【実施例1】
【0021】
1.バイオマーカー測定における主要な問題は、血液中のマーカー候補の含有量(濃度)が非常に低いことであり、マーカー候補は、質量分析および従来の免疫測定の検出限界未満で存在する。初期段階の疾患では、患部組織は患者の組織容積の少しの割合を占めているだけであるため、そのような低含有量が予測されるだろう。初期段階の疾患検出は、一般的により良好な全体的患者予後を提供する。
【0022】
2.バイオマーカーの発見および測定の第2の主要な問題は、循環血漿タンパク質の90%を占める、アルブミンおよび免疫グロブリンなどの常在性タンパク質の圧倒的な含有量であり、それにより、希少バイオマーカーの単離が妨害および隠蔽される[6]。実際、低含有量バイオマーカーの大部分は、希少バイオマーカーと比較して10億倍の過剰量で存在するアルブミンなどの担体タンパク質と非共有結合で内因性に結合している[7]。
【0023】
バイオマーカー測定の第3の主要な課題は、低含有量バイオマーカーは、血液試料を患者から採取した直後から内因性および外因性プロテイナーゼにより急速に分解される傾向があるということである。バイオマーカー候補の分解は、血液の輸送および保管中にも生じ、著しい偽陽性および偽陰性の結果をもたらす[8]。
【0024】
ナノテクノロジーの分野は、バイオマーカー発見に対するこれら3つの根本的な生理学的障害に取り組むための新しい手法を提供する。最近、本発明者らは、これら3つの障害を溶液中で1ステップで克服する高機能ヒドロゲルコアシェルナノ粒子を設計した[9]。ヒドロゲル粒子は、環境的な引き金、例えば、温度、pH、イオン強度、または電場を適用した結果として膨潤および収縮することが可能である親水性ポリマーで構成されるサブマイクロメートルサイズの架橋粒子である[10〜14]。ヒドロゲル粒子は、生体適合性が高く、独特の生理化学的特性を有するため、生体医学およびバイオテクノロジーにおいて広範囲の応用を有する[15〜18]。
【0025】
ナノ粒子は、分子ふるいクロマトグラフィーおよび親和性クロマトグラフィーを溶液中で1ステップで同時に実施する[9]。粒子の親和性マトリックス内に捕捉および結合された分子は、外因性または内因性のプロテアーゼによる分解から保護される。この実行可能性研究は有望だったが[9]、そのようなヒドロゲル粒子技術が、臨床的に関連した、非常に不安定で、含有量が非常に低いバイオマーカーに応用可能であることを示し得るかどうかはこれから証明されなければならなかった。この課題に取り組むために、本発明者らは、新しい種類のコア−シェル粒子を生成し、モデルバイオマーカーである血小板由来増殖因子(PDGF)を特異的に捕捉するコアベイトを個別に作製した。現実世界の問題に対するヒドロゲル粒子の応用可能性を研究するために、非常に低濃度(3ng/mL)で血液中に存在し、半減期が短い(2分)ため[12]、PDGFを癌関連バイオマーカー分析の非常に困難なモデルとして選択した。PDGFは、細胞表面チロシンキナーゼ受容体を介してシグナル伝達するペプチド増殖因子のファミリーであり、成長、増殖、および分化を含む種々の細胞機能を刺激する。異なる遺伝子(染色体4、7、11、22)によりコードされた異なる4つのポリペプチド鎖(PDGF−A、−B、−C、および−D)が、記述されている[19、20]。PDGFは、腫瘍進行中の血管新生および腫瘍間質圧力レベルに役割を果たす[21〜23]。PDGFおよびその受容体を標的とするように設計された、いくつかの新しい治療薬が、現在、腫瘍学臨床で使用されている[24〜28]。PDGFは、このような治療診断価値(theranostic value)が知られているにも関わらず、この低分子量増殖因子の含有量が極端に低く、非常に不安定であるため、臨床において日常的におよび正確に測定することができない。PDGFの他に、CCL28、CCL24、およびCXCL12などの、含有量が非常に低く非常に不安定な一連の追加的なケモカインの隔離および分解からの保護を確認した。これらケモカインは、それぞれ44pg/mL[29]、103pg/mL[30]、および1.5ng/mL[31]の血清中濃度を有する。ケモカインの血中半減期は非常に短く、10分未満である[32]。ケモカインは、白血球の遊走を指図し、炎症応答を活性化し、腫瘍成長に寄与する小型サイトカインである。ケモカインは、3つの重要な機序:腫瘍関連血管新生の制御、宿主の腫瘍特異的免疫学的応答の活性化、および自己分泌様式での腫瘍細胞増殖の直接刺激により腫瘍挙動を調節する。これら機序はすべて有望な薬物標的である[33]。
【0026】
多孔性ラテックスへのベイト分子の組み込みは、ヒドロゲル粒子が溶液中の分子の取り込みを推進する際に、粒子との結合に向けて平衡状態をシフトさせ、捕捉された分子が分解から保護されることを保証する。ベイトは、化学部分を担持するモノマーの共重合により、または既に形成されたヒドロゲル粒子と共有結合している化学部分を負荷することにより導入することができる。
【0027】
