を説明するための図である。
図5】システムマネージャのリソース管理部で行われる分割処理により得られる通信リソースの一例を示す図である。
図6】システムマネージャのリソース管理部で通信リンクに割り当てられる優先度を説明するための図である。
図7】システムマネージャで行われる通信リンク設定動作を示すフローチャートである。
図8】システムマネージャで行われる通信リンク設定動作を説明するための図である。
図9】システムマネージャで行われる通信リンク解除動作を示すフローチャートである。
図10】システムマネージャで行われる通信リンク解除動作を説明するための図である。
図11】システムマネージャで行われるデフラグメンテーション動作を示すフローチャートである。
図12】システムマネージャで行われるデフラグメンテーション動作を説明するための図である。
図13】システムマネージャで行われるデフラグメンテーション動作を説明するための図である。
図14】スーパーフレームを説明するための図である。
図15】スーパーフレーム内に設定される通信リンクの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による管理装置、管理方法、及び無線通信システムについて詳細に説明する。
【0019】
〈無線通信システムの全体構成〉
図1は、本発明の一実施形態による無線通信システムの全体構成を示す図である。図1に示す通り、本実施形態の無線通信システム1は、無線デバイス11、無線ルータ12、バックボーンルータ13a,13b、システムマネージャ14(管理装置)、ゲートウェイ15、監視制御装置16、及び端末装置17を備えており、無線ネットワークN1を介したTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)方式による無線通信が可能である。この無線通信システム1は、例えばプラントや工場等(以下、これらを総称する場合には、単に「プラント」という)に構築される。
【0020】
ここで、無線通信システム1が構築されるプラントには、無線ネットワークN1、バックボーンネットワークN2、及び制御ネットワークN3が設けられている。無線ネットワークN1は、プラントの現場に設置された機器(無線デバイス11、無線ルータ12、及びバックボーンルータ13a,13b)によって実現されて、システムマネージャ14によって管理されるネットワークである。尚、無線ネットワークN1を形成する無線デバイス、無線ルータ、及びバックボーンルータの数は任意である。
【0021】
バックボーンネットワークN2は、無線通信システム1の基幹となる有線ネットワークであり、バックボーンルータ13a,13b、システムマネージャ14、及びゲートウェイ15が接続される。制御ネットワークN3は、バックボーンネットワークN2の上位に位置づけられる有線ネットワークであり、ゲートウェイ15、監視制御装置16、及び端末装置17が接続される。
【0022】
無線デバイス11は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントに設置されるフィールド機器であり、監視制御装置16の制御の下で動作する。この無線デバイス11は、電池を電源として省電力動作(例えば、間欠動作)を行い、ISA100.11aに準拠したTDMA方式による無線通信が可能である。無線ルータ12は、無線デバイス11及びバックボーンルータ13a,13bとの間でISA100.11aに準拠した無線通信を行い、無線デバイス11及びバックボーンルータ13a,13bとの間で送受信されるデータを中継する。この無線ルータ12も、無線デバイス11と同様に、電池を電源として間欠動作等の省電力動作を行う。
【0023】
バックボーンルータ13a,13bは、無線ネットワークN1とバックボーンネットワークN2とを接続し、無線ネットワークN1とバックボーンネットワークN2との間で送受信されるデータの中継を行う。このバックボーンルータ13a,13bは、例えばバックボーンネットワークN2から供給される直流電力、或いはバックボーンネットワークN2とは別の経路を介して供給される直流電力により連続して動作し、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。
【0024】
システムマネージャ14は、例えば商用電源から供給される電力により連続して動作し、無線ネットワークN1を介して行われる無線通信の制御を行う。具体的には、無線デバイス11、無線ルータ12、バックボーンルータ13a,13b、及びゲートウェイ15に対する通信リソース(タイムスロット及びチャネル)の割り当て制御を行って、無線ネットワークN1を介したTDMAによる無線通信を実現する。また、システムマネージャ14は、無線ネットワークN1に対して無線デバイス11等を参入させる処理を行う。尚、システムマネージャ14の詳細については後述する。
