特許第5895959号(P5895959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5895959
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160317BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F5/04 512C
【請求項の数】2
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-37599(P2014-37599)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-160015(P2015-160015A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2014年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204262
【氏名又は名称】タイヨーエレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】深谷 知弘
(72)【発明者】
【氏名】板垣 信岳
【審査官】 福田 知喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−045652(JP,A)
【文献】 特開2012−170544(JP,A)
【文献】 特開2012−040243(JP,A)
【文献】 特開2011−104295(JP,A)
【文献】 特開2009−165537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の所定の面上に取り付けられ、該所定の面に対して略平行な方向に発光可能な平行発光手段と、
前記平行発光手段の発光方向の前方に設けられ、光を透過可能な装飾部と、
を有する装飾部材を備えた遊技機であって、
前記基板の外縁には、前記平行発光手段の発光方向の前方部分に凹部が設けられており、
前記平行発光手段を複数備えると共に、該複数の平行発光手段の夫々に対応して前記凹部が複数設けられており、
隣り合う2つの凹部の間に形成された凸部が、前記基板を所定の箇所に設置するに際して位置決めするための位置決め部、または固定するための固定部になっている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
基板と、
前記基板の所定の面上に取り付けられ、該所定の面に対して略平行な方向に発光可能な平行発光手段と、
前記平行発光手段の発光方向の前方に設けられ、光を透過可能な装飾部と、
を有する装飾部材を備えた遊技機であって、
前記基板の外縁には、前記平行発光手段の発光方向の前方部分に凹部が設けられており、
前記平行発光手段は前記基板の両面に一対で設けられており、該一対の平行発光手段は、前記基板を挟んで対称となる位置に配置されると共に、略同一の方向に発光する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域が形成された遊技盤に遊技球を発射することによって遊技を行う弾球遊技機(パチンコ機)や、外周面に複数種類の図柄が設けられた回胴を回転させ、該回胴を停止させることによって遊技を行う回胴式遊技機(スロットマシン)等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機や回胴式遊技機等の遊技機では、ランプやLEDなどの発光手段が搭載されているのが一般的であり、遊技機の前面側(遊技者と向き合う側)に設けた光透過性の装飾部を裏側から照らすことが可能となっている。そして、遊技の進行に合わせて発光手段を発光(点灯あるいは点滅)させることにより、遊技興趣を盛り上げるための発光演出を実行している。
【0003】
こうした発光手段は、装飾部の裏側に設置される基板に取り付けられていることが多く、基板の平面に対して略垂直な方向に発光して前方の装飾部を照らすようになっている。また、装飾部の裏側に基板を設置するスペースを確保するのが困難な場合でも発光演出を可能とするために、装飾部から離れた位置に基板を設置し、基板上の発光手段からの光を光誘導部によって装飾部まで導く技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−296149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した提案の技術では、発光手段と装飾部との間に光誘導部を設ける必要があるため、発光演出に係る装置構成が却って大掛かりになり、省スペース化を図り難いという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、発光演出に係る装置構成の省スペース化を図りながら、発光による演出効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の第1の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
基板と、
前記基板の所定の面上に取り付けられ、該所定の面に対して略平行な方向に発光可能な平行発光手段と、
前記平行発光手段の発光方向の前方に設けられ、光を透過可能な装飾部と、
を有する装飾部材を備えた遊技機であって、
前記基板の外縁には、前記平行発光手段の発光方向の前方部分に凹部が設けられており、
前記平行発光手段を複数備えると共に、該複数の平行発光手段の夫々に対応して前記凹部が複数設けられており、
隣り合う2つの凹部の間に形成された凸部が、前記基板を所定の箇所に設置するに際して位置決めするための位置決め部、または固定するための固定部になっている
ことを特徴とする。
【0008】
平行発光手段を発光させる際には、平行発光手段の発光方向の前方に位置する基板の外縁の一部が平行発光手段の発する光の発散を遮ることによって、装飾部側から見ると、基板の影ができてしまうことがある。こうした基板の影の発生を防止するために、平行発光手段を基板の外縁に寄せて配置した場合、平行発光手段と装飾部との距離が近く平行発光手段の光が十分に発散する前に装飾部に到達するので、装飾部前面側(遊技者側)から見ると局所的な点発光になってしまう。また、平行発光手段と装飾部との距離をとるために、基板の幅を狭くしたのでは、基板の面積を確保することが困難になってしまう。そこで、本発明の遊技機に搭載の基板の外縁には、平行発光手段の発光方向の前方部分に凹部(切欠部)を設けている。これにより、基板の面積を確保しながら、平行発光手段と装飾部との距離をとって点発光となることを回避し、しかも平行発光手段の光が基板によって遮られることがなく基板の影の発生を極力防止することができる。その結果、装飾部の後方のスペースが限られる場合でも、省スペース化を図りながら、平行発光手段の光で装飾部を照らして演出効果を高めることができる。
【0010】
そして、本発明の第1の遊技機では、隣り合う2つの凹部の間に形成された凸部が位置決め部または固定部になっていることにより、基板の限られた面積を有効に活用して、平行発光手段の発する光を遮ることなく、基板を所定の箇所に位置決めあるいは固定することができる。