a)タンパク質およびペプチド、b)代謝産物、c)脂質および脂肪酸、d)核酸、ならびにe)翻訳後修飾されたペプチド(例えば、グリコシル化およびリン酸化)などの多様な範囲のバイオマーカーに選択的に結合し濃縮するために、様々な種類のベイト化学を生成した。ベイト化学には、電荷に基づくベイト(アクリル酸、アリルアミンコモノマー)、トリアジン負荷染料(シバクロンブルー)、ベータ−シクロデキストリン、ボロン酸が含まれる。
【0028】
アクリル酸は、3.5を超えるpH値で脱プロトン化され、したがって、正荷電ポリペプチドおよびタンパク質を標的とする負電荷を担持する。アリルアミン(pK=9.69[34])は、正味負電荷を有するポリペプチドおよびタンパク質に対するベイトとして作用する。荷電粒子に対するポリペプチドの親和性は、担体タンパク質に対するポリペプチドの親和性より高いことが証明されており、タンパク質の等電点および粒子の解離定数の値に依存する[9]。荷電粒子141の回収および濃縮特性は、溶液のpHおよびイオン強度に依存する。
【0029】
代替的ベイト戦略は、NIPAmに基づく粒子にトリアジン由来の繊維染料(シバクロンブルー F3G−A、プロシオンレッド H8BN)を負荷することである[35]。染料は、低価格であり、分子認識が高度に特異的であるため、親和性クロマトグラフィーで使用されてきた[36]。本発明者らは、シバクロンブルー染料を負荷したヒドロゲル粒子の合成に成功し、それらが、小型タンパク質およびホルモンを尿から効果的に取り込むことを実証した[37]。
【0030】
加えて、シクロデキストリンをヒドロゲル粒子に結合させた。シクロデキストリンは、親油性内部空洞および親水性外側表面を有する環式グルコースオリゴ糖であり、疎水性ゲスト分子と相互作用して非共有結合による複合体を形成可能であり、薬物送達の媒介体として広範に使用されている[38]。シクロデキストリンは、コレステロール[39]、ステロイド[40]、DOPA[41]に結合することが示されている。好適なサイズおよび好ましくは疎水性の特徴を有するゲスト分子を誘引および安定化する力は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、静電的相互作用であると考えられている[42]。
【0031】
さらに、本発明者らは、標的生体分子のジオール基と複合体を形成することが知られているボロン酸基を含有する粒子を設計した。ボロン酸イオンは、ヌクレオチド、RNA、糖化タンパク質、および糖酵素の選択的単離に関与する親和性クロマトグラフィー応用に使用されている[43〜48]。
【0032】
コア−シェル構造では、ベイト含有区域は、多孔性シェルにより覆われている。コア−シェルヒドロゲル粒子は、コアおよびシェルの特性を別々に個別調製することができるため、特に有益である。薬物送達に使用される多くのコア−シェル粒子系では、その目的の応用に必要とされる特性を有するようにコアが設計される[12、49〜51]。その後、別々にシェルが加えられて、コアが取り囲まれ遮蔽される。シェルの厚さを改変して、透過性または多孔度を変更することができる。
【0033】
本研究において、本発明者らは、溶液中でタンパク質に対する親和性結合を実施するために、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)−アクリル酸(AAc)コアが、電荷に基づくベイトを含有し、NIPAmシェルが、コアを取り囲んでおり、シェルの多孔度を透過するのには大きすぎる溶液相のタンパク質を除外するためのふるいとして作用するコア−シェル粒子を合成した(
図4)。NIPAmに基づく粒子は、それらの多孔性構造により、明確な分子サイズカットオフで大型分子を除外する。多孔性の度合いは、モノマーに関しては、架橋剤N,N’メチレンビスアクリルアミド(BIS)の割合を変更することにより調整することができる。同時に、粒子は、ポリペプチドおよび他の低分子がポリマーマトリクスを透過し、希少タンパク質バイオマーカーの濃縮を可能にするのにも好ましい条件を供給する大量の水を吸収することができる[14]。
【0034】
本発明者らは、3つの独立実験系を使用して、この新粒子が、以下を達成することができるかどうかを試験した:a)全血清を含む、高含有量タンパク質の複雑な混合液内にある溶液相PDGFおよびケモカイン分子をすべて迅速に回収すること、b)アルブミンなどの高含有量タンパク質を完全に除去し、捕捉したPDGFおよびケモカインを、開始容積のほんの一部だった低容積中に放出すること。この濃縮ステップは、検出可能なマーカーレベルを低容積で増大させる能力を示し、これは、免疫測定プラットフォームまたは質量分析法などの測定系への入力に必要とされ、およびc)捕捉されたPDGFおよびケモカインを、高濃度で導入される外因性分解酵素による分解から保護すること。本研究のために使用した3つの独立した実験手法は、1)臨床等級のELISA免疫測定、2)開始溶液、上清、および粒子内容物のゲル電気泳動、その後の免疫ブロット、ならびに3)粒子捕捉溶出物と比較した、開始溶液の質量分析であった。