【0025】
ゲートウェイ15は、バックボーンネットワークN2と制御ネットワークN3とを接続し、無線デバイス11及びシステムマネージャ14等と、監視制御装置16及び端末装置17との間で送受信される各種データの中継を行う。このゲートウェイ15を設けることで、セキュリティを維持しつつ、バックボーンネットワークN2と制御ネットワークN3とを相互に接続することができる。
【0026】
監視制御装置16は、無線デバイス11等の監視及び管理を行う。具体的に、監視制御装置16は、ゲートウェイ15を介して無線デバイス11から測定データ(例えば、流量値)を収集することによって無線デバイス11等の監視を行う。また、監視制御装置16は、収集した測定データに基づいて無線デバイス11の制御量(例えば、バルブ機器の弁開度)を求め、ゲートウェイ15を介して無線デバイス11に設定することによって、無線デバイス11を制御する。
【0027】
端末装置17は、例えばプラントの運転員によって操作され、無線デバイス11の監視及び制御等を行うために用いられる。具体的に、端末装置17は、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置、液晶表示装置等の表示装置を備えており、監視制御装置16で得られた無線デバイス11の監視結果を表示装置に表示して運転員に提供するとともに、運転員が入力装置を操作して入力した指示を監視制御装置16に出力して、その指示に基づいた制御を監視制御装置16に行わせる。
【0028】
〈システムマネージャ14の構成〉
図2は、本発明の一実施形態による管理装置としてのシステムマネージャの要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、システムマネージャ14は、通信部21、格納部22、及び制御部23を備える。通信部21は、バックボーンネットワークN2に接続されており、制御部23の制御の下で、バックボーンネットワークN2を介した通信を行う。
【0029】
格納部22は、例えば半導体メモリ等の内部記憶装置或いはハードディスク等の外部記憶装置で実現され、無線ネットワークN1を介して無線通信を行うために必要となる通信リンク等の通信リソースを格納する。具体的に、格納部22は、ホッピングパターンHPとして予め用意された通信リンクのうち、無線ネットワークN1を介した無線通信のために既に設定されている通信リンク以外の未設定の通信リンクを格納する。
【0030】
ここで、上記のホッピングパターンHPは、無線ネットワークN1を介した無線通信を行う際のチャネルの遷移規則を規定するものであって、無線通信システム1で用いられる最も基本的な通信リンクである。このホッピングパターンHPは、例えば無線通信システム1の設計者によって作成されて、システムマネージャ14が出荷される前に格納部22に格納される。尚、詳細は後述するが、このホッピングパターンHPから、無線通信システム1で設定し得る全ての通信リンクが作成される。このため、通信リンクの設定が行われていない場合(設定された通信リンクの数が零である場合)には、格納部22にホッピングパターンHPが格納されていることになる。
【0031】
図3は、通信リンクの設定を行っていないシステムマネージャに格納されるホッピングパターンの一例を示す図である。図3に示すホッピングパターンHPは、無線通信システム1で用いられるチャネルの数が「16」である場合のものである。尚、図中の1マスは1つのタイムスロット(例えば、10[ms])を表しており、各マスに記載された数値「11」〜「26」は各タイムスロットで用いられる16個のチャネル(11ch〜26ch)を表している。
【0032】
図3に示すホッピングパターンHPは、16個のホッピングパターンP1〜P16からなる。図3に示す通り、ホッピングパターンP1〜P16は、チャネルの遷移規則をタイムスロット毎に規定したものである。例えば、ホッピングパターンP1は、最初のタイムスロットで用いられるチャネルが「26ch」であり、続く16個のタイムスロットで用いられるチャネルが「11ch」〜「26ch」であり、以降16個のタイムスロット毎にチャネル「11ch」〜「26ch」が用いられることを示すものである。このため、ホッピングパターンP1〜P16は、オフセットが「0」であって、インターバルが「1」である16種類の通信リンクということもできる。
【0033】
制御部23は、システムマネージャ14の動作を統括して制御する。例えば、無線ネットワークN1を介したTDMAによる無線通信を実現するために、無線ネットワークN1を介して無線通信を行う無線機器(無線デバイス11、無線ルータ12、バックボーンルータ13a,13b)及びゲートウェイ15に対する通信リンクの設定を行う。また、制御部23は、無線ネットワークN1へのジョイン要求があった場合には、そのジョイン要求を行った無線デバイスを無線ネットワークN1に参入させる処理を行う。