【0011】
また、上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の第2の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
基板と、
前記基板の所定の面上に取り付けられ、該所定の面に対して略平行な方向に発光可能な平行発光手段と、
前記平行発光手段の発光方向の前方に設けられ、光を透過可能な装飾部と、
を有する装飾部材を備えた遊技機であって、
前記基板の外縁には、前記平行発光手段の発光方向の前方部分に凹部が設けられており、
前記平行発光手段は前記基板の両面に一対で設けられており、該一対の平行発光手段は、前記基板を挟んで対称となる位置に配置されると共に、略同一の方向に発光する
ことを特徴とする。
【0012】
このような本発明の第2の遊技機によれば、基板を挟んだ一対の平行発光手段で一方の発する光が基板によって遮られる部分を他方の発する光によって補完して基板の影の発生を防止することが可能である。そのため、平行発光手段の発光方向の前方に凹部の奥行を確保することが困難な場合(凹部と平行発光手段との間隔が空いてしまう場合)でも、装飾部側から見て基板の影が生じないようにすることが可能となる。

【0013】
さらに、こうした本発明の遊技機では、
前記基板の所定の面上に取り付けられ、該所定の面に対して略垂直な方向に発光可能な垂直発光手段を備える
こととしてもよい。
【0014】
このように発光方向の異なる平行発光手段と垂直発光手段とで基板を共通化することにより、搭載する基板の数を増やさずに省スペース化を図りながら、発光手段のバリエーションを増やすことができるので、発光による演出効果を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発光演出に係る装置構成の省スペース化を図りながら、発光による演出効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例のパチンコ機の正面図である。
図2】本実施例の遊技盤の盤面構成を示す説明図である。
図3】本実施例のパチンコ機における制御回路の構成を示したブロック図である。
図4】本実施例の可動役物を分解した状態を示した斜視図である。
図5】可動役物の動作と、発光制御との関係を例示した説明図である。
図6】本実施例の基板の形状を詳細に示した平面図である。
図7】基板に切欠部を設ける理由を示した説明図である。
図8】第1変形例の可動役物の構造を示した説明図である。
図9】第2変形例の可動役物の構造を示した説明図である。
図10】第3変形例の可動役物の構造を示した説明図である。
図11】第4変形例の可動役物の構造を示した説明図である。
図12】第5変形例の可動役物の構造を示した説明図である。
図13】回胴式遊技機の外観を例示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(弾球遊技機)に適用した実施例について説明する。
【0018】
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は中枠3に取り付けられており、中枠3は本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側(遊技者側)に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
【0019】
前面枠4はプラスチック材料で成形されており、略中央部には円形状の窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。窓部4aの上方には、遊技効果を高めるための各種LEDやランプ4b〜4fが設けられている。前面枠4の下方には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられている。尚、パチンコ機1の左側には球貸装置13(いわゆるCRユニット)が設けられている。
【0020】
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図3参照)に供給される。皿外縁部5aには、遊技球の貸し出しを要求するための球貸ボタン5b、球貸装置13からICカードや磁気カード等の記憶媒体を排出するための返却ボタン5cなどの各種ボタン類が設けられている。また、皿外縁部5aの前面側には、演出ボタン5dが設けられており、演出ボタン5dに対する遊技者の操作を受けて、その操作を遊技演出に反映させることが可能となっている。加えて、上皿部5の左端にはスピーカー5yが設けられている。
【0021】
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿6b内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
【0022】
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11の上方から下方に向かって流下する。
【0023】
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、中央装置26のほぼ中央には演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出図柄として3つの識別図柄27a,27b,27cを表示可能となっている。3つの識別図柄27a,27b,27cが、例えば「1」〜「9」の9つの数字を次々と切り換えて変動表示を実行する。これら識別図柄27a,27b,27cの背景には、様々な背景画像27dを表示することが可能となっている。
【0024】
また、本実施例の演出表示装置27の左右には、可動役物100が回転可能(回動可能)に設けられており、内蔵するLED(発光手段)108の発光により発光演出を行うことが可能となっている。尚、可動役物100の詳細な構造および動作については別図を用いて後述する。
【0025】
中央装置26の左斜め下方には第1図柄表示装置28が設けられ、中央装置26の右斜め下方には第2図柄表示装置32が設けられている。このうち、第1図柄表示装置28には、普通図柄を変動表示するためのLED(普通図柄LED)や第1特別図柄を変動表示するための複数のLED(第1特図LED)が設けられており、第2図柄表示装置32には、第2特別図柄を変動表示するための複数のLED(第2特図LED)が設けられている。尚、以下では、第1特別図柄を「第1特図」と略記し、第2特別図柄を「第2特図」と略記することがあるものとする。
【0026】
遊技領域11の左端および右端には、普通図柄左作動ゲート36と普通図柄右作動ゲート37とが設けられており、これらのゲートの内部には、遊技球の通過を検知する作動ゲートスイッチ36s,37sがそれぞれ設けられている。また、左右の普通図柄作動ゲート36,37と中央装置26との間には、ランプ風車24,25が設けられている。更に、これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