【0035】
本研究の目的は、理論的な想定通りにバイオマーカーを濃縮および保存するコア−シェル粒子の能力を調査することであった。
【0036】
結果
粒子合成および特徴付け
本研究で使用される粒子構造の場合、NIPAmシェルは、親和性ベイト部分を含有するNIPAm/AAcコアを取り囲んでいる。NIPAmシェルのふるい能力は、存在する可能性があり、低含有量で低分子量の目的分子標的と、コアの親和性ベイトに対する結合を競合することができるより大型の分子から、コアおよびその親和性ベイト基を遮蔽する。コアおよびコア−シェル粒子のサイズを比較するために、光散乱による特徴付けを、粒子に対して合成中およびプロセスの終了時に実施した。25℃およびpH4.5でのコア直径は、364.7±4.3nmであり、同じ条件におけるコア−シェル粒子の直径は、699.4±6.2nmである(
図5A)。これは、シェルの厚さが約170nmであることを示唆する。ヒドロゲルを含有するAAcの特徴的挙動に従って、コアおよびコア−シェル粒子のサイズは両方とも、温度の上昇およびpHの低下に従って減少した(
図5A)。粒子を、原子間力顕微鏡(AFM)によりさらに特徴付けた。AFMの粒子画像(
図5B)は、サイズの均一性を確認し、AFMによる粒子直径の測定値は、光散乱で測定されたものと一致した。粒子濃度は、凍結乾燥された粒子を計量することにより取得したところ、10mg/mLであり、1ミリリットル当たりの粒子数は2億3000万個であった。
【0037】
コア−シェル粒子によるPDGFの分子ふるいおよび濃縮
ヒト血小板由来増殖因子(PDGF、MW14,500Da)を、PDGFと結合する担体タンパク質としてウシ血清アルブミン(BSA、MW66,000Da)を含有する溶液にスパイクし、PDGF−BSA溶液に添加されたコア−シェルヒドロゲルナノ粒子は、BSAと粒子との結合が検出されないことにより立証される分子ふるいとして作用し、粒子は、BSAを完全に除外し、溶液相PDGFをすべて完全に隔離した(
図6A)。これは、ベイトに対するPDGF親和性が、担体BSAの親和性より高かったことを示唆する。コア−シェル粒子の分子ふるい特性をさらに評価するために、PDGF、BSA、アプロチニン(MW6,500Da)、リゾチーム(MW14,400Da)、トリプシン阻害剤(MW 218 21,500Da)、炭酸脱水酵素(MW31,000Da)、およびオバルブミン(MW45,000Da)を含有する溶液を使用した。粒子によるタンパク質の取り込みを、SDS PAGEにより評価した。コア−シェル粒子は、21,500Da未満の重量を有する低分子量タンパク質を効果的に捕捉および濃縮したが、高分子量を有するタンパク質は粒子から除外されたままであった(
図6B)。
【0038】
コア−シェルヒドロゲルナノ粒子による溶液中PDGFの濃縮
本発明者らは、濃度がELISAの検出閾値未満である希釈PDGF試料を濃縮するナノ粒子能力を検討し、PDGFの濃度が粒子隔離により増加されて、ELISAによりPDGFが測定可能になるかどうかを決定した。
【0039】
図6Aで示されているように、以前は検出不能だったレベルのPDGFを粒子から回収し、ELISAにより75〜102pg/mLの範囲の濃度で定量化することに成功した。
図7Aに報告されている開始溶液中のPDGF濃度の値(18.92±4.313pg/mL)は、ELISA免疫測定の線形範囲未満(最低検出可能PDGF用量=30pg/mL)であり、光学密度の使用により評価し、232検量線から推定した。製造業者の説明書によると、この最低検出可能用量は、20回のゼロ標準物質重複測定の平均光学密度値に、標準偏差を2倍にした値を加え、対応する濃度を計算することにより決定された。このように、コア−シェル粒子を、ELISAでは検出不能な濃度のPDGF溶液と共にインキュベートし、回収し、アッセイの検出限界より高いレベルにPDGFを濃縮した。予想通り、PDGF溶液が非常に希薄だった場合でも、最低限の量の粒子で飽和が到達された(
図7B)。この手順の品質を評価するために、PDGF ELISAアッセイの検量線を生成した(
図7C)。同様の実験を、より濃縮されたPDGF溶液で実施した。開始溶液中のPDGF濃度は、63.69(±1.448)pg/mLであったが、粒子から回収したPDGF濃度は、452.81(±4.818)pg/mLであり、約700%の濃縮係数をもたらした(
図8A)。PDGF溶液を、様々な容積の粒子と共にインキュベートし、粒子の容積が200μlだった場合に、飽和が達成されたことを実証した(4600万個の粒子、1:5容積/容積の粒子:PDGF溶液比、
図8B)。PDGF ELISAアッセイの検量線を繰り返した(
図8C)。
【0040】