【0034】
制御部23は、上記の通信リンクの設定を行うリソース管理部23a(管理部)を備える。このリソース管理部23aは、制御部23からの通信リンクの設定要求に適した通信リンクを格納部22から読み出して設定する。ここで、リソース管理部23aは、制御部23からの通信リンクの設定要求に適した通信リンク(具体的には、要求されているインターバルと等しいインターバル、或いは要求されているインターバルに近いインターバルを有する通信リンク)が格納部22に格納されていない場合には、格納部22に格納された通信リンクを複数の通信リンク(制御部23からの通信リンクの設定要求に適した複数の通信リンク)に分割して設定する。
【0035】
図4は、システムマネージャのリソース管理部で行われる通信リソースの分割処理を説明するための図である。尚、ここでは、図3に示すホッピングパターンP3を分割する場合を例に挙げて説明する。前述の通り、ホッピングパターンP1〜P16は、オフセットが「0」であって、インターバルが「1」である通信リンクということができる。このため、図4においては、ホッピングパターンP3を、インターバルが「1」であり、オフセットが「0」である通信リンクとして表記している。
【0036】
図4(a)に示す通り、リソース管理部23aが、ホッピングパターンP3を25分割すると(インターバルを広くすると)、インターバルが「25」であって、オフセットが互いに異なる(オフセットが「0」〜「24」である)25個の通信リンクA1〜A25が得られる。つまり、タイムスロットが10[ms]であるとすると、以上の分割を行うことによって、周期が250[ms]の25種類の通信リンクA1〜A25が得られることになる。
【0037】
尚、通信リンクA1は、図3に示すホッピングパターンP3の最初のタイムスロット(第0番目のタイムスロット)のチャネル「24ch」、第25番目のタイムスロットのチャネル「17ch」、…と遷移するものである。また、通信リンクA2は、図3に示すホッピングパターンP3の第1番目のタイムスロットのチャネル「25ch」、第26番目のタイムスロットのチャネル「18ch」、…と遷移するものである。同様に、通信リンクA3は、図3に示すホッピングパターンP3の第2番目のタイムスロットのチャネル「26ch」、第27番目のタイムスロットのチャネル「19ch」、…と遷移するものである。他の通信リンクA4〜A25も、同様の規則の遷移をするものである。
【0038】
また、リソース管理部23aは、ホッピングパターンP1〜16のみならず、ホッピングパターンP1〜16を分割して得られた通信リンクも分割することが可能である。例えば、図4(b)に示す通り、リソース管理部23aが、通信リンクA1を2分割すると、インターバルが「50」であって、オフセットが互いに異なる(オフセットが「0」,「25」である)2個の通信リンクB1,B2が得られる。つまり、以上の分割を行うことによって、周期が500[ms]の2種類の通信リンクB1,B2が得られることになる。
【0039】
リソース管理部23aが、インターバルが「X1」であって、オフセットが「Y1」であるホッピングパターンや通信リンクをN分割(Nは2以上の整数)した場合には、以下の(1)式で示されるインターバル「X2」とオフセット「Y2」とを有するN個の通信リンクが得られることになる。但し、以下の(1)式で用いられている変数iは0≦i<Nを満たす整数である。
X2=X1・N
Y2=Y1+(i・X1) …(1)
【0040】
図5は、システムマネージャのリソース管理部で行われる分割処理により得られる通信リソースの一例を示す図である。尚、図5に示す通信リソースは、ホッピングパターンP3を25分割した後で順次2分割することにより得られるものである。このように分割することにより、周期が250[ms](インターバルが「25」)である通信リンクA1〜A25、周期が500[ms](インターバルが「50」)である通信リンクB1〜B6、周期が1[s](インターバルが「100」)である通信リンクC1〜C6、周期が2[s](インターバルが「200」)である通信リンクD1,D2、周期が4[s](インターバルが「400」)である通信リンクE1,E2が作成される。尚、更なる分割を行うことで、より長い周期を有する通信リンクを作成することが可能である。
【0041】
ここで、図5においては、理解を容易にするために、分割された通信リンク(破線で示した通信リンクA1,A13,A25,B2,B4,B6,C3,D1)も図示しているが、分割された通信リンクは存在しない。このため、図5に示す通信リンクのうち、格納部22に格納される通信リンクは、実線で示した通信リンクA2,A3,B1,B3,B5,C1,C2,C4〜C6,D2,E1,E2である点に注意されたい。尚、分割されたホッピングパターンP3も格納部22に格納されてはいない。