【0027】
また、中央装置26の下方には、始動口ユニット17が設けられている。始動口ユニット17は、2つの始動口を上下に組み合わせて構成されており、上側に設けられた第1始動口17aは、遊技球が入球する開口部の大きさが不変(一定)で遊技球が常時入球可能な入球口となっている。一方、下側に設けられた第2始動口17bは、左右に開閉可能な一対の翼片部17wや、翼片部17wを動作させる始動口ソレノイド17m(図3参照)などを備えており、翼片部17wの開閉によって遊技球の入球可能性が変化する入球口となっている。第1始動口17aあるいは第2始動口17bに入球した遊技球は、それぞれの内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第1始動口17aの内部の通路には第1始動口スイッチ17sが設けられており、第1始動口17aに入球した遊技球を検知可能である。また、第2始動口17bの内部の通路には第2始動口スイッチ17tが設けられており、第2始動口17bに入球した遊技球を検知可能である。
【0028】
始動口ユニット17の下方には、大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開放する大入賞口31dや、大入賞口31dを開閉させる開閉部材31e、開閉部材31eを動作させる大入賞口ソレノイド31m(図3参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立することにより、大入賞口ソレノイド31mが作動して開閉部材31eが開動作され、大入賞口31dが開放状態となる。この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球する遊技者にとって有利な大当り遊技(特定遊技)が開始される。また、大入賞口31dの内部には大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入球した遊技球を検知することが可能である。さらに、大入賞装置31の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下方にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
【0029】
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、演出図柄やランプ(LED)や演出音や可動役物などを用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で演出表示装置27の制御を行う演出表示制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図3中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を送受信する方向を表している。
【0030】
主制御基板200のCPU201は、第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、大入賞口スイッチ31s、作動ゲートスイッチ36s,37sなどから遊技球の検知信号を受信すると、何れのスイッチからの検知信号であるかに応じて定められる各種の動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって送信する。また、主制御基板200には、第2始動口17bに設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これら各種ソレノイド17m,31m、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32に向かって駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御も行う。
【0031】
サブ制御基板220には、演出表示制御基板230、アンプ基板226、装飾駆動基板227、駆動機構100m、演出ボタン基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、演出表示装置27の表示制御を行う演出表示制御基板230に対して制御内容を指定するコマンドを送信したり、スピーカー5yを駆動するアンプ基板226に駆動信号を送信したり、前面枠4に設けられた装飾用の各種LEDやランプ4b〜4f、および可動役物100に内蔵されたLED108を駆動する装飾駆動基板227に駆動信号を送信したりすることにより、遊技の演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出表示装置27の左右に設けられた可動役物100を回転させるための駆動機構100mに駆動信号を送信することによって、可動役物100の動作の制御も行う。さらに、サブ制御基板220のCPU221は、演出ボタン基板228を介して演出ボタン5dの操作信号を受信すると、その操作に対応する演出を行う。
【0032】
演出表示制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、画像ROM234やVDP(図示せず)を備えている。演出表示制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、その受信したコマンドに対応する演出画像を演出表示装置27の表示画面に表示するための制御を行う。画像ROM234には、図柄変動演出や大当り遊技演出など種々の遊技演出に対応する演出画像のデータ(例えば、所定のキャラクタに対応する画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)が格納されている。
【0033】
払出制御基板240は、いわゆる賞球や貸球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、主制御基板200から賞球の払出コマンドが送信されると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モータ70mに駆動信号を送信することによって賞球の払い出しを行う。また、前述した上皿部5に設けられた球貸ボタン5bや返却ボタン5cを遊技者が操作すると、その操作信号は、中継端子板242を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240と通信しながら、貸球の払い出しを行う。さらに、払出制御基板240は、主制御基板200からの制御の下で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御基板260に向かって送信しており、発射制御基板260は、この発射許可信号を受信して、発射装置ユニット12の駆動により遊技球を発射するための各種制御を行っている。
【0034】
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が球貸装置13にICカードや磁気カードを挿入して遊技球の貸し出しを受ける。そして、貸し出された遊技球を上皿部5の凹部に投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