ヒト血清由来の未処理PDGFを隔離、濃縮、および保存するコアシェル粒子の能力を試験するために、さらなる実験を実施した。本発明者らは、血清由来の未処理PDGFの飽和および完全な枯渇に達するのに必要な粒子量に対する過剰量干渉タンパク質の影響を検討した。血清を、トリスHCl 50mM pH7で1:10に希釈し、増加する量の粒子と共にインキュベートした(200、500、1000、および1500μL)。開始血清溶液中のPDGF値は、170.92±4.66pg/mLであると測定されたが、粒子から回収されたPDGF濃度は、1743.43±11.06pg/mLであり、約10倍(1000パーセント)の濃縮係数をもたらした(
図9A)。1000μLの値で飽和が達成された(2億3000万個の粒子、1:1容積/容積の粒子:血清溶液、
図9B)。血清中のPDGF開始濃度が
図8の溶液中PDGF濃度より高いという事実を考慮して、本発明者らは、大量のタンパク質含有量を有する血清が開始試料中に存在しても、試料を枯渇させるために必要とされる粒子量は2倍未満であると結論付けることができ、したがって大量の血清タンパク質が存在する場合でさえも、粒子の結合能は非常に高いことを確認した。これらの研究で使用されたPDGF ELISAアッセイの検量線が示されている(
図9C)。
【0041】
コア−シェル粒子による溶液中ケモカインの濃縮
図10には、血清学的バイオマーカーの他の関連モデル、つまりBSAと混合された粘膜関連上皮ケモカイン(MEC/CCL28、12,300Da)、ストロマ細胞由来因子−1ベータ(SDF−1β/CXCL12b、8,500Da)、およびエオタキシン−2(CCL24、8,800Da)と共にインキュベートされたコアシェルアクリル酸官能化粒子のSDS PAGE分析が示されている。ケモカインは、粒子により溶液から完全に除去され、捕捉され、および濃縮されたが、BSAは完全に除外されていた。
【0042】
コア−シェル粒子による酵素分解からのPDGFの保護
内因性および外因性プロテアーゼによるバイオマーカーの分解は、バイオマーカーの性能バイアスの主な要因であり、バイオマーカー候補の発見および測定を妨害する。免疫ブロット分析を使用して、酵素分解からPDGFを保護する粒子の能力を評価した。粒子の非存在下において、PDGFに対するトリプシン作用は10分後には明らかであり、14,000〜17,000DaのPDGFバンドがほとんど検出不能であることにより示されるように(
図11Aおよび
図11Bのレーン6〜8)、1時間後にはほとんど完了した。著しく対照的に、トリプシンおよびコア−シェル粒子と共にインキュベートされたPDGFは、染色強度が減少せず断片化されていなかった単一種のバンドを生成し、粒子がタンパク質分解からPDGFを保護することに成功したことを示唆した(
図11Aおよび
図11Bのレーン4)。トリプシンなしでPDGFが負荷された粒子のPDGFバンド(
図11Aおよび
図11Bのレーン2)は、PDGFおよびトリプシンが負荷された粒子のPDGFバンド(
図11Aおよび
図11Bのレーン4)と同一であり、PDGFタンパク質が酵素分解により失われなかったことをさらに示唆した。
【0043】
コア−シェル粒子による酵素分解からのケモカインの保護
SDS−PAGE分析を使用して、モデルとして選択されたケモカインを酵素分解から保護する粒子の能力を評価した。
図12に示されているように、トリプシンは、粒子による隔離がない場合、各種類のケモカインを急速に分解した(
図12、レーン2、5、8)。著しく対照的に、トリプシンおよび粒子と共にインキュベートされたケモカインは(
図12、レーン3、6、9)、断片化されていなかった単一種のバンドを生成し、粒子がタンパク質分解からバイオマーカーを保存することに成功したことを示唆した。
【0044】
コア−シェル粒子は、ヒト血清にスパイクされたPDGFを濃縮および保存する
PDGFの血漿中半減期が非常に短い(2分)ことは、分析上の主要な課題である。免疫ブロットおよび質量分析を使用して、ヒト血清にスパイクされたPDGFを回収、濃縮、および保存するコア−シェル粒子の効率を研究した。免疫ブロットを使用して、正しい分子量の完全タンパク質が存在することにより、PDGFの保存を検証した。50μL等量のコア−シェル粒子を、50mMトリスHCl pH7で1:25に希釈されたヒト血清中にスパイクされた50μLのPDGF溶液(5ng/mLまたは2ng/mLの濃度)と共に、室温で1時間インキュベートした。粒子は、上清(
図13、レーン2および5)、および同時に、2つの異なる濃度で血清中にスパイクされた濃縮PDGF(
図13、レーン3およびレーン6)に残っていた高分子量タンパク質を除外した。上記のELISAで示されているように、開始溶液中のPDGFは検出不能であった(
図13、レーン1および4)。粒子は、PDGF分子の質量または含有量に検出可能な変化をもたらさずに、非常に複雑な血清溶液内のPDGF濃度を、免疫ブロットの検出限界を十分に超える濃度に増加させた。
【0045】
物質および方法
本研究で使用された血清は、IRB認可の血清収集プロトコール(プロトコール番号 GMU HSRB#6081)に基づき、インフォームドコンセントに基づいて取得し、データは、HIPAA、およびヘルシンキ宣言で表明された原則に従って匿名で分析した。