【0042】
上述したホッピングパターンP1〜P16には、予め優先度が割り当てられている。具体的に、ホッピングパターンP1〜P16には、ホッピングパターンP1〜P16の順で高くなる優先度が予め割り当てられている。リソース管理部23aは、ホッピングパターンP1〜P16を分割して通信リンクを生成する場合に、予め規定された規則に応じた優先度を割り当てる。具体的に、リソース管理部23aは、高い優先度が割り当てられたホッピングパターンを分割して作成した通信リンクほど高い優先度を割り当て、インターバルの大きな通信リンクほど高い優先度を割り当てる。
【0043】
例えば、リソース管理部23aは、優先度「Z1」が割り当てられている通信リンクをN分割する場合には、分割した通信リンクの各々に対して以下の(2)式を用いて求められる優先度「Z2」を割り当てる。但し、以下の(2)式で用いられている変数nは、分割数(N)を2進数で表現するのに必要な最小のビット数以上のビット数であり、変数jは分割した通信リンクを特定するための整数(0≦j<Nを満たす整数)である。また、以下の(2)式で用いられている演算子「≪」は、シフト演算子である。
Z2=(Z1≪n)+j …(2)
【0044】
図6は、システムマネージャのリソース管理部で通信リンクに割り当てられる優先度を説明するための図である。尚、ここでは、図5に示す通信リンクD1を分割して通信リンクE1,E2を作成する際に割り当てられる優先度を例に挙げて説明する。図6に示す通り、通信リンクD1に割り当てられている優先度は「868」であるから、Z1=868である。この通信リンクD1を2つの通信リンクE1,E2に分割することから、N=2である。また、図6に示す通り、分割される通信リンクE1,E2は、変数jの値を「0」,「1」にすれば特定されるため、n=1である。リソース管理部23aは、上記(2)式を用いて、通信リンクE1には「1736」なる値の優先度を割り当て、通信リンクE2には「1737」なる値の優先度を割り当てる。
【0045】
リソース管理部23aは、制御部23からの通信リンクの設定要求があった場合に、その設定要求に適した通信リンク(要求されているインターバルと等しいインターバルを有する通信リンク)が格納部22に複数格納されている場合には、高い優先度が割り当てられている通信リンクを優先して設定する(図6の例では、通信リンクE2を設定する)。これは、通信リンクの断片化を未然に防ぐためである。
【0046】
また、リソース管理部23aは、設定の解除が行われた通信リンクが生じた場合には、設定の解除が行われた通信リンクと格納部22に格納されている通信リンクとに割り当てられている優先度に応じて、設定の解除が行われた通信リンクと格納部22に格納されている通信リンクとを合成して格納部に格納させる。ここで、通信リンクは、1つの通信リンクから分割されてインターバルが同じものを合成することはできるが、異なる通信リンクから分割されたもの、或いはインターバルが異なるものを合成することはできないという性質がある。例えば、図5に示す例において、通信リンクC1は、通信リンクC2のみと合成することができ、通信リンクC5や通信リンクD2と合成することはできない。図6を用いて説明した通り、1つの通信リンクから分割されてインターバルが同じものは、値が近い優先度が割り当てられるため、リソース管理部23aは、通信リンクに割り当てられている優先度等を参照して上述の合成を行う。
【0047】
また、リソース管理部23aは、制御部23の制御の下で、通信リンクのデフラグメンテーションを行う。通信リンクのデフラグメンテーションとは、合成可能な通信リンクをできる限り合成することによって、通信リンクの断片化を回避する処理である。この通信リンクのデフラグメンテーションは、既に設定されている通信リンクの交換・合成を行うことにより断片化を回避する処理と、既に設定されている通信リンクの交換のみを行うことにより断片化を回避する処理とに大別される。
【0048】
具体的に、リソース管理部23aは、前者の処理においては、まず既に設定されている通信リンク(当該通信リンク)と合成が可能な通信リンク(第1通信リンク)、及び当該通信リンクと交換が可能な通信リンク(第2通信リンク)が格納部22に格納されているか否かを判断する。そして、第1通信リンク及び第2通信リンクが共に格納部22に格納されていると判断した場合には、当該通信リンクに代えて第2通信リンクを設定するとともに、当該通信リンクと第1通信リンクとの合成を行って格納部22に格納させる。
【0049】