【0035】
発射した遊技球が、遊技領域11の左右に設けられた何れかの普通図柄作動ゲート36,37を通過すると、第1図柄表示装置28にて普通図柄LEDの点滅を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が行われる。そして、予め定められた変動時間の経過後に普通図柄LEDが点灯状態で停止した場合は、普通図柄の当りとなって、第2始動口17b(始動口ユニット17の下側の始動口)が所定の開放時間だけ開放状態となる。一方、普通図柄LEDが消灯状態で停止した場合は、普通図柄の外れとなって、第2始動口17bが開放することはない。尚、普通図柄が当りとなるか外れとなるかは、主制御基板200のCPU201が行う普通図柄の当り判定で決定される。また、普通図柄の変動表示中に遊技球が何れかの普通図柄作動ゲート36,37を通過した場合は、この遊技球の通過が普通図柄の保留(普図保留)としてRAM203の記憶領域に記憶され、現在の普通図柄の変動表示が終了した後に、その普図保留に基づいて新たに普通図柄の変動表示が行われる。普図保留は最大4つまで記憶可能となっている。
【0036】
また、遊技領域11に発射した遊技球が第1始動口17aに入球すると、第1図柄表示装置28にて第1特図LEDを点滅させて第1特図の変動表示が行われ、第2始動口17bに入球すると、第2図柄表示装置32にて第2特図LEDを点滅させて第2特図の変動表示が行われる。そして、所定の変動時間が経過すると、大当り図柄または外れ図柄に対応する組合せのLEDを点灯させることで特別図柄(第1特図、第2特図)を停止表示する。そして、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技が開始される。尚、特別図柄を大当り図柄および外れ図柄の何れで停止表示させるかは、主制御基板200のCPU201が行う特別図柄の大当り判定で決定される。また、第1始動口17aあるいは第2始動口17bへの遊技球の入球は、該入球に基づく特別図柄の変動表示が開始されるまで、第1特別図柄の保留(第1特図保留)あるいは第2特別図柄の保留(第2特図保留)としてRAM203の記憶領域に記憶される。第1特図保留および第2特図保留は、それぞれ最大4つまで記憶可能となっている。
【0037】
さらに、特別図柄の変動表示と連動して、演出表示装置27では識別図柄27a,27b,27cを変動表示させる演出(図柄変動演出)が行われる。3つの識別図柄27a,27b,27cは、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃わない組合せ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃う組合せ(ゾロ目)で停止表示される。このため、3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字で揃っていると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字となって大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれ、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることができる。
【0038】
大当り遊技は、大入賞口31dを開放して、所定の開放時間(例えば30秒)が経過するか、あるいは規定入球数(例えば9個)の遊技球が入球したら閉鎖するラウンド遊技を、複数回繰り返すように構成されている。大入賞口31dに遊技球が1個入球する毎に所定数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出されるので、大当り遊技では、大入賞口31dに多くの遊技球を入球させることで、遊技者は多量の賞球を獲得可能である。
【0039】
また、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄が大当り図柄で停止表示する確率(大当り確率)として、低確率と、低確率よりも高い高確率とが設けられている。大当り遊技が終了すると、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまでは大当り確率が高確率に設定されるので、この間は大当り遊技が連続して発生する(いわゆる連チャン)可能性が高い。さらには、大当り遊技の終了後は、第2始動口17bの開放時間が通常よりも長く設定される開放延長機能や、特別図柄(第1特図および第2特図)の変動時間が通常よりも短く設定される変動短縮機能が作動し、これらの機能は、特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで継続される。
【0040】
以上のようにして遊技が行われる本実施例のパチンコ機1では、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる。前述したように演出表示装置27の左右には、可動役物100が設けられており、この可動役物100は所定の軸で回転可能であると共に、内蔵するLED108の発光により発光演出を行うことが可能となっている。図柄変動演出が行われる演出表示装置27の周囲は演出効果が高いものの、図2に示したように中央装置26の大部分は演出表示装置27の表示画面が占めているため、可動役物100の設置スペースは限られている。そこで、本実施例の可動役物100では、以下のようにして省スペース化を図りつつ、演出効果を高めている。
【0041】
C.本実施例の可動役物 :
図4は、本実施例の可動役物100を分解した状態を示した斜視図である。図示されるように可動役物100は、LED108が実装される薄板状の基板102や、基板102の平面に対向して当該平面と平行に配置される2枚の平面側装飾パネル120a,120c(以下、単に「第1装飾パネル120a」、「第3装飾パネル120c」ともいう)や、基板102の側面に対向して当該側面と平行に配置される2枚の側面側装飾パネル120b,120d(以下、単に「第2装飾パネル120b」、「第4装飾パネル120d」ともいう)や、基板102の上下に配置されて、可動役物100の回転の軸となる軸部材130,132などを備えている。第1乃至第4装飾パネル120a〜120dは、プラスチック材料を用いて光を透過可能に設けられており、それぞれに異なる装飾が施されている。これら4枚の装飾パネル120a〜120dが基板102の四方を囲んで接合され(設置され)、その上部および下部が軸部材130,132に固定される。その結果、軸部材130、132の回転動作に伴って、第1乃至第4装飾パネル120a〜120d、並びに基板102が回転する。尚、本実施例の第2装飾パネル120bおよび第4装飾パネル120dは、本発明の「装飾部」に相当している。
【0042】