【0046】
コア−シェルヒドロゲル粒子の合成:粒子は、NIPAm(Sigma−Aldrich社)およびBIS(Sigma−Aldrich社)を使用して、沈殿重合により合成した[49]。AAc(Sigma−Aldrich社)をNIPAm粒子に組み込み、ペプチドおよび低分子を親和性捕捉するための、電荷に基づく親和性部分ベイトを準備した[9]。
【0047】
(NIPAm/AAc)コア:NIPAm(0.184g)、BIS(0.0055g)、およびAAc(48.4μL)を、30mLのH
2Oに溶解し、その後0.2μmフィルターを通過させた。溶液を、15分間室温で中程度の撹拌速度で窒素を用いてパージし、その後70℃に加熱した。1mL H
2O中の過硫酸アンモニウム(APS、Sigma−Aldrich社、0.0099g)を溶液に添加して、重合を開始させた。10分後、シェル溶液を添加した。
【0048】
(NIPAm)シェル:シェル溶液を、0.736gのNIPAmおよび0.120gのBISを10mlの水に溶解することにより調製した。溶液を、0.2μmのフィルターに通し、15分間室温で中程度の撹拌速度で窒素を用いてパージした。APS注入から10分後、シェル溶液を反応コア溶液に添加した。反応物を窒素下で3時間70℃で維持し、その後終夜冷却した。粒子を洗浄して未反応モノマーを除去し、その後16.1rcf、25℃で、15分間遠心分離した。上清を破棄し、粒子を1mlの水に再懸濁した。
【0049】
粒子の特徴付け:粒子の濃度は、凍結乾燥された粒子を計量することにより評価した。粒子は、フローサイトメトリーで計数した。
【0050】
温度およびpHに対する粒子サイズの依存性は、光子相関分光法(サブミクロン粒子サイズ分析器、Beckman Coulter社)により決定した。溶液のpHは、KClのバックグラウンド電解質溶液を有する適量のNaOH、HClを添加することにより制御した。200秒の積分時間を使用して3回の測定で平均値を計算し、各セットの測定前に溶液を10分間熱平衡化させた。その後、測定値をストークス−アインシュタインの関係により粒子サイズに変換した[54]。NSCRIPTOR(商標)DPN(登録商標)システム(Nanolnk社)を使用して、原子間力顕微鏡(AFM)により、粒子をさらに特徴付けた。MilliQ水中の粒子懸濁液(pH5.5、1μg/mL)を、室温、加湿雰囲気下で15分間、新しく劈開されたマイカ上に配置し、測定前に窒素下で乾燥した。画像は、300kHzの典型的な共振周波数および10nm未満の半径を有するシリコンチップを使用して、ACモード下で取得した。
【0051】
粒子のインキュベーション:以下を含有する50μLの溶液と共に、50μLのコア−シェル粒子をインキュベートした:
50mMトリスHCl pH7中の0.02mg/mL PDGF、0.2mg/mL BSA、
PDGF、BSA、アプロチニン(MW6,500Da)、リゾチーム(MW14,400Da)、トリプシン阻害剤(MW21,500Da)、炭酸脱水酵素(MW31,000Da)、およびオバルブミン(MW45,000
419Da);これらの各々は、0.05mg/mLの濃度で、50mMトリス pH7に溶解されていた。
粘膜関連上皮ケモカイン(MEC/CCL28、Antigenix America社)、ストロマ細胞由来因子−1ベータ(SDF−1β/CXCL12b、Antigenix America社)、およびエオタキシン−2−(CCL24、Antigenix America社);これらの各々は、0.02mg/mLの濃度であり、BSA(0.2mg/mL)と混合されており、50mMトリス pH7に溶解されていた。
【0052】
インキュベーションは、室温で30分間継続させた。インキュベーション後、試料を、16.1rcf、25℃で7分間遠心分離し、上清を保存した。その後、粒子を1mLの水中に再懸濁し、16.1rcf、25℃で7分間遠心分離した。遠心分離および洗浄を3回繰り返した。
【0053】
捕捉された被検体の粒子溶出:SDS−PAGEまたは免疫ブロット分析を実施した際、粒子をゲルに直接負荷した。ELISAおよび質量分析を実施した際、洗浄した粒子を、溶出緩衝液(60%アセトニトリル−2%酢酸)と共に30分間インキュベートし、その後25℃、16,1rcfで7分間遠心分離した。溶出液を保存し、第2の溶出ステップを実施し、溶出液を同じバイアルに保存した。その後、Speed Vac(ThermoFisher社)で試料を乾燥し、ELISAまたは質量分析で分析した。
【0054】
SDS−PAGE分析:粒子インキュベーションに由来する粒子および上清を、18%トリスグリシンゲル(Invitrogen Corporation社)に負荷した。粒子はゲルのスタッキング区域に留まったが、捕捉されたタンパク質はすべて粒子から電気泳動され、ゲルで分離された。タンパク質は、銀染色により検出した。
【0055】