また、リソース管理部23aは、後者の処理においては、まず既に設定されている通信リンク(当該通信リンク)と合成が可能な通信リンク(第1通信リンク)が格納部22に格納されておらず、且つ、当該通信リンクと交換が可能であって当該通信リンクよりも優先度が高い通信リンク(第2通信リンク)が格納部22に格納されているか否かを判断する。そして、第1通信リンクが格納部22に格納されておらず、且つ、第2通信リンクが格納部22に格納されていると判断した場合には、当該通信リンクに代えて第2通信リンクを設定する。
【0050】
〈無線通信システムの動作〉
次に、上記構成における無線通信システム1の動作について説明する。以下では、システムマネージャ14のリソース管理部23aが、無線ネットワークN1を介して通信を行う無線機器(無線デバイス11、無線ルータ12、バックボーンルータ13a,13b)に対して通信リンクを設定する動作を中心に説明する。ここで、システムマネージャ14の動作は、新たに通信リンクを設定する動作(通信リンク設定動作)、既に設定されている通信リンクを解除する動作(通信リンク解除動作)、及びデフラグメンテーションを行う動作(デフラグメンテーション動作)に大別される。以下では、これらの動作を順に説明する
【0051】
《通信リンク設定動作》
図7は、システムマネージャで行われる通信リンク設定動作を示すフローチャートであり、図8は、システムマネージャで行われる通信リンク設定動作を説明するための図である。尚、図7に示すフローチャートは、システムマネージャ14の制御部23がリソース管理部23aに対して通信リンクの設定要求を行う度に開始される。
【0052】
処理が開始されると、まず、制御部23が行った設定要求に適した通信リンクが格納部22に格納されているか否かがリソース管理部23aで判断される(ステップS11)。具体的には、制御部23が行った設定要求で示されているインターバルと等しいインターバルを有する通信リンクが格納部22に格納されているか否かが判断される。設定要求に適した通信リンクが格納部22に格納されていると判断された場合(ステップS11の判断結果が「YES」の場合)には、設定要求に適した通信リンクのうち優先度が最も高いものを格納部22から読み出して設定する処理がリソース管理部23aによって行われる(ステップS13)。
【0053】
これに対し、設定要求に適した通信リンクが格納部22に格納されていないと判断された場合(ステップS11の判断結果が「NO」の場合)には、格納部22に格納された通信リンクを設定要求に適した通信リンクに分割し、分割した通信リンクを格納部22に格納する処理がリソース管理部23aによって行われる(ステップS12)。そして、格納部22に格納されている通信リンク(設定要求に適した通信リンク)のうち優先度が最も高いものを格納部22から読み出して設定する処理がリソース管理部23aによって行われる(ステップS13)。
【0054】
ここで、図5に示す通信リンクが格納部22に格納されている状態のときに、システムマネージャ14の制御部23が、リソース管理部23aに対してインターバルが「400」である通信リンク(周期が4[s]である通信リンク)の設定要求を3回連続して行う場合について考える。制御部23が設定要求を行う前は、図8(a)に示す通り、インターバルが「200」である通信リンクD2、及びインターバルが「400」である通信リンクE1,E2が格納部22に格納されている。
【0055】
まず、制御部23が最初の設定要求を行った時点では、インターバルが「400」である2つの通信リンク(通信リンクE1,E2)が格納部22に格納されている。このため、図7中のステップS11の判断結果が「YES」になって、優先度が最も高いものを格納部22から読み出して設定する処理(ステップS13の処理)がリソース管理部23aによって行われる。ここで、通信リンクE2は通信リンクE1よりも高い優先度が割り当てられているため、図8(b)に示す通り、通信リソースE2が格納部22から読み出されて設定される。
【0056】
次に、制御部23が2番目の設定要求を行うと、インターバルが「400」である通信リンク(通信リンクE1)が格納部22に格納されている。このため、再び図7中のステップS11の判断結果が「YES」になってステップS13の処理がリソース管理部23aによって行われ、図8(c)に示す通り、通信リンクE1が格納部22から読み出されて設定される。
【0057】
続いて、制御部23が3番目の設定要求を行うと、インターバルが「400」である通信リンクは格納部22に格納されていない。このため、図7中のステップS11の判断結果が「NO」になって、格納部22に格納された通信リンクを設定要求に適した通信リンク(インターバルが「400」である通信リンク)に分割する処理(ステップS12の処理)がリソース管理部23aによって行われる。具体的には、インターバルが「200」である通信リンクD2をインターバルが「400」である2つの通信リンクE3,E4に分割する処理が行われる(図8(d)参照)。
【0058】