基板102の第1装飾パネル120aと向き合う面(以下、表面)には、第1装飾パネル120a側(図中の手前側)に向けて基板102に対し垂直方向に発光する垂直発光LED108aと、第2装飾パネル120b側(図中の左側)に向けて基板102に対し平行方向に発光する平行発光LED108bと、第4装飾パネル120d側(図中の右側)に向けて基板102に対し平行方向に発光する平行発光LED108dとが設置されている。また、基板102の第3装飾パネル120cと向き合う面(以下、裏面)には、第3装飾パネル120c側(図中の奥側)に向けて基板102に対し垂直方向に発光する垂直発光LED108cが設置されている(図6(a)参照)。尚、本実施例の垂直発光LED108a,108cは、本発明の「垂直発光手段」に相当し、本実施例の平行発光LED108b,108dは、本発明の「平行発光手段」に相当している。
【0043】
また、基板102には、LED108a〜108dの他にも、装飾駆動基板227と接続するためのコネクタ104や、抵抗106(図6(a)参照)などの電気部品が実装されており、それらをプリント配線で繋いでいる。この基板102は、第3装飾パネル120cに固定するようになっており、第3装飾パネル120cの内側(基板102と向き合う側)には、ほぞ(突起)122やビス穴124が設けられている。これに対応して基板102には、ほぞ穴110やビス穴112が設けられており、ほぞ穴110にほぞ122を挿入して位置決めすると共に、ビス穴112に挿通したビス114をビス穴124に締め込んで締結する。尚、本実施例のほぞ穴110は、本発明の「位置決め部」に相当し、本実施例のビス穴112は、本発明の「固定部」に相当する。
【0044】
このような可動役物100は、上下の軸部材130,132を介して中央装置26の駆動機構100mに連結されており、駆動機構100mの作動によって、上下方向を軸とする回転動作(回動動作)が可能となっている。また、可動役物100の回転動作に合わせて、LED108a〜108dを発光させる制御が行われる。
【0045】
図5は、可動役物100の動作と、発光制御との関係を例示した説明図である。前述したように可動役物100は4枚の装飾パネル120a〜120dを備えており、可動役物100を回転させることによって、パチンコ機1の前方(遊技者側)に向ける装飾パネル120a〜120dを切り換えることが可能となっている。また、本実施例の装飾パネル120a〜120dには、それぞれ異なる態様の装飾が施されており、各装飾パネル120a〜120dに向けて発光するLED108a〜108dも、それぞれ発光態様(発光色)が異なっている。
【0046】
第1装飾パネル120aには「チャンス!」の文字が装飾されており、第1装飾パネル120aを前方に向けた状態では、青色に発光する垂直発光LED108aが前方を向き、この状態に対して垂直発光LED108aを発光(点灯あるいは点滅)させる制御が設定されている。そのため、遊技者側から見ると、「チャンス!」の文字が青色に照らし出される。
【0047】
第2装飾パネル120bには複数の星の図形が装飾されており、第2装飾パネル120bを前方に向けた状態では、黄色に発光する平行発光LED108bが前方を向き、この状態に対して平行発光LED108bを発光させる制御が設定されているので、星の図形が黄色に照らし出される。
【0048】
第3装飾パネル120cには「激熱」の文字と炎の図形とが装飾されており、第3装飾パネル120cを前方に向けた状態では、赤色に発光する垂直発光LED108cが前方を向き、この状態に対して垂直発光LED108cを発光させる制御が設定されているので、「激熱」の文字および炎の図形が赤色に照らし出される。
【0049】
第4装飾パネル120dには花と蝶の図形が装飾されており、第4装飾パネル120dを前方に向けた状態では、ピンク色に発光する平行発光LED108dが前方を向き、この状態に対して平行発光LED108dを発光させる制御が設定されているので、花および蝶の図形がピンク色に照らし出される。
【0050】
このような可動役物100は、例えば、演出表示装置27にて前述したリーチ演出が行われるのに合わせて、第1装飾パネル120a(「チャンス!」の文字)あるいは第3装飾パネル120c(「激熱」の文字)を前方に向けて発光演出を行うことにより、大当りの発生に対する期待度に変化を付けて遊技興趣を高めることができる。また、大当り確率が通常確率(低確率)に設定された通常状態では、第2装飾パネル120b(星の図形)を前方に向けておくこととして、大当り確率が高確率に設定された高確率状態では、第4装飾パネル120d(花と蝶の図形)を前方に向けて発光させるようにしてもよく、これにより、高確率状態であることを遊技者に強く印象付けることができる。
【0051】
尚、可動役物100の発光制御としては、少なくとも前方を向いたLEDを発光させればよく、前方を向いたLEDに加えて他のLEDを発光させるようにしてもよい。例えば、第2装飾パネル120bを前方に向けた状態で、前方を向いた平行発光LED108bを発光させると共に、垂直発光LED108cを発光させるようにしてもよく、これにより、第2装飾パネル120bの全体を黄色に照らし出しながら、第3装飾パネル120cと隣接する端部に赤みを帯びさせることができる。
【0052】
以上のように本実施例のパチンコ機1では、可動役物100に内蔵の基板102に、基板102の平面(電気部品等が実装される面)に対して垂直方向に発光する垂直発光LED108a,108cと、基板102の平面(電気部品等が実装される面)に対して平行方向に発光する平行発光LED108b,108dとが設置されている。このように、発光方向が直交する4種類のLED108a〜108dを共通の基板102に設置することにより、発光方向が異なるLED毎に基板を設けていた従来に比して搭載する基板の数が少なく省スペース化を図りながら、可動役物100の回転動作(姿勢)に応じて、パチンコ機1の前方に向けて発光させるLEDを切り換えられるので、発光による演出効果を高めることが可能となる。
【0053】
また、本実施例のパチンコ機1では、基板102に設置された発光方向の異なる4種類のLED108a〜108dの発光態様(発光色)がそれぞれ異なっている。これにより、可動役物100の回転動作に伴いパチンコ機1の前方に向けて発光するLEDが切り換わることによる変化が顕著となるので、発光による演出効果をさらに高めることができる。尚、本実施例では、LED108a〜108dの発光態様として、発光色を異ならせていたが、遊技者に与える印象を異ならせることができれば、これに限られない。例えば、設置するLEDの大きさや輝度や発光パターン(点滅速度など)を異ならせてもよい。また、同じ方向に向けて設置するLEDの数を異ならせてもよく、この場合には、同じ方向を向いた複数のLEDの配置パターン(例えば、複数のLEDを円形状や三角形状に配置)を異ならせてもよい。
【0054】
また、本実施例のパチンコ機1では、各LED108a〜108dの発光によって照らされる装飾パネル120a〜120dの装飾の態様がそれぞれ異なっている。これにより、装飾パネル120a〜120dとLED108a〜108dとの変化の組合せによって、可動役物100の回転動作に伴いパチンコ機1の前方を向いたLEDに照らし出される装飾態様を多様化し、遊技者に与える印象の変化が顕著となるので、発光による演出効果を一層高めることができる。