酵素分解分析:50mMトリスHCl pH7中のPDGF−BSA(Cell Signaling Technology社)溶液(0.11mg/mL総タンパク質)を、37℃で様々な期間(0、10、20、および40分間)の間、1:100重量/重量のタンパク質:プロテアーゼ比率で、トリプシン(Promega Corporation社)と共にインキュベートして、分解パターンを経時的に研究した。コア−シェル粒子を、PDGF−BSA(0.11mg/mL総タンパク質)およびトリプシン(0.0011mg/mL)を含有する50mMトリスHCl pH7溶液中、1時間37℃でインキュベートした。
【0056】
0.02mg/mLの濃度で50mMトリスHCl pH7に溶解された以下のケモカイン、MEC/CCL28、SDF−1β/CXCL12b、CCL24の各々を、1:50重量/重量のタンパク質:プロテアーゼ比率のトリプシンと共に、およびコア−シェル粒子と共に、37℃で40分間別々にインキュベートした。
【0057】
免疫ブロット分析:タンパク質を、上記のように18%トリス−グリシンゲルで1−Dゲル電気泳動により分離し、その後Immobilion PVDF膜(Millipore社)に移し取った。販売業者の説明書に従って、SYPRO Ruby染色(MolecularProbes社)で膜を染色した。タンパク質ブロットは、Kodak社製4000MM使用して画像化した。その後、膜を、0.2%I−Block(Applied Biosystems社/Tropix社)および0.1%ツイーン20(Sigma−Aldrich社)で補完されたPBSと共に室温で1時間インキュベートし、その後PDGF−BBに対する抗体と共に、継続して撹拌しながら4℃で終夜インキュベートした。0.2%I−Block(重量/容積)および0.1%ツイーン20で補完されたPBSで洗浄した後、特異的西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗IgG二次抗体および高感度化学ルミネセンス装置(Supersignal West Dura、ThermoFisher Scientific社)を使用することにより、免疫応答性を明らかにした。
【0058】
ELISA分析:粒子を、較正物質希釈液RD6−3で希釈された1mLのPDGF−BB標準物質(R&D System社)と共にインキュベートした。インキュベーション時間、洗浄、および溶出は、以前に記述されているように実施した。Speed Vacで乾燥した溶出物を、100μLの水に再懸濁して穏やかにボルテックスし、その後製造業者の説明書に従って、ヒトPDGF−BBのELISAを実施した。各測定は重複して実施し、分析した試料セットの各々について個別の検量線を生成した。このキットの検出限界(20pg/mL)未満のPDGF溶液の1mL等量を、様々な数の粒子(50、100、200、および500μl)と共に30分間インキュベートした。タンパク質を、60%アセトニトリルおよび2%酢酸を用いてその後2回溶出ステップを行うことにより、洗浄された粒子から溶出した。ELISA測定は、100μLの容積で実施した。
【0059】
未処理血清PDGFのELISA測定を使用して、血清に導入された一連の粒子濃度ごとに、粒子捕捉収率を判断した。50mMトリスHCl pHで1:10に希釈された1000μL等量の血清を、量を増加させた粒子(200、500、1000、および1500μL)と共に、室温で30分間インキュベートした。以前に記述されているように粒子を洗浄し、100μLの溶出緩衝液(60%アセトニトリル−2%酢酸)と共に10分間インキュベートし、その後遠心分離した(25℃、16.1rcfで7分間)。粒子溶出液を凍結乾燥し、較正物質希釈液RD6−3、R&D Systems社製に再懸濁した。血清溶液は、較正物質希釈液で希釈した。ELISA測定は、100μLの容積で実施した。
【0060】
質量分析:以下の溶液を、コア−シェル粒子と共にインキュベートした:
複雑なタンパク質混合物でスパイクされたPDGF:50mMトリスHCl pH7中に6.7μg/mL BSA(ThermoFisher Scientific社、MW66,000)、6.7μg/mLアプロチニン(Sigma−Aldrich社、MW6,500Da)、6.7μg/mLリゾチーム(Sigma−Aldrich社、MW14,400Da)、6.7μg/mLトリプシン阻害剤(Invitrogen Corporation社、MW21,500Da)、6.7μg/mL炭酸脱水酵素(Sigma−Aldrich社、MW31,000Da)、および6.7μg/mLオバルブミン(Sigma−Aldrich社、MW45,000Da)を含有するタンパク質混合物を、40μg/482mLの総タンパク質濃度で使用した。PDGFを以下の濃度で添加した:670ng/mL、67ng/mL、6.7ng/mL、0.67ng/mL。その結果、PDGFと総タンパク質との比率は、それぞれ1:60、1:600、1:6,000、および1:60,000だった。1.5mL等量の溶液を、100μLのコア−シェル粒子と共にインキュベートした。タンパク質を、60%アセトニトリルおよび2%酢酸を用いて100μLの容積に溶出し、溶出液をSpeed Vac(Thermo社)で乾燥し、ナノ逆相液体クロマトグラフィー質量分析(RPLC−MS/MS)で分析した。溶液および溶出液の両方から100μL等量を分析し、したがって同じ容積を維持した。