以上の分割処理が終了すると、インターバルが「400」である2つの通信リンク(通信リンクE3,E4)のうち、優先度が最も高いものを格納部22から読み出して設定する処理(ステップS13の処理)がリソース管理部23aによって行われる。ここで、通信リンクE4は通信リンクE3よりも高い優先度が割り当てられているため、図8(d)に示す通り、通信リソースE4が格納部22から読み出されて設定される。
【0059】
《通信リンク解除動作》
図9は、システムマネージャで行われる通信リンク解除動作を示すフローチャートであり、図10は、システムマネージャで行われる通信リンク解除動作を説明するための図である。尚、図9に示すフローチャートは、システムマネージャ14の制御部23からリソース管理部23aに対して通信リンクの解除通知(設定されていた通信リンクを解除した旨を示す通知)が行われる度に開始される。
【0060】
処理が開始されると、まず、解除通知が行われた通信リンクを格納部22に格納する処理がリソース管理部23aによって行われる(ステップS21)。次に、ステップS21で格納部22に格納された通信リンクの合成が可能であるか否かがリソース管理部23aで判断される(ステップS22)。具体的には、ステップS21で格納部22に格納された通信リンクに割り当てられている優先度等を参照して合成が可能であるか否かの判断がなされる。
【0061】
通信リソースの合成が可能であると判断された場合(ステップS22の判断結果が「YES」の場合)には、通信リンクを合成して格納部22に格納する処理がリソース管理部23aで行われる(ステップS23)。そして、かかる合成処理が終了すると、図9に示す一連の処理が終了する。これに対し、通信リソースの合成が不可能であると判断された場合(ステップS22の判断結果が「NO」の場合)には、リソース管理部23aによる合成処理が行われずに図9に示す一連の処理が終了する。
【0062】
ここで、図8(d)を用いて説明した通信リンクE4の設定が完了した後に、システムマネージャ14の制御部23がリソース管理部23aに対し、設定を行った通信リンクE1、E2,E4の解除通知を順に行う場合について考える。尚、制御部23による解除通知が行われる前は、図8(d)に示す通り、インターバルが「400」である通信リンクE3が格納部22に格納されており、通信リンクD1,D2及び通信リンクE4は格納部22に格納されていない。
【0063】
まず、制御部23が通信リンクE1の解除通知を行うと、図10(a)に示す通り、解除通知がなされた通信リンクE1を格納部22に格納する処理(ステップS21の処理)がリソース管理部23aによって行われる。ここで、図10(a)に示す通り、格納部22には通信リンクE1と合成可能な通信リンクE2が格納されていないため、図9中のステップS22の判断結果が「NO」になり、図9に示す一連の処理が終了する。
【0064】
次に、制御部23が通信リンクE2の解除通知を行うと、図10(b)に示す通り、解除通知がなされた通信リンクE2を格納部22に格納する処理(ステップS21の処理)がリソース管理部23aによって行われる。ここで、図10(b)に示す通り、格納部22には通信リンクE1と合成可能な通信リンクE2が格納されたため、図9中のステップS22の判断結果が「YES」になってステップS23の処理がリソース管理部23aによって行われる。これにより、通信リンクE1,E2が通信リンクD1に合成され、合成された通信リンクD1が格納部22に格納される(図10(c)参照)。
【0065】
続いて、制御部23が通信リンクE4の解除通知を行うと、図10(c)に示す通り、解除通知がなされた通信リンクE4を格納部22に格納する処理(ステップS21の処理)がリソース管理部23aによって行われる。ここで、図10(c)に示す通り、格納部22には通信リンクE3と合成可能な通信リンクE4が格納されたため、図9中のステップS22の判断結果が「YES」になってステップS23の処理がリソース管理部23aによって行われる。これにより、通信リンクE3,E4が通信リンクD2に合成され、図10(d)に示す通り、合成された通信リンクD2が格納部22に格納される。
【0066】
《デフラグメンテーション動作》
図11は、システムマネージャで行われるデフラグメンテーション動作を示すフローチャートである。また、図12図13は、システムマネージャで行われるデフラグメンテーション動作を説明するための図である。ここで、デフラグメンテーションは、対象とする無線機器を変えながら順次行われる。図11に示すフローチャートは、1つの無線機器について行われる処理を示したものであるため、実際には対象とする無線機器を変えながら図11のフローチャートに示す処理が繰り返し行われることになる。尚、図11に示すフローチャートは、上述した通信リンク設定動作及び通信リンク解除動作とは独立して定期的に行われる。
【0067】