【0055】
また、所定の方向に向いた装飾パネル120a〜120d(LED108a〜108d)が何れであるかによって、遊技者に対して、特別図柄の大当り判定の判定結果を示唆(報知)することができる。具体的には、特別図柄の変動表示の実行中に、可動役物100に所定の動作をさせ、「星」の図形を所定の方向(遊技者方向)に向けて停止して所定のLEDを発光させた場合は、当りとなる可能性が3%程度であることを報知し、「花と蝶」の図形を所定の方向に向けて所定のLEDを発光させた場合は、当りとなる可能性が10%程度であることを報知し、「チャンス」の文字を所定の方向に向けて所定のLEDを発光させた場合は、当りとなる可能性が33.3%程度であることを報知し、「激熱」の文字を所定の方向に向けて所定のLEDを発光させた場合は、当りとなる可能性が50%程度であることを報知するものとすることができる。また、LEDの発光態様(色、点滅速度、輝度等)を変化させることで、同じ「激熱」の文字を所定の方向に向けた場合でも、当りとなる可能性が50%程度であることを報知したり、80%程度であることを報知したり、100%(当り確定)であることを報知したりすることができる。
【0056】
図6は、本実施例の基板102の形状を詳細に示した平面図である。図6(a)には、第3装飾パネル120cと向き合う面(裏面)が示されており、図6(b)には、第1装飾パネル120aと向き合う面(表面)が示されている。まず、図6(a)に示されるように基板102の裏面には、第3装飾パネル120cに向けて、基板102の平面(電気部品等が実装される面)に対し垂直方向に発光する垂直発光LED108cが複数(図示した例では6個)実装されており、その他にも回路を構成する抵抗106が複数(図示した例では16個)実装されている。また、図示は省略するが、基板102には、各電気部品を繋ぐための配線が張り巡らされている。こうした電気部品や配線を配置するためのスペースや、さらには基板102を位置決めあるいは固定する際のほぞ穴110やビス穴112を設けるスペースを確保するために、基板102の面積は可能な限り広くしたいという要望がある。
【0057】
一方、図6(b)に示されるように基板102の表面には、第1装飾パネル120aに向けて、基板102の平面(電気部品等が実装される面)に対し垂直方向に発光する複数(図示した例では5個)の垂直発光LED108aと、第2装飾パネル120bに向けて、基板102の平面に対し平行方向に発光する複数(図示した例では8個)の平行発光LED108bと、第4装飾パネル120dに向けて、基板102の平面に対し平行方向に発光する複数(図示した例では4個)の平行発光LED108dと、装飾駆動基板227と接続するためのコネクタ104とが実装されている。そして、本実施例の基板102の外縁には、平行発光LED108b,108dの発光方向の前方部分を切り欠いた切欠部116(「凹部」ともいう)が設けられている。以下では、基板102に切欠部116を設ける理由について説明する。
【0058】
図7は、基板102に切欠部116を設ける理由を示した説明図である。図では、基板102および第2装飾パネル120bに直交する面(水平面)で可動役物100を切断した断面が示されており、平行発光LED108bの近傍が拡大されている。尚、以下では、平行発光LED108bを例に説明するが、発光方向が反対の平行発光LED108dについても同様である。まず、図7(a)に示されるように、基板102に切欠部116を設けず、平行発光LED108bを基板102の外縁から内側に寄せた位置に設置した場合、平行発光LED108bの発する光の発散が基板102によって遮られるので、平行発光LED108bの光が第2装飾パネル120bの図中上側に届きにくく、第2装飾パネル120b側から見ると、基板102の影ができてしまう。
【0059】
こうした基板102の影の発生を防止するために、図7(b)に示されるように平行発光LED108bを基板102の外縁に寄せて配置した場合、平行発光LED108bと第2装飾パネル120bとの距離が近く平行発光LED108bの光が十分に発散する前に第2装飾パネル120bに到達するので、第2装飾パネル120bによる光の拡散も不十分で、第2装飾パネル120b側から見ると、平面的な光ではなく局所的な点発光になってしまい、第2装飾パネル120bの装飾をきれいに見せることができない。また、平行発光LED108bと第2装飾パネル120bとの距離をとるために、基板102の幅を狭くしたのでは、前述したように電気部品や配線の配置スペースを確保するために基板102の面積を広くすることが困難となる。
【0060】
そこで、本実施例の基板102の外縁には、平行発光LED108bの発光方向の前方部分に切欠部116(凹部)を設けている。このようにすれば、基板102の幅を狭くせずに平行発光LED108bの前方の必要な部分にだけ切欠部116を設ければよいので、基板102の面積を確保しながら、平行発光LED108bと第2装飾パネル120bとの距離をとって点発光になることを回避し、しかも基板102によって平行発光LED108bの光が遮られることがなく基板102の影の発生を防止することが可能となる。
【0061】
また、本実施例の基板102では、図6(b)に示されるように、隣り合う切欠部116と切欠部116との間に形成される突出部118(凸部)に、ほぞ穴110やビス穴112を設けている。このようにすれば、基板102の限られた面積を有効に活用して、平行発光LED108bの発する光を遮ることなく、基板102を第3装飾パネル120cに対して位置決めあるいは固定することができる。
【0062】
D.変形例 :
上述した実施例のパチンコ機1には幾つかの変形例が存在している。以下では、これら変形例について、上述の実施例との相違点を中心として簡単に説明する。尚、以下の変形例では、上述の実施例との共通部分については同じ番号を付することによって詳細な説明は省略する。
【0063】
D−1.第1変形例 :
図8は、第1変形例の可動役物100の構造を示した説明図である。図では、基板102および第2装飾パネル120bに直交する面(水平面)で可動役物100を切断した断面が示されており、平行発光LED108bの近傍が拡大されている。尚、以下では、平行発光LED108bを例に説明するが、発光方向が反対の平行発光LED108dについても同様である。図示されるように第1変形例の基板102には、第2装飾パネル120bに向けて、基板102の平面(電気部品等が実装される面)に対し平行方向に発光する平行発光LED108bが、表面(第1装飾パネル120aと向き合う面)だけでなく、裏面(第3装飾パネル120cと向き合う面)にも設置されており、これら2つの平行発光LED108bが基板102を挟んで対称となる位置に配置されている。
【0064】
このように第1変形例の可動役物100では、基板102を挟んで両面に平行発光LED108bが一対で設けられており、一方の平行発光LED108bの発する光が基板102によって遮られる部分を他方の平行発光LED108bの発する光によって補完して基板102の影の発生を防止することが可能である。そのため、平行発光LED108bの発光方向の前方に切欠部116の奥行を確保することが困難な場合(切欠部116と平行発光LED108bとの間隔が空いてしまう場合)でも、第2装飾パネル120bの側から見て基板102の影が生じないようにすることが可能となる。