ヒト血清:200Lの健常ドナー血清を、100Lのコア−シェル粒子を有する50mMトリスHCl緩衝液、pH7で1:3に希釈した。粒子を10%アセトニトリル、0.5×PBS緩衝液で洗浄し、60%アセトニトリル、2%酢酸で溶出した。試料をSpeed Vac(Thermo社)で乾燥し、nanoRPLC−MS/MSで分析した。
【0061】
粒子からの溶出液を、nanoRPLC−MS/MSで分析した。Speed Vacで乾燥したタンパク質を8M尿素中に再構成し、10mM DTTで還元し、50mMヨードアセトアミドでアルキル化し、トリプシンにより終夜37℃で消化した。トリプシンペプチドを、Zip−Tip(Millipore社)でさらに精製し、線形イオントラップ質量分析計(LTQ、Orbitrap)を使用して、LC−MS/MSにより分析した。試料注入後、カラムを移動相A(0.4%酢酸)で5分間洗浄し、250ナノリットル/分、30分間で0%移動相B(0.4%酢酸、80%アセトニトリル)から50%移動相Bへの線形濃度勾配を使用してペプチドを溶出し、その後さらに5分間、移動相Bを100%にした。LTQ質量分析計は、35%の正規化衝突エネルギーを使用する衝突誘起解離(CID)用に5つの最も豊富な分子イオンが動的に選択された5つのMS/MSスキャンが、各完全MSスキャン後に行われるデータ依存モードで操作された。タンデム質量スペクトルを、トリプシン切断の制約を使用して、SEQUESTデータベースに対して探索した。検索結果に以下のフィルターを適用することにより、高信頼度のペプチド同定が取得された:1+の場合、相互相関スコア(XCorr)は1.9以上、2+の場合は2.2以上、3+の場合は3.5以上、ランダム同定の最大確率は0.01。
【0062】
総タンパク質に対して1:60、1:600、および1:6,000の比率でPDGFを含有する溶液の質量分析により、ヒトPDGFに属する13、6、および1つのペプチドがそれぞれ同定されたが、コア−シェル粒子からの溶出液は、それぞれ33、15、および5つのペプチドを含有していた。総タンパク質に対して1:60,000のPDGF比率では、PDGFペプチドは、トリプシン消化後の原溶液中に質量分析では検出されなかったが(0.67ng/mLのPDGF濃度)、粒子からの溶出液からは、PDGFトリプシンペプチドの明瞭な質量分析計検出スペクトルが得られた。したがって、コア−シェル粒子は、質量分析計の既知検出レベル内にPDGFが存在していた場合、質量分析により溶液から同定されるペプチドの数を増加させた。加えて、このバイオマーカーが1ml当たり1ナノグラム未満に希釈され、非常に大量のタンパク質により隠蔽された場合、コア−シェル粒子は、PDGFを濃縮し、質量分析の検出範囲へその濃度を上昇させることができた。
【0063】
生理学的媒体中のPDGFを濃縮および保存し、同時に、隔離された任意のタンパク質を同定する粒子の能力をさらに評価するために、PDGF(5ng/μLの濃度の)を、50mMトリスHCl pH7で1:25に希釈されたヒト血清にスパイクし、50μlのコア−シェル粒子と共に1時間インキュベートした。タンパク質を溶出し、乾燥し、nanoRPLC−MS/MSで分析した。表S1に示されているように、PDGFを回収し、質量分析計分析により高ペプチドヒット範囲(high peptide hit coverage)で明白に同定した。多数の希少な低分子量タンパク質が、コア−シェル粒子により捕捉されたタンパク質の混合物内で同定された。加えて、コア−シェル粒子をヒト血清と共にインキュベートし、粒子から溶出されたタンパク質をnanoRPLC−MS/MSで分析した。非常に低い含有量(約1ng/mL)で血液中に存在する未処理PDGFに属するペプチドを同定した。
【0064】
これらのデータは、血清から既知のバイオマーカーを回収および保存するためのコア−シェル粒子の使用を支持するものであり、バイオマーカーの濃度、および現行のバイオマーカーの測定および発見技術の有効感度を劇的に増加させる方法を提供する。
【0065】
全体として、本発明は、内部親和性ベイトを含有する1nm〜100μmのサイズ範囲の粒子による一体型の被検体濃縮および単離ステップを含み、a)被検体を含有する試料液体を、被検体を認識する親和性ベイトを封入する開放型ポリマー性網目構造で構成されるナノ粒子の帯域と接触させ、b)被検体を、粒子内部で濃縮、隔離、および分解から保護し、c)標識リガンドまたは抗体により認識されるように被検体を放出させる免疫測定系またはデバイスである。免疫測定デバイスでは、粒子は被検体含有試料液体に懸濁されており、懸濁された粒子は浮揚性であり、溶液中に留まり重力により沈殿せず、粒子は開放型ポリマー性構造であり、粒子が懸濁されている溶質が粒子の80%超を占める。また、免疫測定デバイスでは、粒子および試料液体の混合物がデバイスにアプライされ、側方流動免疫測定デバイス内にある流体経路内の帯域に粒子が配置および固定化されている。