デフラグメンテーションの対象とする無線機器が制御部23によって特定されると、図11に示すフローチャートの処理が開始される。処理が開始されると、まず対象とする無線機器に既に設定されている通信リンクを1つ特定してリソース管理部23aに通知する処理が制御部23によって行われる(ステップS31)。次に、ステップS31で特定された通信リンクと合成が可能な通信リンクが格納部22に格納されているか否かがリソース管理部23aによって判断される(ステップS32)。具体的には、通信リンクに割り当てられている優先度等を参照して、ステップS31で特定された通信リンクと同時に生成された通信リンクが格納部22に格納されているか否かが判断される。
【0068】
合成可能な通信リンクが格納部22に格納されていると判断された場合(ステップS32の判断結果が「YES」の場合)には、ステップS31で特定された通信リンクと交換が可能な通信リンクが格納部22に格納されているか否かがリソース管理部23aによって判断される(ステップS33)。具体的には、ステップS31で特定された通信リンクと等しいインターバルを有する通信リンク(ステップS32の判断の基礎となった通信リンクを除く)が格納部22に格納されているか否かが判断される。
【0069】
交換可能な通信リンクが格納部22に格納されていると判断された場合(ステップS33の判断結果が「YES」の場合)には、ステップS31で特定された通信リンクを交換して合成する処理がリソース管理部23aで行われる(ステップS34)。この処理が終了すると、対象とする無線機器に既に設定されている残りの通信リンクの有無が制御部23で判断される(ステップS35)。制御部23は、残りの通信リンクがあると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)にはステップS31の処理を行い、残りの通信リンクが無いと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には図11に示す一連の処理を終了させる。
【0070】
他方、ステップS32において、合成可能な通信リンクが格納部22に格納されていないと判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、ステップS31で特定された通信リンクと交換が可能な優先度の高い通信リンクが格納部22に格納されているか否かがリソース管理部23aによって判断される(ステップS36)。具体的には、ステップS31で特定された通信リンクと等しいインターバルを有しており、且つステップS31で特定された通信リンクよりも高い優先度が割り当てられている通信リンクが格納部22に格納されているか否かが判断される。
【0071】
交換可能であって優先度の高い通信リンクが格納部22に格納されていると判断された場合(ステップS36の判断結果が「YES」の場合)には、ステップS31で特定された通信リンクを交換する処理がリソース管理部23aで行われる(ステップS37)。この処理が終了すると、ステップS35において、対象とする無線機器に既に設定されている残りの通信リンクの有無が制御部23で判断される。
【0072】
尚、ステップS33において、交換可能な通信リンクが格納部22に格納されていないと判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、ステップS34の処理は行われずにステップS35の処理が行われる。また、ステップS36において、交換可能であって優先度の高い通信リンクが格納部22に格納されていないと判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、ステップS37の処理は行われずにステップS35の処理が行われる。
【0073】
ここで、ステップS31で特定された通信リンクが図12(a)に示す通信リンクC6であるとし、ステップS31の処理が行われた時点では、図12(a)に示す通り、通信リンクC6と等しいインターバルを有する3つの通信リンクC2,C4,C5が格納部22に格納されている場合について考える。図12(a)に示す通信リンクC5は、ステップS31で特定された通信リンクC6と合成可能であるため、ステップS32の判断結果は「YES」になる。また、ステップS31で特定された通信リンクC6と等しいインターバルを有する通信リンクであって、通信リンクC5以外の通信リンクC2,C4が格納部22に格納されているため、ステップS33の判断結果も「YES」になる。
【0074】
すると、リソース管理部23aによってステップS31の処理が行われる。具体的には、まず、図12(a)に示す通り、ステップS31で特定された通信リソースC6を格納部22に格納すると同時に、格納部22から通信リンクC2より優先度の高い通信リンクC4を読み出して設定することによって通信リンクを交換する処理が行われる。次に、図12(b)に示す通り、通信リンクC5と合成可能な通信リンクC6が格納部22に格納されたため、これら通信リンクC5,C6を合成する処理が行われる。