【0065】
D−2.第2変形例 :
図9は、第2変形例の可動役物100の構造を示した説明図である。図では、基板102および第2装飾パネル120bに直交する面(水平面)で可動役物100を切断した断面が示されており、平行発光LED108bの近傍が拡大されている。尚、以下では、平行発光LED108bを例に説明するが、発光方向が反対の平行発光LED108dについても同様である。図示されるように第2変形例の基板102には、平行発光LED108bが基板102の平面(電気部品等が実装される面)に対して平行方向に発光するのではなく、基板102の平面に対して所定の角度θ(図示した例では12度)をなす方向に発光するように設置されている。また、第2装飾パネル120bは、この平行発光LED108bの発光方向に対して垂直に配置されているので、基板102の平面に対して垂直ではなく、基板102の平面に対して角度(90−θ)をなして配置されている。
【0066】
このように第2変形例の可動役物100では、基板102の平面に対して発光方向を傾けて平行発光LED108bが設置されており、これにより、平行発光LED108bの発する光の発散が基板102によって遮られ難くなる(光の発散を基板102が遮る範囲が減少する)ので、基板102の影の発生を抑制することができる。所定の角度θは、基板102に対して45度よりも鋭角であればよく、角度θを大きくするほど、基板102の影が生じ難くなる。
【0067】
尚、第2変形例の可動役物100にて、第1装飾パネル120aおよび第3装飾パネル120cを第2装飾パネル120bに対して垂直に配置する場合、第1装飾パネル120aおよび第3装飾パネル120cは、基板102の平面に対して平行ではなく、基板102の平面に対して角度θをなして配置される。そのため、第1装飾パネル120aおよび第3装飾パネル120cは、基板102に設置された垂直発光LED108a,108cの発光方向に対して垂直ではなく、角度(90−θ)をなすことになる。この場合でも、垂直発光LED108a,108cの発する光の発散が基板102などによって遮られることはないので、垂直発光LED108a,108cの発光によって第1装飾パネル120aおよび第3装飾パネル120cの装飾を照らし出すことができる。また、第2変形例の可動役物100にて、垂直発光LED108a,108cを基板102の平面に対して垂直方向に発光するのではなく、基板102の平面に対して角度(90−θ)をなす方向に発光するように設置しておいてもよい。
【0068】
D−3.第3変形例 :
図10は、第3変形例の可動役物100の構造を示した説明図である。まず、図10(a)には、第3変形例の可動役物100の外観形状が斜視図で示されている。図示されるように第3変形例の可動役物100は、前述した実施例と同様の4枚の装飾パネル120a〜120d(「A」〜「D」の文字が付されたパネル)に加えて、その上部に配置される第5装飾パネル120e(「E」の文字が付されたパネル)、および下部に配置される第6装飾パネル120f(「F」の文字が付されたパネル)を備えており、これら6枚の装飾パネル120a〜120fが直方体の六面を構成している。
【0069】
この第3変形例の可動役物100は、第5装飾パネル120eに対して垂直な第1軸と、第1装飾パネル120aに対して垂直な第2軸とを有しており、これら2つの軸で回転可能になっている。そのため、可動役物100を第1軸で回転させることによって、装飾パネル120a〜120dの何れかをパチンコ機1の前方(遊技者側)に向けることが可能であり、可動役物100を第2軸で回転させることによって、第5装飾パネル120eあるいは第6装飾パネル120fを前方に向けることが可能である。
【0070】
図10(b)には、第3変形例の可動役物100の内部に搭載された基板102が斜視図で示されている。図示されるように第3変形例の基板102には、前述した実施例と同様の発光方向が直交する4種類のLED108a〜108dが設置されており、これに加えて、第5装飾パネル120eに向けて、基板102の平面(電気部品等が実装される面)に対し平行方向に発光する平行発光LED108e、および第6装飾パネル120fに向けて、基板102の平面に対し平行方向に発光する平行発光LED108fが設置されている。これら6種類のLED108a〜108fは発光方向が互いに直交している。そして、可動役物100の回転動作に応じてパチンコ機1の前方を向いたLED108a〜108fを発光させる制御を行うことにより、パチンコ機1の前方を向いた装飾パネル120a〜120fの装飾を照らし出すことができる。
【0071】
このように第3変形例の可動役物100では、発光方向が直交する6種類のLED108a〜108fを共通の基板102に設置することにより、搭載する基板102の数を増やすことなく省スペース化を図りながら、発光させるLEDやパチンコ機1の前方に向ける装飾パネルのバリエーションを増やすことができるので、発光による演出効果を更に向上させることが可能となる。
【0072】
D−4.第4変形例 :
図11は、第4変形例の可動役物100の構造を示した説明図である。図では、基板102および各装飾パネル120a〜120dに直交する面(水平面)で可動役物100を切断した断面が示されている。前述した実施例の可動役物100では、基板102が第3装飾パネル120cに固定されていた。これに対して、第4変形例の基板102は、図示しない支持部に固定されており、4枚の装飾パネル120a〜120dで形成される筐体とは別駆動で回転させることが可能となっている。
【0073】
このような第4変形例の可動役物100では、筐体を回転させてパチンコ機1の前方に向ける装飾パネル120a〜120dを切り換える制御と、基板102を回転させてパチンコ機1の前方に向けるLED108a〜108dを切り換える制御とを独立して行うことができる。例えば、第1装飾パネル120a(「チャンス!」の文字)をパチンコ機1の前方に向けた状態で、基板102を回転させることによって第1装飾パネル120aに向けて発光するLED108a〜108dを切り換えて、装飾を照らし出す発光態様(発光色)を4種類に変化させることができる。このように、搭載する基板102の数を増やすことなく、4枚の装飾パネル120a〜120dと、発光方向が直交する4種類のLED108a〜108dとの組合せによって16通りの発光演出を実行可能となるので、演出効果を高めることができる。
【0074】
D−5.第5変形例 :
図12は、第5変形例の可動役物100の構造を示した説明図である。まず、図12(a)に斜視図で示したように、第5変形例のパチンコ機1では、2つの可動役物100を1セットとして左右方向に隣接させて設置している。2つの可動役物100は、回転の軸が平行に設けられており、この軸で回転させることによって、前述した実施例と同様に、パチンコ機1の前方に向ける装飾パネル120a〜120dを切り換えることが可能になっている。