【0066】
本発明は、被検体捕捉粒子を含むポイントオブケアの免疫測定デバイスでもあり、そのような粒子は、固定化された親和性リガンドを含有するポリマー性マトリックスシェルおよび内部コアを含み、ポリマー性マトリックスは、ある条件下で被検体がポリマー性マトリックスに進入することを可能にするが、混合物に由来する他の化合物をポリマー性マトリックスへの進入から除外する細孔サイズを有し、親和性リガンドは、目的の被検体を認識し、捕捉粒子は、側方流動免疫測定デバイスの一部として多孔性基層に組み込まれている。粒子が目的の被検体を隔離した後、液体試料の流路を変更することができる。被検体捕捉粒子を分離するための方法は、試料中に存在する細胞由来の標的被検体を含有しており、捕捉粒子は、異なる多孔度を通って免疫測定帯内を滲出により流動し、粒子は、1〜1000ナノメートルのサイズ範囲である。試料は、全血、または尿、脳脊髄液、汗、唾液、乳頭吸引液、もしくは羊水などの別の体液;非生物学的液体;環境試料、農業試料、もしくは食品試料である。また、本発明は、捕捉粒子から標的バイオマーカーを分離し、そこでは抽出緩衝液を使用して、隔離されたバイオマーカーを捕捉粒子から取り除く。試料は、全血、または尿、脳脊髄液、汗、唾液、乳頭吸引液、もしくは羊水などの別の体液;非生物学的液体;環境試料、農業試料、もしくは食品試料である。
【0067】
タンパク質、ペプチド、または核酸バイオマーカーを隔離、濃縮、および分解から保護するための方法は、a)ある条件下で被検体がポリマー性マトリックスに進入することを可能にするが、混合物に由来する他の化合物をポリマー性マトリックスへの進入から除外する細孔サイズを有するポリマー性マトリックス、およびb)内部の固定化された親和性ベイトを含む捕捉粒子を混合物と接触させることであり、試料中に存在する個々の種類の低分子量分子に対して特異的な複数の亜集団を含有する捕捉粒子の集団が、側方流動免疫測定デバイス内に組み込まれている。被検体を前濃縮および保存する本発明の手段も作用しており、そこでは、a)被検体が、被検体に対する親和性ベイトを含有するヒドロゲル粒子の存在下の液体溶液中に存在し、粒子は、溶液中に留まり重力により沈殿しないのに十分なほどの小さなサイズおよび浮揚性であり、b)高い割合の被検体が粒子内に隔離され、c)バルク枯渇液体容積は多孔性マトリックス内で先に滲出していく。本発明の捕捉粒子は、a)分子ふるい部分、およびb)被検体結合部分を含み、分子ふるい部分、被検体結合部分、またはその両方は、多孔度が改変された架橋区域をさらに含み、ふるい部分は、物理的および/または化学的処理に応じて、捕捉粒子内に被検体を捕捉するように収縮および/または膨張する。被検体結合部分は、化学的または静電気的に被検体に結合または隔離することが可能である少なくとも1つのタイプの部分を含む。被検体結合部分は、カルボキシ基、アミン基、脂質、リンタンパク質、リン脂質、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、アクリル基、チオール基、アクリル酸、抗体、結合タンパク質、結合対、金属、キレート剤、核酸、アプタマー、酵素結合ポケット、レクチン、薬理学的作用剤、合成ペプチド、抗体断片、疎水性表面、親水性表面、およびそれらの任意の誘導体またはそれらの組み合わせを含む。被検体は、被検体結合部分に結合し、被検体は、有機分子、無機分子、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。分子ふるい部分は、内部コアを封入する外側シェルであり、内部コアは、被検体結合部分を含んでいる。分子ふるい部分、被検体結合部分、またはその両方は、ポリアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、N−アルキル置換ポリアクリルアミド、ポリ(N−ビニルアルキルアミド)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ベンジルグルタメート)、ポリ(2−エチルアクリル酸)、ポリ(4−ビニルピリジン)、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。架橋区域は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、またはそれらの任意の組み合わせを含む。分子ふるい部分、被検体結合体部分、またはその両方は、ヒドロゲルを含む。捕捉粒子は、物理的または化学的処理に曝されると、結合または隔離されている被検体を放出し、物理的または化学的処理は、電荷、静水圧、pH変化、温度変化、酸性作用剤、塩基性作用剤、UV、超音波、X線、またはそれらの組み合わせに曝されることを含む。