【0075】
ここで、図12(b)に示す例では、通信リンクC5,C6を合成することによって、通信リンクB5と合成可能な通信リンクB6が生成されるため、通信リンクB5,B6を合成する処理も行われる。これにより、図12(b)に示す例では、符号Qが付された破線の矩形領域に含まれる複数の通信リンクが合成されて通信リンクA25が生成される。このように、図12に示す例では、既に設定されている通信リンクが交換された上で格納部22に格納されている通信リンクと合成されるため、通信リンクの断片化を防止することができる。
【0076】
次に、ステップS31で特定された通信リンクが図13に示す通信リンクC2であるとし、ステップS31の処理が行われた時点では、通信リンクC4が格納部22に格納されている場合について考える。図13に示す通信リンクC4は、ステップS31で特定された通信リンクC2と合成可能ではないため、ステップS32の判断結果は「NO」になる。また、ステップS31で特定された通信リンクC2と等しいインターバルを有する通信リンクであって、交換可能な通信リンクC4が格納部22に格納されているため、ステップS36の判断結果は「YES」になる。
【0077】
すると、リソース管理部23aによってステップS37の処理が行われる。具体的には、図13に示す通り、ステップS31で特定された通信リソースC2を格納部22に格納すると同時に、格納部22から通信リンクC4を読み出して設定することによって通信リンクを交換する処理が行われる。このように、図13に示す例では、既に設定されている通信リンクが優先の高い通信リンクと交換されるため、いわば優先度の低い通信リンクを格納部22に集めることができる。これにより、優先度の低い通信リンクが合成されやすくなるため、通信リンクの断片化を防止することができる。
【0078】
尚、図11に示すフローチャートにおいて、合成可能な通信リンクがあって交換可能な通信リンクが無い場合(ステップS32の判断結果が「YES」であって、ステップS33の判断結果が「NO」である場合)にも通信リンクの交換処理を行って良い。具体的には、ステップS31で特定された通信リンクとステップS32で合成可能と判断された通信リンクとの優先度を比較し、前者の優先度が後者の優先度よりも低い場合に、交換処理を行うようにしても良い。
【0079】
以上の通り、本実施形態では、無線ネットワークN1を介した無線通信のために既に設定されている通信リンク以外の未設定の通信リンクを格納部22に格納し、通信リンクの設定要求に応じて格納部22に格納された通信リンクを複数の通信リンクに分割して設定するようにしている。また、本実施形態では、設定が解除された通信リンクが生じた場合には、その通信リンクを格納部22に格納した上で、合成が可能であれば合成するようにしている。更に、本実施形態では、通信リンクのデフラグメンテーションを行うことによって、通信リンクの断片化を防止している。このため、通信リンクの断片化による通信リソースの利用効率の低下を防止することが可能である。
【0080】
以上、本発明の一実施形態による管理装置、管理方法、及び無線通信システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ISA100.11aに準拠した無線通信を行う無線通信システムを例に挙げて説明したが、本発明はWirelessHART(登録商標)に準拠した無線通信を行う無線通信システムにも適用することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、バックボーンルータ13a,13b、システムマネージャ14、及びゲートウェイ15がそれぞれ別々の装置として実現されている例について説明した。しかしながら、これらのうちの任意の2つ以上の装置を1つの装置として実現することも可能である。また、信頼性を高めるために、システムマネージャ14は、現用系のものと待機系のものとに二重化されていても良い。システムマネージャ14を二重化する場合には、二重化されたシステムマネージャ14の各々に格納部22を設けて格納部22の内容の同一性を保つようにしても良く、二重化されたシステムマネージャ14の双方から参照可能な1つの格納部22(例えば、ファイルサーバ)を設けても良い。
【符号の説明】
【0082】
1 無線通信システム
11 無線デバイス
12 無線ルータ
13a,13b バックボーンルータ
14 システムマネージャ
22 格納部
23a リソース管理部
N1 無線ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15