【0075】
図12(b)には、1セットの可動役物100を演出表示装置27の左方に設置した例が示されており、2つの可動役物100は何れも第2装飾パネル120bをパチンコ機1の前方に向けた状態となっている。図示した例では、1セットの可動役物100の左側の第2装飾パネル120bと右側の第2装飾パネル120bとに同じ装飾(星の図形)が施されている。
【0076】
一方、図12(c)には、1セットの可動役物100を回転させて何れも第1装飾パネル120aをパチンコ機1の前方に向けた状態が示されている。左側の第1装飾パネル120aと右側の第1装飾パネル120aとで装飾が異なっており、図示した例では、左側に「牛」の偏が装飾されており、右側に「寺」の旁が装飾されている。そのため、2つを合わせると「特」の漢字が完成する。
【0077】
このように第5変形例の1セットの可動役物100では、パチンコ機1の前方に向けた状態で隣接する2つの装飾パネルの装飾が合わさることで1つの文字あるいは図形を構成するようになっている。このため、可動役物100の設置位置に奥行を確保することが困難な場合でも、2つの装飾パネルをパチンコ機1の前方に向けた状態で左右方向に幅のある文字や図形などの装飾を現すことが可能となり、可動役物100の装飾効果を高めることができる。尚、隣接させる可動役物100の数は2つに限られず、数を増やすことによって、さらに幅の広い装飾を現すことが可能となる。
【0078】
以上、本発明について実施例および変形例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0079】
例えば、前述した実施例では、垂直発光LED108a,108cは基板102の平面(電気部品等が実装される面)に対して垂直方向に発光し、平行発光LED108b,108dは基板102の平面に対して平行方向に発光するようになっていた。しかし、厳密に垂直方向あるいは平行方向でなくてもよく、垂直方向あるいは平行方向に対して所定の角度(例えば30度以下)で斜めになっていてもよい。また、垂直発光LED108a,108cの発光方向は基板102の平面に対して交差する方向(好ましくは基板102の平面に対して45度よりも鈍角な方向)であればよく、平行発光LED108b,108dの発光方向は垂直発光LED108a,108cの発光方向に対して交差する方向(好ましくは基板102の平面に対して45度よりも鋭角な方向)であればよい。
【0080】
また、前述した実施例では、可動役物100を演出表示装置27の左右に配置していたが、これに限られず、演出表示装置27の上下に配置してもよい。この場合は、パチンコ機1の左右方向を軸として可動役物100を回転させるようにしてもよい。また、可動役物100を演出表示装置27から離して設置してもよく、例えば、前面枠4の窓部4aの左右に配置してもよい。尚、前述した実施例のように可動役物100を、図柄変動演出が行われる演出表示装置27の周囲に設置しておくことによって、演出効果を高めることができる。
【0081】
また、前述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口17a、第2始動口17b、大入賞口31d等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAMに記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、前述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0082】
さらに、前述した実施例および変形例では、パチンコ機1に対して本発明を適用した例について説明したが、これに限られず、例えば、回胴式遊技機(いわゆるスロットマシーン)に対しても、本発明を好適に適用することが可能である。図13は、回胴式遊技機500の外観を例示した正面図である。回胴式遊技機(以下、遊技機)500には、箱状に形成された筐体503と、筐体503の前面側を覆う前面扉502などが設けられている。前面扉502の中段の領域502mには、遊技機500の内部に回転可能に設けられた3つの回胴520a,520b,520cを視認可能な表示窓520や、3つの回胴の回転を開始させるためのスタートレバー536や、3つの回胴の回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン538a,538b,538cなどが設けられている。また、前面扉502の下段の領域502dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口550や、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿552などが設けられている。
【0083】
前面扉502の上段の領域502uには、演出音を放出するスピーカー504が左右に設けられ、液晶表示装置によって構成された演出表示装置510が中央に設けられており、演出表示装置510の上方には、各種のランプ類512が設けられている。そして、演出表示装置510の左右には、可動役物600が設けられており、この可動役物600は所定の軸で回転可能であると共に、内蔵するLED608の発光により発光演出を行うことが可能となっている。このような遊技機500では、前述のパチンコ機1と同様に可動役物600を構成することにより、搭載する基板602の数を増やすことなく省スペース化を図りながら、遊技機500の前方に向けて発光させるLED608を切り換えられるので、発光による演出効果を高めることが可能となる。また、可動役物600に搭載の基板602の面積を確保しながら、基板602の平面に対して平行方向に発光する平行発光LED608b,608dの光を発散させる距離をとって点発光になることを回避し、しかも基板602の影の発生を防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、遊技ホールで用いられる遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1…パチンコ機(遊技機)、 10…遊技盤、 11…遊技領域、
27…演出表示装置、 100…可動役物、
100m…駆動機構、 102…基板、 104…コネクタ、
106…抵抗、 108a,108c…垂直発光LED(垂直発光手段)、
108b,108d…平行発光LED(平行発光手段)、
110…ほぞ穴(位置決め部)、 112…ビス穴(固定部)、
114…ビス、 116…切欠部(凹部)、 118…突出部(凸部)、
120a…第1装飾パネル、 120b…第2装飾パネル(装飾部)、
120c…第3装飾パネル、 120d…第4装飾パネル(装飾部)
122…ほぞ、 124…ビス穴、 130,132…軸部材、
200…主制御基板、 201…CPU、
220…サブ制御基板、 221…CPU。
図1
図2
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図6
図7
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図12
図13